JP2020002285A - ボールペン用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 筆記時のボール座摩耗の抑制と経時安定性に優れるボールペン用水性インキ組成物とそれを収容したボールペンを提供すること。【解決手段】着色剤と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸と、水とを少なくとも含むインキ組成物であって、前記ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸は、複数の芳香環を構造に含むアリール基を有し、かつ9〜18のHLB値を有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、水性インキ組成物に関するものである。さらに詳しくは、潤滑性に優れ、発色性に富む筆跡を形成可能なボールペン用水性インキ組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、そのインキ組成物を用いたボールペンにも関するものである。
従来より水性ボールペンはインキ吐出性が良く、発色性に富む筆跡を形成しやすいことから盛んに利用されているが、筆記を繰り返すことでボールペンチップのボール座が摩耗してインキ流路が変形し、インキ吐出性や筆記感が悪化する問題があるため、潤滑性に優れ、ボール座の摩耗を抑制することが可能なインキが検討されている。(例えば、特許文献1、2)
特許文献1には、水溶性増粘多糖類とアミノ酸型ベタインを用いた水性インキ組成物が記載されている。このインキは、ボール座の摩耗を抑制し、ペン先からのインキの吐出性が良好とされたものである。
また、特許文献2には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を用いた水性インキ組成物が記載されている。このインキも、ボール座の摩耗を抑制し、インキの吐出性を良好とされたものである。
しかしながら、上記いずれのインキも、インキ中にボール座摩耗を抑制する成分が多量に含まれていなければ十分な摩耗抑制効果が奏されず、前記成分の含有量を摩耗抑制効果が十分に奏される程度とした場合には、インキの経時安定性が悪化して前記成分が析出、凝集することがあった。
特開平10−67961号公報 特開平11−310744号公報
本発明は上記従来技術の欠点を鑑みて成されたものであり、多量の添加にもかかわらず高い潤滑性を有し、筆記時のボール座摩耗を抑制して、ペン先からのインキ吐出性や筆記感を良好としながらも、経時安定性に優れるボールペン用水性インキ組成物とそれを収容したボールペンを提供することを目的とするものである。
「1.着色剤と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸と、水とを少なくとも含むインキ組成物であって、前記ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸は、複数の芳香環を構造に含むアリール基を有し、かつ9〜18のHLB値を有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
2.前記複数の芳香環が、2〜4個のベンゼン環、またはナフタレン環である、第1項に記載のボールペン用水性インキ組成物。
3.第1項または第2項に記載のボールペン用水性インキ組成物を収容してなるボールペン。」とする。
本発明によれば、高い潤滑性を有し、筆記時のボール座摩耗を抑制して、ペン先からのインキ吐出性と筆記感を良好としながらも、経時安定性に優れるボールペン用水性インキ組成物とそれを収容したボールペンが提供される。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
本発明によるボールペン用水性インキ組成物(以下、場合により、「水性インキ組成物」、「インキ組成物」、または「組成物」と表すことがある。)は、着色剤と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸と、水とを少なくとも含んでなる。以下、本発明による水性インキ組成物を構成する各成分について説明する。
(着色剤)
本発明のボールペン用水性インキ組成物は、従来からの着色剤を用いることができる。
顔料としては、金属酸化物または金属塩などの無機顔料、有機色素顔料またはレーキ顔料などの有機顔料、ならびにアルミニウム顔料などの光沢のある光輝性顔料、および蛍光顔料が挙げられ、染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応染料、バット染料、硫化染料、含金染料、カチオン染料、分散染料が挙げられる。
上記の中では、顔料が鮮やかな発色性と良好な耐光性を有することから、好ましく用いることができる。
前記顔料インキを用いたボールペンは、筆記を繰り返すことでボール座の摩耗が生じ、インキ吐出性や筆記感が悪化しやすいが、本発明のインキ組成物は、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸を含むことにより、着色剤に顔料を用いた場合であってもボール座の摩耗を抑えて、インキ吐出性や筆記感の悪化を抑制できる。
(ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸)
本発明の水性インキ組成物は、下記式(1)に示すポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸を含む。
Figure 2020002285
[Rはアリール基を示し、Rはアルキレン基を示す。nは2以上の整数である。]
式(1)の物質において、アリール基は複数の芳香環を有し、かつHLB値が9〜18であることが重要である。複数の芳香環とは、複数の単環芳香環、または環数が2以上の多環芳香環を指す。前記アリール基は、複数の単環芳香環と環数が2以上の多環芳香環とを構造に含んでいても良い。
上記物質は水性インキ中で優れた潤滑性と高い溶解安定性を奏するため、本発明のインキ組成物は筆記時にボール座の摩耗を抑制して、筆記感とペン先からのインキ吐出性を良好としながらも、上記物質の析出、凝集が抑制されて、良好な経時安定性が奏される。
