JP2006193688A - 水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】 経時安定性と描線乾燥性に優れると共に、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じない水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペンを提供する。
【解決手段】 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、経時安定性と描線乾燥性に優れると共に、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じない水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペンに関する。
一般的に、水性ボールペンは、油性ボールペンよりも描線の乾燥性が悪いことが知られている。その理由としては、水性ボールペンのインキの流出量が多いこと、また、擬遡性水性インキの場合は、ボテ部のインキが乾きにくいことなどが挙げられる。
そのため、インキ中の水の配合量を高めたり、界面活性剤を増量するなどの手段で、紙へのインキ浸透性を促進させるなどの対策が試みられている。
しかしながら、インキ中の水分量を高めたり、界面活性剤を増量すると、筆記流量が高くなり、逆に描線乾燥性が悪くなってしまったり、描線の滲みが濃くなってしまうなどの課題がある。
また、インキ中の水分量を高めると、キャップオフでしばらく放置すると、水分蒸発により、インキ中の溶解物や混合物が濃縮、析出、乾燥固化して目詰まり、インキの粘度上昇を引き起こし、再筆記に支障が生じるなどの課題がある。
一方、描線乾燥性を高めるために、ヘキシレングリコールなどの疎水性に近い性質をもつ多価アルコール及び/又はグリコールエーテルなどを配合した二重発色インキ組成物((例えば、特許文献1参照)や、着色剤、せん断減粘性ポリマー物質、極性溶剤、アルキレングリコールエーテルやフッ素化ポリシラン界面活性剤等の浸透乾燥剤・インキの平坦化剤0.01〜2.0重量%、及び水を含有し、0.01〜0.6のせん断減粘指数を有し、0℃〜60℃の温度範囲内で、10℃の連続する温度範囲の少なくとも1区分間で50%以上の温度依存性の粘度変化を受けず、且つ筆記のせん断速度で100mPa・s以下の粘度を有するインキ組成物を含む液体インキ溜め、及び液体インキ溜め中に使用された粘弾性フォロアーを有し、この粘弾性インキフォロアーは低い周波数またはせん断速度で主に弾性応答を示す組成物を有することを特徴とする液体インキ溜めを用いたボールペン(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、インキ追従体を必要とする擬塑性水性ボールペンに、上記特許文献1のインキを搭載すると、また、特許文献2のボールペンでは、油溶性としての性質が強いインキ追従体とインキが相溶してしまうものとなる。これは、水性ボールペン用インキ追従体は、その大部分が非水溶性有機溶剤(基油)に粘弾性付与剤を配合し、増粘させた所謂グリース状を呈するものであり、その油溶性としての性質が強いインキ追従体とインキが相溶してしまい、例えば、キャップを上向きにペン体を放置すると、インキ追従体がペン先側へ移行し、追従体としての機能を果たさなくなり、インキが逆流するなどの弊害が生じるなどの課題がある。
また、構成するインキ材料との組み合わせによっては、描線乾燥性向上機能が発揮されないなどの不具合も生じてしまうため、疎水性に近い性質をもつ多価アルコール及び/又はグリコールエーテルなどを配合したインキを実質利用することは、極めて困難であるのが現状である。
特開2002−60666号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平7−173426号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、描線乾燥性に優れ、かつ、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じず、経時安定性に優れた水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペンを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物に、更に特定の比重を持つ溶剤と、比重1.00以上のインキ構成物の総量を特定量以上含有することにより、浸透作用が大きくなり、描線乾燥性を向上させる効果を有する上記目的の水性ボールペン用インキ組成物が得られることを見い出し、本発明の水性ボールペン用インキ組成物を完成するに至ったのである。また、このインキとインキ追従体、好ましくは、このインキと特定物性のインキ追従体を用いることで、経時安定性と描線乾燥性が両立する水性ボールペンが得られることを見い出し、本発明の水性ボールペンを完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
(2) 水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率〔(A)/(B)〕が重量比で0.04〜0.7である上記(1)1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(3) 温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が900mPa・sec以下である上記(1)又は(2)記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
(5) 温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるインキ追従体と、請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物とを搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
