JP2008215492A - 真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉体の飛散を抑制するために、真空断熱材の芯材を成形体とする場合において、断熱性能を悪化させることなく、粉落ちや削れを抑制する。
【解決手段】真空断熱材1の芯材2が、少なくともシリカ粉体4と無機繊維5とを有する成形体であり、かつ芯材2における表面層の繊維含有率が内部層よりも大きいことを特徴とする。成形体をシリカ粉体4と無機繊維5とから構成すると、他の組み合わせに比べて、高い強度を発現する。さらに、芯材2表面層の繊維含有率が、内部層よりも大きいことで、表面層に存在する粉の量が少ないことや、無機繊維5がシリカ粉体4と強固に付着することによって粉落ちが抑制される。
【選択図】図1
【解決手段】真空断熱材1の芯材2が、少なくともシリカ粉体4と無機繊維5とを有する成形体であり、かつ芯材2における表面層の繊維含有率が内部層よりも大きいことを特徴とする。成形体をシリカ粉体4と無機繊維5とから構成すると、他の組み合わせに比べて、高い強度を発現する。さらに、芯材2表面層の繊維含有率が、内部層よりも大きいことで、表面層に存在する粉の量が少ないことや、無機繊維5がシリカ粉体4と強固に付着することによって粉落ちが抑制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、真空断熱材に関するものである。
真空断熱材の芯材としては、繊維系、粉体系、発泡樹脂系などの多孔体が用いられる。このうち、粉体系は微細な空隙を有することから内圧依存性に優れるために、長期に渡って断熱性能が要求される場合や比較的高温となる用途に適用されることが多い。
しかし、粉体を内袋に封入して使用しなければならないため、内袋が必要な分だけコストUPになる。また、廃棄時には粉が飛散し、作業環境が悪くなるという問題がある。ゆえに、それらを改善するために粉体を成形するという手段がある。
従来、粉体を成形体とする技術として、超微粒子状アルミナ組成物を用いたオリフィス用断熱成形体がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の断熱成形体は、超微粒子状アルミナと赤外線不透過剤と繊維状補強材との混合体を圧縮成形したものであり、寸法精度、寸法安定性があり、強度も比較的大きいものであった。
また、従来、無機物質および無機強化繊維からなる断熱成形体がある(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2の断熱成形体は、膨張したバーミキュライトと無機結合体と赤外線不透明剤と微孔質物質と強化繊維との混合物を圧縮成形したものであり、機械的強度が高いものであった。
また、従来、湿式シリカと、乾式シリカと、繊維材料を混合撹拌、圧縮成形して得た成形体を芯材とした真空断熱材がある(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3の真空断熱材は、低熱伝導率で耐圧縮性に優れた超微粒子シリカ成形体を支持材とすることによって、軽量で断熱性能に優れているものであった。
特開平2−239121号公報
特表2000−513693号公報
特公平5−66341号公報
しかしながら、上記特許文献1の構成では、成形体密度が300kg/m3から400kg/m3と高いため、固体による伝熱が増大し、断熱性能が悪化するという課題を有していた。
また、上記特許文献2の構成では、無機結合材をあらかじめ混合したものであるため、無機結合材による伝熱が増大し、断熱性能が悪化するという課題を有していた。
また、上記特許文献3の構成では、芯材を外被材に挿入する際に、外被材と擦れることにより芯材が削れるという課題を有していた。また、芯材表面から落ちた粉が外被材のシール性を悪化させるために、ガス侵入量が増大、経時断熱性能が悪化するという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、粉体の飛散を抑制するために粉体を強固な成形体とする場合においても、断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、芯材が、少なくともシリカ粉体と無機繊維とを有する成形体であり、かつ前記芯材における表面層の繊維含有率が内部層よりも大きいことを特徴とするものである。
シリカ粉体と繊維とを所定の条件で混合圧縮すると成形体が得られることは公知であるが、シリカ粉体は粒子径の小さい粉体であるため、分子間力が働き粒子同士が付着しやすいことなどから、他の粉体を使用した場合に比べて、成形体の強度が向上する。
また、シリカ粉体は、平均一次粒子径がナノオーダーであるために、熱接触抵抗が大きく、初期断熱性能に優れ、また、微細な空隙を形成するために経時断熱性能に優れる。
