JP2016029187A - 水性ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】顔料の分散が安定であり、インキ組成物の経時変化が少なく、ボールとチップに影響が少ない水性ボールペン用の水性インキ組成物を充填した水性ボールペンを提供すること。

【解決手段】先端に超硬ボールを回転自在に抱持したステンレス鋼材を材料とするボールペンチップを直接または接続部材を介して設けてなるインキ収容筒に、少なくとも水とリン酸エステル系界面活性剤とカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を含み、前記カーボンブラック10質量%の水分散体のpHが2〜9である水性ボールペン用インキ組成物が充填された水性ボールペンとした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いたボールペンに関する。
水性ボールペンは、先端にステンレス鋼などからなる金属チップと該金属チップのボール受け座に抱持される超硬などからなるボールとからなるボールペンチップを、直接または接続部材を介してインキ収容筒に装着した構成となっている。この様な構成の水性ボールペンに使用されるインキ組成物は、油性ボールペンに使用されるインキ組成物に比較してボールとボール受け座の間の潤滑性が劣る傾向にあり、その結果、筆感不良など問題があった。
これらを解決するために、各種検討がなされている。例えば、 グリセリンのエチレンオキサイド付加物を潤滑剤として用いたインキ組成物(特許文献1参照)、グリセリンやポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物とリン酸エステル系界面活性剤を潤滑剤として併用したインキ組成物(特許文献2参照)が開示されている。また、剪断減粘性水性インキ組成物の潤滑効果を向上する目的で、リン酸エステル系界面活性剤を用いるインキ組成物(特許文献3参照)が開示されている。
しかしながら、潤滑効果を上げるために添加した潤滑剤においても、用いる着色剤の種類によっては、その効果を十分に発揮することができないなどの問題があった。
また、着色剤に、顔料を用いた場合、用いる顔料の種類によっては経時後に顔料の凝集や沈降が起こり、インキ組成物の経時安定性に問題があった。さらには、用いる着色剤の種類によっては、筆記する際にボールの受け座が摩耗してしまい、筆感が重くなるなど、書き味が悪くなることと共に、ボール沈みが大きくなり、筆記出来なくなる場合があった。
特開昭63−234073号公報 特開2009−1761号公報 特開2007−231238号公報
本発明は、顔料の分散が安定であり、インキ組成物の経時変化が少なく、ボールとチップに影響が少ない水性ボールペン用の水性インキ組成物を充填した水性ボールペンを提供するものである。
本発明は、少なくとも水とリン酸エステル系界面活性剤と特定のカーボンブラックと特定の非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を含む水性ボールペン用インキ組成物および、該インキを充填した水性ボールペンとすることなどにより、前記課題が解決され、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
「1.先端に超硬ボールを回転自在に抱持したステンレスチップを直接または接続部材を介して設けてなるインキ収容筒に、少なくとも水とリン酸エステル系界面活性剤とカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を含み、前記カーボンブラック10質量%の水分散体のpHが2〜9である水性ボールペン用インキ組成物が充填されたことを特徴とする水性ボールペン。
2.前記カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径が10〜30nmであることを特徴とする第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記非イオン性樹脂分散剤が、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする第1項または第2項に記載の水性ボールペン。」に関する。
本発明によれば、リン酸エステル系界面活性剤と特定のカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を用いた水性ボールペン用インキ組成物とすることなどにより、従来の水性ボールペン用インキ組成物を用いた場合と比較して、インキ組成物中のカーボンブラックが経時沈降することなく安定性が良好となり、さらに、ボールとチップに影響が少なくなるなど優れた効果を奏するものである。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、水とリン酸エステル系界面活性剤とカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を最小の単位として構成する。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物を用いると、インキ組成物中の顔料の凝集や沈降が抑えられ、ボール受け座の摩耗が減少し、書き味が滑らかとなる理由は以下のように推察している。即ち、本発明の水性ボールペン用インキ組成物において、本発明で用いるカーボンブラックは、非イオン性樹脂分散剤を用いてインキ組成物中で分散させることで、非イオン性樹脂分散剤が顔料分散剤として働き、カーボンブラックが凝集することなしに均一に分散する。
