JP3587051B2 - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、作業時の環境が良好で、湿熱圧縮残留歪みの少ない低密度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟質ポリウレタンフォームは、その優れたクッション性を生かし、自動車のクッション材、家具等に広く使用されいてる。この軟質ポリウレタンフォーム用イソシアネートとして、古くはトリレンジイソシアネート(以後、TDIと略す)及びTDIを用いたイソシアネート(以後、NCOと略す)基末端プレポリマー等が用いられてきた。
【0003】
また、近年は、イソシアネート成分として、1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(以後、MDIと略す)、MDIと1分子中にベンゼン環を3個以上有するポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(以後、ポリメリックMDIと略す)の混合物、及びこれらのNCO基末端プレポリマーが軟質ポリウレタンフォーム用イソシアネートとして広く使用されている。
【0004】
特に自動車用シートの分野では、軽量化や低コスト化が求められているため、軟質ポリウレタンフォームの低密度化が検討されている。しかし低密度化するとそれに伴い軟質ポリウレタンフォームの機械的強度、湿熱圧縮永久歪み等の耐久性が低下するため、機械的強度、耐久性を保持したまま、軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。
【0005】
例えば特開平9−176276号公報には、(A1)平均官能基数2.5以上、水酸基価15〜70mgKOH/g、エチレンオキサイド含有量5〜35重量のポリオール、(A2)官能数3〜5のポリヒドロキシル化合物にエチレンオキサイドを付加させ、水酸基価600〜2,000mgKOH/gの低分子ポリオール、(A3)平均官能基数2〜6以上、水酸基価40〜150mgKOH/g、エチレンオキサイド含有量50〜100重量のポリオール、で構成されている(A)ポリオール液、(B)水、(C)有機ポリイソシアネート、(D)触媒を用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特開平9−176276号公報に具体的に開示されている有機ポリイソシアネートは、TDIが主体であり、実施例においては、TDIのみのものと、TDI/ポリメリックMDI=80/20(重量比)が示されている。このTDI主体の有機ポリイソシアネートは、フォーム製造時の作業環境が悪いという点以外にキュア性不良、広範囲の硬度調整が困難という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、MDI系ポリイソシアネートを用いた処方の特徴である、良好な作業環境やキュア性等を有し、広範囲の硬度調整可能であり、かつ、これまでのMDI系ポリイソシアネートでは実現できなかった、低密度で、良好な機械的強度を有し、湿熱圧縮残留歪みが小さい、軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記問題を解決するために、鋭意研究検討した結果、特定のポリオールと特定のポリイソシアネートを用いることにより、前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)ポリオール液と、(B)ポリイソシアネート液を反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
該ポリオール液(A)が、下記に示す(A1)〜(A5)からなり、該ポリイソシアネート液(B)が、下記に示す(B1)及び(B2)を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに、(B3)及び(B4)を混合したものであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
(A)ポリオール液:
(A1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が2,000〜10,000、プロピレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A2)平均官能基数が2〜4、数平均分子量が200〜500、エチレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A3)水
(A4)触媒
(A5)整泡剤
但し、(A1):(A2)=100:0.1〜100:10(重量比)
(B)ポリイソシアネート液:
(B1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が600〜10,000、エチ レンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(B2)ジフェニルメタンジイソシアネート
(B3)ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート
(B4)トリレンジイソシアネート
但し、(B)中の(B4)含有量は5〜50重量%である。また、(B)には整泡剤は含有しない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる各原料について説明する。
〔ポリオール液〕
本発明に用いられる(A1)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜6、数平均分子量が2,000〜10,000、プロピレンオキサイド(以後POと略す)含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が2〜4、数平均分子量が4,000〜9,000、PO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。また、発泡が困難になりやすく、場合によっては、フォームそのものが得られない。上限を越える場合は、伸びや機械的強度が低下しやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすい。また、上限を越える場合は、ポリオール液の粘度が大きすぎるため、フォームの成形性やポリイソシアネート液との混合性が不十分となりやすい。
