JP4269086B2 - 硝酸性窒素脱窒素用組成物及びその製造方法 - Google Patents

硝酸性窒素脱窒素用組成物及びその製造方法 Download PDF

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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業排水、園芸排水、暗渠排水、養液栽培排液、畜産排水、ステンレス製造等の金属加工排水、合併浄化槽排水、各種下水処理排水及び地下水・湖沼河川海洋等の水圏から、独立栄養性脱窒素細菌等による硝酸性窒素の除去、即ち脱窒による水質浄化に用いられる硝酸性窒素脱窒素用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
終末下水処理場排水や農業排水中から硝酸性窒素を除去する技術として、メタノールや汚泥中等の有機炭素源を水素供与体として脱窒させる従属栄養性脱窒技術が知られている。この技術では脱窒に寄与する微生物以外の分解系の影響も受けるので、基質当たりの脱窒効率が必ずしも高くはないばかりか、用いたメタノールや発生汚泥を外界に排出しないよう徹底した管理と設備が必要となる。
すなわち、単一の脱窒槽に被処理水を通水するだけでは、脱窒処理が完結せず、設備及び維持管理の点から広く一般に普及するのには難点があった。
【0003】
また、固形水素供与体を用いた硝酸性窒素除去法として、例えば第33回日本水環境学会年会講演集P.141(平成11年3月)に記載の方法がある。これは従属栄養性脱窒技術の平易な実施を目的とするものではあるが、やはり脱窒に寄与する微生物以外の分解系の影響を受けるため、多様な微生物相にさらされる実地においては効率的な脱窒方法とはいえない。
さらには生分解プラスチックの基材の一つであるポリβ―ヒドロ酪酸を水素供与体として用いるため、それを抽出・合成するのに多くのエネルギーを消費してしまう。
【0004】
これに対し、硫黄や硫黄化合物を用いた独立栄養性脱窒技術では、硫黄酸化細菌以外の分解系の影響を殆ど受けず、硫黄酸化細菌は溶存酸素、続いて硝酸から酸素を摂取し硫黄を酸化するので、窒素は容易に窒素ガスとして空中に遊離されるため脱窒効率が高い。
【0005】
しかも生成される硫酸は水質環境の制限因子ではなく、中和処理しpHを中性付近にすれば処理水をそのまま放流して差し支えない。
【0006】
この硫黄や硫黄化合物を用いた独立栄養性脱窒技術として、例えば特開平4−151000号公報、特開平6−182393号公報などに記載の方法や水処理分野では広く知られている硫黄+石灰石濾過法などがある。
【0007】
このうち、特開平4−151000号公報記載の方法は、炭素源として炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カルシウム、硫黄源としてチオ硫酸塩を用いた脱窒法を提案しているが、硝酸性窒素濃度に見合った量のチオ硫酸塩を都度添加せねばならず、また、反応を完結させるための管理型プラントを設置しなければならない。
【0008】
さらに、広く知られるが少なくとも現在本邦では実用稼動していない硫黄+石灰石濾過法では、硫黄粒と石灰石粒を2層にしたものはもちろん、硫黄粒と石灰石粒を1槽中に混和したものについても脱窒効率は高いとはいえず、その原因の一つとして石灰石粒表面への石膏沈着等が考えられている。そのほか、硫黄粒では反応性そのものが低く、例えば粉末硫黄とは脱窒効率が大きく異なることも知られている。
そのうえ、硫黄の流通形態で安価なのが液状であり続いて粉末(粉末を多く混じえる破砕物も含む)であるから、粒状硫黄には造粒もしくは分級コストに見合った付加価値が望まれる。
【0009】
これに対し、特開平6−182393号公報記載の方法には、硝酸性窒素を硫黄酸化細菌により効率的に脱窒できる方法が提案されている。
しかしこの方法では硫黄酸化細菌に対し反応性のよい硫黄粉粒体を用いるため、硫黄粉粒体で充填槽を形成した流動床式反応槽を設置し、硝酸性窒素等を含む原水を通水し脱窒処理を行い、発生した窒素ガスを反応槽から放出させるのに動力を必要としている。これは脱窒により発生した窒素ガスが硫黄粉粒の表面及び粉粒間に付着し脱窒を阻害するのを防ぐためである。また、脱窒に伴い生じる硫酸酸性を別途中和する必要があること、硫黄粉末を分散し反応させるため原水を常時強制通水する必要があることなどの難点もある。このため、設備費・維持管理費ともに高くなり普及が困難という問題がある。
【0010】
このような従来知られている硝酸性窒素脱窒法を抜本的に改善した脱窒法として、本発明者らは、炭酸カルシウム及び硫黄が共存する粒状物または塊状物を微生物活性能付与組成物として用いる方法を開発し、特願平10−106974号として提案した。
