JP2006194297A - 真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ガスバリヤー性を有する包装材中に、無機繊維マットと、厚さ0.1〜3mmのシート状ガス吸着剤を収納し、真空包装したことを特徴とする真空断熱材である。
【選択図】 図1
Description
しかし、真空断熱材の真空度は一般的に経時的に低下する。その原因は、断熱材中の水分、有機ガス等、外装材の封止端部や樹脂フィルム面から侵入する水蒸気や、酸素、炭酸ガス等の空気中のガス成分、及び製造時の残存有機物等によるガスにある。
そこで、断熱材(芯材)と、ガス・水分を吸着する吸着剤(ゲッター剤)及びこれらを内包する包装材とからなる真空断熱材が提案されている(例えば特許文献1〜5)。
特許文献2には、加圧圧縮したグラスウールに接着剤を注入、硬化して高密度のグラスウール板を作り、これを外板内に挿入した後、接着剤を加熱排出して内部を高真空にした真空断熱材が開示されている。特許文献2には、断熱性能値に関する記載はないが、グラスウールが高密度に圧縮されているため、ガラス繊維同士の接触点が多く、さらに繊維が3次元的に絡み合って配向していると推測され、断熱性能が劣るという欠点がある。
特許文献3には、無アルカリガラス長繊維マットに無機バインダーを添加してプレス加工した後、ニードルパンチング加工した真空断熱材が開示されている。しかしながら、特許文献3では、吸着剤が使用されていないため、包装材からの侵入ガスにより、断熱性能の経時的劣化が大きいという欠点がある。
すなわち、本発明は、ガスバリヤー性を有する包装材中に、無機繊維マットと、厚さ0.1〜3mmのシート状ガス吸着剤を収納し、真空包装したことを特徴とする真空断熱材、を提供するものである。
ここで、本発明の真空断熱材について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の真空断熱材の一例を示す模式断面図である。真空断熱材1は、無機繊維マットからなる芯材2、シート状ガス吸着剤3、ガスバリヤー性を有する包装材4から構成されている。
本発明に用いるガス吸着剤は、シート状に成形されている。シート状であれば、その形状は特に限定されず、角板状、円盤状等の任意の形状で、使用することができる。
シート状ガス吸着剤の厚さは、ガス吸着剤を包装材中に収納したときの凹凸をなくす観点から、0.1〜3mm、好ましくは0.5〜2.0mmである。
ガス吸着性、実用性の観点からは、シート状ガス吸着剤に、その表裏を貫通する孔を複数設けることが好ましい。孔の開孔率は、好ましくは面積当たり50%以下であり、好ましくは10〜40%である。
シート状物の面積は、真空断熱材の平面の面積と同じでも、異なっていてもよい。シート状物の面積が、真空断熱材の平面の面積と異なる場合は、シート状ガス吸着剤の存在する部分と、無機繊維マットのみからなる部分の厚みの差を5%以内とすることが好ましい。
また、シート状ガス吸着剤は、包装材中に収納する前に乾燥し、ガス吸着剤が吸湿した水分を除去し、含水率を1.0質量%以下にしておくことが好ましい。乾燥方法としては特に制限はなく、真空乾燥、空気中での100〜200℃での加熱乾燥又は真空乾燥と加熱乾燥の併用法等を採用することができる。
未加硫ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−ブテン共重合体、ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。その他の熱可塑性樹脂としては、アイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル等、又はこれらの混合物が挙げられる。
シート状ガス吸着剤の製造は、例えば、(1)軟質樹脂を溶解した有機溶剤溶液中に、顆粒状又は粉体状の吸着剤を分散させ、乾燥固化、成形する方法、(2)顆粒状又は粉体状の吸着剤と軟質樹脂とを加熱溶融し、混合分散する方法等により行うことができる。
本発明において、無機繊維マットは真空断熱材の芯材を構成する。
無機繊維としては、ガラス繊維、アルミナやシリカ等のセラミック繊維、スラグウール繊維、ロックウール繊維等が挙げられる。これらの中では、断熱性、成形加工性等の観点から、ガラス繊維が好ましい。