PO含有量が下限未満の場合は、得られるフォームの機械的強度が不十分となりやすい。
また、(A1)の末端は、エチレンオキサイド(以後EOと略す)が10〜20重量%のものが好ましい。EOが10重量%未満のものは、発泡させにくい。また、20重量%を越えるものは、独泡度が大きくなりすぎるため、収縮を起こしやすい。
なお、本発明における(A1)、(A2)、(B1)の「数平均分子量」とは、水酸基価及び平均官能基数から算出されるものである。
【0011】
本発明に用いられる(A2)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜4、数平均分子量が200〜500、EO含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が3、数平均分子量が250〜400、EO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が範囲外の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの湿熱圧縮残留歪みが増大しやすい。また、フォームのセルが独泡化する傾向があり、フォームの収縮が発生しやすい。上限を越える場合は、発泡が不安定になりやすく、また、ポリオール液のの貯蔵安定性も不十分となりやすい。
EO含有量が下限未満の場合は、フォームの湿熱圧縮残留歪みが大きくなりやすい。
【0012】
本発明において、(A1)と(A2)の重量比は、(A1):(A2)=100:0.1〜100:10の範囲で用いられ、好ましくは(A1):(A2)=100:1〜100:5である。(A2)が多すぎる場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすく、また、フォームのセルが独泡化する傾向があり、フォームの収縮が発生しやすい。また、少なすぎる場合は、湿熱圧縮残留歪みが増大しやすく、また、発泡そのものが困難になりやすい。
なお、本願発明では、特開平9−176276号公報の発明において必須成分としている、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、脂環族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物から選ばれた化合物を開始剤とした、平均官能基数=2〜6、水酸基価=40〜150mgKOH/g、EO含有量=50〜100重量%のポリオールを、必須成分としていない。
【0013】
本発明に用いられる(A1)は、活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、POを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。また、(A2)は活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、EOを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。
(A1)及び(A2)に用いられる開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、また、シュークローズ、グルコース、フラクトース等のシュガー系アルコール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
環状エーテルとしては、EO、PO、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0014】
なお、(A1)ポリエーテルポリオールには、ポリオール中でビニル単量体を重合させた、いわゆるポリマーポリオールと呼ばれるものを併用することにより、得られるフォームの硬度が自由に調整できるので好ましい。ビニル単量体としては、アクリロニトリル(以後、ANと略す)、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル化合物類、スチレン(以後、Stと略す)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有ビニル化合物類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系化合物類、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物類等が挙げられる。本発明で好ましいビニル単量体の重合物は、AN/St=5/5〜10/0のホモポリマー又はコポリマーである。また、ビニル単量体の重合物の好ましい含有量は、(A1)中に最大10重量%、更に好ましくは2〜8重量%である。
【0015】
本発明に用いられる(A3)水は、発泡剤として用いられ、(A3)水の配合量は、(A1)100重量部に対し4〜10重量部が好ましい。(A3)の配合量が下限未満の場合は、発生する炭酸ガスが少なくなるため、発泡倍率の維持が困難になる。また、上限を越える場合は、ウレア基が多くなるため、フォームの機械的強度及び反発弾性率が低下しやすく、また、湿熱圧縮残留歪みが増大しやすくなる。
【0016】
本発明における(A4)触媒としては、反応速度及び独泡性調整のため、当業界で公知の各種ウレタン化触媒を用いる。具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール等の三級アミン、ジメチルエタノールアミン、N−トリオキシエチレン−N,N−ジメチルアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン等の反応型三級アミン又はこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0017】
