JP3944493B2 - プリント配線板及びその製造方法並びに多層プリント配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板、積層板に形成されたスルーホール内に充填して用いられるスルーホール充填用ペーストを用いたプリント配線板及びその製造方法並びに多層プリント配線板に関する。
近年、プリント基板の更なる高密度化を図るために、スルーホールの真上に絶縁層間を電気的に接続するためのビアホールを形成する構造(Via on PTH)が検討されている(下記特許文献1を参照。)。この構造においては、スルーホール内に充填したスルーホール充填材の上に銅メッキを施す必要がある。高い接続信頼性を得るためには、スルーホール充填材に対する銅メッキの密着性を確保することが重要となる。
シリカ等の無機フィラーのみを含有するスルーホール充填用ペーストを用いた場合においては、銅メッキの密着性を上げるためには、クロム酸や過マンガン酸カリウム等を用いた特殊な薬液処理を施して、スルーホール充填材の表面を粗化する必要がある。このため、製造コストの低減が困難である。
そこで、銅メッキとの密着性を上げる為に、銅のような金属フィラーを含有したスルーホール充填用ペーストの使用が検討されている(下記特許文献2を参照。)。
特開平6−275959号公報 特開平11−140280号公報
しかし、銅フィラーを含有するスルーホール充填用ペーストを用いた場合においては、硬化後のスルーホール充填材(100)の内部に、クラックの様な隙間(12)が発生することがある(図1を参照。)。このクラックの様な隙間は、無機フィラーのみを含有するスルーホール充填材の内部には発生しないが、銅等の金属フィラーを含有するスルーホール充填材の内部には発生しやすい。
この隙間は、スルーホール充填材の樹脂成分の硬化収縮によって発生する内部応力に起因するクラックと考えられていた。そこで、クラックの様な隙間の発生を防止するには、硬化後のスルーホール充填材に柔軟性を付与して内部応力を低減するような成分を添加することが検討されていた(特開平8−311157号公報を参照。)。
しかし、柔軟性を付与するような成分の添加は、硬化後のスルーホール充填材のガラス転移点(Tg)の低下を引き起こして耐熱性を低下させたり、ハンダリフロー工程で発生する体積収縮(再硬化収縮)を増大させることが知られている(特開平11−199759号公報を参照。)。耐熱性の低下や再硬化収縮といった現象は、プリント配線板や多層プリント配線板のスルーホールに関する信頼性を低下させる好ましくない要因である。
このように、スルーホール充填材の耐熱性の低下や表裏面の凹みの発生等の問題があるため、MPU用パッケージのような高い信頼性が要求されるものには、柔軟性を付与するような成分を添加したスルーホール充填用ペーストを使用することができなかった。そのため、スルーホールに関する信頼性の高いプリント配線板や多層プリント配線板を得ることは容易ではない。また、スルーホール充填用ペーストは、経時変化による粘度変動が大きいため、安定した製品を得るには、この変動を抑える必要がある。さらに、シェルライフを長く確保して、長期間の保管後においても安定した特性を維持できるようにする必要がある。
銅等の卑金属を含む金属フィラーを添加したスルーホール充填用ペーストの硬化収縮挙動は、スルーホールの中心部と表面部(外気に曝されている部分)とでは、硬化速度に大きな違いがある。具体的に述べると、スルーホール中心部の硬化速度がスルーホール表面部の硬化速度に比べて極端に遅いことである。
これらの現象に鑑みて、本発明者等は、上記の隙間は、従来言われているような内部応力によるクラックではなく、硬化速度の遅い中心部の樹脂成分が、硬化速度の速い表面部に移動していくことによって発生する巣(いわゆるblowhole)であると推察した。
そこで、本発明者等は種々の硬化剤を使用して硬化挙動の変化について検討した。その結果、ある特定の硬化剤を選択することによって、スルーホール充填用ペーストの硬化収縮挙動を制御し、上記隙間の発生を抑制できることを本発明者等は見いだし、本発明の完成に至ったものである。
金属フィラーに用いる銅等の卑金属には、ある種の触媒作用があり、エポキシ樹脂の硬化反応に何らかの影響を及ぼすことが知られている(特開平9−31307号公報を参照。)。硬化収縮挙動の問題は、卑金属表面の酸化状態によって触媒効果が変動することに起因すると思われる。具体的には、銅表面ではアニオン重合が阻害され、一方、酸化表面ではアニオン重合が促進されるような場合である。
本発明では、一般式(1)の構造を有するイミダゾール系硬化剤を用いる。この硬化剤を使用することで、銅粉末等の卑金属を含む金属フィラーを添加したスルーホール充填材に発生する上記隙間の問題を回避できる。このイミダゾール系硬化剤は、卑金属の表面状態の違いによる触媒作用のばらつきを調整して、硬化収縮挙動の均一化を促進する効果を有すると推察される。この理由を以下に説明する。
一般に、イミダゾール系硬化剤を添加したエポキシ樹脂は、分子内錯体を形成しながら重合が進んでいくと言われている(高分子刊行会、「入門エポキシ樹脂」p.98〜p.99を参照。)。分子内錯体が形成されると、反応速度は低下するものの、代わりに重合停止反応は起こりにくくなると言われている。すなわち、エポキシ樹脂の重合反応を阻害するような、外部からの影響を受け難くなる。本発明者等は、硬化収縮挙動の均一化を促進するには、如何にこの分子内錯体を効果的に形成するかがポイントになると推察した。そこで、発明者等は種々のイミダゾール系硬化剤を用いて検討したところ、特定の構造を有するイミダゾール系硬化剤を選択することで、エポキシ樹脂の硬化収縮挙動の均一化を促進できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明によれば、銅等の卑金属フィラーを含有するスルーホール充填材において、耐熱性の低下や表裏面の凹みの発生を伴うことなく、硬化後のスルーホール充填材の内部に隙間が発生するのを防止することができる。また、スルーホール開口端面近傍に凹凸や隙間を発生させないため、続いて形成されるビルドアップ層に凹凸を生じさせることもない。スルーホール近傍のビルドアップ層の平坦性に優れた基板を得ることができるため、FC−PGA型の配線基板のようにスルーホール直下のビルドアップ層にピン付けしたPGA(ピングリッドアレイ)型の多層プリント配線板を形成する場合に特に好適である。
