JP2006224087A - 硝酸性窒素を含む排水の処理方法 - Google Patents

硝酸性窒素を含む排水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高濃度の硝酸性窒素、高濃度のカルシウムイオンを含む排水においても、長期に高効率で安定的に脱硝酸性窒素処理を可能とし、脱窒材の補充等のメンテナンス頻度を軽減する。
【解決手段】 硫黄酸化細菌存在下で粉体の集合体として造粒された硫黄系脱窒材とpHが5〜9に中和処理された亜硝酸又は硝酸性窒素を含む排水とを接触させて、排水中の硝酸性窒素類を除去するに当たり、窒素除去処理前又は除去処理中に被処理水中に含有する硝酸性窒素類の合計モル数に対して炭酸塩又は炭酸水素塩を、炭酸水素イオン又は炭酸イオンとして0.1〜5.0倍モル量となるように添加する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硫黄含有脱窒材を用いて硫黄酸化細菌によって排水中の硝酸性窒素類を除去する方法に関する。
河川、湖沼、閉鎖水域、閉鎖海域などの富栄養化の原因となる生活排水、産業排水、畜産排水、農業排水、水産養殖排水中の硝酸性窒素類を除去する技術として、独立栄養系硫黄酸化脱窒細菌(以下、硫黄酸化細菌という)を用いた硝酸性窒素除去システムは、従属栄養系脱窒細菌を用いたシステムとは異なり、メタノール添加等の高い維持コストが不要なため、各方面で注目されている。本発明でいう硝酸性窒素類は、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素を意味するが、誤解を生じない範囲で硝酸性窒素類を、硝酸性窒素で代表することがある。
特公昭62-56798号公報 特公昭63-45274号公報 特公昭60-3876 号公報 特公平1-31958号公報、 特公平4-9199号公報 特開平4-74598号公報 特開平4-151000号公報 特開平4-197498号公報 特開平6-182393号公報 特開2001-47086公報 特開2001-104993号公報 特開2004-167471公報、 特開2004-174328号公報
硫黄酸化細菌を用いた硝酸性窒素類除去システム(以下、脱窒システムという)については、例えば特許文献1〜9などで種々提案されている。また、特許文献10〜11には、硫黄と石灰石の溶融混合物に硫黄酸化細菌を含有させた脱窒システムが提案されており、メンテナンスの容易さと脱窒処理にかかるコストの面で優れた効果を示している。更に、本発明者らは、特許文献12〜13等で硫黄粉末と炭酸塩粉末を有機バインダーで一体化した脱窒材を使用することで、より効果的に硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を処理できる技術を報告した。
硫黄と炭酸塩を一体化した脱窒材を使用する技術においては、硫黄酸化細菌が活動して硝酸性窒素が窒素ガスに転換される際、硫黄は酸化されて硫酸イオンとなり、それは共存している金属炭酸塩と化合して硫酸塩となり、被処理液は自動的に中和されることから、脱窒処理中でのpH調整は不要ということになる。しかし、工業排水を中心として強酸性の硝酸の中和は、一般的に水酸化カルシウムが使用されることが多く、そのような場合には、多量のカルシウムイオンが含まれる硝酸性窒素含有排水が脱窒処理されることになる。しかし、本微生物処理で脱窒処理を行う場合には、脱窒とともに硫酸塩は水難溶の石膏(硫酸カルシウム水和物)となり、それはしばしば脱窒材の表面や材料間に析出して脱窒能力の低下が引き起こすという問題がある。これは、カルシウムイオンを含む排水だけに見られる現象に限るものではなく、脱窒処理材中の炭酸塩中に含まれるカルシウムでも同様な現象が起こっており、これらの対策が望まれている。