(A4)触媒の配合量は、(A1)100重量部に対し0.005〜5重量部が好ましい。
【0018】
本発明における(A5)整泡剤は当業界で公知の有機珪素系界面活性剤であり、例えば日本ユニカー社製のL−520、L−540、L−5309、L−5366、SZ−1306、トーレダウコーニング社製のSH−193、SRX−274C、信越シリコーン社製のF−122、ゴールドシュミット社製のB−4113等が挙げられる。
【0019】
(A5)整泡剤の配合量は、(A1)100重量部に対し0.2〜2重量部が好ましい。なお、本発明においては、(A5)整泡剤は、ポリイソシアネート液(B)の構成成分とはならない。
【0020】
〔ポリイソシアネート液〕
本発明における(B1)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜6、数平均分子量が600〜10,000、EO含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が2〜4、数平均分子量が1,000〜9,000、EO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。また、発泡が困難になりやすく、場合によっては、フォームそのものが得られない。上限を越える場合は、伸びや機械的強度が低下しやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすい。また、上限を越える場合は、ポリイソシアネート液の粘度が大きすぎるため、フォームの成形性やポリイソシアネート液との混合性が不十分となりやすい。
EO含有量が下限未満の場合は、得られるフォームの湿熱圧縮残留歪みが増大しやすく、また、高反発フォームが得られにくい。
【0021】
本発明における(B1)は、活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、EOを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。
開始剤、環状エーテルは前述しているものが挙げられる。
【0022】
本発明における(B2)MDIは、1分子中にベンゼン環及びイソシアネート基を2個有するもので、2核体と言われているものである。(B2)MDIは、2,2′−MDI、2,4′−MDI、4,4′−MDIの3種類の異性体から構成される。
【0023】
本発明における(B3)ポリメリックMDIは、1分子中にベンゼン環及びイソシアネート基を3個以上有するもので、多核体と言われているものである。
【0024】
本発明において、(B2)と(B3)の構成比は、(B2):(B3)=50:50〜80:20(重量比)が好ましく、(B2):(B3)=55:45〜75:25重量%が更に好ましい。(B2)が50重量%未満の場合は、軟質ポリウレタンフォーム製造時においてシュリンク(収縮)が発生し、成形品の寸法変化等の問題が起こりやすく、また、伸びが著しく低下しやすい。(B2)が80重量%を越える場合は、反発弾性が低下しやすく、発泡時の安定性の低下や湿熱圧縮残留歪みの増大などが起こりやすくなる。
また、本発明におけるMDIの異性体の構成比は、2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計(以後アイソマー合計と略す):4,4′−MDI=5:95〜50:50(重量比)が好ましく、更に好ましくは、アイソマー合計:4,4′−MDI=10:90〜45:55(重量比)である。アイソマー合計が5重量%未満の場合、フォーム製造時において、発泡時の安定性に欠けやすくなる。また、アイソマー合計が50重量%を越えるものは、キュア性が悪くなりやすくなる。
【0025】
本発明における(B4)TDIは、2,4−TDIと2,6−TDIの2種類の異性体がある。本発明における(B4)TDIの2,4−TDIの含有量は65重量%以上が好ましく、更に好ましくは80重量%以上である。2,4−TDIの含有量が65重量%未満の場合は、キュア性が著しく低下しやすい。
【0026】
また、本発明における(B)ポリイソシアネート液中の(B4)含有量は5〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは6〜35重量%である。(B4)の含有量が下限未満の場合は、反発弾性や伸びが低下しやすくなる。また、上限を越えると広範囲の硬度調整が困難になる。
【0027】
〔NCO末端プレポリマー反応条件〕
本発明に用いられる(B)ポリイソシアネート液に用いられるNCO末端プレポリマーは、以下に示される方法で得られたものである。
前述の(B1)に(B2)を反応させて得られるNCO基末端プレポリマ ーに、(B3)及び(B4)を混合させる方法。
【0028】
また、前述の製造方法における反応温度は、40〜120℃、好ましくは40〜90℃であり、反応時はウレタン化触媒を添加してもよい。
【0029】
なお、当然のことながら、前記の製造方法におけるどの段階においても、NCO基数と水酸基数では、NCO基数が常に水酸基数より大きくなる。最終的なNCO基/水酸基のモル比(R値)は2〜500が好ましく、更に好ましくは10〜480である。R値が2未満の場合は、NCO末端プレポリマーの粘度が増大しやすくなり、作業性に劣る。また、R値が500を越える場合は、フォームの柔軟性に欠け、反発弾性が小さくなりやすくなる。このようにして得られたNCO基末端プレポリマーのNCO含有量は25〜45重量%、好ましくは30〜40重量%である。
【0030】
〔添加剤等〕
本発明では、必要に応じて(A1)、(A2)、及び(B1)以外の活性水素基含有化合物を用いることができる。例えば、高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、(A1)及び(A2)以外のポリエーテルポリオール、アミノ基末端ポリエーテル、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、低分子ポリオールとしては、(A1)、(A2)、及び(B1)を得る際に、開始剤として用いられる化合物が挙げられる。
