JP2009079650A - 真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】芯材に粉体を用い、粉体の飛散を抑制するために粉体を強固な成形体とする場合においても、断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とする。
【解決手段】真空断熱材1は、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とを混合してなる芯材2を外被材3で覆い、外被材3の内部を減圧密閉してなり、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とが接着部分を有してなるもので、芯材2のかさ密度が130kg/m3以上、250kg/m3以下で、熱可塑性樹脂繊維5の含有率が、全重量の0.3重量%以上、30重量%以下である。
【選択図】図1
【解決手段】真空断熱材1は、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とを混合してなる芯材2を外被材3で覆い、外被材3の内部を減圧密閉してなり、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とが接着部分を有してなるもので、芯材2のかさ密度が130kg/m3以上、250kg/m3以下で、熱可塑性樹脂繊維5の含有率が、全重量の0.3重量%以上、30重量%以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、真空断熱材に関するものである。
近年、地球温暖化の防止を目的に省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギー化の推進が行われている。特に、冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する真空断熱材が注目されている。
このような真空断熱材の芯材としては、繊維系、粉体系、発泡樹脂系などの多孔体が用いられ、その内部を高真空度に保持することで気体成分による熱伝導を低減して断熱性能を向上させている。中でも、繊維系の芯材としてガラス繊維を用いた真空断熱材は、冷蔵庫をはじめとする機器に使用されている。
しかしながら、長期に渡って使用される場合において、外部からのガス侵入を完全に防ぐことは困難であることから、芯材に粉体系を用いることが検討されている。粉体系芯材は微細な空隙構造を有することから気体分子の衝突を遮り、気体による熱伝導を抑制できるため、大気圧に近い比較的低真空雰囲気でも高い断熱性能が得られる。よって、ガス侵入による真空度の低下を考慮しなければならない長期に渡る使用においても、高い断熱性能を維持することができるために有利である。
しかしながら、粉体を芯材として使用する場合、製造時の寸法精度低下や取り扱い性、製造・廃棄時の飛散による問題かある。ゆえに、それらを改善するために粉体を固形状に成形するという手段かある。
従来、粉体を成形体とする技術として、湿式法によって得られる超微粒子シリカと繊維材料を混合、圧縮した成形体を芯材とした真空断熱材がある(例えば、特許文献1参照)。
また、成形なしで使用可能にする方法としては、不織布等の熱溶着が可能な中袋にシリカ等の無機粉末を充填し、さらにその中袋を外被材に封入することで飛散を防止した真空断熱材がある(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−250481号公報
実公平01−37279号公報
しかしながら、特許文献1に示すような従来の芯材における粉末成形体は、記載の密度が220〜460kg/m3の範囲において、実際には250kg/m3未満の低密度領域では強度不足により製造上の取り扱いが困難である。強度不足の原因は、粉同士や粉と繊維の接触面積が小さいことと接着作用が微弱であるためであると考えられる。
補強材として、一般的なバインダー成分を付与することも可能であるが、均一に混合するためにバインダー水溶液を塗布した場合には、粉体系芯材特有の微細空隙構造が崩れ、結果的に芯材構造が高密度化してしまう。よって、芯材固体による熱伝導性が増し、真空断熱材としての断熱性能が悪化してしまう。また、芯材かさ密度を250kg/m3以上にまで上げるとハンドリングは可能となるが、高密度化するとバインダー水溶液を塗布した場合と同様に芯材固体による熱伝導性が増してしまうという問題を有していた。
また、特許文献2に示すような従来の芯材は、中袋に粉末を充填し、熱溶着することで粉の飛散は防止できるが、中袋への封入で余分な工程数が増えること、外被材封止時に粉末が偏析することで望みの形状が得られないこと、寸法精度が低下するなどの問題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、製造における取り扱い性の改善、および粉体の飛散を抑制するために粉体を強固な成形体とする場合においても、断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の真空断熱材は、シリカ粉体と熱可塑性樹脂繊維とを混合してなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記シリカ粉体と前記熱可塑性樹脂繊維とが接着部分を有してなるものである。
