JP2006176825A - 無電解スズメッキ浴 - Google Patents

無電解スズメッキ浴 Download PDF

Info

Publication number
JP2006176825A
JP2006176825A JP2004370663A JP2004370663A JP2006176825A JP 2006176825 A JP2006176825 A JP 2006176825A JP 2004370663 A JP2004370663 A JP 2004370663A JP 2004370663 A JP2004370663 A JP 2004370663A JP 2006176825 A JP2006176825 A JP 2006176825A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
mol
bath
plating bath
electroless tin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004370663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4660814B2 (ja
Inventor
Kaoru Tanaka
薫 田中
Shoya Inai
祥哉 伊内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Chemical Co Ltd
Original Assignee
Ishihara Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ishihara Chemical Co Ltd filed Critical Ishihara Chemical Co Ltd
Priority to JP2004370663A priority Critical patent/JP4660814B2/ja
Publication of JP2006176825A publication Critical patent/JP2006176825A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4660814B2 publication Critical patent/JP4660814B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

【課題】 効率的な厚付けメッキを可能にし、スズ塩のコロイド粒子の発生を有効に防止できる無電解スズメッキ浴を開発する。
【解決手段】 可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤を含有する無電解スズメッキ浴において、ベース酸として次亜リン酸を含有し、また、安定剤としてピロリン酸、ポリリン酸又はその塩などの縮合リン酸類を含有し、次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であり、縮合リン酸類の含有量が0.01〜2モル/Lである無電解スズメッキ浴である。無電解スズの次亜リン酸浴に特定量の縮合リン酸類を補助添加することで、厚付けメッキの効果を損なうことなく、可溶性第一スズ塩の溶解を促進してコロイド粒子の発生を有効、確実に防止できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は無電解スズメッキ浴に関して、効率的な厚付けメッキを可能にするとともに、メッキ浴の白濁を防止して浴の安定性を良好に確保できるものを提供する。
従来の無電解スズメッキ浴は、可溶性第一スズ塩とベース酸とチオ尿素類などの錯化剤とを含有し、さらに、必要に応じて第一スズ塩の酸化を防止するために次亜リン酸或はその塩などを含有させたものが一般的であり、最近では、スズの溶解性や排水処理の容易性の見地から、有機スルホン酸をベース酸に使用した浴が多用されている。
例えば、特許文献1〜6には、チオ尿素類を錯化剤とし、次亜リン酸類を還元剤とする無電解スズの有機スルホン酸浴、或は他の有機酸浴が開示されている。
しかしながら、これらの無電解スズの有機スルホン酸浴又は他の有機酸浴では、スズ皮膜の析出速度はそれほど速いものではなく、浴温70℃、メッキ時間5分では膜厚0.5〜0.7μm程度が一般的であり、当然ながら厚付けメッキにはかなりの時間を要し、生産性は高くないのが実情である。
一方、特許文献7には、析出速度を増して皮膜の厚付けを容易にし、且つ良好なメッキ皮膜を得ること目的として(同文献7の第3欄第45行〜第48行参照)、2価のスズイオン10〜50g/Lをリン酸又は縮合リン酸50〜600gに溶解するとともに、次亜リン酸又はその塩10〜150g/Lとチオ尿素30〜130g/Lを添加した無電解スズメッキ浴が開示されている(同文献7の請求項1参照)。
同文献7では、リン酸、縮合リン酸はスズやチオ尿素を安定に溶解するために用いられ、その含有量は50〜600g/L、特に50〜300g/Lであり(第4欄第20行〜第28行参照)、実施例2の無電解スズ浴ではピロリン酸を200g/L含有していることに鑑みると、リン酸、縮合リン酸は、いわば浴のベース酸として使用されている。また、次亜リン酸又はその塩はメッキ浴の酸化を防止するためのもので、その含有量は10〜150g/L、より好ましくは30〜70g/Lであり(第5欄第10行〜第14行参照)、実施例2の無電解スズ浴では次亜リン酸ナトリウムとして50g/Lを含有することに鑑みると、次亜リン酸又はその塩は酸化防止剤(添加剤レベルの濃度)として使用されている。
特開平10−36973号公報 特開平11−343578号公報 特開2003−342743号公報 特開2004−68056号公報 特開2004−162148号公報 特開2003−347364号公報 特許第2654715号公報
上記特許文献7にあっては、スズの析出速度はそれほど高くなく、厚付けメッキには未だ不充分である。
