WO2024071225A1 - 低反発性ポリウレタンフォーム - Google Patents

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健斗 内田
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Abstract

低反発性ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む原料組成物を反応させることにより得られ、前記ポリイソシアネート成分は、n官能イソシアネート(n≧3)と、2官能イソシアネートプレポリマとを含む。前記ポリイソシアネート成分は、平均官能基数が2.05以上であるものが好ましい。前記ポリオール成分は、1種又は2種以上の高分子量ポリオールと、1種又は2種以上の低分子量ポリオールとを含むものが好ましい。

Description

低反発性ポリウレタンフォーム
 本発明は、低反発性ポリウレタンフォームに関する。
 ポリウレタンとは、ウレタン結合(-NH-C(O)O-)を有する高分子化合物をいう。ポリウレタンは、一般に、ポリオールの水酸基(-OH)と、ポリイソシアネートのイソシアネート基(-NCO)とを反応させることにより得られる。ポリウレタンは、ポリオール及び/又はポリイソシアネートの種類を最適化することにより、多様な性質を示すことが知られている。そのため、ポリウレタンは、各種自動車部品、合成皮革、塗料、接着剤などに応用されている。また、ポリウレタンを発泡させたポリウレタンフォームは、断熱材、クッション材などに応用されている。
 ポリウレタンフォームは、
(a)連通気泡を有し、圧縮硬さが小さく、可撓性のある軟質ポリウレタンフォーム、
(b)独立気泡を有し、分子構造的に高度に架橋しており、軟質ポリウレタンフォームのような高弾性を持たない硬質ポリウレタンフォーム、及び、
(c)硬質と軟質の中間の性質を持つ半硬質ポリウレタンフォーム
に大別される。
 これらの内、軟質ポリウレタンフォームは、粘弾性を示す。また、弾性を抑え、粘性を高めた軟質ポリウレタンフォームは、特に、「低反発(SR:Slow Recovery)性ポリウレタンフォーム」とも呼ばれている。低反発性ポリウレタンフォームは、衝撃吸収性に優れていることから、衝撃吸収材、保護用マット、緩衝材、振動吸収材、靴用インソール、靴底用クッション、枕用クッション、座布団用クッション、椅子用クッション、寝具用クッションなどに使用されている。
 このような低反発性ポリウレタンフォームに関し、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、平均官能基数が2~3であり水酸基価が20~200mgKOH/gのポリオールと、イソシアネートと、塩素原子を含まない樹脂マイクロバルーンと、触媒とを含む組成物を反応させることにより得られる低反発発泡ポリウレタン樹脂が開示されている。
 同文献には、
(A)低硬度のポリウレタンは粘着性があり、手に密着して使用しにくい点、
(B)低硬度のポリウレタンにマイクロバルーンを添加すると、手に密着しにくくなるが、ウレタン樹脂の硬化中にマイクロバルーンが浮上するために、成形品の上下で密度差が生じる点、及び、
(C)ポリオールとして、官能基数が2~3である多価フェノールのアルキレンオキシド付加物を10重量%以上含む混合物を用いると、マイクロバルーンの浮上による成形品の上下の密度差を低減できる点
が記載されている。
 特許文献2には、低反発性ポリウレタンフォームではないが、ポリウレタンフィルムで構成された表皮層と、ポリウレタンフォームで構成された発泡層とを備え、ポリウレタンフォームの平均セル径が50μm以上300μm以下であるシートが開示されている。
 同文献には、表皮層と発泡層を備えたシートは、耐摩耗性及び衝撃吸収性に優れている点が記載されている。
 低反発性ポリウレタンフォームは、スマートフォンやゲーム機等のクッション材として使用されるようになってきた。クッション材は、厚みが0.2~1.0mm程度と非常に薄く、要求物性としては、SR性以外に、圧縮残留歪が小さいこと、引張強度が高いことなどが求められる。しかしながら、これらの要求をすべて満たす低反発性ポリウレタンフォームが提案された例は、従来にはない。
 特に、SR性と引張強度とは、背反の関係にある。すなわち、SR性を発現させようとすると引張強度が低下し、引張強度を上げるとSR性が発現しなくなる。そのため、一般に、SR性と引張強度とを両立させるのは難しい。
特開2016-113537号公報 特開2022-100615号公報
 本発明が解決しようとする課題は、低反発性に優れた低反発性ポリウレタンフォームを提供することにある。
 本発明が解決しようとする他の課題は、優れた低反発性に加えて、引張強度が高い低反発性ポリウレタンフォームを提供することにある。
 さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、優れた低反発性に加えて、圧縮残留歪の小さい低反発性ポリウレタンフォームを提供することにある。
 上記課題を解決するために本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、
 ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む原料組成物を反応させることにより得られ、
 前記ポリイソシアネート成分は、n官能イソシアネート(n≧3)と、2官能イソシアネートプレポリマとを含む。