これらの活性水素基含有化合物は、(A)ポリオール液、(B)ポリイソシアネート液のどちらか一方でもよいし、両方に用いてもよい。
【0031】
本発明では、(B)ポリイソシアネート液に、(B2)〜(B4)以外の有機ポリイソシアネートを用いてもよい。例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのウレタン変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。
【0032】
(A)ポリオール液及び/又は(B)ポリイソシアネート液に、必要に応じて乳化剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤や助剤を添加することができる。
【0033】
〔得られる軟質ポリウレタンフォームの性状等〕
このようにして得られた(A)ポリオール液と(B)ポリイソシアネート液とを反応させることで、湿熱圧縮残留歪みが少なく、高強度で低密度の軟質ポリレタンフォームを得ることができる。(A)と(B)の反応時おけるイソシアネートインデックスは、80〜120、好ましくは85〜115である。
【0034】
このようにして得られた軟質ポリウレタンフォームの密度は25〜35kg/m3 、好ましくは27〜33kg/m3 であり、JIS K6401規定のILDは6〜15kgf/314cm2 、好ましくは8〜13kgf/314cm2 である。また、湿熱圧縮残留歪みは15〜25%であり、好ましくは15〜23%である。
【0035】
更に、発泡時の作業環境において、TDI使用量が少ないので臭気が少なく、作業環境が従来の方法より改善されている。
【0036】
【発明の効果】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、従来の方法より作業環境に優れるものであった。また、得られるフォームは、低密度であるにも関わらず、強靱で、湿熱圧縮残留歪みが少ないものであった。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中において、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。また、比率は重量比である。
【0038】
〔ポリオール液の配合〕
配合例1〜4
表1に示す配合で、ポリオール液A−1〜4を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
配合例1〜4及び表1において、
【0041】
〔ポリイソシアネート液の合成〕
【0042】
合成例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器に、MDI(1)を346部仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、ポリオール(1)を42部仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させた。その後、P−MDI(1)を312部、TDI(1)を300部仕込んで均一に攪拌して、ポリイソシアネート液B−3を得た。B−3のNCO基含量は35.7%であった。
【0043】
合成例2
合成例1と同様な装置に、MDI(1)を346部、P−MDI(1)を312部、TDI(1)を300部仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、ポリオール(2)を42部仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させ、ポリイソシアネート液B−1を得た。B−1のNCO基含量は35.7%であった。
【0044】
合成例3、4
表2に示す配合で、合成例2と同様にしてポリイソシアネート液B−3、4を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
合成例1〜4及び表2において
【0047】
〔軟質ポリウレタンフォームの製造〕
実施例1
A−1とB−1を用いて、金型内で軟質ポリウレタンフォームを水発泡させた後、金型から取り出し、直ちにローラークラッシングした。その後、クラッシング後の成形品を一昼夜放置し、JIS K−6401に準じたフォームの各種物性、及びキュア性を測定した。結果を表3に示す。
【0048】
〔発泡条件〕
金型形状 :400mm×400mm×70mm
金型材質 :アルミニウム
金型温度 :60±2℃
ミキシング方法 :高圧マシンミキシング
原料温度 :25±2℃
キュア条件 :60±2℃、6分
クラッシング条件 :5段ローラー 90%圧縮
【0049】
比較例1〜6
表3に示す配合で、実施例1と同様にして軟質ポリウレタンフォームを製造し、各種フォーム物性を測定した。結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3におけるキュア性について
○:脱型後、フォームに異常がなし。
×:脱型後、フォームが崩れる。
比較例1は、フォームの陥没が起こり、以後の物性測定ができなかった。
比較例5は、フォームの収縮が起こり、以後の物性測定ができなかった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、作業時の環境が良好で、湿熱圧縮残留歪みの少ない低密度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟質ポリウレタンフォームは、その優れたクッション性を生かし、自動車のクッション材、家具等に広く使用されいてる。この軟質ポリウレタンフォーム用イソシアネートとして、古くはトリレンジイソシアネート(以後、TDIと略す)及びTDIを用いたイソシアネート(以後、NCOと略す)基末端プレポリマー等が用いられてきた。
【0003】
