JP5557578B2 - 発泡ポリウレタンシート - Google Patents
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Description
近年、需要が増加しているノート型パソコン・携帯電話・新規のモバイル機器など、持ち運ぶ使用形態の機器の場合には、特にこの衝撃吸収性が重要になる。更に、近年における電子機器製品の高性能化・小型化・薄型化に伴い、クッション材にも様々な性能向上が求められている。
衝撃吸収性に優れるポリウレタンフォームについては、種々の提案がなされており、例えば、衝撃吸収性を目的とした軟質スラブポリウレタン発泡体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。これらのポリウレタン発泡体は、衝撃吸収性はある程度改良されるものの、高発泡のスラブ体であり、防塵性や遮光性の点では未だ実用上のレベルを満足するものではない。さらに、このポリウレタン発泡体をシート状にするには、スライスなどの機械的加工にて所定の厚みのシートを成形するため、表面に強度が低いセル(発泡空隙)切断面が露出し、機器に影響を与える懸念のあるパーティクルが発生し易いという問題もあった。
また、近年の持ち運び対応機器においては、生活防水性も重要なポイントであり、これを目的として低吸水性を有するクッション材が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。このクッション材は、衝撃吸収性、復元性、低吸水性については、改良されているものの、引張強さ、引裂き強さなどの機械的強度においては、なお改良の余地がある。即ち、発泡ポリウレタンシートを種々の機器に適用するに際し、粘着テープを貼り付けたり、形状打抜きしたり、シート状から剥がしたりするといった加工工程が必要となり、加工工程における作業容易性の観点から、より良好な機械的強度が求められているのが現状である。
以下、本発明の発泡ポリウレタンシートを得るための各成分につて、順次、詳細に説明する。
<(A)ダイマー酸ポリエステルポリオール>
本実施形態に使用されるダイマー酸ポリエステルポリオールは、(a−1)ダイマー酸と、以下に詳述する(a−2)低分子ジオールと、(a−3)低分子トリオールとを、(a−2)低分子ジオールと該(a−3)低分子トリオールとの反応モル比が80:20〜95:5の範囲で反応させてなる反応生成物である。
〔(a−1)ダイマー酸〕
本実施形態に用いうるダイマー酸とは、二塩基性酸であって、二つの一塩基性脂肪酸が炭素−炭素共有結合により、二分子結合して得られる、結合前一塩基性脂肪酸に対して分子量が2倍である二塩基性酸を指す。通常は、ダイマー酸を構成する一塩基性脂肪酸として、炭素数が18前後の脂肪酸を有するものが使用される。ダイマー酸の代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸を加熱することによって得られる二塩基酸が挙げられる。
通常、ダイマー酸の工業的製法では、ダイマー酸以外のモノマー酸、三塩基酸および重合酸が副成物として含まれている。本実施形態における(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールの作製に際しては、ダイマー酸の純度が高い方が好ましいが、これらの副成物が混合された状態で使用されてもよい。
本実施形態に用いうる低分子ジオールとしては、低分子量の化合物であって、−OH基を二つ有する化合物であれば特に制限はなく使用される。本発明における低分子ジオールとは、全炭素数が3つ以上であり、且つ、2つの−OH基の間に存在する炭素数が2〜10であるものを指し、炭素数が4〜6であることがより好ましい。
より具体的には、炭化水素基の主鎖部分に二つの炭素を有するα-ジオール、主鎖に3つの炭素を有するβ−ジオール、主鎖に4つの炭素を有するγ−ジオール、主鎖に5つの炭素を有するδ−ジオールなどが挙げられ、なかでも、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
主鎖を構成する炭化水素基部分は、直鎖状であってもよく、分岐鎖を有するものであってもよく、分岐鎖を有する場合の分岐鎖部分は、メチル基又はエチル基等のアルキル基であることが好ましい。なお、主鎖に分岐鎖を有する場合、炭化水素基部分の疎水性が向上するため、低吸水性向上の観点からは、分岐鎖を有するものが好適に使用される。
一般には、主鎖部を構成する炭化水素基の炭素数が5以上のジオール、例えば、1,5−ペンタンジオール等を用いた場合、得られるポリウレタンシートの圧縮残留歪みが低下する傾向にあるといわれているが、本実施形態においては、後述する低分子量トリオールを併用することで、得られるポリウレタンの圧縮残留歪みが改善されるため、炭素数5以上のジオール化合物も適宜用いることができる。
