JP2008178824A - リン回収方法及び装置 - Google Patents

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晶良 大橋
Toki Takahashi
統気 高橋
Shigeki Ishihara
茂樹 石原
Hideki Harada
秀樹 原田
Hiroyuki Imachi
寛之 井町
Kazuaki Tamatsubo
一晃 珠坪
Haruhiko Sumino
晴彦 角野
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Nagaoka University of Technology NUC
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Abstract

【課題】本発明は、供給する空気の量を減少させることができるようにして、好気時の曝気動力を低減させること、リンの回収に水処理系を採用することにより、輸送管内にMAPが閉塞しないようにすること、運転時の種々の制御を容易に行なうことができるようにすること、等を目的としている。
【解決手段】気相中に配置され且つポリリン酸蓄積細菌が担持された多孔質性の生物反応部材13に好気条件下でリン含有排水を接触させてポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取させる好気処理工程と、前記生物反応部材13に嫌気条件下で有機性排水を接触させて有機性排水からポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌から有機性排水にリンを放出させる嫌気処理工程とを経る。
【選択図】図1

Description

本発明は、し尿系汚水、工場排水、下水等のリン含有有機性排水から生物学的にリンを回収し得るようにしたリン回収方法及び装置に関するものである。
川や湖の富栄養化の原因の1つとしてリン化合物の存在があることは周知であるが、このリン化合物は、し尿系汚水、工場排水、下水等中に多く存在する。而して、リン除去方法やリン回収方法は種々提案されており、その一つとして生物学的方法がある。
一般的な生物学的リン除去法(従来の第一の脱リン方法)は次のような工程で行われる。すなわち、先ず、原水として下水等の有機物を含む有機性排水と、最終の沈殿槽で固液分離されて得られて返送された余剰汚泥(ポリリン酸蓄積細菌が繁殖している)を嫌気槽に投入し、嫌気条件下でポリリン酸蓄積細菌群(以下、本明細書中においては、単に「ポリリン酸蓄積細菌」という)がその細胞内に蓄積しているポリリン酸を、リン酸態イオン(以下、本明細書中においては、単に、「リン」という)として細胞外に放出させながら、当該ポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させる。
次いで、嫌気槽で有機物を摂取したポリリン酸蓄積細菌及びリンを含む被処理水を好気槽に投入する。好気槽には空気が導入されるため、ポリリン酸蓄積細菌は酸素を用いて有機物を代謝し、同化を行うことにより増殖し、その結果、被処理水中のリンは、ポリリン酸蓄積細菌により嫌気条件下での放出量以上に過剰摂取される。
続いて、リンを過剰摂取したポリリン酸蓄積細菌を含む被処理水を、最終の沈殿槽に投入し、固液分離することにより、ポリリン酸蓄積細菌を汚泥として被処理水から分離してリン除去が行われ、汚泥が分離されリンが除去された被処理水を脱離液として後工程へ排出する。
沈殿槽で固液分離することにより得られた余剰汚泥のうち、嫌気槽に投入されなかった余剰汚泥は、汚泥分解槽でオゾン、アルカリ、嫌気消化等の処理により分解されて高濃度のリンが被処理水中に溶出し、この被処理水中に溶出したリンは後工程で化学的に固定化されて肥料等に使用される。
又、生物学的リン除去法で、汚泥中に濃縮したリンを回収する他の方法(従来の第二の脱リン方法)としては、リンを過剰摂取したポリリン酸蓄積細菌を含む返送汚泥と、初沈汚泥等の有機物を多く含む液とを混合して液中にリンを吐出させ、固液分離した液(脱離液)や、それら汚泥中の有機物とポリリン酸蓄積細菌を嫌気消化させ、この消化させた後の消化脱水分離液からMAP法や晶析法でリンを回収する方法が知られている(小島利広等、高リン濃度排水を対象とした晶析脱リン法の制御に関する研究、環境工学研究論文集、39、P.307−315)。
更に、生物学的リン除去法で、汚泥中に濃縮したリンを回収する又他の方法(従来の第三の脱リン方法)としては、返送汚泥と原水とが混合した状態の混合液をリン溶出槽内から引き抜き、MAP反応塔で処理することにより、混合液中のリンをMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)として回収する技術が知られている(大隈俊之等、MAP施設の運転管理について、第36回下水道研究発表会講演集、P.800−832、1999)。
一方、標準活性汚泥法では、処理水中のリン濃度が高く、三次処理することが望まれている。而して、三次処理法として水処理系からリン回収を行う場合は、晶析脱リン法(従来の第四の脱リン方法)や凝集剤を用いる脱リン方法(凝集剤添加法)(従来の第五の脱リン方法)が知られている。
晶析脱リン法(従来の第四の脱リン方法)は、正リン酸とカルシウムイオンとの反応に基くものであり、余剰汚泥の増加を伴わない点で好ましく、凝集剤添加法(従来の第五の脱リン方法)は、アルミニウムイオン、鉄(III)イオン等の酸化金属陽イオンが正リン酸と反応して難溶性のリン酸塩を生成することを利用し、硫酸アルミニウム等の凝集剤を排水に混和して、難溶性リン酸塩から形成されるフロック(生物由来のフロックを含む)を沈殿分離するものである。
一方、嫌気・好気法や嫌気・無酸素・好気法の嫌気槽にてポリリン酸蓄積細菌が放出したリンを回収するものについては、中間沈殿池法(従来の第六の脱リン方法)が知られている。
有機性排水を好気的に処理する先行文献として特許文献1がある。特許文献1では、水平に配置した多孔質棒状体を導液性のシートにより上下方向へ接続して浄化帯を形成し、該浄化帯に好気性微生物を集積させて、浄化帯の上方から有機性排水を流下させ、好気性微生物の存在下で、有機性排水を空気と接触させ、排水中の有機物を分解するようにしている。
特開平10−263578号公報
上述の従来の第一の脱リン方法(生物学的リン除去法)にあっては、排水の好気処理工程時に多量の空気が必要であるため、多大な曝気動力が必要となり、大きな問題となっている。
又、従来の第二、第三の脱リン方法(生物学的リン除去法)にあっては、何れも汚泥処理系からリンを回収しており、汚泥から排出されるSS分の影響で処理性能が不安定になることや、汚泥輸送管内にMAPが閉塞すること等が報告されており、CEEP(Centre Europeen d'Etudes des Polyphates)では、水処理系からのリン回収が望ましいと提唱されている。
更に、従来の第四の脱リン方法(晶析脱リン法)は、上述したように、正リン酸とカルシウムイオンとの反応に基づくものであり、余剰汚泥の増加を伴わない点では好ましいが、アパタイト晶析のために必要な条件(例えば、前処理による炭酸イオン等の晶析妨害物質の除去、pH調整、温度調整等)を厳密にコントロールする必要があり、適用が限定される。しかも、従来の第四の脱リン方法(晶析脱リン法)は処理コストも高くなるため、大規模な原水の処理には好ましいとは言えない。
更に又、従来の第五の脱リン方法(凝集剤添加法)では、5〜20%程度の余剰汚泥の増加が認められるため、リン成分を多量に含む余剰汚泥を大量に投棄することとなり、環境保全の見地からは好ましい方法とはいえない。