 低反発性ポリウレタンフォームを製造する場合において、ポリイソシアネート成分として、n官能イソシアネートと2官能イソシアネートプレポリマとを含む混合物を用いると、優れたSR性を示す。これは、ポリイソシアネート成分の1つとして、分子長の長い2官能イソシアネートプレポリマを用いることによって、ポリウレタンの鎖構造の剛直性が低下したためと考えられる。
 また、n官能イソシアネートと2官能イソシアネートプレポリマとを含む原料混合物を用いて低反発性ポリウレタンフォームを製造する場合において、イソシアネートインデックスを相対的に大きくし、及び/又は、原料組成物の分岐数を最適化すると、優れたSR性を維持したまま、引張強度が向上し、及び/又は、圧縮残留歪が小さくなる。
 引張強度が向上するのは、イソシアネートインデックス及び/又は分岐数を最適化することによって、架橋点の数が適度な値に維持されたためと考えられる。
 圧縮残留歪が小さくなるのは、
(a)イソシアネートインデックスを相対的に大きくすることによって反応性が向上し、残留ポリオール成分が減少し、タック性が低下したため、及び、
(b)分岐数を最適化することにより、必要最小限の弾性が確保されたため、
と考えられる。
 以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 低反発性ポリウレタンフォーム]
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、所定の条件を満たすポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む原料組成物を反応させることにより得られる。
[1.1. 原料組成物]
[1.1.1. ポリイソシアネート成分]
 「ポリイソシアネート成分」とは、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームを製造するための主原料の1つであって、2種以上のポリイソシアネートの混合物をいう。
 本発明において、ポリイソシアネート成分は、n官能イソシアネート(n≧3)と、2官能イソシアネートプレポリマとを含む。ポリイソシアネート成分は、n官能イソシアネートと、2官能イソシアネートプレポリマのみからなるものでも良く、あるいは、これらに加えて、2官能イソシアネートがさらに含まれていても良い。
[A. n官能イソシアネート]
 「n官能イソシアネート」とは、イソシアネート基の数が3以上であるポリイソシアネートをいう。
 原料組成物中にn官能イソシアネートが含まれていると、原料組成物の分岐数が適度な値となり、高分子鎖が適度に架橋される。その結果、低反発性ポリウレタンフォームの引張強度が向上し、あるいは、圧縮残留歪が小さくなると考えられる。
 n官能イソシアネートとしては、例えば、
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)の多核体、
1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、
1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、
ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、
ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、
メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、
4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、
トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート
などがある。
 原料組成物には、これらのいずれか1種のn官能イソシアネートが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
[B. 2官能イソシアネートプレポリマ]
 「イソシアネートプレポリマ」とは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させることにより得られ、末端にイソシアネート基を有する化合物をいう。
 「2官能イソシアネートプレポリマ」とは、イソシアネートプレポリマの内、2個のイソシアネート基を有する化合物をいう。換言すれば、「2官能イソシアネートプレポリマ」とは、1分子のジオール(HO-R-OH)と、2分子の2官能イソシアネート(OCN-R'-NCO)とを反応させることにより得られる直鎖状の化合物(OCN-R'-NH-C(O)O-R-O(O)C-NH-R'-NCO)をいう。
 2官能イソシアネートプレポリマは分子長が長いため、これを用いて低反発性ポリウレタンフォームを製造すると、ポリウレタンの鎖構造の剛直性が低下する。その結果、低反発性ポリウレタンフォームのSR性がさらに向上すると考えられる。
 本発明において、2官能イソシアネートプレポリマの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
 2官能イソシアネートプレポリマとしては、例えば、
(a)ウレタン変性MDI、アロファネート変性MDI、ビウレット変性MDI、イソシアヌレート変性MDI、ウレア変性MDI、カルボジイミド変性MDI、
(b)ウレタン変性TDI、アロファネート変性TDI、ビウレット変性TDI、イソシアヌレート変性TDI、ウレア変性TDI、カルボジイミド変性TDI、
などがある。
 原料組成物には、これらのいずれか1種の2官能イソシアネートプレポリマが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
