JP2006193688A - 水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
【選択図】なし
Description
そのため、インキ中の水の配合量を高めたり、界面活性剤を増量するなどの手段で、紙へのインキ浸透性を促進させるなどの対策が試みられている。
また、インキ中の水分量を高めると、キャップオフでしばらく放置すると、水分蒸発により、インキ中の溶解物や混合物が濃縮、析出、乾燥固化して目詰まり、インキの粘度上昇を引き起こし、再筆記に支障が生じるなどの課題がある。
(1) 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
(2) 水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率〔(A)/(B)〕が重量比で0.04〜0.7である上記(1)1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(3) 温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が900mPa・sec以下である上記(1)又は(2)記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
(5) 温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるインキ追従体と、請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物とを搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
(6) 温度25℃、角周波数0.1〜630rad/secの全周波数領域におけるtanδの値が0.1〜4.5であるインキ追従体を用いる上記(5)記載の水性ボールペン。
(7) インキ追従体のJIS K2220−5.7−1993に準拠した離油度試験60℃、24hの値が0.2〜5%である上記(5)又は(6)記載の水性ボールペン。
また、「インキ構成物」とは、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類以外の水性ボールペン用インキ組成物の各構成成分を合わせたものを意味し、例えば、着色剤、水、上記多価アルコール及びグリコールエーテル類以外の溶剤、界面活性剤、任意成分などからなる総成分をインキ構成物と称するものであり、「比重1.00以上のインキ構成物」とは、インキ構成物のうち、比重1.00以上となるものをいう。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すつと共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とするものである。
用いることができる水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコールとしては、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、へキシレングリコール、オクチレングリコールなどが挙げられ、また、グリコールエーテル類としては、例えば、メチルグリコール、イソプロピルグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、アリルグリコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレングリコールアセテート、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、ジエチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコールなどが挙げられる。
なお、水に可溶化する炭素数4未満で、かつ比重が1.00未満(25℃)のもの、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノールなど、または、炭素数4以上の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類であっても、比重が1.00以上(25℃)のもの、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどは、本発明の対象外となり、本発明の効果を発揮せしめることができないものである。
この含有量が0.5重量%未満であると、浸透促進効果が発揮されにくくなり、描線乾燥性が不充分となり、一方、45重量%を越えると、線割れ、ボテが発生しやすくなり、好ましくない。
比重1.00以上のインキ構成物としては、比重1.00以上となる溶剤、着色剤、界面活性剤などを挙げることができる。
比重1.00以上となる溶剤としては、例えば、水以外に、グリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどの複素環化合物などの少なくとも1種が挙げられる。
なお、本発明では、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ組成物全量中に50重量%未満であると、紙面へのインキの浸透性が不十分となり、本発明の効果を発揮しないものとなる。また、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ組成物全量中に50重量%となるものであれば、インキ組成物中に、比重1.00未満となる着色剤、アルコール系溶剤等が一部として含有していてもよいものである。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドブルー90等の酸性染料や、ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットBB等の直接染料、ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料を挙げることができる。
この水の含有量は、インキ組成物全量に対して30〜80重量%とすることが好ましい。この含有量が30重量%未満であると、インキの吐出性が劣る場合があり、筆記流量の低下を招くことがあり、一方、80重量%を超えると、耐乾燥性の対加や筆記感の低下、インキの経時安定性の低下を招くことがあり、好ましくない。