粒子径の小さい粉体を芯材として使用すれば、粒子界面の接触熱抵抗をかせぐことができるため、芯材路体における伝熱を抑制して良好な初期断熱性能が得られる。さらに、微細な空隙構造を形成するため、気体分子の衝突を抑制し、気体による熱伝導を抑制することができる。よって、経時的なガス侵入による劣化も小さくなるために、長期に渡って高い断熱性能を維持できる。
シリカ粉体は、工業的に汎用材料でありながら、平均一次粒子径がナノオーダーの超微細粒子を工業的な汎用材料として製造が可能であり、芯材として使用するには望ましい材料である。さらに、シリカ粉体は単一粒子が硬質材料であるために、粒子同士の接点においても高い接触熱抵抗が得られ、アウトガスの発生もない。
また、シリカ粉体と混合する繊維が熱可塑性樹脂繊維であるために、200℃程度の比較的低温加工でも繊維材料が軟化し、シリカ粉体と接着できる。これにより粉体系芯材が低密度でも成形体強度がより向上する。さらに、繊維状物質をシリカ粉体へ混合することは、バインダー機能を有する粒径の異なる粉体を混ぜるよりも均一分散性の点て好ましい。
成形後の芯材のかさ密度としては、その芯材形状を維持できるという観点から130kg/m3以上、良好な断熱性能が得られるという観点から250kg/m3以下の範囲が望ましい。
本発明におけるシリカ粉体は、特に指定するものではなく、火炎法、アーク法、プラズマ法などの乾式法により製造される乾式シリカ、沈降法、ゲル法などの湿式法により製造される湿式シリカが使用可能である。乾式シリカは粒子同士の凝集が起こり難く、繊維との分散性が向上する。また、汎用性を考慮すると、コスト面で湿式法により得られたシリカ粉体を用いることが工業的には最も望ましい。
また、平均一次粒子径が小さいと断熱性能が向上し、加熱成形の低温化と短時間化が可能となるため、一次粒子径は50nm以下のものが望ましく、10nm以下のものがより望ましい。
また、本発明における熱可塑性樹脂繊維は、特に指定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、アクリル、ポリアミド等が適用可能であり、一種類以上の熱可塑性樹脂繊維を適用でき、汎用性の点てポリプロピレンが最も適している。
さらに、繊維径は細い程繊維表面積が大きくなるために、シリカ粉体と接着性が向上し、強度の向上に好ましい。よって、繊維径は20μm以下であることが望まれる。
本発明の真空断熱材は、芯材が微細空隙を有し、気体の熱伝導を抑制できる粉体であることから、経時的なガス侵入があっても長期に渡って断熱性能を維持することができる。
また、シリカ粉体と熱可塑性樹脂繊維とからなる成形体は接着していることから成形体強度が向上するためにハンドリング性が向上し、また、製造・廃棄時の粉の飛散を抑制できる。
さらに低密度で成形した場合にも強度を確保できるために、高い空隙率を維持し、良好な断熱性能を確保できる。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、シリカ粉体と熱可塑性樹脂繊維とを混合してなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記シリカ粉体と前記熱可塑性樹脂繊維とが接着部分を有してなるものである。
シリカ粉体は、平均一次粒子径がナノオーダーであるために、微細な空隙構造を作ることで気体熱伝導を抑制し、経時的なガス侵入による内部圧力上昇においても断熱性能を確保できる。また、シリカ粉体単体ではハンドリングの問題で外被材への挿入等の製造面での問題が発生するが、本発明によりシリカ粉体は熱可塑性樹脂繊維と接着していることから、十分な強度を有する成形体を得ることができる。
以上の作用により、芯材が十分な強度を有する成形体へ容易に加工でき、生産性が向上すると共に、廃棄時の粉体の飛散が起こらない。また、断熱材として芯材の寸法精度が向上する。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明における芯材のかさ密度を、130kg/m3以上、250kg/m3以下とするものである。
これにより、熱可塑性樹脂繊維とシリカ粉体が接着されていることから、芯材はハンドリングに十分な強度を有し、かつ固体成分の熱伝導を抑制した高い空隙率を実現することが可能となる。
以上の作用により、これを芯材として適用した真空断熱材は伝熱媒体となる芯材固体の使用量を低減し、断熱性能が向上すると共に材料コストが削減できる。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明における熱可塑性樹脂繊維の含有率を、全重量の0.3重量%以上、30重量%以下としたものである。
