JP2015077551A - リン除去型排水処理プロセス、及びリン除去型排水処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】有機排水中からのリン除去を行なう。
【解決手段】実施形態に係るリン除去型排水処理システムは、嫌気処理部、好気性処理部、及びリン処理部を有する。好気性処理部は、好気性微生物を付着させた担体部、及び嫌気処理部からの処理水を担体部に散水する散水部を含む。リン吸着剤はカルシウム系リン吸着物質を含み、リン処理部では、好気性処理部からの処理水中のリンとカルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、リン除去型排水処理プロセス、及びこれに用いられるリン除去型排水処理システムに関する。
従来、有機性排水を浄化処理する手段として、嫌気性微生物を利用する嫌気リアクタと好気性微生物を利用する好気リアクタの組合せからなる排水処理装置が数多く提案されている。
嫌気性微生物を利用した処理方法としては嫌気性ろ床法、UASB法(Upflow Anaerobic Sludge Blanket:上向流式嫌気汚泥床法)、EGSB法(Expand Granular Sludge blanket:膨張粒状汚泥床法)などがある。これら嫌気処理は、以下の利点を有する。
(1)有機汚濁物質を分解する際に酸素を必要としない嫌気性微生物により水処理を行うため、好気性微生物を利用した処理方法よりも低コストで処理ができる
(2)好気性微生物は有機物1g除去あたり約0.4〜0.6g増殖するのに対し、嫌気性微生物は有機物1g除去あたり約0.1g程度の増殖であることから、有機物除去あたりの汚泥発生量を大幅に削減できる
ただし、一方のデメリットとして、嫌気処理のみでBODを10〜15(mg/L)以下の水準まで処理するのは困難であり、河川や湖沼に直接放流するような処理施設においては、後段処理に好気リアクタを設置するのが一般的である。
(2)好気性微生物は有機物1g除去あたり約0.4〜0.6g増殖するのに対し、嫌気性微生物は有機物1g除去あたり約0.1g程度の増殖であることから、有機物除去あたりの汚泥発生量を大幅に削減できる
ただし、一方のデメリットとして、嫌気処理のみでBODを10〜15(mg/L)以下の水準まで処理するのは困難であり、河川や湖沼に直接放流するような処理施設においては、後段処理に好気リアクタを設置するのが一般的である。
好気性微生物を利用した処理方法としては、活性汚泥法、好気ろ床法、散水ろ床法、回転円板法などの方法がある。好気処理は、浸漬型、非浸漬型に分類することができる。浸漬型の処理方法は常時、好気性微生物が水に浸かっているプロセスで、活性汚泥法、好気ろ床法がこれにあたる。これらプロセスでは、好気微生物が利用する酸素を曝気処理(水中に空気や純酸素などを吹き込む)により供給する必要があるが、この曝気処理のための動力費が水処理プロセスに占めるコストの大半を占める。
一方で、非浸漬型の処理方法は、常時好気性微生物が水に浸かっている方法ではなく、気液の接触面を大きくとることによって、大気中の空気を液中に溶解させる方法であり、曝気処理が不必要のため動力費が低く抑えることができるという特徴を有する。
水処理にかかる動力費の大幅削減できるプロセスとして、例えば嫌気リアクタと非浸漬型好気リアクタ(散水型の好気リアクタ)を組合せた水処理方式が提案されている。しかしながら、嫌気リアクタと非浸漬型好気リアクタ(散水型の好気リアクタ)を組合せた水処理方式では、有機性排水中のリンを除去することができなかった。
東京湾などの内湾、琵琶湖などの湖沼の閉鎖性水域においては、リンを原因物質とする富栄養化の問題が顕在化してきており、排水中からのリンの除去が求められている。また、一方で、リンは特に農作物の肥糧源として重要な資源であるが、我が国はリン鉱石を生産せず、100%輸入に頼っている状況であり、排水中からのリン回収・リサイクルが求められている状況である。
排水中からのリン回収技術として、リン吸着剤を使う方法がある。しかしながら、下水処理水に適用する場合、下水処理水中のリン濃度が低いため、使用したリン吸着剤をそのまま肥料として再利用しようとした場合、吸着剤のリン吸着量が少なく、肥料等に再利用することが困難となっている。
本発明の実施形態は、有機排水中からのリン除去を可能とし、さらにリン除去に使用したリン吸着剤を肥料として再利用可能とするリン除去型排水処理システム及びこれを用いたリン除去型排水処理プロセスを提供することを目的とする。
実施形態によれば、有機性排水を嫌気微生物を用いて処理する嫌気処理部、
好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含み、該嫌気処理部からの処理水を該好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
