JP2017100088A - 簡易加温システムを備えたリアクターによる養豚排水の硫黄脱窒技術 - Google Patents

簡易加温システムを備えたリアクターによる養豚排水の硫黄脱窒技術 Download PDF

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Abstract

【課題】通年対応型での養豚排水の硫黄脱窒処理方法及び処理装置を提供する。【解決手段】養豚排水を硫黄脱窒処理に供する硫黄資材含有槽と、曝気槽内液温の熱を介して該硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段とを備える、養豚排水の脱窒処理装置。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば養豚排水の脱窒処理に関する。
窒素成分は閉鎖性水域では総量規制が実施され、また、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海に排出する事業場において窒素削減が実施され、その費用は増大傾向にある。さらに、畜産農業分野でも特に伊勢湾では総量規制対応が求められている。また、硝酸性窒素は水質汚濁防止法特定事業場に対し排水量に拘わらず厳しい濃度規制が課されている。このような中で、多様な窒素除去技術が普及しているが、コスト・管理面で一層負担の少ない除去技術は、畜産業及び各種産業分野で高いニーズがある。
従来においては、窒素除去技術として生物学的な脱窒法が主流であり、脱窒の電子供与体としてメタノールが使用される場合が多い。しかしながら、メタノール購入の費用と適正添加量の調整作業は事業者にとって負担となり畜産分野での実用例は僅かである。このように、畜産分野等の各種産業分野では、メタノールに代わる安価で且つ添加量制御の不要な資材による脱窒手法を開発することが求められている。
ところで、脱窒技術として硫黄脱窒技術が知られている。硫黄脱窒技術では、処理水(排水)中の硫黄酸化脱窒細菌により硫黄を利用して硝酸性窒素を窒素ガスに還元すると同時に硫酸イオンを生成する。このようにして、硝酸性窒素が窒素ガスに変化し除去されることとなる。硫黄脱窒技術は種々の検討が行われているが、実用化が進まない要因の一つに低温期における脱窒活性の低下がある。このように、従来においては、通年対応型の硫黄脱窒技術は知られていなかった。
また、硫黄脱窒反応には菌体増殖の無機炭素源の添加および処理水中和剤の添加が必要であるが、この際にできるだけ簡易な手法が望まれる。さらに、資材層中に脱窒に由来する気泡が蓄積すると処理対象液と硫黄資材の円滑な接触が妨げられ、処理効率が低下する。これを防ぐための簡易な手段も必要である。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、通年対応型での養豚排水の簡易な硫黄脱窒処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、養豚排水処理施設の特性を活用し、既存施設の曝気槽の通年で高い水温を介した加温条件下で、養豚排水を硫黄脱窒処理に供することで、低温期を含む通年にわたり養豚排水から脱窒を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)養豚排水を硫黄脱窒処理に供する硫黄資材含有槽と、曝気槽内液温の熱を介して前記硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段とを備える、養豚排水の脱窒処理装置。
(2)太陽熱を介して前記硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段をさらに備える、(1)記載の脱窒処理装置。
(3)飽和重曹溶液を前記硫黄資材含有槽内に供給する手段をさらに備える、(1)又は(2)記載の脱窒処理装置。
(4)硫黄資材層に蓄積する窒素気泡を硫黄資材含有槽外面又は硫黄資材層中に設置した振動子による振動で脱泡する手段をさらに備える、(1)〜(3)のいずれか1記載の脱窒処理装置。