上記HLB値またはアリール基を有さないポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸は、潤滑性が低く、ボール座の摩耗抑制効果に乏しいか、溶解性が低く、経時安定性を良好とすることが難しいことから本発明のインキ組成物に適さない。
なお、前記HLB値はグリフィン法に基づく数値であり、下記の式(2)によって算出される値をいう。グリフィン法によるHLB値は、0〜20の範囲内の値を示し、数値が大きい程、化合物が親水性であることを示す。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量) ・・・(2)
本発明に用いられるポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸は、前記アリール基とHLB値とを有し、インキの潤滑性と経時安定性とを良好とする物質である。
中でも、より優れた潤滑性を奏し、筆記時のボール座摩耗を抑制することを容易とするためにインキ組成物に好ましく用いられる物質は、前記複数の芳香環として2〜4個のベンゼン環、またはナフタレン環を有する、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸であり、より好ましくは、前記複数の芳香環として2〜4個のベンゼン環、またはナフタレン環を有する、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸である。
特に好ましくは、前記複数の芳香環として3〜4個のベンゼン環を有する、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸である。
このような物質が優れた潤滑効果を奏する理由は、上記アリール基を有するポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸がボールとボール座表面に吸着し、上記アリール基による潤滑性の高い潤滑層がボールとボール座表面に形成するためであると推測される。
前記ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸の具体例としては、前記HLB値を有する、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンナフチルエーテルリン酸等が挙げられる。
上記物質は、アルカリ中和型であっても良い。
前記ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸の含有量は、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%であることがより好ましい。特に好ましくは、0.1質量%〜2.5質量%である。
ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸の含有量を上記数値範囲内とすると、インキの経時安定性を損なうことなく、インキ組成物のボール座摩耗を抑制することができるので、筆記時にペン先からのインキ吐出性を良好とし、発色性に富む筆跡を形成することが容易となる。
(増粘剤)
本発明の水性インキ組成物は、増粘剤を用いることが出来る。これにより、インキ組成物を静置した際に着色剤が沈降、凝集することを抑制できるので、発色性に富む筆跡を形成し、良好な経時安定性を奏することが容易となる。
増粘剤としては従来公知の物質を用いることが可能であるが、好ましくは、インキ組成物にせん断減粘性を付与できる物質(せん断減粘性付与剤)である。このような物質を用いることにより、静置時に顔料が沈降、凝集しにくいインキ粘度としながらも、外部から力が加わった際にインキ組成物は容易に低粘度化するため、静置時におけるインキ中での顔料の沈降、凝集を抑制しつつ、筆記時におけるペン先からのインキ吐出性を良好とすることが容易となる。とりわけ、ボールペンにこのようなインキ組成物を用いた際には、筆記時にボールの回転に伴ってインキに強いせん断応力が加わり、インキがより低粘度化しやすいため、インキ吐出性を良好とし、発色性に優れる筆跡を形成することが容易となる。
せん断減粘性付与剤の具体例としては、水溶性多糖類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、アルカリ増粘型アクリル樹脂、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
前記水溶性多糖類としては、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万ないし800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物等を挙げることができる。
前記増粘剤の中でも、本発明のインキ組成物に好ましい増粘剤は、水溶性多糖類またはアルカリ増粘型アクリル樹脂である。より好ましくは、キサンタンガムまたはアルカリ増粘型アクリル樹脂である。上記物質は顔料の沈降、凝集を抑制し、筆記時に良好なインキ吐出性をもたらすことができる。
インキ組成物における増粘剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%であることがより好ましい。含有量が上記数値範囲内であると、インキ流動性が良好であり筆記先端からのインキ吐出性に優れるとともに、経時安定性に優れるインキ組成物とすることが容易となる。
(その他)
また、水性インキ組成物は、必要に応じて以下の添加剤を用いることができる。具体的には、カオリン、タルク、マイカ、クレー、ベントナイト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、セリサイト、およびチタン酸カリウムなどの体質材、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、およびポリグリセリンなどのアルコールまたはグリコール、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、およびフッ素樹脂などからなる樹脂粒子、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン−アクリロニトリル樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂などの定着剤、pH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、およびサポニンなどの防錆剤、尿素、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性等の各種界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂からなる顔料分散剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、およびピロリン酸ナトリウムなどの湿潤剤、防腐剤、気泡抑制剤、気泡吸収剤などの添加剤を用いることができる。
