JP2006179844A - コンデンサ内蔵配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量の内蔵コンデンサが形成可能で、高い絶縁信頼性を持つコンデンサ内蔵ガラスセラミック多層配線基板を提供すること。
【解決手段】 ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部に、ガラスおよびチタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物フィラーの焼結体からなる誘電体層12を金属粉末の焼結体からなる少なくとも2個の電極層13で挟んだコンデンサ部を形成するようにしたコンデンサ内蔵ガラスセラミック多層配線基板10であって、前記ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率を1500以上、ガラスの比誘電率を100以上とし、且つ、前記誘電体層12における前記ペロブスカイト化合物フィラーの体積比率を75乃至80体積%とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁層の内部にコンデンサ部を内蔵したコンデンサ内蔵配線基板に関する。
従来、携帯電子機器や携帯用情報端末等の分野では、半導体素子を実装した多層配線基板と共に、受動部品として抵抗体,コンデンサ,インダクタ等をプリント回路基板等の基板上に実装したモジュール基板が用いられてきた。このような多層配線基板には比抵抗の小さいAg,Cu等の低融点金属と同時焼成が可能なガラスセラミック製の配線基板が用いられている。
しかし近年、このような携帯電子機器や携帯用情報端末等に用いられる部品の小型化、複合化、高性能化が強く求められており、半導体素子を実装する多層配線基板の内部に受動部品に相当する機能を有する電子回路素子を内蔵させて、半導体素子等と受動部品とを高密度で実装した部品の集積化の流れが進んでいる。これらの受動部品を多層配線基板の内部に組み込むことは、多層配線基板表面にこれら受動部品の実装スペースを確保する必要をなくし、また設計の自由度も増すため、多層配線基板の小型化に寄与できることとなる。
例えば、コンデンサを内蔵したガラスセラミック多層配線基板1は、図3に示すように、絶縁基体2にチタン酸バリウム等の高誘電率を有する誘電体材料からなる誘電体層3及びその上下に金属粉末の焼結体からなる電極層4を形成し、電極層4と貫通導体5にて配線層6と接続した構造をとっている。
また、コンデンサを局所的に形成する必要がある場合、絶縁層を形成するガラスセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)に、誘電体材料からなる誘電体ペーストを部分的に塗布して誘電体層を形成し、その後、所望の導体パターンを形成したグリーンシートと、誘電体層を形成したグリーンシートとを積層して、誘電体層および導体パターンをグリーンシートと同時に焼成することで形成することもできる。
一般に、Ag,Cu等の低融点金属を配線導体として用いるガラスセラミック多層配線基板は800℃乃至1000℃で焼結させるが、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料の焼結温度は1200乃至1300℃であるため、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層をガラスセラミック多層配線基板に同時焼成で形成する場合、誘電材料の低温焼結化は不可欠であった。例えば、チタン酸バリウムの低温焼結化はチタン酸バリウム粒子の微粉化、焼結助剤としてガラスの微量添加することで行われている。
「低温焼成多層基板、内蔵コンデンサ用高誘電率材料とその応用」ファインセラミックスレポート(Fine Ceramics Report),社団法人日本ファインセラミックス協会,1996年,第14巻,第8号,p.220〜222 「CR複合基板」,ニューセラミックス,1995年,第1号,p.39〜44
しかしながら、チタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物フィラーにガラス粉末を微量添加し焼結させた場合、その添加量は微量であるため、ペロブスカイト化合物フィラーとガラス粉末を十分混合した場合であってもガラスの偏析は避けず、局所的にペロブスカイト化合物フィラーとガラス粉末の焼結体(以下ペロブスカイト化合物焼結体ともいう)の組成バラツキや焼結不良による空隙あるいは異常成長粒の発生が避けられず、内蔵コンデンサの特性の安定化が困難であった。
また、ガラス添加量が微量であるため、焼結過程において、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体とペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層との間でガラスの相互拡散が発生し、ペロブスカイト化合物焼結体の焼結が不安定となり、誘電体層の誘電率が安定しないという問題点があった。
また、ペロブスカイト化合物フィラーとガラス粉末の焼結体からなる誘電体層とガラスおよびフィラーの焼結体からなる絶縁基体は、熱収縮特性が異なることから、この熱収縮特性の差に起因して絶縁基体と誘電体層との間で応力が発生して、強度の弱い絶縁基体の仮焼体にクラックが発生する。その結果、絶縁基体の絶縁性が低下するという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、ガラスの偏析を防止することによって、均一な組成で、誘電体焼結体中に組成ばらつきや空隙あるいは異常成長粒がない誘電体層を形成し、焼結過程におけるガラスの拡散の影響が小さい高容量で安定した容量をもつ内蔵コンデンサが形成可能なコンデンサ内蔵配線基板を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、絶縁基体と誘電体層を同時焼成する際、絶縁基体と誘電体層との間の熱収縮特性の差を緩和し、高い絶縁信頼性をもつ絶縁基体と高容量の内蔵コンデンサが形成可能なコンデンサ内蔵配線基板を提供することにある。