(6) 温度25℃、角周波数0.1〜630rad/secの全周波数領域におけるtanδの値が0.1〜4.5であるインキ追従体を用いる上記(5)記載の水性ボールペン。
(7) インキ追従体のJIS K2220−5.7−1993に準拠した離油度試験60℃、24hの値が0.2〜5%である上記(5)又は(6)記載の水性ボールペン。
なお、本発明(実施例等含む)で規定する「比重」は、25℃の水を標準物質とした場合の、対象となる物質の25℃における比重をいい、標準比重計で測定した値をいう。
また、「インキ構成物」とは、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類以外の水性ボールペン用インキ組成物の各構成成分を合わせたものを意味し、例えば、着色剤、水、上記多価アルコール及びグリコールエーテル類以外の溶剤、界面活性剤、任意成分などからなる総成分をインキ構成物と称するものであり、「比重1.00以上のインキ構成物」とは、インキ構成物のうち、比重1.00以上となるものをいう。
本発明によれば、経時安定性と描線乾燥性に優れると共に、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じない水性ボールペン用インキ組成物及び水性ボールペンが提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すつと共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とするものである。
本発明に用いる「水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類」は、目的の描線乾燥性を高め本発明の効果を発揮せしめるための基本材料として含有するものである。
用いることができる水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコールとしては、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、へキシレングリコール、オクチレングリコールなどが挙げられ、また、グリコールエーテル類としては、例えば、メチルグリコール、イソプロピルグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、アリルグリコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレングリコールアセテート、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、ジエチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコールなどが挙げられる。
これらの特性を有する多価アルコール、グリコールエーテル類は、各単独で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という)用いることができる。
なお、水に可溶化する炭素数4未満で、かつ比重が1.00未満(25℃)のもの、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノールなど、または、炭素数4以上の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類であっても、比重が1.00以上(25℃)のもの、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどは、本発明の対象外となり、本発明の効果を発揮せしめることができないものである。
これらの水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜45重量%、好ましくは、2〜30重量%とすることが望ましい。
この含有量が0.5重量%未満であると、浸透促進効果が発揮されにくくなり、描線乾燥性が不充分となり、一方、45重量%を越えると、線割れ、ボテが発生しやすくなり、好ましくない。
本発明では、上述の如く、水に可溶化する炭素数4以上の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類の比重は、1.00未満(25℃)〔以下、単に「低比重溶剤」という〕のものを選定する必要があり、かつ、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することが必要である。
比重1.00以上のインキ構成物としては、比重1.00以上となる溶剤、着色剤、界面活性剤などを挙げることができる。
比重1.00以上となる溶剤としては、例えば、水以外に、グリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどの複素環化合物などの少なくとも1種が挙げられる。
なお、本発明では、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ組成物全量中に50重量%未満であると、紙面へのインキの浸透性が不十分となり、本発明の効果を発揮しないものとなる。また、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ組成物全量中に50重量%となるものであれば、インキ組成物中に、比重1.00未満となる着色剤、アルコール系溶剤等が一部として含有していてもよいものである。
本発明において、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率〔(A)/(B)〕は、重量比で0.04〜0.7に調整することが好ましく、更に好ましくは、0.04〜0.5とすることが望ましい。この含有比率(0.04〜0.7)に設定することにより、比重差による描線乾燥性の効果を更に高め本発明の効果を更に発揮せしめることができる。