そこで、本出願人は、特願2004−237328号で、メッキ浴のベース酸である有機スルホン酸(或は他の有機酸や無機酸)の量がゼロか、ごく少ない条件においては、次亜リン酸を従来の添加剤レベルの量を越えて大幅に増量すると(つまり、有機スルホン酸などに代えて、ベース酸の主体を次亜リン酸に切り替えると)、浴温70℃、メッキ時間5分でスズ皮膜を1〜5μm程度の膜厚で析出させることが可能で、効率的な厚付けメッキを達成でき、また、その一方で、有機スルホン酸などをベース酸とする従来型の浴では次亜リン酸の大幅な増量はスズ皮膜の析出異常を引き起こす弊害があったが、次亜リン酸ベースの浴ではこの弊害は先鋭化せず、皮膜のレベリング性を充分に確保できるという知見を得て、次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であり、有機スルホン酸等の他の酸の含有量がゼロか少ない無電解スズの次亜リン酸メッキ浴を提案した。
しかしながら、この無電解スズの次亜リン酸浴にあっては、建浴時、或はその後の経時変化(短時間)でメッキ液中に可溶性第一スズ塩のコロイド粒子が発生して液が白濁し易く、室温下ではメッキ液の全体が凝固する場合もあるという問題があり、メッキに際してはメッキ液を加温してスズ塩を溶解してから処理する必要があった。
本発明は、効率的な厚付けメッキを可能にするともに、スズ塩のコロイド粒子の発生を有効に防止できる無電解スズメッキ浴を開発することを技術的課題とする。
本発明者らは、無電解スズの次亜リン酸浴に、メタンスルホン酸やクエン酸などを補助添加すると、第一スズ塩のコロイド粒子の発生をある程度抑制できることを突き止めたが、その反面、一定組成のスズ浴ではこの抑制効果を保持できても、スズ塩や次亜リン酸の濃度などを初めとするメッキ液の組成が変化すると、この抑制効果は損なわれてしまい、次亜リン酸浴全般に対する効果はあまり期待できないことから、他種の化合物を添加してその抑制効果の適否を鋭意研究した。
その結果、リン含有化合物に属する点で次亜リン酸と共通する縮合リン酸塩を安定剤として特定量の範囲(特に特定量以下)で添加すると、次亜リン酸ベースのメッキ浴の特長であるスズの厚付けメッキを損なうことなく、スズ塩のコロイド粒子の発生を有効に防止し、浴を安定化できることを見い出して、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤を含有する無電解スズメッキ浴において、
ベース酸として次亜リン酸を含有し、また、安定剤としてピロリン酸、ポリリン酸などの縮合リン酸及びこれらの塩より選ばれる縮合リン酸類を含有し、
次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であり、縮合リン酸類の含有量が0.01〜2モル/Lであることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
本発明2は、上記本発明1において、さらに、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、縮合リン酸類が縮合リン酸塩であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
本発明4は、可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤を含有する無電解スズメッキ浴において、
ベース酸として次亜リン酸を含有し、次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であるとともに、さらに、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、錯化剤がチオ尿素類であり、チオ尿素類の含有量が150g/L以上であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかの無電解メッキ浴を用いて、素地表面上にスズメッキ皮膜を形成した、半導体デバイス、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フィルムキャリア、IC、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線などの電子部品である。
(1)本発明1では、無電解スズの次亜リン酸浴に特定量以下の縮合リン酸類を補助添加することにより、次亜リン酸ベースのスズ浴の特長である厚付けメッキの効果を損なうことなく、可溶性第一スズ塩の溶解を促進してコロイド粒子の発生をなくし、メッキ浴の白濁を有効、確実に防止できる。
従って、無電解メッキに際して加温する手間が要らず、生産性を向上できる。
(2)本発明4では、無電解スズの次亜リン酸浴にアニオン系界面活性剤を添加することにより、スズ浴から得られるメッキ皮膜を銀白色の美麗で光沢のある外観に向上できる。 この場合、縮合リン酸塩を次亜リン酸ベースのスズ浴に含有しても、或は、含有しなくても、アニオン系界面活性剤を添加することでスズ皮膜の外観を良好に向上でき、その一方で、ノニオン系やカチオン系等の他種の界面活性剤では当該効果の発現は期待できない。
本発明は、第一に、ベース酸として次亜リン酸を所定濃度以上含有し、且つ、浴の安定剤として縮合リン酸類を所定濃度範囲で含有した無電解スズメッキ浴であり、第二に、ベース酸として次亜リン酸を所定濃度以上含有し、且つ、アニオン系界面活性剤を含有する無電解スズメッキ浴であり、第三に、これらの無電解スズメッキ浴を用いて素地表面にスズ皮膜を形成した各種電子部品である。
本発明の無電解スズメッキ浴は、可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤と縮合リン酸類とを基本組成とする。