[C. 2官能イソシアネート]
 「2官能イソシアネート」とは、2個のイソシアネート基を持つ化合物であって、2官能イソシアネートプレポリマ以外の化合物をいう。
 例えば、市販のポリメリックMDIは、4,4’-MDIの多核体に加えて、4,4’-MDIをさらに含む。また、市販のMDIプレポリマは、4,4’-MDIと低分子量ジオールとを反応させることにより得られる直鎖状の化合物(ウレタン変性MDI)に加えて、未反応の4,4'-MDIをさらに含む。
 原料組成物には、上述したn官能イソシアネート及び2官能イソシアネートプレポリマに加えて、このような1種又は2種以上の2官能イソシアネートが含まれていても良い。2官能イソシアネートとしては、具体的には、以下のようなものがある。
(a)2官能の芳香族系イソシアネート:
2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、
m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、
2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、
2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、
3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートなど。
(b)2官能の脂環式イソシアネート:
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、
メチルシクロヘキサンジイソシアネートなど。
(c)2官能の脂肪族系イソシアネート:
ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなど。
[D. ポリイソシアネート成分の平均官能基数]
 「ポリイソシアネート成分の平均官能基数」とは、ポリイソシアネート1分子当たりの官能基数の平均値をいう。
 ポリイソシアネート成分の平均官能基数は、SR性、引張強度、及び/又は、圧縮残留歪に影響を与える。そのため、ポリイソシアネート成分の平均官能基数は、目的に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
 一般に、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が大きくなるほど、引張強度が高くなり、及び/又は、圧縮残留歪が小さくなる。このような効果を得るためには、ポリイソシアネート成分の平均官能基数は、2.05以上が好ましい。平均官能基数は、さらに好ましくは、2.07以上、さらに好ましくは、2.10以上である。
 一方、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が大きくなりすぎると、SR性が低下する場合がある。従って、ポリイソシアネート成分の平均官能基数は、3.00以下が好ましい。平均官能基数は、さらに好ましくは、2.90以下、2.80以下、2.70以下、2.60以下、2.50以下、あるいは、2.40以下である。
[E. イソシアネートインデックス]
 「イソシアネートインデックス」とは、原料組成物中の活性水素基の当量に対する、原料組成物中のポリイソシアネートのイソシアネート基の当量の比に100を掛けた値をいう。
 一般に、イソシアネートインデックスが大きくなるほど、引張強度が高くなるが、SR性は低下する。しかしながら、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、官能基数の異なるポリイソシアネートを用い、かつ、ポリイソシアネートの分子構造を最適化しているために、従来に比べてイソシアネートインデックスが高いにもかかわらず、優れたSR性を示す。特に、ポリイソシアネート成分の平均官能基数を最適化すると、優れたSR性と、高い引張強度と、低い圧縮残留歪とを高い次元で両立させることができる。
 高い引張強度を得るためには、イソシアネートインデックスは、80以上が好ましい。イソシアネートインデックスは、さらに好ましくは、85以上、90以上、あるいは、95以上である。
 一方、イソシアネートインデックスが高くなりすぎると、架橋点の数が過剰となり、SR性が低下する場合がある。従って、イソシアネートインデックスは、130以下が好ましい。イソシアネートインデックスは、さらに好ましくは、125以下、120以下、あるいは、115以下である。
[1.1.2. ポリオール成分]
 「ポリオール成分」とは、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームを製造するための主原料の他の1つをいう。
 原料組成物には、1種類のポリオールが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
[A. 材料]
 ポリオール成分に含まれるポリオールの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な材料を選択することができる。ポリオールは、エーテル系ポリオール、エステル系ポリオール、エーテルエステル系ポリオール、ポリマーポリオールのいずれであっても良い。ポリオールとしては、具体的には、以下のようなものがある。
 エーテル系ポリオールとしては、例えば、
(a)エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、
(b)多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール
などがある。
 エステル系ポリオールとしては、例えば、
(a)マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオール、
(b)フタル酸エステルポリオール
などがある。
 ポリマーポリオールとしては、例えば、
(a)ポリエーテルポリオール等のポリオール中において、アクリロニトリルやスチレン等のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるポリマー粒子を分散させたもの、
(b)コアシェルゴム(CSR)分散ポリオール
などがある。
 CSR分散ポリオールとは、コアシェルゴム(CSR)粒子をポリオール中に分散させたものをいう。コアシェルゴム粒子とは、具体的には、架橋されたゴム状ポリマーを主成分とする粒子状コア成分の表面に、前記コア成分とは異なるポリマーをグラフト重合することで粒子状コア成分表面の一部又は全部をシェル成分で被覆したゴム粒子をいう。
 コア成分としては、例えば、架橋ゴム粒子が挙げられる。前記架橋ゴム粒子としては、ゴムの種類は制限されず、例えば、ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンゴム、合成天然ゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
 シェル成分としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及び、芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる1種又は複数種のモノマーから重合された重合体等が挙げられる。
 なお、前記シェル成分は、前記コア成分にグラフト重合されており、前記コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。また、ポリオールとの分散性を考慮すると、コアシェルゴム粒子として、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・エチレン共重合体)系ポリマーを含むことが好ましい。
[B. 数平均分子量、分子量]
 低反発性ポリウレタンフォームは、1種類のポリオールを用いて製造されたものでも良く、あるいは、2種以上のポリオールを用いて製造されたものでも良い。
 低反発性ポリウレタンフォームが2種以上のポリオールを用いて製造されたものである場合、ポリオール成分は、
(a)数平均分子量又は分子量が同等である2種以上のポリオールの混合物でも良く、あるいは、
(b)数平均分子量又は分子量が異なる2種以上のポリオールの混合物でも良い。
 SR性に優れた低反発性ポリウレタンフォームを得るためには、ポリオール成分は、
 1種又は2種以上の高分子量ポリオールと、
 1種又は2種以上の低分子量ポリオールと
を含むものが好ましい。
 ここで、
 「高分子量ポリオール」とは、数平均分子量が1000以上であるポリオールをいい、
 「低分子量ポリオール」とは、数平均分子量又は分子量が1000未満であるポリオールをいう。
 「分子量」とは、化学式に基づく式量をいう。
 第i番目(i≧1)の高分子量ポリオールの数平均分子量(Mni)は、それぞれ、好ましくは、1500以上、さらに好ましくは、2000以上である。
 第j番目(j≧1)の低分子量ポリオールの数平均分子量又は分子量(Mnj)は、それぞれ、好ましくは、800以下、さらに好ましくは、600以下である。
[C. 数平均分子量比]
 「ポリオール成分の数平均分子量比」とは、ポリオール成分が高分子量ポリオールと低分子量ポリオールとの混合物である場合において、
 低分子量ポリオールの総数平均分子量(MnLtotal)に対する、高分子量ポリオールの総数平均分子量(MnHtotal)の比(=MnHtotal/MnLtotal)をいう。
 第i番目(i≧1)の高分子量ポリオールの数平均分子量をMni、高分子量ポリオール全体に占める第i番目の高分子量ポリオールの個数比率をniとすると、
 MnHtotal=Σni×Mni
と表せる。
 同様に、第j番目(j≧1)の低分子量ポリオールの数平均分子量又は分子量をMnj、低分子量ポリオール全体に占める第j番目の低分子量ポリオールの個数比率をnjとすると、
 MnLtotal=Σnj×Mnj
と表せる。
 ポリオール成分の数平均分子量比は、主として、低反発性ポリウレタンフォームのSR性に影響を与える。分子量の異なる2種以上のポリオールを用いて低反発性ポリウレタンフォームを製造する場合、一般に、数平均分子量比が大きくなるほど、SR性が向上する。このような効果を得るためには、ポリオール成分の数平均分子量比は、2.0以上が好ましい。数平均分子量比は、さらに好ましくは、2.5以上、3.0以上、3.5以上、あるいは、4.0以上である。
 一方、ポリオール成分の数平均分子量比が大きくなりすぎると、
(a)各ポリオールのガラス転移点の差異から、温度依存性が大きくなる、
(b)樹脂骨格のハードセグメントとソフトセグメントが分離し、SR性が損なわれる、
(c)圧縮残留歪が悪化する
などの問題が生じる場合がある。従って、数平均分子量比は、10以下が好ましい。
[D. 低分子量ポリオールの含有量]
 「低分子量ポリオールの含有量」とは、ポリオール成分が高分子量ポリオールと低分子量ポリオールとの混合物である場合において、
 ポリオール成分の総重量(WT)に対する、低分子量ポリオールの総重量(WL)の割合(=WL×100/WH)をいう。