(5)養豚排水を、曝気槽内液温の熱を介した加温下で硫黄脱窒処理に供する工程を含む、養豚排水の脱窒処理方法。
(6)さらに、太陽熱を介した加温下で硫黄脱窒処理を行う、(5)記載の方法。
(7)飽和重曹溶液を養豚排水に供給して硫黄脱窒処理を行う、(5)又は(6)記載の方法。
(8)硫黄資材層に蓄積する窒素気泡を硫黄資材含有槽外面又は硫黄資材層中に設置した振動子による振動で脱泡しながら脱窒処理を行う、(5)〜(7)のいずれか1記載の方法。
本発明によれば、養豚排水処理施設において、通年にわたり養豚排水から脱窒を行うことができる。
本発明に係る養豚排水の脱窒処理装置を示す模式図である。 実施例1における、冬期における加温システムの導入効果を示すグラフである。 実施例1における、冬期における窒素除去性能を示すグラフである。 実施例1における、脱窒装置内水温と窒素除去率の関係を示すグラフである。 実施例2における、浄化槽熱と太陽熱を併用した加温効果を示すグラフである。 実施例3における、アルカリ度と窒素除去率の関係を示すグラフである。
本発明に係る養豚排水の脱窒処理装置(以下、「本装置」と称する)は、養豚排水を硫黄脱窒処理に供する硫黄資材含有槽と、曝気槽内液温の熱を介して該硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段とを備えるものである。また、本発明に係る養豚排水の脱窒処理方法は、本装置を用いて、養豚排水を、曝気槽内液温の熱を介した加温下で硫黄脱窒処理に供する工程を含むものである。
硫黄脱窒処理においては、低温期において脱窒活性の低下がみられる。そこで、本発明では、養豚排水処理施設の曝気槽内液温の熱を介した加温下で養豚排水を硫黄脱窒処理に供することで、養豚排水中の硫黄酸化脱窒細菌による脱窒活性を維持し、通年で養豚排水から脱窒を行うことができる。
既存の養豚排水処理施設は、養豚排水を活性汚泥法に供するための曝気槽を備えている。活性汚泥法は、最初沈殿、曝気、最終沈殿の順から成る処理方式で、最初沈殿で先ず重力沈降によって物理的な処理が行われ、次いで、得られた上澄み液を曝気槽に投入する。曝気槽では活性汚泥によって好気的な微生物処理が行われ、有機物が分解される。最終沈殿では、活性汚泥を沈降させ、曝気槽へ汚泥の一部を返送することにより、汚泥濃度が調整される。また、最終沈殿後の上澄み液が処理水となる。曝気槽内では、ブロアーの熱及び地中温によって通年で高い水温(例えば、冬期でも15℃以上)が維持されている場合が多い。
ここで、養豚排水とは、豚舎の糞尿や洗浄水を含む排水を意味する。養豚排水には、硫黄脱窒反応(硫黄を利用して硝酸性窒素を窒素ガスに還元すると同時に硫酸イオンを生成する反応)を行う硫黄酸化脱窒細菌が存在する。本発明では、養豚排水中の硫黄酸化脱窒細菌により硝酸性窒素が窒素ガスへと変換され、窒素を系外へ放出することができる。
図1は、本装置の一例を示す模式図である。図1に示すように、本装置1は、硫黄資材含有槽2a及び2bと曝気槽3内液温の熱を介した加温手段4とを備える。曝気槽3は、既設浄化施設内の曝気槽であり、本装置を構成するものではない。
硫黄資材含有槽2a及び2bは、例えば土木工事用土砂沈殿分離タンク(ノッチタンク)である。硫黄資材含有槽は、既存養豚排水処理施設の後段に設置するものであり、当該施設の放流水(養豚排水)を対象として脱窒処理を行う。硫黄資材含有槽2a及び2bとして、ノッチタンクを2槽の直列配置とする。各槽の内部には、仕切板により3つの区画(「第1〜第3区画」と称する)に分けられており、ノッチタンク2a及び2bの第1区画5a及び第2区画5bの底部に硫黄資材6を投入し、ノッチタンク2aの第1区画5aに既存施設からの処理水(養豚排水;原水)7を流入させ、ノッチタンク2bの第3区画5cまで自然流下させる。液は、流下中に資材層を通過し、この際の硫黄脱窒反応により硝酸性窒素が窒素ガスに変化し、系外へ除去される。