上記可溶性第一スズ塩はメッキ浴中でSn2+を生じる化合物であれば特に制限はなく、具体的には、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ホウフッ化第一スズ、スルファミン酸第一スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、有機スルホン酸第一スズ塩、脂肪族カルボン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズなどの有機系の可溶性塩などが挙げられる。
当該可溶性第一スズ塩の添加量は1〜200g/L、好ましくは5〜100g/Lである。
上記錯化剤は、被メッキ物の素地金属である銅、銅合金に配位して錯イオンを形成し、銅の電極電位を卑の方向に変移させて、スズとの化学置換反応を促進するために含有される。 錯化剤の代表例はチオ尿素類であり、チオ尿素、或は、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジドなどのチオ尿素誘導体が挙げられる。
また、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなども錯化剤として有効である。
上記錯化剤としてはチオ尿素類(単用又は併用可)が好ましい。また、前記特許文献7(請求項1参照)では、チオ尿素の含有量を30〜130g/Lとしているが、本発明では、チオ尿素類の含有量は150g/L以上(チオ尿素では1.97モル/L以上)が好ましい(本発明5参照)。
また、チオ尿素類以外の錯化剤の含有量は0.1〜7.0モル/Lが適当であり、好ましくは1.0〜3.0モル/Lである。
上記ベース酸としての次亜リン酸の含有量は1.3モル/L以上であることが必要であり、好ましくは1.5〜5モル/L、より好ましくは1.9〜4モル/Lである。
次亜リン酸が1.3モル/Lより少ないと、メッキの増速効果が不充分となる。
本発明では浴のベース酸として、次亜リン酸以外に、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、スルファミン酸などの無機酸、又は有機スルホン酸、カルボン酸、スルホコハク酸などの有機酸を補助的に添加することができる。この場合、次亜リン酸の含有量は1.3モル/L以上であり、補助的に添加する酸の含有量は0.5モル/L以下であり、好ましくは0.3モル/L以下である。補助的な酸の添加量が多くなり過ぎると、メッキの増速効果が不充分になるため、注意を要する。
上記補助添加する酸としての有機スルホン酸は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸である。
上記アルカンスルホン酸は、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものであり、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸は、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものであり、具体的には、ヒドロキシメタンスルホン酸、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、3―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであり、具体的には、p−フェノールスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、スルホ安息香酸などが挙げられる。
上記補助添加する酸としてのカルボン酸は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸などである。当該脂肪族カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸などのオキシカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ジグリコール酸、グルタル酸、アジピン酸などのポリカルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸、チオグリコール酸などの含イオウ系カルボン酸などが挙げられる。
上記芳香族カルボン酸としては、安息香酸、サルチル酸、テレフタル酸などが挙げられる。但し、スルホ安息香酸のように、分子内にスルホン酸基とカルボン酸基を兼備する芳香族化合物は本発明では芳香族カルボン酸ではなく、芳香族スルホン酸に属するものとする。
上記縮合リン酸類は、無電解スズの次亜リン酸浴にあって、第一スズ塩の溶解性を促進し、同塩のコロイド粒子の発生を有効に防止するための安定剤として添加される。
縮合リン酸類はオルトリン酸が縮合した縮合リン酸、或はその塩であり、特に縮合リン酸塩が好ましい(本発明3参照)。
上記縮合リン酸としては、ピロリン酸(ピロリン酸二水素化物等の水素化物を含む)、トリポリリン酸等のポリリン酸、メタリン酸などが挙げられる。上記縮合リン酸塩は、縮合リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などである。
縮合リン酸類は単用又は併用でき、その含有量は0.01〜2モル/Lであり、0.1〜1モル/Lが好ましい。0.01モル/Lより少ないと、第一スズ塩のコロイド粒子の発生を有効に防止できない。また、2モル/Lを越えると、縮合リン酸類が円滑に溶解しない恐れがあるうえ、縮合リン酸類の増量分だけベース酸である次亜リン酸を減量する場合には厚付けメッキの効果を損なう恐れもあり、さらには、この上限を越えても白濁防止効果はあまり変わらない。
本発明2に示すように、無電解スズの次亜リン酸浴には上記基本成分以外に、浴から得られるスズ皮膜に銀白色の美麗な外観を付与する見地から、アニオン系界面活性剤を添加することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤は単用又は併用でき、その含有量は0.01〜100g/Lであり、好ましくは0.1〜50g/Lである。