カーボンブラックはインキ組成物中に配合された際に、剪断減粘性付与剤の影響により凝集する傾向が見られる。その際に、非イオン性樹脂分散剤を用いると、カーボンブラックの粒子間で立体的に存在し、凝集しにくくなる。さらに、非イオン性の樹脂系分散剤は、リン酸エステル系界面活性剤の潤滑性を妨げることが無く、筆記した際に、良好な書き味が得られる。
また、リン酸エステル系界面活性剤は、その潤滑効果が非極性基であるアルキル基やポリオキシエチレン基などにより発生していると考えられる。本発明のボールペン用インキ組成物は、ボールペンチップ内において、該インキ組成物中のリン酸エステル系界面活性剤が、リン酸基などの極性基がボール表面やボール座の金属表面側に、アルキル基などの非極性基がその反対側に配向した状態となっていると考えられる。リン酸エステル系界面活性剤が前記のように配向することで、非極性基同士がボール表面とボール座の間に存在して潤滑効果を発揮し、書き味が滑らかになっていると考えられる。
そして前記の通り、カーボンブラックがインキ組成物中で均一に分散していることによりカーボンブラックの凝集が無いため、リン酸エステル系界面活性剤のボール表面やボール座への配向を阻害しないため、潤滑効果が得られている。さらに、カーボンブラックの凝集がないため、筆記する際に、カーボンブラックの凝集による引っかかりが無いため、所謂ガリガリ感が無く筆記が可能となり、前記潤滑効果と併せて、書き味が滑らかとなる。
また、ボール受け座の摩耗は、筆記する際に、ボールが回転することによりボールとボール受け座の摩擦により摩耗するが、その摩耗には、一般的にはインキ組成物中の着色剤による影響が大きいと考えられている。本発明のボールペン用インキ組成物は、着色剤としてカーボンブラックを用いることにより、インキが被筆記面に供給される際に、ボールの回転に対してベアリングのように働いて緩衝作用をもたらし、ボールとボール受け座の間に生じる摩擦を低減することが出来、結果としてボール受け座の摩耗を抑えることができると考えられる。
この様に、本発明に用いるリン酸エステル系界面活性剤、カーボンブラック、非イオン性樹脂分散剤の組み合わせにより、インキ組成物中の顔料の凝集や沈降が抑えられ、ボール受け座の摩耗が減少し、書き味が滑らかとなると考えている。
本発明に用いるリン酸エステル系界面活性剤は、下記一般式(1)で表わされるものを用いる。
一般式(1)
Figure 2016029187
(式中Rは炭素数12〜16のアルキル基であり、nは20〜30の整数であり、R’はHまたはR(OCである)。
前記リン酸エステル系界面活性剤のアルキル基の炭素数が12より少ないと非極性基の潤滑効果が少なくなり、炭素数が16より大きいとボール表面へリン酸エステル系界面活性剤が配向しにくくなる。炭素数が12〜16であると、リン酸エステル系界面活性剤が配向し、潤滑効果が十分に発揮されるため筆記する際の抵抗が少なくなり、滑らかな書き味となる。さらに、ポリエチレンオキサイドの繰返し単位数であるnの数が、20より小さいと、ポリエチレンオキサイド基の持つ潤滑効果が十分に発揮されず、30より大きいと親水性が高くなって水への溶解度が大きくなることや、分子鎖が長くなり過ぎることなどにより、リン酸エステル系界面活性剤が配向し難くなる。nの長さが、20〜30の範囲にあるとリン酸エステル系界面活性剤が配向し、潤滑効果を十分に発揮することができるため、筆記する際の抵抗が少なくなり、書き味が滑らかとなる。
本発明に用いるリン酸エステル系界面活性剤は、1種または2種以上用いることができ、その配合量としては、インキ全質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは、0.2〜2質量%の範囲で用いることができる。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、インキ組成物の着色剤として用いるが、カーボンブラック10質量%水分散体のpHが2〜9の範囲のものを用いる。
本発明に用いるカーボンブラック10質量%の水分散体のpHとは、カーボンブラックの濃度が10質量%の時のカーボンブラック水分散体を測定した値を用いる。
前記カーボンブラック10質量%の水分散体は、カーボンブラックを水中に攪拌などしながら分散することや、市販のカーボンブラック水分散体を希釈するなどして、調整することができる。
前記カーボンブラック10質量%の水分散体のpHが2より小さいとカーボンブラック表面の強い酸性基がボールやステンレスチップに影響し、書き味が悪くなる。pHが9より大きいと、カーボンブラック表面の強い塩基性基が超鋼ボールのタングステンに影響したり、リン酸エステル系界面活性剤の配向性を阻害することがあり、書き味が悪くなったり、ボール座が摩耗したりする。pHが2〜9の範囲にあると、リン酸エステル系界面活性剤の潤滑効果を阻害せず、カーボンブラックが均一に分散し、ボール受け座が摩耗することなく、滑らかな書き味となるため、この範囲のものを用いる。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物に用いるカーボンブラックとしては、酸性、中性、弱塩基性のカーボンブラックを用いることができる。