本発明に用いる一般式(1)のイミダゾール系硬化剤は、分子内に水酸基(−OH)を持っている。この水酸基とアニオン重合末端基とが水素結合することで、分子内錯体がより効果的に形成される。その結果、卑金属の触媒作用のばらつきの影響を受け難くなって、硬化収縮挙動の均一化を促進することが可能となり、上記の隙間の発生が効果的に抑制できるものと推察される。
一般式(1)
Figure 0003944493
一般式(1)におけるRとしては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜10のアルキルオキシ基が好ましい置換基として挙げられる。更には、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基)、または、炭素数1〜4のアルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基)が好ましい置換基として挙げられる。
特に好ましいイミダゾール系硬化剤は、Rがメチル基である「2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチル−イミダゾール」である。この硬化剤は、銅粉末を添加したスルーホール充填材で発生しやすい上記の隙間の問題を効果的に抑制できる。また、スルーホール内に充填したスルーホール充填用ペーストをキュアする際に発生する、スルーホール充填材の表裏面の凹みの問題を効果的に抑制することができる。スルーホール充填材の表裏面に凹みが発生すると、次いで形成されるビルドアップ層に凹凸を発生させる原因となるため好ましくない。特に、図7に示すようなFC−PGA型の配線基板のようにスルーホール直下のビルドアップ層にピン付けする場合にも問題となる。ここにいう「FC−PGA型の配線基板」とは、半導体素子をFC(フリップチップ)実装するとともに、マザーボードへの実装をピンによって行うタイプのPGA(ピングリッドアレイ)型配線基板をいう。
特には、アスペクト比が大きいスルーホール(1.6〜32、好ましくは2.5〜32、より好ましくは5〜32、特には、8〜32)や、スルーホール導体の内壁面にエッチングや黒化処理により十点平均粗さ(JIS B 0601の3.5.1に準ずる。)による粗度Rzが0.3〜3μm(好ましくは2〜3μm)の凹凸を有する粗化面が形成されていたり、更に内壁面にうねりや段差があって直線性に乏しいようなスルーホール(レーザにより穿設されたもの等)や、直径の異なるスルーホールが混在(例えば、100μmと300μmが混在)する場合の各スルーホールを充填する場合において有用である。尚、スルーホールの内壁面には導通用のスルーホール導体が形成されているのがよいが、導電性を有するスルーホール充填用ペーストを用いる場合は、スルーホール導体の形成を省略することもできる。
本発明に用いるスルーホールを有する基板としては、FR−4、FR−5、BT等のいわゆるコア基板を用いるのがよいが、PTFE等の熱可塑性樹脂シートに厚み35μm程度の厚手の銅箔を挟み込んでコア基板としたものにスルーホールを形成したものを用いてもよい。また、コア基板の少なくとも一面に絶縁層を形成した基板を貫通するように形成されたスルーホールを有する基板を用いることができる。図11は、コア基板の両面に絶縁層を形成した基板を貫通するように形成されたスルーホールを有する基板の例である。この場合スルーホールは、絶縁層を形成した後に炭酸ガスレーザ等を用いたレーザ加工機を用いて形成するのがよい。しかし、レーザにより穿設されたスルーホールは、内壁面にうねりや段差があって直線性に乏しいため、スルーホール充填が困難な場合が多い。本発明で用いるスルーホール充填用ペーストは、コア基板の両面に絶縁層を形成した基板を貫通するようにレーザにより穿設されたスルーホールであっても、良好な充填を行うことができる利点がある。
本発明のプリント配線板の製造方法により得られたプリント配線板上に、絶縁層及び導体層を交互に積層したビルドアップ層を形成して多層プリント配線板を得ることができる。この場合、図7に示すようなコンデンサ内蔵型の多層プリント配線板であっても、いわゆるガラス−エポキシ複合材料(絶縁基板)の厚みを400μm程度と、通常品の800μmの半分にまで薄くして低背化を図ることができる利点がある。また、スルーホール充填材の内部に隙間が無く、かつ、スルーホール近傍のビルドアップ層の平坦性に優れた基板を用いるため、図7に示すようなFC−PGA型の配線基板のようにスルーホール直下のビルドアップ層にピン付けしたPGA(ピングリッドアレイ)型の多層プリント配線板を形成する場合に特に好適である。