カルシウム系リン吸着物質を含む第1のリン吸着剤を有し、該好気性処理部からの処理水中のリンと該カルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる第1のリン処理部を具備することを特徴とするリン除去型排水処理システムが提供される。
好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含み、該嫌気処理部からの処理水を該好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
カルシウム系リン吸着物質を含む第1のリン吸着剤を有し、該好気性処理部からの処理水中のリンと該カルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる第1のリン処理部を具備することを特徴とするリン除去型排水処理システムが提供される。
実施形態にかかるリン除去型排水処理システムは、
有機性排水を嫌気微生物を用いて処理する嫌気処理部、
嫌気処理部からの処理水を好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
第1のリン吸着剤を有し、好気性処理部からの処理水中のリンを除去する第1のリン処理部を具備する。
有機性排水を嫌気微生物を用いて処理する嫌気処理部、
嫌気処理部からの処理水を好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
第1のリン吸着剤を有し、好気性処理部からの処理水中のリンを除去する第1のリン処理部を具備する。
好気性処理部は、好気性微生物を付着させた担体部、及び嫌気処理部からの処理水を担体部に散水する散水部を含む。
実施形態に用いられるリン吸着剤はカルシウム系リン吸着物質を含み、第1のリン処理部では、好気性処理部からの処理水中のリンとカルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させることにより、処理水中からリンを除去することができる。
また、実施形態にかかるリン除去型排水処理プロセスは、
有機性排水を嫌気処理部に導入し、嫌気微生物を用いて嫌気処理する工程、
嫌気処理部からの処理水を、好気性微生物を付着させた担体部、及び嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含む好気性処理部に導入し、好気性微生物を用いて好気処理する工程、及び
好気性処理部からの処理水を、カルシウム系リン吸着物質含む第1のリン吸着剤を有する第1のリン処理部に導入し、カルシウム系リン吸着物質と好気性処理部からの処理水中のリンとを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる工程を具備する。
有機性排水を嫌気処理部に導入し、嫌気微生物を用いて嫌気処理する工程、
嫌気処理部からの処理水を、好気性微生物を付着させた担体部、及び嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含む好気性処理部に導入し、好気性微生物を用いて好気処理する工程、及び
好気性処理部からの処理水を、カルシウム系リン吸着物質含む第1のリン吸着剤を有する第1のリン処理部に導入し、カルシウム系リン吸着物質と好気性処理部からの処理水中のリンとを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる工程を具備する。
実施形態によれば、好気性微生物を付着させた担体部に処理水を散水して担体部を曝気させるので、曝気のための動力費を低減することができる。また、カルシウム系リン吸着物質を含むリン吸着剤を有し、好気性処理部からの処理水中のリンとカルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイト(HAP)の結晶を生成させることにより、処理後のリン吸着剤をそのまま肥料として使用できる。
カルシウム系リン吸着物質は好ましくはマグネシウム系リン吸着物質と併用することができる。カルシウム系リン吸着物質とマグネシウム系リン吸着物質を使用することにより、リン処理部は、好気性処理部からの処理水をカルシウム系リン吸着物質及びマグネシウム系リン吸着物質と接触することにより、処理水中のリンと反応させてHAPの結晶を生成させると共に、処理水中のリンとアンモニアと反応させてリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)の結晶を生成させることができる。
リンを回収する方法として、処理液中のリンを上述のように、ヒドロキシアパタイト(HAP)として晶析する方法や、ストラバイト(MAP)として晶析する方法がある。
