JP2006222349A - 研磨パッド用クッション材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオールとポリイソシアネートの反応で得られるポリウレタン発泡体であって、水との接触角が90°以上であるポリウレタン発泡体であることを特徴とする。このポリウレタン発泡体は、疎水性ポリオールを使用したものが好ましく、また、自己スキン層が形成されたものが好ましい。
【選択図】 なし
Description
従来、この研磨パッドのクッション材はポリウレタンフォームが多く使用されているが、ポリウレタンフォームのクッション材は、通気性があるため研磨過程で研磨に用いられるスラリー水分を吸収・膨潤し、部分的もしくは全体的に「へたり」が生じたり、弾性が変化したりする。研磨パッドは、表層材とクッション材とが一体に形成されているために、クッション材の膨潤変形が進むと表層材にも影響し、均一で精度ある研磨が行えず、研磨パッドの交換頻度が多くなる課題がある。
また、前記両面に粘着剤層を有するものは、クッション材そのものの吸湿性が低くてもクッション材が繰り返し圧縮・復元を繰り返す常態下においては、水の侵入を防ぐには不完全なものであった。
より具体的には、クッション材が研磨スラリー水の浸入を極めて低く抑えることで水による膨潤変形が生じ難い研磨パッド用のクッション材の提供にある。さらには、クッション材は、初期圧縮状態における復帰弾性領域が広く、応力分散性に優れるポリウレタン発泡体であり、半導体ウェーハ表面のうねりや凹凸を均一に緩和する研磨に好適なポリウレタン発泡体のクッション材の提供にある。即ち、従来の研磨パッド用クッション材の課題であった吸水性、水による膨潤性を改善した撥水性で高性能な研磨パッド用クッション材の提供にある。
水との接触角が90°以上のポリウレタン発泡体は、撥水性が高く、吸水率と水膨潤性が低くなる。また、ポリオールとポリイソシアネートの反応で得られるポリウレタン発泡体は、クッション材の初期圧縮時の応力分散性に優れる復帰特性を示し、研磨時の半導体ウェーハ表面のうねりや凹凸を平滑で均一に緩和する作用をする。
これによりポリウレタン発泡体に撥水性が付与される。
また、前記ポリウレタン発泡体は、自己スキン層が形成されていることを特徴とする。自己スキン層を形成することによって、平滑度が高くなり、吸水率も低下するし、粘着テープ等との密着性もよくなる。
さらに、前記ポリウレタン発泡体は、PETフィルムと一体に形成され、一面にPETフィルムを有することを特徴とする。
これにより研磨パッド用クッション材における露出表面面積が少なくなり、さらに吸水性が低下する。また、不必要なポリウレタン発泡体の伸縮も防止でき、強度も向上する。
(1)撥水性が高く、吸水性および水による膨潤性が低く、長時間機械的特性の経時変化がなく、長時間精度の高い安定した研磨加工が可能となる。それにより研磨パッド(表層材とクッション材の二層構造)の交換頻度も激減する。
(2)クッション材の初期圧縮時の応力分散性に優れる復帰特性を有するポリウレタン発泡体であるので、研磨時の半導体ウェーハ表面のうねりや凹凸を平滑で均一に緩和する研磨が行える。
この発明の研磨パッド用クッション材は、ポリオールとポリイソシアネートの反応で得られるポリウレタン発泡体であって、水との接触角が90°以上であるポリウレタン発泡体で構成される。ポリオールとポリイソシアネートの反応で得られるポリウレタン発泡体は、クッション材の初期圧縮時の応力分散性に優れる復帰特性を示し、研磨時の半導体ウェーハ表面のうねりや凹凸を平滑で均一に緩和する。また、水との接触角が90°以上のポリウレタン発泡体は、撥水性が高く、吸水性と水膨潤性を低く抑えることができ、研磨時の機械的特性の経時変化を長時間に亘って少なくすることができる。ポリオールとして、疎水性ポリオールを使用すると、ポリウレタン発泡体に撥水性を付与することができるので好ましい。また、ポリウレタン発泡体は、自己スキン層を形成すると平滑度が高くなり、吸水率も低下するし、粘着テープ等との密着性もよくなるので好ましい。さらに、ポリウレタン発泡体は、PETフィルムと一体成形してもよい。これによりポリウレタン発泡体は、一面にPETフィルムを有することになり、その分露出表面積が少なくなり吸水性が減少するし、不必要なポリウレタン発泡体の伸縮も防止でき、強度も向上する。
ポリオールの相溶性試験方法は、直径が約18mm、長さ180mmのガラス製試験管に試料2gを秤量し、予めイソプロピルアルコルと蒸留水が重量比で75対25に調整された溶液をビューレットにより滴下し、液が次第に濁りを生じ試験官を透かして0.5mmの線が見えなくなった時の溶液添加量が2g以下の試料を合格と判定する。尚、本試験は25°の液温で行うものである。
前記の化合物は、研磨パッド用のクッション材において非移行性が望まれるので極力少ない添加量で使用するが、特に好ましくは使用しないことである。
その他添加剤としては、触媒、架橋剤、着色剤、樹脂改質剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐久性改良剤等を必要に応じて任意に使用することができる。
研磨パッド用クッション材は、通常、厚み0.5〜2mm、密度300〜700kg/m3、25%圧縮残留歪が10%以下、25%圧縮応力0.3〜0.7MPaの範囲で調整されたものが使用されるので、この発明のクッション材としてのポリウレタン発泡体も、前記諸原料を使用しこのような範囲に任意に調整する。
水との接触角:
(1)試験片をアルミニウム箔に挟み、温度180〜200℃・圧力40〜50kg/cm2でプレスしてフィルム状にしアルミニウム箔を剥がしたものの表面に水滴を滴下し、試験片と水滴が接する接触角を接触角計で測定した値である。接触角計としては、協和接触角計(CA−A協和化学社製)を使用。