粘度調整剤としては、例えば、アクリル系合成樹脂、天然ガム、セルロース類、多糖類などの少なくとも1種を使用でき、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸のアルカリ塩やアクリル酸またはメタクリル酸含有共重合体のアルカリ塩、スチレンとマレイン酸の共重合体のアルカリ塩、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体のアルカリ塩、変性ポリビニルアルコールを含有するビニルアルコール、メチルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体、酸化ポリアルキレンの誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、アラビアゴム、セラックのアルカリ塩、酸化ポリエチレン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グァーガム、カラヤガムなどが挙げられる。
顔料の分散剤として、例えば、スチレンマレイン酸のアンモニウム塩、スチレンアクリル酸のアンモニウム塩などの水溶性高分子などを使用できる。
更に、防錆剤として、例えば、ベンゾトリアゾール、サポニン類等、pH調整剤として、例えば、水酸化カリウム、りん酸カリウム等、防腐剤として、例えば、ナトリウムオマジン、1,2−ベンゾイソチアゾリン等をそれぞれ使用することができる。
このインキ粘度が900mPa・secを超えるものであると、紙面に転写された際に、インキの浸透速度が低下してしまうため、描線の乾燥性が不十分となることがある。
本発明では、水性ボールペン用インキ組成物を搭載するので、インキ追従体が搭載された各種ボールペン構成を採用することが特に好ましい構成となるものである。
インキ追従体を用いる場合には、本発明の特有の作用効果を発揮する上記水性ボールペン用インキ組成物を用いるので、当該インキの機能を損なわず、かつ、該インキと相溶しないインキ追従体を用いることが望ましいものとなる。
好ましく用いることができる本発明に用いるインキ追従体としては、温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるものが望ましく、更に好ましくは、温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が30000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が6000mPa・sec以上となるものが望ましい。
この剪断速度1sec−1の粘度値が20000mPa・sec未満のもの、または、剪断速度100sec−1の粘度値が5000mPa・sec未満のものであると、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有した本発明のインキ組成物を使用した際に、経時的にインキ追従体が、インキ側に移行しやすくなるため、機能が低下してしまうことがある。この現象は、低剪断域(1sec−1)、高剪断域(100sec−1)の粘度値を上記一定レベル以上に保つことで回避することができる。
ここでtanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率を示す値であり、この値が大きいこと(tanδ>1)は流動性が高いこと(あるいは粘性体)であり、小さいこと(tanδ<1)は、固体状(あるいは弾性体)に近いことである。このtanδの値が0.1未満であると、インキ追従体の弾性がかなり強くなるため、インキ収容管(リフィール)への充填が困難となり、実用性がなくなり、一方、tanδの値が4.5を超えると、流動性が高まり過ぎるため、インキ収容管中でインキ追従体がインキ側に移行しやすくなるため、好ましくない。
60℃、24hの離油度を0.5〜5%とすることにより、インキ消費に伴なうインキ追従体の追従応答性が高く、流量が多い太字使用にも好適に適用でき、クリアドレイン性も高くなるなどの特性を発揮することができる。
この離油度が0.5%未満であると、インキ収容管−インキ追従体間の摩擦抵抗がさほど低下しないため、ペン体での充分な追従性能が発揮されず、一方、5.0%を超えると、インキ収容管中でインキ追従体が分離してインキと相溶しやすく、また、ペン体の耐落下衝撃性などに不具合を生じることがある。
好ましいインキ追従体に用いる基油の性質としては、水に不溶もしくは難溶であることが当然要求される。基油となるべき溶剤としては、例えば、ポリブデン(分子量約600以上)、鉱油、シリコーンオイル等が挙げられる。好ましいポリブテンの市販品としては、例えば、ニッサンポリブテン200N、ポリブテン30N(日本油脂株式会社製;商品名)、ポリブテンHV−15(日本石油化学株式会社製;商品名)、35R(出光興産株式会社製;商品名)などが挙げられ、好ましい鉱油の市販品としては、例えば、ダイアナプロセスオイルMC−32S,MC−W90(出光興産株式会社製;商品名)などが挙げられる。
また、好ましいシリコーンオイルの市販品としては、例えば、TFS451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF458シリーズ(いずれも東芝シリコ−ン株式会社製;商品名)などが挙げられる。
その他必要に応じて、例えば、インキ追従体の追従性向上剤(界面活性剤など)、酸化防止剤等を配合することができる。
また、製造されたインキ追従体を、更にロールミル、ニーダーなどの分散機で再混練したり、加熱したりすることで、上記諸特性(特に各剪断域の粘度値)に調整することも可能である。
特に、上記諸特性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)となるインキ追従体を更に搭載したボールペンでは、本発明のインキの機能を損なわず、経時的にインキ追従体が、インキ側に移行することもなく、かつ、インキ消費に伴なうインキ追従体の追従応答性が高く、流量が多い太字使用にも好適に適用でき、クリアドレイン性も高くなるなどの特性を更に発揮することができるボールペンを得ることができるものとなる。
下記配合組成(実施例及び比較例)のインキ1〜14を下記方法により調製した(全量100重量%)。なお、インキ粘度は、E型回転粘度計(VISCOMETER MODEL RE100、東機産業社製)により測定した。
<インキ1、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率(重量比:A/B、以下、単に、「A/B」という)は、0.21であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.6) 3.0
