JP2735776B2 - 多層アルミナ質配線基板及び半導体素子収納用パッケージ - Google Patents

多層アルミナ質配線基板及び半導体素子収納用パッケージ

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JP2735776B2
JP2735776B2 JP5270128A JP27012893A JP2735776B2 JP 2735776 B2 JP2735776 B2 JP 2735776B2 JP 5270128 A JP5270128 A JP 5270128A JP 27012893 A JP27012893 A JP 27012893A JP 2735776 B2 JP2735776 B2 JP 2735776B2
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alumina
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武志 窪田
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0306Inorganic insulating substrates, e.g. ceramic, glass
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/16Printed circuits incorporating printed electric components, e.g. printed resistor, capacitor, inductor

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  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に高誘電率層を有
するアルミナ質配線基板及び半導体素子収納用パッケー
ジに関するもので、より詳細には安定した電気的特性、
優れた密封性能及び機械的強度を有する配線基板及びパ
ッケージに関する。
【0002】
【従来技術】従来、例えば、半導体素子収納用パッケー
ジでは、半導体IC(集積回路)は外来ノイズや不要輻
射により誤動作を生じ易いため、30〜100μF程度
の容量を持ったセラミックコンデンサを電源側と接地側
との間に挿入することにより、ノイズを吸収し誤動作を
防止していた。従来はこのコンデンサの接続をパッケー
ジとは別の外付けにより行なっていたため、実装密度の
向上を図ることができなかった。
【0003】このような欠点を解決したものとしては、
従来、アルミナを主成分とする絶縁層間に、両側にW或
いはMoからなる一対の電極層が形成され、かつ、アル
ミナ中に、W或いはMoからなる高誘電率付与剤が含有
された高誘電体層を介装した半導体素子収納用パッケー
ジが知られている(特開昭62−169461号公報参
照)。このような半導体素子収納用パッケージでは、ア
ルミナ中にW又はMoを添加することにより高誘電率層
の誘電率を向上することができる。
【0004】また、多層アルミナ質配線基板としては、
例えば、特開平3−87091号公報に開示されるよう
に、両側にW又はMo等の高融点金属を主成分とするペ
ーストを塗布又は印刷してなる一対の電極層が形成さ
れ、かつ、アルミナ中にW又はMoからなる高誘電率付
与剤が含有された高誘電体層を、アルミナを主成分とす
る絶縁層間に介装した多層アルミナ質配線基板が知られ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、公知
の高誘電体層含有配線基板や半導体素子収納用パッケー
ジは、電気特性が未だ不安定であり、電極間の絶縁抵抗
が低下し、著しい場合には電極間がショートする等のお
それがあった。また、多層構造物の密封性(気密性)も
不十分であり、湿気等が浸透して電極層の表面抵抗を変
化させたり、或いは電極層と高誘電体層や絶縁層との間
に十分な接合強度が得られない等の欠点があった。
【0006】従って本発明の目的は、内部に高誘電体層
を有しながら、安定した電気的特性と優れた気密性及び
機械的強度を有するアルミナ質配線基板及び半導体素子
収納用パッケージを提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は電極層と高誘電体層や
絶縁層との間に優れた密着性、気密性及び層間接着強度
が得られるとともに、電極層構成材料の高誘電体層への