従来の第六の脱リン方法(中間沈殿地法)では、被リン回収水として嫌気槽のリン濃度が汚泥処理系からの被リン回収水に比べ低く、リン回収のための化学的固定手段が限定的であり、経済的なリン回収が困難である。
更に、特許文献1の手段では、好気性微生物により排水中の有機物を分解して排水の清浄化を行なってはいるが、リンの回収については何等考慮されてはいない。
本発明は上述の実情に鑑みなしたもので、従来の第一の脱リン方法(生物学的リン除去法)のように、嫌気性処理、好気性処理を繰返す方法では、空気(酸素)を好気槽の液相へ供給するため、多大な曝気動力が必要であったが、本発明では空気を容器内の気相へ供給するようにして、好気時の曝気動力を低減させることを目的としている。
又、本発明は、リンの回収に水処理系を採用することにより、輸送管内にMAPが閉塞しないようにすること、運転時の種々の制御を容易に行なうことができるようにすること、処理コストを低減させて大規模な処理に適用し得るようにすること、リンを含んだ汚泥の廃棄量を減少させて環境保全を図ること、迅速且つ安価にしかも安定してリンの回収を継続し得るようにすること、等を目的としている。
更に、本発明は、標準活性汚泥法又は特開平10−263578号公報で三次処理する際に行なう水処理系からリンを回収する際に、被処理水をリン除去されて廃棄する処理水と、リンを高濃度化させた処理水とに分離し、高濃度のリンを含有する処理水から効率良くリンを回収することができるようにすることを目的としている。
本発明の請求項1のリン回収方法は、気相中に配置され且つポリリン酸蓄積細菌が担持された多孔質性の生物反応部材に好気条件下でリン含有水を接触させてポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取させる好気処理工程と、前記生物反応部材に嫌気条件下で有機性水を接触させて有機性水からポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌から有機性水にリンを放出させる嫌気処理工程とを経るものである。
請求項2のリン回収方法は、好気処理工程と嫌気処理工程とを交互に繰返すものであり、請求項3のリン回収方法は、嫌気処理工程でポリリン酸蓄積細菌からリンが放出された有機性水をリン回収処理水として回収するものであり、請求項4のリン回収方法は、リン含有水及び有機性水を、容器内に配置されている生物反応部材に対して流下させ或は散水するものであり、請求項5のリン回収方法においては、好気処理工程時には、容器内に酸素含有ガスを供給するようにしている。
本発明の請求項6のリン回収装置は、ポリリン酸蓄積細菌が担持され且つ気相中に配置された多孔質性の生物反応部材と、該生物反応部材に好気条件下でリン含有水を供給し得ると共に嫌気条件下で有機性水を供給し得る被処理水供給手段と、リンが放出された有機性水を回収するリン含有水回収手段とを備え、好気条件下で生物反応部材にリン含有水を接触させてポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取させ、嫌気条件下で前記生物反応部材に有機性水を接触させてポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌から有機性水にリンを放出させて、リンが放出された有機性水をリン含有処理水として回収するよう構成したものである。
本発明の請求項7のリン回収装置においては、生物反応部材は容器内に配置されており、請求項8のリン回収装置においては、被処理水供給手段は、生物反応部材に沿ってリン含有水或は有機性水を流下させ或は散水する手段であり、請求項9のリン回収装置は、嫌気条件下でリンを放出された有機性水を、容器下部から取出して容器上部に循環させる循環手段を備えたものであり、請求項10のリン回収装置は、容器内に酸素含有ガス或は不活性ガスを供給するガス供給手段と、該ガス供給手段から容器内に供給されるガスの流量を制御する制御手段を備えたものである。
本発明のリン回収方法及び装置では、好気処理工程時に、気相に配置した生物反応部材に好気時被処理水を上から供給しながら、酸素含有ガスを好気時被処理水が流下している気相へ供給しているため、酸素含有ガスは気相部を流下する好気時被処理水に容易に供給され、従って、酸素含有ガスを液中に供給する場合に比べて、大量の酸素含有ガスを気相部へ供給する必要がなく、その結果、曝気動力が少なくて運転コストを低減することができる。
又、本発明のリン回収方法及び装置では、処理水内にリンを回収することができるため、汚泥内に回収する場合のように、輸送管内にMAPが閉塞することがなく、運転時の種々の制御を容易に行なうことができ、処理コストを低減させて大規模な処理を容易に行なうことができ、更に、リンを含んだ汚泥の廃棄量を減少させることができるため、環境保全を図ることが可能であり、しかも、迅速且つ安価且つ経済的に、しかも安定してリンの回収を継続して行なうことができる。
又、本発明のリン回収方法及び装置によれば、標準活性汚泥法や特開平10−263578号公報の処理水を三次処理する際に行なう水処理系からリンを回収する際に、被処理水をリン除去されて廃棄する処理水と、リンを高濃度化させた処理水とに分離し、高濃度のリンを含有する処理水から効率良くリンを回収することができる。すなわち、生物反応部材にポリリン酸蓄積細菌を担持させ、好気処理工程時にはリン含有水から大量にリンを摂取させ、嫌気処理工程時には有機性水にリンの放出を行なわせることにより、水処理系においてリンの高濃度化を図ることができ、効率良くリンの回収が可能となる。
更に、本発明のリン回収方法及び装置によれば、生物反応部材の生物膜保持状態が良好であり、固液分離が容易に行なわれるため、好気処理工程、嫌気処理工程の時間及び被処理水流量、処理水流量を個別に制御することが可能であり、且つ、好気処理工程時の被処理水流量、処理水流量を嫌気処理工程時よりも大幅に増大させることが可能となり、従来の嫌気・好気法による水処理系からのリン回収に比べてリン濃度を上昇させることができる。
更に又、本発明のリン回収方法及び装置によれば、好気処理工程時においては、嫌気処理工程時にポリリン酸蓄積細菌に摂取された有機物は、酸素を使って代謝されるため、好気時に供給される酸素含有ガスの量を制御することにより、容易に嫌気状態に切換えることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図3は本発明を実施する形態の第一例である。
図1に示すように、リン回収装置1は、密閉された中空函体の容器2と、容器2内上部に収納された複数の被処理水供給装置3と、各被処理水供給装置3の側面に幕状に垂下されて容器2内に配置された生物反応ユニット4と、被処理水供給装置3に被処理水5を供給する被処理水供給管路6と、容器2の下部に窒素、アルゴン等の不活性ガスや、空気等の酸素含有ガスをガス7として供給するガス供給管路8と、容器2内に導入されたガス7を排出するためのガス排出管路9と、容器2の下端近傍から所定の処理が終了した処理水10を取出すための処理水取出し管路11を備えている。
被処理水5としては、後述のように、嫌気処理工程で被処理水供給装置3の上流側から被処理水供給装置3を経て生物反応ユニット4下端に達するまでの間を流下する嫌気時被処理水、嫌気処理工程でリン回収装置1を循環され、再び被処理水供給装置3へ導入されて生物反応ユニット4下端に達するまでの間を流れる嫌気時循環被処理水、好気処理工程で被処理水供給装置3の上流側から被処理水供給装置3を経て生物反応ユニット4下端に達するまでの間を流下する好気時被処理水がある。