ここで、硫黄資材としては、例えば農業用に土壌pH調整用資材として流通している粉末硫黄、工業原料として流通している粗砕硫黄が挙げられる。粉末硫黄の場合には、疎水性のため、中性洗剤で親水化処理してから用いる。硫黄資材は、例えば有効容積500Lのノッチタンク当たり100〜138.2kg(好ましくは100kg)を投入する。一方、処理水は、例えば流入量320〜1460mL/分(好ましくは336〜491mL/分)、水有効容積当たりの水理学的滞留時間(HRT)0.5〜2.2日(好ましくは1.4〜2.1日)で連続投入される。槽内の硫黄資材表面には、硫黄酸化脱窒細菌が増殖し、硫黄を利用した脱窒が進行する。
硫黄酸化脱窒細菌は、硫黄を利用して硝酸性窒素を窒素ガスに還元すると同時に硫酸イオンを生成する。従って、硫黄脱窒が活性化するとpHは低下傾向となる。そこで、処理水のpH低下を防止すると同時に硫黄脱窒細菌の増殖及び脱窒反応に必要な炭酸イオンを供給するため、重曹を飽和濃度以上に投入した重曹貯槽8を設置して、自動灌水器により水道水を給水するか、又はポンプで循環送水することで調整された飽和重曹溶液を重曹貯槽8からノッチタンク2aの第1区画5aに適宜流入させる(本発明における「飽和重曹溶液を硫黄資材含有槽内に供給する手段」に相当)。例えば、下部に重曹を沈殿させた重曹貯槽に、底部から水道水を12時間毎に1〜4分間(好ましくは1分間)、流入量679〜2020mL/分(好ましくは800mL/分)で通水し、飽和重曹溶液を重曹貯槽の上部よりノッチタンクへと流出させる。また、ノッチタンク2bの第3区画5cに投入した循環ポンプ9により、循環ライン10を介して重曹貯槽8に一部の液を循環させてもよい。あるいは、簡易な手法として、ノッチタンク2aの第3区画5cの底部に重曹11を所要量充填しても良い。充填された重曹は徐々に溶解し、循環ライン12によってノッチタンク2aおよびノッチタンク2bに拡散し硫黄脱窒反応と中和に効果を発揮する。
一方、硫黄酸化脱窒細菌の脱窒活性の維持に必要な水温を確保するため、ノッチタンク2bの第3区画5cに投入した循環ポンプ13でノッチタンク2aの第1区画5aに一部の液を循環させる。この循環ライン12の一部を加温手段4として水道用ステンレスフレキシブル管を設置し、既存養豚排水処理施設の曝気槽3内液温を利用して本装置1の加温を行う。ステンレスフレキシブル管は、例えば長さ5〜10m(好ましくは10m)でコイル状に巻いた形態で曝気槽内の液中に浸漬し、当該曝気槽内液の熱をノッチタンク内液に移行させる。
さらに、厳寒期の加温補助のために、太陽熱を介した加温手段として太陽熱温水パネル14を設置することができる。例えばポリカーボネート製の2枚の薄板の間を流れる清水を太陽光で加温し、その温水を太陽電池15駆動のポンプ16でノッチタンク内の液中に浸漬したステンレスフレキシブル管17に循環させて、熱をノッチタンク内液に移行させる。上記同様に、当該ステンレスフレキシブル管は、例えば長さ10mでコイル状に巻いた形態でノッチタンク内の液中に配置される。
これらの加温システムによれば、低温期でもノッチタンク内の水温を一定以上に保持することができる。
処理水18は、適宜ノッチタンク2bの第3区画5cから系外に排出することができる。
振動子19は、硫黄資材表面から発生した窒素気泡が硫黄資材層中に埋封され硫黄資材と原水との接触を阻害するのを防ぐため常時又は定期的に硫黄資材層を振動させ脱泡することができる。当該振動子は、例えば空気圧式のバイブレーター又はノッカー等でノッチタンクの外面又は資材層内に配置される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕冬期における加温システム(曝気槽液温の利用)導入効果と脱窒活性について1. 実験条件
1-1. 脱窒処理装置
有効容積500Lの市販の角形土砂沈殿分離タンク(ノッチタンク)(スイコー株式会社、尼崎)を2槽連結して、水有効容積1000Lのリアクターとして使用した。タンクの内部は仕切板で3区画(「第1〜第3区画」と称する)に分けられ、第1区画から流入した水は仕切板と底面の間隙を通過し、第2区画の上部より第3区画に越流し処理水として排出される。そのため、各タンクの第1区画と第2区画に粉末硫黄を投入することで、硫黄資材と流下水の効率良い接触が可能である。