ビルドアップの方法は問わないが、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の公知のアディティブ法や、ガラスクロス、耐熱樹脂製不織布、金属箔等を芯材にして樹脂絶縁層をプリプレグでラミネートするラミネート法等を用いることができる。アディティブ法を用いる場合は、ビルドアップ層を形成する前には、露出した配線表面に化学エッチング、黒化処理、針状メッキ等の公知の粗化面形成処理を行う。それによって、続いて形成される樹脂絶縁層の密着力が向上できる。形成された樹脂絶縁層の表面を過マンガン酸カリウム処理、クロム酸処理等により粗化処理する。続いて形成される導体層の密着力を上げるためである導体層は無電解メッキ、電解メッキ、フォトリソグラフィを用いた公知の方法で形成できる。
本発明に用いるスルーホール用充填ペーストには、エポキシ樹脂金属フィラー、超微粒子無機フィラー及び硬化剤とを含む組成物をベースとする。所望の特性を得るために、この組成物に対して感光性樹脂、熱可塑性樹脂、無機フィラー、脱泡剤等を適宜選択して添加した組成物とすることができる。
エポキシ樹脂は、一般に硬化収縮が少ないため、硬化後の凹みを効果的に抑制するために用いられる。特には、耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れる芳香族エポキシ樹脂を用いることが望ましい。更には、ペーストを無溶剤化する為に、常温で液状のエポキシ樹脂(BPA型、BPF型等のBP型やPN型)を用いるのがよい。
金属フィラーは、硬化収縮をさらに低減したり、熱膨張率やペーストの粘度を制御したり、スルーホール充填材に導電性を付与するために用いられる。また、金属フィラーの添加によって、スルーホール充填材上に形成した銅メッキとの密着性を効果的に向上することができる。不純物酸素を若干含んだアトマイズ粉が安価でよい。金属フィラーとしては、銅、ニッケル等の卑金属単体、又はこれらから選ばれる卑金属と他の金属との合金のみならず、これらの金属や合金で被覆した無機フィラー(本発明では、この金属被覆した無機フィラーも金属フィラーの概念に含める。)等を用いることができる。尚、合金粉末の場合は、Ag、Au、Pt等の貴金属との合金がよい。
この金属フィラーは、銅粉末、ニッケル粉末等の卑金属粉末がよい。不純物酸素を若干含んだアトマイズ粉が安価でよい。貴金属を用いるよりも安価だからである。特には銅粉末又は銅合金粉末がよい。銅粉末又は銅合金粉末であると、スルーホール充填材上に形成するメッキを、通常の銅メッキ工程と同様の工程で行えるからである。銅合金粉末の場合は、Ag、Au、Pt等の貴金属との合金がよい。
金属フィラーの形状には、球状、鱗片状、樹枝状等があるが、特には球状が望ましい。ペーストの流動性が向上して、スルーホール内への充填性に優れるからである。金属フィラーの平均粒径としては、20μm以下が好ましい。この平均粒径が20μmよりも大きいと、銅メッキとの密着性が低下するからである。更に好ましくは1〜15μm、特には3〜10μmである。銅メッキのフクレの発生を効果的に防止できるからである。また、スルーホール充填性を良好にするために、見かけ密度が2g/cm以上の金属フィラーを用いるのがよい。
本発明に用いるスルーホール充填用ペーストは、熱膨張係数等の物性値調整のために、無機フィラーを含むとよい。無機フィラーを構成するセラミックとしては、酸化物(アルミナ、シリカ等)、窒化物(窒化珪素、チタンナイトライド等)、ケイ化物(タングステンシリサイド、チタンシリサイド等)、炭化物(タングステンカーバイド、チタンカーバイド等)等を用いることができる。特には、タイミクロン等の微細アルミナ粉末やアエロジル等の微細シリカ粉末がよい。また必要に応じて、消泡剤、レベリング剤等の微量添加剤を添加しても良い。
本発明に用いるスルーホール充填用ペーストは、超微粒子無機フィラーを含むことにより、スルーホール充填用ペーストの粘度の経時変化を抑えることができる。さらに分散剤を添加しても良い。超微粒子無機フィラーとしては、超微粒子状のセラミック粉末がよい。ここにいう超微粒子とは、以下のような特性を有する粒子をいう。〔1〕粒子のBET法による比表面積が40〜400m/gである。BET法は周知の手法のため、その詳細はここでは割愛する。スルーホール充填用ペーストのスルーホールへの穴埋め時の流動性を良好に保ちながら経時変化による粘度変動を効果的に防止することができる。粒子のBET法による比表面積の好ましい範囲は60〜100m/gである。スルーホールへの穴埋め時に問題となる硬化後のスルーホール充填用ペーストにおける樹脂塊やボイドの発生を効果的に抑えることができる。〔2〕粒子の1次粒子径が5〜50nmである。1次粒子径がnm(ナノメートル)オーダーの超微粒子を用いることで、スルーホール充填用ペーストにおける金属フィラーの沈降や粘度の経時変化を効果的に抑制することができる。粒子の1次粒子径の好ましい範囲は10〜20nmである。スルーホール充填用ペーストの粘度を過度に増大させることがない。〔3〕粒子の見かけ比重が30〜200g/lである。スルーホール充填用ペーストにおける金属フィラーの沈降防止や粘度の経時変化の抑制に効果的である。
超微粒子無機フィラーとしては、その4%分散液(水:メタノール=1:1溶液中)のpH値が3.5〜6.5であるとよい。pH値を中性から酸性よりに調整することで、塩基性のイミダゾール系化合物である硬化剤の室温下での活性を落として、使用中に発生するスルーホール充填用ペーストの硬化の進行による増粘を効果的に抑制できる。ただし、pH値が3.5よりも小さくなると、逆に塩基性のイミダゾール系化合物である硬化剤の室温下での活性が落ちすぎて、硬化不十分になるので好ましくない。また、pH値が6.5よりも大きくなると、粘度が逆に不安定になりため好ましくない。超微粒子無機フィラーの4%分散液(水:メタノール=1:1溶液中)のpH値は、例えば以下のように測定する。ここでは超微粒子無機フィラーとして微細シリカ(アエロジル)を用いて説明する。アエロジル4gを200mlビーカーにとる。そこにメタノール50mlを加えて攪拌する。さらに純粋50mlを加えて攪拌して、よく分散させる。この分散液にガラス電極を入れてpH値を測定する。5分間のpH値の変動が±0.01以内となるまで放置して、そのときの値を超微粒子無機フィラーのpH値として読み取る。