これにより、芯材は低密度ながらもハンドリングに十分な強度を確保し、かつ粉体と熱可塑性樹脂の接着量を適正に確保することができる。
つまり、熱可塑性樹脂繊維は成形体において骨格、およびバインダーとしての役割を果たすが、0.3重量%未満であれば骨格構造が形成できないために強度確保が難しくなる。また繊維が30重量%を超えると繊維が支配的となるために、芯材空隙が粗大化し、その結果、気体による熱伝導が起こり断熱性能の悪化を招く。特に、経時的なガス侵入が無視できない長期的な使用においては気体による熱伝導が断熱性能の悪化を顕著に引き起こす。
以上の作用により、本発明の真空断熱材は、ハンドリング性が向上することにより、製造時の生産性を向上、廃棄時の飛散防止、さらには断熱性能を向上する効果がある。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、熱可塑性樹脂繊維が加熱溶融によりシリカ粉体と接着部分を有してなるものである。
これにより、熱可塑性樹脂繊維はシリカ粉体と容易に溶融接着が可能である。また、150℃以上で加熱すると、シリカ粉体の焼結作用により、シリカ粉体同士も結合が起こることから、芯材全体としての強度をさらに増すことができる。
以上の作用により、加熱することで、芯材はハンドリング性を確保する場合にも、より低密度化か可能となり、伝熱媒体となる芯材固体を減らすことで、断熱性能が向上する。また、軽量化および材料費の削減も図れる。
また、本発明における外被材は、バリア性を有するラミネートフィルムを用いたものが使用でき、その構成は特に指定するものではない。
最内層の熱溶着層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン、無延伸エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂などが使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外部からのガス侵入を抑制するために、金属箔や、蒸着フィルム、コーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムなどが使用可能である。その種類や積層数は特に指定するものではない。金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄やその混合物など、特に指定するものではない。
また、蒸着やコーティングの基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなど特に指定するものではない。
また、蒸着の材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、シリカ、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボンやそれらの混合物など、特に指定するものではない。
また、コーティングの材料としては、PVA、ポリアクリル酸系樹脂やその混合物など特に指定するものではない。また、蒸着コーティングフィルムにおける蒸着とコーティングの積層順序は特に指定するものではない。
また、耐ピンホール性や耐摩耗性の向上、難燃性の付与、さらなるバリア性の向上などを目的として、さらに外層や中間層にフィルムを設けることも可能である。
ここで、外層や中間層に設けるフィルムは、ナイロン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂など、その種類や積層数は、特に指定するものではない。また、蒸着フィルムやコーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムであってもよいし、さらに金属箔を積層してもよい。
また、外被材の袋形状は、四方シール袋、ガゼット袋、三方シール袋、ピロー袋、センターテープシール袋など、特に指定するものではない。
さらに、外被材は、バリア性を有する容器であってもよく、例えば樹脂を成形した容器などであってもよい。
その材料や構成も特に指定するものではなく、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂が使用可能である。また、これらの樹脂に蒸着やコーティング処理をしたものを使用してもよい。また、バリア性の向上のためにこれらの材料を多層化して使用してもよい。
また、真空断熱材の初期断熱性能や経時断熱性能をより一層向上させるために、水分吸着剤やガス吸着剤を使用することも可能である。吸着剤の種類は特に指定するものではなく、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイトなどが使用可能であり、これらを単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の概略断面図である。図1において、真空断熱材1は芯材2と外被材3とから構成されている。また、芯材2はシリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とから構成されている。