本実施形態に用いうる低分子トリオールは、分子内に3つの水酸基を有し、低分子の化合物であれば特に制限はない。低分子トリオールにおける低分子とは、前記低分子ジオールにおいて示したのと同様に、3つの水酸基が結合する炭化水素基部分における炭素数が2〜10であるものを指し、炭素数が3〜6であることがより好ましい。炭化水素基部分は直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであってもよい。
本実施形態に用いられる低分子トリオールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−メチルプロパントリオール等が挙げられる。
本実施形態においては、前記(a−2)低分子ジオールと(a−3)低分子トリオールとの含有比が重要となる。即ち、前記(a−1)ダイマー酸と、(a−2)低分子ジオールと、(a−3)低分子トリオールとを含有する組成物において、(a−2)低分子ジオールと、(a−3)低分子トリオールと化合物との含有比は、モル換算で、80:20〜95:5の範囲であることを要する。低分子トリオールの含有比率が20を超えると、得られる発泡ポリウレタンシートが硬くなる傾向があり、また、5未満では、十分な機械的強度及び復元性が得られない懸念がある。より好ましい比率は、機械的強度と復元性のバランスの観点から、85:15〜90:10の範囲である。
本実施形態におけるポリエステルポリオールは、前記した酸成分としてのダイマー酸と、グリコール成分としての低分子ジオール及び低分子トリオールを縮合重合させてなるエステル化物である。エステル化反応は常法により行われる。当該反応において、ダイマー酸の有するカルボキシル基数100に対して、通常、低分子ジオール及び低分子トリオールが有する水酸基数の総量が140〜170の範囲で合成させる。
本実施形態において用いられるポリイソシアネートは、(b−1)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、(b−2)分子量400〜700であり、平均官能基数が2であるポリプロピレングリコールとを反応させてなるイソシアナート基末端プレポリマーである。
〔(b−1)ジフェニルメタンジイソシアネート〕
本実施形態における(b−1)MDIとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適であり、当該化合物はピュアMDIとも称される。イソシアネートとして一般に用いられる変性品を用いると、得られる発泡ポリウレタンシートの柔軟性や伸張性が低下する傾向があるため、未変性品であるピュアMDIを使用することが好ましい。
本発明においては、前記MDIと比較的低分子量のポリプロピレングリコール(PPG)との反応生成物であるイソシアナート基末端プレポリマーをイソシアネート成分として用いることを特徴とする。プレポリマー化したイソシアネート成分と前記特定のポリオールとを反応させることで、柔軟で衝撃吸収性に優れ、且つ、復元性、機械的強度も良好な発泡ポリウレタンシートが得られる。
本実施形態において用いられるPPGとしては、数平均分子量400〜700の範囲であることを要する。
分子量が大きすぎると機械的強度や復元性が低下し、分子量が小さすぎる場合には、伸びが低下し硬くなるという問題がある。
また、PPGとしては、平均官能基数が2であることが必要である。PPGが3以上の官能基を有するものを用いた場合には、ウレタンの発泡性が低下する傾向があるため、3官能以上のPPGは含まないことが好ましく、不純物として少量含む場合でも、平均官能基数が2となる範囲であることを要する。
前記(b−1)MDIと(b−2)特定分子量で2官能のPPGとを反応させてイソシアナート基末端プレポリマーを得る。反応は常法により行われる。(b−1)MDIと(b−2)PPGとの反応時のモル比は、2.1:1〜2.5:1の範囲であることが好ましい。
前記特定の(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールと、特定の(B)ポリイソシアネートと、(C)発泡剤とを含有する組成物を、触媒の存在下で反応させ、発泡硬化させることにより本発明のポリウレタンシートを得る。
ここで、前記(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールと、前記(B)ポリイソシアネートとを反応させる際のイソシアネートインデックス、即ち、(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールが有する−OH基に対し、(B)ポリイソシアネートが有する−NCO基との比率が、90〜120の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜115の範囲である。イソシアネートインデックスが90〜120の範囲において、柔軟性と強度との良好なバランスが得られる。イソシアネートにおける−NCO基の比率が120以下であると、−NCO基の自己架橋形成に起因する柔軟性の低下が抑制され、90以上であることで、ポリウレタンシートが実用上十分な強度を有する。