 低分子量ポリオールの含有量は、主として、低反発性ポリウレタンフォームのSR性に影響を与える。低分子量ポリオールの含有量が少なくなりすぎると、SR性が低下する場合がある。従って、低分子量ポリオールの含有量は、40.0mass%以上が好ましい。含有量は、さらに好ましくは、45.0mass%以上、あるいは、50mass%以上である。
 一方、低分子量ポリオールの含有量が過剰になると、かえってSR性が低下する場合がある。従って、低分子量ポリオールの含有量は、75.0mass%以下が好ましい。含有量は、さらに好ましくは、70.0mass%以下、あるいは、65.0mass%以下である。
[1.1.3. 分岐数]
 「分岐数」とは、原料組成物に含まれる分子1mol当たりの分岐の個数をいい、次式で表される。
 分岐数(個/mol)=Σ(官能基数-2)×(添加部数/分子量)
 原料組成物の分岐数は、SR性、引張強度及び圧縮残留歪に影響を与える。一般に、分岐数が小さくなるほど、SR性が発現しやすくなる。しかしながら、分岐数が小さくなりすぎると、引張強度が低下し、あるいは、圧縮残留歪が小さくなる場合がある。従って、分岐数は、0.010以上が好ましい。分岐数は、さらに好ましくは、0.012以上、0.014以上、あるいは、0.016以上である。
 一方、分岐数が過度に大きくなると、SR性が低下する場合がある。従って、分岐数は、0.050以下が好ましい。分岐数は、さらに好ましくは、0.048、0.046以下、あるいは、0.044以下である。
[1.1.4. その他の成分]
 低反発性ポリウレタンフォームを製造するための原料組成物には、上述したポリイソシアネート成分及びポリオール成分に加えて、以下の成分が含まれていても良い。各成分の添加量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な添加量を選択するのが好ましい。
[A. 樹脂化触媒]
 原料組成物は、樹脂化触媒を含んでいても良い。樹脂化触媒は、ポリオールのOH基と、ポリイソシアネートのNCO基との反応を促進させるための触媒である。本発明において、樹脂化触媒の種類は特に限定されない。樹脂化触媒としては、例えば、例えば、アミン系触媒、金属触媒などがある。
 アミン系触媒としては、例えば、
1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、
N・(N',N'-ジメチルアミノエチル)-モルホリン、テトラメチルグアニジン、
ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、
N-メチル-N'-(2ヒドロキシエチル)-ピペラジン、
N,N,N',N'-テトラメチルプロパン1,3-ジアミン、
N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、
N,N,N',N",N"-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、
N,N'-ジメチルピペラジン、
N,N,N',N'-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、
N,N,N',N",N"-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、
N-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、
エチレングリコールビス(3-ジメチル)-アミノプロピルエーテル、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、
N-メチル-N'-(2ジメチルアミノ)エチルピペラジン
などがある。
 金属触媒としては、例えば、
(a)スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒、
(b)フェニル水銀プロピオン酸塩、
(c)オクテン酸鉛
などがある。
[B. 整泡剤]
 原料組成物は、整泡剤を含んでいても良い。整泡剤は、ポリウレタンを機械発泡させる際に巻き込みガスの分散を容易にし、気泡を安定化させ、気泡構造を調整するためのものである。本発明において、整泡剤の種類は特に限定されない
 整泡剤としては、例えば、
(a)シリコーン系整泡剤、
(b)含フッ素化合物系整泡剤、
(c)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、
(d)フェノール系化合物、
などがある。
[C. フィラー]
 原料組成物は、フィラーを含んでいても良い。フィラーは、ポリウレタンフォームの体積を増加させ、単位体積当たりのポリウレタン原料の使用量を減少させ、ポリウレタンフォームを低コスト化するためのものである。本発明において、フィラーの種類は特に限定されない。
 フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、粘土などがある。
[D. 水分吸収材]
 原料組成物は、水分吸収材を含んでいても良い。水分吸収材は、組成物に含まれる水分を除去し、ポリイソシアネートが水分と反応するのを抑制するためのものである。ポリイソシアネートと水分が反応すると、CO2ガスが発生し、気泡の制御が困難となる場合がある。本発明において、水分吸収材の種類は特に限定されない。
 水分吸収材としては、例えば、モレキュラーシーブ、合成ゼオライト、シリカ粉末、アルミナ粉末、水酸化リチウム粉末、水酸化バリウム粉末などがある。
[E. 酸化防止剤]
 原料組成物は、酸化防止剤を含んでいても良い。酸化防止剤は、ポリウレタンの酸化による劣化を抑制するためのものである。本発明において、酸化防止剤の種類は、特に限定されない。
 酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などがある。
