JP2006210200A - 燃料電池用電極触媒層、当該電極触媒層の製造方法及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、白金などの触媒微粒子の使用量が少なくて済む燃料電池用電極触媒層の製造方法を提供するものである。
【解決手段】 かゝる本発明は、ガス透過性基板300の片面側にガス透過性の触媒ベース層を形成する一方、ガス透過性基板300の片面側とは反対側から、キャリアガスと共に触媒微粒子成分の溶解溶液200を霧状にして供給しつつ、熱分解させ、ガス透過性基板300及び触媒ベース層を透過させて、熱分解により生成された触媒微粒子を触媒ベース層のガス通路及びその周辺に担持させて触媒層とする燃料電池用電極触媒層の製造方法にあり、これにより、白金などの触媒微粒子の使用量が大幅に少なくとも、良好な電池特性を有する触媒層が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】 かゝる本発明は、ガス透過性基板300の片面側にガス透過性の触媒ベース層を形成する一方、ガス透過性基板300の片面側とは反対側から、キャリアガスと共に触媒微粒子成分の溶解溶液200を霧状にして供給しつつ、熱分解させ、ガス透過性基板300及び触媒ベース層を透過させて、熱分解により生成された触媒微粒子を触媒ベース層のガス通路及びその周辺に担持させて触媒層とする燃料電池用電極触媒層の製造方法にあり、これにより、白金などの触媒微粒子の使用量が大幅に少なくとも、良好な電池特性を有する触媒層が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、白金などの触媒微粒子の使用量が少なくて済む燃料電池用電極触媒層、当該電極触媒層の製造方法及びこれを用いた燃料電池に関するものである。
燃料電池の概略構造を図示すると、図5の如くである。この燃料電池10では、イオン電導性ポリマーからなる固体電解質膜(プロトン交換膜)11の両面に、触媒層12、12を介してカーボンペーパーなどのガス拡散電極(一方は燃料極、他方は酸素極)13、13を設けてある(例えば特許文献1)。両触媒層12、12は、燃料の酸化反応や酸素のイオン化反応を効率よく行うためのものであり、この効率の良否によって、燃料電池10の特性が大きく左右される。
特開平08−167416号公報
触媒層12の触媒材料としては、通常白金、パラジウムなどの白金族系の金属微粒子などが用いられている。具体的には、カーボンブラックなどの担体粒子表面に金属微粒子を担持させた形で、ペースト法やスプレー法などにより、固体電解質膜11やガス拡散電極12側にガス透過可能な薄膜として形成してある。そして、何からの形で、燃料極側には燃料が、酸素極側には空気が外部から供給されるようになっている。
ところが、このような燃料電池10において、触媒層12の全部分を、白金族系の金属微粒子が担持されたカーボンブラックなどで形成した場合、当然金属微粒子の使用量が多くなる。白金族系の金属微粒子は高価であるため、その分コスト上昇要因となる。
この金属微粒子の存在が、触媒微粒子として、触媒作用に大きく寄与するわけであるが、実際には、触媒層において、金属微粒子は、水素などの燃料や酸素が通るガス通路自体やその周辺にあって、これらのガスと接触することが重要であり、これによって、効果的な触媒作用が得られるものと推測される。言い換えれば、ガス通路とならない触媒層部分に位置する金属微粒子は、あまり触媒作用に寄与せず、無駄になるものと考えられる。
本発明は、このような着想に基づきなされたもので、触媒層において、触媒用の金属微粒子を燃料や空気の通るガス通路やその付近に集中的に担持させて、良好な触媒作用を確保すると共に、金属微粒子の使用量を低減させて、コストダウンを図った、燃料電池用電極触媒層、当該電極触媒層の製造方法、及び燃料電池を提供するものである。
請求項1記載の本発明は、燃料電池用電極触媒層であって、前記触媒層のガス通路及びその周辺に触媒微粒子を担持させたことを特徴とする燃料電池用電極触媒層にある。
請求項2記載の本発明は、燃料電池用電極触媒層の製造方法であって、ガス透過性基板の片面側にガス透過性の触媒ベース層を形成する一方、前記ガス透過性基板の片面側とは反対側から、キャリアガスと共に触媒微粒子成分の溶解溶液を霧状にして供給しつつ、熱分解させ、前記ガス透過性基板及び触媒ベース層を透過させて、前記熱分解により生成された触媒微粒子を前記触媒ベース層のガス通路及びその周辺に担持させて触媒層とすることを特徴とする燃料電池用電極触媒層の製造方法にある。
請求項3記載の本発明は、前記触媒微粒子成分の溶解溶液を超音波噴霧器により霧状とすることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法にある。
請求項4記載の本発明は、前記請求項1に係る燃料電池用電極触媒層を用いたこと特徴とする燃料電池にある。
請求項1記載の燃料電池用電極触媒層によると、触媒層のガス通路及びその周辺にのみ触媒微粒子、即ち金属微粒子を担持させてあるため、良好な触媒作用が得られると同時に、金属微粒子の使用量が低減でき、コストダウンが図られる。
請求項2記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法によると、触媒ベース層(前処理層)の微細構造からなるガス通路及びその周辺に対して、ガス流動と触媒微粒子成分の溶解溶液の熱分解により、複雑な装置や設備などを用いることなく、比較的簡単、かつ、安価に触媒微粒子を担持させて触媒層を成形することができる。
