JP2006220847A - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レジストパターン異常を抑制し得るレジストパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】潜像が形成された化学増幅型レジスト膜を第1の温度T1に昇温する工程であって、前記第1の温度は前記化学増幅型レジスト膜内で酸触媒反応が生じる反応開始温度T0である。前記化学増幅型レジスト膜の温度を第1の温度T1に所定時間維持する。所定時間経過後、化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度T0よりも高い第2の温度T2に昇温する。
【選択図】図4

Description

本発明は、レジスト膜上の液体を介して露光を行って潜像を形成することでレジストパターンを形成するレジストパターン形成方法に関する。
液浸露光装置は被処理基板上に形成した化学増幅型レジスト膜に対する露光を行う際に、化学増幅型レジスト膜表面と露光装置のレンズの間を液で満たして露光を行う手法である。このような露光法に用いる装置には例えば特許文献1記載のものがある。特許文献1では水を供給可能なステージの中で、被処理基板全体を水没させ、このステージを露光装置に対して相対的に移動させながら露光を行う装置について開示されている。このような形態の装置ではステージ全体に液が供給されているためステージを高速で移動させた際にステージから液が溢れるなどの問題があり高速駆動できないという問題があった。
ステージ移動による液の乱れの対策については、露光を行う部分に対して局所的に液体を供給しながらステージを駆動する手法が開示されている(非特許文献1)。この方式によりステージの高速移動が可能になった。
しかし、このような局所的に液体を供給する手法を用いた場合には、レンズが去った部分の露光領域などに水が取り残されやすい場合がある。このように、液浸露光によってレジスト膜表面またはレジスト膜中に残る水が基板全体でばらつきが生じる恐れがある。この状態で化学増幅型レジスト膜の露光後に加熱による酸触媒反応処理(PEB)を行った際には、水しみが発生したり、水が存在した部分で温度低下が生じてレジストパターン異常が生じたりするなどの問題があった。
特開平10−303114号公報 Soichi Owa and Hiroyuki Nagasaka, Immersion lithography; its potential performance and issues, Proc. of SPIE Vol.5040, pp.724-733
本発明の目的は、レジストパターン異常を抑制し得るレジストパターン形成方法を提供することにある。
本発明の一例に係わるレジストパターン形成方法は、基板上に化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、前記化学増幅型レジスト膜が形成された基板を投影光学系が具備される液浸型の露光装置に搭載する工程と、前記化学増幅型レジスト膜の所定の位置にエネルギー線を照射し、前記化学増幅型レジスト膜に潜像を形成する工程であって、前記エネルギー線は前記化学増幅型レジスト膜上の局所的な領域に形成された溶液膜を介して前記化学増幅型レジスト膜に照射される工程と、前記潜像が形成された化学増幅型レジスト膜を第1の温度に昇温する工程であって、前記第1の温度は前記化学増幅型レジスト膜内で酸触媒反応が生じる反応開始温度未満である工程と、前記化学増幅型レジスト膜の温度を前記第1の温度に所定時間維持する工程と、前記所定時間経過後、前記化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度よりも高い第2の温度に昇温する工程と、前記化学増幅型レジスト膜を第2の温度まで加熱したあと、レジストパターンを形成するために前記化学増幅型レジスト膜を現像する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の一例に係わるレジストパターン形成方法は、基板上に化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、前記化学増幅型レジスト膜が形成された基板を投影光学系が具備される液浸型の露光装置に搭載する工程と、前記化学増幅型レジスト膜の所定の位置にエネルギー線を照射し、前記化学増幅型レジスト膜に潜像を形成する工