本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部に、ガラスおよびチタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物フィラーの焼結体からなる誘電体層を金属粉末の焼結体からなる少なくとも2個の電極層で挟んだコンデンサ部を形成するようにしたコンデンサ内蔵ガラスセラミック多層配線基板であって、
前記ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率を1500以上、ガラスの比誘電率を100以上とし、且つ、前記誘電体層における前記ペロブスカイト化合物フィラーの体積比率を75乃至80体積%としたことを特徴とするものである。
また、本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、前記ガラスがSiO−BaO−TiO−Alを含み、且つ、チタン酸バリウムを析出する結晶化ガラスであって、前記ガラスの軟化温度が650℃乃至800℃、結晶化温度が900℃以下であることを特徴とするものである。
さらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、前記ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の変化率が、−55℃乃至125℃の温度領域内において、25℃の比誘電率を基準としたとき、−15%乃至15%であることを特徴とするものである。
またさらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、前記電極層が、平均粒径0.5μm乃至3μmのAg粉末またはCu粉末を含む焼結体から成ることを特徴とするものである。
さらにまた、本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、前記ペロブスカイト化合物フィラーは異なるキュリー温度を有した複数のペロブスカイト化合物フィラーからなることを特徴とするものである。
またさらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、前記異なるキュリー温度を持つ複数のペロブスカイト化合物フィラーは一般式“Ba1−XSrTiO”で示される少なくとも3種類のペロブスカイト化合物フィラーとペロブスカイト化合物フィラーに対し0.05〜0.15質量部からなるMgOを添加した化合物からなり、前記一般式中のX値が第1のペロブスカイト化合物フィラーで0〜0.05、第2のペロブスカイト化合物フィラーで0.1〜0.15、第3のペロブスカイト化合物フィラーで0.35〜0.45に設定されることを特徴とするものである。
本発明のコンデンサ内蔵配線基板は、誘電体層を比誘電率1500以上ペロブスカイト化合物フィラーと比誘電率が100以上のガラス粉末の焼結体としたことから誘電体層の誘電率を高い値とすることができる。これは一般にペロブスカイト化合物フィラーとガラス粉末の焼結体の誘電率は対数混合側に従うため、ペロブスカイト化合物フィラーおよびマトリックスガラスの誘電率が高い程誘電率が高くなるためである。
また、焼結体中に占めるペロブスカイト化合物フィラーの体積比率を75乃至80体積%とし、焼結体中に占めるガラスの比率を高くしたことから、ペロブスカイト化合物フィラー間のガラスの偏析をなくすことができる。その結果、組成バラツキや焼結不良による空隙あるいは異常成長粒のないペロブスカイト化合物焼結体を得ることができる。
しかも、従来に比べてペロブスカイト化合物焼結体中のガラスの体積比率を高くしたことから、絶縁基体と誘電体層間とのガラスの相互拡散の影響を相対的に小さくなり、ペロブスカイト化合物焼結体の焼結を安定化させることができる。
さらに、ペロブスカイト化合物焼結体中に占めるガラスの比率を20乃至25体積%としたことから、焼結の過程においてペロブスカイト化合物フィラーの再配列が行われ、ペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層とガラスセラミック焼結体かなる絶縁基体との熱収縮特性の差が小さなり、強度の低い絶縁基体の仮焼体にクラックが発生することはない。従って、高い絶縁信頼性をもつ絶縁基体を得ることができる。
また、本発明のコンデンサ内蔵ガラスセラミック多層配線基板によれば、マトリックスガラスを形成するガラス粉末としてSiO−BaO−TiO−Alを含みチタン酸バリウムを析出する結晶化ガラス粉末を用いることにより、マトリックスガラスの比誘電率を150以上とすることができる。また、軟化温度が650℃乃至800℃のガラス粉末を用いることにより、Ag,Cu等の低融点金属を配線導体として用いる一般的なガラスセラミック多層配線の絶縁基体の熱収縮特性とペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層の熱収縮特性の差をより小さくすることができる。また、結晶化温度を900℃以下とすることにより、高温の液相化したガラスとペロブスカイト化合物が反応して結晶化ガラスやペロブスカイト化合物フィラーの組成が所望のものと異なり、誘電率が低下することを防止することができる。その結果、高容量で安定した容量をもつ内蔵コンデンサを得ることができる。
さらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板によれば、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の変化率を−55℃乃至125℃において25℃の比誘電率を基準として−15%乃至15%に設定することにより、ペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層の誘電率の温度依存性を−55℃乃至125℃において−15%乃至15%とすることができる。その結果、容量の温度依存性の小さい内蔵コンデンサを得ることができる。
またさらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板によれば、平均粒径0.5μm乃至3μmのAg粉末またはCu粉末を含む焼結体によって電極層を形成することにより、電極層を700℃乃至900℃の温度領域で緻密な焼結体とすることができる。
これにより、絶縁基体と誘電体層間のガラスの相互拡散を防止し、絶縁基体材料と誘電体材料の反応を抑えることができる。その結果、絶縁基体と誘電体材料が反応して、誘電体材料の比誘電率が大幅に低下したりすることはない。従って、内蔵コンデンサを高容量なものとすることができる。