超微粒子無機フィラーに含まれるカーボン含有量は3〜5質量%であるとよい。超微粒子のエポキシ樹脂との濡れ性を良好にして、優れた分散性を得ることができる。その理由の詳細は不明であるが、超微粒子無機フィラーの表面に付着したカーボン成分が、超微粒子無機フィラー同士の分子間力等により凝集するのを防止するものと推察される。また、カーボンが静電気を逃がして、超微粒子が静電力で凝集するのを防止しているとも推察される。
超微粒子無機フィラーに含まれる水分含有量は0.05〜0.15質量%であるとよい。スルーホール充填ペーストの製造ロット毎の粘度を安定して保つことができる。水分含有量が0.05質量%未満であると、雰囲気の湿度変化に対して粘度が不安定になるため好ましくない。また、水分含有量が0.15質量%を超えると、製造初期の粘度変動が大きくなるため好ましくない。
超微粒子無機フィラーは、有機成分を除く無機成分全体における主たる無機成分の純度が99.5%以上のものがよい。これは、カーボン等の有機成分を除いた純粋な無機成分全体を100質量%としたときの純度をいう。超微粒子無機フィラーは、その微細さゆえに、スルーホール充填用ペースト全体に均一に分散している。そのため、不要な不純物を含むと、不純物に起因する悪影響(例えば、金属イオンのマイグレーション等)が、スルーホール全体に及ぶことになる。それを回避するためには、無機成分の純度を99.5%以上にするのがよい。
本発明のプリント配線板は、スルーホールの信頼性に優れる利点を有するため、ビルドアップ工法を用いた多層プリント配線板用途に好適である。Via on PTH構造を採った場合においても、安定した接続信頼性が得られる利点がある。よって、本発明の多層プリント配線板は、 スルーホール充填材上にビルドアップ層の導体層が積層されており、該ビルドアップ層は、絶縁層間を電気的に接続するビアホールを有し、該ビアホールの一部が、スルーホールの真上に位置すると共に、上記スルーホール充填材上に積層された上記ビルドアップ層の上記導体層と接続されている構造を備える多層プリント配線板でもよい。また、スルーホール開口端面近傍に凹凸や隙間を発生させないため、FC−PGA型の多層プリント配線板のようにスルーホール直下のビルドアップ層にピン付けする場合においても、ピンの傾きや接合不良等の不具合の発生を防止できる利点がある。
上記スルーホール充填用ペーストは、プリント配線板を構成するコア基板の表面やスルーホールの壁面に形成される導体層が、水に対する接触角が90度以上になるように疎水化処理されている場合に特に有用である。尚、未処理の場合の接触角は通常70〜80度、酸化処理(いわゆる黒化処理)の場合の接触角は通常75〜90度である。
本発明のプリント配線板に用いるコア基板の導体層(主に銅)は、絶縁層やソルダーレジストとの密着性の向上及び発錆防止のために、カップリング剤や防錆剤で導体層表面を疎水性つまり親油性に処理(特には、水に対する接触角(2θ)が90度を超えるように疎水化処理)するとよい。これらの処理をすることで、導体層の表面と親油性の樹脂(例えばエポキシ樹脂)との濡れ性は良くなり(逆に水との濡れ性は悪くなる)、絶縁層やソルダーレジストの密着性は向上する。密着性の向上のためには、水に対する接触角が95度以上がよく、特には100度以上がよい。ここにいう接触角(2θ)は、水滴(8)の導体表面(7)との接触点(80)から水滴の頂点(81)へ引いた仮想線(82)と、水平線(83)とが形成する角度(θ)(9)の2倍角(2θ)をいう(図5を参照。)。
ところが一般には、導体層の表面が親油性となって樹脂との濡れ性が高くなるにつれてブリードアウト(熱硬化時の樹脂流れ)は増大し、スルーホール充填用ペーストの穴埋め性は低下してしまう。しかし、本発明に用いるスルーホール充填用ペーストは、水に対する接触角が90度以上になるように疎水化処理された(つまり、親油性の高い)導体層を有するコア基板へも良好な穴埋めをすることができる利点がある。
本発明のプリント配線板に用いる導体層の表面の少なくとも一部は、粗度Rzが0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmとなっているのがよい。特には、少なくともスルーホール充填用ペーストが接触する部分が粗化されているのがよい。例えば、スルーホールの内壁面に形成されたスルーホール導体層の部分である。スルーホール充填用ペーストが導体層の表面の凹凸に食い込んで、密着性を向上させるアンカー効果を奏するからである。表面粗度Rzの制御については、特に制約は無く、マイクロエッチング法や黒化処理等の公知の方法で行えばよい。
以下に本発明の一態様を実施例を用いて説明する。尚、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
・実施例1;スルーホール充填用ペーストの評価
〔1〕スルーホール充填用ペーストの調製
表1の組成になるように、以下に示すエポキシ樹脂、イミダゾール系硬化剤、銅およびシリカフィラーを混合し、3本ロールミルで十分に分散させ、スルーホール充填用ペーストを調製する。
エポキシ樹脂は以下の3種類。
・商品名:YL980:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製)
・商品名:E828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製)