この脱窒法は硫黄酸化細菌の栄養源である硫黄と菌体合成に必要な炭素源を同一組成物内にほぼ同量共存させることで、効率良く脱窒を行わせることを可能とし、しかも脱窒と同時に中和処理も完了する画期的な方法である。
【0011】
それに加えて、炭酸カルシウム微粉を用い、硫黄をバインダーとして硫黄との所定量混合溶融・急冷・破砕して得られる組成物であるので、その微小突起の多い破断面に硫黄酸化細菌が定着しやすい構造となっている。また、粒の断面全体で一連の反応に与かれるので非常に脱窒効率が良く、さらに組成物粒子を大きくすること、例えば5〜25mm程度とすることができるので、生成した窒素ガスが組成物粒子全体を覆い脱窒が停止することもない。
【0012】
該組成物を用い排水等から硝酸性窒素の脱窒処理を行うに当たっては、攪拌や脱気が不要であるため、適当な仕切りを備えた処理槽に充填し排水等を通水するだけでよく、農地の暗渠排水等手間や経費をかけられない現場にも容易に対応させることができる。
【0013】
さらに、本発明者らは上記の微生物活性能付与組成物の性能を改良した硝酸性窒素脱窒基質を開発し、特願平10−271920号として提案した。この硝酸性窒素脱窒基質は、前記の炭酸カルシウムと硫黄との主要組成に例えば珪藻土等の微細孔隙を有する物質を共存させた粒状物または塊状物である。
改良効果としては特願平10−106974号に比べ約1.5〜2.5倍の脱窒率を得ることができるというものである。
【0014】
また、本発明者らはカルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とする物質と硫黄に、例えばバーミキュライト精石や水酸化アルミニウムを難燃化材料として共存させ、特願平10−106974号や特願平10−271920号に比べ脱窒性能を低下させずに難燃性を有する硝酸性窒素脱窒基質として特願平11−159158号の提案を行った。
【0015】
渇水時においても排水との接触が可能で常時高い脱窒率を維持できる硝酸性窒素脱窒用活性化材として、本発明者らは特願平11−226206号の提案も行った。
これは、炭酸カルシウム含有物質及び硫黄が共存する硝酸性窒素脱窒基質と鉱物繊維との混合物から成る硝酸性窒素脱窒用活性化材である。例えば粒状ロックウールと脱窒材を混合することにより保水性と脱窒菌の住み場が確保され安定した硝酸性窒素の脱窒が実現する。
【0016】
これらの微生物活性能付与組成物や硝酸性窒素脱窒基質、硝酸性窒素脱窒用活性化材の優れた脱窒性能を発揮させるには、基本的には炭酸カルシウムとほぼ同量の硫黄を融解混合し、硫黄をバインダーとして成型したものを破砕分級する必要があった。その際、粉末化する部分も多く、粒径2.5mm以上の収率は80%未満であった。また、例えば、硫黄酸化細菌を多く含む培養液を脱窒基質そのものに含浸させ、脱窒処理対象現場に適用し脱窒を促進することは困難であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、組成物として得ることが容易で粉末部分が少なく、水分や懸濁液を適量保持することのできる硝酸性窒素脱窒素用組成物を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物においては、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とする物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物として構成されている。
【0019】
本発明の請求項2に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物においては、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を含有する物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物として構成されている。
【0020】
本発明の請求項3に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物においては、硫黄と鉱物繊維が一体化した組成物として構成されている。
【0021】
本発明の請求項4に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物においては、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を共存させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物として構成されている。
【0022】