請求項3記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法によると、超音波噴霧器により、触媒微粒子成分の溶解溶液を比較的簡単に霧状とすることができる。
請求項4記載の燃料電池は、ガス通路及びその周辺にのみ触媒微粒子、即ち金属微粒子が担持されている触媒層を用いているため、触媒作用も良好で優れた電池性能が得られ、また、金属微粒子の使用量が少なくて済むため、電池自体のコストダウンが得られる。
図1は、本発明に係る燃料電池用電極触媒層、及びその製造方法を実施する装置系の一例を示したものである。この装置系100において、110は長尺な反応管、120は反応管110の一端に接続された超音波振動方式の噴霧器である。この噴霧器の内部には、触媒微粒子成分が含有された溶解溶液200(例えば触媒微粒子を白金とする場合、塩化白金酸溶液)が貯留され、内蔵の超音波振動部121により霧状に飛散されるようになっている。また、この噴霧器120には、キャリアガス供給口122があって、外部からキャリアガス(例えば空気)が注入されて、上記霧状となった溶解溶液200が反応管110側に運ばれるようになっている。
130は反応管110の噴霧器120側に設置された熱分解反応用の加熱部、140は反応管110の後端側(噴霧器120側とは逆の反対側)に設置された基板加熱用の加熱部である。また、この基板加熱用の加熱部140側の反応管110内には、カーボンペーパーなどのようなガスが透過できる基板、即ちガス透過性基板300が、出し入れ可能に設置できるようになっている。
このような装置系100により、本発明に係る燃料電池用電極触媒層を製造するには、先ず、前処理として、図2に示すように、上記したガス透過性基板300の片面側に、例えばカーボンブラックと固体高分子電解質溶液〔ナフィオン(nafion)溶液、商品名、デュポン社製〕を混ぜてなるインクを用意し、これを上記したガス透過性基板300の片面側に塗布して、ガス透過性の触媒ベース層(前処理層)310を形成しておく。
次に、このガス透過性基板300を、その触媒ベース層310とは反対側を噴霧器120側に向けて、反応管110の後端側に当たる、上記基板加熱用の加熱部140部分の管路内に設置する。なお、この設置は、後述するキャリアガスの圧力が受け易いように、管路を塞ぐ形で設置するとよい。
この状態で、噴霧器120、加熱部130、140などを駆動させ、外部からはキャリアガス(空気)を導入させる。これにより、触媒微粒子成分が含有された溶解溶液200が霧状となり、キャリアガスと共に、反応管110の熱分解反応用の加熱部130部分に導かれる。ここでは、加熱部130により例えば500℃程度で加熱されるため、溶解溶液200の熱分解が起こる。この熱分解により生成された触媒微粒子は、キャリアガスと共にガス透過性基板300側に至る。
このガス透過性基板300部分も、加熱部140により例えば100℃程度に加熱されているため、触媒ベース層310は軟化した状態にあり、キャリアガスのガス圧が掛かると、図3の拡大模式図に示すように、触媒微粒子はキャリアガスの流れと共に、ガス透過性基板300及び触媒ベース層310を透過(通過)する。この透過時、触媒微粒子は、当然触媒ベース層310のガス通路及びその周辺にのみ効率的に付着し、担持される。これにより、触媒微粒子、即ち金属微粒子がカーボンブラックの表面に担持された、目的とする燃料電池用電極の触媒層400が得られる。
つまり、キャリアガスの透過したガス通路部分が微細構造であっても、触媒微粒子は、キャリアガス中に含まれて運ばれるため、このガス通路及びその周辺にのみ集中的に、かつ効率的に付着し、担持される。
従って、この触媒層400の場合、良好な触媒作用が得られる。即ち、燃料電池用の触媒層として、燃料(水素)や酸素が通る部分にのみ、触媒微粒子が集中的に担持されるため、理想的な触媒層が得られる。また、触媒微粒子、即ち金属微粒子の使用量が無駄な部分に担持されることがないため、その分少なくなり、コストダウンが図られる。
この触媒層400の金属材料としては、特に限定されないが、通常白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムなどの白金族系の金属微粒子が用いられている。これらは単独で用いても、2以上を混合として用いてもよい。また、白金族系以外のものとしては、例えば遷移金属の酸化物微粒子(SnO2 、MnO2 、Vn2 O3 )なども、同様にして使用することができる。
このような触媒微粒子を担持させる電子伝導性固体の担体としては、上記インク材料の混入材料であるカーボンブラックに限定されず、電子伝導性を有する材料であれば、導電性セラミック(FTO、ITOなど)、金属(Ni、Ptなど)、カーボン(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)も使用することができる。また、同様にして、上記インク材料に混入した固体高分子電解質材料としては、ナフィオン溶液に限定されず、パーフルオロスルホン酸系の膜などを使用することもできる。