本発明に用いる着色剤としては、水に溶解もしくは分散する全ての染料、酸化チタン等の従来公知の無機系および有機系顔料、顔料を含有した樹脂粒子顔料、樹脂エマルションを染料で着色した擬似顔料、白色系プラスチック顔料、シリカや雲母を基材とし表層に酸化鉄や酸化チタンなどを多層コーティングした顔料等の全てが使用可能である。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドブルー90等の酸性染料や、ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットBB等の直接染料、ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料を挙げることができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属粉などが挙げられ、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、真鍮粉等の無機顔料、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントバイオレツト1、C.I.ピグメントバイオレツト3、C.I.ピグメントバイオレツト19、C.I.ピグメントバイオレツト23、C.I.ピグメントバイオレツト50、C.I.ピグメントグリーン7等の少なくとも1種が挙げられる。
これらの着色剤の含有量は、インキの描線濃度により適宜増減することができるが、インキ組成物全量に対して0.1〜40重量%が好ましい。
本発明における水は、インキの主溶剤として含有するものであり、例えば、イオン交換水、蒸留水などが好ましく用いられる。
この水の含有量は、インキ組成物全量に対して30〜80重量%とすることが好ましい。この含有量が30重量%未満であると、インキの吐出性が劣る場合があり、筆記流量の低下を招くことがあり、一方、80重量%を超えると、耐乾燥性の対加や筆記感の低下、インキの経時安定性の低下を招くことがあり、好ましくない。
本発明では、上記各成分以外に、粘度調整剤、インキに潤滑性および湿潤性を付与するための界面活性剤、顔料の分散剤の他、更に、防錆剤、pH調整剤、防腐剤などの任意成分を適宜量含有することができる。
粘度調整剤としては、例えば、アクリル系合成樹脂、天然ガム、セルロース類、多糖類などの少なくとも1種を使用でき、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸のアルカリ塩やアクリル酸またはメタクリル酸含有共重合体のアルカリ塩、スチレンとマレイン酸の共重合体のアルカリ塩、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体のアルカリ塩、変性ポリビニルアルコールを含有するビニルアルコール、メチルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体、酸化ポリアルキレンの誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、アラビアゴム、セラックのアルカリ塩、酸化ポリエチレン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グァーガム、カラヤガムなどが挙げられる。
また、インキに潤滑性および湿潤性を付与するための界面活性剤として、例えば、テトラグリセリルジステアレートなどグリセリン、ジグリセリンもしくはポリグリセリンの誘導体、ソルビタンモノオレートなど糖類の誘導体、パーフルオロアルキル燐酸エステルなどフッ素化アルキル基を有する界面活性剤、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変性シリコーン、硬化ヒマシ油、燐酸エステル型界面活性剤、フッ素系界面活性剤、カリセッケンなどが挙げられる。
顔料の分散剤として、例えば、スチレンマレイン酸のアンモニウム塩、スチレンアクリル酸のアンモニウム塩などの水溶性高分子などを使用できる。
更に、防錆剤として、例えば、ベンゾトリアゾール、サポニン類等、pH調整剤として、例えば、水酸化カリウム、りん酸カリウム等、防腐剤として、例えば、ナトリウムオマジン、1,2−ベンゾイソチアゾリン等をそれぞれ使用することができる。
本発明に用いる水性ボールペン用インキ組成物は、他の水性インキ組成物の製造方法と較べて特に変わるところはなく、例えば、上記各成分を混合撹拌することによって、容易に製造することができる。
本発明の水性ボールペンに使用するインキ組成物は、その粘度が、温度25℃において、38.3sec−1の剪断速度下で900mPa・sec以下になるように調整されたものであることが好ましく、更に好ましくは、600mPa・sec以下、特に好ましくは、50〜500mPa・secとするこが望ましい。
このインキ粘度が900mPa・secを超えるものであると、紙面に転写された際に、インキの浸透速度が低下してしまうため、描線の乾燥性が不十分となることがある。
このように構成される本発明の水性ボールペン用インキ組成物では、少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物に、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有するインキを処方し、このインキを搭載したボールペン体にて紙面に筆記すると、インキ成分の比重差により紙の中に浸透し易くなる。また、相対的に紙の中に浸透しにくい低比重溶剤であっても、炭素数4以上の疎水性に近い構造を持つ上記物性の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を選定することで、紙との親和性が低くなるため、紙の膨潤が発生しにくく、描線を指などで擦過しても汚れが生じにくく、全体的な描線乾燥性が格段に向上し、かつ、経時安定性にも優れ、しかも、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じないものとなる。