更に、工業系の排水を中心として硝酸性窒素が200mg/lを超える高濃度の硝酸性窒素を処理する場合には、脱窒効率も高くなるが、そのため硫酸イオンの発生速度も高くなる。しかし、その硫酸イオンは脱窒材中に含有されているアルカリ土類金属塩だけでは短時間では中和しきれずにpHが6を下まわり、その結果、微生物の活性が低下することがある。そのような場合には、微生物の活性を維持するために、適宜pHコントローラー等の設備を使用して水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することが必要となる。
また、この方法を使用する場合の硝酸性窒素の処理可能量は、硫黄の酸化に伴って脱窒処理が進行するというメカニズムから、脱窒材中に含まれる硫黄含有量により左右されることになる。したがって、単位脱窒材あたりの窒素処理可能量を多くするためには、極力脱窒材中に含まれる硫黄量を多くすることが好ましい。しかし、脱窒材中の硫黄含有モル数を中和に必要な炭酸塩のモル数より過剰にすると、必然的に炭酸塩が早く消耗して、硫黄のみが残存することになる。このようになると、発生する硫酸イオンは中和されないため、やはりpHは低下して微生物の活動が妨げられ脱窒反応が極端に低下又は停止してしまう。そのため、頻繁に能力の低下した材料の除去や新たな処理材の補充等のメンテナンス作業が必要になる可能性がある。
したがって、本発明の目的は、硫黄酸化細菌の存在下において硫黄含有脱窒材を使用して脱窒処理するにあたり、高濃度の硝酸性窒素類を含む排水においても安定的に処理が可能で、高濃度のカルシウムイオンを含む排水においても石膏の析出を抑えることで長期に高効率で安定的に硝酸性窒素処理が可能な脱窒処理方法を提供することにある。また、脱窒材中の硫黄含有量を多くすることにより処理材の補充等のメンテナンス頻度を極めて軽減することを可能にせしめる硝酸性窒素処理方法を提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硝酸性窒素類を含む排水と硫黄酸化細菌存在下で硫黄含有脱窒材とを接触させて、排水中の硝酸性窒素を除去する工程において、窒素除去処理前又は処理中に被処理水中に炭酸水素塩又は炭酸塩を含有させることで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、硫黄酸化細菌存在下、硫黄含有脱窒材と、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素から選ばれる少なくとも1種の硝酸性窒素類を含むpH5〜9の排水とを接触させて排水中の硝酸性窒素類を除去するに当たり、窒素除去処理前又は除去処理中に被処理排水中に含有する硝酸性窒素類の合計モル数に対して、炭酸塩及び炭酸水素塩から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩類を炭酸イオン又は重炭酸イオンに換算して合計のモル数が0.1〜5.0倍モル量となるように添加することを特徴とする排水の処理方法である。
請求項2以下に係る本発明は、次のとおりである。
a) 硫黄含有脱窒材が、粉体の集合体として造粒された粒状の脱窒材である上記の排水の処理方法。
b) 炭酸水素塩がアルカリ金属炭酸水素塩である上記の排水の処理方法。
c) 炭酸塩がアルカリ土類金属炭酸塩である上記の排水の処理方法。
d) 窒素除去処理前の被処理排水中に含まれるカルシウムイオン濃度を100〜5000mg/lとする上記の排水の処理方法。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明は、硫黄酸化細菌存在下において、pHが5〜9に中和処理された硝酸性窒素類を含む排水を硫黄含有脱窒材(脱窒材ともいう)と接触させて脱窒処理を行なう。
脱窒材は、粉体の集合体として造粒されたものであることがよい。硫黄粉末単体や硫黄を溶融して製造した硫黄系脱窒材を用いたものでも反応は進行するが、硫黄粉末単体だけでは、粉体同士が凝集しやすく脱ガスを行なうためには、常時攪拌等の操作が必要となる。また、排水が脱窒処理されたとしても、硫黄粉体と排水を分離する工程が必要となるからである。また、硫黄を加熱溶融して製造された硫黄系脱窒材では、微生物が反応する面積が小さいことから脱窒能力を高められないからである。