本発明の請求項5に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物においては、鉱物繊維が粒状ロックウールである請求項1〜4のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物として構成されている。
【0023】
本発明の請求項6に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法においては、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか、含有する物質と硫黄を混合し、硫黄を溶融させ混合物全体がスラリー化した中に鉱物繊維を加え、加熱攪拌しながらスラリーを繊維中に含浸させ、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を加えて同様に加熱攪拌混合したものを急冷固化し、その固化物を破砕して、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか、含有する物質と硫黄とが、添加した物質と共に鉱物繊維と一体化した組成物となるようにしたことを特徴とする請求項1〜2及び4〜5のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法とするようにされている。
【0024】
本発明の請求項7に係る硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法においては、硫黄を溶融し、液状化した中に鉱物繊維を加え、加熱攪拌しながら硫黄を繊維中に含浸させ、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を加え、同様に加熱攪拌混合したものを急冷固化し、その固化物を破砕して硫黄と鉱物繊維とが、添加した物質と共に一体化した組成物となるようにしたことを特徴とする請求項3及び4〜5のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法とするようにされている。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の硝酸性窒素脱窒素用組成物は、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか、含有する物質と硫黄が、必要に応じて添加する陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質と共に鉱物繊維と一体化した組成物でなることを基本とする。
但し、脱窒菌体合成に係る炭素源が被処理水中に十分存在し、且つ処理水の酸度矯正を別途行える場合には、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするもしくは含有する物質を省き、硫黄と鉱物繊維のみが一体化した組成物とすることができる。
【0026】
本発明の組成物中で、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とする物質としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、結晶質石灰岩粉末及び破砕物、石灰岩粉末及び破砕物、苦灰岩粉末及び破砕物、結晶質苦灰岩粉末及び破砕物、方解石粉末及び破砕物、苦灰石粉末及び破砕物、アラゴナイト粉末及び破砕物、バテライト粉末及び破砕物などの1種または2種以上を用いることができる。
【0027】
カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を含有する物質としては、例えば貝殻粉末及び破砕物、貝化石粉末及び破砕物、サンゴ粉末及び破砕物、卵殻粉末及び破砕物、コーラルサンド粉末及び破砕物その他の石灰質殻や石灰質化石の粉末及び破砕物などの1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
硫黄としては、例えば石油脱硫や石炭脱硫プラントの回収硫黄や天然硫黄などを用いることができ、その形態は粉末、粒状等の固体硫黄でもよいし、溶融硫黄のような液体であってもよい。
【0029】
また、添加する陽イオン交換能保持物質としては、例えばゼオライト粉末及び破砕物、非膨潤性〜弱膨潤性ベントナイト粉末及び破砕物、酸性白土粉末及び破砕物、珪酸白土粉末及び破砕物、活性白土粉末及び破砕物、各種土壌、テフラ、凝灰岩粉末及び破砕物などの1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
更に、添加する難燃化物質としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪岩・花崗岩・安山岩等の岩石粉末、それら岩石の表土を含む粉末、長石・石英・明ばん石・電気石等の鉱物粉末、フライアッシュ、バーミキュライト精鉱微粒〜細粒などの1種または2種以上を用いることができる。