(2)接触角が90°以上で撥水性が付与され、吸水率と水膨潤率が低くなる。撥水性を付与するには疎水性ポリオールを使用する。反応性シリコーン整泡剤で得られるポリウレタン発泡体は撥水性が高まるし、シリコーンのブリードアウトを抑制し粘着剤との接着力が向上する。疎水性付与で石油樹脂やオイル等を添加することができるが、半導体ウェーハへの付着を抑えるべく最低限に留める必要がある。
(1)JIS K6400に準拠。試験片は100mm×100mmに打ち抜いた後、9箇所の厚みを測定(n=2)。
(2)ポリウレタン発泡体の特性に影響を与えるが、発泡剤の水、有機発泡剤の量で調整可能である。密度と圧縮硬さは密接な関係があり、密度が高いと圧縮硬さの値が大きくなる。
(1)自動記録装置を有し、圧縮速度を一定に保つことの出来る万能試験機の中央に試験片を置き、試験片をもと厚みの25%圧縮時の荷重をそれぞれ読み取った。圧縮速度は50mm/min。
(2)密度に大きく左右される。ポリオールやポリイソシアネートの官能基数fでも影響を受ける。fが大きいと圧縮硬さの値は大きくなる。
通常、研磨パッド用クッション材は、密度300〜700kg/m3、25%圧縮応力0.3〜0.7MPaの範囲のものが使用される。従って、前記密度及び圧縮硬さもその範囲が好ましい。
(1)図1に示すように圧縮硬さ測定時の荷重−たわみ曲線から直線性が得られるたわみ率を求める。このたわみ率(復帰弾性率)が大きい値ほど好ましい。
(2)初期圧縮時の復帰弾性率が大きい程、応力分散性が良くなり、半導体ウェーハのうねりや凹凸、段差等を緩和するので、研磨パッド用クッション材として好適となる。
(1)容易に変形しない平滑な2枚の圧縮用金属板を用い、試験片の厚さの75%に平行に圧縮固定して、温度23±2℃の環境に24時間保持する。24時間後、試験片を圧縮板から取り出し、30分放置した後、厚さを測定する。
圧縮残留歪=(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み×100
(2)圧縮残留歪の値が大きくヘタリが生ずると、長期のクッション性が劣り、好ましくない。
(1)水圧10cm,50℃雰囲気下で24時間後の試験片サンプルの重量を測定し、増加した重量を元の重量に対する割合(wt%)で表した。試験片は厚み×100mm×100mmを無圧縮で水に浸漬後、50℃オーブン中で試験。
(2)撥水性が高いものほど、吸水率は小さい値を示す。独立気泡があると吸水率は小さい値を示す。
(1)水圧10cm、50℃雰囲気下で24時間後の試験片の厚みを測定し、増加した厚みを元厚みに対する割合(%)で表した。試験片は厚さ×100mm×100mmを無圧縮で水に浸漬し、50℃オーブン中で試験。
(2)吸水率は小さく撥水性が高いものほど、水膨潤率は小さい値を示す。
A:ダイマー酸ポリエステルポリオール/MDI
B:グリセリンにPo/Eo付加したポリエーテルポリオール/MDI
C:グリセリンにPo/Eo付加したポリエーテルポリオール/ウレタン(ジオール)変成のMDI
D:グリセリンにPo/Eo付加したポリエーテルポリオール+水酸化アルミニウム含有/MDI
また、実施例2のポリウレタン発泡体は、水との接触角が98°であって発泡体の吸水率0.9%、水による水膨潤率0.1%と極めて低く、かつ復帰弾性率は2.8%とさらに良く初期圧縮時の応力分散性に優れ、研磨パッド用クッション材として好適であることが理解できる。
これに対し比較例1のポリウレタン発泡体では、水との接触角が86°であり、吸水率10wt%および水膨潤率0.6%と高いものであり、さらに復帰弾性率も1.8%で実施例1および2に比べ劣るものである。また、比較例3のポリウレタン発泡体は、水との接触角が81°であり、吸水率および水膨潤率も52wt%および0.9%と高いものであり、さらに復帰弾性率も1.6%であり、実施例1および2に比べ劣るものである。比較例2のポリウレタン発泡体は、水との接触角が84°であり、吸水率および水膨潤率も39wt%および0.7%であり、実施例1および2と比べ劣るものであるが、復帰弾性率は2.6%と高い値を示し、実施例1および2と遜色がない。復帰弾性率がポリエーテル系の発泡体であるにもかかわらず実施例1相当のレベルを示したのは、架橋密度が低下したためと考えられる。
また、当然ながらPETフィルム一体のポリウレタン発泡体は、吸水率において更に向上していることを示している。
Claims (5)
- ポリオールとポリイソシアネートの反応で得られるポリウレタン発泡体であって、水との接触角が90°以上であるポリウレタン発泡体であることを特徴とする研磨パッド用クッション材。
- 前記ポリウレタン発泡体は、疎水性ポリオールを使用して得られるポリウレタン発泡体であることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド用クッション材。
- 前記ポリウレタン発泡体は、自己スキン層が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の研磨パッド用クッション材。
- 前記ポリウレタン発泡体は、PETフィルムと一体に成形され、一面にPETフィルムを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の研磨パッド用クッション材。
- 前記ポリウレタン発泡体における疎水性ポリオールは、ダイマー酸ポリエステルポリールである請求項2記載の研磨パッド用クッション材。
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