JP2006194305A - クラッチレリーズ軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
コンパクトでありながら、レリーズフォークの案内を適切に行えるクラッチレリーズ軸受装置を提供する。
【解決手段】
ガイドスリーブ20のフランジ部22におけるアンビル部22aの幅Δ1を小さくできることから、図1に示すように、ばね部材30を極力鉛直方向に寄せて(案内部21aに重合する位置に)配置することができ、それにより案内部21aに干渉することなく周囲部品Pとの干渉を回避することができる。一方、フランジ部22におけるアンビル部22aの幅Δ1を小さくしても、円筒部21における案内部21aの幅Δ2を大きく確保できることから、レリーズフォークRFの揺動を幅の広い案内部21aにより案内することで、円滑なレリーズ動作が期待できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両などに用いられるクラッチレリーズ軸受装置に関する。
車両等に搭載され摩擦板を用いた動力断続装置であるクラッチを動作させる場合において、入力部材であるレリーズフォークで、クラッチ装置の回転部材であるクラッチカバーのダイヤフラムスプリングを軸線方向に押圧することにより、スプリングの付勢力を摩擦板から解除して動力伝達の切り離しが行なわれている。
ところで、レリーズフォークは車体等の固定側に通常配置されているが、クラッチカバーはエンジンのフライホイール等に取り付けられてそれと一体的に回転するようになっている。従って、クラッチカバーのダイヤフラムスプリングをレリーズフォークが直に押圧するとなると、当接部の摩耗を招来することとなる。そこで、ダイヤフラムスプリングに当接して一体的に回転する回転輪を含むクラッチレリーズ軸受と、この軸受を所定の状態に保持すると共にレリーズフォークからの入力を受けるようになっている回転しない軸受保持部材とからなるクラッチレリーズ軸受装置を、ダイヤフラムスプリングとレリーズフォークとの間に設けている。
特開2001−289262号公報 特開2004−11658号公報
この特許文献1に開示されたクラッチレリーズ軸受装置においては、クラッチレリーズ軸受の外輪を、ガイドスリーブのフランジに対して、板状のばね部材により挟み込むことで取り付けている。ここで、かかる従来技術のばね部材は2つ設けられ、いずれもフランジから水平方向に突出するようにして配置されている。しかるに、ばね部材を水平方向に突出させた場合、クラッチレリーズ軸受装置を実車に搭載する場合において、周囲部品と干渉する恐れがある。
これを回避するために、ばね部材の取り付け位置を、クラッチレリーズ軸受装置の軸線回りに変位させることもできる。しかしながら、フランジの鉛直方向はレリーズフォークが当接するアンビル部となるため、それとの干渉を避けるには、ばね部材の取り付け位置を、あまりフランジの鉛直方向に近づけられないという問題がある。よって、ばね部材の取り付け位置は、周囲部品やレリーズフォークと干渉しないように適宜選択されている(特許文献2参照)。
ところが、ある仕様においては、ばね部材をよりフランジの鉛直方向に寄せたいという要求がある。かかる場合、レリーズフォークと干渉しないぎりぎりの位置まで、ばね部材の取り付け位置を変位させることができたとしても、それだけでは不十分である。一般的に、揺動するレリーズフォークを案内するための案内部がガイドスリーブに設けられているが、ばね部材をよりフランジの鉛直方向に寄せようとすると、その分だけ案内部が削除され、レリーズフォークの案内が不安定になる恐れがあるからである。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクトでありながら、レリーズフォークの案内を適切に行えるクラッチレリーズ軸受装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明のクラッチレリーズ軸受装置は、
互いに同心的に配置されかつ相対回転する内輪及び外輪を含み、一方の輪が固定され、回転する他方の輪がクラッチ装置の回転部材に当接するようになっているクラッチレリーズ軸受と、ガイド軸上に摺動自在に嵌合された円筒部と、フランジ部とを含む樹脂製の軸受保持部材と、該軸受保持部材に対して、該クラッチレリーズ軸受の該一方の輪を半径方向に移動可能となるよう保持する連結部材とからなるクラッチレリーズ軸受装置において、
前記軸受保持部材は、前記フランジ部における入力部材が当接するアンビル部の幅が、前記円筒部における前記入力部材が案内される案内部の幅より小さくなっていることを特徴とする。