(水性インキ組成物の物性)
水性インキ組成物の粘度は、せん断速度384sec−1における測定粘度(20℃)を、1〜200mPa・sとすることが好ましく、1〜100mPa・sとすることがより好ましい。インキ組成物の粘度測定はレオメーター(TAインスツルメント社製、DISCOVERY HR−2、コーンプレート40mm、角度1°、せん断速度384sec−1)を用いて行うことができる。水性インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、ボールペンに使用した場合のインキ吐出性を適度に良好とするので、発色性に優れる筆跡を形成することが容易となる。
本発明による水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
(ボールペン)
本発明の水性インキ組成物は、ペン先、インキ充填機構、およびインキ供給機構を備えた、ボールペンに収容される。
ペン先は、ボールペンチップ本体のボールハウス(ボール抱持室)にボールを回転自在に抱持したボールペンチップが用いられる。
ボールペンチップは、先端縁の内壁にボールを押圧するコイルスプリングを配設することによってボールペンチップ先端のシール性を保ち、チップ先端から水の蒸発を防いでインキ増粘を抑制しやすくすることでドライアップ性能向上をしやすくなるため、より好ましく用いることが可能である。
また、ボールペンチップおよびボールの材質は、ボールや、ボール座の良好な耐摩耗性を考慮して、ステンレス、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、および窒化珪素などから選択され、好ましく用いられる。
中でも、ステンレス、またはタングステンカーバイドを主成分とする超硬合金は、インキ組成物に含まれるポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸の吸着性に優れ、ボールペンチップの摩耗を抑制しやすいことから、特に好ましく用いられる。
ボールの外径は、0.2mm〜2.0mmとすることが可能である。
外径0.5mm以下の小径ボールを抱持するボールペンチップは、筆記の際にボールの回転数が多く、またボール座に係るボールからの外力が大きいので、ボール座が摩耗しやすい傾向にある。しかしながら、本発明のインキ組成物は、そのようなボールペンチップに対しても筆記時のボール座摩耗を抑制することができるので、本発明のインキ組成物を用いたボールペンは、外径0.5mm以下、特には0.4mm以下の小径ボールを具備した場合であっても、良好な筆記感やインキ吐出性を奏する。
インキ充填機構は、水性インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、水性インキ組成物を充填することのできるインキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。
ボールペンが水性インキ組成物を充填することのできるインキ吸蔵体を備えるものである場合は、インキ吸蔵体は、撚り合わせた繊維を用いてなる繊維集束体が好ましい。
また、インキ供給機構についても特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束などからなるインキ誘導芯をインキ流量調節部材として備え、水性インキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、水性インキ組成物をペン先に供給する機構、および(3)ペン先を具備したインキ収容体または軸筒より、水性インキ組成物を直接、ペン先に供給する機構などを挙げることができる。
ペン先を具備したインキ収容体としては、前記ボールペンチップを先端に具備し、後端にグリース等の粘調液体からなるインキ逆流防止体を充填したインキレフィルであっても良い。
ボールペンは、ペン先出没機構を具備していても良い。ペン先出没機構としては、ノック式、回転式およびスライド式などが挙げられる。また、軸筒内にペン先を収容可能な出没式であってもよい。
本発明の組成物を収容するボールペンは、前記したペン先、インキ充填機構、インキ供給機構、およびペン先出没機構の中から各部材を適宜選択して構成することが可能であり、いずれも好ましく用いることができる。
本発明の実施例は以下の通りである。
(実施例1)
下記原材料および配合量にて、室温で1時間攪拌混合することにより、筆記具用水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度をレオメーター(TAインスツルメント社製、DISCOVERY HR−2、コーンプレート40mm、角度1°、せん断速度384sec−1)により測定した。具体的には、20℃、せん断速度384sec−1における粘度は4.0mPa・sであった。
・着色剤 30質量%
(青色有機顔料、ピグメントブルー15:3、22質量%水分散体、山陽色素株式会社製、商品名:S.S.BLUE GLL)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(1) 1質量%
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(5)、アリール基:ナフチル基、HLB値:10.6)
・ジエチレングリコール 10質量%
・フェノール(防腐剤) 0.3質量%
・水 64.2質量%
(実施例2〜4、比較例1〜4)
実施例1に対して、配合する成分の種類や添加量を表1に示したとおりに変更して、実施例2〜4、比較例1〜4のインキ組成物を得た。
上記実施例で使用した材料の詳細は以下の通りである。
・着色剤(1)青色有機顔料(ピグメントブルー15:3、22質量%水分散体、山陽色素株式会社製、商品名:S.S.BLUE GLL)