程であって、前記エネルギー線は前記化学増幅型レジスト膜上の局所的な領域に形成された溶液膜を介して前記化学増幅型レジスト膜に照射される工程と、前記潜像が形成された化学増幅型レジスト膜を減圧雰囲気にさらす工程と、前記減圧雰囲気にさらされた化学増幅型レジスト膜を反応開始温度以上に加熱する工程であって、前記反応開始温度は前記化学増幅型レジスト膜内で酸触媒反応が生じる温度である工程と、レジストパターンを形成するために前記化学増幅型レジスト膜を現像する工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記化学増幅型レジスト膜を酸触媒反応が生じる反応開始温度以上に加熱する前に、化学増幅型レジスト膜中に含まれる水分を気化させることで、パターン異常を抑制することができる。
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
半導体基板上に反射防止膜用塗布材料を滴下し回転して広げた後で加熱処理を行い、約50nmの厚さの反射防止膜を形成する(ステップST101)。反射防止膜上に酸発生材を含むArF化学増幅型レジスト膜を膜厚200nmで形成する(ステップST102)。化学増幅型レジストは以下の手順で形成される。スピンコート法により反射防止膜上に化学増幅型レジスト用塗布材料を広げる。そして、加熱処理を行って、塗布材料に含まれる溶剤を除去する。
次に、基板をスキャン露光装置に搬送する(ステップST103)。スキャン露光装置を用いてレチクルに形成された半導体素子パターンをレジスト膜に転写し、潜像を形成する(ステップST104)。
本実施形態で用いるスキャン露光装置は液浸型である。図2に露光装置の概略を示す。図2は、本発明の一実施形態に係わる露光装置の概略構成を示す図である。照明光学系20の下方にレチクルステージ21が配置されている。レチクルステージ21上にレチクル22が設置されている。レチクルステージ21は水平に平行移動可能である。レチクルステージ21の下方に投影レンズ系23が配置されている。投影レンズ系23の下方にウェハステージ24が配置されている。ウェハステージ24上に前述した処理が行われた半導体基板10が設置されている。ウェハステージ24は、半導体基板10と共に平行移動する。半導体基板10の周囲にはサポート板27が設けられている。
投影レンズ系23の下方には、フェンス25が取り付けられている。投影レンズ系23の横にフェンス25内への水(液浸溶液)の供給及びフェンス25内からの水の排出を行う一対の水供給・排出器26が設けられている。露光時、フェンス25と投影レンズ系23で囲まれた領域の基板10と投影レンズ系23との空間は水の液膜で満たされる。投影レンズ系23から射出する露光光は水の層を通過して照射領域に到達する。照射領域にあたる化学増幅型レジストにレチクル22上のマスクパターン(図示せず)の像が投影され、潜像が形成される。
第1のチャンバーにて70℃、60秒間加熱処理を行う(ステップST105)。次いで、基板を第2のチャンバーに搬送した後、130℃、60秒の条件で加熱処理を行い、被処理基板のPEB(Post Exposure Bake)処理を行う(ステップST106)。この加熱により露光段階で発生した酸触媒の拡散・増幅反応を行う。この後、基板を降温室に搬送し、基板温度が23℃になるまで冷却を行う(ステップST107)。
上述の処理を行った前述の被処理基板を現像ユニットに搬送し現像を行って、ArFレジストパターンが形成される(ステップST108)。以上の工程により形成されたレジストパターンの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、60nmの1:1のラインアンドスペースパターンのウェハ面内でのばらつきは3σ:3.0nmであった。なお、本実施形態を用いないPEB処理を行った時の面内ばらつきは3σ:10.0nmと劣化していた。
次に、上述した本実施形態でのPEB処理の作用について詳しく説明する。先ず、第1の熱板を第1の所定温度としての設定温度T1(例:70℃)に維持し、第2の熱板を第2の所定温度としての設定温度(例:130℃)に維持し、降温板を設定温度T3(例:23℃)になるように調節しておく。