本発明のクラッチレリーズ軸受装置によれば、前記軸受保持部材は、前記フランジ部における前記入力部材が当接するアンビル部の幅が、前記円筒部における前記入力部材が案内される案内部の幅より小さくなっているので、例えば前記連結部材を、幅の狭い前記アンビル部の近傍に取り付けることによって周囲部品との干渉を抑制すると共に、前記入力部材は、幅の広い前記案内部を使って案内することにより、安定した案内を実現できる。尚、「幅」とは、クラッチレリーズ軸受装置の軸線に直交する方向の長さをいうものとする。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるクラッチレリーズ軸受装置をレリーズフォーク側から見た図である。図2は、図1のクラッチレリーズ軸受装置をII-II線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。図3は、図1のクラッチレリーズ軸受装置を矢印III方向に見た図である。
図2において、クラッチレリーズ軸受装置は、クラッチレリーズ軸受10と、軸受保持部材であるガイドスリーブ20と、連結部材であるばね部材30とからなる。クラッチレリーズ軸受10は、左方端に当接部11aを有する略円管状の内輪11と、内輪11を同心的に内包する短い円管状の外輪12と、内輪11と外輪12との間に転動自在に配置された複数のボール15と、ボール15を所定間隔で保持する保持器16と、ボール15の軸線方向両側で内輪11と外輪12とにより画成される空間を防塵油密的に密封するシール17、18とからなる。内輪11は外輪12に対して回転自在に支持されている。また内輪11の当接部11aは、図示しないクラッチカバーのダイヤフラムスプリングに当接するようになっている。
一方、ガイドスリーブ20は樹脂製であって、円管状の本体(円筒部)21と、本体21の中央近傍の外周から半径方向に延在するフランジ部22と、フランジ部22の半径方向外方端において軸線方向左方に突出する外壁部23と、フランジ部22の半径方向外方端において、図2で軸線方向右方に突出するガイド部25(図1)とからなる。本体21の内方には図示しないガイド軸が延在しており、本体21はガイド軸上を摺動自在となっている。
全体的には円盤状のフランジ部22は、その一部(180度位相で2カ所)がリヤ側(図2で右方)へシフトしたステップ状のアンビル部22aを有している。又、円筒部21は、アンビル部22aにつながる位置で肉厚となった平坦な案内部21aを形成している。図1,3に示すように、アンビル部22aの幅Δ1は、案内部21aの幅Δ2より小さく(Δ1<Δ2)なっている。アンビル部22aには、図2に点線で示すレリーズフォークRFが当接しており、案内部21aは、その上面でレリーズフォークRFの揺動を案内する機能を有する。
なお、本体21の内方には拡径部24が設けられている。この拡径部24は、本体21がガイド軸上を摺動する際に異物を噛みこまないように機能するものである。外壁部23は、クラッチレリーズ軸受10の外方に設けられ、その半径方向の移動制限部となっている。また、クラッチレリーズ軸受10を半径方向に移動可能とするため、外輪12の外周と外壁23の内周との間には隙間27が形成されている。ガイド部25はばね部材30の組付時にガイドの機能を有するものである。また、外輪12は、JIS規格のSUJ2を素材として施削し、その後、焼き入れすることによって形成しているが、板材をプレスすることによって形成しても良い。
図1より明らかなように、同一形状のものが2つ設けられたばね部材30は、クラッチレリーズ軸受10をガイドスリーブ20に対して取り付ける機能を有する。図4は、ばね部材30の斜視図である。ばね部材30は、一枚のSK5等のばね鋼板をプレスで打ち抜いた後折り曲げその後焼入処理することによって形成されている。ばね部材30は、ガイドスリーブ20のフランジ部に当接するベース部31と、軸受の外輪12に当接する押圧部32と、ベース部31と押圧部32との間に設けられ、押圧部32に外輪12を付勢するための弾性力を付与する梁部33とからなっている。なお、押圧部32はシール17に接触しないように、またばね部材30の組付を容易にすべく、軸線方向外方に傾斜した傾斜部32aを有する。
更にばね部材30は、梁部33の中央下面において上方にくぼんだ凹部34を有しており、この凹部34には、ガイドスリーブ20のフランジ部22に形成された凸部22h(図2)が係合するようになっている。また、ベース部31の両側部31aにおける下方端近傍においては、くぼみを構成する切欠き37が形成され、更にベース部31の端部中央には、比較的大きな切欠38が形成されている。