拡散移行が抑制される高誘電体層含有アルミナ質配線基
板及び半導体素子収納用パッケージを提供することにあ
る。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明の多層アルミナ
質配線基板は、高誘電体層を一対の電極層により挟持
し、さらにこれを一対の絶縁層により挟持してなる多層
アルミナ質配線基板であって、前記高誘電体層を、アル
ミナ粒子と、W,Mo,Re及びZrO2 から選択され
る少なくとも一種の高誘電率付与剤粒子と、これらの粒
界に存在するAl,Si,アルカリ土類金属及び希土類
元素の内少なくとも1種の元素の酸化物を含むガラス相
とから構成し、前記電極層を、W及びMoから選択され
る少なくとも一種の金属を主成分として構成し、前記絶
縁層を、アルミナ粒子と、Al,Si,アルカリ土類金
属及び希土類元素の内少なくとも1種の元素の酸化物を
含むガラス相とから構成するものである。
【0009】本発明の半導体素子収納用パッケージは、
高誘電体層を一対の電極層により挟持し、さらにこれを
一対の絶縁層により挟持してなり、半導体素子の収容部
を有する半導体素子収納用パッケージであって、前記高
誘電体層を、アルミナ粒子と、W,Mo,Re及びZr
2 から選択される少なくとも一種の高誘電率付与剤粒
子と、これらの粒界に存在するAl,Si,アルカリ土
類金属及び希土類元素の内少なくとも1種の元素の酸化
物を含むガラス相とから構成し、前記電極層を、W及び
Moから選択される少なくとも一種の金属を主成分とし
て構成し、前記絶縁層を、アルミナ粒子と、Al,S
i,アルカリ土類金属及び希土類元素の内少なくとも1
種の元素の酸化物を含むガラス相とから構成するもので
ある。
【0010】高誘電体層は、67〜87重量%のアルミ
ナ粉末と、5〜30重量%のWまたはMoと、Si,ア
ルカリ土類金属及び希土類元素の内少なくとも1種の元
素の酸化物からなる混合物を焼成することにより得られ
ることが望ましい。また、高誘電体層は、40〜95重
量%のアルミナ粉末と、5〜60重量%のRe及び3重
量%以上のSi,アルカリ土類金属及び希土類元素の内
少なくとも1種の元素の酸化物からなる混合物を焼成す
ることにより得られることが望ましい。さらに、高誘電
体層は、10〜90重量%のアルミナ粉末と、10〜9
0重量%のZrO2 粉末と3重量%以上のSi,アルカ
リ土類金属及び希土類元素の内少なくとも1種の元素の
酸化物からなる混合物を焼成することにより得られるこ
とが望ましい。
【0011】また、高誘電体層の高誘電率付与剤がW或
いはMoである場合に、電極層が高誘電率付与剤と同一
材料を主成分とすることが望ましい。また、高誘電体層
の高誘電率付与剤がWの場合電極層がMoを主成分と
し、或いは高誘電率付与剤がMoの場合電極層がWを主
成分とする場合には、誘電体層の厚みを30μm以上と
することが望ましい。さらに、高誘電率付与剤がZrO
2 である場合には、さらに、高誘電率付与剤としてW,
Mo,Reのうち一種を添加しても良い。そして、Mo
を添加する場合には全量に対して5〜30重量%含有
し、Wの場合は全量に対して5〜50重量%含有し、R
eの場合は全量に対して10〜60重量%含有すること
が望ましい。
【0012】本発明の配線基板及びパッケージにおいて
は、高誘電体層の両側に一対の電極層が形成されて1種
のコンデンサーを形成し、このコンデンサーが、一対の
絶縁層間に介装されている。電極層は公知のメタライズ
層、すなわちW或いはMoの少なくとも一種から形成さ
れる。
【0013】高誘電体層は、アルミナ粒子、高誘電率付
与剤粒子及びこれらの粒界に存在するガラス相から成
る。高誘電率付与剤は、この誘電体に10.8以上の比
誘電率、特に13〜40の比誘電率を与えるためのもの
で、本発明ではW、Mo、Re及びZrO2 を使用す
る。
【0014】粒界に介在するガラス相は、焼結助剤をか
ねて配合されるSi、アルカリ土類金属成分及び希土類
元素成分から選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物と
アルミナ粒子からのアルミナ分との反応で形成されてい
る。
【0015】高誘電率付与剤がZrO2 の場合は、Zr
2 が粒界のガラス相に微量溶け込む可能性がある。こ
の場合には耐薬品性が向上する。
【0016】絶縁層はアルミナ粒子とその粒界に存在す
るガラス相とから成り、そのガラス相の組成及び形成過
程は上記と同様のものである。
【0017】本発明では、電極層の両側にある高誘電体
層及び絶縁層に上記ガラス相を形成させることにより、