先ず、基板10は第1のチャンバー31内に搬入される。チャンバー31の基板搬入口(図示せず)が開いたところに、搬送アームが基板10を搬送し、第1の熱板33上方にセットする。そこで、基板は予め支持台上方の所定の位置で待機していた昇降ピン32が受け取る。搬送アームがチャンバー31内から退室した後、昇降ピン32が下降して、基板10が第1の熱板33上に載置される。そして、基板10が載置されると同時に基板10の昇温が開始され、基板温度は図4に示すように23℃から70℃に昇温される。そして、基板10が70℃に達した状態で所定時間維持される。所定時間経過した段階で第1のチャンバー31での処理は終了し、基板10は昇降ピン32によって再び上昇し、次いで基板搬入口が開き、第1のチャンバー31が密閉空間から開放される。
所定時間が経過すると、基板10は昇降ピン32によって再び上昇し、第1の熱板33による基板10の昇温が終了する。次いで基板搬入口が開き、第1のチャンバー31が開放される。
次に、搬送アームが基板を第2のチャンバーの熱板上方まで移動を行う(ここで、第2のチャンバーは第1のチャンバーと構造が同じであるため、図示は略す。)。基本的移動されてきた基板は昇降ピンに受け渡され、第1の熱板の場合と同様にして第2のチャンバーが形成される。
第2の熱板上に載置されると、図4に示すように基板の温度は70℃から130℃に昇温される。この時、化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応の反応開始温度T0である80℃を超えたところで化学増幅型レジスト膜の反応が開始される。尚、反応開始温度は、化学増幅型レジスト膜の種類によって定まる。
その後、基板が130℃で所定時間加熱され、所定時間経過後に昇降ピンによって再び上昇され、基板の加熱処理、即ちPEB処理が終了する。
次いで、基板搬入口が上昇し、第2のチャンバーが開放されると、基板は搬送アームにより降温板へ搬送される。降温板に搬送された基板は昇降ピンに受け渡され、その後、降温室が形成される。そして、基板が下降されて、降温板に載置される。この時、基板の降温が開始され、図4に示すように130℃から23℃まで降温される。これに伴い、化学増幅型レジストの温度が低下することで、化学増幅型レジストの酸触媒反応が停止する。
基板が23℃まで達し、降温処理が終了すると、昇降ピンによって基板は上昇し、搬送アームが基板を昇降ピンから受け取り、処理室害に搬送した段階で一連のPEB処理及びクーリング処理が終了する。
以上の実施形態では、第1のチャンバーの熱板において基板を1度化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応の反応開始温度よりも低い設定温度であるT1に昇温させ、その状態で所定時間維持することで、化学増幅型レジスト中に含まれている水分を気化させる。その後、第2の熱板において、反応開始温度T0を越える設定温度T2に基板を昇温する。酸触媒反応に先立って、酸触媒反応の開始温度以下でレジスト膜中に含まれる水分を気化させることで、次の第2のチャンバーでの酸触媒反応時に、与えた熱の一部が水分の気化熱として奪われることなくなる為、酸触媒反応が十分に進行する。これによって、基板面内において液浸露光後のレジスト膜表面に不均一にできる液膜が原因で生じる寸法ばらつきに対して、最終的に形成されるパターンの線幅を基板面内において均一化することができる。
本実施形態では、第1の設定温度での処理と第2の設定温度での熱処理を各々異なる処理室で行ったが、実施形態はこれに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。例えば、同一の処理室にて、先ず第1の設定温度で所定時間処理した後、更に基板温度を第2の設定温度まで昇温させることで、PEB処理を行ってもよい。
また、本実施形態では、第1のチャンバーの熱板温度(T1)を70℃にて行ったが、熱板温度はこれに限るものではない。第1のチャンバーの熱板温度(T1)は用いる化学増幅型レジストに応じて適宜最適な温度条件を用いればよい。但し、第1のチャンバーの熱板温度(T1)が低すぎると、基板上の水分を十分に気化できない為、本実施形態で記載する効果が十分に得られない。その為、第1のチャンバーの熱板温度(T1)は化学増幅型レジストの反応開始温度(T0)からT0−20℃の範囲内で行われることが望ましく、反応開始温度(T0)より10℃低い温度が最適である。
また、本実施形態で液浸露光の際にレンズと被処理基板間に介在させた水は脱気させた純水を用いていたがこれに限るものではない。屈折率を大きくするためにI族、II族などのアルカリイオンを添加する、または、吸収係数を小さくするために酸イオンを添加した液体を用いても良い。露光光に対して吸収係数が小さく、特定の屈折率に併せた露光装置を用いる場合、特定の屈折率を有する液体であって、レンズ系などにダメージを与えないものであればいかなるものを用いても良い。