HAPとして晶析する方法では、処理液中のPO4 3-、Ca2+及びOH−との反応によって生成するHAP;Ca10(OH)2(PO6)(HAP)の晶析現象を利用する。反応式は下記式(1)の通りである。
10Ca2++2OH−+6PO4 3−⇔Ca10(OH)2(PO4)6…(1)
この方法では、リンを含む排水にCa2+及びOH−を添加し、過飽和状態(準安定域)で種晶と接触させることで、種晶表面にHAPを晶析させ、処理液中のリンを除去・回収する。リン濃度が低い場合には、炭酸カルシウムと競合反応するため、脱炭酸等の処理が必要となることがある。種晶には、リン鉱石、骨炭、珪酸カルシウム水和物などを使用することができる。
この方法では、リンを含む排水にCa2+及びOH−を添加し、過飽和状態(準安定域)で種晶と接触させることで、種晶表面にHAPを晶析させ、処理液中のリンを除去・回収する。リン濃度が低い場合には、炭酸カルシウムと競合反応するため、脱炭酸等の処理が必要となることがある。種晶には、リン鉱石、骨炭、珪酸カルシウム水和物などを使用することができる。
MAPとして晶析する方法では、処理液中のPO4 3-、NH4 +、及びMg2+の反応によって生成するリン酸マグネシウムアンモニウム;MgNH4PO4・6H2O(MAP)の晶析現象を利用する。反応式は次式の通りである。
Mg2++NH4 ++PO4 3−+6H2O⇔MgNH4PO4・6H2O…(2)
この方法では、リンとアンモニアを含む排水が対象となる。一例として、嫌気性処理部の処理水にMg2+を添加し、弱アルカリ領域でMAPを生成させることができる。
この方法では、リンとアンモニアを含む排水が対象となる。一例として、嫌気性処理部の処理水にMg2+を添加し、弱アルカリ領域でMAPを生成させることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1に、第1の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図1に、第1の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
第1の実施形態に係る排水処理システム101において、送水装置2は、ライン1中の有機性排水を嫌気性処理槽3の底部へ供給する。
嫌気性処理槽3は、嫌気性微生物のメタン発酵細菌、硫酸還元細菌を有する。有機性排水1中の有機物は、嫌気性処理槽3内で、メタン発酵細菌、硫酸還元細菌により分解されると同時に、それぞれメタンガス、硫化水素ガスが生成する。これらバイオガス4を、嫌気性処理槽3の上方に設けられた硫化水素除去装置5に送り、硫化水素ガスを除去した後、メタンガスを主成分とした処理ガス6として硫化水素除去装置5から排出する。
次に、嫌気性処理槽3で処理された嫌気処理水をライン7により好気性処理槽8に導入する。好気性処理槽8には、上から順に、散水部9、好気性微生物を付着させた担体部10、及び処理後の汚泥を沈殿させる汚泥沈殿部11が設けられている。
嫌気処理水を、上部の散水部9から散水すると、この散水の際に大気中の酸素が処理水中に溶解する。好気性処理槽8内には担体10が充填されており、好気性処理槽8下部の汚泥沈殿部11に達するまでは常時、担体10の合間を縫って、水がしたたりおちている状態である。散水時および水が担体10の合間を縫ってしたたり落ちていく間で、空気と液体との気液接触によって、処理水中に酸素が供給される。担体10に付着している好気性微生物はこの液中に溶解した酸素(以下、溶存酸素)を利用しつつ、嫌気性処理槽3で処理しきれなかった有機物を分解除去する。好気性処理槽8に流入する有機物濃度のレベルによっては、自然の空気対流レベルで十分量の酸素が供給されるが、必要に応じて、換気ファンによって強制的に好気性処理槽内に空気を送気するよう構成することができる。
なお、好気性処理槽内に充填する担体10は表面に微生物が付着しやすいものであれば何でもよく、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどを主とするプラスチック系のものや、セラミック、金属などどのような素材を使用することができる。担体10の形状として、例えば球状、円筒状、ひも状、及びハチの巣状などが使用できる。担体10の大きさは、例えば、長さ1cm〜5cm程度であり、比表面積が大きいものを使用することができる。
下水処理場で主流となっている浸漬型好気処理方法いわゆる標準活性汚泥法を排水処理に適用する場合、好気処理水中の妨害イオン(炭酸イオン)を除去するために、脱炭酸塔を設ける必要があり、その分コスト増となってしまう。しかしながら、図1に示すように、嫌気処理槽と非浸漬型好気処理槽(散水型の好気リアクタ)を組合せた水処理方法の場合は、嫌気処理水7を好気性処理槽8上部の散水部から散水する際に、嫌気処理水7中から炭酸イオンが放散するため、脱炭酸塔を設けることなくリンを除去することが可能となる。