さらにまた、本発明のコンデンサ内蔵配線基板によれば、異なるキュリー温度を有した複数のペロブスカイト化合物フィラーを用いることにより、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度変化を相互補完して、所望の温度領域における誘電体相の比誘電率の温度変化を均等化し、所望の温度領域における内蔵コンデンサの容量を大きくかつ変化量を小さく抑えることができる。例えば、内蔵コンデンサの誘電体層が125℃にキュリー温度をもつ単一のペロブスカイト化合物フィラーで形成されている場合は、室温(25℃)に対する−55℃〜125℃の温度領域における内蔵コンデンサの容量変化は−18%〜40%となるが、80℃にキュリー温度をもつよう調整されたペロブスカイト化合物フィラー50質量部と15℃にキュリー温度をもつよう調整されたペロブスカイト化合物フィラー50質量部から内蔵コンデンサを形成した場合、−55℃〜125℃の温度領域における内蔵コンデンサの容量変化を室温に対して−20%〜25%とすることができる。
またさらに、本発明のコンデンサ内蔵配線基板によれば、異なるキュリー温度を持つ複数のペロブスカイト化合物フィラーを一般式“Ba1−XSrTiO”で示される少なくとも3種類のペロブスカイト化合物フィラーとペロブスカイト化合物フィラーに対し0.05〜0.15質量部からなるMgOを添加した化合物により形成するとともに、前記一般式中のX値を第1のペロブスカイト化合物フィラーで0〜0.05、第2のペロブスカイト化合物フィラーで0.1〜0.15、第3のペロブスカイト化合物フィラーで0.35〜0.45に設定することにより、それぞれ100℃〜120℃、40℃〜60℃、−30℃〜0℃の温度領域内でキュリー温度を持ち、キュリー温度領域におけるペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率を5000以上でかつキュリー温度領域における誘電率の温度依存性を緩和したものとすることができる。その結果、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度変化を相互補完して、−55℃〜125℃の温度領域における内蔵コンデンサの容量変化を室温に対して−12%〜2%と小さいものとすることができる。
本発明のコンデンサ内蔵配線基板を添付図面に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は本発明のコンデンサ内蔵配線基板の実施の形態の一例を説明する断面図である。本発明のコンデンサ内蔵配線基板10は、複数の絶縁層11a,11bを積層して成る絶縁基体11と、誘電体層12と、誘電体層12の上下に積層された複数の電極層13a,13bと配線層14と、貫通導体15とを有している。
同図に示すコンデンサ内蔵配線基板10における絶縁層11a、11bは、ガラス成分とセラミック粉末(セラミックフィラー)との焼結体から成る。このガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは上記と同じである),SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(但し、Mは上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
また、セラミック粉末としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
この絶縁層11a,11bの焼成前の生シートであるグリーンシートは、ガラス粉末およびセラミック粉末と、有機バインダ,有機溶剤,可塑剤等とを添加混合してスラリーとし、そのスラリーを用いてドクターブレード法やカレンダロール法を採用することによって成形する。上記有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものを用いることができ、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラール系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
グリーンシートを成形するためのスラリーに用いられる有機溶剤としては、その有機溶剤とガラス粉末とセラミック粉末と有機バインダとを混練してグリーンシート成形に適した粘度のスラリーが得られるように、例えば炭化水素類,エーテル類,エステル類,ケトン類,アルコール類等から成るものが挙げられる。
以上のようにして作製したグリーンシートに、必要に応じて金型加工やレーザ加工,マイクロドリルやパンチング等の機械的加工により貫通孔を形成する。この貫通孔に、Ag,Cu,Ag−Pt,Ag−Pd等の金属粉末とガラス粉末とに適当な有機バインダ,溶剤を添加混合した貫通導体用ペーストを、スクリーン印刷等により充填して、貫通導体15を形成する。
また、これらのグリーンシートの表面に、Ag,Cu,Ag−Pt,Ag−Pd等の金属粉末とガラス粉末に適当な有機バインダ,溶剤を添加混合した配線導体用ペーストを、スクリーン印刷等により塗布し、配線層14を形成してもよい。
本発明において、誘電体層12はチタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物フィラーと誘電率が100以上のガラス粉末からなる焼結体であって、ペロブスカイト化合物フィラーおよびガラス粉末の比誘電率がそれぞれ1500以上、100以上であり、かつペロブスカイト化合物焼結体中にペロブスカイト化合物フィラーが体積比率で75乃至80体積%を占めていることを特徴とする。
一般に、ペロブスカイト化合物フィラーとガラス粉末の焼結体の誘電率は対数混合側に従うため、ペロブスカイト化合物フィラーおよびマトリックスガラスの誘電率をそれぞれ1500以上、100以上とすることで誘電体層12の比誘電率を高くし、内蔵コンデンサの容量を高いものとすることができる。
