JP6077629B2 - 水性ボールペン - Google Patents
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Description
「1.先端に超硬ボールを回転自在に抱持したステンレスチップを直接または接続部材を介して設けてなるインキ収容筒に、少なくとも水とリン酸エステル系界面活性剤とカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を含み、前記リン酸エステル界面活性剤が下記一般式(1)であり、前記カーボンブラック10質量%の水分散体のpHが2〜9である水性ボールペン用インキ組成物が充填されたことを特徴とする水性ボールペン。
一般式(1)
(式中Rは炭素数12〜16のアルキル基であり、nは20〜30の整数であり、R’はHまたはR(OC 2 H 4 ) n である)
2.前記カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径が10〜30nmであることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記非イオン性樹脂分散剤が、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。」に関する。
一般式(1)
(式中Rは炭素数12〜16のアルキル基であり、nは20〜30の整数であり、R’はHまたはR(OC2H4)nである)。
前記リン酸エステル系界面活性剤のアルキル基の炭素数が12より少ないと非極性基の潤滑効果が少なくなり、炭素数が16より大きいとボール表面へリン酸エステル系界面活性剤が配向しにくくなる。炭素数が12〜16であると、リン酸エステル系界面活性剤が配向し、潤滑効果が十分に発揮されるため筆記する際の抵抗が少なくなり、滑らかな書き味となる。さらに、ポリエチレンオキサイドの繰返し単位数であるnの数が、20より小さいと、ポリエチレンオキサイド基の持つ潤滑効果が十分に発揮されず、30より大きいと親水性が高くなって水への溶解度が大きくなることや、分子鎖が長くなり過ぎることなどにより、リン酸エステル系界面活性剤が配向し難くなる。nの長さが、20〜30の範囲にあるとリン酸エステル系界面活性剤が配向し、潤滑効果を十分に発揮することができるため、筆記する際の抵抗が少なくなり、書き味が滑らかとなる。
カーボンブラックA 5.0質量部
(10質量%水分散体のpH=2.5 平均粒子径13nm、
三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2650)
リン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12 n:20) 1.0質量部
ポリビニルピロリドン 7.5質量部
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 10.0質量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量部
防腐、防黴剤A 0.1質量部
(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン
アーチケミカル社製、商品名:プロキセルXL−2)
水 75.0質量部
上記配合をナノマイザーで撹拌してベースインキを作製した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.4質量部を投入して、ホモジナイザー撹拌機を用いて均一な状態となるまで十分に混合撹拌した後、濾紙を用い濾過を行って、配合例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
(表1)に示した配合とした以外は実施例1と同じ方法で水性ボールペン用インキ組成物を得た。
注1:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.0、平均粒子径13nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2650)
注2:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=8、平均粒子径15nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2300)
注3:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.5、平均粒子径16nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#970)
注4:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=2.5、平均粒子径22nm
(デグサ社製、商品名:NEROX605)
注5:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.5、平均粒子径24nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラックMA−100)
注6:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=7.5、平均粒子径13nm
(旭カーボン社製、商品名:SB935)
注7:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=7.5、平均粒子径15nm
(旭カーボン社製、商品名:SB905)
注8:カーボンブラック10質量%水分散体、10質量%水分散体のpH=4.5、平均粒子径20nm、10質量%のアルキル変性ポリビニルピロリドン含有
(冨士色素製、商品名:FUJI BBL BLACK 8885)
注9:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=8.0、平均粒子径40nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#95)
注10:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=10.0、平均粒子径24nm
注11:酸性染料の30質量%水溶液
(LANXESS社製、商品名:Bayscript Black SP−L)
注12:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:20)
注13:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:25)
注14:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:30)
注15:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:16、n:25)
注16:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:10)
注17:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:40)
注18:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:8、n:25)
注19:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:10、n:25)
注20:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:18、n:25)
注21:水溶性アクリル樹脂
(BASF社製、商品名:ジョンクリル61J)
注22:ノニオン性界面活性剤
(日光ケミカルズ社性、商品名:NIKKOL BC−20TX)
注23:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩
(アーチケミカル社製、商品名:プロキセルXL−2)
◎ :初期と変わりなく、インキ中にカーボンブラックの凝集が無く均一に分散している。
○ :わずかにカーボンブラックの凝集が見られるが、インキ中に均一に分散している。
△ :カーボンブラックの沈降がわずかに見られる。
× :カーボンブラックが凝集し、インキ中で沈降が見られる。
(水性ボールペンの製造)
(表2)に示したボールと配合例1〜21で作製した水性ボールペン用インキ組成物を用い、以下の通り、水性ボールペンを作製した。
直径0.5mmのボールを抱持したステンレススチール製のボールペンチップを樹脂製のチップホルダーを介してポリプロピレン製インキ収容筒の一端に嵌着し、内部に押圧バネを配置したボールペンレフィルに配合例1〜21の水性ボールペン用インキ組成物を充填し、さらに、ボールペンチップと反対側のインキ組成物に接するように、グリース状のインキ逆流防止体を配設して、530Gで3分間の遠心処理を施したあと、前記ボールペンレフィルを筆記具の軸筒((株)パイロットコーポレーション社製、商品名G-2)に組み込み、ボールペン形態とした。
書き味:得られたボールペンを用いて、筆記用紙Aに筆記し、その時の書き味を官能試験により評価した。
◎ :非常に滑らかに筆記可能。
○ :滑らかに筆記可能。
△ :筆感がやや重い。
× :筆感重く、ガリガリ感があり、滑らかでない。
Claims (3)
- 前記カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径が10〜30nmであることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン。
- 前記非イオン性樹脂分散剤が、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン。
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