電極層とこれら両層の密着性を向上させるとともに、パ
ッケージの気密性及び層間接着強度を高めることができ
る。
【0018】かくして本発明の基板やパッケージでは電
気的特性が安定しており、電極間の絶縁抵抗が低下する
のを有効に防止できるのである。
【0019】本発明による基板及びパッケージは次のよ
うにして製造される。
【0020】即ち、平均粒径5μm以下のアルミナ粉末
を88〜96重量%と、SiO2 ,MgO,Y2 3
の希土類元素やアルカリ土類金属の酸化物等の焼結助剤
を4〜12重量%と、必要に応じてFe2 3 ,Cr2
3 ,MnO,TiO2 ,Mo或いはW等の着色材を
0.5〜5重量%添加混合し、これに例えば、ブチラー
ルやアクリル等のバインダーを添加し、さらにトルエン
等の溶剤を添加混合した後、ドクターブレード法等の公
知の方法により、厚さ0.2〜1mmにシート化する。
このようなグリーンシートを複数積層して絶縁層成形体
を作成する。
【0021】また、粒径5μmのアルミナ粉末と、高誘
電率付与剤と、SiO2 、CaO、MgO等のアルカリ
土類金属成分及びY2 3 等の希土類酸化物から成る焼
結助剤成分とを混合し、必要により、さらにFe
2 3 ,Cr2 3 ,MnO,TiO2 ,Mo或いはW
等の着色材を添加混合し、これに例えば、ブチラールや
アクリル等のバインダーを添加し、さらにトルエン等の
溶剤を添加混合した後、ドクターブレード法等の公知の
方法により、厚さ20〜60μmにシート化し、高誘電
体層成形体を作成する。
【0022】上記焼結助剤(ガラス化成分)の量は3重
量%以上の範囲にあるのがよい。上記範囲よりも少ない
と高誘電体層または絶縁層と電極層との密着性、気密性
及び接合強度が低下するので好ましくない。
【0023】高誘電率付与剤としてWまたはMoを使用
する場合、Al2 3 とW,Moとは87:10乃至6
7:30の範囲とするのがよい。
【0024】電極がWまたはMoの場合、高誘電率付与
剤も同じWまたはMoから成っていても、また電極がW
またはMoの場合、高誘電率付与剤が電極材料と異なる
材料から成っていてもよいが、後者の場合、高誘電層の
厚みを30μm以上とするのがよい。
【0025】即ち、高誘電率付与剤と電極層を同一材料
により構成すると、WまたはMoの全率固溶がなく、電
極層の高融点金属WまたはMoを高誘電体中に拡散する
ことを抑制し、電極間の高誘電体層の絶縁抵抗の低下を
阻止するとともに、電極間のリーク電流を防止できる。
【0026】高誘電率付与剤と電極層が異なる材料の場
合には、電極層形成材料のW、Moが高誘電体層中に拡
散するが、高誘電体層の厚みを30μm以上にすること
により電極層のW、Moが高誘電体層全体に拡散するこ
とがなく、電極間の絶縁抵抗の低下を阻止するとともに
電極間のリーク電流を防止できる。
【0027】高誘電率付与剤としてReを用いる場合、
アルミナとReは95:5乃至60:40の重量比で用
いるのがよい。Reは金属Re或いはRe2 3 の形で
または金属Re及びAl2 3 を一緒に添加することも
できる。
【0028】高誘電率付与剤として部分安定化または安
定化ジルコニウムを使用する場合、アルミナとジルコニ
アとは90:10乃至10:90特に70:30乃至3
0:70の重量比で使用するのがよい。ここで部分安定
化または安定化ジルコニアとしては、ZrO2 金属に対
して5〜15モル%の希土類酸化物を含有してなるもの
がよい尚、ZrO2 の量が上記範囲よりも多いと絶縁層
と誘電体層の熱膨張差が大きくなり、良好な積層体が形
成されない傾向がある。
【0029】また、ZrO2 全量に対して5〜15モル
%の希土類酸化物を含有したのは、希土類酸化物が5モ
ル%よりも少ないと正方晶から単斜晶への相変態が生
じ、クラックが生じる等の不具合が生じるからであり、
15モル%よりも多いとZrO2 そのものの誘電率が低
下し、誘電体層の高誘電率化の効果が低下するからであ
る。希土類酸化物としてはRE2 3 (Reは希土類元
素)で表されるものが好ましく、例えばY2 3 、Nd
2 3 、La2 3 、Sm2 3 等がある。
【0030】また、本発明のこの態様におけるZrO2
は5〜15モル%の希土類酸化物がZrO2 中に固溶し
安定化されたものであっても良い。即ち、本発明におけ
るZrO2 の結晶相としては、正方晶系と立方晶系が混
在した部分安定化ZrO2 であっても良く、立方晶系の
みの完全安定化ZrO2 であっても良く、更にこれらに
単斜晶系のZrO2 が混在していても良い。また、本発