また、ペロブスカイト化合物焼結体中に占めるペロブスカイト化合物フィラーの体積比率を75乃至80体積%で、ペロブスカイト化合物焼結体中に占めるガラスの比率が従来より高いことから、ペロブスカイト化合物フィラー間のガラスの偏析がなく、かつペロブスカイト化合物焼結体に対する絶縁基体と誘電体層間とのガラスの相互拡散の影響が小さい。その結果、ペロブスカイト化合物焼結体の焼結状態を組成バラツキや焼結不良による空隙あるいは異常成長粒がない安定したものとすることができ、高容量で安定した容量をもつ内蔵コンデンサを得ることができる。
さらに、ペロブスカイト化合物焼結体中に占めるガラスの体積比率が20乃至25体積%であることから、焼結の過程においてペロブスカイト化合物フィラーの再配列が行われ、ペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層とガラスセラミック焼結体からなる絶縁基体との熱収縮特性の差が小さくなる。その結果、熱収縮特性の差に起因する絶縁基体と誘電体層間の応力は小さくなり、強度の低い絶縁基体の仮焼体にクラックが入ることがないため絶縁基体の絶縁信頼性を高いものとすることができる。
例えば、誘電率が100以上のガラス粉末にはSiO−BaO−TiO−Alを含み、チタン酸バリウムを析出する結晶化ガラスが挙げられる。また、上記結晶化ガラスの軟化温度は650℃乃至800℃、結晶化温度が900℃以下であることが望ましい。
軟化温度が650℃より低い、あるいは800℃より高い場合、一般的なガラスセラミック多層配線の絶縁基体の熱収縮特性とペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層の熱収縮特性の差は大きくなる。その結果、絶縁基体と誘電体層との間で発生する応力が大きくなって、強度の弱い絶縁基体の仮焼体にクラックが生じて、絶縁基体の絶縁性が低下する場合がある。
また、結晶化温度が900℃を超える場合、900℃以上の高温雰囲気下で液相化したガラスとペロブスカイト化合物フィラーが反応して結晶化ガラスあるいはペロブスカイト化合物フィラーの組成が所望のものからずれることがある。その結果、誘電体層12の比誘電率が小さくなり、内蔵コンデンサの容量が所望の値より小さくなる場合がある。
また、ペロブスカイト化合物フィラーは−55℃乃至125℃においてその比誘電率の温度変化率が25℃の比誘電率を基準として−15%乃至15%であることが望ましい。
ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度変化が−15%乃至15%とすることによりペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層の誘電率の温度依存性を−15%乃至15%とすることができる。その結果、容量の温度依存性の小さい内蔵コンデンサを得ることができる。
ここで、ペロブスカイト化合物フィラーとは、チタン酸バリウムの一部元素がMg,Ca,Sr、Zr等で置換されているもの、或いは、PbTiO、PbZrO等の鉛系のペロブスカイト化合物を意味する。但し、鉛系ペロブスカイト化合物は本実施の形態にあげたSiO−BaO−TiO−Alを含み、チタン酸バリウムを析出する結晶化ガラスをマトリックスガラスに用いた場合、ペロブスカイト化合物フィラーとマトリックスガラスが反応するため、チタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物を用いることが好ましい。
また、誘電体層を形成するペロブスカイト化合物焼結体が異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーと誘電率が100以上のガラス粉末から形成される場合、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度変化を相互補完し、所望の温度領域における誘電体相の比誘電率の温度変化を均等化することができる。その結果、所望の温度領域における内蔵コンデンサの容量が大きくかつ変化量を小さく抑えることができる。通常のコンデンサで行なわれるようにペロブスカイト化合物フィラーにMgO等を添加してペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度依存性を抑制した場合、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率は2000〜4000であり、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率を5000以上とすることは困難である。逆にMgO等キュリー温度における比誘電率の上昇を抑える添加物を添加しない場合、キュリー温度付近の温度における比誘電率は大きく比誘電率以上と非常に大きなものとすることができるが、それ以外の温度では比誘電率が小さく、またペロブスカイト化合物焼結体からなる誘電体層の比誘電率の温度依存性が大きくなるという問題点がある。従って、容量の温度変化率を抑えたい所望の温度領域において、異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーを組み合わせることは、ペロブスカイト化合物焼結体の比誘電率が高くかつ温度変化を小さくできる点で優れている。複数のキュリー温度の組み合わせは特に限定されるものではないが、所望の温度領域でキュリー温度における比誘電率(最大誘電率)の80%となる温度で重なり合う様に異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーを混合するとよい。
異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーには、例えばチタン酸バリウムのBaをSrで置換したBST(一般式:“Ba1−XSrTiO”)、チタン酸バリウムのTiをZr,Snでそれぞれ置換したBZT(一般式:“BaZrTi1−x”)、BSnT(一般式:“BaSnTi1−x”)が挙げられ、また、X値を変えることによってキュリー温度を変えることができる。また、異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーは単種の化合物系からなる必要はなく、例えばBSTとBSnTあるいはBSTとBZTの混合体であっても構わない。