なお、無機繊維マットの耐熱性を向上させるため、ステンレス鋼、クロム−ニッケル系合金、高ニッケル合金、高コバルト合金等の耐熱性金属繊維を少量混合することもできる。
ガラス繊維の形状は特に限定されないが、平均繊維径は、好ましくは1〜6μm、更に好ましくは3〜4μmである。
この方法では、ガラス繊維マットは有機系のバインダーで固めていないので、ガラス繊維マットからのガスの発生がなく、このガスによって経時的に真空断熱材の熱伝導率が高くなることもない。また、ガラス繊維マットのニードルパンチング加工による密度を高めに設定すれば、真空引きした後の体積収縮を抑制し、容器の変形を抑えられる。
ガラス繊維マットは真空引きにより、通常、密度を150〜300kg/m3、好ましくは200〜250kg/m3に調整する。
バインダーとしては、特に制限はなく、無機又は有機のバインダーを用いることできる。
無機バインダーとしては水ガラス等が好ましい。
無機バインダーを使用した場合、真空引き後のガラス繊維マットの密度も、通常、150〜300kg/m3、好ましくは200〜250kg/m3である。
有機バインダーを用いる場合は、無機繊維マットに含有される有機バインダーの固形分割合が、無機繊維マット全量の3質量%以下、好ましくは0.5〜2質量%の範囲とする。有機バインダーの使用量が、3質量%を超えると、得られる真空断熱材の断熱性能が低下するため好ましくない。
上記の方法によって得られた無機繊維マット、特にガラス繊維マットは、芯材として包装材中に収納する前に乾燥し、該マットが吸湿した水分を除去し、含水率を1.0質量%以下にしておくことが好ましい。乾燥方法としては特に制限はなく、空気中で100〜200℃で加熱することにより行うことができる。
包装材は、ガスバリヤー性を有するものであれば特に制限はないが、保護層、ガスバリアー層、熱融着層を有するものが好ましい。
保護層には、ガスバリヤー性を更に向上させるために、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルコール等のビニルモノマーを重合、共重合させて得られるガスバリヤー性樹脂を塗布したり、積層したり、それらの粒子を保護層中に混合分散させることもできる。
保護層の厚さは特に制限はないが、通常5〜50μmである。
ガスバリアー層としては、金属箔や、樹脂フィルム上に蒸着を行った積層フィルム(蒸着膜フィルム)等が挙げられる。
金属箔の金属としては、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等が挙げられる。
蒸着膜は、蒸着法、スパッタ法等により、アルミニウム、ステンレス、コバルト、ニッケル等の金属、シリカ、アルミナ等の無機酸化物、及び炭素等を蒸着させて形成する。
蒸着膜フィルムの基材となる樹脂フィルムとしては、上記の樹脂のフィルムが用いられる。
ガスバリアー層の厚さは特に制限はないが、通常5〜50μmである。
熱融着層の厚さは特に制限はないが、通常5〜100μmである。
包装材(フィルム)の厚みは、通常、40〜200μm、好ましくは80〜150μmとする。これは、厚みが薄すぎると、ガラス繊維マット等を包装材に収納し、包装材内部を減圧にする工程で、真空断熱材は大気圧により圧縮され、ガラス繊維マット等が収縮する際に、成形体が変形し、しわや凹凸、ピンホール等が発生し易いからである。一方、厚過ぎても、真空包装時のシワや凹凸、ピンホール等の原因となる。
本発明の真空断熱材の製造方法に特に制限はない。例えば、包装材(袋体)内にガラス繊維マット等の無機繊維マットとシート状ガス吸着剤を配置し、真空引きを行って包装材内部の真空度を例えば1〜10Paにし、開口されている部分をヒートシールして密封すれば、真空断熱材が作製できる。
包装材の袋形状は特に限定されず、四方シール袋、三方シール袋、ガゼット袋、ピロー袋、センターテープシール袋等の各種の形状を採用できる。
製造例1