続いて、好気性処理槽4で処理された好気処理水をライン12により第1のリン処理槽15に導入する。
第1のリン処理槽15では、カルシウム塩例えば珪酸カルシウム水和物を注入することでHAPの結晶としてリンを回収することができる。リンを除去した後、リン処理水16として第1のリン処理槽15から排出することができる。
第1のリン処理槽15で処理されたリン処理水を、ライン16により処理水貯留槽13に導入し、貯留した後、最終処理水14として河川などへ放流される。
このように、第1の実施形態によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出による第1のリン処理槽を配することで、有機性排水中からリンを除去することが可能となる。
(実施例2)
図2に、第2の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図2に、第2の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図示するように、第2の実施形態に係る排水処理システム102は、第1のリン処理槽15と処理水貯留槽13との間に設けられた沈殿槽17をさらに有すること以外は、図1と同様の構成を有する。沈殿槽17では、リン処理槽15からの処理水をライン16により導入して貯留し、HAP結晶を固形分として沈殿させる。
リン処理槽15で析出したHAP結晶は、一部流出し、リン処理水中に含有する場合があるため、沈殿槽17では、リン処理槽15から流出したリン処理水中のHAP結晶を固形分として沈殿させた後、沈殿処理水をライン18を介して処理水貯留槽13へ導入し、貯留した後、最終処理水14として河川などへ放流される。
実施例2によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出によるリン処理槽、リン処理槽後段に沈殿槽を配することで、有機性排水中からより多くのリンを除去することが可能となる。
(実施例3)
第1のリン処理槽15において、実施例1のカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系吸着剤を投入することで、Ca系吸着剤へHAPの結晶を析出させてHAP結晶としてリンを回収すること以外は、実施例1と同様にして、有機性排水の処理を行った。
第1のリン処理槽15において、実施例1のカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系吸着剤を投入することで、Ca系吸着剤へHAPの結晶を析出させてHAP結晶としてリンを回収すること以外は、実施例1と同様にして、有機性排水の処理を行った。
このように、実施例3によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出による第1のリン処理槽を配することで、第1のリン処理槽にカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系吸着剤を投入しても、有機性排水中からリンを除去することが可能となる。
(実施例4)
第1のリン処理槽15において、実施例1のカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系/Mg系吸着剤を投入することで、Ca系/Mg系吸着剤へHAPの結晶とMAPの結晶とを析出させ、HAP/MAP結晶としてリンを回収することができること以外は、実施例1と同様にして、有機性排水の処理を行った。
第1のリン処理槽15において、実施例1のカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系/Mg系吸着剤を投入することで、Ca系/Mg系吸着剤へHAPの結晶とMAPの結晶とを析出させ、HAP/MAP結晶としてリンを回収することができること以外は、実施例1と同様にして、有機性排水の処理を行った。
このように、実施例4によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出による第1のリン処理槽を配することで、第1のリン処理槽にカルシウム塩を注入する代わりに、Ca系/Mg系吸着剤を投入しても、有機性排水中からリンを除去することが可能となる。
(実施例5)
第1のリン処理槽15において、カルシウム塩を注入する代わりに、Ca系吸着剤またはCa系/Mg系吸着剤を投入することで、Ca系吸着剤へHAPの結晶、あるいはCa系/Mg系吸着剤へHAPの結晶とMAPの結晶とを析出させてリンを回収すること以外は、実施例2と同様にして、有機性排水の処理を行った。