明におけるAl2 3の結晶粒径は3〜20μmであ
り、ZrO2 の結晶粒径は1.5〜10μmであること
が望ましい。
【0031】安定化または部分安定化ZrO2 を原料粉
末として用いなくても、調合によりZrO2 を安定化す
るに必要な希土類元素化合物を添加し焼成段階で安定化
させても良い。
【0032】更に本発明のこの態様においては、Mo、
W、Reのうち少なくとも1種を含有するとともにMo
の場合は全量に対して5〜30重量%含有し、Wの場合
は全量に対して5〜50重量%含有し、Reの場合は全
量に対して10〜60重量%含有することが望ましい
が、これは、Moを30重量%よりも多く、或いはWを
50重量%よりも多く、或いはReを60重量%よりも
多く含有すると絶縁抵抗が急激に低下するからである。
【0033】本発明に用いる焼結助剤(ガラス成分)
は、SiO2 及び/またはY2 3 等の希土類酸化物
と、アルカリ土類金属酸化物とは、3:1乃至5:1の
重量比で用いることが望ましい。
【0034】そして、この高誘電体層成形体及び絶縁層
成形体にスルーホールを形成し、W、Moの高融点金属
ペーストを充填する。この後、高誘電体層成形体の上下
面に、WまたはMoを90〜100重量%、必要に応じ
て、Al2 3 、SiO2 、アルカリ土類金属、希土類
金属及びその化合物等を0〜10重量%添加含有して成
る電極層ペーストを塗布する。
【0035】そして、電極層ペーストが塗布された高誘
電体層成形体を、絶縁層成形体の間に介装し、所定圧力
で加圧して圧着する。この後、加湿した窒素,水素混合
ガス(還元性雰囲気)中で、1400〜1700℃にお
いて、1〜2時間焼成することにより、絶縁層間に誘電
体層及び電極層が介装された多層アルミナ質配線基板及
び半導体素子収納用パッケージを得る。
【0036】尚、高誘電体層成形体は、上記のようなシ
ートを複数作成し、これらのシートとW,Mo等の高融
点金属からなる電極層を交互に積層して構成しても良
い。このような場合には、静電容量の向上を図ることが
できる。
【0037】
【実施例】実施例1 本発明の多層アルミナ質配線基板を図面を用いて詳細に
説明する。
【0038】図1は、本発明の多層アルミナ質配線基板
の縦断面図を示している。図において、多層アルミナ質
配線基板は、高誘電体層11と、この高誘電体層11を
挟持するように積層された絶縁体層13より構成されて
いる。高誘電体層11の上下と絶縁体層13との間には
電極層15が形成されている。高誘電体層11は、先
ず、高誘電体層成形体を作成することにより得られる。
【0039】原料粉末として、平均粒径3μmのアルミ
ナ粉末を82重量%と、焼結助剤としてSiO2 6重量
%,CaO1重量%,MgO1重量%の計8重量%と、
WまたはMoからなる高誘電率付与剤を10重量%添加
し、混合し、これにブチラールからなるバインダーを添
加し、さらにトルエンとIPAからなるものを添加混合
した後、ドクターブレード法によりシート化し、高誘電
体層成形体を得る。
【0040】一方、絶縁層成形体を、平均粒径3μmの
アルミナ粉末を92重量%と、焼結助剤としてSiO2
6重量%,CaO1重量%,MgO1重量%の計8重量
%と、ブチラールからなるバインダーを添加し、さらに
トルエンを添加混合した後、ドクターブレード法により
シート化し、絶縁層成形体を作成する。そして、高誘電
体層成形体及び絶縁層成形体にスルーホールを形成し、
W,Mo等の高融点金属ペーストを充填する。
【0041】この後、高誘電体層成形体の上下面に、高
誘電体層成形体の高誘電率付与剤と同一の材料Wまたは
Moを98重量%と、アルミナを主成分とする添加物を
2重量%含有してなる電極層ペーストをスクリーン印刷
し、電極層を形成する。
【0042】そして、電極層ペーストが塗布された高誘
電体層成形体を、絶縁層成形体の間に介装する。この
後、加湿した窒素,水素混合ガス(還元性雰囲気)中
で、1550℃において2時間普通焼成し、本発明の多
層アルミナ質配線基板を得る。
【0043】ところで、本発明者等は、本発明の効果を
確認すべく、高誘電体層成形体の高誘電率付与剤の種類
や量及び電極層の材料を変化させて、電極層間のリーク
電流,静電容量を測定した。この実験結果を表1に示
す。
【0044】
【表1】
【0045】尚、上記実施例では、電極形状を25mm
×25mm×6μmとし、高誘電体層の厚みを25μm
とした。また、静電容量はQメータ(Y.H.P434
2A)を用いて行い、1KHz,1.0Vrmの条件で
25℃において測定した。
【0046】比較のため、SiO2 、CaO、MgO、
