JP2006341226A - 水中からのリンの除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、排水、下水などに含まれるリンを除去する方法に関し、鉄鋼スラグからなる固体粒子を用いて水中のリンを除去する方法を提供する。
【解決手段】 酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に、リンを含有する被処理水を通水して、固体粒子の流動床を形成し、流動床内に水酸化カルシウム水溶液を添加することによって、リンを含有する被処理水からリンを除去する。水酸化カルシウムの代わりに、塩化カルシウムと水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムを用いることもできる。固体粒子としては高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグの内1種または2種以上の混合物を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排水、下水などの水処理方法に関する。さらに詳しくは処理水中のリンを除去する方法に関する。
排水、下水中のリンは、富栄養化原因物質の一つであり、環境保全の観点からより効果的な除去技術が必要とされたり、リン資源枯渇問題から回収技術も求められてきている。
リンを除去する方法の一つに、従来から晶析法が知られている。晶析法とは、水中のリンをヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH)、以下アパタイトという)の形で種結晶に晶析させて除去する方法である。種結晶としては、アパタイト組成を含むリン鉱石が最も多く用いられてきた。しかしながらリン資源枯渇問題などにより、リン鉱石以外の物質を適用する試みがある。例えば特許文献1では、無機質多孔体を種結晶として晶析脱リンを行う方法が提供されている。無機質多孔体として、ゼオライト、多孔質ガラス、陶磁器など、より好ましくはゼオライトのような陽イオン交換能を有するものを用いている。
処理装置や方法としては、種結晶の流動床を用いカルシウム濃度とpHを調整する技術が多数開示されている。例えば前記特許文献1では、pHを9〜11、カルシウムイオン濃度を20〜100mg/L、更に流動床では正リン酸イオン濃度10mg/L以下、好ましくは5mg/L以下に循環水を用いて調整して運転するとしている。また特許文献2では、高濃度リン含有水に対して、種結晶として珪酸カルシウム水和物を用い、塩化カルシウムによってカルシウムイオンを供給し、原水のpHを8〜10に調整するとしている。
特開2003−94071号公報 特開平10−34167号公報
種結晶として、例えば特許文献1の無機質多孔体を用いるとき、これらの無機質多孔体は中性に近いので、表面にリン酸カルシウムを安定して析出させるには、表面活性の高いリン鉱石に比べ、カルシウム濃度やpHの制御がより重要になる。そのために、陽イオン交換能を有するゼオライトなどを用いると、表面のアルカリ金属が水中のカルシウムイオンと交換し、カルシウムイオンが種結晶の表面に偏在するようになって、アパタイトが種結晶表面に効果的に析出するとしている。しかしながら天然ゼオライトの陽イオン交換容量は大きくても約200meq/100g程度、アルカリ金属含有量が酸化物として数%程度であると、イオン交換によって表面に偏在するカルシウム量はそれほど多くはない。また天然のゼオライトは他の鉱物とともに産出するので、陽イオン交換能が高く安定したもの安定的に得るのは難しい。一方特許文献2の珪酸カルシウム水和物は合成物なので、性能は安定しているものの高価である。
流動床を用いる方法は、固定床と比べて一般に処理速度が速いので、装置を小型化できる。しかし一方でカルシウム濃度やpH制御はより難しくなる。例えば特許文献1では、pH9未満ではリン酸カルシウムの析出が遅くなるとしているが、pHやリン酸イオン濃度、カルシウムイオン濃度が高くなり過ぎると微細結晶が多量に発生するので、流動床での正リン酸イオン濃度を5mg/L以下にするように、処理水を循環させている。この方法で高濃度リン含有水を処理するには、処理水を多量に循環させるか、相対的に被処理水流量を減らす必要がある。特許文献2では、高濃度リン含有水にも対応できるとしているが、リン除去率は20数%程度であり、処理速度は滞留時間が1時間と必ずしも高速で処理できてはいない。