第1のリン処理槽15において、カルシウム塩を注入する代わりに、Ca系吸着剤またはCa系/Mg系吸着剤を投入することで、Ca系吸着剤へHAPの結晶、あるいはCa系/Mg系吸着剤へHAPの結晶とMAPの結晶とを析出させてリンを回収すること以外は、実施例2と同様にして、有機性排水の処理を行った。
実施例5によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出によるリン処理槽、リン処理槽後段に沈殿槽を配することで、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を投入しても、より多くのリンを除去することが可能となる。
(実施例6)
図3に、第3の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図3に、第3の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図示するように、第3の実施形態に係る排水処理システム103は、嫌気性処理槽3の前段に最初沈殿池19、最初沈殿池19からの上澄み液からなる最初沈殿池処理水を嫌気性処理槽3に送るライン20、最初沈殿池19からの汚泥をライン21を介して導入し、嫌気処理する汚泥消化槽22、汚泥消化槽22からの処理水をライン23を介して導入し、汚泥を脱水処理する汚泥脱水槽24、汚泥脱水槽24からの汚泥を排出するライン28、及びHAP結晶の種晶、あるいはリン吸着物質を有し、汚泥脱水槽24からの処理水をライン25を介して導入し、処理水中のリンとHAP結晶の種晶、あるいはCa系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤とを反応させてHAPの結晶、MAPの結晶を生成させる第2のリン処理部26を有すること以外は、実施例1と同様の構成を有する。必要に応じて、第2のリン処理部26からの処理水を嫌気性処理槽3に送るライン27をさらに設けることができる。
最初沈殿池19では、ライン1により導入される有機性排水中の固形分を沈殿させ、ライン21により最初沈殿池汚泥を最初沈殿池19下部から抜き取り、汚泥消化槽22へ供給する。最初沈殿池19で有機性排水1中の固形分を沈殿させた後の上澄水は、初沈殿池処理水としてライン20を介して排出され嫌気性処理槽3へ供給される。
汚泥消化槽22では、嫌気性微生物のメタン発酵細菌、硫酸還元細菌により、最初沈殿池汚泥21が分解されると同時に、それぞれメタンガス、硫化水素ガスが生成される。分解後の最初沈殿池汚泥21は、消化汚泥23として排出され汚泥脱水槽24へ供給される。
汚泥脱水槽24では、消化汚泥23を脱水し、汚泥脱水槽24下部からライン28を介して脱水汚泥として排出される。脱水後の上澄水は、ライン25を介して脱離液として第2のリン処理槽26へ供給される。
第1のリン処理槽15及び第2のリン処理槽26では、例えば、Ca系/Mg系吸着剤を投入することで、Ca系/Mg系吸着剤へHAPとMAPの結晶を析出させ、HAP/MAP結晶として処理水中のリンを回収することができる。
第1のリン処理槽15では、ライン12により送り出される好気処理水中からのリン除去を行っても、処理水中のリン濃度が低い傾向があり、排水処理後のリン吸着剤をそのまま肥料として再利用することが困難である。このため、好気性処理槽後段の第1のリン処理槽15から少なくとも一部のリン吸着剤を回収して第2のリン処理槽26に投入し、ライン25により送り出される脱離液中のリンを、HAP結晶及びMAP結晶としてさらに析出させ、有機性排水中のリンを除去する。このようにして、より高い濃度のリンをリン吸着剤に吸着させることにより、リン吸着剤をそのまま肥料として再利用することが可能となる。このほか、図示しないが、汚泥消化槽22で最初沈殿池汚泥21分解後の上澄水をリン処理槽26へ供給し、リン除去を行なうこともできる。
第3の実施形態によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、嫌気性処理槽の前段に最初沈殿池を設けて、汚泥と上澄み液を分離し、上澄み液は、第1のリン処理槽を用いて、汚泥は、第2のリン処理槽26を用いて、それぞれリンを除去することが可能となる。また、第1のリン処理槽にてHAP結晶そのもの、あるいはHAP結晶とMAP結晶が析出されたリン吸着物質の少なくとも1部を第2のリン処理槽に移動し、第2のリン処理槽のHAP結晶の種晶、あるいはリン吸着物質として使用して、HAP結晶とMAP結晶をさらに析出させることにより、リン吸着物質により高い濃度のリンを吸着させることが可能となる。高濃度のリンを吸着させた吸着剤は肥料として再利用することが可能となる。
(実施例7)