・商品名:E152:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)
硬化剤は以下の4種類。
・商品名:2P4MHZ:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチル−イミダゾール(四国化成製)
・商品名:2PHZ:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチル−イミダゾール(四国化成製)
・商品名:2P4MZ:2−フェニル−4−メチル−イミダゾール(四国化成製)
・商品名:2PZ−OK:2−フェニル−イミダゾール・イソシアヌル酸付加体(四国化成製)
無機フィラーは以下の4種類。ここで、「RY200S:微細シリカ(日本アエロジル製)」は超微粒子無機フィラーである。
・商品名:SFR−CU−5:球状銅フィラー,平均粒径5μm(日本アトマイズ加工製)
・商品名:SFR−CU−10:球状銅フィラー,平均粒径10μm(日本アトマイズ加工製)
・商品名:SOC2:球状シリカフィラー,平均粒径0.5μm(龍森製)
・商品名:RY200S:微細シリカ(日本アエロジル製)、BET法による比表面積76m/g、1次粒子径(平均値)16nm、シリカ純度99.9%以上(無機成分全体における主たる無機成分であるシリカの純度を示す。)、見かけ比重50g/l、水分含有量0.089質量%、カーボン含有量4.3質量%、4%分散液(水:メタノール=1:1溶液中)のpH値5.72
〔2〕コア基板の疎水化処理
基板(2)は、厚み800μmのBT(ビスマレイミド・トリアジン)樹脂製銅張基板を用いる。機械ドリル加工で孔開けした後、孔の内壁面(3)に厚み15μmの銅メッキにより導体層(4)を形成して、直径300μmのスルーホールを有するコア基板(1)を作製する(図2を参照。)。得られた基板の導体層の表面を、市販のマイクロエッチング液(商品名:MEC etch BOND、メック社製)を用いて粗面化処理して、粗化面(5)を形成する(図3を参照。)。その後、市販の防錆剤によって防錆処理(商標名:CZ処理、メック社製)を施して疎水化面(6)を形成して、疎水化処理を完了する(図4を参照。)。
疎水化処理を施した導体層表面の水に対する接触角(2θ)を、接触角測定器(商品名:CA−A、協和科学製)により液適法で測定したところ、接触角(2θ)は101度であった。ここにいう接触角(2θ)は、水滴(8)の導体表面(7)との接触点(80)から水滴の頂点(81)へ引いた仮想線(82)と、水平線(83)とが形成する角度(θ)(9)の2倍角(2θ)をいう(図5を参照。)。
〔3〕穴埋め試験
表1に示すそれぞれのスルーホール充填用ペーストをコア基板(1)のスルーホール内に充填する。真空吸引装置の付いた台座の上に不繊紙を設置し、上記基板を、台座の上に配置する。その上にスルーホールの位置に対応するように200μm、300μm、400μmの3種類の貫通孔を有するステンレス製の穴埋めマスクを設置する。次いで、表1の各穴埋め充填ペーストを載せ、ローラー式スキージを加圧しながら穴埋め充填を行う。その後、120℃×40分の条件で仮キュアした後、150℃×5時間の条件でキュアして熱硬化する。ここで、硬化後のスルーホール充填材(11)の表面に20μmを越える凹み(d)(10)が発生したものを不合格(図6を参照。)として、穴埋め性を評価する。スルーホール100個中の合格率が85%以上のものを合格と判断する。合否を表1に併記する。
〔4〕隙間観察
コア基板のスルーホール部を切断し、硬化後のスルーホール充填材の隙間の有無を倍率200倍の拡大顕微鏡を用いて観察する。スルーホール100個中の合格率が85%以上のものを合格と判断する。合否を表1に併記する。
Figure 0003944493
一般式(1)の構造を持つイミダゾール系硬化剤を用いた実施例である試料番号1〜試料番号3は、隙間が発生せず、良好な結果が得られる。特に、Rがメチル基である試料番号1および試料番号2では、凹みも殆ど発生せず(10μm以下)、良好な穴埋めができた。
一方、分子内に水酸基を持たないイミダゾール系硬化剤を用いた比較例である試料番号4及び試料番号5では、内部に隙間が発生した。尚、参考例である試料番号6は、比較例である試料番号4の銅フィラーをシリカフィラーに変更したものであるが、これには隙間は発生しなかった。このことから、この隙間は、銅フィラーを用いた場合に固有の現象であることがわかる。
・実施例2;FC−PGA型多層プリント配線板の例
〔1〕FC−PGA型多層プリント配線板を用いた半導体装置の作製
本発明の多層プリント配線板について、図7に示すいわゆる「FC−PGA」構造の実施例を用いて以下に説明する。図8に示すような、厚み0.4mmの絶縁基板(101)に厚み18μmの銅箔(200)を貼り付けたFR−5製両面銅張りコア基板を用意する。ここで用いるコア基板の特性は、TMAによるTg(ガラス転移点)が175℃、基板面方向のCTE(熱膨張係数)が16ppm/℃、基板面垂直方向のCTE(熱膨張係数)が50ppm/℃、1MHzにおける誘電率εが4.7、1MHzにおけるtanδが0.018である。
コア基板上にフォトレジストフィルムを貼り付けて露光現像を行い、直径600μmの開口部及び所定の配線形状に対応する開口部(図示せず。)を設ける。フォトレジストフィルムの開口部に露出した銅箔を亜硫酸ナトリウムと硫酸を含むエッチング液を用いてエッチング除去する。フォトレジストフィルムを剥離除去して、図9に示すような露出部(300)及び所定の配線形状に対応する露出部(図示せず。)が形成されたコア基板を得る。