【0031】
更に、添加する微細孔隙物質としては、例えば珪藻土、珪藻土焼成物微粒〜粉末、坑火石粉末及び破砕物、シラス、シラスバルーン、パーライト、セリサイト、レンガ粉末、陶器粉末、クリストバライト、炭類粉末、活性炭粉末、コークス粉末、セピオライト粉末及び破砕物などの1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
更に、鉱物繊維としては、例えばロックウール、グラスウール、セラミックウール、炭素繊維などの1種または2種以上を用いることができるが、好ましくは安価で粒状加工しやすく農業用培地としての実績も豊富なロックウールである。特に粒状ロックウールの保水性と粒内空隙は、微生物の良好な活動増殖に好ましい効果を与える。
なお、ロックウールの原料としては天然岩石のほか、鉄鋼スラグが多く用いられている。
【0033】
なお、この組成物はカルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか含有する物質と硫黄を均質混合し、硫黄を加熱溶融することで混合物をスラリー化し、充分な加熱攪拌のもと鉱物繊維中に混合物スラリーを含浸させ、更に陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質を添加した場合には、可能な限り均等分散するように加熱混合した後急冷固化し、その固化物を破砕することにより得られる。また、加熱温度は112℃〜190℃の範囲とし、硫黄は粉末か望ましくは液体を用いれば製造コストを低減できる。急冷のための冷媒としては水を用いることが望ましい。混合機としては公知の、例えば加熱型の万能混合攪拌機などを用いて加熱攪拌混合すればよい。
【0034】
本発明に用いるカルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか含有する物質の最大粒径は概ね1mm以下が望ましく、さらに平均粒子径で40μm以下であることが望ましい。
【0035】
また、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質についても最大粒径が1mm以下であることが望ましい。
【0036】
更に、鉱物繊維としては粒径30〜5mm程度の粒状ロックウールであることが望ましく、この条件のロックウールを用いれば本発明組成物の好ましい粒状物を容易に得ることができる。
【0037】
組成物中の好ましい混合割合は、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか含有する物質20〜50重量部に対し硫黄50〜100重量部、鉱物繊維は粒状ロックウールとして5〜20重量部が基本であり、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質については、添加する場合、10〜30重量部添加することが望ましい。
この範囲の混合割合にないと、鉱物繊維と一体化した組成物が得られず、繊維の中心部分が未処理の状態となったり、組成物が緻密堅牢となり、鉱物繊維を用いる意義が失われてしまう。
【0038】
このようにして得られる硝酸性窒素脱窒素用組成物は、硝酸性窒素の除去に係る水質浄化に適し、しかも鉱物繊維が硫黄酸化細菌の住み場として有効に働き、高い脱窒能が長期に亘り安定して発現される。
また、硫黄酸化細菌を多量に担持させることもでき、脱窒の早期開始を容易にする。
【0039】
更に、鉱物繊維に非バインダー処理の粒状ロックウールを用いれば、容易に粒状の硝酸性窒素脱窒素用組成物が得られるばかりでなく、破砕時の粉末発生を大幅に抑制することができ、2.5mm以上の組成物の収率は90%以上に達する。
【0040】
【実施例】
その有効性を確認するべく、本発明品として炭酸カルシウム(T−200、ニッチツ製、以下同じ)50重量部、粉末硫黄(200メッシュ、軽井沢製錬製、以下同じ)50重量部と明ばん石破砕物(1mm以下、宇久須鉱山産)20重量部、水酸化アルミニウム(ハイジライト、昭和電工製、以下同じ)10重量部に対し、粒状ロックウール(エスファイバー粒状綿、新日化ロックウール製、以下同じ)20重量部を混合し、180℃にて加熱攪拌後、水中にて固化し径5〜10mm程度に粒状化した試料(本発明実施例1)を作製した。
【0041】
本発明実施例2として、炭酸カルシウム:25重量部、硫黄:75重量部を十分に混合した後、180℃にて加熱混合し、混合物がスラリー化したところへ粒状ロックウール:8重量部を添加し加熱攪拌を継続し、粒状ロックウールにスラリーを含浸させつつゼオライト(TZ0700、奥多摩工業製、以下同じ)10重量部と水酸化アルミニウム:10重量部を添加し、加熱混合を行った。スラリーがほとんど粒状ロックウールに含浸した時点で水中にて急冷固化、粒状化し粒径5〜20mmの試料を得た。