処理水10としては、後述のように、嫌気処理工程でリン回収装置1の被処理水供給装置3から生物反応ユニット4を経て流下した後、容器2底部から処理水取出し管路11、切換えバルブ23を経て循環管路25へ取出され、被処理水供給管路6から再びリン回収装置1の被処理水供給装置3へ戻される嫌気時循環処理水、嫌気処理工程においてリン回収装置1の循環径路を何回か循環して生物反応ユニット4から流下した後、容器2の底部から処理水取出し管路11、切換えバルブ23を経てリン回収処理水取出し管路26へ取出される嫌気時処理水(リン回収処理水)、好気処理工程で生物反応ユニット4下端から落下して後、容器2の底部から処理水取出し管路11、切換えバルブ23を経てリン除去処理水取出し管路27へ取出される好気時処理水(リン除去処理水)がある。
被処理水供給装置3は上面が開放された深さの浅い箱体状の容器であり、被処理水供給装置3を配した長辺側の側面上縁側には、複数のスリット3aが刻設されている。而して、被処理水供給管路6から供給された被処理水5が被処理水供給装置3に所定量溜まると、被処理水5はスリット3aからオーバーフローして生物反応ユニット4の全幅に亘って供給され均一に流下し得るように構成されている。被処理水供給装置3に形成するスリット3aの形状は、図1に示すような逆三角形形状以外に、種々の形状を採用することができる。
生物反応ユニット4には後に詳述するように、ポリリン酸蓄積細菌が担持されており、好気条件下で、被処理水5を流下させることにより、被処理水5中のリンをポリリン酸蓄積細菌に摂取させ、且つ酸素により代謝を行なわせ、嫌気条件下で被処理水供給装置3から被処理水5を流下させることにより、ポリリン酸蓄積細菌に被処理水5中の有機物を摂取させると共に、ポリリン酸蓄積細菌から被処理水5へリンを放出させるためのユニットである。
而して、図2及び図3に示すように、生物反応ユニット4は、塩化ビニール板12の両面にポリウレタンスポンジ製の生物反応部材13を貼着する等して固設した構造である。生物反応部材13は、導液性のシート14と、シート14に対し一体的に形成されて上下方向に段状に並設された複数の多孔質棒状体15を備えている。
多孔質棒状体15の鉛直方向断面形状は二等辺三角形状で、その頂部は半円形に形成され、上下の多孔質棒状体15,15間にはくびれ部16が形成されている。又、多孔質棒状体15の二等辺三角形状の頂部は水平方向へ突出している。更に、シート14の両面に固設される多孔質棒状体15は、図示するように、一面側の多孔質棒状体15の頂部が他面側の多孔質棒状体15のくびれ部16に対向するよう、高さ方向の位相をずらして設けられている。生物反応ユニット4のシート14及び多孔質棒状体15の多孔質部には、ポリリン酸蓄積細菌が担持されている。
又、2枚の生物反応ユニット4を対向配置した際にも、対向する多孔質棒状体15は、一方の頂部と他方のくびれ部16とが対向するように配置されている。このようにすることにより、対向する2枚の生物反応ユニット4間の流路がジグザク状に形成されて、被処理水5は、対向する生物反応部材13,13間をジグザグに且つ円滑に流下することができるようになっている。
生物反応ユニット4のシート14及び多孔質棒状体15は連続気泡を有する多孔質体であり、連続気泡は孔径5〜5,000μm、好ましくは30〜3,000μm、空隙率は10〜90%、好ましくは30〜90%とする。又、比表面積は500〜10,000m/mとすることが好ましい。更に、生物反応部材13としては、多孔質スポンジのような発泡成形体、或は焼結金属のような粒子若しくは繊維状物の結合体を用いることができる。具体的には、ポリウレタン製等のスポンジ状のものや、セラミックス等の透液性の多孔質体が好ましいが、不織布のような透液性のシートを用いても良い。
多孔質棒状体15の鉛直方向断面形状は、図示例のようなくびれ部16を形成する場合、三角形状の他に矩形状、半円形状等任意の断面形状とすることができるが、図示したような三角形状の場合、多孔質棒状体15の底辺同士が水平方向へ対向するよう、そろばん球状に配置しても良いし、或は四角形状にした場合は長手方向の対角線が水平方向或は垂直方向を向くように配置しても良い。
又、斯かる多孔質棒状体15は、比表面積を大きくするため、図示例のようにくびれ部16を介して上下方向に連続的に接続されているものが好ましいが、くびれ部16を形成する場合は、シート14の片面又は両面に、多孔質棒状体15を貼付けた形状のものが容易に製作することができて好ましい。更に、シート14は織物或は網状のシートやネット等の透液性のシートが好ましいが、樹脂のような非透液性のシートを用いても良い。
被処理水供給管路6は、被処理水供給管路6に対し長手方向に間隔を置いて接続した3本の分岐管路6aを介して、3組の被処理水供給装置3のスリット3aが形成されていない側面に接続されており、被処理水供給装置3のうち、分岐管路6a長手方向の前後の2組の被処理水供給装置3は連通管路6bにより接続されている。
被処理水供給管路6の被処理水供給装置3側とは反対側の端部には、三方弁である切換えバルブ17を介して被処理水供給ポンプ18が接続され、被処理水供給ポンプ18の上流側には、三方弁である切換えバルブ19を介して嫌気時被処理水供給管路20及び好気時被処理水供給管路21が接続されている。
又、ガス供給管路8は、容器2側近傍において、平面視で被処理水供給管路6と略90度角度を異にして、容器2の下側面に接続されていると共に、ガス供給管路8には、嫌気処理工程時にガス7として窒素ガス、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを容器2内に供給し、好気処理工程時にガス7として空気等の酸素含有ガスを容器2内に供給し得るよう、ガス供給ポンプ22が接続されている。
更に、処理水取出し管路11は、ガス供給管路8の容器2に対する接続面と同一の面において、ガス供給管路8から離反して位置するよう、容器2の下側面に接続されており(図1参照)、処理水取出し管路11には、四方弁である切換えバルブ23を介して、中途部に嫌気時循環処理水を循環させるための循環処理水供給ポンプ24を備えた循環管路25が接続されている。又、循環管路25は切換えバルブ17に接続されており、図示してないが必要な箇所には他にもポンプ、バルブが設けてある。
又、切換えバルブ23には、リンが回収されたリン回収処理水を取出すリン回収処理水取出し管路26とリンが除去されたリン除去処理水を取出すリン除去処理水取出し管路27が接続されている。更に、容器2のガス供給管路8及び処理水取出し管路11接続部と反対側の面における上部側には、容器2内を上昇してきたガスを排出するためのガス排出管路9が接続されている。
図1中、28は制御装置であって、流量制御のために、被処理水供給ポンプ18、ガス供給ポンプ22、循環処理水供給ポンプ24と信号の授受を行い得るようになっていると共に、流路制御のために、切換えバルブ17,19,23と切換え信号を与え得るようになっている。
次に、上記した実施の形態の作動を図4〜図7のフロー図をも参照しつつ説明する。なお、図4〜図7中、5aはリン回収装置1に供給される被処理水5のうち嫌気処理工程で処理される嫌気時被処理水、5’は同被処理水5のうち嫌気処理工程で循環処理される嫌気時循環被処理水、5bは同被処理水5のうち好気処理工程で処理される好気時被処理水、10’は同処理水10のうち嫌気処理工程で処理されてリン回収装置1の循環径路を循環する嫌気時循環処理水、10aは生物反応部材13で処理された処理水10のうち嫌気処理工程で処理されてリンリッチとなった嫌気時処理水(リン回収処理水)、10bは同処理水10のうち好気処理工程で処理されてリンを除去された好気時処理水(リン除去処理水)である。