市販のエッチング処理装置(メック社製 CZ処理装置)によってエッチング処理を施して銅箔の表面粗化をした後、エポキシ樹脂を主体とする厚み35μmの絶縁フィルムをコア基板の両面に貼り付ける。そして、170℃×1.5時間の条件にてキュアして絶縁層を形成する。このキュア後の絶縁層の特性は、TMAによるTg(ガラス転移点)が155℃、DMAによるTg(ガラス転移点)が204℃、CTE(熱膨張係数)が66ppm/℃、1MHzにおける誘電率εが3.7、1MHzにおけるtanδが0.033、300℃での重量減が−0.1%、吸水率が0.8%、吸湿率が1%、ヤング率が3GHz、引っ張り強度が63MPa、伸び率が4.6%である。
図10に示すように、炭酸ガスレーザを用いて絶縁層(400)に層間接続用のビアホール(500)を形成する。ビアホールの形態は、表層部の直径は120μm、底部の直径は60μmのすりばち状である。更に炭酸ガスレーザの出力を上げて、絶縁層とコア基板を貫通するようにスルーホール(600)を形成する。スルーホールの直径は、200μm、300μm、400μmの3種類(図示せず。)を形成する。これらのスルーホールの内壁面はレーザ加工に特有のうねり(図示せず。)を有する。そして、基板を塩化パラジウムを含む触媒活性化液に浸漬した後、全面に無電解銅メッキを施す(図示せず。)。
次いで、基板の全面に厚み18μmの銅パネルメッキ(700)をかける。ここで、ビアホールには、層間を電気的に接続するビアホール導体(800)が形成される。またスルーホールには、基板の表裏面を電気的に接続するスルーホール導体(900)が形成される。パネルメッキ後のスルーホールの直径は、160μm、260μm、360μmとなる。市販のエッチング処理装置(メック社製 CZ処理装置)によってエッチング処理を施して銅メッキの表面粗化する。その後、同社の防錆剤によって防錆処理(商標名:CZ処理)を施して疎水化面を形成して、疎水化処理を完了する。疎水化処理を施した導体層表面の水に対する接触角(2θ)を、接触角測定器(商品名:CA−A、協和科学製)により液適法で測定したところ、接触角(2θ)は101度であった。
真空吸引装置の付いた台座の上に不繊紙を設置し、上記基板を、台座の上に配置する(図示せず。)。その上にスルーホールの位置に対応するように200μm、300μm、400μmの3種類の貫通孔を有するステンレス製の穴埋めマスクを設置する(図示せず。)。次いで、表1の各スルーホール充填用ペーストを載せ、ローラー式スキージを加圧しながら穴埋め充填を行う(図示せず。)。
図11に示すように、スルーホール内に充填したスルーホール充填用ペースト(102)を、120℃×20分の条件下で仮キュアさせる。次いで、図12に示すように、ベルトサンダー(粗研磨)を用いてコア基板表面を研磨した後、バフ研磨(仕上げ研磨)して平坦化して、150℃×5時間の条件下でキュアさせて、穴埋め工程を完了する。尚、この穴埋め工程を完了した基板の一部は、穴埋め性の評価試験に用いる。
図13に示すように、金型(図示せず。)を用いて□8mmの貫通孔(110)を形成する。図14に示すように、基板の一面にマスキングテープ(120)を貼り付ける。そして、図15に示すように、貫通孔(110)に露出したマスキングテープ(120)の粘着面上に、積層チップコンデンサ(130)をチップマウンタを用いて8個配置する。この積層チップコンデンサは、絶縁体と導体とを交互に積層した積層体(150)からなり、電極(140)が積層体から70μm突き出している。
図16に示すように、積層チップコンデンサを配置した貫通孔の中に、エポキシ樹脂とシリカフィラーを主体とする埋め込み樹脂(160)をディスペンサ(図示せず。)を用いて充填する。埋め込み樹脂を、1次加熱工程を80℃×3時間、2次加熱工程を170℃×6時間の条件により脱泡および熱硬化する。
図17に示すように、硬化した埋め込み樹脂の表面を、ベルトサンダーを用いて粗研磨した後、ラップ研磨にて仕上げ研磨する。研磨面には、チップコンデンサーの電極の端面が露出している。次いで、仮キュアした穴埋め樹脂を150℃×5時間の条件下で硬化させる。
その後、膨潤液とKMnO溶液を用いて、埋め込み樹脂の研磨面を粗化する。粗化面をPd触媒活性化した後、無電解メッキ、電解メッキの順番で銅メッキを施す。図18に示すように、埋め込み樹脂の上に形成されたメッキ層は、チップコンデンサーの電極の端面と電気的に接続されている。メッキ面にレジストを形成し、所定の配線パターンをパターニングする。不要な銅をNa/濃硫酸を用いてエッチング除去する。レジストを剥離して、図19に示すように、配線の形成を完了する。市販のエッチング処理装置(メック社製 CZ処理装置)によってエッチング処理を施して配線の銅メッキの表面粗化する。
その上に絶縁層となるフィルム(190)をラミネートして熱硬化した後、炭酸ガスレーザーを照射して層間接続用のビアホールを形成する。絶縁層の表面を上記と同じ酸化剤を用いて粗化し、同様の手法で所定の配線(200)を形成する。配線基板の最表面にソルダーレジスト層となるドライフィルムをラミネートして、半導体素子の実装パターンを露光、現像して形成して、ソルダーレジスト層(210)の形成を完了する。実装用のピン付けを行う面についても同様の方法により、所定の配線(230)とソルダーレジスト層(240)を形成して、図20に示すように、ピン付け前の多層プリント配線板を得る。
半導体素子を実装する端子電極(200)には、Niメッキ、Auメッキの順番でメッキを施す(図示せず。)。その上に低融点ハンダからなるハンダペーストを印刷した後、ハンダリフロー炉を通して半導体素子を実装するためのハンダバンプ(220)を形成する。
