JP2006177112A - 中空二重遮音壁の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】低音域での遮音性能を改善することができ、しかも、それを、簡素な構造で、壁厚を大きくすることなく実現することができる中空二重遮音壁の構造を提供する。
【解決手段】面板1,1間の中空層2内に備えられた面板取付け用の桟材3…(壁フレームの桟材であってもよい。)が、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有するスリット型などの吸音器5,6を形成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば界壁や間仕切り壁などに用いられる中空二重遮音壁の構造に関する。
石膏ボード等の面板間の中空層にグラスウール等の多孔性吸音材を配置して形成された中空二重遮音壁は、隣り合う室間での音の伝搬を極力小さくすることができるものとして従来より提供されているが、中空二重遮音壁は、中高音域では遮音性能に優れるが、低音域では低域共振透過を起こして遮音性能が低下してしまうという問題がある。
そこで、低音域の音の共振透過を低減する目的で、中空層内に共鳴管を設置したり、板状あるいは膜状の振動体を設置することが提案されている。
特開2001−3482号公報
しかしながら、中空層内への共鳴管や振動体の設置は、中空二重遮音壁の構造を複雑にしてしまうという問題がある。また、中空層の層厚を大きくすることも考えられるが、それでは壁厚が大きくなってしまう。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、低音域での遮音性能を改善することができ、しかも、それを、簡素な構造で、壁厚を大きくすることなく実現することができる中空二重遮音壁の構造を提供することを課題とする。
上記の課題は、面板間の中空層内に備えられた面板取付け用の桟材が、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有する吸音器を形成していることを特徴とする中空二重遮音壁の構造によって解決される。
この構造では、面板間の中空層内に備えられた吸音器によって、低音域の音の共振透過が低減され、低音域での遮音性能を改善することができる。しかも、この吸音器は、面板間の中空層内に備えられた面板取付け用の桟材によって形成され、取付け用の桟材が吸音器の一部又は全部を兼ねる構成となされているので、吸音器専用品を組み込む場合に比べて、低音域での遮音性能の改善を、簡素な構造で、壁厚も大きくすることなく実現することができる。
なお、面板取付け用の桟材による吸音器の形成は、桟材そのものが吸音器としての形態を備えたものであってもよいし、複数の桟材の組み合わせで吸音器としての形態が形成されているものであってもよい。
また、上記の課題は、面板間の中空層内に備えられた壁フレームの桟材が、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有する吸音器を形成していることを特徴とする中空二重遮音壁の構造によっても解決される。即ち、上記の場合と同様に、壁フレームの桟材が吸音器の一部又は全部を兼ねる構成とすることにより、低音域での遮音性能の改善を、簡素な構造で、壁厚も大きくすることなく実現することができる。
更に、上記の各中空二重遮音壁の構造において、吸音器がスリット型の吸音器である場合は、例えば桟材に孔明け加工して吸音器を形成するような場合に比べて、桟材の横断面形態を利用して吸音器を容易に形成することができる。
本発明の中空二重遮音壁の構造は、以上のとおりのものであるから、低音域での遮音性能を改善することができ、しかも、それを、簡素な構造で、壁厚を大きくすることなく実現することができる。
図1(イ)(ロ)に示す第1実施形態の中空二重遮音壁において、1,1は石膏ボードなどからなる面板であり、面板1,1間に中空層2が備えられている。そして、中空層2内において、一方の面板1に沿うようにして、面板取付け用の複数本の縦桟材3…が横方向に所定の間隔おきに配置され、これら縦桟材3…に対して上記の一方の面板1がビスなどによって取り付けられている。また同様に、中空層2内には、もう一方の面板1に沿うようにして、面板取付け用の複数本の縦桟材3…が横方向に所定の間隔おきに配置され、これら縦桟材3…に対して上記もう一方の面板1がビスなどによって取り付けられている。更に、一方の面板1に沿う縦桟材3…の群と、もう一方の面板1に沿う縦桟材3…の群とは、壁厚方向において所定の間隔をおき、これら縦桟材の群3…,3…間にグラスウール等の多孔性吸音材4が横方向に連続状に設置され、中空二重遮音壁を構成している。
そして、上記の各縦桟材3…は、それらの長手方向において横断面形状を同じくする軽鉄材等の金属材からなっていて、図1(ハ)に示すように、内部の拡大空洞部5と、頸部6とを備え、頸部6を内向きにして、それ自体で、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有するスリット型の吸音器9を形成している。