又、嫌気時循環被処理水5’は、被処理水供給管路6の切替えバルブ17よりも下流側、被処理水供給装置3、生物反応部材13下端までの範囲にある嫌気時循環水をいい、嫌気時循環処理水10’は、容器2底部、処理水取出し管路11、循環管路25内の範囲にある嫌気時循環水をいう。更に、以下の説明では、被処理水供給ポンプ18、ガス供給ポンプ22、循環処理水供給ポンプ24の起動停止や切換えバルブ17,19,23の切換えは制御装置28(図1参照)からの指令により行なわれる。
運転は、嫌気処理工程と好気処理工程とが永続的に繰返し行なわれる。嫌気処理工程時には、し尿系汚水、工場排水、下水等の有機性排水が嫌気時被処理水5aとして使用され、好気処理工程時には、し尿系汚水、工場排水、下水等のリン含有排水を図示してない好気工程で処理して得られたリン含有水である標準活性汚泥、又は特開平10−263578号公報の処理水が好気時被処理水5bとして用いられる。
嫌気時処理工程が開始された後所定の時間の間は、リン回収装置1の運転状態は、図4に示すように、生物反応部材13の下方では好気処理工程の後半の運転が継続されており、生物反応部材13の上部側では、嫌気時処理工程の運転が開始される(図4参照)。このため、切換えバルブ23は、処理水取出し管路11とリン除去処理水取出し管路27とが連通し、処理水取出し管路11と、循環管路25、リン回収処理水取出し管路26が遮断されるよう切換っており、切換えバルブ17は、切換えバルブ17の前後で被処理水供給管路6が連通し、被処理水供給管路6と循環管路25とが遮断されるよう切換っており、切換えバルブ19は、被処理水供給管路6と嫌気時被処理水供給管路20とが連通し、好気時被処理水供給管路21と被処理水供給管路6、嫌気時被処理水供給管路20とが遮断されるよう切換っている。又、被処理水供給ポンプ18、ガス供給ポンプ22が駆動され、循環処理水供給ポンプ24は停止している。
而して、容器2の下部においては、生物反応部材13に担持されているポリリン酸蓄積細菌により好気時被処理水5b中のリンが摂取されつつ好気時被処理水5bは生物反応部材13を流下し、リン除去処理水10bとして容器2の底面から処理水取出し管路11へ取出され、処理水取出し管路11からリン除去処理水取出し管路27を経て下流側へ排出される(図4参照)。
一方、容器2の上部側では、嫌気時被処理水5aが被処理水供給装置3へ供給される。すなわち、切換えバルブ19が嫌気時被処理水供給管路20と被処理水供給管路6とが連通するよう切換えられたら、嫌気処理工程において、容器2内の酸素濃度を制御しない場合は、ガス供給ポンプ22により容器2内へ窒素ガス、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの供給が開始される。
而して、嫌気時被処理水5aは、嫌気時被処理水供給管路20、被処理水供給管路6、分岐管路6aを経て被処理水供給装置3へ導入されると共に、連通管路6b(図1参照)から、下流側の被処理水供給装置3へ送給される。
嫌気時被処理水5aが上、下流側の被処理水供給装置3へ溜まると、嫌気時被処理水5aは前後の被処理水供給装置3のスリット3a(図1参照)からオーバフローして生物反応ユニット4の全幅に亘って均一に流下を行なう(図4参照)。嫌気時被処理水5aは、鉛直方向へ配置した複数の多孔質棒状体15間を上方から下方へ順次流下するが、一気に流下するのではなく、複数の多孔質棒状体15及びシート14の表面形状に沿い、順々に伝いながらゆっくりと下降する。この際、生物反応部材13に担持されているポリリン酸蓄積細菌は、嫌気時被処理水5a中の有機物を摂取すると共に、ポリリン酸蓄積細菌が取込んでいたリンを嫌気時被処理水5aに放出する。このため、嫌気時被処理水5aは、生物反応部材13に対する流下を行いつつ、嫌気時被処理水5a中のリン濃度は徐々に高まる。
而して、時間の経過と共に、上方からは嫌気時被処理水5aが生物反応部材13を流下し、所定流量の嫌気時被処理水5aを供給し終えると、切換えバルブ23は、処理水取出し管路11と循環管路25が連通し、処理水取出し管路11とリン除去処理水取出し管路27、リン回収処理水取出し管路26とが遮断されるよう切換わる。又、循環処理水供給ポンプ24が駆動される。
生物反応部材13を流下して容器2の底部に流下した嫌気時被処理水5aは嫌気時循環処理水10'として、処理水取り出し管路11から循環管路25へ送給される。循環処理水供給ポンプ24が稼動し始めたときに、好気時処理水10bが生物反応部材13や処理水取出し管路11に残っていても循環されることにより嫌気時被処理水5aと混合され、生物反応部材全体が嫌気処理工程となる。
嫌気時被処理水5aが所定量供給し終えると、切替えバルブ17は、切替えバルブ17の前後で被処理水供給管路6が遮断され、循環管路25と被処理水供給管路6の切替えバルブ17下流側が連通するように切換わる。
このため、循環管路25内の嫌気時循環処理水10’は、循環処理水供給ポンプ24により循環管路25を送給されて、嫌気時循環被処理水5’として被処理水供給管路6から被処理水供給装置3へ供給され、被処理水供給管路6、被処理水供給装置3、生物反応部材13、容器2底部、処理水取出し管路11、循環管路25、被処理水供給管路6の径路を循環する(図5参照)。而して、循環した嫌気時循環被処理水5’中の有機物は生物反応部材13に担持されているポリリン酸蓄積細菌に摂取され、ポリリン酸蓄積細菌からは、嫌気時循環被処理水5’にリンが放出される。その結果、嫌気時処理水10aはリンリッチとなる。
嫌気時循環水が嫌気時循環被処理水5’、嫌気時循環処理水10’として循環する際、嫌気時循環被処理水5’は被処理水供給装置3のスリット3aをオーバフローして生物反応部材13の全幅に亘って均一に流下する。この際、生物反応部材13に担持されているポリリン酸蓄積細菌は、嫌気時循環被処理水5’中の有機物を摂取すると共に、嫌気時循環被処理水5’にリンを放出する。その結果、更に嫌気時循環被処理水5’中の有機物の濃度は減少し、リンの濃度は上昇する。
嫌気時循環被処理水5’、嫌気時循環処理水10’である嫌気時循環水が、被処理水供給装置3、生物反応部材13、容器2底部、処理水取出し管路11、循環管路25、被処理水供給管路6、被処理水供給装置3を所要回数循環して、所定時間経過すると、切換えバルブ23は、処理水取出し管路11とリン回収処理水取出し管路26とが連通し、処理水取出し管路11と循環管路25、リン除去処理水取出し管路27とが遮断されるよう切換わり、循環処理水供給ポンプ24は停止する。
このため、図6に示すように、容器2からはリンリッチとなった嫌気時循環処理水10’が、リンが高濃度化したリン回収処理水10aとして、処理水取出し管路11へ取出され、リン回収処理水取出し管路26を経て後工程に送給され、MAPや晶析法等を適応することにより、リンは資源化される。具体的には、リン肥料、工業用途での黄燐の作成等に適用される。
リン回収処理水10aが、リン回収処理水取出し管路26から回収を開始されると、リン回収装置1では好気処理工程が開始される。すなわち、切換えバルブ17は、前後の被処理水供給管路6が連通し、被処理水供給管路6と循環管路25が遮断されるよう切換わり、切換えバルブ19は被処理水供給管路6と好気時被処理水供給管路21とが連通し、嫌気時被処理水供給管路20と好気時被処理水供給管路21及び被処理水供給管路6が遮断されるよう切換わり、被処理水供給ポンプ18が駆動され、空気等の酸素含有ガス供給のためにガス供給ポンプ22が駆動される。
而して、好気処理工程が開始されて、好気時被処理水供給管路21を通り被処理水供給ポンプ18により被処理水供給管路6へ導入された好気時被処理水5bは、被処理水供給管路6内を嫌気時循環被処理水5’であった嫌気時循環水に従って送給されて被処理水供給装置3へ貯留されるが、生物反応部材13の下部には、まだ残存する嫌気時循環被処理水5’が流下しており、リン回収処理水取出し管路26からのリン回収処理水10aの取出しが継続される(図6参照)。