1,5−ペンタンジオール(比重:0.99) 15.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
架橋型アクリル酸重合体 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 72.1
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.21であった。
カーボンブラック(比重:1.8) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.6) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 15.0
グリセリン(比重:1.27) 10.0
カリ石鹸 0.5
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.3
イオン交換水(比重:1.0) 62.4
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が600mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.13であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 5.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 5.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 72.1
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が250mPa・secの赤色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.30であった。
酸化チタン(比重:4.2) 5.0
ナフトールレッド(比重:1.4) 3.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 20.0
カリ石鹸 0.5
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.2
イオン交換水(比重:1.0) 67.5
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.06であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 5.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
架橋型アクリル酸重合体 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 77.1
インキ5において架橋型アクリル酸重合体0.4重量%を除き、イオン交換水0.4重量%を配合して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が5mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.06であった。
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が850mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.53であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 15.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 15.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.5
イオン交換水(比重:1.0) 52.0
インキ2において、へキシレングリコールを13重量%減じて2重量%とし、減じた13重量%をイオン交換水(合計75.4重量%)で調整して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.02であった。
実施例1のインキ1において、1,5−ペンタンジオール15重量%を除き、エチレングリコール(比重1.12)を15重量%を配合して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
インキ2において、へキシレングリコール15重量%を除き、グリセリン(比重1.26)を15重量%を配合(合計25重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が250mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
インキ1において、イオン交換水残部(72.1)から35重量%除いた分を、1,5−ペンタンジオールを更に35重量%配合(合計50重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が650mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=1.35であった。
インキ7において、イオン交換水残部(72.1)から0.3重量%除いた分を、架橋アクリル酸重合体を更に0.3重量配合(合計0.7重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が1000mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
インキ5において、ジメチルジグリコール5.0重量%除いた分を、メチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノメチルエーテル、比重1.05)を5.0重量%配合して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
インキ2において、へキシレングリコールを14.6重量%減じて0.4重量%とし、減じた14.6重量%をイオン交換水(合計77.0重量%)で調整して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.005であった。
下記表1に示す各配合組成、各物性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)となるインキ追従体A〜Eを調製した。なお、表1中の追従体の配合量は重量%である。
