JP2006181747A - 高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の技術では実現しなかった低いエネルギーでの穿孔性、穿孔独立性を確保し、穿孔径の均一性、穿孔された周辺フィルムの収縮歪み発生が少ない写真画像の鮮明性向上に優れかつ、カール性、耐刷性に優れ印刷可能枚数を増やせるフィルムを提供する。
【解決手段】 フィルムの融点が130℃〜230℃であり、ガラス転移温度が50℃〜80℃であり、融点温度から300℃の温度範囲で損失弾性率(G“)が100Pa以上であり、フィルム厚みが0.5〜7.0μmであることを特徴とする高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱孔版印刷原紙用およびこれに用いるフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、サーマルヘッドによる低いエネルギーでの穿孔独立性に優れ、印刷時の解像度(階調性)に優れ、マスターの保存安定性、カール性、多数枚の印刷に耐える印刷耐久性(耐刷性)にも優れた高感度感熱孔版印刷原紙用フィルムに関する。
従来、感熱孔版印刷用原紙としては、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムにインキ透過性多孔性薄葉紙を接着剤で貼り合わせた感熱孔版原紙が知られている。感熱孔版印刷用原紙に使用される上記フィルムの要求特性としては、穿孔感度、耐カール性、印刷耐久性、印刷時の画像の解像度および濃度などが挙げられる。こうした従来の感熱孔版原紙では繊維の重なった部分とフィルムが接する部分に接着剤が溜まりやすく、その部分はサーマルヘッドによる穿孔が不十分となり、未穿孔部分が、印刷時の白抜け原因となる。そのため、インキの通過を妨げない新しい構成のマスターが提案されている(特許文献1)。
また昨今では、印刷物に対して高い解像度が要求されており、サーマルヘッドによる穿孔では高い解像度を得るため個々のヘッドを小さく、単位面積あたりの穿孔数を増やす試みがされている。またサーマルヘッドの負荷を抑え寿命を延長するため、個々のヘッドに供給するエネルギーを低減させることが必要であり、そのため、フィルムは低いエネルギーで均一にかつ、確実に穿孔されるフィルムが要求されている。すなわち、少量の熱量で溶融し、適度な大きさの穿孔が得られるようにフィルムは低温度域から高収縮特性を付与している。そのため、穿孔された周辺のフィルムが熱変形したり、穿孔された形状が不均一となったりして、写真画像のように繊細で鮮明性を要求される用途には画像を悪化させる原因となっている。
また、低いエネルギーでの穿孔性を発現させるため、フィルム厚みは薄いフィルムが重点的に使用されるため、フィルム残留応力によるマスターのカールあるいはマスターの剛性不足による印刷機内での搬送ミス、マスター詰まりのトラブル原因になっている。孔版印刷は多数枚印刷が特徴となっているが、使用されるフィルム特性によって、印刷用紙エッジと孔版フィルム接触部での圧迫、耐摩耗性が悪く、印刷枚数が限定される要因にもなっている。
上記のような問題点を解決するため、マスター構成から印刷特性、耐刷性を改良したフィルムが提案されている(特許文献1)。また、フィルムの高度化を目的にポリマー特性、組成を規定したフィルム等が提案されている(特許文献2〜4)。しかし、これらの方法では不十分であり、穿孔独立性、穿孔径の均一性およびマスターの基本特性であるカール性、耐刷性を同時に満足する感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムが求められている。
特開平10−24667号公報 特公平7−64128号公報 特開平3−39294号公報 特開平2−307788号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、従来の技術では実現しなかった低いエネルギーでの穿孔性、穿孔独立性を確保し、穿孔径の均一性、穿孔された周辺フィルムの収縮歪み発生が少ない写真画像の鮮明性向上に優れかつ、カール性、耐刷性に優れ、印刷可能枚数を増やせるフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、フィルムの融点が130℃〜230℃であり、ガラス転移温度が50℃〜80℃であり、融点温度から300℃の温度範囲で損失弾性率(G“)が100Pa以上であり、フィルム厚みが0.5〜7.0μmであることを特徴とする高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、アルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,4ブタンジオ−ル、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。かかるポリエステルは1種類の芳香族ジカルボン酸と、1種類のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、3種類以上の成分を含む共重合体であることが好ましい。
いずれにしても、フィルムとしては、融点が130〜230℃、ガラス転移温度が50〜80℃となるように適宜組成を選択する。融点が230℃を超えるものは、穿孔に必要な熱エネルギーが多量になり、穿孔特性が劣るため好ましくない。またガラス転移温度が50℃未満は室温近傍でのフィルム寸法変化が大きくなり、マスターのカール発生原因となり、好ましくない。