・着色剤(2)黒色顔料(ピグメントブラック7、27.5質量%水分散体、山陽色素株式会社製、商品名:S.S.BLACK C−E)
・着色剤(3)黒色染料(WATER BLACK191−L、15質量%水溶液、オリヱント化学工業株式会社製)
・着色剤(4)アルミ顔料(東洋アルミニウム株式会社製、商品名:アルペーストWXM0630)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(1)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(5)、アリール基:ナフチル基、HLB値:10.6)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(2)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(14)、アリール基:クミルフェニル基、HLB値:12.9)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(3)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(26)、アリール基:ジスチリルフェニル基、HLB値:14.6)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(4)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(55)、アリール基:トリスチリルフェニル基、HLB値:16.0)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(5)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(2)、アリール基:モノスチリルフェニル基、HLB値:6.1)
・ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(6)
(ポリオキシアルキレン基:ポリオキシエチレン(6)、アリール基:ジスチリルフェニル基、HLB値:8.0)
・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸
(ポリオキシエチレン(13)、HLB値:13.0)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸
(ポリオキシエチレン(36)、HLB値:17.9)
・せん断減粘性付与剤(1)
(キサンタンガム、三晶株式会社製、商品名:ケルザンST)
・せん断減粘性付与剤(2)
(アルカリ増粘型アクリル樹脂、28質量%分散体、ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名:プライマルASE−60)
・ジエチレングリコール
・グリセリン
・トリエタノールアミン
・フェノール(防腐剤)
調製した水性インキ組成物について、下記の通り、評価を行った。得られた結果は表1に記載したとおりであった。
また、評価試験で用いる筆記具は、以下のようなボールペンを作成し用いた。
ボールペンA:ボール外径が0.5mmのボールを回転自在に抱持するボールペンチップのペン先と、インキ組成物を直詰め可能なインキ充填機構と、前記ペン先と前記インキ充填機構との間に介在し、水性インキ組成物をペン先に供給する櫛溝状のインキ流量調節部材とを備えたボールペン(株式会社パイロットコーポレーション製、商品名:ハイテックポイントV5グリップ)に実施例1、3、比較例1、3で得られたインキ組成物を収容した。
ボールペンB:ボール外径が0.4mmのボールを回転自在に抱持するボールペンチップを先端に具備したインキ収容筒内に実施例2、4、比較例2、4で作製したインキ組成物を充填し、後端にポリブテンを基油とする粘調液体からなるインキ逆流防止体を充填したレフィルをボールペン(株式会社パイロットコーポレーション製、商品名:ハイテックC04)に装着した。
(インキ吐出性および筆記感の評価)
上記ボールペンにより試験紙に連丸筆記を行い、筆跡の発色性の観察および筆記感の官能評価を行った。なお、筆記条件を、筆記距離1000m、筆記荷重100g、筆記角度70°、および筆記速度4m/分に設定し、試験紙にはJISP3201に準拠した筆記用紙を用いた。
1.インキ吐出性の評価
○:カスレ、線とびが発生せず、発色性に優れる筆跡を筆記開始時からボールペンレフィル内またはインキ収容筒内のインキが空になるまで持続的に形成できる。
×:筆跡のカスレ、線とびが顕著に発生し、筆跡の視認性が悪い。継続して筆記することは困難である。
2.筆記感の評価
○:非常に滑らかである。
×:がさつき感があり、不快である。
(ボールペンチップ摩耗度の評価)
未筆記のボールペンを基準として、上記評価で使用したボールペンのボール座部分の摩耗量測定を行った。
◎:摩耗量0μm以上5μm未満。
○:摩耗量5μm以上10μm未満。
×:摩耗量10μm以上。
(経時安定性の評価)
インキ組成物を試験管に入れて栓をした後、50℃下、14日間放置し、放置後のインキ組成物を目視で観察した。
○:着色剤の凝集析出や上澄み状の液体の分離は確認できない。
×:着色剤の凝集析出や上澄み状の液体の分離を視認できる。
試験結果を以下の表1に記す。
Figure 2020002285

Claims (3)

  1. 着色剤と、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸と、水とを少なくとも含むインキ組成物であって、前記ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸は、複数の芳香環を構造に含むアリール基を有し、かつ9〜18のHLB値を有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記複数の芳香環が、2〜4個のベンゼン環、またはナフタレン環である、請求項1に記載のボールペン用水性インキ組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のボールペン用水性インキ組成物を収容してなるボールペン。
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