次に、本発明の水性ボールペンは、水性ボールペンとして一般的な構成、例えば、金属製チップを備えた樹脂製のインキ収容管と、これに内蔵された上記本発明の水性ボールペン用インキ組成物及び筆記具本体(軸体)を含むノック式、非ノック式(キャップ式)の各種ボールペン構成を採用することができ、その製造は常法に従い行なうことが可能である。
本発明では、水性ボールペン用インキ組成物を搭載するので、インキ追従体が搭載された各種ボールペン構成を採用することが特に好ましい構成となるものである。
インキ追従体を用いる場合には、本発明の特有の作用効果を発揮する上記水性ボールペン用インキ組成物を用いるので、当該インキの機能を損なわず、かつ、該インキと相溶しないインキ追従体を用いることが望ましいものとなる。
好ましく用いることができる本発明に用いるインキ追従体としては、温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるものが望ましく、更に好ましくは、温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が30000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が6000mPa・sec以上となるものが望ましい。
この剪断速度1sec−1の粘度値が20000mPa・sec未満のもの、または、剪断速度100sec−1の粘度値が5000mPa・sec未満のものであると、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有した本発明のインキ組成物を使用した際に、経時的にインキ追従体が、インキ側に移行しやすくなるため、機能が低下してしまうことがある。この現象は、低剪断域(1sec−1)、高剪断域(100sec−1)の粘度値を上記一定レベル以上に保つことで回避することができる。
本発明に用いるインキ追従体は、本発明の効果を発揮させる点から、上記各剪断域の粘度値に設定されると共に、温度25℃、角周波数0.1〜630rad/secの全周波数領域におけるtanδの値を0.1〜4.5とすることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜2.5とすることが望ましい。
ここでtanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率を示す値であり、この値が大きいこと(tanδ>1)は流動性が高いこと(あるいは粘性体)であり、小さいこと(tanδ<1)は、固体状(あるいは弾性体)に近いことである。このtanδの値が0.1未満であると、インキ追従体の弾性がかなり強くなるため、インキ収容管(リフィール)への充填が困難となり、実用性がなくなり、一方、tanδの値が4.5を超えると、流動性が高まり過ぎるため、インキ収容管中でインキ追従体がインキ側に移行しやすくなるため、好ましくない。
更に好ましくは、本発明に用いるインキ追従体は、上記各剪断域の粘度値、上記tanδの範囲(0.1〜4.5)を充足すると共に、インキ追従体のJIS K2220−5.7−1993に準拠した離油度試験60℃、24hの値が0.5〜5%とすることが好ましい。
60℃、24hの離油度を0.5〜5%とすることにより、インキ消費に伴なうインキ追従体の追従応答性が高く、流量が多い太字使用にも好適に適用でき、クリアドレイン性も高くなるなどの特性を発揮することができる。
この離油度が0.5%未満であると、インキ収容管−インキ追従体間の摩擦抵抗がさほど低下しないため、ペン体での充分な追従性能が発揮されず、一方、5.0%を超えると、インキ収容管中でインキ追従体が分離してインキと相溶しやすく、また、ペン体の耐落下衝撃性などに不具合を生じることがある。
本発明に用いるインキ追従体は、基油(非水溶性有機溶剤)に粘弾性付与剤などを配合することにより調製することができ、インキ追従体の上記諸特性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)は、追従体に使用する基油(非水溶性有機溶剤)および粘弾性付与剤の種類や配合量を適切に選択することにより、また場合により、適切な製造条件を選択することにより、得られるものである。
好ましいインキ追従体に用いる基油の性質としては、水に不溶もしくは難溶であることが当然要求される。基油となるべき溶剤としては、例えば、ポリブデン(分子量約600以上)、鉱油、シリコーンオイル等が挙げられる。好ましいポリブテンの市販品としては、例えば、ニッサンポリブテン200N、ポリブテン30N(日本油脂株式会社製;商品名)、ポリブテンHV−15(日本石油化学株式会社製;商品名)、35R(出光興産株式会社製;商品名)などが挙げられ、好ましい鉱油の市販品としては、例えば、ダイアナプロセスオイルMC−32S,MC−W90(出光興産株式会社製;商品名)などが挙げられる。
また、好ましいシリコーンオイルの市販品としては、例えば、TFS451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF458シリーズ(いずれも東芝シリコ−ン株式会社製;商品名)などが挙げられる。
用いる粘弾性付与剤としては、基油に適度な粘弾性を付与できる性質を持つものであれば、全ての材料が使用可能である。その具体例としては、燐酸エステルのカルシウム塩、微粒子シリカ、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー及び/又はポリスチレン−ポリエチレン/プロピレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー、水添スチレンブタジエンラバー、スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマー、オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマー、ポリスチレン−ブタジエンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー、ポリスチレン−イソプレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー、アセトアルコキシアルミニウムジアルキレート等の少なくとも1種が挙げられる。