また、近年は、イソシアネート成分として、1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(以後、MDIと略す)、MDIと1分子中にベンゼン環を3個以上有するポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(以後、ポリメリックMDIと略す)の混合物、及びこれらのNCO基末端プレポリマーが軟質ポリウレタンフォーム用イソシアネートとして広く使用されている。
【0004】
特に自動車用シートの分野では、軽量化や低コスト化が求められているため、軟質ポリウレタンフォームの低密度化が検討されている。しかし低密度化するとそれに伴い軟質ポリウレタンフォームの機械的強度、湿熱圧縮永久歪み等の耐久性が低下するため、機械的強度、耐久性を保持したまま、軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。
【0005】
例えば特開平9−176276号公報には、(A1)平均官能基数2.5以上、水酸基価15〜70mgKOH/g、エチレンオキサイド含有量5〜35重量のポリオール、(A2)官能数3〜5のポリヒドロキシル化合物にエチレンオキサイドを付加させ、水酸基価600〜2,000mgKOH/gの低分子ポリオール、(A3)平均官能基数2〜6以上、水酸基価40〜150mgKOH/g、エチレンオキサイド含有量50〜100重量のポリオール、で構成されている(A)ポリオール液、(B)水、(C)有機ポリイソシアネート、(D)触媒を用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特開平9−176276号公報に具体的に開示されている有機ポリイソシアネートは、TDIが主体であり、実施例においては、TDIのみのものと、TDI/ポリメリックMDI=80/20(重量比)が示されている。このTDI主体の有機ポリイソシアネートは、フォーム製造時の作業環境が悪いという点以外にキュア性不良、広範囲の硬度調整が困難という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、MDI系ポリイソシアネートを用いた処方の特徴である、良好な作業環境やキュア性等を有し、広範囲の硬度調整可能であり、かつ、これまでのMDI系ポリイソシアネートでは実現できなかった、低密度で、良好な機械的強度を有し、湿熱圧縮残留歪みが小さい、軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記問題を解決するために、鋭意研究検討した結果、特定のポリオールと特定のポリイソシアネートを用いることにより、前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)ポリオール液と、(B)ポリイソシアネート液を反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
該ポリオール液(A)が、下記に示す(A1)〜(A5)からなり、該ポリイソシアネート液(B)が、下記に示す(B1)及び(B2)を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに、(B3)及び(B4)を混合したものであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
(A)ポリオール液:
(A1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が2,000〜10,000、プロピレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A2)平均官能基数が2〜4、数平均分子量が200〜500、エチレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A3)水
(A4)触媒
(A5)整泡剤
但し、(A1):(A2)=100:0.1〜100:10(重量比)
(B)ポリイソシアネート液:
(B1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が600〜10,000、エチ レンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(B2)ジフェニルメタンジイソシアネート
(B3)ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート
(B4)トリレンジイソシアネート
但し、(B)中の(B4)含有量は5〜50重量%である。また、(B)には整泡剤は含有しない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる各原料について説明する。
〔ポリオール液〕
本発明に用いられる(A1)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜6、数平均分子量が2,000〜10,000、プロピレンオキサイド(以後POと略す)含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が2〜4、数平均分子量が4,000〜9,000、PO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。また、発泡が困難になりやすく、場合によっては、フォームそのものが得られない。上限を越える場合は、伸びや機械的強度が低下しやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすい。また、上限を越える場合は、ポリオール液の粘度が大きすぎるため、フォームの成形性やポリイソシアネート液との混合性が不十分となりやすい。
PO含有量が下限未満の場合は、得られるフォームの機械的強度が不十分となりやすい。
また、(A1)の末端は、エチレンオキサイド(以後EOと略す)が10〜20重量%のものが好ましい。EOが10重量%未満のものは、発泡させにくい。また、20重量%を越えるものは、独泡度が大きくなりすぎるため、収縮を起こしやすい。
なお、本発明における(A1)、(A2)、(B1)の「数平均分子量」とは、水酸基価及び平均官能基数から算出されるものである。
【0011】