本発明で用いるポリエステルの極限粘度は、通常0.5以上、好ましくは0.6〜1.0である。極限粘度が0.5未満ではフィルムの生産性が劣ったり、フィルムの機械強度が不足したりする以外に、穿孔径に関係する損失弾性率が小さく、かつ温度変化も大きく好ましくない。使用するポリエステル系原料の粘度は高温域での損失弾性率を調整するのに効果的である。
本発明のフィルム厚みは0.5〜7.0μmの範囲であり、好ましくは0.5〜2.5μmの範囲である。フィルムの厚みが薄くなれば、熱伝達距離が短縮され、穿孔時に必要な熱エネルギーも減少するため、穿孔性が向上し、印刷時の解像度が向上する。0.5μm未満はフィルム生産時の生産性、巻き上げ作業性が悪化する。厚みが7μmを越えるフィルムでは穿孔エネルギーを大きくしても、穿孔性が悪く、印刷時にムラが生じるようになり、好ましくない。
本発明のフィルムにおいて、融点から300℃の温度範囲での損失弾性率が100Pa未満は穿孔時にポリマーが流動し、独立した穿孔が相互に融合、連孔が発生し独立した均一な穿孔が得られなくなる。損失弾性率は、150Pa以上が好ましい。また、損失弾性率の温度変化が−100%以上は穿孔時の変形ムラ、穿孔径形が不均一となり、好ましくは−70%以下で穿孔される温度域で損失弾性率の温度変化が少ない箱型形状分布が穿孔径の均一性を確保するのに好ましい。
本発明のフィルムは極めて薄いフィルムであるので、フィルムの長手方向と幅方向の引張弾性率がともに3000MPa以上であると、フィルム取り扱い作業性、搬送性が良好となる。2種類以上のポリエステル系原料の使用は、融点、ガラス転移温度および穿孔径に作用する損失弾性率の調整に有効に働く。使用するポリエステル系原料のうち、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を10〜40%モル%含まれる原料系の使用はより有効に作用する。配合量が40%越えると温度依存性が大きく穿孔径が不揃いの原因となることがある。
本発明でいうポリエチレンナフタレートとは、その構成単位が実質的にポリエチレン−2、6−ナフタレート単位から構成されているポリマーを指すが25モル%以下第三成分によって、変性されたエチレン−2、6−ナフタレートポリマーを含まれる。ポリエチレンナフタレートは一般にナフタレーン−2、6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体例えばナフタレーン−2、6−ジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを触媒の存在下で、適当な反応条件の下に縮合せしめることによって製造される。この場合第三成分として、例えばアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレーレン−2、7−ジカルボン酸等のジカルボン酸またはその低級アルキルエステル、P−オキシ安息香酸のごときオキシカルボン酸またはその低級アルキルエステル、あるいは、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価アルコール等を挙げることができる。
またポリエチレンテレフタレートとは、テレフタル酸またはそのエステルとエチレングリコールを主たる出発原料として得られるポリエステルを示すが他の第三成分を含有していても構わない。本発明のポリエステルは繰り返し構造単位の80%以上単位のポリエステルを指す。またポリエチレンテレフタレートイソフタレートとはジカルボン酸成分の65モル%以上がテレフタル酸で10モル%以上がイソフタル酸でジオール成分の70%以上がエチレングリコールである共重合ポリエステルを指す。
ここでいうポリブチレンテレフタレートとは、ジカルボン酸成分の70モル%以上、好ましくは80モル%以上がテレフタル酸、ジオール成分の75モル%以上好ましくは80%モル%以上が1、4−ブタンジオールであるポリエステルを指す。
また2,6ナフタレーン共重合として、酸成分のうち、3〜50モル%が2,6−ナフタレーンカルボン酸成分、グリコ−ル成分のうち、5〜70モル%が1,4ブタンジオールで構成されるポリエステルを指す。
本発明のポリエステルフィルムは、前記した成分のPEN系ポリエステルおよびPET系ポリエステル、PBT系ポリエステルを溶融混練して得ることができる。この混練は通常フィルムを製膜時に行うかフィルム製膜前の段階で予め混練してもよい。この溶融混練は均一に分散するように混練する。
また本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻上げ工程、原紙作製時のコーティング、貼合せ工程および印刷時の作業性を向上させるため、あるいは、熱穿孔時のサーマルヘッドとフィルムとの融着を防止するため、表面を粗面化してフィルムに適度な滑り性が付与させることが好ましいが、そのためには微細な不活性粒子をフィルム中に添加すればよい。用いる微細な不活性粒子の平均粒径は、フィルム厚みの0.2〜1.0倍であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.7倍、特に好ましくは0.3〜0.5倍である。平均粒径がフィルム厚みの1.0倍以上では、フィルム表面の平面性が損なわれて熱伝達にムラが生じることがあり、穿孔が不均一となったり、解像度が劣ったり、印字品位性を損なったりすることがある。また、平均粒径がフィルム厚みの0.2倍未満では、フィルムの巻き特性が劣るなどフィルム製造時および原紙製造時の作業性が悪化する傾向がある。