具体的には、NEROX605(pH2.5、平均粒子径22nm)、NEROX600(pH2.5、平均粒子径22nm)、NEROX500(pH2.5、平均粒子径23nm)、NEROX505(pH2.5、平均粒子径24nm)、NEROX305(pH2.5、平均粒子径28nm)、Printexシリーズ Printex90(pH9、平均粒子径14nm)、Printex140V(pH4.5、平均粒子径29nm)、PrintexU(pH4.5、平均粒子径25nm)、Color Blackシリーズ Color Black FW200(pH2.5、平均粒子径13nm)、Color Black S170(pH4.5、平均粒子径17nm)、Color Black S160(pH4.5、平均粒子径20nm)、Color Black FW285(pH3.5、平均粒子径11nm)、Special Black6(pH2.5、平均粒子径17nm)、Special Black5(pH3、平均粒子径20nm)、Special Black550(pH2.8、平均粒子径25nm、以上、デグサ社製)、トーカブラック#8500(pH5.5、平均粒子径14nm)、トーカブラック#8300(pH5、平均粒子径16nm)、トーカブラック#7550F(pH7.5、平均粒子径21nm)、トーカブラック#7400(pH7、平均粒子径28nm)、トーカブラック#5500(pH6、平均粒子径25nm、以上、東海カーボン社製)、SB905(pH7.5、平均粒子径15nm)、SB960(pH7.5、平均粒子径14nm)、SB305(pH7.5、平均粒子径18nm)、SB710(pH7.5、平均粒子径23nm)、SB200(pH7.5、平均粒子径26nm、以上、旭カーボン社製)、三菱カーボンブラック#2650(pH3、平均粒子径13nm)、三菱カーボンブラック#2600(pH6.5、平均粒子径13nm)、三菱カーボンブラック#2350(pH2.5、平均粒子径15nm)、三菱カーボンブラック#2300(pH8、平均粒子径15nm)、三菱カーボンブラック#1000(pH3.5、平均粒子径18nm)、三菱カーボンブラック#980(pH7.5、平均粒子径16nm)、三菱カーボンブラック#970(pH3.5、平均粒子径16nm)、三菱カーボンブラック#960(pH7.5、平均粒子径16nm)、三菱カーボンブラック#850(pH8、平均粒子径17nm)、三菱カーボンブラック#750B(pH7.5、平均粒子径22nm)、三菱カーボンブラック#650B(pH7.5、平均粒子径22nm)、三菱カーボンブラック#95(pH8、平均粒子径40nm)、三菱カーボンブラック#52(pH8、平均粒子径27nm)、三菱カーボンブラック#47(pH7.5、平均粒子径23nm)、三菱カーボンブラック#45(pH8、平均粒子径24nm)、三菱カーボンブラック#40(pH7.5、平均粒子径24nm)、三菱カーボンブラック#30(pH8、平均粒子径30nm)、三菱カーボンブラックMA100(pH3.5、平均粒子径24nm)、三菱カーボンブラックMA230(pH3、平均粒子径30nm)、三菱カーボンブラックMA77(pH2.5、平均粒子径23nm)、三菱カーボンブラック#3400B(pH6.5、平均粒子径21nm、以上三菱化学社製)などが挙げられる。
また、前記カーボンブラックなどを分散してカーボンブラック水分散体とした、市販のカーボンブラック水分散体を用いることもできる。前記カーボンブラック水分散体としては、具体的には、FUJI BBL Black 8885(pH4.5、平均粒子径20nm)などが挙げられる。
本発明に用いるカーボンブラックは、その一次粒子の平均粒子径としては、10〜30nmのものが好ましく用いられる。この範囲より小さいと発色が悪くなる傾向や、カーボンブラックの表面エネルギーが大きくなり凝集しやすくなる傾向が見られる。この範囲より大きいと、カーボンブラックが経時沈降する傾向が見られる。この範囲にあると、カーボンブラックが凝集することも沈降することもなく、安定的に、均一に分散することができるため、好ましい。
本発明の水性インキ組成物は、10質量%水分散体のpHが2〜9の範囲のカーボンブラックを用いるが、その配合量としては、カーボンブラックとして、インキ全質量に対して1〜25質量%、この範囲より小さいと、筆跡濃度が十分に出ない恐れがあり、この範囲より大きいと顔料が凝集する傾向が見られる。好ましくは、2〜15質量%の範囲で用いることができる。この範囲にあると、筆跡濃度が十分に得られ、顔料の沈降や凝集を起こし難い。
本発明に用いる非イオン性樹脂分散剤は、カーボンブラックをインキ組成物中に均一に分散する顔料分散剤として働くことが主である。樹脂分散剤としては、アニオン性、カチオン性のイオン性樹脂分散剤が顔料分散剤として用いられる場合があるが、本発明において、これらのイオン性樹脂分散剤を用いると、リン酸エステル系界面活性剤の潤滑効果を阻害し、書き味が低下するため好ましくない。非イオン性樹脂分散剤を用いると、顔料の凝集や沈降が無く、さらに、リン酸エステル系界面活性剤の潤滑効果を阻害すること無く、本発明のインキ組成物に用いることができる。前記非イオン性樹脂分散剤としては、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体、などを用いることができる。特に好ましくは、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体であり、具体的には、PVP、GANEX、PVP/VAポリマー(以上、ISP JAPAN社製)、Luvitec(BASF JAPAN社製)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製)などを挙げることができる。