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の概略断面図である。図1において、真空断熱材1は芯材2と外被材3とから構成されている。また、芯材2はシリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とから構成されている。
本実施の形態における真空断熱材1は、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とを混合してなる芯材2を外被材3で覆い、外被材3の内部を減圧密閉してなり、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とが接着部分を有してなる。
まず、真空断熱材1の製造方法を説明する。
芯材2は、シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とを所定割合で混合した粉体を成形型に充填し、加熱状態でプレスすることによって、成形体を得た。
外被材3は、同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺をヒートシールし、袋状とする。
次に、三辺シールした外被材3の開口部から乾燥させた芯材2を挿入する。これをチャンバー内に設置し、内部を減圧した後、開口部をヒートシールすることで、芯材部かさ密度が130kg/m3以上250kg/m3以下の真空断熱材1を得る。
シリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5との組み合わせは、繊維の分散性が良好であるために均一に混ざり、実施例に示すような条件で取り扱いに問題がない強固な成形体が得られた。
また、成形体強度が高いことにより、粉落ちが抑制されたために、外被材3への挿入も容易になった。さらに、外被材3が破損した場合や廃棄時に開封した場合にも粉の飛散を抑制できた。
以下、実施例、および比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
芯材1は、シリカ粉体4として湿式法により作製したシリカと、熱可塑性樹脂繊維5としてポリプロピレン繊維とから構成される成形体であり、その混合比率は重量比で10:1である。また、加熱プレスの条件は、0.1MPaで150℃とした。また、真空断熱材1の芯材部のかさ密度は210kg/m3である。
芯材1は、シリカ粉体4として湿式法により作製したシリカと、熱可塑性樹脂繊維5としてポリプロピレン繊維とから構成される成形体であり、その混合比率は重量比で10:1である。また、加熱プレスの条件は、0.1MPaで150℃とした。また、真空断熱材1の芯材部のかさ密度は210kg/m3である。
加熱成形によって、熱可塑性樹脂繊維5が溶融し周囲のシリカ粉体4と接着したことで、強固な成形体を得ることができた。また、真空断熱材1の初期断熱性能を示す熱伝導率は0。0058W/mKであり優れていた。経時的な断熱性能の変化を想定した温度加速試験を行ったところ、100℃1ヶ月経過後も0.0060W/mKであり、ガス侵入による劣化は確認できなかった。
(実施例2)
芯材部のかさ密度について検討した。なお密度以外の条件は、実施例1と同様である。
芯材部のかさ密度について検討した。なお密度以外の条件は、実施例1と同様である。
密度を下げていったところ、130kg/m3までは芯材単体でのハンドリングが可能であったが、これを下回るとハンドリングの際に、その形状を保持することができなくなった。
また、密度を上げていったところ、強度が向上することで取り扱い性は向上したが、それに伴い、断熱性能は250kg/m3を超えると熱伝導率は増大し、0.0070W/mKを超えて高密度化による断熱性能の悪化が生じた。ゆえに、芯材部かさ密度は、成形体としての形状が確保できるという観点からは130kg/m3以上、良好な断熱性能が得られるという観点からは250kg/m3以下が望ましい。
(実施例3)
熱可塑性樹脂繊維5の混合比率について検討した。なお、熱可塑性樹脂繊維5の混合比率以外の条件は、実施例1と同様である。
熱可塑性樹脂繊維5の混合比率について検討した。なお、熱可塑性樹脂繊維5の混合比率以外の条件は、実施例1と同様である。
熱可塑性樹脂繊維5の混合比率を上げていったところ、30重量%を超えると、真空断熱材1の断熱性能が悪化し、熱伝導率は0.0070W/mK以上となった。また、熱可塑性樹脂繊維5の混合比率を下げていったところ、混合重量比率で100:0.3では強固な成形体を得ることができたが、それを下回ると骨格構造が形成できなくなるために強度が悪化し、取り扱いによって、その形状の維持が困難となった。よって、熱可塑性樹脂繊維5の含有率0.3重量%以上、30重量%以下が望ましい。