【0042】
本発明実施例3として、炭酸カルシウム:25重量部、硫黄:75重量部を十分に混合した後、180℃にて加熱混合し、混合物がスラリー化したところへ粒状ロックウール:9重量部を添加し加熱攪拌を継続し、粒状ロックウールにスラリーを含浸させつつゼオライト(TZ0700、奥多摩工業製、以下同じ)14重量部と水酸化アルミニウム:10重量部を添加し、加熱混合を行った。スラリーがほとんど粒状ロックウールに含浸した時点で水中にて急冷固化、粒状化し粒径5〜20mmの試料を得た。
【0043】
本発明実施例4として、炭酸カルシウム:37.5重量部、硫黄:75重量部を十分に混合した後、180℃にて加熱混合し、混合物がスラリー化したところへ粒状ロックウール:9重量部を添加し加熱攪拌を継続し、粒状ロックウールにスラリーを含浸させつつゼオライト(TZ0700、奥多摩工業製、以下同じ)14重量部を添加し、加熱混合を行った。スラリーがほとんど粒状ロックウールに含浸した時点で水中にて急冷固化、粒状化し粒径5〜20mmの試料を得た。
【0044】
本発明実施例5として、硫黄:75重量部を180℃にて加熱し、液状化したところへ粒状ロックウール:9重量部を添加し加熱攪拌を継続し、粒状ロックウールに液体を含浸させつつ加熱混合を行った。液状硫黄がほとんど粒状ロックウールに含浸した時点で水中にて急冷固化、粒状化し粒径5〜20mmの試料を得た。
【0045】
本発明実施例6として、炭酸カルシウム:37.5重量部、硫黄:75重量部を十分に混合した後、180℃にて加熱混合し、混合物がスラリー化したところへ粒状ロックウール:9重量部を添加し加熱攪拌を継続し、粒状ロックウールにスラリーを含浸させつつ加熱混合を行った。スラリーがほとんど粒状ロックウールに含浸した時点で水中にて急冷固化、粒状化し粒径5〜20mmの試料を得た。
【0046】
なお、本発明はこの実施例の内容に限定されるものではない。
【0047】
更に、比較例として、粒径5mm程度の硫黄粒(細井化学製)75重量部と粒径5〜10mm程度の石灰岩粒(埼玉県秩父産)37.5重量部とを無加温混合した試料(比較例1)、粒径5mmの硫黄粒:50重量部と粒径5〜20mmの石灰岩粒:50重量部とを無加温混合した試料(比較例2)、炭酸カルシウム:50重量部と粉末硫黄:50重量部とを加熱混合し冷却固化した後に破砕し粒径5〜20mmに分解した試料(比較例3)を作製した。
【0048】
本発明実施例及び比較例で得た各試料につき、硝酸性窒素90mg/lに調製した水温20℃の溶液に、硫黄酸化細菌の活動する埼玉県深谷市人見のネギ圃場黒ボク土10wt%を添加したものを原水として、試料:原水=1:6(wt)にて脱窒バッチ試験を行った。試料50g、原水300gであった。
その結果は表1の硝酸性窒素残存濃度mg/lで示す通りであり、本発明実施例の試料はいずれも硝酸性窒素の除去に優れることが確認できた。
【0049】
【表1】
Figure 0004269086
【0050】
【表2】
Figure 0004269086
【0051】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の請求項1に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物に依れば、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とする物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物でなるため、施肥削減の困難な農地の暗渠排水や圃場浸透水、養液栽培における排液のような高硝酸性排水はもとより、農業集落排水の一次処理水や合併浄化槽等により無機化された排水中の硝酸性窒素の除去にも優れ、そのうえ製造工程、特に造粒工程が合理的なため、脱窒に使用困難な径2.5mm以下の粉末が発生しにくくなる。
【0052】
本発明の請求項2に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物に依れば、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を含有する物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物でなるため、施肥削減の困難な農地の暗渠排水や圃場浸透水、養液栽培における排液のような高硝酸性排水はもとより、農業集落排水の一次処理水や合併浄化槽等により無機化された排水中の硝酸性窒素の除去にも優れ、そのうえ製造工程、特に造粒工程が合理的なため、脱窒に使用困難な径2.5mm以下の粉末が発生しにくくなる。
【0053】
