JP2006169770A - 平板状孔明き金属板およびこれを使用したフェンス並びに構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平板に、複数の孔2が上下・左右方向に規則的な行列で設けられて40%〜60%の開口率を達成している。前記孔2の行列における断面欠損部を除く有効断面部分を上下・左右方向に直線的に連続させて上下、左右方向の力骨3、4が形成されている。防雪柵等の支柱の間隔方向である左右方向の力骨4は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積で形成されている。上下方向の力骨3は、防雪柵等の柵用板としての形状保持が可能な有効断面積で形成されている。
【選択図】 図1
Description
こうした防風柵、防雪柵等のフェンス用柵板(防風板、防雪板)には、防風、防雪、防砂効果を損なわない限度に、風圧(風荷重)の作用を減ずる減風性能を確保する目的で、一定の開口率を達成するように開口(孔)を設けた孔明き金属板が多く使用されている。前記開口率は通例10%〜50%とされる。
また、特許文献2には、丸孔、楕円孔、或いは三角形、四角形、八角形、菱形等の孔を開口率30%〜50%で設けた鋼板を上下方向に山形状に折り曲げた防風板が開示されている。特許文献3および4にも同様な防風板が開示されている。
特許文献6には、平鋼板等に、孔の打ち抜き部の裏側に斜めの切り起こし片を残した構成のフェンス用柵板が開示されている。
防風柵、防雪柵等のフェンス用板(防風板、防雪板)には、風によるバタツキを防止する目的で予め適度な大きさの初期張力が導入される。その上に、風(風圧=風荷重)による張力が作用するので、孔明き金属板は前記張力の総和に耐える強度及び剛性を具備することが基本的に要求される。その対策の一つとして、上記特許文献2及び3、4のように山形状に折り曲げた形で使用することが行われている。
本発明の次の目的は、溶融亜鉛メッキ鋼板に代表されるプレメッキの薄板材を使用することにより、所謂亜鉛の犠牲防蝕作用によって孔明け加工した孔縁(剪断面)の錆の発生を防止し、もって孔明け加工後の後処理を必要とせず、しかも耐用寿命の長いフェンス用の平板状孔明き金属板およびこれを使用したフェンスを提供することである。
本発明の更なる目的は、平板状孔明き金属板に防風柵等として必要な初期張力を導入して支柱へ取り付けるフェンスの構築方法、および前記構築方法の実施に好適な初期張力導入装置を提供することである。
防風柵、防雪柵等のフェンス用柵として用いる平板状孔明き金属板であって、
平板1に、複数の孔2が上下・左右方向に規則的な行列で設けられ10%〜50%の開口率とされ、
前記孔2の行列における断面欠損部を除く有効断面部分が上下・左右方向に直線的に連続して上下、左右方向の力骨3、4が形成されており、
防雪柵等の支柱6の間隔方向である左右方向の力骨4は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積で形成されており、
上下方向の力骨3は、防雪柵等のフェンス用柵としての形状保持が可能な有効断面積で形成されていることを特徴とする。
金属板1の孔は、支柱6の間隔方向である左右方向に長い長孔2とされ、左右方向に隣接する長孔2、2の孔縁は相互に可能な限り接近させ、上下方向に隣接する長孔2、2の孔縁は相互に可能な限り離れた行列で設けられて10%〜50%の開口率とされていることを特徴とする。
平板1の上下・左右方向に規則的な行列で設けられた複数の孔2はそれぞれ同形、同大であることを特徴とする。
支柱6、6の相互間に平板状の孔明き金属板1の両側縁を支持させて構成された防風柵、防雪柵等のフェンスにおいて、
孔明き金属板1は、平板に、複数の孔2が上下・左右方向に規則的な行列で設けられ10%〜50%の開口率とされており、
前記孔2の行列における断面欠損部を除く有効断面部分が上下・左右方向に直線的に連続して上下、左右方向の力骨3、4が形成されており、
支柱6の間隔方向である左右方向の力骨4は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積で形成されており、
上下方向の力骨3は、防雪柵等のフェンス用柵としての形状保持が可能な有効断面積で形成されており、
平板状孔明き金属板1は、その両側縁部に位置する孔2を利用して初期張力が付与され、且つ支柱6に支持・固定されていることを特徴とする。
平板状孔明き金属板1の孔2は、支柱6の間隔方向である左右方向に長い長孔とされ、左右方向に隣接する長孔2の孔縁を相互に可能な限り接近させ、上下方向に隣接する長孔2の孔縁は相互に可能な限り離れた行列で設られ10%〜50%の開口率とされていることを特徴とする。
平板状孔明き金属板1を必要な初期張力を導入して支柱6へ取り付けフェンスを構築する方法であって、