また、−55℃乃至125℃において、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の温度変化を相互補完し、誘電体層の比誘電率の温度変化を均等化するためには、少なくとも100℃〜120℃、40℃〜60℃、−30℃〜0℃にキュリー温度をもつようペロブスカイト化合物フィラーのキュリー温度を設定する必要がある。例えば、ペロブスカイト化合物焼結体をBSTで形成した場合、BSTの一般式:Ba1−XSrTiOのX値を第1のペロブスカイト化合物フィラーでは0〜0.05、第2のペロブスカイト化合物フィラーは0.1〜0.15、第3のペロブスカイト化合物フィラーは0.35〜0.45とすることによって、それぞれキュリー温度を100℃〜120℃、40℃〜60℃、−30℃〜0℃にすることできる。BSTに対し0.05〜0.2質量部のMgOを添加したペロブスカイト化合物フィラーはBZT等を用いたペロブスカイト化合物フィラーに対してキュリー温度における比誘電率のピークが緩和されているため、より容易に−55℃乃至125℃において誘電体層の比誘電率の温度変化を均等化することができる。
また、BSTに対し0.05〜0.2質量部のMgOを添加したペロブスカイト化合物フィラーはキュリー温度領域において比誘電率を5000以上と高い。その結果、−55℃〜125℃の温度領域における内蔵コンデンサの容量変化を室温に対して−12%〜10%と小さく、かつ誘電体層の比誘電率を1500以上とすることが可能となる。
この誘電体層12の焼成前の生シートである誘電体グリーンシートは、ペロブスカイト化合物フィラーおよびガラス粉末と、有機バインダ,有機溶剤,可塑剤等とを添加混合してスラリーとし、そのスラリーを用いてドクターブレード法やカレンダロール法を採用することによって成形される。このペロブスカイト化合物フィラーおよびガラス粉末に添加混合される有機バインダとしては、絶縁基体11を構成するセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラール系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
グリーンシートを成形するためのスラリーに用いられる有機溶剤としては、その有機溶剤とガラス粉末とセラミック粉末と有機バインダとを混練してグリーンシート成形に適した粘度のスラリーが得られるように、例えば炭化水素類,エーテル類,エステル類,ケトン類,アルコール類等から成るものが挙げられる。
電極層13は、誘電体グリーンシートおよびグリーンシート上に、AgまたはCuを主成分とするの金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤を添加混合した金属ペーストを、スクリーン印刷等により塗布して形成することができる。
絶縁基体11と誘電体層12との間に形成される電極層13は、好ましくは低融点金属であるAgまたはCuで、その平均粒径が0.5μm乃至3μmからなる焼結体とするのがよい。平均粒径が0.5μm乃至3μmである、Ag粉末またはCu粉末の焼結体としたことから電極層を700℃乃至900℃の温度領域で緻密な焼結体とすることができる。その結果、絶縁基体と誘電体層間のガラスの相互拡散を防止し、絶縁基体とペロブスカイト焼結体が反応して、ペロブスカイト焼結体の比誘電率が大幅に低下したりすることはない。
Ag粉末あるいはCu粉末の平均粒径が0.5μmより小さい場合、特にCu粉末に関しては前記金属粉末が部分的に緻密な膜を形成し、脱脂時にバインダの分解ガスのパスがなくなることにより電極層に膨れが発生する場合がある。
また、Ag粉末あるいはCu粉末の平均粒径が3.0μを超える場合、電極層13の緻密化度が十分でないため、絶縁基体とペロブスカイト焼結体の反応してペロブスカイト焼結体の比誘電率が低下する場合がある。
さらに、絶縁基体11となるグリーンシートと誘電体グリーンシートとを3〜20MPaの圧力と50〜80℃の温度で加熱圧着して積層体を作製する。その後、例えば配線層14あるいは電極層13を形成する金属粉末の焼結体がAgである場合、大気中で800乃至1000℃の温度で、配線層14あるいは電極層13を形成する金属粉末の焼結体がCuである場合、窒素雰囲気下で800乃至1000℃の温度で積層体を焼成することにより、本発明のコンデンサ内蔵配線基板10が得られる。
また、積層体を焼成する際に、グリーンシートが焼結する温度では実質的に焼結収縮しない無機成分、例えばアルミナから成る拘束グリーンシートを積層体の両面に積層して焼成すると、この拘束グリーンシートによって積層体の主面方向の焼成時の収縮が拘束されて抑制されるために、コンデンサ内蔵配線基板10の反り、変形をより好適に抑えることができる。
さらに、コンデンサ内蔵配線基板10の表面に位置する配線層14には、その表面に電子部品を実装する際の半田濡れ性の向上や配線層14の腐食防止のために、ニッケル,銅,金等のめっき層を施してもよい。
またさらに、上述した実施の形態においては、ペロブスカイト化合物のキュリー温度における比誘電率のピークを緩和する目的でMgOを用いた例について説明したが、Fe、Nb,Co等を添加してもよい。また、電気特性、信頼性等の向上を目的にMnO、Yb,V等を添加しても構わない。
本発明のコンデンサ内蔵配線基板の実施例を以下に説明する。
<実施例1>
コンデンサ内蔵配線基板の絶縁基体となるグリーンシートを得るために、ガラスとしてSiO−CaO−MgO系ガラス粉末50質量部と、セラミックフィラーとしてAl粉末50質量部とを混合し、この無機粉末100質量部に、有機バインダとしてアクリル系樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ200μmのグリーンシートを成形した。
同様にコンデンサ内蔵配線基板の誘電体層となる誘電体グリーンシートを得るために、チタン酸バリウムフィラーを主成分としたぺロブスカイト化合物フィラー100質量部に対し、SiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラス粉末を表1に示す量を混合し、この無機粉末100質量部に、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂を12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ30μmの誘電体グリーンシートを成形した。ここで、表1〜表4に示すペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率はペロブスカイト化合物フィラーの加圧体を1100℃にて焼成したときの比誘電率の値である。