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂〔住友化学株式会社製、商品名:エバテートD5020、MFR:75g/10分(JIS K6760に準拠)〕10部を加圧ニーダー(株式会社森山製作所製)に仕込み180℃で溶融し、200メッシュ以下の酸化カルシウム90部を徐々に投入し十分に練り合わせた。このものを2本ロールに通してシート状に成形し、厚さ0.8mm、直径100mmの円盤状に裁断した。この円盤シート状ガス吸着剤中の酸化カルシウム粉末量は5.5gであった。
製造例1で得られたシートを縦50mm、横60mmの大きさに裁断し、ダイセットを設けたプレス機で、10mm平方間隔で直径4mmの表裏を貫通する孔を打ち抜いて、シート状ガス吸着剤を得た。
スチレン−イソプレン共重合樹脂(JSR株式会社製、商品名:SIS5505)18部、石油樹脂(トートケミカル社製、商品名:ハイレジン#90)2部をトルエン80部で溶解し、これに500メッシュ以下の粉体酸化カルシウム80部を撹拌混合した、その溶液をポリプロピレンフィルム上に塗布して熱風乾燥し、厚さ1.5mm、縦10mm、横10mmのシート状ガス吸着剤を得た。
実施例1
平均繊維径4μmのガラス繊維のマットを、ベルトコンベア上で帯状に重ね合わせて移動させ、長さ50mmの多数の針を設けたニードルパンチング装置で、帯状のガラス繊維を叩いてガラス繊維を互いに絡ませて、ガラス繊維マット(厚さ32mm、密度170kg/m3)を作製した。
このガラス繊維マット2枚の間に、製造例1で得られたシート状ガス吸着剤を差し込み、アルミ箔ラミネートフィルム〔PET(厚さ12μm)/2軸延伸ナイロン(厚さ15μm)/アルミ箔(厚さ6μm)/HDPE(厚さ50μm)の4層積層フィルム〕からなる包装袋に挿入し、真空包装装置にて系内の圧力を1.0Paとした後、包装袋の開口部を加熱溶着し、厚さ10mm、縦300mm、横400mmの真空断熱材を得た。
包装袋内の温度70℃(相対湿度95%RH)で7週間保持し、熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製、商品名:HC−074−300)を用いて、その間の熱伝導率を測定した。また、表面平滑性を、次の基準により評価した。その結果を第1表に示す。
◎:表面平滑である。
○:僅かな凸凹あり。
×:凸凹が大きい。
実施例1において、製造例2で得られた孔を有するシート状吸着剤を使用した以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、製造例3で得られたシート状吸着剤を使用した以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、吸着剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第1表に示す。
厚さ32mm、密度170kg/m3のガラス繊維マットに、直径30mm、高さ20mmの穴を開け、酸化カルシウム粉末5.5gを入れた金属ケース(直径28mm、厚さ6.5mm)を、その穴に入れたものを使用した以外は、実施例1と同様に行った。その結果を第1表に示す。
2.芯材
3.シート状ガス吸着剤
4.包装材
Claims (6)
- ガスバリヤー性を有する包装材中に、無機繊維マットと、厚さ0.1〜3mmのシート状ガス吸着剤を収納し、真空包装したことを特徴とする真空断熱材。
- 真空断熱材の縦断面において、シート状ガス吸着剤の存在する部分と、無機繊維マットのみからなる部分の厚みの差が、5%以内である請求項1に記載の真空断熱材。
- シート状ガス吸着剤が、酸化カルシウム70〜90質量部と軟質樹脂30〜10質量部からなるものである請求項1又は2に記載の真空断熱材。
- 無機繊維マットに含有される有機バインダーの固形分割合が、無機繊維マット全量の3質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の真空断熱材。
- 無機繊維マットの含水率が、1.0質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の真空断熱材。
- 無機繊維マットが、ニードルパンチング加工したガラス繊維マットである請求項1〜5のいずれかに記載の真空断熱材。
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