また、液浸露光後にPEB処理に先だって、レジスト膜表面のラフな乾燥処理を付加しても良い。乾燥処理は、例えば図5(a),図5(b)に示すようにエアーナイフ51から基板10の主面に酸、アルカリをフィルタリングしたガス52を吹き付ける。エアーナイフ51が基板上にエアーを吹き付ける領域は、基板表面の一部である。基板10全面にエアーを吹き付けるために、エアーナイフ51が基板10表面上を基板10の周方向の一端から他端に向けて走査する。この時、基板10を回転させてもよいし、静止させた状態でも良い。図5は、本発明の一実施形態に係わる純水の除去処理を行っている状態を示す図である。図5(a)は純水の除去処理を行っている状態の平面図、図5(b)は純水の除去処理を行っている状態の側面図である。エアーナイフ51から吹き付けられるガス52の向きはエアーナイフ51の進行方向であることが望ましい。向きを同じにすることで、効率的且つ短時間で水の除去が可能である。また、乾燥処理方法はこれに限らず回転乾燥方法を用いても構わない。
本発明はArF(193nm)光を用いた露光に関するが、KrF(248nm)光を用いた露光や関しても同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができる。またF2露光(157nm)露光では第一の溶媒にフッ素系オイルを用いた場合には、同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができることを確認した。
また、本実施形態では液浸露光プロセスにおけるPEB処理に関するものであったが、実施形態はこれに限らず、他にも露光前後等で化学増幅型レジスト膜の表面処理等の目的に薬液処理を行った際に、レジスト膜表層に偏在する薬液を除去する場合にも用いることが可能であり、同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができることを確認した。この薬液処理は、例えば特開2004−63490公報の第3の実施形態に記載されている処理である。
また、本実施形態では、被処理基板の最表層が化学増幅型レジストの場合について述べたが、実施形態はこれに限らず、化学増幅型レジストへの水の浸透を防止する為の保護膜をレジスト膜上に形成した場合についても、同様に実施可能である。
但し、形成した保護膜が現像液等のアルカリに可溶しないものについては、図1に示したフローチャートのステップST104の液浸露光後からステップST108の現像処理前までの間に専用のユニットにて保護膜剥離液を基板表面に供給し、保護膜を1度レジスト膜上から除去する必要がある。一方、アルカリ可溶性の保護膜を用いた場合は、ステップST108の現像時において、現像液供給時に保護膜が除去することができる為、剥離ユニットを必ずしも設ける必要はない。この場合は、用いる化学増幅型レジスト及び保護膜に応じて、適宜現像液温度、現像液濃度、現像液供給時間等を最適な条件にて実施すればよい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係わる半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
半導体基板上に反射防止膜用塗布材料を滴下し回転して広げた後で加熱処理を行い、約50nmの厚さの反射防止膜を形成する(ステップST201)。反射防止膜上に酸発生材を含むArF化学増幅型レジスト膜を膜厚200nmで形成する(ステップST202)。化学増幅型レジストは以下の手順で形成される。スピンコート法により反射防止膜上に化学増幅型レジスト用塗布材料を広げる。そして、加熱処理を行って、塗布材料に含まれる溶剤を除去する。
次に、基板をスキャン露光装置に搬送する(ステップST203)。スキャン露光装置を用いてレチクルに形成された半導体素子パターンをレジスト膜に転写し、潜像を形成する(ステップST204)。
本実施形態で用いる露光装置は第1の実施形態と同様に図2記載の液浸型である。
次に基板を熱処理装置に搬送して、被処理基板のPEB(Post Exposure Bake)処理を行う。この加熱により露光段階で発生した酸触媒の拡散・増幅反応を行う。