本発明に用いられる(A2)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜4、数平均分子量が200〜500、EO含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が3、数平均分子量が250〜400、EO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が範囲外の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの湿熱圧縮残留歪みが増大しやすい。また、フォームのセルが独泡化する傾向があり、フォームの収縮が発生しやすい。上限を越える場合は、発泡が不安定になりやすく、また、ポリオール液のの貯蔵安定性も不十分となりやすい。
EO含有量が下限未満の場合は、フォームの湿熱圧縮残留歪みが大きくなりやすい。
【0012】
本発明において、(A1)と(A2)の重量比は、(A1):(A2)=100:0.1〜100:10の範囲で用いられ、好ましくは(A1):(A2)=100:1〜100:5である。(A2)が多すぎる場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすく、また、フォームのセルが独泡化する傾向があり、フォームの収縮が発生しやすい。また、少なすぎる場合は、湿熱圧縮残留歪みが増大しやすく、また、発泡そのものが困難になりやすい。
なお、本願発明では、特開平9−176276号公報の発明において必須成分としている、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、脂環族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物から選ばれた化合物を開始剤とした、平均官能基数=2〜6、水酸基価=40〜150mgKOH/g、EO含有量=50〜100重量%のポリオールを、必須成分としていない。
【0013】
本発明に用いられる(A1)は、活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、POを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。また、(A2)は活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、EOを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。
(A1)及び(A2)に用いられる開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、また、シュークローズ、グルコース、フラクトース等のシュガー系アルコール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
環状エーテルとしては、EO、PO、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0014】
なお、(A1)ポリエーテルポリオールには、ポリオール中でビニル単量体を重合させた、いわゆるポリマーポリオールと呼ばれるものを併用することにより、得られるフォームの硬度が自由に調整できるので好ましい。ビニル単量体としては、アクリロニトリル(以後、ANと略す)、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル化合物類、スチレン(以後、Stと略す)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有ビニル化合物類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系化合物類、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物類等が挙げられる。本発明で好ましいビニル単量体の重合物は、AN/St=5/5〜10/0のホモポリマー又はコポリマーである。また、ビニル単量体の重合物の好ましい含有量は、(A1)中に最大10重量%、更に好ましくは2〜8重量%である。
【0015】
本発明に用いられる(A3)水は、発泡剤として用いられ、(A3)水の配合量は、(A1)100重量部に対し4〜10重量部が好ましい。(A3)の配合量が下限未満の場合は、発生する炭酸ガスが少なくなるため、発泡倍率の維持が困難になる。また、上限を越える場合は、ウレア基が多くなるため、フォームの機械的強度及び反発弾性率が低下しやすく、また、湿熱圧縮残留歪みが増大しやすくなる。
【0016】
本発明における(A4)触媒としては、反応速度及び独泡性調整のため、当業界で公知の各種ウレタン化触媒を用いる。具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール等の三級アミン、ジメチルエタノールアミン、N−トリオキシエチレン−N,N−ジメチルアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン等の反応型三級アミン又はこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0017】
(A4)触媒の配合量は、(A1)100重量部に対し0.005〜5重量部が好ましい。
【0018】
本発明における(A5)整泡剤は当業界で公知の有機珪素系界面活性剤であり、例えば日本ユニカー社製のL−520、L−540、L−5309、L−5366、SZ−1306、トーレダウコーニング社製のSH−193、SRX−274C、信越シリコーン社製のF−122、ゴールドシュミット社製のB−4113等が挙げられる。
【0019】
(A5)整泡剤の配合量は、(A1)100重量部に対し0.2〜2重量部が好ましい。なお、本発明においては、(A5)整泡剤は、ポリイソシアネート液(B)の構成成分とはならない。
【0020】
〔ポリイソシアネート液〕