本発明者らは、特願2004−76264号(未公開)で、結晶質高炉スラグを用いたリン除去方法を発明した。該発明では、結晶質高炉スラグがカルシウムを溶出してアルカリ性を示す特性を利用して、カルシウム濃度やpHを特に制御することなく処理できるとした。しかしながら長期間連続処理を行うと、徐々にカルシウムの溶出が低下してpHも下がり、またスラグ表面に生成するリン酸カルシウム化合物によってスラグ粒どうしが結合しはじめ、通水性が低下していくというケースが見られた。
そこで本発明は、資源となりうるリン鉱石や高価な種結晶を用いることなく、種結晶には、鉄鋼製造などにおける副生成物であって量的および品質的に安定して調達できるスラグを有効に活用して、低濃度から高濃度までの水中のリンを高速・安定して長期間除去できる方法を提供する。
前記の課題を解決するために本発明では、(1) 正リン酸態リンを含有する被処理水を、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に通水し、形成される該固体粒子の流動床に、水酸化カルシウム、又は塩化カルシウムと水酸化カルシウム、又は塩化カルシウムと水酸化ナトリウムを添加して、該被処理水からリンを除去することを特徴とする水中からのリンの除去方法を提供する。
また、本発明では、(2) 正リン酸態リンを含有する被処理水に塩化カルシウムを添加して混合した後、当該混合後の被処理水を、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に通水し、形成される該固体粒子の流動床に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの少なくともいずれかを添加して、該被処理水からリンを除去することを特徴とする水中からのリンの除去方法を提供する。
更に、本発明では、(3) 前記固体粒子が、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグの内1種または2種以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の水中からのリンの除去方法を提供する。
更にまた、本発明では、(4) 被処理水の反応槽内における線流速V(m/h)が、固体粒子の最大粒径D(mm)に対し、75×D≦V≦200×Dであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の水中からのリンの除去方法を提供する。
尚、本発明の正リン酸態リンとは、POの形態(リン酸イオンの形態)で存在するリンのことで、水中で、HPO 、HPO 2−、及びPO 3−のイオン状態となっているリンを示す。
本発明により、資源となりうるリン鉱石や高価な種結晶を用いることなく、低濃度から高濃度までの水中のリンを高速・安定して長期間除去できる。
本発明は、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に、正リン酸態リン(PO−P)を含有する被処理水を通水して、固体粒子の流動床を形成し、流動床内に水酸化カルシウムを添加することによって、被処理水からリンを除去することを特徴とする。
水中におけるリンの形態は、正リン酸態リンの他にポリリン酸等の形態をもつものもあるが、一般排水や下水等の水中に存在するリンは、殆どが正リン酸態リンであるため、本発明の方法を適用することで、排水、下水中のリンの大部分を除去することができる。
本発明者らはリン鉱石に代わる種結晶を鋭意検討した結果、以下を知見した。酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグは、表面からカルシウムを溶出してアルカリ性を示す。更にスラグ粒子を流動させるために流速を速くすることで被処理水との接触時間が短くなっても、溶出せずにスラグ粒子表面に存在するカルシウムが正リン酸と結合することによって、リン酸カルシウム化合物を容易にスラグ表面に析出させることができる。
尚かつスラグ中のケイ素の酸素配位と、正リン酸のリンの酸素配位はほぼ同じ構造、大きさなので、スラグの表面にケイ素を置換するようにリンが付着しやすく、その際にカルシウムと結合してアパタイト結晶構造に類似したリン酸カルシウム化合物が析出する。そのため、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグは種結晶として好ましいと考えられる。