好気時被処理水5bが被処理水供給装置3に所定の状態に溜まると、好気時被処理水5bは、生物反応部材13の幅全体に亘り均一にゆっくりと流下するが、この際、好気時被処理水5bに含有されているリンは、生物反応部材13の多孔部内に担持されているポリリン酸蓄積細菌により摂取されると共に、ポリリン酸蓄積細菌は酸素の存在下で代謝を行なう。又、好気時被処理水5bは、流下するに従いリン含有量が減少する。
嫌気時循環水である嫌気時循環処理水10’がリン回収処理水10aとして、全量リン回収処理水取出し管路26から後工程へ送給されると、切換えバルブ23は、処理水取出し管路11とリン除去処理水取出し管路27が連通し、処理水取出し管路11と循環管路25、リン回収処理水取出し管路26とが遮断されるように切換えられる。このため、生物反応部材13でポリリン酸蓄積細菌にリンを回収されたリン除去処理水10bは容器2から処理水取出し管路11へ取出され、リン除去処理水取出し管路27を経て後工程へ供給される(図7参照)。
好気処理工程が所要時間経過して例えば、生物反応部材13に担持されたポリリン酸蓄積細菌に所定量のリンが摂取されたら、再び嫌気処理工程に移行するが(図4参照)、この場合は切換えバルブ19は、嫌気時被処理水供給管路20と被処理水供給管路6とが連通し、好気時被処理水供給管路21と被処理水供給管路6、嫌気時被処理水供給管路20とが遮断されるよう切換えられる。
その結果、被処理水供給管路6内には、被処理水供給ポンプ18によって嫌気時被処理水5aが送給を開始され、前述と同様にして運転が継続される。その結果、嫌気処理工程と好気処理工程は永続的に繰返される。処理工程を嫌気処理工程から開始した場合、リン回収処理水10aを回収するためには、最低限、好気処理工程と2回目の嫌気処理工程が行なわれることになる。空気供給量制御を行なう場合、嫌気処理工程に戻る際には、ガス供給ポンプ22を停止して容器2内の酸素濃度を低下させる。
本図示例によれば、好気処理工程時に気相に配置した生物反応部材13に好気時被処理水5bを上から流下させながら、ガス供給ポンプ22により空気を供給しているため、空気を液中に供給する場合に比べて、大量の空気を供給する必要がなく、従って、曝気動力が少なくて運転コストを低減することができ、又、好気時被処理水5b内にリンを回収することができるため、汚泥内に回収する場合のように、輸送管内にMAPが閉塞することがなく、運転時の種々の制御を容易に行なうことができ、処理コストを低減させて大規模な処理を容易に行なうことができ、更に、リンを含んだ汚泥の廃棄量を減少させることができるため、環境保全を図ることが可能であり、しかも、迅速且つ安価且つ経済的に、しかも安定してリンの回収を継続して行なうことができる。
又、本図示例では、標準活性汚泥法又は特開平10−263578号公報で処理した処理水を三次処理する際に行なう水処理系からリンを回収する際に、被処理水をリン除去されて廃棄する処理水と、リンを高濃度化させた処理水とに分離し、高濃度のリンを含有する処理水から効率良くリンを回収することができる。すなわち、生物反応部材13にポリリン酸蓄積細菌を担持させ、好気処理工程時にはリン含有排水から大量にリンを摂取させ、嫌気処理工程時には有機性排水にリンの放出を行なわせることにより、水処理系においてリンの高濃度化を図ることができ、効率良くリンの回収が可能となる。
又、本図示例によれば、生物反応部材13の生物膜保持状態が良好であり、固液分離が容易に行なわれるため、好気処理工程、嫌気処理工程の時間及び被処理水流量、処理水流量を個別に制御することが可能であり、又、好気処理工程時の被処理水流量、処理水流量を嫌気処理工程時よりも大幅に増大させることが可能となり、従来の嫌気・好気法による水処理系からのリン回収に比べてリン濃度を上昇させることができる。
更に、好気運転時には、嫌気工程時にポリリン酸蓄積細菌に摂取された有機物は、酸素を使って代謝されるため、好気時に酸素量を制御することにより、容易に嫌気状態に切換えることができる。
図8、図9は本発明を実施する形態の第二例である。
而して、本図示例においては、図9に示すように、軸心Lに対して直行する方向の断面形状が円形の短柱体である円筒状多孔質性スポンジを生物反応部材31として使用するようにしている。生物反応部材31は外周面を樹脂製の補強部材32により補強されている。
生物反応部材31の空隙率、比表面積、材質は前記実施の形態の第一例の生物反応部材13と同様にする。又、網目状の容器34内に多孔質性の生物反応部材31を収納する場合は、図示例の形状の他に、軸心に対して直交する方向の断面形状が矩形状の短柱状、同じく軸心に対して直交する方向の断面形状が三角形状の短柱状、等任意の断面形状とすることができるが、強度を高めるためには、断面形状を図示例のような短円柱状とすると良い。補強部材32は透水性の問題から外部を完全に覆ってしまうのではなく、細い骨組み部材を使用して多孔部に被処理水が流下し易いようにするのが望ましい。
有底円筒状の容器33には、無底無蓋の網目状で且つ円筒状の複数の容器34が多段に収納され、容器34内には図9に示す形状の生物反応部材31が多数収納されている。容器34内の生物反応部材31の向きは任意となる。
容器33の上部には、嫌気時被処理水5a及び好気時被処理水5bが供給される被処理水供給管路35が容器33の軸心と合致するよう縦向きに配置されており、被処理水供給管路35の下端には、スプリンクラのような被処理水散水装置36が旋回可能に設けられている。又、図中、37は容器33の下端部近傍に接続されて窒素等の不活性ガス或は空気等の酸素含有ガスといったガス38を容器33内に供給するようにしたガス供給管路、39は容器33の上端部近傍に接続されてガス38を排出するガス排出管路、40は容器33の下端部近傍にガス供給管路37と180度位相を異ならしめ且つガス供給管路37よりも下方に位置するよう接続された処理水取出し管路であり、嫌気時処理水として嫌気時循環処理水10’又はリン回収処理水10a、好気時処理水としてリン除去処理水10bが取出し得るようになっている。
又、図1に示す装置と略同様、被処理水供給管路35の上流側には、被処理水供給管路35に嫌気時被処理水5a、嫌気時循環被処理水5’、好気時被処理水5bを供給し得るようした被処理水供給管路6、切換えバルブ17、嫌気時被処理水5a、好気時被処理水5bを供給し得るようした被処理水供給ポンプ18、切換えバルブ19、嫌気時被処理水供給管路20、好気時被処理水5bを供給し得るようにした好気時被処理水供給管路21が設けられており、処理水取出し管路40下流側には、切換えバルブ23、リン回収処理水取出し管路26、リン除去処理水取出し管路27、循環処理水供給ポンプ24を備えた循環管路25が設けられており、循環管路25は切換えバルブ17に接続されている。又、被処理水供給ポンプ18、循環処理水供給ポンプ24や、切換えバルブ17,19,23の制御は図1の場合と同様、制御装置により行なわれるため、以下の説明では詳細は省略する。
本図示例においては、前記図示例の場合と同様、嫌気時被処理水5aとして、し尿系汚水、工場排水、下水等の有機性排水が使用され、好気時被処理水5bとして、し尿系汚水、工場排水、下水等のリン含有排水を図示しない好気処理工程で処理して得られたリン含有排水である標準活性汚泥、又は特開平10−263578号公報の処理水が用いられ、前記図示例の場合と略同様にして運転が行われる。各切換えバルブの切換えやポンプの起動、停止の手順も前記図示例と同様であるため、これらの操作についての詳細は省略する。
本図示例では、嫌気処理工程においては、嫌気時被処理水供給管路20、被処理水供給管路6,35を経て旋回している被処理水散水装置36から、嫌気時被処理水5aが生物反応部材31に散布され、散布された嫌気時被処理水5aは、生物反応部材31の外周面に沿いゆっくりと流下するが、嫌気時被処理水5aに含有されている有機物は、生物反応部材31の多孔部に担持されているポリリン酸蓄積細菌に摂取され、ポリリン酸蓄積細菌からは嫌気時被処理水5aにリンが放出されてリンリッチな処理水となる。