さらに、コンデンサ内蔵配線基板の実質的に平面方向の焼結収縮を抑える拘束グリーンシートを得るため、Al粉末100質量部に有機バインダとしてアクリル系樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ200μmの拘束グリーンシートを成形した。
次に、誘電体グリーンシート及びグリーンシート上に、電極層となる電極層ペーストをスクリーン印刷法で塗布し70℃で30分乾燥して10mm□の電極層を形成した。電極層ペーストは、平均粒径が1.0μmのAg粉末100質量部に、アクリル樹脂12質量部と有機溶剤としてα−テルピネオール6質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合したものを用いた。
グリーンシートおよび誘電体グリーンシートに、パンチングマシーンを用いて所定位置に貫通孔を形成し、この貫通孔にスクリーン印刷法で貫通導体用ペーストを充填した。貫通導体用ペーストとしては、Ag粉末(平均粒径3μm)100質量部に対して、ガラス粉末10質量部を加え、さらに有機バインダとして所定量のアクリル系樹脂およびテルピネオールを加えて、攪拌脱泡機により十分に混合したものを用いた。
次に、グリーンシートと誘電体グリーンシートを5MPaの圧力と50℃の温度で真空加熱圧着して、図2に示す積層体を作製した。さらに、この積層体の上下に拘束グリーンシートを5MPaの圧力と50℃の温度で真空加熱圧着した。
次に、この積層体を、500℃で3時間のバインダの燃焼行程と、表5に示す最高温度で1時間のセラミックスの焼結工程とからなる焼成工程で焼成し、緻密なガラスセラミックス焼結体から成る絶縁体の内部に同時焼成により誘電体層を配設して成るコンデンサ内蔵配線基板を得た。その断面図を図2に示す。
表1〜表4は表5に示す最高温度でコンデンサ内蔵配線基板を焼成したとき、内蔵コンデンサの比誘電率とコンデンサ内蔵配線基板の絶縁基体の観察結果を示したものである。
ここで、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率はペロブスカイト化合物フィラーの加圧体をペロブスカイト化合物フィラーの粒成長がほとんど発生しない1100℃にて焼成し、その上下に直径15mmΦのパターンをAgエポキシペーストにて電極を形成したサンプルで測定した結果をペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率とした。また、サンプルの比誘電率εはサンプルの厚みをd、直径15mmΦの面積をS、真空の誘電率をε、そして測定周波数1MHz、測定温度25℃の条件でインピーダンス測定器を用いて測定した容量をCとしたとき、ε=C×d/Sεとして求めた値である
また、表5はコンデンサ内蔵配線基板の焼成工程と同等の熱履歴をSiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラスに加えてガラスの単板を作製し、その上下に直径15mmΦのパターンをAgエポキシペーストにて電極を形成したサンプルを用いて測定した結果である。具体的にはガラス単板の厚みをd、直径15mmΦの面積をS、真空の誘電率をε、そして測定周波数1MHz、測定温度25℃の条件でインピーダンス測定器を用いて測定した容量をCとしたとき、SiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラスの比誘電率εをε=C×d/Sεとして求めた値である。
さらに表1〜表4中のペロブスカイト化合物フィラーの体積比率は及び絶縁層のクラックの有無はコンデンサ内蔵配線基板の断面観察(×3000倍 SEM)の結果より導出した値であり、コンデンサ内蔵配線基板の比誘電率はSiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラスと同等な方法にて測定した。ここで、比誘電率が1000以上で絶縁基体にクラックが観察されないものを○、それ以外を×として判定を行った。
なお、表1〜表4は表5に示す最高温度でコンデンサ内蔵配線基板を焼成したとき、内蔵コンデンサの比誘電率とコンデンサ内蔵配線基板の絶縁基体の観察結果である。表5はSiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラスを各温度で焼結させたときSiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラスの比誘電率を測定した結果である。
Figure 2006179844
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<実施例2>
SiO−BaO−TiO−Al系ガラス粉末の軟化温度、結晶化温度の影響を調査する為、SiO−BaO−TiO−Al系ガラス粉末中のBaOの比率の変えてによって表6に示すような軟化温度,結晶化温度をもつガラス粉末を準備した。チタン酸バリウムフィラーを主成分とした比誘電率1500のぺロブスカイト化合物フィラー100質量部に対し、SiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラス粉末を14質量部混合し、この無機粉末100質量部に、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂を12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ200μmの誘電体グリーンシートを成形した。
ここで、軟化温度、結晶化温度はDTA(示差熱分析)にて昇温速度10℃/分を用いて測定を行った結果である。
次に、各誘電体グルーンシート、絶縁基体を形成するグリーンシートを10層積層して生積層体を作製し,この熱収縮特性をTMA(熱機械分析)にて測定した。誘電体グリーンシートとグリーンシートとの間の熱収縮特性の差(25℃乃至950℃の最大値)および誘電体グリーンシートの誘電率の測定結果を表6に示す。ここで、誘電率の測定方法は実施例1記載の方法にて行い、比誘電率が1000以上で熱収縮特性の差が15%より小さいものを○、比誘電率が1000以上で熱収縮特性の差が15%乃至25%であるものを△、それ以外のものを×とした。なお、表6はSiO−BaO−TiO−Al系ガラス粉末の軟化温度,結晶化温度と誘電体グリーンシートとグリーンシートの熱収縮特性の差および焼成後の誘電体グリーンシートの誘電率を測定した結果である。