その他必要に応じて、例えば、インキ追従体の追従性向上剤(界面活性剤など)、酸化防止剤等を配合することができる。
本発明の水性ボールペンに用いるインキ追従体の製法は、例えば、疎水性シリカなどの無機増粘剤を用いる場合、基油、界面活性剤などのすべてのインキ追従体成分を室温で予備混練し、ロールミル、ニーダーなどの分散機で混練するというきわめて単純な方法を採用できる。また、室温下で溶解、分散が困難なポリマーなどを添加する際は、必要に応じて、加熱撹拌、加熱混練等することができる。
また、製造されたインキ追従体を、更にロールミル、ニーダーなどの分散機で再混練したり、加熱したりすることで、上記諸特性(特に各剪断域の粘度値)に調整することも可能である。
このように構成される本発明の水性ボールペンでは、本発明のインキを搭載したボールペン体にて紙面に筆記すると、筆記性、ペン先の耐乾燥性にも優れ、ボテ、線割れ、インキのボタ落ちなどの不具合が生じないものとなる。
特に、上記諸特性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)となるインキ追従体を更に搭載したボールペンでは、本発明のインキの機能を損なわず、経時的にインキ追従体が、インキ側に移行することもなく、かつ、インキ消費に伴なうインキ追従体の追従応答性が高く、流量が多い太字使用にも好適に適用でき、クリアドレイン性も高くなるなどの特性を更に発揮することができるボールペンを得ることができるものとなる。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に制約されるものではない。
〔水性ボールペン用インキ組成物の調製〕
下記配合組成(実施例及び比較例)のインキ1〜14を下記方法により調製した(全量100重量%)。なお、インキ粘度は、E型回転粘度計(VISCOMETER MODEL RE100、東機産業社製)により測定した。
<インキ1、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率(重量比:A/B、以下、単に、「A/B」という)は、0.21であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.6) 3.0
1,5−ペンタンジオール(比重:0.99) 15.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
架橋型アクリル酸重合体 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 72.1
<インキ2、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.21であった。
カーボンブラック(比重:1.8) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.6) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 15.0
グリセリン(比重:1.27) 10.0
カリ石鹸 0.5
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.3
イオン交換水(比重:1.0) 62.4
<インキ3、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が600mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.13であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 5.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 5.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 72.1
<インキ4、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が250mPa・secの赤色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.30であった。
酸化チタン(比重:4.2) 5.0
ナフトールレッド(比重:1.4) 3.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 20.0
カリ石鹸 0.5
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.2
イオン交換水(比重:1.0) 67.5
<インキ5、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.06であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 5.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
架橋型アクリル酸重合体 0.4
イオン交換水(比重:1.0) 77.1
<インキ6、実施例>
インキ5において架橋型アクリル酸重合体0.4重量%を除き、イオン交換水0.4重量%を配合して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が5mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.06であった。
<インキ7、実施例>
下記配合組成で温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が850mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.53であった。