このことからスラグが特に多孔質でなくとも、リン酸カルシウム化合物をスラグ表面に生成させることができる。このようにしてスラグ表面に生成するリン酸カルシウム化合物は、スラグ成分中のカルシウムを共有してスラグに強固に結合し、更に次のリン酸カルシウム化合物の生成起点ともなって、水中からリンを効率よく除去できる。この現象は、水中のリン濃度が高い場合でも発現する。またスラグはカルシウムを溶出しアルカリ性を示すので、初期の通水時にはカルシウムやpH調整の水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムの添加量は少なくてすむ。
本発明に用いるスラグの主成分である酸化カルシウムと酸化ケイ素の含有量は、合計で50質量%以上である。50質量%より少ないと、ケイ素を置換するようにリンが付着してアパタイト結晶構造と類似する化合物(リン酸カルシウム化合物)を析出させる効果が十分に得られない。更にはカルシウム含有量のケイ素含有量に対するモル比(Ca/Si)が、好ましくは1.2〜4、より好ましくは1.2〜2である。スラグに析出するリン酸カルシウム化合物のカルシウムとリンの成分モル比が約1.7であることから、カルシウムとケイ素の成分モル比が約1.7に近いスラグほどケイ素を置換するようにリンが付着しやすいからである。
ところで該スラグを用いてPO−Pを含有する被処理水の連続通水処理を行うと、生成するリン酸カルシウム化合物がスラグ表面を覆い、初期通水時のスラグの特性は低下してくる。しかしこのスラグの特性を補うように水酸化カルシウムを添加することで、引き続き安定して同等性能のリン除去ができる。
例えば処理水のリン濃度を0.5mg/L程度にする場合には、反応槽を出たときの処理水のpHが9.5〜10.5程度に維持されるよう、水酸化カルシウムを添加する。晶析処理後の処理水は、通常の晶析法と同様、pHが8.5程度以下に下がらない場合には、硫酸などを用いて中和処理して排出する。
また本発明では、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグを種結晶として用い、被処理水からリンを連続して安定に除去するために、水酸化カルシウムの代わりに、塩化カルシウムと水酸化ナトリウム、または塩化カルシウムと水酸化カルシウムを用いることも可能である。
水酸化カルシウムは添加するカルシウム量の調整とpH調整を兼ね、更に比較的廉価であるため、被処理水中のリン濃度が低く、必要なカルシウム量を水酸化カルシウム単独で賄ってもpHが狙いの上限値以下に維持できる場合は、水酸化カルシウム単独添加が好ましい。また、水酸化カルシウムの単独添加では、狙いのpH上限値を超えてしまう場合は、カルシウム量の調整として塩化カルシウムを合せて添加する。また、被処理水中のリン濃度の変動が大きい場合は、カルシウム量の調整とpH調整を独立して調整でき、両者の制御が容易な、塩化カルシウムと水酸化ナトリウムの組合せによるカルシウム量とpHの調整が好ましい。
しかしながら水酸化ナトリウムは、水酸化カルシウムより高価であるため、諸事情に合せて、これらを適宜選択すれば良い。
本発明者らが正リン酸態リン濃度の異なる被処理水について鋭意実験を行ったところ、特にリン濃度が10mg/Lより高い場合には、水酸化カルシウムのみの添加ではpHが高くなり過ぎることに加え、リン除去効果はそれほど向上しなかった。
これは水中の正リン酸と反応させてリン酸カルシウム化合物を生成するために必要なカルシウムが不足しているためであり、カルシウム濃度を、被処理水中に既に存在しているカルシウム濃度に関わらず、少なくとも水中の正リン酸濃度に対してリン酸カルシウム化合物が生成する化学量論以上に添加すれば良いことがわかった。実験において固体粒子に析出したリン酸カルシウム化合物のカルシウムとリンの成分モル比は約1.7であった。従ってカルシウム濃度がリン濃度の1.7倍以上になるようにカルシウムを添加する。
カルシウム量は、添加物中の全カルシウムを考慮する。例えば塩化カルシウムと水酸化カルシウムを添加する場合には、両者の合計カルシウム量が、被処理水中のリンの1.7倍以上となるようにすれば良い。しかしながら、被処理水中の正リン酸態リン濃度が10mg/Lより高い場合には、2.5倍より多く添加してもリン除去率が殆ど向上しないため、2.5倍以下で十分リン除去が可能である。被処理水中の正リン酸態リン濃度が10mg/Lより高い場合には、先ずカルシウム濃度がリン濃度の1.7〜2.5倍になるよう、塩化カルシウム及び水酸化カルシウムを添加する場合はその合計添加量を調整することが好ましい。その上でpHを、できうる限り高くかつ中和処理を不要とするために、8以上9未満になるように、水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムの添加量を調整して制御することが好ましい。中和処理が負担とならないのであれば、pHを9以上にしてもリン除去は可能である。制御方法は、諸事情に合せて適宜選択することができる。