図4に、第4の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図4に、第4の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図示するように、第4の実施形態に係る排水処理システム104は、第1のリン処理槽15と処理水貯留槽13との間に設けられた沈殿槽17をさらに有すること以外は、図3と同様の構成を有する。沈殿槽17では、リン処理槽15からの処理水をライン16により導入して貯留し、HAP結晶そのもの、あるいはCa系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を固形分として沈殿させる。
好気性処理槽4で処理された好気処理水はライン12により第1のリン処理槽15に送られる。第1のリン処理槽15でリンを除去した後、ライン16を通ってリン処理水として沈殿槽17に導入される。
第1のリン処理槽15及び第2のリン処理槽26では、例えば、Ca系吸着剤、あるいはHAP/MAP結晶を投入することで、Ca系/Mg系吸着剤へHAPとMAPの結晶を析出させ、HAP/MAP結晶としてリンを回収することができる。
リン処理槽15でHAP結晶そのもの、HAP結晶を析出させたCa系吸着剤、あるいはHAP/MAP結晶を析出させたCa系/Mg系吸着剤は、一部流出してリン処理水16中に混入する場合があるため、沈殿槽17では、リン処理槽15から流出したリン処理水16中のHAP結晶そのもの、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を固形分として沈殿させた後、沈殿処理水18として処理水貯留槽13へ排出し、貯留した後、最終処理水14として河川などへ放流される。
第4の実施形態によれば、リン処理槽後段に沈殿槽を配することで、実施例6よりも有機性排水中からより多くのリンを除去することが可能となる。
(実施例8)
図5に、第5の実施形態にかかる排水処理システムの構成を表す図を示す。
図5に、第5の実施形態にかかる排水処理システムの構成を表す図を示す。
図示するように、第5の実施形態にかかる排水処理システム105は、好気性処理槽8からの処理水を第1のリン処理槽15に導入する第1のライン12、第1のライン12に設けられた第1の配管切替弁29、好気性処理槽8からの処理水を第2のリン処理槽26に送る第2のライン41、及び第2のライン41に設けられた第2の配管切替弁36、汚泥脱水槽24からの処理水を第2のリン処理部26に導入する第3のライン25、第3のライン25に設けられた第3の配管切替弁31、汚泥脱水槽24からの処理水を第1のリン処理槽15に導入する第4のライン42、及び第4のライン42に設けられた第4の配管切替弁30をさらに有すること以外は、図3と同様の構成を有する。
この排水処理システム105において、まず、通常の通水ラインで未使用のリン吸着剤をリン処理槽15へ投入する。通常の通水ラインでは、第1の配管切替弁29を開、第2の配管切替弁36を閉、第3の配管切替弁31を開、及び第4の配管切替弁30を閉とすることにより、好気性処理槽8からの処理水を第1のリン処理槽15に導入し、かつ汚泥脱水槽24からの処理水を第2のリン処理槽26に導入することができる。
一定時間、好気処理水12中のリンを吸着させた後、第1の配管切替弁29を閉、第2の配管切替弁36を開、第3の配管切替弁31を閉、及び第4の配管切替弁30を開とすることにより水処理系ラインと汚泥処理系ラインとを切替て、好気性処理槽8からの処理水を第2のリン処理槽26に導入し、かつ汚泥脱水槽24からの処理水を第1のリン処理槽15に導入することができる。
一定時間、脱離液25中のリンを吸着させた後、リン吸着剤槽15からリン吸着剤を回収し、そのまま肥料として利用する。リン吸着剤をリン吸着剤槽15から取り出した後、未使用のリン吸着剤をリン吸着剤槽26へ投入する。以後、この操作を繰り返す。
このように、第5の実施形態によれば、第1ないし第4の配管切替弁の開閉を制御することにより、2つのリン処理槽に各々導入される水処理系ラインと汚泥処理系ラインとを切り替えることができる。このため、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を回収することがなく、また、この回収のために、有機性排水の処理、及び最初沈殿池などの汚泥の処理等を停止する必要なくなるので、効率よくリンの吸着を行うことができる。
(実施例9)
図6に、第6の実施形態にかかる排水処理システムを示す。
図6に、第6の実施形態にかかる排水処理システムを示す。
図示するように、第6の実施形態に係る排水処理システム106は、第1のリン処理槽15と処理水貯留槽13との間に設けられた沈殿槽17をさらに有すること以外は、図5と同様の構成を有する。沈殿槽17では、リン処理槽15からの処理水をライン16により導入して貯留し、HAP結晶そのもの、あるいはCa系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を固形分として沈殿させる。