2 3 等の粒界相を構成する焼結助剤の添加量を種々
変化させる実験を行った結果、SiO2 、CaO、Mg
O、Y2 3 等の添加量が3重量%未満または添加しな
い場合には、外観上、W、Moから成る電極層が十分に
焼結せず、均一に付着形成させることが困難であった。
また、Heリークディレクターによりパッケージの気密
性の試験を行った結果、気密性が低下していることを確
認した。特に、SiO2 、CaO、MgO等を添加しな
い場合には焼結しにくく、気密性等の特性を特に劣化す
る傾向にあることを確認した。
【0047】これに対して本実施例の製品では、電極層
との密着性も良好で上記試験でのリークも認められなか
った 実施例2 電極層を高誘電体層成形体の高誘電率付与剤と異なる材
料で構成するとともに、高誘電体層を30μm以上とし
たものであるが、この実施例としては、高誘電体層成形
体の高誘電率付与剤と異なる材料を98重量%と、アル
ミナを主成分とする添加物を2重量%含有してなる電極
層ペーストを使用する点と、高誘電体層が30μm以上
となるように高誘電体層成形体を作成する点以外は上記
実施例1と同一である。
【0048】そして、本発明者等は、この発明の効果も
確認すべく、高誘電体層成形体の高誘電率付与剤の種類
や量及び電極層の材料、高誘電体層の厚みを変化させ
て、電極層間のリーク電流,静電容量を測定した。この
実験結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】尚、上記実施例では、電極形状を25mm
×25mm×6μmとした。また、各試料は、材料W,
Moや高誘電体層の厚みを変更するだけであり、他の条
件は同一である。
【0051】実施例3 実施例1と同様な材料を使用し、積層構成を図2乃至図
7のものとする以外は同様にして半導体素子収納用パッ
ケージを製造した。
【0052】図2のパッケージは、半導体素子21の下
面と上側電極層23が導体材料で接続されており、下側
電極層25はスルーホールにより半導体素子21と接続
されている。
【0053】図3のパッケージは、半導体素子21の下
方には、高誘電体層27と電極層29が交互に積層され
ており、これらの電極層29はスルーホールにより半導
体素子21と接続されている。
【0054】図4のパッケージは、半導体素子21の下
方には、高誘電体層27の上下に電極層29が形成され
ており、これらの電極層29はスルーホールにより半導
体素子21と接続されている。
【0055】図5のパッケージは、半導体素子21の下
方には、高誘電体層27の上下に電極層29が形成され
ており、これらの電極層29はスルーホールにより半導
体素子21と接続され、さらに、ピン31が下面に固定
され、これらのピン31には、電極層29と接触しない
状態で通過したスルーホールが接続されている。
【0056】図6のパッケージは、高誘電体層27と電
極層29が交互に積層されており、これらの電極層29
はスルーホールにより半導体素子21と接続され、さら
に、半導体素子21はヒートシンク33に固定されてい
る。
【0057】図7のパッケージは、フラットパッケージ
であり、高誘電体層27と電極層29が交互に積層され
ており、これらの電極層29はスルーホールにより半導
体素子21と接続されている。
【0058】実施例4 下記方法で図1に示す配線基板を製造した。
【0059】原料粉末として、粒径3μmのアルミナ粉
末を82重量%と、焼結助剤としてSiO2 6.4重量
%,CaO0.8重量%,MgO0.8重量%の計8重
量%と、Re金属粉末を10重量%添加し、混合し、こ
れにブチラールからなるバインダーを添加し、さらにト
ルエンを添加混合した後、ドクターブレード法によりシ
ート化し、高誘電体層成形体を得る。
【0060】一方、絶縁層成形体を、平均粒径3μmの
アルミナ粉末を92重量%と、焼結助剤としてSiO2
6.4重量%,CaO0.8重量%,MgO0.8重量
%の計8重量%と、ブチラールからなるバインダーを添
加し、さらにトルエンを添加混合した後、ドクターブレ
ード法によりシート化し、絶縁層成形体を作成する。
【0061】そして、高誘電体層成形体及び絶縁層成形
体にスルーホールを形成し、W,Mo等の高融点金属ペ
ーストを充填する。
【0062】この後、高誘電体層成形体の上下面に、金
属Re,Mo,Wのうち一種と、アルミナを主成分とす
る添加物を前記金属に対して1〜10重量%含有してな
る電極層ペーストをスクリーン印刷し、厚さ8μm程度
の電極層を形成する。
【0063】そして、電極層ペーストが塗布された高誘