[1.2. 原料組成物の反応]
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、メカニカルフロス法を用いて製造される。「メカニカルフロス法」とは、
(a)高せん断ミキサーを用いて、不活性ガスを吹き込みながら原料組成物を混合することにより、微細な気泡を含む発泡原料組成物とし、
(b)発泡原料組成物を基材(例えば、PETフィルム)の表面に塗布し、
(c)塗膜を所定の温度に加熱し、硬化させる
方法をいう。
 本発明において、原料組成物の反応条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な条件を選択することができる。
[1.3. 特性]
[1.3.1. 厚み]
 本発明において、低反発性ポリウレタンフォームの厚みは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚みを選択することができる。低反発ポリウレタンフォームを電子・電気機器のクッション材として用いる場合、その厚みは、薄いほど良い。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームを用いると、SR性に優れているだけでなく、厚みが2.0mm以下であるシートを製造することができる。製造条件を最適化すると、厚みは、1.5mm以下、あるいは、1.0mm以下となる。
[1.3.2. 戻り速度]
 「戻り速度」とは、直径15mmの圧縮面に定圧荷重器にて1kgの荷重を5秒掛け、その後荷重を開放した時の、試料形状が復元するまでの時間をいう。戻り速度が大きい(復元時間が長い)ことは、SR性に優れていることを表す。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームにおいて、原料として使用するポリイソシアネートの分子構造、ポリイソシアネートの平均官能基数、イソシアネートインデックス、分岐数などを最適化すると、戻り速度を大きくすることができる。製造条件を最適化すると、戻り速度は、1.5秒以上となる。製造条件をさらに最適化すると、戻り速度は、3.0秒以上、6.0秒以上、あるいは、10秒以上となる。
[1.3.3. 圧縮残留歪]
 「圧縮残留歪」とは、JIS K6401:2011を基準に測定される値をいう。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームにおいて、原料として使用するポリイソシアネートの分子構造、ポリイソシアネートの平均官能基数、イソシアネートインデックス、分岐数などを最適化すると、圧縮残留歪を小さくすることができる。製造条件を最適化すると、圧縮残留歪は、20%以下となる。製造条件をさらに最適化すると、圧縮残留歪は、10%以下、あるいは、5%以下となる。
[1.3.4. 引張強度]
 「引張強度」とは、JIS K 6251:2010を基準に測定される値をいう。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームにおいて、原料として使用するポリイソシアネートの分子構造、ポリイソシアネートの平均官能基数、イソシアネートインデックス、分岐数などを最適化すると、引張強度を高くすることができる。製造条件を最適化すると、引張強度は、0.3MPa以上となる。製造条件をさらに最適化すると、引張強度は、0.4MPa以上、あるいは、0.5MPa以上となる。
[1.3.5. 伸び]
 「伸び」とは、JIS K 6251:2010を基準に測定される値をいう。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームにおいて、原料として使用するポリイソシアネートの分子構造、ポリイソシアネートの平均官能基数、イソシアネートインデックス、分岐数などを最適化すると、伸びを大きくすることができる。製造条件を最適化すると、伸びは、200%以上となる。製造条件をさらに最適化すると、伸びは、250%以上、あるいは、300%以上となる。
[1.3.6. 密度]
 「密度」とは、JIS K 6401:2011を基準に測定される値をいう。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、メカニカルフロス法で製造されるため、密度が相対的に低い。製造条件を最適化すると、密度は、600kg/m3以下となる。製造条件をさらに最適化すると、密度は、550kg/m3以下、450kg/m3以下、250kg/cm3以下、200kg/m3以下、あるいは、150kg/m3以下となる。
[1.3.7. 平均セル径]
 「平均セル径」とは、ポリウレタンフォームの断面に現れるセルの円相当径の平均値をいう。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、メカニカルフロス法を用いて製造されるため、ポリウレタンフォームの内部には、微細なセルが均一に分散した状態となる。製造条件を最適化すると、平均セル径は、50μm以上300μm以下となる。製造条件をさらに最適化すると、平均セル径は、好ましくは、50μm以上250μm以下、さらに好ましくは、50μm以上200μm以下である。
[1.4. 用途]
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、種々の用途に用いることができる。本発明に係る低反発ポリウレタンフォームの用途としては、例えば、衝撃吸収材、保護用マット、緩衝材、振動吸収材、靴用インソール、靴底用クッション、枕用クッション、座布団用クッション、椅子用クッション、寝具用クッションなどがある。