被処理水に添加する塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムは、粉末などの固体状で被処理水中に添加することも可能であるが、連続処理をする場合において、カルシウム量やpHの制御性の容易さや、短時間での被処理水との均一混合の容易さの面から、事前に水溶液としたものを被処理水に添加することが好ましい。特に水酸化カルシウムは、塩化カルシウムや水酸化ナトリウムに比べて溶解度が低いので、水溶液で添加することを推奨する。
本発明において塩化カルシウムの添加は、被処理水を反応槽に通水する前で行っても、流動床内で行っても良い。より好ましくは通水前に添加して、十分混合してから反応層に通水することで、スラグ表面に均一にリン酸カルシウム化合物を析出させることができる。pH調整は流動床内で行い、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムのいずれか一方を用いる。
本発明に係る、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とする固体粒子としては、鉄鋼製造工程で副産物として発生する、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグの内1種または2種以上を用いることが好ましい。
ここで高炉徐冷スラグは高炉から排出した溶融スラグをヤードやドライピットなどに流し出して緩やかに冷却した結晶質スラグ、高炉水砕スラグは該溶融スラグに高圧水を吹き付け急速に冷却したガラス質スラグである。製鋼スラグは、転炉スラグや予備処理スラグなどで結晶質である。これらは鉄鋼製造の過程で発生し、容易に品質の安定した物が多量に得られる。
該スラグは酸化カルシウムを30〜50質量%程度、酸化ケイ素を10〜40質量%程度含有し、両者の合計として50質量%以上含有しており、水に浸漬したときにアルカリ性を示すので、単独で使用することも、任意に混合して使用することもできる。
また本発明のスラグに限らず、ゴミ溶融スラグや非鉄金属スラグなど、酸化カルシウムと酸化ケイ素の合計含有量が50質量%以上であれば、本発明に用いることが可能である。
また本発明に用いる固体粒子の粒径は0.3mm以下が90%以上含まれていることが好ましい。粒径の調整は通常の分級による。目開き0.3mmの篩を通過する粒子は全て利用可能であるし、より目開きの大きい篩を用いて分級しても、0.3mm以下が90%以上含まれていれば利用可能である。高炉水砕スラグは製造段階で細かい砂状にされており、目開き0.6mmで分級したものを利用することもできる。細かい粒子が多い場合には、比表面積が大きく晶析効率が高くなるので、セメントやコンクリート用向けに粉砕して製造される高炉スラグ微粉末を用いることも可能である。高炉徐冷スラグや製鋼スラグは、粉砕して0.3mm以下を用いる。またこれらの固体粒子を混合する場合は、粒径を同じ範囲にすることが好ましい。
本発明による処理フロー及び装置の一例を図1に示す。
固体粒子1を充填した反応槽2の下端より上方流で被処理水を通水し、固体粒子の流動床を形成する。この流動床内に水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムの添加管3を挿入し、できるだけ流動床の下部から水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液を添加する。塩化カルシウムは、添加管3より水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムと混合して添加するか、または混合槽4に注入した被処理水に塩化カルシウム添加管6から添加して、撹拌装置7によって被処理水と十分混合した後に、ポンプ5によって反応槽2に通水するか、または被処理水の反応槽2への供給配管内に直接添加するか、いずれかの方法を用いる。
尚、被処理水と塩化カルシウムの混合は、被処理水が反応槽に通水される前に塩化カルシウムと均一に混合していれば、如何なる方法でも良く、図1に示すような混合槽4や攪拌装置7はその一例である。