これらの非イオン性樹脂分散剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる非イオン性樹脂分散剤は、インキ組成物中に、溶解、分散した状態で用いることができる。その配合量としては、インキ組成物全質量に対し、1〜15質量%、好ましくは、2〜10質量%の範囲で用いられる。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物には、剪断減粘性付与剤を用いる。前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶ないし分散性の物質が効果的であり、具体的には、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグルカン、グアーガム、ローカストビーンガムおよびその誘導体などのガム類、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、グルコマンナン、寒天、カラギーナンなどの増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール、ベンジリデンキシリトールおよびこれらの誘導体、シリカ、天然又は合成粘土鉱物類などの無機微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド、ジアルキルまたはジアルケニルスルホコハク酸の塩類などが挙げられ、これらは、単独あるいは混合して用いることができる。前記剪断減粘性付与剤として、増粘多糖類を用いると撹拌機の剪断に対して強く、安定してインキを作製することができ、且つ、静止時と筆記時の粘度勾配が大きく、良好な安定性と筆記性が両立できるため、好ましく用いられる。前記剪断減粘性付与剤の配合量としては、インキ組成物全質量に対し、0.1〜20質量%の範囲で用いることができる。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物には、必要に応じて、各種水溶性有機溶剤を添加することができる。前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。尚、前記水溶性有機溶剤は、1種または2種以上を用いることができ、インキ組成物全質量に対して、2〜60質量%、好ましくは、5〜35質量%の範囲で用いることができる。
その他必要に応じて、染料などの着色剤、pH調整剤、防腐剤あるいは防黴剤、防錆剤などを添加することができる。前記pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩類、硫酸、炭酸などの無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミンなどの水溶性アミン化合物などに代表される有機塩基性化合物、酢酸、乳酸、クエン酸などの有機酸類などが挙げられる。
前記防腐剤あるいは防黴剤としては、石炭酸、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾ−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトレート、ジイソプロピルアンモニウムニトレート、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、サポニン、ジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
また、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤や、消泡剤として、ノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンなどを用いることができる。
さらに、耐乾燥性を妨げない範囲でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、デキストリンなどの水溶性樹脂を1種または2種以上添加することや、湿潤剤として、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ブドウ糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウムなどを添加することができる。
本発明の水性ボールペン用インキの製造方法の一例としては、水、カーボンブラック、非イオン性樹脂分散剤、潤滑剤、水溶性有機溶剤、pH調整剤、防菌剤などをナノマイザー(吉田機械興業社製)などの分散機を用いてカーボンブラックを均一に分散したベースインキを作製した後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入し、ホモジナイザーなどの撹拌機を用いて均一な状態となるまで十分に混合撹拌するなどして、水性ボールペン用インキ組成物を得ることができる。
本発明の水性ボールペンは、先端にボール回転自在に抱持したボールペンチップを直接または接続部材を介して具備してなるインキ収容筒に、前記インキ組成物が充填されてなる構成となっている。
本発明の水性ボールペンは、本発明のインキを充填することにより、従来の水性ボールペンに比較して、ボール受け座の摩耗が減少し、滑らかな書き味となる。