前記平板状孔明き金属板1の一方の側縁部を同側縁部に位置する孔2を利用して取り付け金具8、9と押さえ縁7とで支柱6へ強固に支持・固定し、その上で、他方の側縁部は同側縁部に位置する孔2を利用する取り付け金具8、9と押さえ縁7とで支柱6へ仮固定する段階と、
押さえ縁7に予め設けてあるピン孔および孔明き金属板1の孔2とに反力を取るピンを12、15備えた初期張力導入装置10をセットし、押さえ縁7に反力をとって明き金属板1を左右方向に引っ張り初期張力を導入する段階と、
前記の張力状態を保持して当該側縁部を取り付け金具8、9と押さえ縁7とで支柱6へ強固に支持・固定する段階とから成ることを特徴とする。
平板状をなす台プレート11の一側端部の背面に第一の反力ピン12が突き出されており、前記台プレート11の長手方向に長いガイド孔13が形成され、同ガイド孔13の長手方向の両辺に案内され滑動する移動駒14が設置されており、前記移動駒14の背面に第二の反力ピン15が突き出されており、台プレート11に固定された雌ネジ部材16へねじ込まれ前記ガイド孔13の長手方向の両辺と平行に配置された押しボルト17が前記移動駒14を押し動か構成とされていることを特徴とする。
とりわけ平板状孔明き金属板1の板厚を0.8mm程度まで薄くすることが可能である。このように薄いプレメッキ鋼板(通例、溶融亜鉛メッキ鋼板)を使用すると、孔明け加工(プレス加工)後も孔縁(剪断面=鉄地の露出面)はいわゆる亜鉛の犠牲防蝕作用(電気化学的に亜鉛が鉄より先に溶け出し、鉄の腐蝕を防止する作用。)により錆びにくく、孔明け加工後の後処理加工をしないでも、長い耐用寿命を期待できる。
防風柵、防雪柵等のフェンスに使用するフェンス用柵板には、フェンスの構築時点で風によるバタツキ防止のための初期張力が支柱の間隔方向(横方向)に付与される。その上に、風荷重による張力も支柱の間隔方向に作用する。一方、この柵用板には、前記風荷重を低減する減風性能を達成する目的で開口(孔)を設けるが、防風、防雪効果の観点(遮蔽率)からは、前記開口率は通常10%〜50%とされることを既に説明した。
前記の開口率を達成しつつ前記二種の張力に耐えて寿命の長いフェンス用柵を、できるだけ薄い板厚で実現することはこれまで無理と考えられてきた。その理由は、金属平板に図2に示すような円形の開口K1を設けて引張り荷重Tを加えた際の応力の分布は一様にはならず、開口K1の口縁部に周知の応力集中σ1が発生し、断面本来の引張り応力(公称応力)よりも遙かに大きな極大応力σ1が発生することは周知であり、耐力性能に問題があると考えられてきたからである。因みに、図2の円形孔K1の口径M1は通例26mmの大きさである。
防風柵や防雪柵等のフェンスに使用するフェンス用柵板には、上記開口率10%〜50%を達成するために多数の開口K1(孔)が設けられるので、前記開口K1によって応力の陰になるS部分(開口の後ろ側の引張り応力が低い部分)の面積の総和もかなり大きな数値になるはずであるが、図2の場合、W1寸法とW2寸法とがほぼ同じ大きさであるから、縦、横1:1の面積比になっており、無駄があると考えられる。
上記孔明き金属板において、引張り応力が低いS部分の面積を可及的に縮減する(幅寸W1を縮小する。)と、反比例的に前記応力集中が発生する高応力部分Pの面積を拡大する(幅寸W2を拡大する。)ことができる。その結果、高応力部分Pに発生する内部応力を比例的に低減化できることがわかる。本発明はこの事実に着眼してなされた。
そこで孔明き金属板に設ける開口の形状を真円孔、矩形孔、楕円孔、長丸孔(長円孔)とし、且つその配置を検討して公称応力と応力集中の最大値とが共に小さくなる形状を求めた結果、次の結論が得られた。
(1)開口を図3のような長丸孔(長円孔K2)とし、且つ引張り方向(支柱の間隔方向 =左右方向)に隣接する開口の口縁相互の間隔W1を狭めて、上記引張り応力が低 い部分Sの面積を狭くする。逆に支柱の間隔方向と直角な上下方向に隣接する開口 の口縁相互の間隔W2を大きくして、上記高応力部分Pの面積を可及的に拡大する (図3のようにする)と、同部分Pの公称応力を小さくできる。
(2)公称応力が小さいと、応力集中の最大値σ2も小さくなる。
(3)前記の長丸孔(長円孔K2)は、円弧とその接線とから成るので、連続円弧(真円 孔K1=図2)の開口よりも形状変化が小さいので、応力集中の最大値σ2は小さ くなる(σ1>σ2)。
(4)上記の如く公称応力、応力集中の最大値σ2が共に小さくなると、必然、金属板の 材料強度に応じて板厚を小さくできる。
防雪柵等の支柱6の間隔方向である左右方向の力骨4は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積を有する構成とする。
上下方向の力骨3は、防雪柵等のフェンス用柵としての形状保持が可能な有効断面積を有する構成とする。