また、繊維は成形体の骨格となるが、繊維が無機繊維であることによって、アウトガスを抑制するだけでなく、シリカ粉体との親和性が高いことで成形体強度がより向上する。
さらに、芯材表面層の繊維含有率が、内部層よりも大きいことで、表面層に存在する粉の量が少ないことや、繊維が粉体と強固に付着することによって粉落ちが抑制される。
本発明の真空断熱材は、芯材が内圧依存性に優れた粉体系であるため、長期に渡って断熱性能を確保することができる。また、シリカ粉体と無機繊維とからなる成形体は相互の親和性が高いために優れた強度を有することから、ハンドリング性が良好であり、また、廃棄時の粉の飛散を抑制できる。
また、芯材表面層の繊維含有率が、内部層よりも大きいことで、表面層に存在する粉の量が少ないことや、繊維が粉と強固に付着することによって、粉落ちが抑制でき、箱体や外被材への芯材の挿入時にも、粉の箱体や外被材への付着および芯材の削れが抑制されるために、作業性が向上する。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材を外被材で覆い前記外被材の内部を減圧密封した真空断熱材であって、前記芯材が少なくともシリカ粉体と無機繊維とを有する成形体であり、前記芯材の厚み方向において、表面層の繊維の含有率が、内部層よりも大きいことを特徴とするものであり、繊維が粉と強固に付着するために粉落ちが抑制できる。
ところで、シリカ粉体は、平均一次粒子径がナノオーダーであるために、熱接触抵抗が大きく、初期断熱性能に優れ、また、微細な空隙を形成するために、経時断熱性能に優れる。
シリカと無機繊維の組み合わせは、他の材料を使用した場合に比べて高い強度を有する成形体が得られる。この理由としては、シリカが粒子径の小さい粉体であるため分子間力が働き粒子同士が付着しやすいことや、シリカ表面に水酸基を有するため粒子同士が結合しやすいことや、あるいはシリカと無機繊維という親和性の高い組合せであるため相互に付着しやすいことなどが考えられる。
芯材が成形体であると、内袋が必要なくなるために、低コスト化が可能になる。また、固形化しない粉体の場合に比べ、厚みムラが小さくなるために薄肉化が容易になるとともに、大気圧中の厚みと減圧封止後の厚みとの差が小さく寸法安定性に優れた真空断熱材を得ることができる。また、ハンドリング性が向上し、廃棄時の粉立ちを抑制できる。
繊維の含有率が大きいと、繊維と粉の付着により、粉落ちが抑制できるが、芯材全体において繊維の含有率を高くしすぎると、空隙径が粗大化することにより、内圧依存性が悪化して経時断熱性能が悪化する。よって、内部層の繊維含有率を、表面層に比べて少なくすることで芯材内部の空隙径の粗大化を抑制する。
なお、本発明における表面層とは、厚み方向で表面から35%以下までの部分を指し、表面層の繊維含有率が内部層の繊維含有率よりも高ければよいため、3層構成でもそれ以上でもよい。
成形体を得る方法としては、常温乾式プレス法が最も簡便な方法であるが、加熱プレスでも、また、他の方法で成形してもよい。成形後に熱処理を施してもよい。成形体を乾式プレス法により成形する場合に、本発明の構成の成形体を得る方法としては、無機繊維の含有率が高い混合粉体を充填し、その上から無機繊維の含有率が低い混合粉体を充填し、さらにその上から無機繊維の含有率が高い混合粉体を充填する方法や、無機繊維を敷き、その上からシリカ粉体と無機繊維の混合粉体を充填し、さらにその上から、無機繊維を被せるなどの方法があるが、特に指定するものではない。
本発明におけるシリカ粉体は、特に指定するものではなく、火炎法、アーク法、プラズマ法などの乾式法により製造される乾式シリカ、沈降法、ゲル法などの湿式法により製造される湿式シリカが使用可能である。平均一次粒子径が小さいと断熱性能が向上するため、一次粒子径は50nm以下のものが望ましく、10nm以下のものがより望ましい。
本発明における無機繊維は、特に指定するものではなく、グラスウール、グラスファイバー、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウール、炭化ケイ素繊維などが使用可能である。
なお、シリカとの親和性を確保するために、これらの繊維表面にフェノール処理などをしていないものがよい。また、これらを複数種使用してもよい。また、繊維が細いほど、固体熱伝導率が低減できるために断熱性能が向上し、かつ繊維の表面エネルギーが増大することでシリカ粒子との結合力が向上することにより成形体の強度が向上するため、繊維径は10μm以下が望ましい。
また、成形体の密度は特に指定するものではないが、成形体としての形状を維持できるという観点から100kg/m3以上、良好な断熱性能が得られるという観点から300kg/m3以下の範囲が望ましい。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明において、前記芯材の表面層が、前記無機繊維のみからなることを特徴とするものであり、表面層に粉が存在しないために、さらに粉落ちが抑制できる。