なお、イソシアネートインデックスとは、ポリウレタンを合成する際に使用される、ポリオールが有する−OH基に対する、イソシアネートが有する−NCO基の含有比率を表し、イソシアネートインデックスが100の場合、ポリオールが有する−OH基とイソシアネートが有する−NCO基とが等量であることを示し、数値が100未満の場合、−OH基が過剰であり、数値が100を超える場合、−NCO基が過剰であることを示す。
本実施形態、例えば、後述する実施例1では、剥離加工を施した工程剥離紙面に挟んで発泡硬化させることにより両面に自己スキン層を形成しているが、これに限定されない。 本実施形態の発泡ポリウレタンシートは、少なくとも片面に自己スキン層を有することで、平滑な外観を有し、当該面からの、発泡ポリウレタン基材の脱落に起因するパーティクルの発生が抑制されるために、例えば、防振対象となる機器への汚染が抑制される。また、クッション材と接する相手物に密着するため、良好な防塵性、低透湿性、気密性、水密性を発現する。
シートの作製方法には特に制限はなく、例えば、ワンショット法、プレポリマー法など、公知の方法を適用することができる。従来公知の、スラブフォームをカットして得られるポリウレタンシートに比較し、本発明の発泡ポリウレタンシートは、少なくとも片面に自己スキンを有するため、前記好ましい諸物性に加え、自己スキンを有することで防塵性と遮光性も良好であるという利点をも有するものである。
発泡剤としては、当該分野において公知の化合物を適宜、使用することができ、例えば、水、常圧で気体の不活性ガス、ハロゲン化アルカン類、低沸点アルカン類、及び、分解窒素ガス等を発生するアゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
常圧で気体の不活性ガスとしては、例えば、窒素、炭酸ガス、空気等が挙げられ、ハロゲン化アルカン類としては、例えば、モノフッ化トリ塩化メタン、ジ塩化メタン等が挙げられ、低沸点アルカン類としては、例えば、ブタン、ペンタン等が挙げられる。
これらは目的に応じて選択され、1種のみでもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。発泡剤の添加量は、目的とする気泡のサイズ、密度などにより適宜選択される。
触媒としては、ポリウレタンの合成に通常用いられる化合物であれば特に制限なく使用され、例えば、錫系、チタン系、ビスマス系、ニッケル系等の有機金属系触媒や、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒等が挙げられる。
触媒の添加量もまた、目的に応じて適宜選択される。
本実施形態においては、発泡ポリウレタンシートの作製に際し、上記各成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を併用してもよい。添加剤としては、架橋剤、整泡剤、難燃剤等が挙げられる。
架橋剤としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、トリメチロールプロパン等のポリオール類の他、ポリアミン類、水等、当該分野において公知の架橋剤を使用できる。なかでも、トリメチロールプロパンにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加した化合物が好ましく用いられ、更に、水酸基価OHv=850〜1150の同化合物がより好ましく用いられる。
架橋剤を用いる場合の添加量としては、ポリオール成分の総量100質量部に対して、0.5〜3.0質量部の範囲であることが好ましい。架橋剤が多すぎると機械的強度は向上するが、柔軟性が低下する懸念がある。また、エチレンオキシ基の大量導入は低吸水性能を損なうので好ましくない。
整泡剤としては、当該分野において公知の整泡剤が用いられ、例えば、シリコーン整泡剤、界面活性剤等が使用される。
シリコーン整泡剤としては、イソシアネートと反応する反応基を含む化合物を用いることが好ましい。これは、シリコーン整泡剤がウレタンシート成分中に反応により固定化されることで、ブリートアウトが抑制されることと、シリコーン整泡剤自体が有する高い撥水性により、低吸水性能がより改良されるためである。具体的には、OH基、NH基、NH2基、SH基、COOH基、及び、CH2OH基から選択される官能基、特にOH基を分子内に有するシリコーン整泡剤が好ましく用いられる。
整泡剤に使用される界面活性剤としては、ジエチルアミノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、及び、ビニルピロリドン等が挙げられる。
難燃剤を含むことで、発泡ポリウレタンシートに難燃性を付与しうるため、とくに熱の負荷が掛かる用途に好適である。
使用される難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、酸化アンチモン系難燃剤、赤リン系難燃剤、金属水和物(金属:Al、Fe、Zn、Ca、Ba、Ni等)、熱膨張黒鉛、窒素系化合物(例えば、メラミン、メラミンシアヌレート等)、リン酸系難燃剤(例えば、ハロゲン含有リン酸エステル、ホスファゼン化合物、リン酸エステル、ポリリン酸塩等)等が挙げられ、これら公知の難燃剤を適宜、使用することができる。