1-2. 硫黄資材
硫黄資材には、ブルーベリー栽培などで使用される土壌pH調整用粉末硫黄(硫黄分99%以上、200メッシュパス、株式会社自然の休憩所、香川)を用いた。粉末硫黄は撥水性のため、そのままでは脱窒処理に使用不可能であるが、家庭用中性洗剤を適量添加し撹拌することで、親水化し水中に沈降するようになる。親水化処理した粉末硫黄を、ノッチタンク1槽当たり100kg、合計200kgを投入した。
1-3. 試験方法
試験の処理対象水(養豚排水;脱窒装置への流入水)は既設浄化施設の処理水貯留槽から、チュービングポンプにより流入量336〜1460mL/分、水有効容積当たりの水理学的滞留時間(HRT)0.5〜2.1日で脱窒装置へ連続投入した。なお、試験開始後に流入水の硝酸性窒素濃度が100mg/L以下に低下してしまったため、硝酸ナトリウム溶液貯留タンクを設置し薬注ポンプで溶液を流入水に添加することで、硝酸性窒素濃度を200mg/L程度にまで高めて試験を行った。硫黄酸化脱窒細菌の植種は行わなかった。
運転は、冬期(2014年12月18日から2015年3月3日)の76日間行った。
1-4. 重曹添加装置の設置
脱窒反応で生成する硫酸イオンにより、処理水が酸性化することを防ぐとともに脱窒反応に必要な炭酸イオンを供給するため、脱窒装置には適宜飽和重曹溶液の添加を行った。重曹添加装置には、上部開放式で角型のプラスチック製容器(水有効容積約68L)を用い、一般工業用重曹25kgを投入した。この投入量は飽和濃度を大きく上回るため大部分は溶解せずに容器下部に沈殿した。この容器の底部から水道水をタイマー式散水器(G225;タカギ,北九州)により12時間毎に1分間、流入量約0.8 L/分で通水し、飽和重曹溶液を上部より流出させた。沈殿重曹は徐々に減少するので、消失前に重曹を補充した。
1-5. 加温システム(曝気槽液温の利用)の導入
試験開始51日目以降の2015年2月6日から2015年3月3日までの25日間は、脱窒装置内の加温対策として、第2槽目の第3区画に水中ポンプを循環ポンプとして設置し、液を第1槽目の第1区画に返送するラインを組み込んだ。この循環ラインの一部をステンレスフレキシブル管(2月18日まで5m、その後10mに延長)とし、コイル状に巻いたフレキシブル管を既設浄化施設の曝気槽混合液中に浸漬させ、曝気槽混合液の熱を脱窒装置内に移行させた。
2. 結果
2-1. 冬期における加温システムの導入効果
図2に示すように、加温システム(曝気槽液温の利用)の導入前の平均外気温6.3℃に対して、平均装置内水温は10.0℃で推移した。これに対して、加温システム導入後では平均外気温6.7℃に対して平均装置内水温は15.4℃で推移した。加温システム導入前後で平均外気温にはほぼ変化がないことから、装置内水温の上昇は曝気槽液温がステンレスフレキシブル管を備えた循環ラインにより、装置内に効果的に移送されたと考えられる。活性汚泥法の曝気槽内の液は、低温期でもブロアーの熱及び地中温によって外気温より高く保持されていたと推測される。なお、装置内水温は、曝気槽液温に対して−1.0±0.7℃(平均±標準偏差)の差で追随したことから、本システムにより低温期でも曝気槽内の液温と同程度まで加温可能といえる。
2-2. 冬期における窒素除去性能
図3に示すように、加温システム導入前の原水の硝酸性窒素濃度は155.4±43.3mg/Lに対して、処理水の硝酸性窒素濃度は112.9±41.5mg/Lと大きな変化は見られず、窒素除去率は平均29.0%と低かった。この期間中の装置内水温は7.0〜13.0℃の範囲で推移しており、平均10.0℃であった。一般に硫黄脱窒素は、10℃未満で活性が顕著に低下することが確認されていることから、低温期に脱窒活性を維持するためには加温が必要不可欠である。