各物性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)は、下記測定方法により得た。
(各剪断域の粘度値の測定方法)
測定装置 :E型回転粘度計
DIGITAL VISCOMETER DUV−E
(東京計器株式会社製)
測定条件(周波数依存性):
コーン :3°*R14
剪断時間 :1sec−1、100sec−1
測定時間 :100sec
測定温度 :25℃
測定装置 :ダイナミックスペクトロメーター RDS−II
(レオメトリック・サイエンティフィック製)
測定条件(周波数依存性)
ジオメトリー :パラレルプレート50mmφ 動的測定
SWEEP TYPE :FREQUENCY SWEEP
周波数範囲 :0.06〜650rad/sec
測定間隔 :5points/decade
ひずみ :100%
測定温度 :25℃
雰囲気 :窒素気流中
測定装置は、下記構成のものを用いた。
金網円錐濾過器:円錐部は、JIS Z 8801−1993に規定する呼び寸法250μmのニッケル金網、上部の外周に直径約0.8mmのニッケル線をろう付けし、同径のニッケル線吊り手をつけたもの。
ビーカー:JIS K 2039−1993に規定するもの。
ふた:厚さ約1mmの黄銅製で、そのほぼ中央の内面に、直径約1.5mmの黄銅製のかぎをロウ付けしたもの。
ガスケット:直径がふたの内径と同寸法、厚さ約1.5mmの合成ゴム製で、中央部に約20mmの孔をあけたもの。
測定環境:測定温度:60±0.5℃
放置時間:24h
測定方法:金網円錐ろ過器に試料約10gを満たし、蓋のかぎにつるした。これをビーカー中に納め、恒温槽中に規定時間入れた。ビーカーを恒温槽から取り出し、室温まで放冷後、円錐に付着している油をビーカーに移し、ビーカー中の分離油の質量を下記算出式により求めた。
離油度算出式:A=〔C/B〕×100
〔式中A:離油度(%)、B:試料の質量(g)、C:分離油の質量(g)〕
これらの評価結果を下記表2及び3に示す。
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、一定時間経過後に描線上を親指で擦過させ、指にインキの転写痕があるかどうかを確認し、下記の基準で評価した。
◎:筆記1秒後に擦過させても転写痕が残らない。
○:筆記2〜3秒後に擦過させても転写痕が残らなくなる。
△:筆記4〜5秒後の間で転写痕が残らなくなる。
×:筆記5秒を超えないと転写痕が残らなくならない。
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、描線の目視によりボテ性を下記の基準で評価した。
◎:描線上に全くボテが残っていない。
○:描線上に極僅かなのボテが残る。
△:描線上に細かいボテが多く残っている。
×:描線上に明らかなボテが多く残っている。
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記(標準速度、2倍速度)し、描線の目視により線割れを下記の基準で評価した。
◎:全く線割れが発生していない。
○:2倍速度の筆記時に若干の線割れが発生するが、標準速度筆記では、線割れしない。
△:標準速度の筆記においても、僅かに線割れが発生している。
×:明らかな線割れが発生している。
各ペン体を60℃、湿度30%の条件でペン先(キャップ側)を上向きにして一ヶ月間放置し、取り出した後、リフィールを目視で観察し、インキ追従体がペン先側へ移動したかどうか(インキ追従体の移行があるかどうか)を下記の基準で評価した。
◎:インキ追従体の移行が認められない。
○:インキ追従体の移行はほとんど認められないが、インキとインキ追従体の界面が僅かに不鮮明である。
△:インキ追従体の一部がインキ側に移行している。
×:インキ追従体の全部がインキ側に移行しており、インキが収容管外へ逆流している。
実施例を個別的に見ると、実施例1及び2は、共にインキ追従体を用いないものであり、実施例1は低粘度インキを搭載した中綿式の水性ボールペン、実施例2は、ゲルインキを搭載した水性ボールペンであり、これらの場合、描線乾燥性に優れ、ボテ、線割れのない優れた性能を発揮できることが判った。また、実施例2〜15は、共にインキ追従体を用たものであり、描線乾燥性に優れ、ボテ、線割れ及び経時的なインキ追従体の移行もなく、全ての面で優れたものであることが判った。
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例1、2及び4、5は、本発明の特定物性の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有しないインキを用いた場合であり、また、比較例3及び6は、本発明の特定物性の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有してもその含有量が本発明の範囲外となる場合は、本発明の効果(描線乾燥性の向上、ボテ、線割れ及び経時的なインキ追従体の移行防止)を達成できないことが判った。
Claims (7)
- 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
- 水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率〔(A)/(B)〕が重量比で0.04〜0.7である請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が900mPa・sec以下である請求項1又は2記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
- 温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるインキ追従体と、請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物とを搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
- 温度25℃、角周波数0.1〜630rad/secの全周波数領域におけるtanδの値が0.1〜4.5であるインキ追従体を用いる請求項5記載の水性ボールペン。
- インキ追従体のJIS K2220−5.7−1993に準拠した離油度試験60℃、24hの値が0.2〜5%である請求項5又は6記載の水性ボールペン。
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