本発明における(B1)ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜6、数平均分子量が600〜10,000、EO含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオールであり、好ましくは平均官能基数が2〜4、数平均分子量が1,000〜9,000、EO含有量が80〜100重量%であるポリエーテルポリオールである。
平均官能基数が下限未満の場合は、得られるフォームの硬度、機械的強度や耐久性が不十分となりやすい。また、発泡が困難になりやすく、場合によっては、フォームそのものが得られない。上限を越える場合は、伸びや機械的強度が低下しやすい。
数平均分子量が下限未満の場合は、得られるフォームの柔軟性が不十分となりやすい。また、上限を越える場合は、ポリイソシアネート液の粘度が大きすぎるため、フォームの成形性やポリイソシアネート液との混合性が不十分となりやすい。
EO含有量が下限未満の場合は、得られるフォームの湿熱圧縮残留歪みが増大しやすく、また、高反発フォームが得られにくい。
【0021】
本発明における(B1)は、活性水素基含有化合物を開始剤に用いて、EOを含む環状エーテルを開環重合させて得られるものである。
開始剤、環状エーテルは前述しているものが挙げられる。
【0022】
本発明における(B2)MDIは、1分子中にベンゼン環及びイソシアネート基を2個有するもので、2核体と言われているものである。(B2)MDIは、2,2′−MDI、2,4′−MDI、4,4′−MDIの3種類の異性体から構成される。
【0023】
本発明における(B3)ポリメリックMDIは、1分子中にベンゼン環及びイソシアネート基を3個以上有するもので、多核体と言われているものである。
【0024】
本発明において、(B2)と(B3)の構成比は、(B2):(B3)=50:50〜80:20(重量比)が好ましく、(B2):(B3)=55:45〜75:25重量%が更に好ましい。(B2)が50重量%未満の場合は、軟質ポリウレタンフォーム製造時においてシュリンク(収縮)が発生し、成形品の寸法変化等の問題が起こりやすく、また、伸びが著しく低下しやすい。(B2)が80重量%を越える場合は、反発弾性が低下しやすく、発泡時の安定性の低下や湿熱圧縮残留歪みの増大などが起こりやすくなる。
また、本発明におけるMDIの異性体の構成比は、2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計(以後アイソマー合計と略す):4,4′−MDI=5:95〜50:50(重量比)が好ましく、更に好ましくは、アイソマー合計:4,4′−MDI=10:90〜45:55(重量比)である。アイソマー合計が5重量%未満の場合、フォーム製造時において、発泡時の安定性に欠けやすくなる。また、アイソマー合計が50重量%を越えるものは、キュア性が悪くなりやすくなる。
【0025】
本発明における(B4)TDIは、2,4−TDIと2,6−TDIの2種類の異性体がある。本発明における(B4)TDIの2,4−TDIの含有量は65重量%以上が好ましく、更に好ましくは80重量%以上である。2,4−TDIの含有量が65重量%未満の場合は、キュア性が著しく低下しやすい。
【0026】
また、本発明における(B)ポリイソシアネート液中の(B4)含有量は5〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは6〜35重量%である。(B4)の含有量が下限未満の場合は、反発弾性や伸びが低下しやすくなる。また、上限を越えると広範囲の硬度調整が困難になる。
【0027】
〔NCO末端プレポリマー反応条件〕
本発明に用いられる(B)ポリイソシアネート液に用いられるNCO末端プレポリマーは、以下に示される方法で得られたものである。
前述の(B1)に(B2)を反応させて得られるNCO基末端プレポリマ ーに、(B3)及び(B4)を混合させる方法。
【0028】
また、前述の製造方法における反応温度は、40〜120℃、好ましくは40〜90℃であり、反応時はウレタン化触媒を添加してもよい。
【0029】
なお、当然のことながら、前記の製造方法におけるどの段階においても、NCO基数と水酸基数では、NCO基数が常に水酸基数より大きくなる。最終的なNCO基/水酸基のモル比(R値)は2〜500が好ましく、更に好ましくは10〜480である。R値が2未満の場合は、NCO末端プレポリマーの粘度が増大しやすくなり、作業性に劣る。また、R値が500を越える場合は、フォームの柔軟性に欠け、反発弾性が小さくなりやすくなる。このようにして得られたNCO基末端プレポリマーのNCO含有量は25〜45重量%、好ましくは30〜40重量%である。
【0030】
〔添加剤等〕
本発明では、必要に応じて(A1)、(A2)、及び(B1)以外の活性水素基含有化合物を用いることができる。例えば、高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、(A1)及び(A2)以外のポリエーテルポリオール、アミノ基末端ポリエーテル、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられ、低分子ポリオールとしては、(A1)、(A2)、及び(B1)を得る際に、開始剤として用いられる化合物が挙げられる。
これらの活性水素基含有化合物は、(A)ポリオール液、(B)ポリイソシアネート液のどちらか一方でもよいし、両方に用いてもよい。
【0031】
本発明では、(B)ポリイソシアネート液に、(B2)〜(B4)以外の有機ポリイソシアネートを用いてもよい。例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのウレタン変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。
【0032】
(A)ポリオール液及び/又は(B)ポリイソシアネート液に、必要に応じて乳化剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤や助剤を添加することができる。
【0033】
〔得られる軟質ポリウレタンフォームの性状等〕