 本発明に係る低反発ポリウレタンフォームは、低反発性に優れているだけでなく、薄いにもかかわらず引張強度が高いので、特に、電子・電気機器用のクッション材として好適である。電子・電気機器用のクッション材としては、例えば、
(a)液晶ディスプレイ等の各種画像表示装置の背面側に配置して、表示装置が受ける衝撃を吸収するクッション材、
(b)携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等の移動体通信に使用されるタッチパネル等の表示部材、カメラ、レンズのクッション材
などがある。
 また、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、クッション材としての用途の他に、粘着テープの基材やガスケット、シール材としても用いることができる。
[2. 作用]
 従来の低反発性ポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール過剰の原料組成物(イソシアネートインデックスが80未満の原料組成物)を用いて製造されている。このようにして得られた低反発性ポリウレタンフォームは、未反応のOH基が多量に残留しているために、SR性は高いが、引張強度が低く、圧縮残留歪も大きい。一方、単にイソシアネートインデックスを大きくすると、引張強度は高くなり、圧縮残留歪は小さくなるが、SR性が低下する。
 これに対し、低反発性ポリウレタンフォームを製造する場合において、ポリイソシアネート成分として、n官能イソシアネートと2官能イソシアネートプレポリマとを含む混合物を用いると、優れたSR性を示す。これは、ポリイソシアネート成分の1つとして、分子長の長い2官能イソシアネートプレポリマを用いることによって、ポリウレタンの鎖構造の剛直性が低下したためと考えられる。
 また、n官能イソシアネートと2官能イソシアネートプレポリマとを含む原料混合物を用いて低反発性ポリウレタンフォームを製造する場合において、イソシアネートインデックスを相対的に大きくし、及び/又は、原料組成物の分岐数を最適化すると、優れたSR性を維持したまま、引張強度が向上し、及び/又は、圧縮残留歪が小さくなる。
 引張強度が向上するのは、イソシアネートインデックス及び/又は分岐数を最適化することによって、架橋点の数が適度な値に維持されたためと考えられる。
 圧縮残留歪が小さくなるのは、
(a)イソシアネートインデックスを相対的に大きくすることによって反応性が向上し、残留ポリオール成分が減少し、タック性が低下したため、及び、
(b)分岐数を最適化することにより、必要最小限の弾性が確保されたため、
と考えられる。
(実施例1~29、比較例1~7)
[1. 試料の作製]
 表1に、使用した原料の一覧を示す。表1に示す原料を所定の比率で配合した。原料組成物をミキシングヘッド内に投入し、不活性ガス(窒素)を混入しながら均質となるように攪拌して混合し、微細な気泡を含む発泡原料組成物を得た。発泡原料組成物をPETフィルム上に塗布し、塗膜を200℃で加熱硬化させた。
 なお、数平均分子量は、次式を用いて算出した。
 数平均分子量=(56100×官能基数)/水酸基価
 表1中、CSR分散ポリオールの数平均分子量は、分散媒であるPPGの数平均分子量を表す。同様に、ポリマーポリオールの数平均分子量は、分散媒であるPPGの数平均分子量を表す。
 さらに、CSR分散ポリオールに含まれるCSR粒子は、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体)系ポリマーである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
[2. 試験方法]
[2.1. 戻り速度]
 各サンプルの上に、定圧荷重器(ASKER製、CL-150)にて1kgの荷重(圧縮面:φ15mm)を5秒間掛けた。その後、荷重を開放し、戻り速度を測定した。
[2.2. 圧縮残留歪]
 JIS K6401:2011を基準に圧縮残留歪を測定した。
[2.3. 密度]
 JIS K 6401:2011を基準に密度を測定した。
[2.4. 引張強度]
 JIS K 6251:2010を基準に引張強度を測定した。
[2.5. 伸び]
 JIS K 6251:2010を基準に伸びを測定した。
[2.6. 180°剥離]
 ABS樹脂からなる補強板の表面に、両面テープを介して幅30mm×長さ125mmのサンプルを貼り付けた。両面テープのサイズは、サンプルのサイズと同一とした。次に、サンプルの表面に、両面テープを介して幅24mm×長さ130mmのPETフィルムを貼り付けた。さらに、PETフィルムをサンプル表面に圧着させた。圧着は、PETフィルムの表面に2kgのロールを2往復させることにより行った。圧着後、試料を24時間放置した。
 次に、PETフィルムを接着面に対して180°方向に引っ張った。試験速度は、300mm/minとした。サンプルの中央の50mmの区間においてPETフィルムが剥離する際の力(N/24mm)を測定した。
[2.7. せん断強度]
 25mm×25mmのサンプルの両面に、それぞれ、両面テープを介してSUS板を貼り付けた。両面テープのサイズは、サンプルのサイズと同一とした。SUS板を上下に引っ張り、サンプルがせん断破壊したときの力(N)を測定した。
[2.8. 25%CLD硬さ]
 JIS K6254:2010を基準に25%CLD硬さを測定した。
[3. 結果]
 表2~表4に結果を示す。なお、表2~表4には、それぞれ、各試料の原料配合も併せて示した。表2~表4より、以下のことが分かる。