一方、無電解スズの次亜リン酸浴においては、本発明4に示すように、縮合リン酸類を含有し、或は、含有しない浴のいずれであっても、このアニオン系界面活性剤を添加すると、浴から得られるスズ皮膜に銀白色の美麗な外観を付与することができる。但し、縮合リン酸類を含有した場合には、メッキ皮膜の外観向上効果に加えて、メッキ液中にスズ塩のコロイド粒子が発生するのを有効に防止できるという加重の効果が得られるのである。ちなみに、縮合リン酸類を含有しないメッキ液の場合、同液にスズ塩のコロイド粒子が発生しても、基本的にアニオン系界面活性剤の添加による皮膜外観の向上効果にあまり影響はない。
また、皮膜の緻密性、平滑性、密着性などを向上する見地から(但し、スズ皮膜に銀白色の外観を付与する効果は期待できない)、本発明の無電解メッキ浴にはノニオン系、両性、或はカチオン系などのアニオン系以外の他種の界面活性剤を添加できることはいうまでもない。
上記カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
これらの界面活性剤の添加量は前記アニオン系界面活性剤のそれと同程度である。
本発明の無電解スズの次亜リン酸浴には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、防腐剤などの各種添加剤を含有することができる。
上記酸化防止剤は、浴中のSn2+の酸化防止を目的としたもので、次亜リン酸塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
尚、ベース酸としての次亜リン酸が酸化防止機能を奏することは勿論である。
上記酸化防止剤の添加量は0.01〜2.0モル/L、好ましくは0.05〜1.5モル/L、より好ましくは0.1〜1.0モル/Lである。
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類などが有効である。尚、ここで使用するpH調整剤としての酸は添加剤レベルで含有するもので、含有量が添加剤レベルを越える本発明の補助酸とは別の概念である。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
無電解スズメッキの条件としては任意であるが、浴温は45〜90℃が好ましく、析出速度を増す見地から50〜70℃がより好ましい。
本発明6は、本発明の無電解メッキ浴を用いて、被メッキ物の素地金属表面上にスズメッキ皮膜を形成した各種電子部品である。
上記電子部品としては、半導体デバイス、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フィルムキャリア、IC、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線などが挙げられる。
以下、本発明の無電解スズメッキ浴の実施例、当該実施例で得られたスズ浴の安定性評価と同浴を用いて無電解スズメッキを行った際の膜厚評価の試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《無電解スズメッキ浴の実施例》
下記の実施例1〜18のうち、実施例1〜7はスズ塩、次亜リン酸、チオ尿素類などの組成を概ね共通化して、縮合リン酸類の種類と濃度を変化させた例であり、特に、実施例5〜7はスズ塩、次亜リン酸、チオ尿素の種類と濃度を固定して、縮合リン酸類としてのメタリン酸ナトリウムの濃度を変化させた例である。実施例1と実施例8〜9はスズ塩、縮合リン酸類、チオ尿素類などの組成を概ね共通化して、次亜リン酸の濃度を変化させた例である。実施例10は実施例9を基本として縮合リン酸類の種類と濃度を変化させた例、実施例11は実施例9を基本として次亜リン酸を減量し、チオ尿素類を増量した例である。実施例1と実施例14〜18はスズ塩、次亜リン酸、チオ尿素類、縮合リン酸類の組成を固定して、界面活性剤の種類と濃度を変化させた例であり、実施例1は界面活性剤を含まない例、実施例14〜15はアニオン系界面活性剤を含む例、実施例16〜17はノニオン系界面活性剤を含む例、実施例18はカチオン系界面活性剤を含む例である。実施例7は縮合リン酸類を上限濃度(2モル/L)で添加した例、実施例8は次亜リン酸を下限濃度(1.3モル/L)付近で添加した例、実施例13はチオ尿素類を実施例中で最も減量した例である。
一方、下記の比較例1〜4のうち、比較例1は次亜リン酸の濃度が1.3モル/L以上であり、縮合リン酸類を含まないブランク例である。比較例2は次亜リン酸の濃度が1.3モル/Lより少なく、縮合リン酸類の濃度が2モル/L以下の例である。比較例3は次亜リン酸の濃度が1.3モル/L以上であり、縮合リン酸類に代えてメタンスルホン酸を補助的に添加した例、比較例4は同様に硫酸を補助的に代替添加した例である。
(1)実施例1
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ピロリン酸 1.00モル/L
(2)実施例2
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(3)実施例3
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
酸化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
1,2−ジメチルチオ尿素 2.50モル/L
トリポリリン酸ナトリウム 0.80モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(4)実施例4
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
酸化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ピロリン酸二水素二ナトリウム 0.75モル/L
ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル
−硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(5)実施例5