なお、本明細書においては、シートの厚みは、JIS K6400に準拠して測定した値を用いている。即ち、発泡ポリウレタンシートの試験片を縦100×横100mmに打ち抜き、発泡方向について厚みを1/100mmの精度をもつダイヤルゲージで9点測定し、平均値をシート厚みとした。
本発明の発泡ポリウレタンシートは衝撃吸収材として用いられるが、衝撃吸収材の好ましい物性について述べれば、以下のような条件に適合することが挙げられる。
〔密度〕
発泡ポリウレタンシートの縦100×横100mmの試験片を使用し、JIS K6400に準拠した方法にて体積と質量を測定し、発泡体の密度を算出したとき、100kg/m3〜600kg/m3であることが好ましく、より好ましくは、150kg/m3〜400kg/m3の範囲である。この密度を有することにより、実用上十分な衝撃吸収性と、実用上の耐久性や加工性に適する機械的強度と、が得られる。
自動記録装置を有し、圧縮速度を一定に保つことのできる万能型材料試験機((株)ORIENTEC社製 UCT−500)の中央に発泡ポリウレタンシートの試験片を置き、圧縮速度10mm/分で、厚みが25%圧縮されるまで圧縮し測定した。試験片は、縦30mm×横30mmを約10mmに積層して使用した。
25%圧縮硬さが、0.5mPa以下において、好適な衝撃吸収性を得ることができると評価する。0.2mPa以下であることがより好ましい。
JIS K6400に準拠して、発泡ポリウレタンシートをダンベル状2号形で打ち抜いた試験片を引っ張り試験機にセットし、引張り速度:200mm/minで引っ張り試験を行い、破断時の強度と破綻時における最大伸びを測定した。
引張強さが、0.5MPa以上において、実用上の耐久性や加工性に適する機械的強度を得ることができ、また、伸びは、100%以上であることが好ましい。
JIS K6400に準拠し、ヒステリシスロスを測定した。自動記録装置を有し、圧縮速度を一定に保つことができる万能型材料試験機((株)ORIENTEC社製 UCT−500)の中央に試験片(縦30mm×横30mm)を置き、圧縮速度50mm/分で厚みが25%圧縮されるように圧縮した。この挙動を、自動記録装置を使ってチャート紙に記録し、圧縮時と解放時の挙動変化から次式によりヒステリシスロスを測定した。
式中、A及びBは図1に示される圧縮硬さ−圧縮率曲線における各面積を表す。
ヒステリシスロスが、20%〜70%の範囲において、好適な衝撃吸収性と復元性とを得ることができ、30%〜50%の範囲がより好ましい。
発泡ポリウレタンシートの縦30mm×横30mmの試験片を使用し、JIS K6400に準拠した方法にて圧縮残留歪を測定した。容易に変形しない平滑な2枚の圧縮用金属板を用い、試験片の厚さの25%に平行に圧縮固定して、温度70℃のオーブン中で22時間保持した後、試験片を圧縮板から取り出し、室温で30分放置した後の厚さを測定した。次式より圧縮残留歪を算出した。
圧縮残留歪(%)={(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み}×100
圧縮残留歪が、5.0%以下において、好適な衝撃吸収性と復元性とを得ることができ、2.0%以下であることがより好ましい。
発泡ポリウレタンシートの試験片(縦50mm×横50mm、n=2)を、水圧100mmAq下で24時間浸漬し、試験片の質量変化を測定し、次式より吸水率を算出した。なお、吸水の質量(g)は、1g=1cm3として換算した。
吸水率(Vol%)=
{(吸水後の質量(g)−吸水前の質量(g))/試験片の体積(cm3)}×100
吸水率が、3.0%以下において、実用上十分な低吸水性を達成しているといえ、1.0%以下であることがより好ましい。
1.(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールの調製
攪拌機、水分離器つき反応容器中に、3−メチル−1,5−ペンタジオール(以下、1,5−HGと略す:低分子ジオール)と、トリメチロールプロパン(以下、TMPと略す:低分子トリオール)と、を95対5の比率で混合したものと、ダイマー酸(モノマー酸:2%、ダイマー酸:94%、トリマー酸:4%;ハリマ化成(株)製、ハリダイマー300)とを低分子ポリオールの水酸基/ダイマー酸のカルボキシル基の比が、150/100になるように、さらに、触媒としてジブチルスズジラウレートをダイマー酸1000部に対して0.02部仕込み、常圧下で窒素ガスを通じつつ、約240℃で縮合水を流出させながら脱水エステル化反応を行ない、ダイマー酸ポリエステルポリオールを得た。
2.(B)イソシアネートの調製
攪拌機つき反応容器中に分子量(Mw)400、官能基数2のポリオキシプロピレングリコール(以下、PPGと略す)と、ピュア−ジフェニルメタンジイソシアナート(以下、ピュア−MDIと略す)を1:2.2のモル比率で混合し、常圧下で窒素ガスを通じつつ、約80℃で反応させプレポリマー化して、イソシアナート末端プレポリマー(NCO%10.57)を得た。