また、表面層が無機繊維であることによって、箱体や外被材への挿入時には箱体や外被材への粉の付着や芯材の削れが抑制できる。
なお、芯材を加熱処理することは、繊維の絡み合いが固定されることで強度、表面性ともに向上するためにより望ましく、このとき、表面層のみが加熱処理されていても芯材全体が加熱処理されていてもよい。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記内部層の繊維の含有率が、60wt%以下であることを特徴とするものであり、優れた経時断熱性能を発現する。
内部層の繊維の含有率を高くしすぎると、空隙径が粗大化することにより、内圧依存性が悪化して経時断熱性能が悪化する。特に、内部層の繊維の含有率が60wt%を超えると、真空断熱材内部の圧力が常圧になったときの断熱性能が、空気の断熱性能を超えてしまう。よって、内部層の繊維含有率を60wt%以下とすることが望ましい。なお、本発明における繊維含有率は、粉体を100としたときの繊維の重量比率を指す。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記芯材が、シリカ以外の無機粉体を含むことを特徴とするものであり、断熱性能が向上する。
シリカ粉体に、所定平均粒子径の無機粉体を混合すると断熱性能が向上する。なお、この現象は成形体に限らず、固形化しない粉体の状態でも認められる。これは、常温でも断熱性能の向上が認められることから、輻射抑制のみでは説明がつかない。
この理由として、シリカは粒子径が非常に小さいために凝集しやすく、また粒子形状が概球状であり、粒子径にもバラツキが少ないために密充填になりやすいが、シリカの平均一次粒子径より大きい粒子を混合することでシリカの粒子間に空間を形成し密充填を抑制することなどによる固体熱伝導率の低減が考えられる。
ここで、無機粉体による固体熱伝導率の増大を抑制するためには、無機粉体の粒径は50μm以下であることが望ましい。
本発明における無機粉体は、珪藻土、パーライト、珪砂、珪酸白土、カオリナイト、バーミキュライト、雲母などの粉体が使用可能であり、特に指定するものではない。これらを複数種使用してもよい。無機粉体を混合することでシリカの使用量が削減できるため、シリカより安い粉体を選択すれば低コスト化にもなる。低コスト化のためには、パーライトや珪藻土などのように非常に安価な材料を選択することがより望ましい。
無機粉体が1wt%でも断熱性能の向上が認められ、20wt%から60wt%で熱伝導率は極小となり、それを超えると再び熱伝導率は増大する。さらに70wt%を超えると無機粉体の特性が支配的となるため、混合しない場合に比べて悪化する。ゆえに、含有率は1wt%以上70wt%以下が望ましい。
また、混合比率は表面層と内部層で異なっていてもよい。なお、ここでの無機粉体の含有率とは、シリカと無機粉体からなる混合粉体を100としたときの混合粉体中の無機粉体の重量比率を指す。
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記無機繊維が、ガラス繊維であることを特徴とするものであり、シリカとの付着力が向上し、より成形体の強度が向上することによって粉の飛散がさらに抑制できる。
シリカとガラス繊維の組み合わせは、ガラス繊維が表面に水酸基を有しているためにシリカ粉体表面に存在する水酸基との親和性が高く相互に付着しやすいことが影響し、粉飛散の抑制効果が他の材料を使用した場合に比べて高いだけでなく、粉と繊維の付着力が向上することによって、混合粉体を成形体とする場合においても、他の材料を使用した場合に比べて強固な成形体を得ることができる。
請求項6に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記シリカ粉体が、乾式シリカであることを特徴とするものであり、乾式シリカは湿式シリカに比べて小さい圧力でも粉同士が強く付着しあうために、成形体の強度が向上することによって粉の飛散が抑制できる。
また、混合粉体をプレス加工などにより成形体とする場合においても、乾式シリカの方がより強固な成形体を得ることができる。
また、湿式シリカに比べ乾式シリカの方が、無機粉体を混合したときに断熱性能の改善率が高い。
芯材は、上記以外に導電性粉体を含有していてもよい。シリカに導電性粉体を混合すると断熱性能が向上する。この理由としては、導電性粉体によりシリカの凝集が解砕されることで、固体接触面積が減少することによる固体熱伝導率の低下が考えられる。
本発明における導電性粉体は、導電性を有する粉体であれば特に指定するものではなく、粉末状カーボン、金属粉体、金属酸化物粉体、金属ドープ粉体などが使用可能である。これらを複数種使用してもよい。中でも、コストと性能の面から粉末状カーボンが望ましい。その含有率は、1wt%でも断熱性能の向上が認められ、30wt%で熱伝導率は極小となり、それを超えると再び熱伝導率は増大する。