(1)比較例1~5の場合、イソシアネートインデックスが小さくなるほど、戻り速度が大きくなり、伸びも増大する反面、引張強度が低下する傾向が見られた。これは、イソシアネートインデックスが小さくなるほど、架橋点の数が減少するためと考えられる。
(2)実施例1~7は、比較例1とイソシアネートインデックスが同一であるにもかかわらず、比較例1よりも戻り速度が大きくなり、かつ、引張強度も高くなった。これは、2官能イソシアネートプレポリマを使用することによって、ポリウレタンの鎖構造の剛直性が低下したためと考えられる。
(3)実施例1~7の場合、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が小さくなるほど、戻り速度は大きくなったが、引張強度はポリイソシアネート成分の平均官能基数が2.132(実施例6)の時に極大を示した。これは、平均官能基数が小さくなりすぎると、架橋点の数が過度に少なくなるためと考えられる。
(4)実施例8~14は、それぞれ、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が同一である実施例1~7と比べて、引張強度は高くなったが、戻り速度は若干小さくなる傾向が認められた。これは、実施例8~14のイソシアネートインデックスが実施例1~7のそれより大きいためと考えられる。
(5)実施例15~19は、それぞれ、ポリイソシアネート成分の平均官能基数が同一である実施例1~5と比べて、戻り速度は大きくなるが、引張強度は低下する傾向が認められた。これは、実施例15~19のイソシアネートインデックスが実施例1~5のそれより小さいためと考えられる。
(6)比較例6~7は、180°剥離力がやや低かった。一方、実施例20~29は、高い戻り速度を維持しつつ、高い180°剥離力と、高いせん断強度を示した。これは、原料中に、コアシェルゴム(CSR)粒子を含む低分子量ポリオール及び官能基数が3.0である低分子量ポリオールをさらに添加したためと考えられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
 本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、衝撃吸収材、保護用マット、緩衝材、振動吸収材、靴用インソール、靴底用クッション、枕用クッション、座布団用クッション、椅子用クッション、寝具用クッションなどに使用することができる。
 また、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、
(a)液晶ディスプレイ等の各種画像表示装置の背面側に配置して、表示装置が受ける衝撃を吸収するクッション材、
(b)携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等の移動体通信に使用されるタッチパネル等の表示部材、カメラ、レンズのクッション材
などの電子・電気機器用クッション材として使用することができる。
 また、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、粘着テープの基材やガスケット、シール材としても用いることができる。

Claims (7)

  1.  ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む原料組成物を反応させることにより得られ、
     前記ポリイソシアネート成分は、n官能イソシアネート(n≧3)と、2官能イソシアネートプレポリマとを含む
    低反発性ポリウレタンフォーム。
  2.  前記ポリイソシアネート成分は、平均官能基数が2.05以上である請求項1に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
  3.  前記ポリオール成分は、
     1種又は2種以上の高分子量ポリオールと、
     1種又は2種以上の低分子量ポリオールと
    を含む請求項1に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
     但し、
     前記「高分子量ポリオール」とは、数平均分子量が1000以上であるポリオールをいい、
     前記「低分子量ポリオール」とは、数平均分子量又は分子量が1000未満であるポリオールをいう。
  4.  前記ポリオール成分の数平均分子量比が2.0以上である請求項3に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
     但し、
     前記「ポリオール成分の数平均分子量比」とは、前記低分子量ポリオールの総数平均分子量(MnLtotal)に対する、前記高分子量ポリオールの総数平均分子量(MnHtotal)の比(=MnHtotal/MnLtotal)をいう。
  5.  前記低分子量ポリオールの総含有量が40.0mass%以上75.0mass%以下である請求項3に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
     但し、
     前記「低分子量ポリオールの総含有量」とは、前記ポリオール成分の総重量(WT)に対する、前記低分子量ポリオールの総重量(WL)の割合(=WL×100/WT)をいう。
  6.  厚みが2.0mm以下である請求項1に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
  7.  電子・電気機器のクッション材として用いられる請求項1に記載の低反発ポリウレタンフォーム。
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