フタロシアニンブルー(比重:1.6) 8.0
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(比重:1.1) 3.0
へキシレングリコール(比重:0.92) 15.0
ジメチルジグリコール(比重:0.95) 15.0
エチレングリコール(比重:1.12) 5.0
リン酸エステル 0.7
バイオデン(防腐剤、大和化学工業社製) 0.3
アミノメチルプロパノール 0.3
ベンゾトリアゾール 0.2
キサンタンガム 0.5
イオン交換水(比重:1.0) 52.0
<インキ8、実施例>
インキ2において、へキシレングリコールを13重量%減じて2重量%とし、減じた13重量%をイオン交換水(合計75.4重量%)で調整して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.02であった。
<インキ9、比較例>
実施例1のインキ1において、1,5−ペンタンジオール15重量%を除き、エチレングリコール(比重1.12)を15重量%を配合して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
<インキ10、比較例>
インキ2において、へキシレングリコール15重量%を除き、グリセリン(比重1.26)を15重量%を配合(合計25重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が250mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
<インキ11、比較例>
インキ1において、イオン交換水残部(72.1)から35重量%除いた分を、1,5−ペンタンジオールを更に35重量%配合(合計50重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が650mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=1.35であった。
<インキ12、比較例>
インキ7において、イオン交換水残部(72.1)から0.3重量%除いた分を、架橋アクリル酸重合体を更に0.3重量配合(合計0.7重量%)して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が1000mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
<インキ13、比較例>
インキ5において、ジメチルジグリコール5.0重量%除いた分を、メチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノメチルエーテル、比重1.05)を5.0重量%配合して温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が500mPa・secの青色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0であった。
<インキ14、比較例>
インキ2において、へキシレングリコールを14.6重量%減じて0.4重量%とし、減じた14.6重量%をイオン交換水(合計77.0重量%)で調整して、温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が300mPa・secの黒色水性ボールペン用インキ組成物を調製した。また、A/B=0.005であった。
〔インキ追従体の調整〕
下記表1に示す各配合組成、各物性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)となるインキ追従体A〜Eを調製した。なお、表1中の追従体の配合量は重量%である。
各物性(各剪断域の粘度値、tanδ、離油度)は、下記測定方法により得た。
<インキ追従体の物性測定>
(各剪断域の粘度値の測定方法)
測定装置 :E型回転粘度計
DIGITAL VISCOMETER DUV−E
(東京計器株式会社製)
測定条件(周波数依存性):
コーン :3°*R14
剪断時間 :1sec−1、100sec−1
測定時間 :100sec
測定温度 :25℃
〔tanδ値の測定方法〕
測定装置 :ダイナミックスペクトロメーター RDS−II
(レオメトリック・サイエンティフィック製)
測定条件(周波数依存性)
ジオメトリー :パラレルプレート50mmφ 動的測定
SWEEP TYPE :FREQUENCY SWEEP
周波数範囲 :0.06〜650rad/sec
測定間隔 :5points/decade
ひずみ :100%
測定温度 :25℃
雰囲気 :窒素気流中
〔油分離度の測定方法(JIS K 2220−5.7−1993に準拠)〕
測定装置は、下記構成のものを用いた。
金網円錐濾過器:円錐部は、JIS Z 8801−1993に規定する呼び寸法250μmのニッケル金網、上部の外周に直径約0.8mmのニッケル線をろう付けし、同径のニッケル線吊り手をつけたもの。
ビーカー:JIS K 2039−1993に規定するもの。
ふた:厚さ約1mmの黄銅製で、そのほぼ中央の内面に、直径約1.5mmの黄銅製のかぎをロウ付けしたもの。
ガスケット:直径がふたの内径と同寸法、厚さ約1.5mmの合成ゴム製で、中央部に約20mmの孔をあけたもの。
測定環境:測定温度:60±0.5℃
放置時間:24h
測定方法:金網円錐ろ過器に試料約10gを満たし、蓋のかぎにつるした。これをビーカー中に納め、恒温槽中に規定時間入れた。ビーカーを恒温槽から取り出し、室温まで放冷後、円錐に付着している油をビーカーに移し、ビーカー中の分離油の質量を下記算出式により求めた。
離油度算出式:A=〔C/B〕×100
〔式中A:離油度(%)、B:試料の質量(g)、C:分離油の質量(g)〕