また、粉末状カーボンの含有率が増大すると、粉末状カーボンからのアウトガスにより、経時断熱性能に影響が出てしまうことから、1wt%以上30wt%以下が望ましい。なお、ここでの導電性粉体の含有率とは、シリカ粉体、もしくはシリカと無機粉体からなる混合粉体を100としたときの、導電性粉体の重量比率を指す。
本発明の構成であると粉と粉、および繊維と粉が付着することで成形体を形成しているために、粉と粉、または繊維と粉を結着する作用のあるバインダーを使用しなくても強固な成形体を得ることができる。バインダーを使わないことによって、バインダーによる固体の伝熱が生じないために、バインダーを使用した場合に比べて断熱性能が向上する。より強度を向上させるためには、バインダーを使用してもよいが良好な断熱性能を確保するためには、その添加量は5wt%以下が望ましい。バインダーとは、水ガラス、コロイダルシリカ、アルミナゾルなどの無機バインダー、澱粉、フェノール樹脂などの有機バインダーが使用可能であるが特に指定するものではない。
また、本発明にける外被材は、バリア性を有するラミネートフィルムを使用したものが使用でき、その構成は特に指定するものではない。
最内層の熱溶着層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン、無延伸エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂などが使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外部からのガス侵入を抑制するために、金属箔や、蒸着フィルム、コーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムなどが使用可能である。その種類や積層数は特に指定するものではない。
金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄やその混合物など、特に指定するものではない。また、蒸着やコーティングの基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなど特に指定するものではない。
また、蒸着の材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、シリカ、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボンやそれらの混合物など、特に指定するものではない。
また、コーティングの材料としては、PVA、ポリアクリル酸系樹脂やその混合物など特に指定するものではない。また、蒸着コーティングフィルムにおける蒸着とコーティングの積層順序は特に指定するものではない。
また、耐ピンホール性や耐摩耗性の向上、難燃性の付与、さらなるバリア性の向上などを目的としてさらに外層や中間層にフィルムを設けることも可能である。
ここで、外層や中間層に設けるフィルムは、ナイロン、エチレン・4フッ化エチレン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂など、その種類や積層数は、特に指定するものではない。また、蒸着フィルムやコーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムであってもよいし、さらに金属箔を積層してもよい。
また、外被材の袋形状は、四方シール袋、ガゼット袋、三方シール袋、ピロー袋、センターテープシール袋など、特に指定するものではない。
さらに、外被材は、バリア性を有する容器であってもよく、例えば樹脂を成形した容器などであってもよい。
その材料や構成も特に指定するものではなく、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂が使用可能である。またこれらの樹脂に蒸着やコーティング処理をしたものを使用してもよい。バリア性の向上のためにこれらの材料を多層化して使用してもよい。
また、真空断熱材の初期断熱性能や経時断熱性能をより一層向上させるために、水分吸着剤やガス吸着剤を使用することも可能である。吸着剤の種類は特に指定するものではなく、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイトなどが使用可能であり、これらを単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1に示すように本実施の形態の真空断熱材1は、芯材2を外被材3で覆い外被材3の内部を減圧密封した真空断熱材1であって、芯材2が少なくともシリカ粉体4と無機繊維5とを有する成形体であり、芯材2の厚み方向において、表面層の無機繊維5の含有率が、内部層よりも大きいものである。