上記の中空二重遮音壁では、面板1,1間の中空層に備えられた面板取付け用の縦桟材3…,3…が吸音器として働き、低音域での遮音性能が改善される。しかも、これら吸音器9は、面板取付け用の縦桟材3…で形成され、これら縦桟材3…が吸音器を兼ねる構造となっているので、低音域での遮音性能の改善を、専用の吸音器を用いることなく簡素な構造で、壁厚も大きくすることなく実現することができる。加えて、縦桟材3の横断面形態を利用してスリット型の吸音器を形成しているので、吸音器を容易に形成することができる。
図2(イ)(ロ)に示す第2実施形態の中空二重遮音壁は、面板取付け用の縦桟材3…,3…が、横断面ハット型をして、図2(ハ)に示すように、かぶり部3aを面板取付け部とすると共に、両つば部3b,3bの先端に立ち上がり3c,3cが備えられ、面板1,1に沿う方向において隣り合う縦桟材3,3間に、各縦桟材3,3のかぶり部3a,3aと面板1とで囲まれた拡大空洞部5と、各桟材3,3の立ち上がり部3c,3cにより両側から挟まれた頸部6とが形成され、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有するスリット型の吸音器9が形成されている。
この中空二重遮音壁においても、隣り合う面板取付け用の縦桟材3,3間にこれら縦桟材3,3により形成された吸音器9によって、低音域での遮音性能が改善される。しかも、これら吸音器9は、面板取付け用の縦桟材3…で形成され、これら縦桟材3…が吸音器を兼ねる構造となっているので、低音域での遮音性能の改善を、専用の吸音器を用いることなく簡素な構造で、壁厚も大きくすることなく実現することができる。
図3(イ)(ロ)に示す第3実施形態の中空二重遮音壁は、面板1,1間の中空層2内に、壁フレームの横桟材7,7(面板を取り付けているものであるか否かを問わない。)が、両面板1,1から間隔をおくようにして、上下対で隣り合わせ状態に備えられ、各横桟材7は、溝形材からなって、溝底背面側を向き合わせるようにして備えられ、横桟材7,7間を頸部6とし、頸部6の両側に面板1と破線で示すような仮想的な隔壁による拡大空洞部5,5とするスリット型の吸音器9が形成されている。
この中空二重遮音壁においても、中空層2内に横桟材7,7によって形成された吸音器9によって、低音域での遮音性能が改善される。しかも、吸音器9は、壁フレームの横桟材7,7で形成され、これら横桟材7,7が吸音器を兼ねる構造となっているので、低音域での遮音性能の改善を、専用の吸音器を用いることなく簡素な構造で、壁厚も大きくすることなく実現することができる。
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、面板1は、石膏ボードに限らないし、一枚貼りであるか二枚等の複数枚貼りであるかを問わない。また、中空層内の多孔性吸音材4は、グラスウールに限らず、ロックウール、フェルト等であってもよいし、多孔性吸音材は中空層2内から省略されていてもよい。また、上記の実施形態では、中空部内に形成した吸音器が低音域の遮音性能を双方向において改善する場合を示しているが、一方向において改善するように構成されていてもよい。また、上記の実施形態では、桟材の横断面形態を利用してスリット型の吸音器を形成した場合を示しているが、孔明け加工をした有孔桟材で低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有する吸音器を形成するようにしてもよい。また、吸音器を形成する桟材は、縦向きや横向きに限らず、斜め向きに備えられたものであってもよい。
図(イ)は第1実施形態の中空二重遮音壁を示す断面平面図、図(ロ)は同壁の断面斜視図、図(ハ)は面板取付け用の縦桟材の横断面図である。 図(イ)は第2実施形態の中空二重遮音壁を示す断面平面図、図(ロ)は同壁の断面斜視図、図(ハ)は面板取付け用の縦桟材の横断面図である。 図(イ)は第3実施形態の中空二重遮音壁を示す断面平面図、図(ロ)は同壁の断面斜視図である。
符号の説明
1…面板
2…中空層
3…面板取付け用の桟材
5…拡大空洞部
6…頸部
7…壁フレームの桟材
9…吸音器

Claims (3)

  1. 面板間の中空層内に備えられた面板取付け用の桟材が、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有する吸音器を形成していることを特徴とする中空二重遮音壁の構造。
  2. 面板間の中空層内に備えられた壁フレームの桟材が、低域共振透過低減のための特定共鳴周波数を有する吸音器を形成していることを特徴とする中空二重遮音壁の構造。
  3. 前記吸音器がスリット型の吸音器である請求項1又は2に記載の中空二重遮音壁の構造。
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