電体層成形体を、絶縁層成形体の間に介装する。この
後、加湿した窒素,水素混合ガス(還元性雰囲気)中
で、1550℃において2時間普通焼成し、本発明の多
層アルミナ質配線基板を得る。
【0064】ところで、本発明者等は、本発明の効果を
確認すべく、高誘電体層成形体のRe量を変化させて高
誘電体層の誘電率の変化を測定した。この実験結果を図
8に示す。
【0065】尚、上記実施例では、電極形状を25mm
×25mm×6μmとし、高誘電体層の厚み25μmと
し、この誘電体層の両側に金属Reから成る厚さ5μm
の電極層を形成した。また、測定はQメータ(Y、H、
P4342A)を用いて行い、1KHz,1.0Vrm
の条件で25℃における静電容量を測定し、この静電容
量から25℃における誘電率を計算した。
【0066】このグラフから、アルミナ中におけるRe
の添加を増加すればする程、誘電率が高くなることが判
る。そしてReを60重量%よりも多く添加した実験を
おこなったが、この場合には絶縁抵抗が低下し、誘電率
を測定することができなかった。
【0067】実施例5 下記の方法で図1に示す配線基板を製造した。
【0068】原料粉末として、粒径3μmのアルミナ粉
末を48重量%と、焼結助剤としてSiO2 3重量%,
CaO0.5重量%,MgO0.5重量%の計4重量%
と、ZrO2 全量に対して8モル%のY2 3 で安定化
された部分安定化ZrO2 (8Y−ZrO2 )粉末を4
8重量%添加し、混合し、これにブチラールからなるバ
インダーを添加し、さらにトルエンとアルコールを添加
混合した後、ドクターブレード法によりシート化し、高
誘電体層成形体を得る。
【0069】一方、絶縁層成形体を、平均粒径3μmの
アルミナ粉末を92重量%と、焼結助剤としてY2 3
3.3重量%,SiO2 3.3重量%,CaO0.7重
量%,MgO0.7重量%を計8重量%と、ブチラール
からなるバインダーを添加し、さらにトルエンを添加混
合した後、ドクターブレード法によりシート化し、絶縁
層成形体を作成する。そして、高誘電体層成形体及び絶
縁層成形体にスルーホールを形成し、W,Mo等の高融
点金属ペーストを充填する。
【0070】この後、高誘電体層成形体の上下面に、金
属Re,Mo,Wのうち一種と、アルミナを主成分とす
る添加物を前記金属に対して1〜10重量%含有してな
る電極層ペーストをスクリーン印刷し、厚さ8μm程度
の電極層を形成する。
【0071】そして、電極層ペーストが塗布された高誘
電体層成形体を、絶縁層成形体の間に介装する。この
後、加湿した窒素,水素混合ガス(還元性雰囲気)中
で、1600℃において2時間普通焼成し、本発明の多
層アルミナ質配線基板を得る。
【0072】ところで、本発明者等は、本発明の効果を
確認すべく、上記実施例においてZrO2 全量に対して
5〜15モル%のY2 3 で安定化された部分安定化Z
rO2 の量を変化させて、高誘電体層の誘電率の変化を
測定した。この実験結果を図9に示す。
【0073】尚、上記実験では、電極形状を25mm×
25mm×6μmとし、高誘電体層の厚み25μmと
し、この誘電体層の両側に金属Reから成る厚さ5μm
の電極層を形成した。また、測定はQメータ(Y、H、
P4342A)を用いて行い、1KHz,1.0Vrm
の条件で25℃における静電容量を測定し、この静電容
量から25℃における比誘電率を計算した。
【0074】図9のグラフから、アルミナ中における部
分安定化ZrO2 の添加が増加すればする程、誘電率が
高くなることや、ZrO2 全量に対するY2 3 固溶量
が少ない方が比誘電率が高いことが判る。
【0075】実施例6 また本発明者等は、さらに上記実施例5においてZrO
2 全量に対して8モル%のY2 3 で安定化された安定
化ZrO2 48重量%、Al2 3 48重量%、助剤4
重量%と、さらにW、Mo、Reを添加した材料の比誘
電率を測定し、これを図10に示した。この図10のグ
ラフから、W、Mo、Reを添加した材料では、W、M
o、Reを添加しない場合よりもさらに比誘電率が向上
しており、W、Mo、Reの添加量を増加する程比誘電
率が向上していることが判る。さらに、本発明者等はM
oの添加量を30重量%よりも多く添加する実験、Wの
添加量を50重量%よりも多く添加する実験、Reの添
加量を60重量%よりも多く添加する実験を行ったが、
上記添加量を越えると急激に絶縁抵抗が低下し、ショー
トするものが多くなり、比誘電率を測定することができ
なくなった。
【0076】また、本発明者等は、上記実施例5におい
て、MoとWの2種類を1:1の割合で添加する実験を