それらと比較して、粉体の硫黄の集合体として造粒された脱窒材は、粉体の粒子形状が保たれることから、微生物の活動面積を飛躍的に増加させることができ、したがって脱窒処理能力を高めることが可能となる。しかし、その粉体の集合体は水中でも容易に造粒物が壊れないような強度を有している必要がある。
ここで、硫黄の集合体としては、硫黄又は硫黄と少量のバインダー成分からなるものであっても、排水中に炭酸塩類を添加することで硫黄酸化細菌を脱窒材に付着させることはできるが、硫黄系脱窒材に硫黄酸化細菌が付着しやすいように、硫黄酸化細菌が吐き出す硫酸イオンを中和できる中和機能を有した物質や微生物が棲息しやすい多孔質物質や繊維状の物質等の硫黄粉末以外の材料を共存させることがよい。
そのような硫黄粉末以外の材料としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を含有する成分が好都合である。そして、それらを水中で分散させたときの水のpHは微生物が棲息できる程度のアルカリ度(pH5〜11)を示すものがよい。そのような物質としては、アルカリ土類金属炭酸塩又はアルカリ土類金属珪酸塩を含有する物質が好ましく挙げられる。
ここで、アルカリ(土類)金属炭酸塩(以下、炭酸塩ともいう)含有物質を共存させる場合には、硫黄酸化細菌の炭素源となる炭酸を有した化合物であり、重炭酸塩を含む。具体的には、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の炭酸塩あるいは炭酸水素塩又はそれらの混合物などが挙げられる。しかし、本発明では、水処理に用いるために水不溶性である必要があり、アルカリ土類金属の炭酸塩が適する。アルカリ土類金属炭酸塩としては、カルシウムを多量に含む石灰石(炭酸カルシウム)やマグネシウムとカルシウムを含有する苦石灰(ドロマイト)又はマグネシウムを多量に含む菱苦土石(マグネサイト)の粉末が天然品として存在することから有用である。これらは、適度に混ざったものでもよく、また、合成品であっても差し支えない。
アルカリ土類金属珪酸塩含有物質を共存させる場合には、アルカリ土類金属炭酸塩含有物質と同じようにそれ自体が100%アルカリ土類金属珪酸塩である必要はなく、炭酸塩や、酸化物又は水酸化物を含有してもよい。好ましいアルカリ土類金属珪酸塩としては、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、フライアッシュ、スラグ、ロックウール、ベントナイト、ゼオライト、タルク、雲母、シラス、珪藻土などが挙げられる。
他の硫黄粉末以外の材料としては、微生物の栄養源である炭水化物やリン化合物が含まれる材料がある。そのような材料としては、黄土や堆肥などがあげられる。特に、堆肥でもリンを多量に含むバッドグアノは微生物の活性には有効である。これらの硫黄粉末とともに共存させる硫黄粉末以外の材料の粒度は、微生物の大きさが約1μm程度であることから1〜100μmがよい。
脱窒材に使用する硫黄成分は、例えば、石油脱硫や石炭脱硫プラントの回収硫黄や天然硫黄等の単体硫黄が挙げられる。その他、単体硫黄を含有する混合物であってもよい。硫黄粒子の大きさは、微生物の大きさが約1μm程度であることから1〜100μmがよい。また、粉体硫黄の集合体としての大きさは、例えば1〜100mm、好ましくは2〜50mmである。
硫黄含有脱窒材の製造方法としては、硫黄と硫黄粉末以外の材料(好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩又は珪酸塩含有物質)の粉体を有機バインダーや無機バインダーを用いて固める方法がある。また、有機、無機等のバインダーを用いることなく粉体を造粒して、そのなかに含まれる硫黄の一部を溶かして硫黄粉体同士を接着させることにより強固な硫黄−アルカリ土類金属炭酸塩又は珪酸塩等の粉体の集合体を製造することもできる。
脱窒処理可能量は、脱窒材中の硫黄含有量により左右されることから、硫黄はなるべく多く含まれているほうが良いが、脱窒材中の粉体硫黄の集合体の組成としては、硫黄の含有量(wt%)が30〜95%、好ましくは50〜95%で、アルカリ土類金属炭酸塩又は珪酸塩含有物質等の硫黄以外の材料の含有量が5〜70%、好ましくは5〜50%であることがよい。