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1に示すように本実施の形態の真空断熱材1は、芯材2を外被材3で覆い外被材3の内部を減圧密封した真空断熱材1であって、芯材2が少なくともシリカ粉体4と無機繊維5とを有する成形体であり、芯材2の厚み方向において、表面層の無機繊維5の含有率が、内部層よりも大きいものである。
以上のように構成された本実施の形態の真空断熱材1について、次に真空断熱材1の製造方法を説明する。
芯材2は、シリカ粉体4と無機繊維5とを所定割合で混合した粉体を成形型に充填し、プレスして成形体を得る。なお、このときの成形体は、表面層における無機繊維5の含有率が内部層よりも大きくなるように調節する。
外被材3は、片面に熱溶着層を有したガスバリア性の同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺をヒートシールし、袋状とする。
次に、三辺シールした外被材3の開口部から140℃の乾燥炉にて1時間程度乾燥させた芯材2を挿入する。これをチャンバー内に設置し、内部を13Pa以下まで減圧した後、開口部をヒートシールすることで真空断熱材1を得る。
シリカ粉体4と無機繊維5との組み合わせは、相互の親和性が高いために強固な成形体が得られ、また、表面層の無機繊維5の含有率を内部層よりも大きくすることによって、粉落ちの少ない強固な成形体が得られた。
また、表面層の無機繊維5の含有率が高いことにより、粉落ちが抑制されたために、外被材3への挿入も容易になった。また、この成形体を箱体に挿入する場合にも粉落ちや表面層の削れが少なく、容易であった。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
芯材1は、シリカ粉体4として乾式シリカと、無機繊維5としてガラス繊維から構成される成形体であり、その混合比率は100wt%:30wt%である。
芯材1は、シリカ粉体4として乾式シリカと、無機繊維5としてガラス繊維から構成される成形体であり、その混合比率は100wt%:30wt%である。
芯材2は、まず、成形型に、30wt%中の1/3に相当するガラス繊維を敷き、その上から乾式シリカ粉体と1/3に相当するガラス繊維からなる混合粉体を充填し、さらにその上から、1/3に相当するガラス繊維を被せ、次に、これをプレスして得る。
成形型に乾式シリカ100wt%とガラス繊維30wt%とからなる混合粉体を充填し、プレスして得た成形体を芯材として使用した場合と比較して、初期断熱性能は0.0055W/mKと同等であったが、経時断熱性能は優れており、また、芯材2表面からの粉落ちも抑制された。
また、乾式シリカの代わりに湿式シリカ、ガラス繊維の代わりにアルミナ繊維などの無機繊維を使用しても良好な断熱性能が得られるが、乾式シリカとガラス繊維の組み合わせが断熱性能、粉落ち抑制ともに良好であり、望ましい。
(実施例2)
実施例1とは異なる方法で芯材2を作製した。
実施例1とは異なる方法で芯材2を作製した。
図2は、本発明の実施例2における真空断熱材の断面図である。図2に示すように実施例2の真空断熱材6は、芯材7を外被材8で覆い外被材8の内部を減圧密封した真空断熱材6であって、芯材7が少なくともシリカ粉体9と無機繊維10とを有する成形体であり、芯材7の厚み方向において、表面層の無機繊維10の含有率が、内部層よりも大きいものである。
ここで、芯材7はシリカ粉体9として乾式シリカと、無機繊維10としてガラス繊維から構成される成形体であり、その混合比率は100wt%:30wt%である。
芯材7は、まず、成形型に、100wt%中の1/3に相当する乾式シリカと30wt%中の2/5に相当するガラス繊維からなる混合粉体を充填し、その上から1/3に相当する乾式シリカと1/5に相当するガラス繊維からなる混合粉体を充填し、さらにその上から、1/3に相当する乾式シリカと2/5に相当するガラス繊維からなる混合粉体を充填し、次に、これをプレスして得る。
成形型に乾式シリカ100wt%とガラス繊維30wt%の混合粉体を充填し、プレスして得た成形体と比較して、初期断熱性能は0.0055W/mKと同等であったが、経時断熱性能は優れており、また、芯材7表面からの粉落ちも抑制された。
また、乾式シリカの代わりに湿式シリカ、ガラス繊維の代わりにアルミナ繊維などの無機繊維を使用しても良好な断熱性能が得られるが、乾式シリカとガラス繊維の組み合わせが断熱性能、粉落ち抑制ともに良好であり、望ましい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図である。図3に示すように実施の形態2の真空断熱材11は、芯材12を外被材13で覆い外被材13の内部を減圧密封した真空断熱材11であって、芯材12が少なくともシリカ粉体14と無機繊維15と無機粉体16とを有する成形体であり、芯材12の厚み方向において、表面層の無機繊維15の含有率が、内部層よりも大きいものである。