得られたダイマー酸ポリエステルポリオール100部と、アミン触媒0.2部、シリコーン整泡剤0.5部、水0.5部をラボミキサーで十分に混合攪拌し、これに、イソシアネート成分としてイソシアナート末端プレポリマー(NCO%10.57)をNCO/OH比が1.05(イソシアネートインデックス:105)となるように添加し、更に混合した。
得られた混合物を、剥離処理が施されたPETフィルムの工程紙剥離面に塗布バーを用いて均一に塗布後、上面にも剥離処理面がくるように工程紙を被せた後に、加熱オーブン(80℃×3分+100℃×3分)で硬化することにより、両面に自己スキンを有する発泡ポリウレタンシートを得た。
得られた発泡ポリウレタンシートを、二次キュアーとして、70〜120℃の加熱オーブンで6〜22時間加熱し、ウレタン硬化反応を完全に終結させた。
分子量600、官能基数2のPPGを使用して調製したイソシアナート末端プレポリマー(NCO%13.1)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の発泡ポリウレタンシートを得た。
<実施例3>
1,5−HGとTMPとの混合モル比を80対20に変えてダイマー酸ポリエステルポリオール(平均分子量1,450、水酸基価98.0)を調製した以外は実施例2と同様にして実施例3の発泡ポリウレタンシートを得た。
<実施例4>
ネオペンチルグリコール(以下、NPと略す)と、1,4−ブタンジオール(以下1,4−BDと略す)と、TMPとをモル比45対45対10で混合したものを用いてダイマー酸ポリエステルポリオールを調製した以外は、実施例2と同様にして実施例4の発泡ポリウレタンシートを得た。
ダイマー酸ポリエステルポリオールとイソシアネートとを、NCO/OH比が1.00(イソシアネートインデックス:100)となるように混合した以外は実施例3と同様にして実施例5の発泡ポリウレタンシートを得た。
<実施例6>
1,5−HGと、グリセリンと、をモル比80対20で混合した混合物を用いてダイマー酸ポリエステルポリオールを調製し、NCO/OH比が1.15(イソシアネートインデックス:115)となるようにイソシアネートと混合した以外は実施例2と同様にして実施例6の発泡ポリウレタンシートを得た。
分子量1000官能基数2のPPGを使用してイソシアナート末端プレポリマー(NCO%6.33)を調製した以外は実施例1と同様にして比較例1の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例2:PPGがEO変性品>
分子量600、官能基数2のPPGに変えて、分子量600官能基数2のポリオキシエチレングリコール(以下PEGと略す)を使用してイソシアナート末端プレポリマーを調製した以外(NCO%13.5)は実施例1と同様にして比較例2の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例3:低分子トリオールを使用せず>
低分子トリオールであるTMPを使用せず、低分子ジオール成分である1,5−HGの含有モル比100として、ダイマー酸ポリエステルポリオールを調製した以外は実施例2と同様にして比較例3の発泡ポリウレタンシートを得た。
1,5−HGとTMPの混合モル比を70対30としたものを用いてダイマー酸ポリエステルポリオールを調製した以外は実施例2と同様にして比較例4の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例5:イソシアネートインデックスが範囲外>
ダイマー酸ポリエステルポリオールと、イソシアナート末端プレポリマーとを、NCO/OH比が0.80(イソシアネートインデックス:80)となるように配合し、反応させた以外は実施例3と同様にして比較例5の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例6:イソシアネートインデックスが範囲外>
ダイマー酸ポリエステルポリオールと、イソシアナート末端プレポリマーとを、NCO/OH比が1.30(イソシアネートインデックス:130)となるように配合し、反応させた以外は実施例3と同様にして比較例6の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例7:MDIとして変性品を用いた>
イソシアナート成分として、ピュアMDIに代えて、カルボジイミド変性MDI(ISONATE143LP;ダウケミカル日本(株)製NCO%29.5)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例7の発泡ポリウレタンシートを得た。
イソシアナート成分としてピュアMDIに代えて、クルードMDI(コスモネートM200;三井化学ポリウレタン(株)製NCO%31.2)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例8の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例9:MDIとして変性品を用いた>