本発明では、被処理水の反応槽内における線流速V(m/h)を、固体粒子の最大粒径D(mm)に対し、75×D≦V≦200×Dにすることが好ましい。線流速Vが75×Dより小さいと、固体粒子が十分に流動できず、かつ添加した水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムと被処理水との混合が不十分となり、リン酸カルシウム化合物が均一に生成しないばかりか、局所的にリン酸カルシウム化合物が生成して固体粒子どうしが結合し、反応槽が閉塞する可能性がある。一方線流速Vが200×Dより大きいと、流動床内の固体粒子同士の間隔が開きすぎて流動中の固体粒子の充填密度が低下して、リン酸カルシウム化合物が固体粒子表面で生成し難くなり、水中で生成したリン酸カルシウム化合物が処理水と共に流出してしまう量が増加するため好ましくない。尚、反応槽から処理水が排出される出口には、固体粒子が処理水と共に流出しないようにフィルター等を設置することが好ましい。
表1に本発明の実施例、及び表2に比較例を示す。
図1に示す処理装置で、反応槽2は内径40mmの共通とした。被処理水の流量は所定の線流速になるよう調整した。
実施例に用いたスラグは、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグ(予備処理スラグ)で、酸化カルシウムと酸化ケイ素の合計含有量は、高炉スラグが75質量%、製鋼スラグが80質量%である。またカルシウムとケイ素の含有モル比は、高炉スラグが1.3、製鋼スラグが1.5である。
実施例1は、破砕した高炉徐冷スラグの0.3mm以下を、反応槽に高さ400mm充填した。被処理水を線流速Vが10m/hになるよう通水して流動床とした。被処理水は、正リン酸態リン(PO−P)として約5mg/Lに調整した模擬排水を用い、約0.21L/分の被処理水の流量にて通水した。すなわちリンのモル流量としては、約0.034mmol/分にて通水した。
また、添加管3を通して流動床の下部より水酸化カルシウムの飽和水溶液を、リンに対するカルシウムのモル比が4.4、すなわち、カルシウムのモル流量としては、約0.15mmol/分にて添加した。この際、処理水中に付加されるカルシウム濃度としては、約28mg/Lである。
その結果、処理水のpHは約10で、全リン(T−P)は約0.5mg/Lとなり、リン除去率90%の良好なリン除去ができた。以下実施例5までは高炉徐冷スラグを用い、同一の通水条件とした。
実施例2は、被処理水のリンに対するカルシウムのモル比が5.6、即ちカルシウム濃度が処理水中で約36mg/L付加されるように混合槽4内で塩化カルシウムを被処理水に混合して通水した。また添加管3を通して流動床の下部から水酸化ナトリウムを、被処理水のリンに対するモル比が5、即ち約0.8mmol/Lになるように添加した。処理水のpHは9.2となり、T−Pは約1mg/Lで、リン除去率80%であった。
実施例3は、pH調整を実施例2の水酸化ナトリウムに代えて水酸化カルシウムで行った。処理水のpHは9.5、T−Pは約0.9mg/Lで、実施例2とほぼ同等程度のリン除去であった。
実施例4は、被処理水のPO−P濃度を約45mg/Lとした。この場合では、被処理水のリンに対するカルシウムのモル比が2、即ちカルシウム濃度が約116mg/L付加されように塩化カルシウムを被処理水に混合して通水した。また流動床の下部より水酸化ナトリウムを、被処理水のリンに対するモル比が1.5、即ち約2mmol/Lになるように添加した。処理水のpHは8.5と十分低く、T−Pは約8mg/Lとなり、リン除去率は80%以上が得られた。
実施例5は、被処理水のPO−P濃度を約20mg/Lとして、実施例4と全く同一の処理を行った。その結果、処理水のT−Pは約2.5mg/Lで、リン除去率88%の十分な除去効果があった。
実施例6は、分級した0.3mm以下の高炉水砕スラグを、反応槽に高さ400mm充填した。処理条件は実施例1とほぼ同様とした。処理水のT−Pは約0.5mg/Lで、リン除去率90%の良好な結果が得られた。
実施例7は、破砕した製鋼スラグ(予備処理スラグ)の0.3mm以下を、高さ400mmに充填した反応槽とした。処理条件は実施例1とほぼ同様とした。高炉スラグとほぼ同様なリン除去効果が得られた。
実施例8と実施例9は、被処理水のPO−P濃度を約20mg/Lとした実施例5の処理条件で、高炉徐冷スラグの代わりに高炉水砕スラグまたは製鋼スラグ(予備処理スラグ)を用いた。実施例5の結果とほぼ同様、処理水のpHは8.3〜8.5と十分低く、T−Pは約2.5mg/Lと良好なリン除去効果があった。
実施例10〜13は、実施例1とほぼ同様な処理条件で、固体粒子としてスラグの混合物を用いた例である。実施例10〜12は高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグ(予備処理スラグ)のうち2種を50質量%づつ混合し、実施例13は3種を表1の比率で混合した。粒径は全て0.3mm以下に調整した。何れも実施例1とほぼ変わりないリン除去効果が得られた。