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 0.35モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(6)実施例6
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(7)実施例7
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 2.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(8)実施例8
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 1.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル
−硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(9)実施例9
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 3.00モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(10)実施例10
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 3.00モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ピロリン酸二水素二ナトリウム 0.50モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(11)実施例11
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
エチレンチオ尿素 2.00モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(12)実施例12
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 3.00モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(13)実施例13
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 1.75モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(14)実施例14
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(15)実施例15
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル
−硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(16)実施例16
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ジブチル−β−ナフトールポリエトキシレート(EO8) 10.0g/L
(17)実施例17
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10) 10.0g/L
(18)実施例18
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
メタリン酸ナトリウム 1.00モル/L
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩 10.0g/L
(19)比較例1
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(20)比較例2
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 1.00モル/L
メタリン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(21)比較例3
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
(22)比較例4
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 0.35モル/L
次亜リン酸 2.50モル/L
硫酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.50モル/L
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(EO10) 10.0g/L
《無電解スズメッキ浴の安定性評価と厚付けメッキ評価試験例》
そこで、実施例1〜18及び比較例1〜4で得られた各無電解スズメッキ浴について、建浴後に時間を置かずに室温にてスタラーを用いて500rpm、60分間の条件で撹拌し、液中に第一スズ塩のコロイド粒子が発生するか否か(液の白濁の有無)を目視観察して、当該無電解スズの次亜リン酸浴の安定性を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:コロイド粒子の発生はなく、メッキ液の白濁は認められなかった。
×:コロイド粒子が発生し、メッキ液は白濁した。
次いで、フィルムキャリアを被メッキ物として、圧延銅板(JIS:C1020P)を材質とするインナリード上に上記実施例1〜18及び比較例1〜4の各無電解スズメッキ浴を用いて、浴温65℃、メッキ時間5分の条件で無電解メッキを行って、得られたスズ皮膜の膜厚(μm)を測定し、厚付けメッキの適否を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:スズ皮膜の膜厚が1μm以上に達した。