このようにして得られた触媒層400は、例えば、上記図5に示した如き構造の燃料電池10では、固体電解質膜(プロトン交換膜)11の両面に添設させる。この場合、触媒層400をガス透過性基板300から剥離して添設(転写)させるか、或いは、ガス透過性基板300自体が、カーボンペーパーなどの電子伝導体材料からなるときには、この基板をそのままガス拡散電極として用いることにして、両者を一緒にして添設させてもよい。後者の場合、電池製造自体の省力化が可能となる。
〈実施例〉
カーボンブラック300mgと5質量%ナフィオン溶液6mlを混ぜて触媒ベース層用のインクを作り、4×4cmのカーボンペーパー(ガス透過性基板)の片面側に塗布して、触媒ベース層を作製した。
カーボンブラック300mgと5質量%ナフィオン溶液6mlを混ぜて触媒ベース層用のインクを作り、4×4cmのカーボンペーパー(ガス透過性基板)の片面側に塗布して、触媒ベース層を作製した。
次に、この触媒ベース層の形成されたガス透過性基板を、上記図1に示した装置系の反応管内の所望の位置に設置した。噴霧器内には塩化白金酸溶液(触媒微粒子成分を含有した溶解溶液)50mlを充填させた。この溶液の濃度は、触媒微粒子、即ち白金微粒子が触媒ベース層に担持されたとき、白金担持率が0.02mg/cm2 となるように調整した。
この状態で、装置系の噴霧器、2箇所の加熱部を駆動させ、外部からはキャリアガス(空気)を導入し、例えば溶媒をアルコールとした塩化白金酸溶液(H2 PtCl6 )を霧状に飛散させ、キャリアガスと共に、反応管側に送った。反応管側では、手前の熱分解反応用の加熱部部分で500℃程度で加熱し、管奥側の基板加熱用の加熱部で100℃程度で加熱した。
これにより、塩化白金酸溶液が熱分解され、生成された白金微粒子が、キャリアガスと共にガス透過性基板側に至り、触媒ベース層のガス通路及びその周辺に集中的にかつ効率的に担持され、目的の触媒層が得られた。
〈比較例〉
50質量%Ptを担持させたカーボンブラック600mgと5質量%ナフィオン溶液6mlを混ぜてインクを作り、4×4cmのテフロン(登録商標)ペーパー(ガス透過性ペーパー)の片面側に白金担持率が0.1mg/cm2 となるように調整して塗布して、直接触媒層を作製した。
50質量%Ptを担持させたカーボンブラック600mgと5質量%ナフィオン溶液6mlを混ぜてインクを作り、4×4cmのテフロン(登録商標)ペーパー(ガス透過性ペーパー)の片面側に白金担持率が0.1mg/cm2 となるように調整して塗布して、直接触媒層を作製した。
このようにして得られた実施例と比較例の各触媒層を用いて、図5に示した構造の燃料電池を製造し、電流−電圧特性(I−V特性)を測定したところ、図4の如き結果が得られた。実施例の場合、白金担持率が0.02mg/cm2 で、比較例のそれ(0.1mg/cm2 )より少ないにもかかわらず、比較例と同等以上の特性が得られていることが分かる。つまり、本発明では、少ない白金の使用量でよいことから、大幅なコストダウンが可能であることが分かる。
なお、上記説明では、燃料電池の構造が図1に示したものであったが、本発明は、必ずしもこのような構造のみの燃料電池に限定されるものではなく、触媒層に金属微粒子を同様にして用いる他の構造の燃料電池にも、勿論適用することができる。
100・・・装置系、110・・・反応管、120・・・噴霧器、130、140・・・加熱部、200・・・触媒微粒子成分の溶解溶液、300・・・ガス透過性基板、310・・・触媒ベース層、400・・・触媒層
Claims (4)
- 燃料電池用電極触媒層であって、前記触媒層のガス通路及びその周辺に触媒微粒子を担持させたことを特徴とする燃料電池用電極触媒層。
- 燃料電池用電極触媒層の製造方法であって、ガス透過性基板の片面側にガス透過性の触媒ベース層を形成する一方、前記ガス透過性基板の片面側とは反対側から、キャリアガスと共に触媒微粒子成分の溶解溶液を霧状にして供給しつつ、熱分解させ、前記ガス透過性基板及び触媒ベース層を透過させて、前記熱分解により生成された触媒微粒子を前記触媒ベース層のガス通路及びその周辺に担持させて触媒層とすることを特徴とする燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記触媒微粒子成分の溶解溶液を超音波噴霧器により霧状とすることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法。
- 前記請求項1に係る燃料電池用電極触媒層を用いたこと特徴とする燃料電池。
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JP2005022174A JP2006210200A (ja) | 2005-01-28 | 2005-01-28 | 燃料電池用電極触媒層、当該電極触媒層の製造方法及び燃料電池 |
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---|---|---|---|---|
JP2008124004A (ja) * | 2006-11-15 | 2008-05-29 | Samsung Electronics Co Ltd | 燃料電池用電極の製造方法及び製造装置 |
-
2005
- 2005-01-28 JP JP2005022174A patent/JP2006210200A/ja active Pending
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