本発明に用いる水性ボールペン用のボールとしては、特に限定されないが、その材質としては、具体的には、タングステンカーバイト系などの超硬材料などからなる超硬ボール、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのセラミック製のボールなどを用いることができる。さらに、前記ボールの表面粗さが、算術平均で5nm以下のボールを用いることが好ましい。表面粗さが5nm以下のボールを用いると、筆記する際に筆記面との筆記抵抗が小さくなる傾向が見られ、書き味が非常に滑らかとなるため好ましい。具体的には、所謂、鏡面ボールなどを用いることができる。
本発明において、ボールの表面粗さは、触針式表面粗さ測定器(Taylor Hobson社製、Form-talysurf-S1F−50)により求めた値である。
本発明の水性ボールペンに用いるボールペンチップは、金属材料をドリルなどによる切削加工により成形したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、あるいは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、あるいは、金属材料の切削加工や金属製のパイプにより形成したチップに抱持するパイプをバネ体により前方に付勢させたものなどを用いることができる。前記ボール抱持部に用いる材料としては、ステンレス鋼材を材料とすることが好ましい。ステンレス鋼材とすることで、本発明のボールペンで筆記する際に、ボールが回転して筆記することとなるが、チップのボール受け座の摩耗を特に抑えることができるため、好ましい。
本発明の水性ボールペンに用いるインキ収容筒としては、従来知られているインキ収容筒を用いることができる。具体的には、前記インキ組成物を中綿に含浸するタイプや、インキの流出量を調整することが可能なペン芯を設けたタイプや、ポリプロピレンやポリエチレンなどからなる筒状の成形体の一端にボールペンチップを直接またはチップホルダーなどの接合部材を介して設けたタイプのインキ収容筒等を用いることができる。
前記インキ収容筒は、筆記具の軸筒内に収容する、所謂レフィル形状でも良く、先端部にボールペンチップを設けた筆記後の軸筒自体をインキ収容筒として、本発明の水性ボールペン用インキ組成物を充填しても良い。
(配合例1)
カーボンブラックA 5.0質量部
(10質量%水分散体のpH=2.5 平均粒子径13nm、
三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2650)
リン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12 n:20) 1.0質量部
ポリビニルピロリドン 7.5質量部
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 10.0質量部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量部
防腐、防黴剤A 0.1質量部
(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン
アーチケミカル社製、商品名:プロキセルXL−2)
水 75.0質量部
上記配合をナノマイザーで撹拌してベースインキを作製した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.4質量部を投入して、ホモジナイザー撹拌機を用いて均一な状態となるまで十分に混合撹拌した後、濾紙を用い濾過を行って、配合例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
(配合例2〜21)
(表1)に示した配合とした以外は実施例1と同じ方法で水性ボールペン用インキ組成物を得た。
Figure 2016029187

注1:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.0、平均粒子径13nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2650)
注2:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=8、平均粒子径15nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#2300)
注3:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.5、平均粒子径16nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#970)
注4:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=2.5、平均粒子径22nm
(デグサ社製、商品名:NEROX605)
注5:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=3.5、平均粒子径24nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラックMA−100)
注6:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=7.5、平均粒子径13nm
(旭カーボン社製、商品名:SB935)