Figure 2006179844
<実施例3>
実施例1に対し、表7に示すペロブスカイト化合物フィラーを用いて誘電体グリーンシートを作製し、コンデンサ内蔵配線基板を作製した。ヘロブスカイト化合物フィラーの種類を除き実施例1と同様な方法を用いた。ペロブスカイト化合物フィラー1は正方晶構造を示すチタン酸バリウム粉末、ペロブスカイト化合物フィラー2はチタン酸バリウム100質量部に対し、MgO、MnOをそれぞれ0.5、0.1質量部を添加した化合物、ペロブスカイト化合物フィラー3はチタン酸バリウム粉末100質量部に対し、チタン酸ストロンチウム、MgO、MnOをそれぞれ15、0.5,0.1質量部添加した化合物である。表7において、コンデンサ内蔵配線基板の内蔵コンデンサの−55℃乃至125℃における内蔵コンデンサの容量変化量が25℃の時の容量値を基準としたとき−15%乃至15%のものを○、内蔵コンデンサの容量変化量が−15%乃至15%より大きくなるものを△とした。その結果、ペロブスカイト化合物フィラーの比誘電率の変化量が−55℃乃至125℃において25℃の比誘電率を基準としたとき、15%乃至15%のものであれば内蔵コンデンサの容量変化量が25℃の時の容量値を基準としたとき−15%乃至15%となることが判明した。なお、表7はペロブスカイト化合物フィラーの誘電率の温度依存性とコンデンサ内蔵配線基板の内蔵コンデンサの容量温度依存性の関係を調査した結果である。
Figure 2006179844
<実施例4>
実施例1において、電極層を表8に示す平均粒径のAg粉末を用いて形成した。電極層ペーストは100質量部に、アクリル樹脂12質量部と有機溶剤としてα−テルピネオール6質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合したものを用いた。Ag粉末の平均粒径の他は実施例1と同様にして実施した。
表8は電極層ペーストのAg粉末の平均粒径とコンデンサ内蔵配線基板の断面観察の結果および内蔵コンデンサの容量のバラツキ量を示した結果である。内蔵コンデンサの容量バラツキが20%以下である場合を○、容量バラツキが20%を超える場合を△、また電極層に膨れがないものを○、電極層に膨れが見られるものを△と表示した。その結果、Ag粉末の平均粒径が0.5μm乃至3μmの時より容量のバラツキ量が小さく、かつ電極層にブク等のないコンデンサ内蔵配線基板が得られることが判明した。なお、表8はAg粉末の平均粒径と誘電率のバラツキおよび電極層の膨れの関係を調査した結果である。
Figure 2006179844
<実施例5>
コンデンサ内蔵配線基板の絶縁基体となるグリーンシートを得るために、ガラスとしてSiO−CaO−MgO系ガラス粉末50質量部と、セラミックフィラーとしてAl粉末50質量部とを混合し、この無機粉末100質量部に、有機バインダとしてアクリル系樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ200μmのグリーンシートを成形した。
同様にコンデンサ内蔵配線基板の誘電体層となる誘電体グリーンシートを得るために、ペロブスカイト化合物フィラー100質量部に対し、SiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラス粉末を12.5質量部加えて混合し、この無機粉末100質量部に、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂を12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ30μmの誘電体グリーンシートを成形した。ここで、異なるキュリー温度をもつ複数のペロブスカイト化合物フィラーを用いた場合の効果を調査するため、ペロブスカイト化合物フィラーは以下のように形成したものを用いた。
ペロブスカイト化合物フィラーはBaTiOのX質量部に対し、SrTiOを(100−X)質量部とMgOを添加し、1100℃で仮焼して、その後ボールミルで24時間粉砕したものを用いた。表9はX=75に固定した時、MgOの添加量とペロブスカイト化合物焼結体の比誘電率とその温度依存性を調査した結果である。ペロブスカイト化合物焼結体はペロブスカイト化合物フィラーにSiO−BaO−TiO−Al系結晶化ガラス粉末を12.5質量部加えて混合し誘電体組成物の加圧体を作成して、これを900℃で焼成して作成した。ここで、X=75という値はペロブスカイト化合物フィラーのキュリー温度が25℃となるよう選択した値であり、実際、得られたペロブスカイト化合物焼結体はキュリー温度が25℃のものであった。また、表9にかかる実験では、ペロブスカイト化合物焼結体の誘電率が2000以上でかつ比誘電率が最大比誘電率の80%となる温度が60℃以上である範囲をMgOの添加量として適切であると判断した。
また、ペロブスカイト化合物フィラーのX値は−55℃〜125℃の温度領域で比誘電率の温度変化が小さくなるよう表10に示すような値のものを用いた。ここで、MgOの添加量はBaTiOと、SrTiOの和に対して0.05、0.1、0.15質量部添加したもの、またX値に関してはX値が大きくなる程キュリー温度が低くなることが知られており、ペロブスカイト化合物フィラー1、ペロブスカイト2、ペロブスカイト化合物フィラー3のキュリー温度がそれぞれ100℃〜120℃、40℃〜60℃、−30℃〜0℃にくる値として、0.03,0.13、0.42を選択し、その前後のX値に関して調査をおこなった。また、その添加量に関しては各ペロブスカイト化合物フィラーが均等になるよう、1:1:1の比率で混合した。
さらに、コンデンサ内蔵配線基板の実質的に平面方向の焼結収縮を抑える拘束グリーンシートを得るため、Al粉末100質量部に有機バインダとしてアクリル系樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部および溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ200μmの拘束グリーンシートを成形した。