更に、ガイドスリーブ20のフランジ部22に形成された突起22cは、ばね部材30の切欠37に係合し、ばね部材30の抜け止めの機能を有する。又、フランジ部22における突起22cの近傍に形成された矩形状の突起であるストッパ22gは、図1から明らかなように、ばね部材30をガイドスリーブ20に取り付ける際に、ばね部材30の切欠38に係合して、それ以上ばね部材30が内方に押し込まれることを阻止するように機能する。
次に、本発明の実施の形態であるクラッチレリーズ軸受装置の動作につき、以下に説明する。図2において、レリーズフォークRFが図で上下に延在する枢軸回りに枢動すると、その先端がガイドスリーブ20のアンビル部22aに当接して一定の荷重を印加する。荷重を受けたクラッチレリーズ軸受装置は、レリーズフォークRFからの入力により図示しないガイド軸上を軸線方向に摺動して、図示しないクラッチカバーのダイヤフラムスプリングに内輪11の当接部11aを当接させる。ダイヤフラムスプリングが回転していても、内輪11は回転自在であるので、当接後にダイヤフラムスプリングと一体で回転することとなり、更に軸受装置が軸線方向に移動することによりダイヤフラムスプリングが押圧されてクラッチが動作されるようになっている。
ばね部材30は適切な板厚となっていて、ガイドスリーブ20に対してクラッチレリーズ軸受10を、押圧部32と外輪12との間に作用する摩擦力のみで支持しているため、軸受10はガイドスリーブ20に対して半径方向に移動可能となっている。従って、内輪11の当接部11aがダイヤフラムスプリングに当接したとき、両者の間に偏心があれば、軸受10を同心に位置させようとする公知の力が生じ、それにより軸受10は半径方向に移動して、自動調心が達成されることとなる。なお、ガイドスリーブ20の外壁部23は、軸受10が所定量以上半径方向外方に移動しないよう制限する機能を有する。また、一般の玉軸受の外輪にはフランジがないタイプが多いので、本実施の形態のように外輪をばね部材30で挟みこむように構成すれば、外輪自体を改造する必要がなく既存のものを使用でき、コスト低減に寄与しうる。
本実施の形態によれば、ガイドスリーブ20のフランジ部22におけるアンビル部22aの幅Δ1を小さくすることにより、図1に示すように、ばね部材30を極力鉛直方向に寄せて、フランジ部22と案内部21aとの間の切り欠かれた領域に配置することができ、それにより案内部21aに干渉することなく周囲部品Pとの干渉を回避することができる。一方、フランジ部22におけるアンビル部22aの幅Δ1を小さくしても、円筒部21における案内部21aの幅Δ2を大きく確保できることから、レリーズフォークRFの揺動を幅の広い案内部21aにより案内することで、円滑なレリーズ動作が期待できる。
以上、本発明を実施例を参照して説明してきたが、本発明は上記実施例に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
本実施の形態にかかるクラッチレリーズ軸受装置をレリーズフォーク側から見た図である。 図1のクラッチレリーズ軸受装置をII-II線に沿って切断して矢印方向に見た軸線方向断面図である。 図1のクラッチレリーズ軸受装置を矢印III方向に見た図である。 ばね部材30の斜視図である。
符号の説明
10 クラッチレリーズ軸受
20 ガイドスリーブ
30 ばね部材

Claims (2)

  1. 互いに同心的に配置されかつ相対回転する内輪及び外輪を含み、一方の輪が固定され、回転する他方の輪がクラッチ装置の回転部材に当接するようになっているクラッチレリーズ軸受と、ガイド軸上に摺動自在に嵌合された円筒部と、フランジ部とを含む樹脂製の軸受保持部材と、該軸受保持部材に対して、該クラッチレリーズ軸受の該一方の輪を半径方向に移動可能となるよう保持する連結部材とからなるクラッチレリーズ軸受装置において、
    前記軸受保持部材は、前記フランジ部における入力部材が当接するアンビル部の幅が、前記円筒部における前記入力部材が案内される案内部の幅より小さくなっていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置。
  2. 前記連結部材は、前記アンビル部の近傍に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受装置。

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