硫黄の含有量が多いと脱窒材の寿命は長いが、アルカリ土類金属炭酸塩等の硫酸を中和する能力を有する硫黄以外の材料が消滅した場合には、pHが低下して微生物活性が低下する可能性がある。その場合には、能力が低下するため頻繁に充填材の除去又は新しい脱窒材料の補充というメンテナンスが発生してくる。しかし、硫黄の含有量を上記範囲の中で高くして、処理前又は処理中にアルカリ金属の炭酸塩類を添加することによりそのような頻繁のメンテナンスは避けられることになる。つまり、一旦溶出したアルカリ土類金属イオンがこの添加により水難溶性のアルカリ土類金属炭酸塩に戻り、流出が避けられると同時に中和剤として機能するため、硫黄が残存する限りアルカリ土類金属の炭酸塩は残存することになり長期的に脱窒が継続するとともにメンテナンス頻度が軽減できることになるからである。しかし、硫黄含有量が95%を越えると、長期的に微生物が本資材(脱窒材)を担体とするためには十分な環境とはなりにくい。つまり、微生物が本資材を担体とするためには、微生物の栄養源となる硫黄粉末の周辺に発生する硫酸イオンを中和するべきアルカリ土類金属炭酸塩又は珪酸塩等が存在していた方が好都合となるからであり、これらが5%未満の場合には、微生物周辺のpHが低下することから微生物の活性が向上しづらく、結果的には高い脱窒能力を得にくいものとなる。
本発明で使用する脱窒材には、上記成分の他、必要に応じて、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃剤や酸化鉄等の硫化水素発生防止剤などを添加してもよいし、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維等の繊維状担体と混合して使用してもよい。
本発明では、このような硫黄含有系脱窒材とpHが5〜9に中和処理された硝酸性窒素類を含む排水(被処理水ともいう)を接触させて、排水中の硝酸性窒素類を除去する。硝酸性窒素類を除去する工程(窒素除去工程ともいう)においては、排水(処理される排水を被処理水という)中の硝酸イオン、亜硝酸イオン又は溶解しているこれらの塩が分解除去され、窒素ガスとなる。この際、窒素除去処理前又は除去処理中に被処理水中に含有する硝酸性窒素類の合計モル数(NO3、NO2の合計モル数)に対して、炭酸塩類(炭酸塩又は炭酸水素塩)をHCO3又はCO3に換算して0.1〜5.0倍モル量含有させる。したがって、M(HCO32で表されるような化合物の1モルは、2モルとして計算される。炭酸塩類の好ましい添加時期は、窒素除去処理前又は除去処理開始の初期である。バッチ処理の場合には、pHの変化や石膏析出は、反応中に起こるので、基本的には処理前又は処理の初期となる。連続的に被処理水を脱窒材の充填層に流して接触させて窒素除去処理を行う場合も同様であるが、連続的に炭酸塩又は炭酸水素塩を添加するための設備が必要となるので、数時間〜数日毎、好ましくは数時間〜1日毎に脱窒材充填層に流入する前又は充填層内に存在する被処理水に定量を添加することも有利である。
炭酸塩類の添加量を制御することにより、硝酸性窒素類濃度が200mg/lを越える高濃度の硝酸を含む場合にもpHコントローラー等を利用して、pHが6以下に低下しないように、処理中に中和能力の高い強アルカリ性の水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等を添加するような処理を省略させることができる。また、被処理水中に100〜5000mg/lのカルシウムイオンを含む排水においても脱窒処理材表面での石膏析出を抑えることができ、安定的に硝酸性窒素を除去することが可能である。更に、脱窒材中の硫黄含有量を高めることができ、脱窒材料単位量当たりの窒素処理量を高めることが可能となる。