×:スズ皮膜の膜厚は1μm未満であった。
下表はその試験結果である。
安定性評価 厚付け評価 安定性評価 厚付け評価
実施例1 ○ ○ 実施例13 ○ ○
実施例2 ○ ○ 実施例14 ○ ○
実施例3 ○ ○ 実施例15 ○ ○
実施例4 ○ ○ 実施例16 ○ ○
実施例5 ○ ○ 実施例17 ○ ○
実施例6 ○ ○ 実施例18 ○ ○
実施例7 ○ ○ 比較例1 × ○
実施例8 ○ ○ 比較例2 ○ ×
実施例9 ○ ○ 比較例3 × ×
実施例10 ○ ○ 比較例4 × ×
実施例11 ○ ○
実施例12 ○ ○
上表を見ると、先ず、無電解スズの次亜リン酸浴に縮合リン酸類を含有しない比較例1(ブランク例)では、スズの厚付けメッキは達成できたが、メッキ液にはスズ塩のコロイド粒子が発生して白濁した。
また、無電解スズの次亜リン酸浴に縮合リン酸類の代わりにメタンスルホン酸、或は硫酸を含有した比較例3〜4においても、比較例1と同様に、スズを厚付けメッキできた反面、メッキ液は白濁した。
これらに対して、各種の縮合リン酸塩を特定範囲で含有した実施例1〜18では、すべてのメッキ液で白濁は認められず、液を安定に保持できるとともに、スズの厚付けメッキを良好に達成できた。従って、厚付けメッキの作用を損なうことなく、メッキ液を安定に保持するには、次亜リン酸を特定量以上含有しながら、メタンスルホン酸や硫酸ではなく、縮合リン酸塩を添加することの重要性が確認できた。
尚、縮合リン酸類を特定量添加しながら次亜リン酸が特定量に足りない比較例2では、メッキ浴は白濁せずに安定していたが、厚付けメッキは実現できなかった。
次いで、実施例1〜18を詳細に検討する。
実施例1〜7を見ると、縮合リン酸類の種類をピロリン酸、メタリン酸又はその塩、トリポリリン酸塩などに変化させても浴の安定性は共に良好に保持できた。特に、実施例5〜7は、縮合リン酸類以外の組成を固定し、メタリン酸塩の濃度だけを変化させた例であるが、これらの実施例では共にメッキ液を安定に保持できた。以上の点に鑑みると、次亜リン酸を特定量以上含有する無電解スズ浴では、縮合リン酸類の濃度を特定範囲内で変化させても、厚付けメッキの作用を損なうことなく、メッキ液にスズ塩のコロイド粒子が発生するのを円滑に防止できることが明らかになった。
また、実施例1と実施例8〜9は、次亜リン酸以外の組成(縮合リン酸の濃度など)を概ね共通化し、次亜リン酸の濃度を変えた例であるが、この場合にも、縮合リン酸の濃度を変えた実施例1〜7と同様に、浴の安定性を保持しながら厚付けメッキを実現できた。 一方、実施例2〜16は、次亜リン酸ベースのスズ浴に縮合リン酸類を特定濃度で添加しながら、さらにアニオン系界面活性剤を添加した例であるが、これらの実施例の浴からは共に銀白色の美麗な外観のスズ皮膜が得られた。ちなみに、実施例1と実施例14〜18は界面活性剤を除く組成を概ね共通化した例であり、これらを対比すると、皮膜外観の改善効果を示す実施例14〜15に対して、アニオン系界面活性剤を含有しない実施例1や、アニオン系以外のノニオンやカチオン系の(他種の)界面活性剤を含有する実施例16〜18では、改善効果はあまり認められなかった。従って、実施例14〜18の対比から、無電解スズの次亜リン酸浴にノニオンやカチオン系などではなく、アニオン系界面活性剤を添加することで、浴から得られるスズ皮膜の外観を銀白色に改善できる効果がより明白に裏付けられた。
尚、参考として、縮合リン酸類を含まない次亜リン酸ベースの無電解スズ浴に、アニオン系界面活性剤を添加して試験したところ、縮合リン酸類を含む上記実施例2〜16と同様に、皮膜外観の改善効果が明白に認められた。このことから、無電解スズの次亜リン酸浴にあっては、縮合リン酸類の含有の有無に拘わらず、アニオン系界面活性剤を添加するとスズ皮膜の外観を改善できることが判断できる。

Claims (6)

  1. 可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤を含有する無電解スズメッキ浴において、
    ベース酸として次亜リン酸を含有し、また、安定剤としてピロリン酸、ポリリン酸などの縮合リン酸及びこれらの塩より選ばれる縮合リン酸類を含有し、
    次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であり、縮合リン酸類の含有量が0.01〜2モル/Lであることを特徴とする無電解スズメッキ浴。
  2. さらに、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の無電解スズメッキ浴。
  3. 縮合リン酸類が縮合リン酸塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解スズメッキ浴。
  4. 可溶性第一スズ塩とベース酸と錯化剤を含有する無電解スズメッキ浴において、
    ベース酸として次亜リン酸を含有し、次亜リン酸の含有量が1.3モル/L以上であるとともに、
    さらに、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴。
  5. 錯化剤がチオ尿素類であり、チオ尿素類の含有量が150g/L以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電解メッキ浴を用いて、素地表面上にスズメッキ皮膜を形成した、半導体デバイス、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フィルムキャリア、IC、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線などの電子部品。
JP2004370663A 2004-12-22 2004-12-22 無電解スズメッキ浴 Active JP4660814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004370663A JP4660814B2 (ja) 2004-12-22 2004-12-22 無電解スズメッキ浴