(実施例4)
加熱プレスの温度条件について検討した。なお、温度条件以外の条件は、実施例1と同様である。
加熱プレスの温度条件について検討した。なお、温度条件以外の条件は、実施例1と同様である。
加熱プレスの温度を下げていったところ、150℃以下で大きく成形体の強度が低下した。これは、シリカ粉体4同士の焼結による結合力がなくなったためである。よって、温度は150℃以上でプレスすることが好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維の種類としては、150℃でもある程度形状を保持できる樹脂、つまり融点が150℃以上の熱可塑性樹脂繊維5であることがより望ましい。
以上、実施の形態における実施例より、シリカ粉体4を低密度で高強度な成形体とするにはシリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とからなる混合粉体を接着してなることが好ましく、芯材部のかさ密度が130kg/m3以上、250kg/m3以下の密度において初期断熱性能で、0.0060W/mKという良好な断熱性能、かつ経時的な劣化が抑制できる真空断熱材1が得られた。
(比較例1)
芯材には繊維系のガラス繊維のみを用いて、外被材へ挿入し、真空断熱材を作成した。
芯材には繊維系のガラス繊維のみを用いて、外被材へ挿入し、真空断熱材を作成した。
芯材の作製条件以外は実施例1と同様である。
このときの初期断熱性能としては、熱伝導率が0.0030W/mKであり良好な値を示したものの、100℃1ヶ月経過後の熱伝導率は0.0050W/mK、2ヶ月後には0.0071W/mKと経時的なガス侵入による劣化が起きた。よって、長期に渡る使用や、外気に露呈するような厳しい環境で使用する用途には適していない。
(比較例2)
実施例1と同様の試料を用い、100℃での圧縮により芯材の成形を試みたところ、固形状に成形できなかった。よって、ハンドリングに不向きな粉体のままであり、取り扱いが困難である。
実施例1と同様の試料を用い、100℃での圧縮により芯材の成形を試みたところ、固形状に成形できなかった。よって、ハンドリングに不向きな粉体のままであり、取り扱いが困難である。
以上、実施の形態1における実施例と比較例より、シリカ粉体4を低密度で高強度な成形体とするにはシリカ粉体4と熱可塑性樹脂繊維5とからなる混合粉体を接着して強度を持たすことにより、ハンドリング性が良好で、かつ断熱性能に優れた真空断熱材を提供できる。
本発明にかかる真空断熱材は、芯材が比較的大気圧に近い減圧状態でも気体熱伝導を抑制できるほど微細空隙構造を作ることが可能な粉体系であるため、ガス侵入が避けられない長期に渡って使用した場合にも断熱性能を維持できる。このため、非常に長い間断熱性能が要求される建築材料としての使。用も可能である。また、冷蔵庫のような保冷機器や、電気湯沸かし器、炊飯器、保温調理器、給湯器などの保温機器に使用すれば長期に渡って優れた省エネ効果を示す。また、芯材が成形体であることから、薄肉化した場合にも厚みムラが小さくなるために、省スペースで高い断熱性能が要求されるようなノート型コンピューター、コピー機、プリンター、プロジェクターなどの事務機器への適用も可能である。また、コンテナボックスやクーラーボックスなどの保冷が必要な用途や、防寒具や寝具などへの適用も可能である。
また、本発明における芯材は、ラミネートフィルムからなる外被材を有する真空断熱材への適用に限られたものではない。例えば、ガスバリア性材料からなる外箱と内箱とからなり、前記外箱と前記内箱の間の空間に芯材を設け、前記空間を減圧することで真空断熱構造を有する真空断熱箱体への適用も可能である。
1 真空断熱材
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 熱可塑性樹脂繊維
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 熱可塑性樹脂繊維
Claims (4)
- シリカ粉体と熱可塑性樹脂繊維とを混合してなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記シリカ粉体と前記熱可塑性樹脂繊維とが接着部分を有してなる真空断熱材。
- 芯材のかさ密度が130kg/m3以上、250kg/m3以下である請求項1に記載の真空断熱材。
- 熱可塑性樹脂繊維の含有率が、全重量の0.3重量%以上、30重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の真空断熱材。
- 熱可塑性樹脂繊維が加熱溶融によりシリカ粉体と接着部分を有してなる請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
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