実施例14と実施例15は、実施例1に対し線流速を変えた例である。本発明では、粒径0.3mm以下の高炉徐冷スラグには、線流速6.75〜18が好ましい。実施例14はその下限、実施例15はその上限程度の線流速で通水した。その結果、実施例14の低流速では、リン除去率が若干向上し、混合は十分均一で固体粒子の結合もなく安定して処理できた。また実施例15の高流速では、逆にリン除去率が低下したものの、リン除去率80%が得られた。これ以上の線流速になると、十分なリン除去ができなかった。
実施例16と実施例17は、実施例6に対し高炉水砕スラグの粒径を変えた例である。実施例16では最大粒径0.6mmに対し線流速を30m/h、実施例17では最大粒径0.15mmに対し線流速を3m/hとして流動床を形成した。実施例16では粒径の大きい固体粒子が多い分、比表面積が小さくなって、若干析出効率が低下したものの、リン除去率80%であった。実施例17では比表面積が大きく、接触時間も長いことから、リン除去率92%の十分な結果が得られた。
実施例18は、被処理水のPO4−P濃度が約45mg/Lの場合に、被処理水のリンに対するカルシウムのモル比が塩化カルシウムと水酸化カルシウム合わせて2.2、カルシウム濃度として約128mg/L付加されように塩化カルシウムと水酸化カルシウムの混合水溶液を流動床下部から添加した。その結果、T−Pは約5mg/Lで、リン除去率88%であった。
一方、表2に示す比較例1〜5は、種結晶としてそれぞれ、リン鉱石、ゼオライト、アパタイト、珪酸カルシウム水和物、骨炭を用いてリン除去処理を行った文献例である。リン除去率で比較すれば、ゼオライト、アパタイト、珪酸カルシウム水和物が良好と思われる。しかしアパタイト、珪酸カルシウム水和物は人工物であり、高価である。またゼオライトは、比較例の性能が得られる程度の陽イオン交換能を有するものを安定的に賄うことは難しい。種結晶材料コストは、スラグを用いれば約1/2程度になる。
本発明による処理速度、例えば空塔速度SV(1/h)は、実施例において15〜43であり、比較例の10〜12より十分に高速で処理できる。また晶析によってスラグが粒成長するために流動性が徐々に低下し、被処理水のリン濃度が高いほど流動性の低下は速いが、被処理水のリン濃度が5mg/l程度の場合には、1年間以上安定してリン除去率90%以上の処理ができた。
本発明に係る処理フロー及び装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 固体粒子、
2 反応槽、
3 水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムの添加管、
4 被処理水と塩化カルシウムの混合槽、
5 被処理水と塩化カルシウムの混合液を反応槽に通水するポンプ、
6 塩化カルシウム添加管、
7 攪拌装置。

Claims (4)

  1. 正リン酸態リンを含有する被処理水を、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に通水し、形成される該固体粒子の流動床に、水酸化カルシウム、又は塩化カルシウムと水酸化カルシウム、又は塩化カルシウムと水酸化ナトリウムを添加して、該被処理水からリンを除去することを特徴とする水中からのリンの除去方法。
  2. 正リン酸態リンを含有する被処理水に塩化カルシウムを添加して混合した後、当該混合後の被処理水を、酸化カルシウムと酸化ケイ素を主成分とするスラグからなる固体粒子を充填した反応槽に通水し、形成される該固体粒子の流動床に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの少なくともいずれかを添加して、該被処理水からリンを除去することを特徴とする水中からのリンの除去方法。
  3. 前記固体粒子が、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、製鋼スラグの内1種または2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中からのリンの除去方法。
  4. 被処理水の反応槽内における線流速V(m/h)が、固体粒子の最大粒径D(mm)に対し、75×D≦V≦200×Dであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中からのリンの除去方法。
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