粒子の添加量は、通常0.05〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%である。0.05重量%未満では、巻き特性が劣る傾向がある。また、3重量%を超えるとフィルム表面の粗面化の度合いが大き過ぎて熱伝達にムラが生じやすくなる傾向があり、穿孔が不均一となったり、解像度が劣ったり、印字品位性を損なったりすることがある。
本発明で用いる不活性粒子の例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、ゼオライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシム、フッ化リチウム、カオリン、タルク、カーボンブラックおよび特公昭59−5216号公報に記載されたような架橋高分子微粉体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。この際、配合する不活性粒子は単成分でもよく、また2成分以上を同時に用いてもよい。また本発明においてポリエステルに不活性粒子を配合する方法としては、特に限定されないが、例えば不活性粒子をポリエステルの重合工程に添加する方法、またはフィルム化前に溶融混練りする方法が好ましく用いられる。
本発明においては上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や印刷時の解像度、印字品位性をさらに高度に満足させるためには、フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.02〜0.2μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15μmの範囲であり、かかる範囲となるよう適宜、条件を選択することが望ましい。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、ポリマーをエクストルーダーに代表される周知の溶融押出装置に供給し、ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、通常、静電印加密着法を採用する。
このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは75〜100℃、さらに好ましくは75〜90℃の温度範囲で、まず一方向に2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜5.0倍に延伸する。次ぎに一段目と直交する方向に好ましくは70〜100℃更に好ましくは75〜95℃の温度範囲で2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜5.0倍に延伸を行い、2軸に配向したフィルムを得る。
なお、一方向の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が6〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能である。かくして得られたフィルムを熱処理してもよく、必要に応じ熱処理を行う。
また、感熱孔版印刷用原紙を製造する際、40〜70℃程度の乾燥工程および夏場を経る長期保存中にフィルムの収縮に起因すると考えられるカールが発生することがある。従って本発明においてはカール防止のため、得られたフィルムを30〜50℃で5時間から5日間、好ましくは40℃前後で12時間〜3日間エージング処理すると該環境下での耐カール性が良好となる。
本発明の感熱孔版用フィルムは、サーマルヘッドで穿孔される温度付近の溶融粘弾性の温度特性を調整することにより、穿孔径サイズおよび穿孔独立性、穿孔周辺のフィルム変形が調整可能となり、写真画像のように、穿孔確率と穿孔サイズが問題になる高画質用途で鮮明画像を得ることができ、その工業的価値は高い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法は以下に示すとおりである。
(1)融点およびガラス転移温度
TA instruments DSC−2920型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のとおりである。すなわち、試料フィルム10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で5分間溶融保存した後、液体窒素にて、急冷した。急冷試料を0℃より10℃/分で昇温し、ガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)を測定した。Tgは比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。かかる屈曲点以下の温度でのベースラインの接線と屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点を屈曲の開始点とし、この温度をTgとした。また、Tmは融解による吸熱ピーク温度として測定した。
(2)損失弾性率温度特性G”(Pa)