イソシアナート成分として、分子量700官能基数2のPPGを、比較例7で用いた変性MDIによりプレポリマー化してイソシアナート末端プレポリマー(NCO%7.35)を調製した以外は実施例1と同様にして比較例9の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例10:PPGが高分子量3官能>
ポリオール成分として、分子量約3000のPPG官能基数3(サンニックスGP−3000;三洋化成工業(株)製)を使用した以外は実施例2と同様にして比較例10の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例11:PPGの分子量が範囲外>
ポリオール成分として、分子量約200官能基数2のPPGを使用したイソシアナート末端プレポリマーを使用した以外は、実施例3と同様にして比較例11の発泡ポリウレタンシートを得た。
ポリオール成分として1,5−HGをモル比で100として、ダイマー酸ポリエステルポリオールを用い、さらに、モノオールとしてイソノナノール(協和発酵ケミカル(株)製5.0部、架橋剤としてIR−94(三井化学ポリウレタン(株)製)1.0部、イソシアナート成分としてクルードMDI(コスモネートM200;三井化学ポリウレタン(株)製NCO%31.2)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例12の発泡ポリウレタンシートを得た。
<比較例13>
イソシアナート成分として、分子量600官能基数2のPPGを使用したイソシアナート末端プレポリマー(NCO%13.1)を使用した以外は、比較例12と同様にして比較例13の発泡ポリウレタンシートを得た。
得られた発泡ポリウレタンシートについて、既述の方法により、〔密度〕、〔25%圧縮硬さ〕、〔引張強さ・伸び〕、〔ヒステリシスロス〕、〔25%圧縮残留歪〕、及び、〔吸水率〕を測定した。結果を下記表1〜表3に記載する。
※1 イソノナノール〔協和発酵ケミカル(株)製〕
※2 架橋剤 IR−94:商品名〔三井化学ポリウレタン(株)製〕
他方、プレポリマーの作製に分子量の大きいPPGを用いた比較例1では、機械的強度が低く、復元力が弱い。ポリオールとしてEO基を有するPEGを用いた比較例2では、吸水性が高くなった。また、ダイマー酸エステルの作製に、ポリオールとしてジオールのみを用いた比較例3では、強度が低く復元力も低くなり、トリオールの含有量を多くした比較例4では、強度が改良するものの、柔軟性や伸びが悪化する。
イソシアネートインデックスが低すぎる比較例5は、得られたシートの強度が低く吸水性も高く、他方、比較例6のように、イソシアネートインデックスが高すぎると硬くなり、伸びが小さくなる。
イソシアナートにプレポリマーを使用しない場合やクルードMDIを用いた比較例7、8では、伸びや強度が低く、復元力も低くなり、ポリオールにダイマー酸エステルを使用しない比較例10では、伸び・強度が低く吸水性も高くなった。さらに、プレポリマーの作製に分子量の小さいPPGを用いた比較例11では、硬くなり、伸びも小さくなった。
また、比較例12及び13によれば、ダイマー酸エステルのポリオールにトリオールを使わず、ウレタン化の際にモノオール・架橋剤を使用した場合は強度が低くなり、イソシアナートに変性MDIを使用すると伸びが低く、プレポリマーを使用すると復元力も低くなることがわかる。
Claims (1)
- (A)ダイマー酸ポリエステルポリオールと、(B)ポリイソシアネートと、(C)発泡剤とを含有する組成物を、触媒の存在下で反応させてなる、少なくとも片面に自己スキン層を有する発泡ポリウレタンシートであって、
前記(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールが、(a−1)ダイマー酸と、(a−2)全炭素数が3つ以上であり、且つ、2つの−OH基の間に存在する炭素数が2〜10である低分子ジオールと、(a−3)3つの水酸基が結合する炭化水素基部分における炭素数が2〜10である低分子トリオールとの反応生成物であって、該(a−2)低分子ジオールと該(a−3)低分子トリオールとの反応モル比が80:20〜95:5の範囲であり、
前記(B)ポリイソシアネートが、(b−1)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、(b−2)分子量400〜700であり、平均官能基数が2であるポリプロピレングリコールとを反応させてなるイソシアナート基末端プレポリマーであり、
且つ、前記(A)ダイマー酸ポリエステルポリオールと、前記(B)ポリイソシアネートとのイソシアネートインデックスが90〜120の範囲である発泡ポリウレタンシート。
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