次に、添加する炭酸塩としては、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩があげられる。ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属炭酸塩でも可能ではあるが、それは水溶性でpHが12を超える強アルカリでありpHの調整が難しいばかりか、微生物の活性を低下させる可能性がある。それに対して、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩は、水難溶性でpHは6〜9であることから微生物に対しては高環境となりうるばかりか、水中で加水分解して炭酸水素イオンを発生することから微生物の活性に寄与することができる。また、硫黄酸化細菌が脱窒を進行させると同時に硫黄系脱窒材から発生する硫酸イオンは、カルシウム又はマグネシウム化合物を形成する。この場合、炭酸マグネシウムを使用する場合には、水溶解性の高い硫酸マグネシウムとなり何の問題も生じない。しかし、炭酸カルシウムを使用する場合には、水難溶性の硫酸カルシウム(石膏)となるが、それは硫黄系脱窒材の表面ではなく、より微粒子の炭酸カルシウムを核として、その表面に形成されやすくなるために、脱窒能力が低下することはなく長期に安定した脱窒能力を発揮させることが可能となる。
添加する炭酸水素塩としては、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩が挙げられる。添加させる方法としては、それらの塩の粉末や水溶液を直接添加してもよく、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩に炭酸ガスを吹き込んでアルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩としてもよい。カルシウムイオンを多量に含む排水を処理する場合には、硫酸カルシウムの析出を抑えるために炭酸水素塩として、炭酸水素マグネシウムかアルカリ金属炭酸水素塩がよいが、一般に販売されている炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩を用いることが簡便でよい。
ここで、炭酸塩類は、窒素除去処理前の被処理水に、又は処理槽内に投入された直後又は窒素除去処理中に粉末又は水溶液として一度に又は徐々に添加すればよい。
被処理水に炭酸塩類を添加することによって脱窒能力が向上する理由は、炭酸塩類のpH緩衝作用により、脱窒進行中に発生する硫酸イオンによるpHの低下が緩和され、処理液のpHは終始6〜9が保たれるようになるからである。更に、含有させた炭酸水素イオン又は炭酸イオンは、独立栄養の硫黄酸化細菌の炭素源となるため微生物活性がより高まるためである。したがって、この場合には、pHコントローラーや水酸化ナトリウムの適宜添加等によるpH調整は不要とすることができる。
被処理水中のカルシウムイオンが100mg/l未満の場合には、反応の進行とともに硫酸が発生してきても石膏の溶解度をかなり下回るために石膏の析出は避けられる。一般に中和処理で水酸化カルシウムが使用されても、排水中のカルシウムイオン濃度は5000mg/lを超えることはほとんどない。しかし、被処理水中に100mg/l以上のカルシウムイオンが含まれる場合には、反応の進行とともに脱窒材料の表面に石膏が析出して活性点が封鎖されることで脱窒能力が少しずつ低下してくるが、ここで炭酸塩類を添加することにより石膏の析出は抑えられる。その理由としては、石膏(硫酸カルシウム)が析出する前に、炭酸イオン類とカルシウムイオンが反応して、石膏の溶解度よりさらに低い炭酸カルシウムとなるからである。
ここで析出する炭酸カルシウムは、微細であり脱窒進行により発生する硫酸イオンを中和する中和剤及び微生物の炭素源としても効率的に機能することから非常に都合が良い。更に、石膏が析出する場合にも、脱窒材の表面ではなく、生成した微細な炭酸カルシウムを核として、その表面に形成されやすくなるために、脱窒能力が低下することはなく長期に安定した脱窒能力を発揮させることが可能となる。これにより、脱窒材中に予め含ませるアルカリ土類金属炭酸塩又はアルカリ土類金属珪酸塩等含有物質の中和材量を少なく、つまり硫黄含有量を高めることが可能となる。