日本シイベルヘグナー(株)製の粘弾性測定装置MCR30を用いて測定した。70℃以上300℃までの損失弾性率温度変化を測定した。測定は直径20mmの試験片を重ねたフィルムより打ち抜き高温槽内で溶融、測定プレートで圧縮、70℃まで冷却、その後、2℃/分の速度で300℃まで昇温し測定した。損失弾性率 G“(Pa)の温度変化は下記式で算出した。
変化率(%)=(230℃の損失弾性率−270℃損失弾性率)×100/230℃損失弾性率
(5)耐カール性
1.5μmのポリエステルフィルムに支持体としてマニラ麻の繊維からなる和紙を用い、接着剤としてビニル系樹脂をトルエンに溶解したものを用い、該フィルムと和紙をラミネートし、50℃のエアーオーブンで10秒間乾燥し、感熱孔版原紙を得た。得られた原紙を50℃−湿度90%の恒温恒湿中で1週間処理した。カール試験は前述したサンプルから50mm幅試験片を切り取り、25℃、65%RHで放置し、カール量は試験片の両端カールの高さを測定した。カール性が悪く円筒状にカールするときは直径を測定した。試験片の両端の高さが10mm以下は実用上問題にはならない。カール量は長手方向と直角方向のニ方向で測定を行いカール量の大きい値をフィルムのカール量とした。
(6)感熱孔版印刷原紙実用特性
フィルムに和紙を貼り合わせて原紙を作製した。得られた原紙をサーマルヘッドにより、印加エネルギーを標準印字エネルギーと標準エネルギーの−50%エネルギーにて文字画像および16段階の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察し、以下の項目について評価した。
(a)穿孔独立性、均一性
◎…所定の穿孔が確実に行われ、穿孔径が均一で連孔が観察されない
○…所定の穿孔がほぼ確実に行われ、穿孔径がほぼ均一で連孔が観察されない
△…まれに所定の穿孔が得られない部分や穿孔の大きさが不十分な部分がある
×…所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不十分であり、実用上支障がある
また、製版原紙を用い、リコー(株)Priport VT3950印刷機を用いて実際に印刷し、得られた文字、画像について、下記の特性を目視で判定した。
(b)印字画質
◎…濃度のムラ、にじみが全くなく、鮮明に印字できる
○…濃度のムラ、にじみがなく、鮮明に印字できる
△…わずかに濃淡のムラ、にじみが認められ、やや鮮明さに欠ける
×…濃淡のムラ、あるいはにじみ、かすれがはっきり出ている
(c)穿孔周辺のしわ、製版歪み
◎…べタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわ観察されない
○…べタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわが僅かに観察される
×…べタ印刷部の連続穿孔された穿孔部の周辺にフィルムしわが広い範囲に観察される
(d)耐刷性
25mm直径の金属ドラムにフィルムを180度接触させて、10mm/分の速度で繰り返し摩耗させた。摩耗長さは75mm、24時間繰り返し摩耗させた。評価はフィルム表面の変化とフイルムダメージレベルを三段階で評価した。
○…フィルム表面変化が少なくダメージが少ない
△…フィルム表面に薄い引掻きキズは観察されるが、著しいフィルム摩耗は観察されない
×…フィルム表面が穿孔された部分から一部破壊されている
次いで、各例で用いられる各ポリエステル製造を説明する。
(ポリエステルA)
テレフタレート酸ジメチル75モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル25モル%、エチレングリコール50重量部、1,4ブタンジオール50%、テトラブチルチタネート0.005重量%を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を徐々に上昇させ、3時間後に210度とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了したこの反応混合物に、平均粒径が1.2μmの球状シリカ粒子を分散させたエチレングリコールスラリーとして0.5重量部添加し、テトラブチルチタネート0.005重量%を加えて4時間後重縮合反応を行った。この時、温度は220℃から徐々に昇温して、280℃とした。一方 圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を得た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吹出させ共重合ポリエステルを得た。ポリマーの〔η〕は高粘度〔η〕=0.74、中粘度〔η〕=0.65、低粘度〔η〕=0.54の三種類を得た。
(ポリエステルB)
2、6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部および酢酸カルシウム−水塩0.1重量部を反応器にとりエステル交換反応を行った。すなわち反応開始温度を180℃とし、メタノールの流出と共に徐々に反応温度を上昇せしめ、4時間後230℃に達せしめ実質的エステル交換反応を終了せしめた。次いでリン酸0.04重量部を添加した後、平均粒径1.5μの炭酸カルシウム0.30重量部および三酸化アンチモン0.04重量部を添加し常法により重縮合反応を行った。すなわち温度を除々にと共に圧力を常圧より除々に減じ2時間後温度を290℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後4時間を得た時間時点で反応を停止し窒素加圧下ポリエチレンナフタレートを吐出せしめた。得られたポリエチレンナフタレートの〔η]は0.65であった。