一方、半導体素子実装面の反対側には、高融点ハンダからなるハンダペーストを印刷した後、ハンダリフロー炉を通してピン付けするためのハンダバンプ(260)を形成する。治具(図示せず。)にピン(250)をセットした上に基板を配置した状態で、ハンダリフロー炉を通してピン付けを行い(図示せず。)、図21に示すように、半導体素子を実装する前のFC−PGA型の多層プリント配線板を得る。投影機を用いてピンの先端の所定位置からの位置ずれ量を測定したところ、0.1mm以下と良好な結果が得られた。
半導体素子実装面上に半導体素子(270)を実装可能な位置に配置して、低融点ハンダのみが溶解する温度条件にてハンダリフロー炉を通して、半導体素子を実装する。実装部にアンダーフィル材をディスペンサーで充填した後、熱硬化して、図7示すような半導体素子を実装したFC−PGA型の多層プリント配線板を用いた半導体装置を得る。
〔2〕スルーホール充填性の評価
上記の穴埋め工程を完了した基板を用いて、穴埋め性の評価試験を行う。スルーホール充填材のスルーホール端面から倍率200倍の拡大鏡を用いて、クラック等の不具合の有無を目視検査する。
一方、比較例は、穴埋め工程がメタルマスクを用いた公知のスクリーン印刷法であり、表2に示す条件で行う。メタルマスクの貫通孔の直径は実施例の支持板と同様にする。充填終了後、スルーホール端面から倍率200倍の拡大鏡を用いて、スルーホール充填材の不具合の有無を目視検査する。結果を表2に示す。また、硬化後のスルーホール充填材のスルーホール端面から倍率200倍の拡大鏡を用いて、クラック等の不具合の有無を目視検査する。
Figure 0003944493
表2の結果より、本発明によれば、コア基板の両面にビルドアップ層を形成した基板を貫通するように形成され、かつ、その内壁面にうねりを有するスルーホールであっても、充填不良や硬化時の隙間等の不具合を生じさせることなく充填、硬化が可能であることがわかる。1枚の基板中に異なる直径のスルーホールを有する場合であっても、充填性を均一にできる。また、スルーホール開口端面近傍に凹凸や隙間を発生させないため、続いて形成されるビルドアップ層に凹凸を生じさせることもない。そのため、FC−PGA型の配線基板のようにスルーホール直下のビルドアップ層にピン付けした多層プリント配線板に好適である。
・実施例3;超微粒子無機粒子の物性によるスルーホール充填ペーストへの影響の評価
〔1〕スルーホール充填用ペーストの調整
諸特性値が表3に記載するように異なる以外は、組成は実施例1の試料番号1の組成を用いてスルーホール充填用ペーストを調整する。調整方法も実施例1に準じて行う。一部の試料は、アエロジルではなく、アルミナ、チタニアを用いる。
〔2〕評価
実施例1と同様の方法を用いて穴埋め試験を行う。結果は、穴埋め性の極めて良好なものを◎(ほぼ100%合格)、穴埋め性のかなり良好なものを○(95%以上100%未満合格)、穴埋め性の良好なものを△(85%以上95%未満合格)として表3に示す。また、粘度の経時変化は、スルーホール充填用ペーストを作製してから2ヶ月放置したものを用いる。放置後の状態を確認して、増粘の殆ど無いものを◎、若干の増粘に留まるものを○、増粘しているものを△として表3に併せて示す。
Figure 0003944493
結果より、超微粒子無機フィラーの特性を特定の範囲に調整することで、穴埋め性のみならず、粘度の経時変化を効果的に抑制できることがわかる。超微粒子無機フィラーの特性値の臨界的意義について、以下に補足説明をする。
試料番号13を見ると、比表面積がこれ以上大きくなると高粘度になりすぎて、穴埋め性によくないことがわかる。また、1次粒子径の下限は、せいぜい5nmが許容範囲であることがわかる。試料番号28を見ると、比表面積がこれ以上小さくなると粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。試料番号26を見ると、1次粒子径がこれ以上になると、粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。
試料番号14を見ると、pH値がこれ以上小さくなると粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。この理由の詳細は不明であるが、酸性よりになると、塩基性の硬化剤と好ましくない副反応が起きているものと推察される。また、試料番号19を見ると、pH値がこれ以上大きくなると、若干粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。この理由の詳細は不明であるが、必要以上に塩基性に偏ると、何らかの好ましくない副反応が起きるものと推察される。
試料番号21を見ると、これ以上カーボン含有量が少なくなると、穴埋め性が低下することがわかる。カーボン成分が分子間力等による凝集を抑えて、粘度変動を抑えるものと推察される。カーボン含有量が5質量%の試料番号20では、試料番号21のような特性低下は目立って無いものの、これ以上含めるとスルーホール上へのメッキに支障がでるため好ましくない。
試料番号22を見ると、これ以上水分含有量が多くなると、粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。水分が樹脂の硬化性に影響を及ぼしているものと推察される。また、試料番号23を見ると、これ以上水分含有量が少なくなっても、やはり若干粘度の経時変化が大きくなってよくないことがわかる。おそらく、作業環境の湿度を吸湿しやすくなっていることが影響しているものと思われる。