加温システム導入後は、原水の硝酸性窒素濃度167.0±28.8mg/Lに対して、処理水の硝酸性窒素濃度は62.4±19.0mg/Lまで低下した(平均窒素除去率66.6%)。加温システム導入後の処理水の硝酸性窒素は徐々に低下し、65日目には除去率で82.4%まで上昇している。処理水の硝酸性窒素濃度の平均は62.4mg/Lであることから、一般基準値である100mg/L以下まで低下できたといえる。この期間中の水温は13.5〜17.7℃の範囲で推移しており、平均15.4℃であった。このことが、脱窒活性上昇の要因と考えられる。
2-3. 脱窒装置内水温と窒素除去率の関係
図4に示すように、装置内水温と窒素除去率の関係はおおむね直線的で、水温が上昇するほど除去率は高くなる傾向を示した。加温システム導入後の除去率はおおむね60%以上が確保できており、水温15.5℃で82.4%の除去率が得られたことから、装置内の水温を15℃以上に保持することが目標といえる。逆に水温10℃未満では実用的な性能は発揮されなかった。
〔実施例2〕太陽熱温水パネルの導入に伴う脱窒装置内水温の保温効果について
1. 実験条件
1-1. 脱窒処理装置
脱窒処理装置は、実施例1と同様のものであった。
1-2. 硫黄資材
硫黄資材には、工業用に使用されている粗砕硫黄を使用した。粗砕硫黄は微粉末に近いものから直径40mm程度の粗粒までを含む資材である。粉末硫黄と異なり、そのままでも水中に沈降するので親水化処理は不要である。ノッチタンク1槽当たり100kg、合計200kgを投入した。
1-3. 試験方法
脱窒装置への流入水(養豚排水)は、既設浄化施設の処理水貯留槽からチュービングポンプにより流入量395〜682mL/分、水有効容積当たりのHRT 1.0〜1.8日で脱窒装置へ連続投入した。なお、流入水の硝酸性窒素濃度を高めるため、硝酸ナトリウム溶液貯留タンクを設置し薬注ポンプで溶液を流入水に添加することで、硝酸性窒素濃度を178〜513mg/L程度にまで高めて試験を行った。硫黄酸化脱窒細菌の植種は行わなかった。
運転は、2015年4月23日〜2015年5月18日の間、試験を行った。
1-4. 重曹添加装置の設置
重曹添加装置の設置は、実施例1と同様であった。
1-5. 加温システム(曝気槽液温の利用)の導入
加温システム(曝気槽液温の利用)の導入は、実施例1と同様であった。
1-6. 加温システム(太陽熱温水パネルの利用)の導入
太陽熱温水パネルを用いた加温システムを導入した。内部が中空のポリカーボネート製ボード(長さ1.8m×幅0.9m×厚さ4.5mm、6L容量、ソフト・エネルギー研究所、柏)2枚をホースで繋げて太陽熱温水パネルとした。パネル内部で太陽光により温められた水は、直射光受光時にのみ太陽電池駆動のポンプにより、パネルとステンレスフレキシブル管(長さ10m)の間を循環する。このフレキシブル管を脱窒装置内の液中に浸漬させることで、太陽光熱を移行させた。
2. 結果
浄化槽熱と太陽熱を併用した加温効果
図5に示すように、日照があり太陽電池が良好に稼働しているときのデータを示した。この期間の各温度は、装置内水温は22.4〜32.4℃(29.3±3.4℃)、外気温21.5〜27.4℃(24.5±2.4℃)、曝気槽液温22.1〜26.3℃(24.7±1.4℃)であった。特に21日目の装置内水温は32.4℃まで上昇し、外気温の+10.5℃、曝気槽液温の+7.1℃まで高まった。これは太陽光熱が装置に移行されたためと考えられる。また、装置内水温と外気温の温度差は4.8±2.9℃、装置内水温と曝気槽液温の温度差は4.6±2.7℃であったことから、太陽熱利用により外気温、曝気槽液温よりも約5℃水温を高められると考えられる。なお、太陽熱の利用は日照のあるときに限られることから、厳寒期の加温補助や、曝気槽の運転が不良もしくは急な故障の場合の応急的対応として活用メリットがある。
〔実施例3〕重曹添加による炭素源の供給が脱窒活性に及ぼす影響について
1. 実験条件
1-1. 脱窒処理装置
脱窒処理装置は、実施例1と同様のものであった。
1-2. 硫黄資材
硫黄資材には、工業用に使用されている粗砕硫黄を使用した。粗砕硫黄は微粉末に近いものから直径40mm程度の粗粒までを含む資材である。粉末硫黄と異なり、そのままでも水中に沈降するので親水化処理は不要である。ノッチタンクの第1槽目のタンクには130kg、第2槽目のタンクには138.2kgの合計268.2kgを投入した。