PEB処理は先ず第1のチャンバー内に被処理基板を搬送及び載置する。次に、チャンバー室内の圧力を常圧から予め設定した圧力まで下げていく。真空引きを開始してから所定時間経過した段階で、第1のチャンバーでの処理は終了する(ステップST205)。真空引きが止められた後、チャンバー内にガスを供給する。次いで、被処理基板を第1のチャンバーから第2のチャンバー内に搬送した後、130℃、60秒の条件で加熱処理を行う(ステップST206)。この後、基板を降温室に搬送し、基板温度が23℃になるまで冷却を行う(ステップST207)。
上述の処理を行った前述の被処理基板を現像ユニットに搬送し現像を行って、ArFレジストパターンが形成される(ステップST208)。以上の工程により形成されたレジストパターンの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、60nmの1:1のラインアンドスペースパターンのウェハ面内でのばらつきは3σ:3.0nmであった。なお、本実施形態を用いないPEB処理を行った時の面内ばらつきは3σ:10.0nmと劣化していた。
次に、上述した本実施形態でのPEB処理の作用について詳しく説明する(図7)。
先ず、基板10は第1のチャンバー71に搬入される。この基板10の搬入に際して、第1のチャンバー71内は不活性ガスで常圧に初めは維持されている。チャンバー71の基板搬入口が開いたところに、搬送アームが基板10を搬送し、チャンバー71の支持台上方にセットする。そこで、基板10は予め支持台73上方の所定の位置で待機していた昇降ピン72が受け取る。搬送アームがチャンバー71内から退室した後、昇降ピン72が下降して、基板を支持台73上に載置される。
基板が載置されると、第1のチャンバー内の排気口74から排気(真空引き)が開始される。この真空引きでは、図8に示すように、第1のチャンバー内の圧力を常圧P0から設定圧力P1まで単調に下げても良く、または段階的に下げても良い。真空引き開始してから所定時間経過した段階で第1のチャンバーでの減圧乾燥処理は終了し、基板は昇降ピン72によって再び上昇され、次いで吸気口75から不活性ガスをパージした後に基板搬入口が開き、第1のチャンバー71が密閉空間から開放される。
次に、搬送アームが基板10を第2のチャンバー上方まで移動を行う。移動されてきた基板は昇降ピンに受け渡され、第1のチャンバーと同様に第2のチャンバーの熱板上に基板が支持される。第2のチャンバーの構造は第1の実施形態で図3を参照して説明したチャンバーと構造は同じで良い為、図示及び説明を省略する。
第2のチャンバーの熱板上に載置されると、基板温度は130℃まで昇温し、所定時間経過した段階で第2のチャンバーでの加熱処理、即ちPEB処理が終了する。
次いで、昇降ピンによって基板は再び上昇し、基板搬入口が開き、第2のチャンバーが開放された段階で、基板は第2のチャンバーから降温板に搬送される。降温板に搬送された基板は昇降ピンに受け渡した後、基板が下降されて、降温板に載置される。この時、基板の降温が開始され、130℃から23℃まで降温される。この時化学増幅型レジスト膜の温度が低下する為、化学増幅型レジストの酸触媒反応が停止される。
基板が23℃まで達し、降温処理が終了すると、昇降ピンによって基板は上昇し、搬送アームが基板を昇降ピンから受け取り、処理室外に搬送した段階で一連のPEB処理及びクーリング処理が終了する。
以上の実施形態では、基板を常温下で常圧状態から真空度の低い設定圧力P1まで徐々に減圧する第1のチャンバー内に所定時間維持することで、基板上の化学増幅型レジスト中に含まれる水分が気化させる。その後、第2のチャンバーにおいて、反応開始温度を越える温度まで基板を昇温させることで、酸触媒反応を生じさせる。このように、酸触媒反応に先立って、酸触媒反応の温度以下で減圧乾燥することで、化学増幅型レジスト膜中に含まれる水分を気化させることで、次の酸触媒反応時に、与えた熱の一部が水分の気化熱として奪われることなくなる。その為、酸触媒反応が十分に進行し、基板面内において液浸露光後のレジスト膜表面に不均一にできる液膜が原因で生じる寸法ばらつきに対して、最終的に形成されるパターンの線幅を基板面内において均一化することができる。