このようにして得られた(A)ポリオール液と(B)ポリイソシアネート液とを反応させることで、湿熱圧縮残留歪みが少なく、高強度で低密度の軟質ポリレタンフォームを得ることができる。(A)と(B)の反応時おけるイソシアネートインデックスは、80〜120、好ましくは85〜115である。
【0034】
このようにして得られた軟質ポリウレタンフォームの密度は25〜35kg/m3 、好ましくは27〜33kg/m3 であり、JIS K6401規定のILDは6〜15kgf/314cm2 、好ましくは8〜13kgf/314cm2 である。また、湿熱圧縮残留歪みは15〜25%であり、好ましくは15〜23%である。
【0035】
更に、発泡時の作業環境において、TDI使用量が少ないので臭気が少なく、作業環境が従来の方法より改善されている。
【0036】
【発明の効果】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、従来の方法より作業環境に優れるものであった。また、得られるフォームは、低密度であるにも関わらず、強靱で、湿熱圧縮残留歪みが少ないものであった。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中において、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。また、比率は重量比である。
【0038】
〔ポリオール液の配合〕
配合例1〜4
表1に示す配合で、ポリオール液A−1〜4を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
配合例1〜4及び表1において、
【0041】
〔ポリイソシアネート液の合成〕
【0042】
合成例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器に、MDI(1)を346部仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、ポリオール(1)を42部仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させた。その後、P−MDI(1)を312部、TDI(1)を300部仕込んで均一に攪拌して、ポリイソシアネート液B−3を得た。B−3のNCO基含量は35.7%であった。
【0043】
合成例2
合成例1と同様な装置に、MDI(1)を346部、P−MDI(1)を312部、TDI(1)を300部仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。次いで、ポリオール(2)を42部仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させ、ポリイソシアネート液B−1を得た。B−1のNCO基含量は35.7%であった。
【0044】
合成例3、4
表2に示す配合で、合成例2と同様にしてポリイソシアネート液B−3、4を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
合成例1〜4及び表2において
【0047】
〔軟質ポリウレタンフォームの製造〕
実施例1
A−1とB−1を用いて、金型内で軟質ポリウレタンフォームを水発泡させた後、金型から取り出し、直ちにローラークラッシングした。その後、クラッシング後の成形品を一昼夜放置し、JIS K−6401に準じたフォームの各種物性、及びキュア性を測定した。結果を表3に示す。
【0048】
〔発泡条件〕
金型形状 :400mm×400mm×70mm
金型材質 :アルミニウム
金型温度 :60±2℃
ミキシング方法 :高圧マシンミキシング
原料温度 :25±2℃
キュア条件 :60±2℃、6分
クラッシング条件 :5段ローラー 90%圧縮
【0049】
比較例1〜6
表3に示す配合で、実施例1と同様にして軟質ポリウレタンフォームを製造し、各種フォーム物性を測定した。結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3におけるキュア性について
○:脱型後、フォームに異常がなし。
×:脱型後、フォームが崩れる。
比較例1は、フォームの陥没が起こり、以後の物性測定ができなかった。
比較例5は、フォームの収縮が起こり、以後の物性測定ができなかった。
Claims (1)
- (A)ポリオール液と、(B)ポリイソシアネート液を反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
該ポリオール液(A)が、下記に示す(A1)〜(A5)からなり、該ポリイソシアネート液(B)が、下記に示す(B1)及び(B2)を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに、(B3)及び(B4)を混合したものであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(A)ポリオール液:
(A1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が2,000〜10,000、プロピレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A2)平均官能基数が2〜4、数平均分子量が200〜500、エチレンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(A3)水
(A4)触媒
(A5)整泡剤
但し、(A1):(A2)=100:0.1〜100:10(重量比)
(B)ポリイソシアネート液:
(B1)平均官能基数が2〜6、数平均分子量が600〜10,000、エチ レンオキサイド含有量が50〜100重量%であるポリエーテルポリオール
(B2)ジフェニルメタンジイソシアネート
(B3)ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート
(B4)トリレンジイソシアネート
但し、(B)中の(B4)含有量は5〜50重量%である。また、(B)には整泡剤は含有しない。
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