1-3. 試験方法
脱窒装置への流入水(養豚排水)は、既設浄化施設の処理水貯留槽からチュービングポンプにより流入量320〜453mL/分、水有効容積当たりのHRT 1.5〜2.2日で脱窒装置へ連続投入した。なお、流入水の硝酸性窒素濃度を高めるため、硝酸ナトリウム溶液貯留タンクを設置し薬注ポンプで溶液を流入水に添加することで、硝酸性窒素濃度を329〜440mg/L程度にまで高めて試験を行った。実施例2からの継続試験のため、硫黄酸化脱窒細菌の植種を行った。
運転は、2015年9月7日〜2015年10月13日の間、試験を行った。
1-4. 重曹添加装置の設置
重曹添加装置の設置は、実施例1と同様であった。上部開放式で角型のプラスチック製容器(水有効容積約68L)を用い、一般工業用重曹25kgを投入した。この投入量は飽和濃度を大きく上回るため大部分は溶解せずに容器下部に沈殿した。この容器の底部から水道水をタイマー式散水器(G225;タカギ,北九州)により、9/7〜9/29までは12時間毎に3分間、流入量780〜2020mL/分、9/30〜10/13までは12時間毎に4分間、流入量679〜845mL/分で通水し、飽和重曹溶液を上部より流出させた。沈殿重曹は徐々に減少するので、消失前に重曹を補充した。
1-5. 加温システム(曝気槽液温の利用)の導入
加温システム(曝気槽液温の利用)の導入は、実施例1と同様であった。なお、加温システム(太陽熱温水パネルの利用)を導入しなかった。
2. 結果
アルカリ度と窒素除去率の関係
図6に示すように、脱窒反応に必要である炭酸イオンの窒素除去率への影響に関して、アルカリ度と除去率との関係を示した。アルカリ度と窒素除去率の関係はおおむね直線的で、アルカリ度が高くなるほど除去率も高まる傾向を示した。脱窒活性に有効となるアルカリ度の適正範囲値については、400mg/L程度まで高めることで80%近い除去率が得られるといえる。
1:本発明に係る養豚排水の脱窒処理装置
2a、b:硫黄資材含有槽(ノッチタンク)
3:曝気槽
4:曝気槽内液温の熱を介した加温手段(ステンレスフレキシブル管)
5a:第1区画
5b:第2区画
5c:第3区画
6:硫黄資材
7:原水
8:重曹貯槽
9:循環ポンプ
10:循環ライン
11:重曹
12:循環ライン
13:循環ポンプ
14:太陽熱温水パネル
15:太陽電池
16:ポンプ
17:ステンレスフレキシブル管
18:処理水
19:振動子

Claims (8)

  1. 養豚排水を硫黄脱窒処理に供する硫黄資材含有槽と、
    曝気槽内液温の熱を介して前記硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段と、
    を備える、養豚排水の脱窒処理装置。
  2. 太陽熱を介して前記硫黄資材含有槽内の液温を加温する手段をさらに備える、請求項1記載の脱窒処理装置。
  3. 飽和重曹溶液を前記硫黄資材含有槽内に供給する手段をさらに備える、請求項1又は2記載の脱窒処理装置。
  4. 硫黄資材層に蓄積する窒素気泡を硫黄資材含有槽外面又は硫黄資材層中に設置した振動子による振動で脱泡する手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項記載の脱窒処理装置。
  5. 養豚排水を、曝気槽内液温の熱を介した加温下で硫黄脱窒処理に供する工程を含む、養豚排水の脱窒処理方法。
  6. さらに、太陽熱を介した加温下で硫黄脱窒処理を行う、請求項5記載の方法。
  7. 飽和重曹溶液を養豚排水に供給して硫黄脱窒処理を行う、請求項5又は6記載の方法。
  8. 硫黄資材層に蓄積する窒素気泡を硫黄資材含有槽外面又は硫黄資材層中に設置した振動子による振動で脱泡しながら脱窒処理を行う、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
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