尚、本実施形態では第1のチャンバーでは常温(23℃)下にて減圧乾燥処理を行ったが、チャンバー内温度はこれに限るものではなく、酸触媒反応の反応開始温度未満であれば温度は適宜最適な条件を選択すればよい。またチャンバー内圧力も処理時間や各種レジスト膜に合わせて適宜最適な条件を選択すれば良く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。例えば、処理室内の圧力を可変、且つ温度可変な熱板を有するチャンバー内に基板を設置し、先ずチャンバー内の圧力を下げていき、減圧乾燥を第1の設定温度で所定時間処理する。次に、チャンバー内圧力を常圧に戻し、基板温度を第2の設定温度まで昇温させることで、PEB処理を行ってもよい。但し、チャンバー内の温度を制御可能なものを用いる場合、チャンバー内の温度は設定圧力(P1)での反応開始温度(T0)が上回ると、基板上の水分を気化すると同時に酸触媒反応も生じてしまい、反応の制御が困難になる。そのため、チャンバーの熱板温度は設定圧力(P1)での反応開始温度(T0)よりも低くなるように制御することが望ましい。
また、本実施形態で液浸露光の際にレンズと被処理基板間に介在させた水は脱気させた純水を用いていたがこれに限るものではない。屈折率を大きくするためにI族、II族などのアルカリイオンを添加ある、または吸収係数を小さくするために酸イオンを添加した液体を用いても良い。露光光に対して吸収係数が小さく、特定の屈折率に併せた露光装置を用いる場合、特定の屈折率を有する液体であって、レンズ系などにダメージを与えないものであればいかなるものを用いても良い。
また、液浸露光後にPEB処理に先だって、レジスト膜表面のラフな乾燥処理を付加しても良い。乾燥処理は、例えば図5に示すようにエアーナイフ51から基板10の主面に酸、アルカリをフィルタリングしたガス52を吹き付ける。エアーナイフ51が基板上にエアーを吹き付ける領域は、基板表面の一部である。基板10全面にエアーを吹き付けるために、エアーナイフ51が基板10表面上を基板10の周方向の一端から他端に向けて走査する。この時、基板10を回転させてもよいし、静止させた状態でも良い。図5は、本発明の一実施形態に係わる純水の除去処理を行っている状態を示す図である。図5(a)は純水の除去処理を行っている状態の平面図、図5(b)は純水の除去処理を行っている状態の側面図である。エアーナイフ51から吹き付けられるエアー52の向きはエアーナイフ51の進行方向であることが望ましい。向きを同じにすることで、効率的且つ短時間で水の除去が可能である。また、乾燥処理方法はこれに限らず回転乾燥方法を用いても構わない。
本実施形態はArF(193nm)光を用いた露光に関するが、KrF(248nm)光を用いた露光や関しても同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができる。またF露光(157nm)露光では第一の溶媒にフッ素系オイルを用いた場合には、同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができることを確認した。
また、本実施形態では液浸露光プロセスにおけるPEB処理に関するものであったが、実施形態はこれに限らず、他にも露光前後等で化学増幅型レジスト膜の表面処理等の目的に薬液処理を行った際にレジスト膜表層に偏在する薬液を除去する場合にも用いることが可能であり、同様の処理を行うことで精度良くパターニングを行うことができることを確認した。この薬液処理は、例えば特開2004−63490公報の第3の実施形態に記載されている処理である。
また、本実施形態では、被処理基板の最表層が化学増幅型レジストの場合について述べたが、実施形態はこれに限らず、化学増幅型レジストへの水の浸透を防止する為の保護膜をレジスト膜上に形成した場合についても、同様に実施可能である。
但し、形成した保護膜が現像液等のアルカリに可溶しないものについては、図6に示したフローチャートのステップST204の液浸露光後からステップST208の現像処理前までの間に専用のユニットにて保護膜剥離液を基板表面に供給し、保護膜を1度レジスト上から除去する必要がある。一方、アルカリ可溶性の保護膜を用いた場合は、ステップST208の現像時において、現像液供給時に保護膜が除去することができる為、剥離ユニットを必ずしも設ける必要はない。この場合は、用いる化学増幅型レジスト及び保護膜に応じて、適宜現像液温度、現像液濃度、現像液供給時間等を最適な条件にて実施すればよい。
上記各実施形態では、半導体装置の製造方法の一部のレジストパターン形成工程について説明した。説明されたレジストパターン形成工程は、撮像素子(CCD等)、液晶表示素子、または薄膜磁気ヘッド等を製造する際に好適なものである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。