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004370663A JP4660814B2 (ja) 2004-12-22 2004-12-22 無電解スズメッキ浴

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006176825A true JP2006176825A (ja) 2006-07-06
JP4660814B2 JP4660814B2 (ja) 2011-03-30

Family

ID=36731192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004370663A Active JP4660814B2 (ja) 2004-12-22 2004-12-22 無電解スズメッキ浴

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4660814B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101608073B1 (ko) 2014-04-18 2016-03-31 주식회사 익스톨 무전해 주석 도금액 및 이를 이용하여 무전해 주석 도금하는 방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54141341A (en) * 1978-04-26 1979-11-02 Shinko Electric Ind Co Nonelectrolytic tin plating solution
JP2654715B2 (ja) * 1990-07-12 1997-09-17 上村工業 株式会社 無電解錫及び錫・鉛合金めっき浴並びにめっき方法
JP2004332022A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Ishihara Chem Co Ltd 無電解スズの2段メッキ方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54141341A (en) * 1978-04-26 1979-11-02 Shinko Electric Ind Co Nonelectrolytic tin plating solution
JP2654715B2 (ja) * 1990-07-12 1997-09-17 上村工業 株式会社 無電解錫及び錫・鉛合金めっき浴並びにめっき方法
JP2004332022A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Ishihara Chem Co Ltd 無電解スズの2段メッキ方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101608073B1 (ko) 2014-04-18 2016-03-31 주식회사 익스톨 무전해 주석 도금액 및 이를 이용하여 무전해 주석 도금하는 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4660814B2 (ja) 2011-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4116718B2 (ja) 無電解金めっき方法及びそれに使用する無電解金めっき液
JP4016326B2 (ja) 無電解スズメッキ浴
JP4288469B2 (ja) 銅侵食防止用の無電解スズメッキ浴、及び銅侵食防止方法
JP6029259B2 (ja) 無電解錫又は錫合金めっき液及び該めっき液を用いて錫又は錫合金被膜を形成した電子部品
JP4901181B2 (ja) 無電解スズメッキ浴
JP2007169746A (ja) 無電解スズメッキの後処理方法
JP4660814B2 (ja) 無電解スズメッキ浴
JP2005120425A (ja) スズ及びスズ合金メッキ浴
JP6047714B2 (ja) 無電解スズ系メッキ液用のペースト状スズ補給剤及び補給方法
WO2011013252A1 (ja) スズ含有合金メッキ浴、これを用いた電解メッキ方法および該電解メッキが堆積された基体
JP4599599B2 (ja) 無電解金めっき液
JP5363142B2 (ja) 錫めっき皮膜の成膜方法
JP4025981B2 (ja) 無電解スズメッキ浴
JP4932542B2 (ja) 無電解金めっき液
JP5216372B2 (ja) 無電解錫めっき浴及び無電解錫めっき方法
JP2006057116A (ja) 無電解スズメッキ浴
JP4864256B2 (ja) ホイスカー防止用スズメッキ浴、及びスズメッキ方法
JP4147388B2 (ja) 銅侵食防止用の無電解スズメッキ浴、及び銅侵食防止方法
JP2006117980A (ja) 鉛フリーの酸性スズ−ビスマス系合金電気メッキ浴
JP4186030B2 (ja) 無電解スズ−銀合金メッキ浴及び当該メッキ浴でスズ−銀合金皮膜を施したtabのフィルムキャリア等
JP4120791B2 (ja) 無電解スズメッキ浴
JP5278988B2 (ja) 無電解スズメッキ浴及び電子部品の無電解スズメッキ方法
JP4524773B2 (ja) 無電解スズメッキ浴の分割保存方法
JP4150901B2 (ja) 無電解スズ系メッキの前処理方法、及びスズ系メッキ皮膜の異常析出防止方法
JP4154594B2 (ja) 無電解スズの2段メッキ方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20071204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4660814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250