ここで添加する炭酸塩類は、硝酸性窒素類の合計モル数に対して炭酸イオン類として0.1〜5.0倍モル量含有させることがよいが、0.1倍モル量未満では、予め添加しておく効果が低減し、pHが6より低くなり微生物の活性が失われることがある。また、脱窒処理材表面への石膏の析出を十分には抑えることはできない。逆に、5.0倍モル量を超える場合には、それを超える効果は期待できないばかりか、脱窒能力が低下してくる場合がある。また、処理コストを上げてしまうことになる。
本発明の脱窒材を使用して硝酸性窒素を除去する方法としては、脱窒材を被処理水に接触、例えば浸漬することが必要である。また、処理材の表面に付着した窒素ガスを除去するためには、処理液又は脱窒材が連続又は間欠的に流動または循環されることがよい。
高濃度の硝酸性窒素処理においても安定的に処理を可能とし、高濃度のカルシウムイオンを含む排水においても石膏の析出を抑えることで長期に高効率で安定的に硝酸性窒素処理が可能とし、処理材の補充等のメンテナンス頻度を極めて軽減することを可能とする。
硫黄含有脱窒材の作成には、硫黄は200メッシュの粉末(軽井沢精錬社製)を、炭酸塩は200メッシュの炭酸マグネシウム粉末(ソブエクレー社製)を、珪酸塩はタルク(セイコー産業製:製品名タルクパウダー、珪酸マグネシウム65%含有)用いた。また、硫化水素防止及び微生物の活性化剤として珪酸カルシムと珪酸マグネシムを15%含有した比表面積30m2/gの酸化鉄主体の黄土粉体(リモナイト工業社製)を用いた。同様に微生物の活性化剤としてリン(P25として約20%)及び珪酸カルシウムを12%含有したバッドグアノ粉末(ハセック社製)を用いた。バインダーとしては、中央理化工業(株)製水分散型アクリル樹脂(製品名:ES−45)を使用した。
表1に示す配合で、まずダルトン社製の万能混合機で粉末及びエマルジョン(バインダー)及び水を混合混練後、ダルトン社製のディスクペレッター(半乾式押し出し機)により5mmφ、長さ5〜10mmに造粒して造粒品を得た。この造粒品を100℃の熱風高温炉で12時間乾燥処理して脱窒材を作成した。
Figure 2006224087
脱窒材A〜Cへの硫黄酸化細菌の担持は、ポリビンに処理材1kgと硝酸カリウム溶液(硝酸性窒素濃度で200mg−N/kg)500g及び硫黄酸化細菌培養汚泥を50g添加し、硝酸性窒素濃度が10mg−N/kg以下になった時点で硝酸カリウムを硝酸性窒素濃度で200mg−N/kgになるように添加して、3週間担持培養を繰り返しておこなった。得られた菌付脱窒材A〜Cの評価に際しては、かるく水洗浄した。
実施例1〜2、比較例1〜2
菌付脱窒材A100gと模擬排水(硝酸性窒素濃度1000mg/kg、カルシウムイオン2000mg/kgに調整した硝酸カリウム/塩化カルシウム溶液)100gを250mlのポリビンに入れた直後に、表2に示した量の炭酸水素ナトリウム粉末を添加して脱窒処理を行なった。6,12,18及び24時間後にポリビンを数回反転して処理水を均一化し、処理水のpHとイオンクロマトグラフィーで硝酸性窒素濃度(mg/kg)を測定した。24時間で脱窒処理を終了し、菌付脱窒材を回収した。回収した菌付脱窒材を使用して第2回目の脱窒処理を第1回目と同様に行なった。毎回菌付脱窒材を回収して、それを繰り返し使用して30日間(30回)同様の条件で脱窒処理を行なった。第1回目及び第30回目の脱窒処理における6時間毎のpHと硝酸性窒素濃度の変化を測定した結果を表2に示す。
Figure 2006224087
実施例3〜5、比較例3
菌付脱窒材B100gと模擬排水(硝酸性窒素濃度500mg/kg、カルシウムイオン50mg/kgに調整した硝酸カリウム/塩化カルシウム溶液)100gを250mlのポリビンに入れた直後に、表2に示した量の炭酸水素ナトリウム粉末または炭酸カルシウム粉末を添加して脱窒処理を行なった。6,12,18及び24時間後にポリビンを数回反転して処理水を均一化し、処理水のpHとイオンクロマトグラフィーで硝酸性窒素濃度(mg/kg)を測定した。24時間で脱窒処理を終了し、菌付脱窒材を回収した。回収した菌付脱窒材を使用して第2回目の脱窒処理を第1回目と同様に行なった。毎回菌付脱窒材を回収して、それを繰り返し使用して30日間(30回)同様の条件で脱窒処理を行なった。第1回目及び第30回目の脱窒処理における6時間毎のpHと硝酸性窒素濃度の変化を測定した結果を表3に示す。