第1の実施形態に係わる半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャート。 第1の実施形態に係わる露光装置の概略構成を示す図。 第1の実施形態に係わるチャンバーの概略構成を示す図。 第1の実施形態に係わるPEB処理での基板温度の時間変化を表すグラフ。 第1の実施形態に係わる液浸露光後の薬液除去処理を行っている状態示す図。 第2の実施形態に係わる半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に係わる減圧乾燥処理を行う第1のチャンバーの構造を表す模式図。 第2の実施形態に係わるPEB処理での基板温度及びチャンバー内圧力の時間変化を表すグラフ。
符号の説明
10…半導体基板,20…照明光学系,21…レチクルステージ,22…レチクル,23…投影レンズ系,24…ウェハステージ,25…フェンス,26…水供給・排出器,27…サポート板

Claims (5)

  1. 基板上に化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、
    前記化学増幅型レジスト膜の所定の位置にエネルギー線を照射し、前記化学増幅型レジスト膜に潜像を形成する工程と、
    前記化学増幅型レジスト膜の表面に液体を接触させる工程と、
    前記潜像の形成後、且つ前記接触後、前記化学増幅型レジスト膜を第1の温度に昇温する工程であって、前記第1の温度は前記化学増幅型レジスト膜内で酸触媒反応が生じる反応開始温度未満である工程と、
    前記化学増幅型レジスト膜を前記第1の温度に所定時間維持する工程と、
    前記所定時間経過後、前記化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度以上の第2の温度に昇温する工程と、
    前記第2の温度に昇温された前記化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度未満の温度に降温する工程と、
    前記降温後、レジストパターンを形成するために前記化学増幅型レジスト膜を現像する工程とを含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
  2. 基板上に化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、
    前記化学増幅型レジスト膜の所定の位置にエネルギー線を照射し、前記化学増幅型レジスト膜に潜像を形成する工程と、
    前記化学増幅型レジスト膜の表面に液体を接触させる工程と、
    前記潜像の形成後、且つ前記接触後、前記化学増幅型レジスト膜を減圧雰囲気にさらす工程と、
    前記減圧雰囲気にさらされた前記化学増幅型レジスト膜を第1の温度に昇温する工程であって、前記第1の温度は前記化学増幅型レジスト膜内で酸触媒反応が生じる反応開始温度以上である工程と、
    前記昇温後、前記化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度未満の温度に降温する工程と、
    前記降温後、レジストパターンを形成するために前記化学増幅型レジスト膜を現像する工程とを含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
  3. 前記化学増幅型レジスト膜を減圧雰囲気にさらす時、前記化学増幅型レジスト膜を前記反応開始温度未満の温度に昇温することを特徴とする請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
  4. 前記潜像の形成は液浸露光で行われ、前記液浸露光を行う前に、前記化学増幅型レジスト膜上に保護膜を形成する工程と、
    前記液浸露光を行ってから前記現像を行う前迄の間に、前記保護膜を除去する工程とを更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のレジストパターン形成方法
  5. 請求項1〜4の何れかに記載されたレジストパターン形成方法を用いて半導体基板上にレジストパターンを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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