上記処方によって得られたインキ1〜14とインキ追従体A〜Eを下記表2及び表3に記載の組み合わせにより調整し、実施例1では、ボール径0.7mmの中綿式水性ボールペン体(チップ構成:ボール;超硬、ホルダー;ステンレス、中綿:ポリエステル、軸:ポリプロピレン製)に充填し、実施例2〜15及び比較例1〜6では、それぞれ、ボール径0.7mmの水性ボールペン体(チップ構成:ボール;超硬、ホルダー;ステンレス、インキ収容管:ポリプロピレン製チューブ内径4.0mm)に充填し、それぞれのペン体の性能(描線乾燥性、ボテ、線割れ、経時的なインキ追従体の移行)を下記評価方法により評価した。
これらの評価結果を下記表2及び3に示す。
(描線乾燥性の評価方法)
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、一定時間経過後に描線上を親指で擦過させ、指にインキの転写痕があるかどうかを確認し、下記の基準で評価した。
◎:筆記1秒後に擦過させても転写痕が残らない。
○:筆記2〜3秒後に擦過させても転写痕が残らなくなる。
△:筆記4〜5秒後の間で転写痕が残らなくなる。
×:筆記5秒を超えないと転写痕が残らなくならない。
(ボテの評価方法)
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、描線の目視によりボテ性を下記の基準で評価した。
◎:描線上に全くボテが残っていない。
○:描線上に極僅かなのボテが残る。
△:描線上に細かいボテが多く残っている。
×:描線上に明らかなボテが多く残っている。
(線割れの評価方法)
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記(標準速度、2倍速度)し、描線の目視により線割れを下記の基準で評価した。
◎:全く線割れが発生していない。
○:2倍速度の筆記時に若干の線割れが発生するが、標準速度筆記では、線割れしない。
△:標準速度の筆記においても、僅かに線割れが発生している。
×:明らかな線割れが発生している。
(経時的なインキ追従体の移行の評価方法)
各ペン体を60℃、湿度30%の条件でペン先(キャップ側)を上向きにして一ヶ月間放置し、取り出した後、リフィールを目視で観察し、インキ追従体がペン先側へ移動したかどうか(インキ追従体の移行があるかどうか)を下記の基準で評価した。
◎:インキ追従体の移行が認められない。
○:インキ追従体の移行はほとんど認められないが、インキとインキ追従体の界面が僅かに不鮮明である。
△:インキ追従体の一部がインキ側に移行している。
×:インキ追従体の全部がインキ側に移行しており、インキが収容管外へ逆流している。
Figure 2006193688
Figure 2006193688
Figure 2006193688
上記表2及び表3に示すように、本発明範囲となる水性ボールペン用インキ組成物を搭載した実施例1〜15の水性ボールペンは、本発明範囲外となる水性ボールペン用インキ組成物を搭載した比較例1〜6の水性ボールペンに較べ、描線乾燥性に優れ、ボテ、線割れ及び経時的なインキ追従体の移行もなく、全ての面で優れたものであることが判明した。
実施例を個別的に見ると、実施例1及び2は、共にインキ追従体を用いないものであり、実施例1は低粘度インキを搭載した中綿式の水性ボールペン、実施例2は、ゲルインキを搭載した水性ボールペンであり、これらの場合、描線乾燥性に優れ、ボテ、線割れのない優れた性能を発揮できることが判った。また、実施例2〜15は、共にインキ追従体を用たものであり、描線乾燥性に優れ、ボテ、線割れ及び経時的なインキ追従体の移行もなく、全ての面で優れたものであることが判った。
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例1、2及び4、5は、本発明の特定物性の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有しないインキを用いた場合であり、また、比較例3及び6は、本発明の特定物性の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を含有してもその含有量が本発明の範囲外となる場合は、本発明の効果(描線乾燥性の向上、ボテ、線割れ及び経時的なインキ追従体の移行防止)を達成できないことが判った。

Claims (7)

  1. 少なくとも着色剤と、水とよりなる水性インキ組成物であって、更に水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類を0.5〜45重量%含有すると共に、比重1.00以上のインキ構成物の総量がインキ中に50重量%以上含有することを特徴とする水性ボールペン用インキ組成物。
  2. 水に可溶化する炭素数4以上で、かつ比重が1.00未満(25℃)の多価アルコール及び/又はグリコールエーテル類(A)と、比重1.00以上の溶剤(B)の含有比率〔(A)/(B)〕が重量比で0.04〜0.7である請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
  3. 温度25℃、剪断速度38.3sec−1における粘度が900mPa・sec以下である請求項1又は2記載の水性ボールペン用インキ組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
  5. 温度25℃、剪断速度1sec−1における粘度が20000mPa・sec以上で、かつ、温度25℃、剪断速度100sec−1における粘度が5000mPa・sec以上となるインキ追従体と、請求項1〜3の何れか一つに記載の水性ボールペン用インキ組成物とを搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
  6. 温度25℃、角周波数0.1〜630rad/secの全周波数領域におけるtanδの値が0.1〜4.5であるインキ追従体を用いる請求項5記載の水性ボールペン。
  7. インキ追従体のJIS K2220−5.7−1993に準拠した離油度試験60℃、24hの値が0.2〜5%である請求項5又は6記載の水性ボールペン。
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