次に、誘電体グリーンシート及びグリーンシート上に、電極層となる電極層ペーストをスクリーン印刷法で塗布し70℃で30分乾燥して10mm□の電極層を形成した。電極層ペーストは、平均粒径が1.0μmのAg粉末100質量部に、アクリル樹脂12質量部と有機溶剤としてα−テルピネオール6質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合したものを用いた。
グリーンシートおよび誘電体グリーンシートに、パンチングマシーを用いて所定位置に貫通孔を形成し、この貫通孔にスクリーン印刷法で貫通導体用ペーストを充填した。貫通導体用ペーストとしては、Ag粉末(平均粒径3μm)100質量部に対して、ガラス粉末10質量部を加え、さらに有機バインダとして所定量のアクリル系樹脂およびテルピネオールを加えて、攪拌脱泡機により十分に混合したものを用いた。
次に、グリーンシートと誘電体グリーンシートを5MPaの圧力と50℃の温度で真空加熱圧着して、図2に示す積層体を作製した。さらに、この積層体の上下に拘束グリーンシートを5MPaの圧力と50℃の温度で真空加熱圧着した。
次に、この積層体を、500℃で3時間のバインダの燃焼工程と、最高温度930℃で1時間のセラミックスの焼結工程とからなる焼成工程で焼成し、緻密なガラスセラミックス焼結体から成る絶縁体の内部に同時焼成により誘電体層を配設して成るコンデンサ内蔵配線基板を得た。
表10は一般式:“Ba1−XSrTiO“で記述されるBSTのX値とBSTに対し、MgOの添加量を0.05、0.10、0.15質量部添加した時の内蔵コンデンサの比誘電率および容量の温度変化率の結果を示したものである。ここで、内蔵コンデンサの比誘電率が1500以上また室温25℃の対する比誘電率の温度変化率が−55℃乃至125℃において±15%以内となるものを○それ以外のものを△として判定した。また、比誘電率は誘電体層の比誘電率は電極層の面積をS,真空の誘電率をε、そして測定周波数1MHz、測定温度25℃の条件でインピーダンス測定器を用いて測定した内蔵コンデンサの容量をCとしたとき、誘電体層の比誘電率εをε=C×d/Sεとして求めた値である。表10の結果から、第1のペロブスカイト化合物フィラーで0〜0.05、第2のペロブスカイト化合物フィラーで0.1〜0.15、第3のペロブスカイト化合物フィラーで0.35〜0.45に設定したものは表10の判定において全て○となることが確認された。なお、表9はチタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの固溶体に対し、MgOの添加量を変化させた時の比誘電率とキュリー温度における比誘電率(最大誘電率)に対し80%の比誘電率となる温度を調査した結果を示し、表10は、BSTに対するMgOの添加量を0.05、0.10、0.15質量部と変化させたとき、内蔵コンデンサの比誘電率と室温に対する比誘電率の温度変化率を調査した結果である。
Figure 2006179844
Figure 2006179844
本発明のコンデンサ内蔵配線基板にかかる実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明のコンデンサ内蔵配線基板にかかる実施の形態の他の例を示す断面図である。 従来のコンデンサ内蔵配線基板を示す断面図である。
符号の説明
1,10,100・・・コンデンサ内蔵配線基板
2,11a,11b,101a,11b・・・絶縁基体
3,12,102・・・誘電体層
4,13a、13b,103a、103b・・・電極層
5,15,105・・・貫通導体
6,14,104・・・配線層

Claims (6)

  1. ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部に、ガラスおよびチタン酸バリウムを主成分とするペロブスカイト化合物を含む焼結体からなる誘電体層を金属粉末の焼結体からなる少なくとも2個の電極層で挟んだコンデンサ部を有したコンデンサ内蔵配線基板であって、
    前記ペロブスカイト化合物の比誘電率が1500以上、前記ガラスの比誘電率が100以上であり、且つ、前記誘電体層における前記ペロブスカイト化合物の体積比率が75乃至80体積%に設定されていることを特徴とするコンデンサ内蔵配線基板。
  2. 前記ガラスがSiO−BaO−TiO−Alを含み、且つ、チタン酸バリウムを析出する結晶化ガラスであって、前記ガラスの軟化点が650℃乃至800℃、結晶化温度が900℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ内蔵配線基板。
  3. 前記ペロブスカイト化合物の比誘電率の変化率が、−55℃乃至125℃の温度領域内で、25℃の比誘電率を基準として、−15%乃至15%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ内蔵配線基板。
  4. 前記電極層が、平均粒径0.5μm乃至3μmのAg粉末またはCu粉末を含む焼結体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンデンサ内蔵配線基板。
  5. 前記ペロブスカイト化合物フィラーは異なるキュリー温度を有した複数のペロブスカイト化合物フィラーからなることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項4に記載のコンデンサ内蔵配線基板。
  6. 前記異なるキュリー温度を持つ複数のペロブスカイト化合物フィラーは一般式“Ba1−XSrTiO”で示される少なくとも3種類のペロブスカイト化合物フィラーとペロブスカイト化合物フィラーに対し0.05〜0.15質量部からなるMgOを添加した化合物からなり、前記一般式中のX値が第1のペロブスカイト化合物フィラーで0〜0.05、第2のペロブスカイト化合物フィラーで0.1〜0.15、第3のペロブスカイト化合物フィラーで0.35〜0.45に設定されることを特徴とする請求項5に記載のコンデンサ内蔵配線基板。
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JPWO2013084334A1 (ja) * 2011-12-08 2015-04-27 日本碍子株式会社 大容量モジュール用基板、及び当該基板の製造方法

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