リン処理槽15で析出したHAP結晶そのもの、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤は、一部流出し、リン処理水中に含有する場合があるため、沈殿槽17では、リン処理槽15から流出したリン処理水中のHAP結晶、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を固形分として沈殿させた後、沈殿処理水をライン18を介して処理水貯留槽13へ導入し、貯留した後、最終処理水14として河川などへ放流される。
第6の実施形態によれば、嫌気性処理槽と非浸漬型好気性処理槽(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、散水型の好気性処理槽後段にHAP結晶析出によるリン処理槽、リン処理槽後段に沈殿槽を配することで、有機性排水中からより多くのリンを除去することが可能となる。
また、第6の実施形態によれば、嫌気性処理槽3と非浸漬型好気性処理槽8(散水型の好気性処理槽)を組合せた水処理方式において、Ca系吸着剤、Ca系/Mg系吸着剤を回収することなく、また有機性排水の処理と、最初沈殿池などの汚泥の処理を停止することなく、リンを除去することが可能となる。また、リン処理槽後段に沈殿槽を配することで、有機性排水中からできるだけ多くリンを除去し、吸着剤を肥料として再利用することが可能となる。
(実施例10)
図7に、第7の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図7に、第7の実施形態に係る排水処理システムの構成を表す図を示す。
図示するように、第7の実施形態に係る排水処理システム107は、嫌気処理槽3と好気性処理槽8との間に硫黄脱窒槽32、好気性処理槽8からの処理水の一部を硫黄脱窒槽32に戻すライン35、及びライン35に設けられた循環装置34をさらに有すること以外は、図1と同様の構成を有する。
嫌気性処理槽3では、嫌気性微生物のメタン発酵細菌、硫酸還元細菌により、排水中の有機物が分解されると同時に、それぞれメタンガス、硫化水素ガスなどのバイオガスが生成される。これらバイオガスはライン4を介して硫化水素除去装置5に送られ、硫化水素ガスが除去された後、メタンガスを主成分とした処理ガスとしてライン6より排出される。
一方、バイオガスの一部は、嫌気性処理槽3の液相中へ溶解し、溶解した硫化水素ガスは処理水の溶存硫化物としてHS−やS2−の形態をとる。
硫黄脱窒処理槽32では、処理槽内に保持された硫黄脱窒細菌が、好気性処理槽12から循環装置34により循環される好気処理循環水35中の硝酸性窒素を、嫌気性処理槽3からの溶存硫化物HS−を利用して窒素ガスに変換する。窒素ガスは系外へ排出される。
好気性処理槽8では、硫黄脱窒処理水33を好気性処理槽8上部の散水部9から散水するさいに、液中に溶解した酸素を用いて、好気性微生物が排水中の有機物除去とアンモニア性窒素の酸化を行う。アンモニア性窒素は、まず亜硝酸性窒素へ酸化され、最終的に硝酸性窒素まで酸化される。
第7の実施形態によれば、嫌気性処理槽3と非浸漬型好気性処理槽8(散水型の好気性処理槽)を組合せた排水処理方式において嫌気性処理槽3と好気性処理槽8の中間への硫黄脱窒槽の配備による、有機性排水中の窒素除去を組合せることで、有機性排水中の窒素とリンを除去することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明に係る有機排水処理システムにおいて、有機排水中からのリン除去に使用したリン吸着物質は、肥料あるいは肥料の原料として再利用することができる。
2…送水装置、3…嫌気性処理槽、5…硫化水素除去装置、8…好気性処理槽、9…散水部、10…担体部、11…汚泥沈殿部、13…処理水貯留槽、14…最終処理水、15…リン処理槽、101,102,103,104,105,106,107…排水処理システム
Claims (10)
- 有機性排水を嫌気微生物を用いて処理する嫌気処理部、
好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含み、該嫌気処理部からの処理水を該好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
カルシウム系リン吸着物質を含む第1のリン吸着剤を有し、該好気性処理部からの処理水中のリンと該カルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる第1のリン処理部を具備することを特徴とするリン除去型排水処理システム。 - 前記第1のリン処理部の後段に設けられ、該第1のリン処理部からの処理水を貯留して該ヒドロキシアパタイトの結晶を固形分として沈殿させる沈殿槽をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のリン除去型排水処理システム。