(ポリエステルC)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部および酢酸カルシウム−水塩0.1重量部を反応容器に入れポリエステル交換をおこなった。すなわちポリエステル交換反応開始温度を170℃とすると共に、メタノールの流出を伴って反応溶液を加熱しエステル交換反応を開始して、4時間後に230℃にまで加熱して、エステル交換反応を行った。エステル交換反応の終了したこの反応物に平均粒径が0.70μmの球状シリカ粒子0.5%重量部を含有するエチレングリコールスラリー5重量部を添加し次いでリン酸0.04重量部を加えた後、テトラブチルチタネート0.005重量部を加えて重縮合反応を行った。すなわち反応溶液を加熱すると共に系内の圧力を減少させ重縮合を開始してから2時間後に280℃にまで加熱すると共に0.3mmHgにまで減圧した。さらに数時間経過した時点で重縮合反応を停止してポリエステルAを得た。このポリエステルAの〔η]=0.70であった。
(ポリエステルD)
ポリエステルDにおいては、テレフタル酸ジメチル100重量部をテレフタル酸ジメチル78重量部とイソフタル酸ジメチル22重量部とに変更した以外は、上述のポリエステルCと同様にしてポリエステルDを得た。このポリエステルDの〔η]=0.70であった。
(ポリエステルE)
ポリステルEにおいては、テレフタル酸ジメチル100重量部。1,4−ブタンジオール56重量部としい、上述のポリエステルCと同様にして、ポリエステルEを得た。このポリエステルの〔η]=1.05であった。
ポリエステルAの原料:[η]=0.74を100重量部、265℃の二軸押出機でシート状に押出し表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムに静電印加冷却法で急冷固化させ厚み25μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートを縦方向に83℃4.0倍に延伸した後、横方向に90℃で4.2倍に延伸した後、95℃で2.0%弛緩しながら5秒間熱処理を施し、厚み1.5μmの二軸配向フィルムを製造した。次いで得られたフィルムを常法に従い、多孔性薄葉紙に貼り合わせ感熱孔版印刷用原紙を作製し謄写印刷を行った。
実施例1において、ポリエステル原料:ポリエステルA[η]=0.64を90重量部、ポリエステルC:10重量部を二軸押出機により、溶融混練する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製、謄写印刷を行った。
ポリエステル原料はポリエステルA[η]=0.65を80重量部、ポリエステルC:10重量部、ポリエステルE:5重量部、ポリエステルD:5重量部を二軸押出機により、溶融混練する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製、謄写印刷を行った。
ポリエステル原料はポリエステルB:15重量部、ポリエステルD:35重量部、ポリエステルE:50重量部を二軸押出機により溶融混練し実施例1と同様の方法で製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製し謄写印刷を行った。
(比較例1)
ポリエステル原料はポリエステルA[η]=0.54を100重量部、二軸押出機で実施例1と同じ条件で押出、製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製、謄写印刷を行った。
(比較例2)
ポリエステルD:100重量部を二軸押出機で押出し横延伸温度を96℃、熱処理温度を102℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製、謄写印刷を行った。
(比較例3)
実施例4のポリエステルB、ポリエステルDおよびポリエステルEの3種類配合の代わりにポリエステル原料D:50重量部とポリエステルE:50重量部を二軸押出機で溶融混練し、実施例1と同様の方法で製膜した。縦延伸温度を75℃、横延伸温度を80℃、熱処理温度を105℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で製膜し、感熱孔版印刷用原紙を作製、謄写印刷を行った。
Figure 2006181747
上記表中、Aは、DMT/NDCE/EG/1,4B系、BはPEN系、CはPET系、DはIPA系、EはPBT系である。
Figure 2006181747
本発明のフィルムは、例えば、高感度の感熱孔版印刷原紙用のフィルムとして好適に利用することができる。


Claims (1)

  1. フィルムの融点が130℃〜230℃であり、ガラス転移温度が50℃〜80℃であり、融点温度から300℃の温度範囲で損失弾性率(G“)が100Pa以上であり、フィルム厚みが0.5〜7.0μmであることを特徴とする高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム。

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