嫌気時処理工程が開始されてから所定の時間の間は、容器33の下部では、好気時被処理水5bが流下しているため、リン除去処理水10bがリン除去処理水取出し管路27から排出されている。しかし、嫌気時被処理水5aが下降して容器33の底部に降下する状態になると、リンが含有された嫌気処理工程時の嫌気時処理水は、処理水取出し管路40へ取出され始める。
而して、この場合は、嫌気時循環処理水10’が、循環処理水供給ポンプ24により循環管路25、被処理水供給管路6,35と循環し、嫌気時循環被処理水5’として被処理水散水装置36から容器33内の生物反応部材31に向けて散布され、生物反応部材31を流下する。嫌気時循環被処理水5’に含有されている有機物は、生物反応部材31のポリリン酸蓄積細菌に摂取され、ポリリン酸蓄積細菌からは嫌気時被処理水5aにリンが放出され、容器33底部から、処理水取出し管路40へ取出され、実施の形態の第一例と同様の径路で循環する。
循環が終了すると、嫌気時循環処理水10’はリン回収処理水10aとして、リン回収処理水取出し管路26から後工程へ供給され、MAPや晶析法等を適応することにより、リン肥料、工業用途での黄燐の作成等に適用されて資源化される。なお、嫌気処理工程時には、容器33内へは空気等の酸素含有ガスを供給しないか、或は、ガス供給管路37から窒素ガス等の不活性ガスを供給する。
リン回収処理水10aがリン回収処理水取出し管路26から取出しを開始されると、好気処理工程が開始される。好気処理工程においては、好気時被処理水供給管路21、被処理水供給管路6,35を経て旋回している被処理水散水装置36から生物反応部材31に散布された好気時被処理水5bは、生物反応部材31の外周面に沿いゆっくりと流下するが、好気時被処理水5bに含有されているリンは、生物反応部材31の表面や内部の連続する気泡である多孔部に担持されているポリリン酸蓄積細菌に摂取される。又、リンを摂取されたリン除去処理水10bは、処理水取出し管路40からリン除去処理水取出し管路27を経て排水される。なお、好気処理工程時には、容器33内へはガス供給管路37から空気等のガス38を供給する。而して、ガス38は容器33内を上昇するが、酸素がポリリン酸蓄積細菌の代謝に利用される。容器33内を上昇したガス38はガス排出管路39から排気される。
好気処理工程が所定時間継続した後には、再び前述と同様にして嫌気処理工程が開始され、好気処理工程と嫌気処理工程が永続的に繰返されることになる。
而して、本図示例においても、リンを高濃度化した処理水を得ることができる等、前述の図示例と同様な作用効果を得ることができる。
図10、図11は本発明を実施する形態の第三例である。
基本的構成は図8、図9に示す第二例と似ているが、異なるところは、保水部材が中空円筒状で、容器が矩形状である点である。図中、図8、9に示すものと同一の符号のものは、形状が異なってはいても同一の機能を有している。
而して、本図示例においては、図11に示すように、生物反応部材31として、軸心Lに対して直行する方向の断面形状が中心部を軸心方向にくり抜かれた円筒状の短柱体である中空円筒状多孔質性スポンジを使用するようにしている。又、生物反応部材31は、製造時に樹脂を混ぜて製造されており、スポンジ本体の強度が高い硬質スポンジである。31aは生物反応部材31の中空孔である。中空孔31aを設けたのは、比表面積を上げるためである。
生物反応部材31の空隙率、比表面積、材質は前記実施の形態の第二例の生物反応部材31と同様である。又、生物反応部材31は図示例の形状の他に、軸心Lに対して直交する方向の断面形状を中心部においてくり抜き、図11のように貫通形状に形成された中空矩形状の短柱状や、断面形状が中空三角形状の短柱状、等任意の中空断面形状とすることができるが、強度を高めるためには、断面形状を図示例のような中空短円柱状とすると良い。
本図示例においても、第一、第二の図示例と同様の作用効果を奏することができるため、詳細な説明は省略する。
本発明の上記図示例においては、上述したように、被処理水として、好気処理工程時においては、し尿系汚水、工場排水、下水等、リン酸態リンを含有するものである。有機性リンを含む場合、嫌気処理又は好気処理によりリン酸態リンに分解して本方法に用いても良い。好気工程処理時の被処理水としては、有機物を含むものでもリン回収が可能であるが、ポリリン酸蓄積細菌の代謝経路の問題上、有機分が少ない方がより望ましい。嫌気処理工程時の被処理水となるものは、上述のように、し尿系汚水、工場排水、下水等で、有機物を含有するものである。
ポリリン酸蓄積細菌は、短鎖の脂肪酸を基質とするため、下水からリン回収を行なう場合は、初沈汚泥やそれを重力濃縮させたものを嫌気条件に曝することで酸生成させ、短鎖の脂肪酸を生成させ、嫌気時被処理水に放出させるようにすることが望ましい。好気処理工程時の好気時被処理水5bとして、標準活性汚泥法や特開平10−263578号公報の処理水を用いる場合、硝酸を含有していることから、嫌気条件下で嫌気処理工程時の嫌気時被処理水5aと混合すると脱窒反応が起こり、有機物が脱窒菌により消費されるという問題がある。
そこで、嫌気処理工程時の最初に初沈後の処理水を流下させ、好気処理工程時に流入させた被処理水を容器2,33から排除してから、酸生成させた下水汚泥を流下させることがより望ましい。嫌気処理工程時の嫌気時被処理水5aとしてし尿、食品排水等を用いる場合でも、同様に酸生成させることが望ましい。
本発明の図示例において、ポリリン酸蓄積細菌は、嫌気雰囲気で有機物を摂取しながらリンを放出し、有機物が無い状態で好気又は無酸素雰囲気でリン摂取を行わせるような、従来の生物学的リン除去法に用いられるものと同様である。このようなポリリン酸蓄積細菌は、リンを含有した有機性排水を処理する際に、嫌気雰囲気と好気雰囲気を繰返すことにより増殖する。本図示例において植種する汚泥として、一般的な嫌気・好気法又はその変法の場合に使用している汚泥を採取し、そのまま生物反応部材に付着させて使用することができる。
又、本発明の図示例において、嫌気処理工程の際に、処理水取出し管路11から容器2内に空気が侵入するのを防止するためには、嫌気時処理水を容器2の底面に溜めることで水封手段を形成することが望ましい。
更に、嫌気処理工程の際にリンが放出される処理水中のリンの濃度を高めるためには、嫌気処理工程時の嫌気時被処理水5aの単位時間当たりの水量を少なくするか、或は、好気時間を延ばして、ポリリン酸蓄積細菌への好気時被処理水5b中へのリンの摂取量を増加させるようにすると良い。しかし、好気処理工程における好気時被処理水5bの被処理時間を延ばすことは、ポリリン酸蓄積細菌の内部蓄積物質が内生呼吸することに繋がり、良好なリンの摂取には限界がある。
更に又、嫌気時被処理水5aの生物反応部材13における流下時間が短縮されることは、生物反応部材13に担持されたポリリン酸蓄積細菌による有機物の摂取を阻害する。このため、嫌気処理時間は0.5〜6時間、又、好気処理時間を1〜20時間程度とすることが望ましく、嫌気処理時間と好気処理時間との比は、1対1〜1対4程度とすることが望ましい。
又、本発明の図示例では、嫌気処理工程と好気処理工程の被処理水について、各々の流量を任意に設定することができる。嫌気処理工程時にリンが放出される処理水のリン濃度を高めるためには、好気処理工程時の大量の被処理水から、生物反応部材13、等に担持されているポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取して蓄積させ、嫌気処理工程時に少量の被処理水にリン放出するとリン濃度が飛躍的に上昇する。そこで、嫌気処理工程時の流入する嫌気時被処理水量に対し、好気処理工程時の流入する好気時被処理水量を多く設定することが望ましい。