- 前記第1のリン吸着剤は、さらにマグネシウム系リン吸着物質を含み、前記第1のリン処理部は、該好気性処理部からの処理水を前記カルシウム系リン吸着物質及び該マグネシウム系リン吸着物質と接触することにより、該処理水中のリンと反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させると共に、該処理水中のリンとアンモニアと反応させてリン酸マグネシウムアンモニウムの結晶を生成させることを特徴とする請求項1または2に記載のリン除去型排水処理システム。
- 前記嫌気処理部の前段に設けられた最初沈殿槽、該最初沈殿槽からの上澄み液を前記嫌気処理部に送るライン、該最初沈殿槽からの汚泥を嫌気処理する汚泥処理部、及びカルシウム系リン吸着物質を含む第2の吸着剤を有し、該汚泥処理部からの処理水中のリンとカルシウム系リン吸着物質とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる第2のリン処理部をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリン除去型排水処理システム。
- 前記好気性処理部からの処理水を前記第1のリン処理部に導入する第1のライン、前記第1のラインに設けられた第1の配管切替弁、該好気性処理部からの処理水を前記第2のリン処理部に送る第2のライン、及び該第2のラインに設けられた第2の配管切替弁、前記汚泥処理部からの処理水を前記第2のリン処理部に導入する第3のライン、該第3のラインに設けられた第3の配管切替弁、該汚泥処理部からの処理水を該第1のリン処理部に導入する第4のライン、及び該第4のラインに設けられた第4の配管切替弁をさらに具備する請求項4に記載のリン除去型排水処理システム。
- 前記第2のリン吸着剤は、さらにマグネシウム系リン吸着物質を含み、前記第2のリン処理部は、該好気性処理部からの処理水を前記カルシウム系リン吸着物質及び該マグネシウム系リン吸着物質と接触することにより、該処理水中のリンと該カルシウム系リン吸着物質反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させると共に、該処理水中のリンとアンモニアと該マグネシウム系リン吸着物質とを反応させてリン酸マグネシウムアンモニウムの結晶を生成させることを特徴とする請求項4または5に記載のリン除去型排水処理システム。
- 前記嫌気処理部と前記好気性処理部との間に、硫黄脱窒部をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリン除去型排水処理システム。
- 有機性排水を嫌気処理部に導入し、嫌気微生物を用いて嫌気処理する工程、
該嫌気処理部からの処理水を、好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含む好気性処理部に導入し、該好気性微生物を用いて好気処理する工程、及び
該好気性処理部からの処理水を、カルシウム系リン吸着物質含む第1のリン吸着剤を有する第1のリン処理部に導入し、該カルシウム系リン吸着物質と該好気性処理部からの処理水中のリンとを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる工程を具備することを特徴とするリン除去型排水処理プロセス。 - 有機性排水を嫌気微生物を用いて処理する嫌気処理部、
好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含み、該嫌気処理部からの処理水を該好気性微生物を用いて処理する好気性処理部、及び
カルシウム塩を有し、該好気性処理部からの処理水中のリンと該カルシウム塩とを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる第1のリン処理部を具備することを特徴とするリン除去型排水処理システム。 - 有機性排水を嫌気処理部に導入し、嫌気微生物を用いて嫌気処理する工程、
該嫌気処理部からの処理水を、好気性微生物を付着させた担体部、及び該嫌気処理部からの処理水を該担体部に散水する散水部を含む好気性処理部に導入し、該好気性微生物を用いて好気処理する工程、及び
該好気性処理部からの処理水を、カルシウム塩を有する第1のリン処理部に導入し、該カルシウム塩と該好気性処理部からの処理水中のリンとを反応させてヒドロキシアパタイトの結晶を生成させる工程を具備することを特徴とするリン除去型排水処理プロセス。
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