Figure 2006224087
実施例6、比較例4〜6
菌付脱窒材C200gを600mlのアップフローの循環ができるに縦長の試験装置に入れて、模擬排水(硝酸性窒素濃度で1000mg/kg、カルシウムイオン1000mg/kgに調整した硝酸カリウム/塩化カルシウム溶液)を定量ポンプで500ml/日の速度で注入してかけ流しの脱窒処理試験をした。30分間隔で、定量ポンプを停止して間欠的に1000ml/minで循環を3分行ない、処理槽内の被処理水の濃度を均一にするとともに槽内に溜まった窒素ガスを除去した。実施例6については、1回/日のみ定時刻にNaHCO3粉末を3g添加し、pHコントロールはしなかった。その場合の被処理水のNaHCO3/NO3-Nのモル比は2.0であった。
比較例6は、アルカリは添加せず、pHコントロールもしなかった。比較例4と5は、循環中にpH計とpHコントローラーを作動させて表4に示すアルカリ水溶液を添加して、pHをコントロールした。添加したアルカリ水溶液は1〜10%のものを使用した。
1,10,30及び60日後に処理されて排出されている硝酸性窒素濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。60日後に材料を取り出し、脱窒材料の固まり具合を調査した。脱窒材料同士が固着している(固まっている)程度を観察して、石膏の析出度合いを判定した。脱窒性能評価結果を表4に示す。
Figure 2006224087

Claims (5)

  1. 硫黄酸化細菌の存在下、硫黄含有脱窒材と、pH5〜9の亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素から選ばれる少なくとも1種の硝酸性窒素類を含む排水とを接触させて排水中の硝酸性窒素類を除去するに当たり、窒素除去処理前又は除去処理中に被処理排水中に含有する硝酸性窒素類の合計モル数に対して、炭酸塩及び炭酸水素塩から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩類を炭酸イオン又は重炭酸イオンに換算して合計のモル数が0.1〜5.0倍モル量となるように添加することを特徴とする排水の処理方法。
  2. 硫黄含有脱窒材が、粉体の集合体として造粒された粒状の脱窒材である請求項1記載の排水の処理方法。
  3. 炭酸水素塩がアルカリ金属炭酸水素塩である請求項1又は2記載の排水の処理方法。
  4. 炭酸塩がアルカリ土類金属炭酸塩である請求項1又は2記載の排水の処理方法。
  5. 窒素除去処理前の被処理排水中に含まれるカルシウムイオン濃度を100〜5000mg/lとする請求項1〜4のいずれかに記載の排水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102336465A (zh) * 2011-09-02 2012-02-01 重庆大学 一种用于污水处理的填料及其制备方法
CN105347514A (zh) * 2015-12-10 2016-02-24 郭嘉川 一种污水处理促进剂及其制备方法
JP2017100088A (ja) * 2015-12-02 2017-06-08 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 簡易加温システムを備えたリアクターによる養豚排水の硫黄脱窒技術
JP2017108741A (ja) * 2015-12-16 2017-06-22 アクアサービス株式会社 粉体状微生物製剤及びその製造方法、並びに粉体状微生物製剤を含有する液状組成物、土壌改善方法、及び水質改善方法

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