行い、この結果を図10に示した。この図10よりMo
とWを添加した場合にも比誘電率が向上していることが
判る。W、Mo、Reは酸化物の形で添加しても同様の
効果を得ることができる。
【0077】
【発明の効果】以上詳述した通り、電極層中の高融点金
属が高誘電率層中に拡散することがなく、或いは拡散し
ても高誘電層全体に拡散することがなく、電極間の絶縁
抵抗の低下を阻止することができ、高誘電率を保持する
ことができる。
【0078】また、内部に高誘電体層を有しながら、安
定した電気的特性と優れた気密性及び機械的強度を有す
ることができるとともに、電極層と高誘電体層や絶縁層
との間に優れた密着性、気密性及び層間接着強度を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層アルミナ質配線基板を示す縦断面
図である。
【図2】本発明のピングリッド・アレイ(PGA)型の
半導体素子収納用パッケージの実施例を示す縦断面図で
ある。
【図3】本発明の半導体素子収納用パッケージ(PG
A)の他の実施例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の半導体素子収納用パッケージ(PG
A)のさらに他の実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の半導体素子収納用パッケージ(PG
A)のさらに他の実施例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の半導体素子収納用パッケージ(PG
A)のさらに他の実施例を示す縦断面図である。
【図7】本発明のフラット型の半導体素子収納用パッケ
ージの実施例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の高誘電体層のReの配合量を変化させ
た場合の誘電率の変化を示すグラフである。
【図9】高誘電体層のZrO2 量や安定化材であるY2
3 量を変化させて比誘電率を測定したグラフである。
【図10】Al2 3 −ZrO2 中に添加されるMo
量、W量、Re量、Mo−W量を変化させて誘電率を測
定したグラフである。
【符号の説明】
11,27 高誘電体層 13 絶縁体層 15,23,25,29 電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−176963(JP,A) 特開 平6−76634(JP,A) 特開 平6−85108(JP,A) 特開 平7−29764(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高誘電体層を一対の電極層により挟持し、
    さらにこれを一対の絶縁層により挟持してなる多層アル
    ミナ質配線基板であって、 前記高誘電体層を、 アルミナ粒子と、 W,Mo,Re及びZrO2 から選択される少なくとも
    一種の高誘電率付与剤粒子と、 これらの粒界に存在するAl,Si,アルカリ土類金属
    及び希土類元素の内少なくとも1種の元素の酸化物を含
    むガラス相とから構成し、 前記電極層を、 W及びMoから選択される少なくとも一種の金属を主成
    分として構成し、 前記絶縁層を、 アルミナ粒子と、 Al,Si,アルカリ土類金属及び希土類元素の内少な
    くとも1種の元素の酸化物を含むガラス相とから構成す
    ることを特徴とする多層アルミナ質配線基板。
  2. 【請求項2】高誘電体層を一対の電極層により挟持し、
    さらにこれを一対の絶縁層により挟持してなり、半導体
    素子の収容部を有する半導体素子収納用パッケージであ
    って、 前記高誘電体層を、 アルミナ粒子と、 W,Mo,Re及びZrO2 から選択される少なくとも
    一種の高誘電率付与剤粒子と、 これらの粒界に存在するAl,Si,アルカリ土類金属
    及び希土類元素の内少なくとも1種の元素の酸化物を含
    むガラス相とから構成し、 前記電極層を、 W及びMoから選択される少なくとも一種の金属を主成
    分として構成し、 前記絶縁層を、 アルミナ粒子と、 Al,Si,アルカリ土類金属及び希土類元素の内少な
    くとも1種の元素の酸化物を含むガラス相とから構成す
    ることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
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