更に、本発明の図示例においては、好気処理工程時に流入される好気時被処理水には、硝酸、亜硝酸といった電子受容体となり得る物質が含まれていることがある。これらは、ポリリン酸蓄積細菌が好気処理工程時に使用する酸素の代替として用いることができる。一般的には、ポリリン酸蓄積細菌は気相部から供給した空気から好気処理工程時に必要な酸素を摂取するが、被処理水に含まれる硝酸、亜硝酸を用いてリン摂取を行わせてもよい。又、栄養塩除去の観点から酸素含有ガス供給量を硝酸、亜硝酸の流入量に合わせて制御することが望ましい。
更に又、本発明の図示例において、処理水のリン濃度を高濃度化させるためには、少量の嫌気時被処理水に十分にリン放出させることが望ましい。十分なリン放出の観点からは嫌気処理時間を十分確保することが必要で、高濃度化の観点からは嫌気時被処理水の水量を極力少なくする必要がある。しかしながら、本図示例のようなプラグフロー的流れであるシステムでは、生物反応部材から被処理水が自然流下してしまうため、有機物が多孔質性の生物反応部材に十分行き渡らなくなる問題や、短絡流の問題が生じる。そこで、嫌気処理時間を十分に保持するには、前記各例のように、嫌気処理工程時の処理水を処理水流出側から被処理水流入側に向けてポンプアップし、循環を行うことが望ましい。
[実験例]
本発明者は、本発明の作用効果を確認するために、図1に示す装置に類似した図12に示す装置を用いて実験を行なった。図12中、41は容器、42a,42bは容器41内に対向配置されるよう収納した生物反応部材である。
容器41は、内径5cm×5cm、高さ2m、容積5.0Lの水平断面が矩形状である。生物反応部材42a,42bは、図13に示すように、鉛直方向の断面形状が二等辺三角形で三辺が4.0×2.8×2.8cmの、ポリウレタンスポンジ(全スポンジ容積:1.253L)からなる多孔質分割体(長さ3.6cm)である。この多孔質分割体を上下方向へ生物反応部材42a側を43列、生物反応部材42b側を44列配置して、一方の生物反応部材42a,42bの頂部が他方の上下の生物反応部材42b,42b,42a,42a間のくびれ部に向くよう上下に平行に並べ、2枚の塩化ビニル板に長辺部を糊付けされている。
43は嫌気時被処理水44が貯留される貯槽、45は好気時被処理水46が貯留される貯槽、47は中途部に嫌気時被処理水供給ポンプ48が設けられた嫌気時被処理水供給管路、49は中途部に好気時被処理水供給ポンプ50が設けられた好気時被処理水供給管路、51は嫌気時被処理水供給管路47、好気時被処理水供給管路49に接続されて嫌気時被処理水44或は好気時被処理水46を容器41内の最上部の生物反応部材42bの上部に供給するようにした被処理水供給管路である。
52は中途部に循環水供給ポンプ53を備え、嫌気処理工程において容器41の底部に流下した嫌気時循環水54を容器41内の最上部の生物反応部材42bの上部に供給するようにした循環水供給管路、55は中途部に被処理水上昇ポンプ56を備え且つ生物反応部材42b側を流下した好気時被処理水46をポンプアップして容器41内の最上部の生物反応部材42aの上部に供給するようにした管路、57はリンリッチとなった嫌気時循環水54をリン回収処理水58として、又、好気時被処理水46をリン除去処理水59として容器41底部から排出するための処理水排出コックである。
60は中途部に電磁弁61を備えて嫌気処理工程時に窒素ガスボンベ62からの窒素ガス63を供給する窒素ガス供給管路、64は中途部に空気供給ポンプ65を備えて好気処理工程時に空気66を供給するための空気供給管路、67は空気供給管路64及び窒素ガス供給管路60に接続されて空気66又は窒素ガス63を容器41内の底部に供給するためのガス供給管路、68は容器41の上部側に接続され且つ容器41からガスを排出するためのガス排出管路、69はガス排出管路68から容器41内に外気が侵入するのを防止するための水封装置である。
70は嫌気時被処理水供給ポンプ48及び好気時被処理水供給ポンプ50の起動停止を行うためのタイマ、71は電磁弁61の開閉を切換え或は、空気供給ポンプ65の起動停止を行なうためのタイマである。又、容器41内の酸素濃度は制御し得るようになっている。すなわち、図示してない検出器により検出した容器41内の酸素濃度を基に、例えば、空気供給ポンプ65の回転数制御を行ない、容器41中の酸素濃度の制御を行い得るようになっている。
実験を行なう際には、リン回収装置を20℃の恒温室内に設置し、ポリリン酸蓄積細菌を担持させるために、生物反応部材42a,42bに都市下水を処理して得られた返送汚泥を約10L植種した。試験に用いた嫌気時被処理水44は酢酸を炭素源とした人工合成排水であり、その他の成分として、リンを5mgP/L、窒素源としてアンモニアを含有し、有機物濃度は300mgCOD/Lになるように調整した。又、好気時被処理水46にはリン5mgP/Lと硝酸が入った人工排水を利用した。更に、各排水にはミネラル、微量元素を添加した。
嫌気処理工程における嫌気条件の作成は、嫌気運転の開始から10分間のみ、窒素ガスボンベ62から窒素ガス供給管路60、ガス供給管路67を介し容器41内に窒素ガスを供給することにより行なった。好気処理工程時の好気条件の作成は、空気供給ポンプ65により空気供給管路64、ガス供給管路67を介し容器41内に、十分な空気を供給することで行った。
各処理工程の時間は、嫌気処理工程は4時間、好気処理工程は8時間で実験を行なった。生物反応部材42bの最上部から生物反応部材42bの最下部に達し、被処理水上昇ポンプ56により管路55を介して生物反応部材42aの最上部にポンプアップされ、生物反応部材42aの最上部から生物反応部材42aの最下部に達するまでの水理学的滞留時間は、嫌気処理工程時、好気処理工程時の何れにおいても40分に設定し、それに合わせて嫌気時被処理水44、好気時被処理水46の流量を調整した。ここで、水理学的滞留時間とは、生物反応部材42a,42bの総容積を嫌気時被処理水44又は好気時被処理水46の単位時間当たりの流量で割った値で、水理学的滞留時間の間被処理水を流下させれば、生物反応部材42a,42bに滞留している被処理水が、嫌気時被処理水44から好気時被処理水46に入替わり、或は好気時被処理水46から嫌気時被処理水44に入替わる時間をいう。
而して、嫌気処理工程時には、嫌気時被処理水44を嫌気時被処理水供給ポンプ48により貯槽43から容器41の頂部側に供給し、生物反応部材42bを40分間流下させた。しかる後、嫌気時循環水54を循環水供給ポンプ53により、容器41下部、循環水供給管路52を介して、再び容器41上部に供給し、斯かる径路を経て3時間20分の間循環させ、嫌気時被処理水44に担持されているポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌からリンを嫌気時被処理水44に放出させ、リンの濃度が濃くなった処理水をリン回収処理水58として処理水排出コック57を開き排出させた。
又、処理水排出コック57を開いて嫌気時循環水54の排出が開始されたら、すなわち、嫌気処理工程が開始されてから4時間経過したら、好気時処理工程を開始した。好気時被処理水供給ポンプ50を稼動して、貯槽45内の好気時被処理水46を好気時被処理水供給管路49、被処理水供給管路51を介して容器41に供給し、生物反応部材42b側を流下させ、容器41の底部に達した好気時被処理水46を被処理水上昇ポンプ56により、管路55を上昇させて容器41内へ戻し、生物反応部材42a側を流下させた。