硬化後のスルーホール充填材の内部に発生した隙間を示す説明図。 コア基板の疎水化処理の工程を示す説明図。 コア基板の疎水化処理の工程を示す説明図。 コア基板の疎水化処理の工程を示す説明図。 導体表面の水に対する接触角θの測定方法を示す説明図。 硬化後のスルーホール充填材の表面に発生する凹みdを示す説明図。 本発明の実施例で用いたFC−PGA型の多層プリント配線板を用いた半導体装置の説明図。 本発明の実施例で用いた厚み400μmの銅張りコア基板の概略図。 厚み400μmの銅張りコア基板のパターニング後の状態を示す説明図。 コア基板の両面に絶縁層を形成した基板にビアホールとスルーホールを形成した状態を示す説明図。 コア基板の両面に絶縁層を形成した基板にパネルメッキをかけた後の状態を示す説明図。 スルーホールを穴埋め充填した基板の説明図。 貫通孔を打ち抜き形成した基板を示す説明図。 貫通孔を打ち抜き形成した基板の一面にマスキングテープを貼り付けた状態を示す説明図。 貫通孔内に露出したマスキングテープ上に積層チップコンデンサを配置した状態を示す説明図。 貫通孔内に埋め込み樹脂を充填した状態を示す説明図。 基板面を研磨して平坦化した状態を示す説明図。 基板の研磨面にパネルメッキをかけた状態を示す説明図。 配線をハターニングした状態を示す説明図。 基板上にビルドアップ層及びソルダーレジスト層を形成した状態を示す説明図。 本発明の実施例で用いたFC−PGA型の多層プリント配線板の説明図。
符号の説明
1;コア基板、2;基板、3;孔の内壁面、4;導体層、5;粗化面、6;疎水化面、7;導体層表面、8;水滴、80;水滴の導体層表面との接触点、81;水滴の頂点、82;仮想線、83;水平線、9;角度(θ)、10;硬化後のスルーホール充填材、11;凹み(d)、12;隙間。

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、金属フィラーと、無機フィラーとを含有するスルーホール充填用ペースト、導体層を有する基板のスルーホール内に充填され、硬化されたスルーホール充填材を有するプリント配線板であって
    該金属フィラーは少なくとも卑金属を含む粉末であり、該硬化剤は以下の一般式(1)で表わされるイミダゾール系化合物であり、該無機フィラーは、BET法による比表面積が60〜120m /g、1次粒子径が5〜20nmの超微粒子無機フィラーであることを特徴とするプリント配線板。
    一般式(1)
    Figure 0003944493
    (式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基または、炭素数1〜10のアルキルオキシ基を示す。)
  2. 前記スルーホールは、レーザにより穿設されたスルーホールである請求項1記載のプリント配線板。
  3. 前記導体層の表面の少なくとも一部が、水に対する接触角が90度を超えるように疎水化処理されている請求項1又は2記載のプリント配線板。
  4. 前記導体層の表面の少なくとも一部が、粗度Rzが0.3〜20μmになるように粗化処理されている請求項1乃至のいずれかに記載のプリント配線板。
  5. 前記基板として、コア基板の少なくとも一面に、絶縁層及び導体層を交互に積層したビルドアップ層を形成するとともに、前記スルーホールを上記コア基板及び上記ビルドアップ層を貫通するように形成したものを用いる請求項1乃至のいずれかに記載のプリント配線板。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のプリント配線板上に、絶縁層及び導体層を交互に積層したビルドアップ層を形成したことを特徴とする多層プリント配線板。
  7. 前記多層プリント配線板がPGA型配線基板である請求項記載の多層プリント配線板。
  8. 前記多層プリント配線板が、スルーホール直下のビルドアップ層にピン付けした多層プリント配線板である請求項6記載の多層プリント配線板。
  9. 上記スルーホール充填材上に上記ビルドアップ層の上記導体層が積層されており、
    上記ビルドアップ層は、上記絶縁層間を電気的に接続するビアホール導体を有し、
    該ビアホール導体の少なくとも一部が、上記スルーホールの真上に位置すると共に、上記スルーホール充填材上に積層された上記ビルドアップ層の上記導体層と接続されている構造を備える請求項6乃至8のいずれかに記載の多層プリント配線板。
  10. レーザにより導体層を有する基板上を貫通するスルーホールを形成し、
    次いで、上記スルーホールに上記基板の表裏面を電気的に接続するスルーホール導体を形成し、
    その後、エポキシ樹脂と、以下の一般式(1)で表わされるイミダゾール系化合物である硬化剤と、少なくとも卑金属を含む粉末である金属フィラーと、BET法による比表面積が60〜120m /g、1次粒子径が5〜20nmの超微粒子無機フィラーとを含有するスルーホール充填用ペーストを、上記スルーホール内に充填、硬化することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
    一般式(1)
    Figure 0003944493
    (式中、R は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基または、炭素数1〜10のアルキルオキシ基を示す。)
  11. 前記導体層の表面の少なくとも一部を、水に対する接触角が90度を超えるように疎水化処理する請求項10記載のプリント配線板の製造方法。
  12. 上記基板が、コア基板の少なくとも一面に、絶縁層及び導体層を交互に積層したビルドアップ層を有する基板であり、上記スルーホールを上記コア基板及び上記ビルドアップ層を貫通するように形成する請求項10又は11記載のプリント配線板の製造方法。
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