本発明の請求項3に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物に依れば、 硫黄と鉱物繊維が一体化した組成物でなるため、施肥削減の困難な農地の暗渠排水や圃場浸透水、養液栽培における排液のような高硝酸性排水はもとより、農業集落排水の一次処理水や合併浄化槽等により無機化された排水中の硝酸性窒素の除去にも優れ、そのうえ製造工程、特に造粒工程が合理的なため、脱窒に使用困難な径2.5mm以下の粉末が発生しにくくなる。
【0054】
本発明の請求項4に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物に依れば、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を共存させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の組成物でなるため、施肥削減の困難な農地の暗渠排水や圃場浸透水、養液栽培における排液のような高硝酸性排水はもとより、農業集落排水の一次処理水や合併浄化槽等により無機化された排水中の硝酸性窒素の除去にも優れ、そのうえ製造工程、特に造粒工程が合理的なため、脱窒に使用困難な径2.5mm以下の粉末が発生しにくくなる。
【0055】
本発明の請求項5に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物に依れば、鉱物繊維が粒状ロックウールである請求項1〜4のいずれかに記載の組成物でなるため、施肥削減の困難な農地の暗渠排水や圃場浸透水、養液栽培における排液のような高硝酸性排水はもとより、農業集落排水の一次処理水や合併浄化槽等により無機化された排水中の硝酸性窒素の除去にも優れ、そのうえ製造工程、特に造粒工程が合理的なため、脱窒に使用困難な径2.5mm以下の粉末が発生しにくくなる。
【0056】
本発明の請求項6及び7に係わる硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法に依れば、造粒時に発生する粉末量が大幅に削減できコストダウンを図れると共に、脱窒材料本体が保水性を保持することにより硫黄酸化細菌を合理的に担持させ、脱窒効率を高めることが可能となる。

Claims (7)

  1. カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とする物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物でなることを特徴とする硝酸性窒素脱窒素用組成物。
  2. カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を含有する物質と硫黄が鉱物繊維と一体化した組成物でなることを特徴とする硝酸性窒素脱窒素用組成物。
  3. 硫黄と鉱物繊維が一体化した組成物でなることを特徴とする硝酸性窒素脱窒素用組成物。
  4. 陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を共存させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物。
  5. 鉱物繊維が粒状ロックウールである請求項1〜4のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物。
  6. カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか、含有する物質と硫黄を混合し、硫黄を溶融させて混合物全体がスラリー化した中に鉱物繊維を加え、加熱攪拌しながらスラリーを繊維中に含浸させ、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を加えて同様に加熱攪拌混合したものを急冷固化し、その固化物を破砕して、カルシウム及び/またはマグネシウムの炭酸塩を主成分とするか、含有する物質と硫黄とが、添加した物質と共に鉱物繊維と一体化した組成物となるようにしたことを特徴とする請求項1〜2及び4〜5のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法。
  7. 硫黄を溶融し、液状化した中に鉱物繊維を加え、加熱攪拌しながら硫黄を繊維中に含浸させ、陽イオン交換能保持物質、難燃化物質、微細孔隙物質のうち、1種または2種以上を加え、同様に加熱攪拌混合したものを急冷固化し、その固化物を破砕して硫黄と鉱物繊維とが、添加した物質と共に一体化した組成物となるようにしたことを特徴とする請求項3及び4〜5のいずれかに記載の硝酸性窒素脱窒素用組成物の製造方法。
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