図3は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図である。図3に示すように実施の形態2の真空断熱材11は、芯材12を外被材13で覆い外被材13の内部を減圧密封した真空断熱材11であって、芯材12が少なくともシリカ粉体14と無機繊維15と無機粉体16とを有する成形体であり、芯材12の厚み方向において、表面層の無機繊維15の含有率が、内部層よりも大きいものである。
以上のように構成された本実施の形態の真空断熱材11について、次に真空断熱材11の製造方法を説明する。
芯材12は、シリカ粉体14と無機繊維15と無機粉体16とを所定割合で混合した粉体を成形型に充填し、プレスして成形体を得る。なお、このときの成形体は、表面層における無機繊維15の含有率が内部層よりも大きくなるように調節する。
外被材13は、片面に熱溶着層を有したガスバリア性の同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺をヒートシールし、袋状とする。
次に、三辺シールした外被材13の開口部から140℃の乾燥炉にて1時間程度乾燥させた芯材12を挿入する。これをチャンバー内に設置し、内部を13Pa以下まで減圧した後、開口部をヒートシールすることで真空断熱材11を得る。
シリカ粉体14と無機繊維15との組み合わせは、相互の親和性が高いために強固な成形体が得られ、また、表面層の無機繊維15の含有率を内部層よりも大きくすることによって、粉落ちの少ない強固な成形体が得られた。
また、表面層の無機繊維15の含有率が高いことにより、粉落ちが抑制されたために、外被材13への挿入も容易になった。また、この成形体を箱体に挿入する場合にも粉落ちや表面層の削れが少なく、容易であった。
また、無機粉体16を芯材12に混合することによって、初期断熱性能が実施の形態1に比べて向上した。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
(実施例3)
芯材12は、シリカ粉体14として乾式シリカと、無機繊維15としてガラス繊維と、無機粉体16として珪藻土から構成される成形体であり、その混合比率は70wt%:30wt%:30wt%である。
芯材12は、シリカ粉体14として乾式シリカと、無機繊維15としてガラス繊維と、無機粉体16として珪藻土から構成される成形体であり、その混合比率は70wt%:30wt%:30wt%である。
芯材12は、まず、成形型に、30wt%中の1/3に相当するガラス繊維を敷き、その上から乾式シリカ粉体と1/3に相当するガラス繊維と珪藻土の混合粉体を充填し、さらにその上から、1/3に相当するガラス繊維を被せ、次に、これをプレスして得る。
表面層がガラス繊維のみからなる層であることによって芯材12表面からの粉落ちが抑制され、初期断熱性能は0.0050W/mKと無機粉体16を混合したことによって実施例1よりも向上した。本実施例では無機粉体16として珪藻土を使用したが、珪藻土に限らずシリカ以外の無機粉体16を使用することによって、同様に断熱性能が改善するため、無機粉体16の使用がより望ましい。
(実施例4)
実施例3とは異なる方法で芯材を作製した。
実施例3とは異なる方法で芯材を作製した。
図4は、本発明の実施例4における真空断熱材の断面図である。図4に示すように実施例4の真空断熱材17は、芯材18を外被材19で覆い外被材19の内部を減圧密封した真空断熱材17であって、芯材18が少なくともシリカ粉体20と無機繊維21と無機粉体22とを有する成形体であり、芯材18の厚み方向において、表面層の無機繊維21の含有率が、内部層よりも大きいものである。
ここで、芯材18は、シリカ粉体20として乾式シリカと、無機繊維21としてガラス繊維と、無機粉体22として珪藻土から構成される成形体であり、その混合比率は70wt%:30wt%:30wt%である。
芯材18は、まず、成形型に、70wt%中の1/3に相当する乾式シリカと30wt%中の2/5に相当するガラス繊維と30wt%中の1/3に相当する珪藻土からなる混合粉体を充填し、その上から1/3に相当する乾式シリカ粉体と1/5に相当するガラス繊維と1/3に相当する珪藻土からなる混合粉体を充填し、さらにその上から1/3に相当する乾式シリカ粉体と2/5に相当するガラス繊維と1/3に相当する珪藻土からなる混合粉体を充填し、次に、これをプレスして得る。
芯材18表面からの粉落ちが抑制され、初期断熱性能は0.0050W/mKと無機粉体22を混合したことによって実施例2よりも向上した。本実施例では無機粉体22として珪藻土を使用したが、珪藻土に限らずシリカ以外の無機粉体22を使用することによって、同様に断熱性能が改善するため、無機粉体22の使用がより望ましい。
以上、実施の形態1および実施例1、2より、粉の飛散を抑制しながらも断熱性能を確保するためには、シリカ粉体と無機繊維の組み合わせが適していることがわかった。また、シリカ粉体の中では乾式シリカが、無機繊維の中ではガラス繊維が、より望ましいことがわかった。