注7:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=7.5、平均粒子径15nm
(旭カーボン社製、商品名:SB905)
注8:カーボンブラック10質量%水分散体、10質量%水分散体のpH=4.5、平均粒子径20nm、10質量%のアルキル変性ポリビニルピロリドン含有
(冨士色素製、商品名:FUJI BBL BLACK 8885)
注9:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=8.0、平均粒子径40nm
(三菱化学社製、商品名:三菱カーボンブラック#95)
注10:カーボンブラック、10質量%水分散体のpH=10.0、平均粒子径24nm
注11:酸性染料の30質量%水溶液
(LANXESS社製、商品名:Bayscript Black SP−L)

注12:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:20)
注13:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:25)
注14:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:30)
注15:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:16、n:25)
注16:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:10)
注17:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:12、n:40)
注18:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:8、n:25)
注19:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:10、n:25)
注20:一般式(1)で示されるリン酸エステル系界面活性剤(炭素数:18、n:25)
注21:水溶性アクリル樹脂
(BASF社製、商品名:ジョンクリル61J)
注22:ノニオン性界面活性剤
(日光ケミカルズ社性、商品名:NIKKOL BC−20TX)
注23:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩
(アーチケミカル社製、商品名:プロキセルXL−2)
得られたインキ組成物について、ポリ瓶に保存し、50℃一ヶ月経時後の安定性について、評価を行った。その結果は、(表1)に示した。
◎ :初期と変わりなく、インキ中にカーボンブラックの凝集が無く均一に分散している。
○ :わずかにカーボンブラックの凝集が見られるが、インキ中に均一に分散している。
△ :カーボンブラックの沈降がわずかに見られる。
× :カーボンブラックが凝集し、インキ中で沈降が見られる。
(例1〜21)
(水性ボールペンの製造)
(表2)に示したボールと配合例1〜21で作製した水性ボールペン用インキ組成物を用い、以下の通り、水性ボールペンを作製した。
直径0.5mmのボールを抱持したステンレススチール製のボールペンチップを樹脂製のチップホルダーを介してポリプロピレン製インキ収容筒の一端に嵌着し、内部に押圧バネを配置したボールペンレフィルに配合例1〜21の水性ボールペン用インキ組成物を充填し、さらに、ボールペンチップと反対側のインキ組成物に接するように、グリース状のインキ逆流防止体を配設して、530Gで3分間の遠心処理を施したあと、前記ボールペンレフィルを筆記具の軸筒((株)パイロットコーポレーション社製、商品名G-2)に組み込み、ボールペン形態とした。
Figure 2016029187

注25:材質:窒化ケイ素、表面粗さ1.4nm
注26:材質:超硬、表面粗さ1.2nm
注27:材質:超硬、表面粗さ0.8nm
得られたボールペンについて、ボール座の摩耗、書き味の評価を行った。その結果は、表2に示した。
ボール座の摩耗:荷重100g、筆記速度4m/分、筆記角度65度で900m筆記した際のボールの沈んだ量をμmで示した。
書き味:得られたボールペンを用いて、筆記用紙Aに筆記し、その時の書き味を官能試験により評価した。
◎ :非常に滑らかに筆記可能。
○ :滑らかに筆記可能。
△ :筆感がやや重い。
× :筆感重く、ガリガリ感があり、滑らかでない。

本発明は、上記構成としたことなどにより、良好な筆記性能を得ることができる水性ボールペン用インキ組成物を充填した水性ボールペンとして利用可能である。

Claims (3)

  1. 先端に超硬ボールを回転自在に抱持したステンレスチップを直接または接続部材を介して設けてなるインキ収容筒に、少なくとも水とリン酸エステル系界面活性剤とカーボンブラックと非イオン性樹脂分散剤と剪断減粘性付与剤を含み、前記カーボンブラック10質量%の水分散体のpHが2〜9である水性ボールペン用インキ組成物が充填されたことを特徴とする水性ボールペン。
  2. 前記カーボンブラックの一次粒子の平均粒子径が10〜30nmであることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン。
  3. 前記非イオン性樹脂分散剤が、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性ボールペン。
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