而して、この間に好気時被処理水46中のリンは生物反応部材42a,42bに担持されているポリリン酸蓄積細菌に摂取され、リンが減少したリン除去処理水59は処理水排出コック57を開いて外部へ排出した。
上記実験の結果を図示すると図14〜図16のグラフが得られた。
図14はリン(PO−P)の濃度(mg/L)の経時的変化を示すグラフである。而して、図14のグラフでは、容器41内への嫌気時被処理水44の流入を40分行い、その後3時間20分に亘り循環を行い、循環を終了し、容器41内への好気時被処理水46の流入を開始した際の時間を0時間としている。
このグラフは、好気処理工程が開始された後の嫌気処理工程最後の40分間において、図12の処理水排出コック57から排出された、リン濃度の高いリン回収処理水58(嫌気時処理水)のリンの濃度は約40〜60mg/Lであるが、貯槽43から容器41に供給された嫌気時被処理水44のリンの濃度が約5mg/Lであるため、ポリリン酸蓄積細菌からは約35〜55mg/Lのリンが放出されたことを意味し、又、好気処理工程においては、好気時被処理水46中の約5mg/Lのリンが殆どポリリン酸蓄積細菌に摂取されていることを意味する。
図15はCOD(化学的酸素要求量)の濃度の経時的変化を示すグラフである。而して、図15のグラフでは、容器41に供給された嫌気時被処理水44のCOD(化学的酸素要求量)の濃度が300mg/Lの場合に処理水排出コック57から排出された嫌気時処理水であるリン回収処理水58、好気時処理水であるリン除去処理水59に含まれているCODの濃度を示している。図15からは、嫌気時被処理水44のCODは8割方ポリリン酸蓄積細菌により摂取されることが分かる。
図16は図14に示す嫌気時処理水であるリン回収処理水58をリンの濃度の高いところから回収していったときの処理水回収率(回収する処理水の全量を100%とする)とリン回収濃度(mg/L)及びリン回収率(%)との関係を示す。処理水排出コック57から排出されたリン回収処理水58を回収開始から5%程度回収した際のリン回収濃度は約54(mg/L)、リン回収率は約57%、10%程度回収した際のリン回収濃度は約45(mg/L)、リン回収率は90%である。
このグラフから回収した嫌気時処理水の約10%回収すれば、リンは90%程度回収でき、従って、能率良くリン回収作業を行なうことができる。
なお、本発明のリン回収方法及び装置においては、リン含有水や有機性水として排水を使用する場合について説明したが、排水でなくて人工水でも実施可能なこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のリン回収方法及び装置を説明するためのリン回収装置の実施の形態の第一例の斜視図である。 図1のリン回収装置に適用する生物反応部材の斜視図である。 図2の生物反応部材を2組組付けた状態を示す拡大図である。 図1に示すリン回収装置を用いてリンの回収を行うための概要図で、好気処理工程の後半において、嫌気処理工程が開始された状態を示す概要図である。 図1に示すリン回収装置を用いてリンの回収を行うための概要図で、嫌気処理工程において嫌気時循環水が循環する状態を示す概要図である。 図1に示すリン回収装置を用いてリンの回収を行うための概要図で、嫌気処理工程の終盤において、好気処理工程が開始された状態を示す概要図である。 図1に示すリン回収装置を用いてリンの回収を行うための概要図で、好気処理工程において、好気時処理水としてリン除去処理水が排出される状態を示す概要図である。 本発明のリン回収方法及び装置を説明するためのリン回収装置の実施の形態の第二例の斜視図である。 図8のリン回収装置に適用する生物反応部材の斜視図である。 本発明のリン回収方法及び装置を説明するためのリン回収装置の実施の形態の第三例の斜視図である。 図10のリン回収装置に適用する生物反応部材の斜視図である。 本発明のリン回収方法及び装置の作用効果を確認するための実験装置の概要図である。 図12の実験装置に適用する生物反応部材の斜視図である。 図12の装置を用いて実験を行なった場合の嫌気処理工程と好気処理工程におけるリンの濃度の経時的変化を示すグラフである。 図12の装置を用いて実験を行なった場合の嫌気処理工程と好気処理工程におけるCODの濃度の経時的変化を示すグラフである。 図12の装置を用いて実験を行なった場合の嫌気処理工程と好気処理工程における処理水回収率とリン回収濃度、処理水回収率とリン回収率の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 リン回収装置
2 容器
3 被処理水供給装置(被処理水供給手段)
5a 嫌気時被処理水(有機性水)
5b 好気時被処理水(リン含有水)
7 ガス(酸素含有ガス、不活性ガス)
8 ガス供給管路(ガス供給手段)
10a 嫌気時処理水(リン回収処理水)
13 生物反応部材
22 ガス供給ポンプ(ガス供給手段)
24 循環処理水供給ポンプ(循環手段)
25 循環管路(循環手段)
26 リン回収処理水取出し管路(リン含有水回収手段)
28 制御装置(制御手段)
31 生物反応部材
33 容器
36 被処理水散水装置(被処理水供給手段)
37 ガス供給管路(ガス供給手段)
38 ガス(酸素含有ガス、不活性ガス)

Claims (10)

  1. 気相中に配置され且つポリリン酸蓄積細菌が担持された多孔質性の生物反応部材に好気条件下でリン含有水を接触させてポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取させる好気処理工程と、前記生物反応部材に嫌気条件下で有機性水を接触させて有機性水からポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌から有機性水にリンを放出させる嫌気処理工程とを経ることを特徴とするリン回収方法。
  2. 好気処理工程と嫌気処理工程とを交互に繰返す請求項1に記載のリン回収方法。
  3. 嫌気処理工程でポリリン酸蓄積細菌からリンが放出された有機性水をリン回収処理水として回収する請求項1又は2に記載のリン回収方法。
  4. リン含有水及び有機性水を、容器内に配置されている生物反応部材に対して流下させ或は散水する請求項1乃至3の何れかに記載のリン回収方法。
  5. 好気処理工程時には、容器内に酸素含有ガスを供給する請求項1乃至4の何れかに記載のリン回収方法。
  6. ポリリン酸蓄積細菌が担持され且つ気相中に配置された多孔質性の生物反応部材と、該生物反応部材に好気条件下でリン含有水を供給し得ると共に嫌気条件下で有機性水を供給し得る被処理水供給手段と、リンが放出された有機性水を回収するリン含有水回収手段とを備え、好気条件下で生物反応部材にリン含有水を接触させてポリリン酸蓄積細菌にリンを摂取させ、嫌気条件下で前記生物反応部材に有機性水を接触させてポリリン酸蓄積細菌に有機物を摂取させると共にポリリン酸蓄積細菌から有機性水にリンを放出させて、リンが放出された有機性水をリン回収処理水として回収するよう構成したことを特徴とするリン回収装置。
  7. 生物反応部材は容器内に配置されている請求項6に記載のリン回収装置。
  8. 被処理水供給手段は、生物反応部材に沿ってリン含有水或は有機性水を流下させ或は散水する手段である請求項6又は7に記載のリン回収装置。
  9. 嫌気条件下でリンを放出された有機性水を、容器下部から取出して容器上部に循環させる循環手段を備えた請求項6乃至8の何れかに記載のリン回収装置。
  10. 容器内に酸素含有ガス或は不活性ガスを供給するガス供給手段と、該ガス供給手段から容器内に供給されるガスの流量を制御する制御手段を備えた請求項6乃至9の何れかに記載のリン回収装置。
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