また、実施の形態2および実施例3、4より、より一層断熱性能を向上するためにはシリカ以外の無機粉体の混合がより望ましいことがわかった。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における断熱箱体の一例である冷蔵庫の断面図である。
図5は、本発明の実施の形態3における断熱箱体の一例である冷蔵庫の断面図である。
図5において、冷蔵庫23は、内箱24と外箱25とで構成される箱体内部に実施の形態1の真空断熱材1を配置し、真空断熱材1以外の空間部を硬質ウレタンフォーム26で発泡充填している。また、機械室27と庫内28との間にも真空断熱材1を配設している。
このように構成された冷蔵庫23の消費電力量を測定したところ、真空断熱材1を装着しない冷蔵庫よりも15%低下しており、優れた断熱効果を確認した。
本発明の真空断熱材1は経時断熱性能に優れるために、10年後を想定した加速試験を行ったところ、初期の消費電力量から2〜3%しか変化しなかった。
なお、本実施の形態では実施の形態1の真空断熱材1を使用したが、実施例1から3の真空断熱材を使用しても同様の効果が得られる。
本発明にかかる真空断熱材は、芯材が内圧依存性に優れた粉体系であるため、長期に渡って断熱性能を維持できる。このため、非常に長い間断熱性能が要求される建築材料としての使用が可能である。また、冷蔵庫のような保冷機器や、電気湯沸かし器、炊飯器、保温調理器、給湯器などの保温機器に使用すれば長期に渡って優れた省エネ効果を示す。
また、芯材が成形体であることから、薄肉化した場合にも厚みムラが小さくなるために、省スペースで高い断熱性能が要求されるようなノート型コンピューター、コピー機、プリンター、プロジェクターなどの事務機器への適用も可能である。
また、コンテナボックスやクーラーボックスなどの保冷が必要な用途や、防寒具や寝具などへの適用も可能である。
また、本発明における芯材は、ラミネートフィルムからなる外被材を有する真空断熱材への適用に限られたものではない。例えば、少なくともガスバリア性材料からなる外箱と内箱とからなり、前記外箱と前記内箱の間の空間に芯材を設け、前記空間を減圧することで真空断熱構造を有する真空断熱箱体への適用も可能である。
1 真空断熱材
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 無機繊維
6 真空断熱材
7 芯材
8 外被材
9 シリカ粉体
10 無機繊維
11 真空断熱材
12 芯材
13 外被材
14 シリカ粉体
15 無機繊維
16 無機粉体
17 真空断熱材
18 芯材
19 外被材
20 シリカ粉体
21 無機繊維
22 無機粉体
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 無機繊維
6 真空断熱材
7 芯材
8 外被材
9 シリカ粉体
10 無機繊維
11 真空断熱材
12 芯材
13 外被材
14 シリカ粉体
15 無機繊維
16 無機粉体
17 真空断熱材
18 芯材
19 外被材
20 シリカ粉体
21 無機繊維
22 無機粉体
Claims (6)
- 芯材を外被材で覆い前記外被材の内部を減圧密封した真空断熱材であって、前記芯材が少なくともシリカ粉体と無機繊維とを有する成形体であり、前記芯材の厚み方向において、表面層の繊維の含有率が、内部層よりも大きいことを特徴とする真空断熱材。
- 前記芯材の表面層が、前記無機繊維のみからなることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記内部層の繊維の含有率が、60wt%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の真空断熱材。
- 前記芯材が、シリカ以外の無機粉体を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
- 前記無機繊維が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材。
- 前記シリカ粉体が、乾式シリカであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の真空断熱材。
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-
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- 2007-03-05 JP JP2007053816A patent/JP2008215492A/ja active Pending
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