図1に示した柵用の平板状孔明き金属板1は、公称応力50kg級の厚さ1.0mmの平鋼板に、縦×横が14mm×47mm程度の全て同形、同大の長丸孔2…が上下・左右方向に規則的な行列で設けられて目標の開口率10%〜50%を達成している。
前記長丸孔2の行列における断面欠損部を除いた有効断面部分が上下・左右方向に一定の幅寸(一例としてW1≒4mm、W2≒15mm)で直線的に連続する上下、左右方向の力骨3および4が形成されている。すなわち、上下方向(縦方向)の力骨3は、左右方向に隣接する長丸孔2、2の列間(孔縁相互の間隔W1)が限りなく狭幅で、防雪柵等の柵用板としての形状保持が可能な程度の有効断面積で構成されている。逆に、左右方向(横方向)の力骨4は、長丸孔2の縦の開口幅mをできるだけ小さく形成し、もって上下方向に隣接する長丸孔2、2間の行間隔(孔縁相互の間隔W2)を可能な限り広幅として、防雪柵等の支柱の間隔方向である左右方向に作用する引張り応力に耐える有効断面積を確保した構成とされている。
地上に所定の間隔で建てられた支柱6、6の前面部に、上記構成の平板状孔明き金属板1の側縁部同士がほぼ突き当たる(又は合わせる)ように、隣接する金属板1、1をほぼ等分の長さづつ平面接触状態に当てがい、各平板状孔明き金属板1の側縁部に位置する長孔2…の中から上下方向に適度なピッチとなるように複数個おきに選択した幾つかの長孔2を利用し、ボルト止め等の取り付け金具で支柱6へ支持させ固定されている。図6に示した支柱6はH形鋼であるが、この限りではない。溝形鋼や角鋼管等による支柱を適宜選択して実施することができる。
図示した実施例の場合は、平板状孔明き金属板1の側縁部に沿って上下方向に、厚板状の平鋼板による押さえ縁7を当てがうと共に、この押さえ縁7に予め設けてあるボルト孔(丸孔)へ通したボルト8を平板状孔明き金属板1の該当する長孔2へも共通に通し、更に支柱6に設けたボルト孔へも通し、支柱6の背面側からナット9をねじ込み強く締結して、押さえ縁7を通じて分配した摩擦力で平板状孔明き金属板1の特に左右方向の力骨4…に緊張力(初期張力)が作用する構成で支柱6へ支持させ固定している。
平板状孔明き金属板1は、その一方の側縁部(図7においては図示を省略した左方の側縁部)を、同側縁部に位置する孔2を利用する取り付け金具(ボルト8、ナット9)と押さえ縁7とで、該当する支柱6へ強固に支持・固定する。その上で、他方(図7において右方)の側縁部を、同側縁部に位置する長孔2を利用する取り付け金具(ボルト8、ナット9)と押さえ縁7とで支柱6へ仮固定する。ここでいう仮固定とは、上述したネジ式初期張力導入装置10による平板状孔明き金属板1への初期張力の導入を許容する程度に緩い締め付け力による固定状態を意味する。
上述の仮固定状態において、例えば図5、図6に示したボルト8の設置位置を回避した複数箇所、具体的には各ボルト8、8の中間位置毎に4台程度のネジ式初期張力導入装置10を用意し、各装置は押さえ縁7に予め設けてあるピン孔18および孔明き金属板1の該当する長孔2とに反力を取るべく上記第一、第二の反力ピン12、15を差し込んで初期張力導入装置10をセットする。そして、押しボルト17を前進させる方向に回転して前記移動駒14を図中右方向へ押し動かし、押さえ縁7に反力をとって孔明き金属板1を右方向へ引っ張り、所要大きさの初期張力を孔明き金属板1へ導入する。前記の張力状態を保持したまま、当該右側の側縁部をボルト8、ナット9で強く締め付け(本締め)、押さえ縁7を介して支柱6へ強固に支持・固定してフェンスを構築する。
2 孔(長孔)
3 上下方向の力骨
4 左右方向の力骨
6 支柱
7 押さえ縁
8 ボルト
9 ナット(取り付け金具)
18 ピン孔(取り付け金具)
10 初期張力導入装置
12 第一のピン
15 第二のピン
11 台プレート
13 ガイド孔
14 移動駒
16 雌ネジ部材
17 押しボルト
Claims (8)
- 防風柵、防雪柵等のフェンス用柵として用いる平板状孔明き金属板であって、
平板に、複数の孔が上下・左右方向に規則的な行列で設けられ10%〜50%の開口率とされ、
前記孔の行列における断面欠損部を除く有効断面部分が上下・左右方向に直線的に連続して上下、左右方向の力骨が形成されており、
防雪柵等の支柱の間隔方向である左右方向の力骨は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積で形成されており、
上下方向の力骨は、防雪柵等のフェンス用柵としての形状保持が可能な有効断面積で形成されていることを特徴とする、柵用の平板状孔明き金属板。 - 金属板の孔は、支柱の間隔方向である左右方向に長い長孔とされ、左右方向に隣接する長孔の孔縁は相互に可能な限り接近させ、上下方向に隣接する長孔の孔縁は相互に可能な限り離れた行列で設けられて10%〜50%の開口率とされていることを特徴とする、請求項1に記載した柵用の平板状孔明き金属板。
- 孔明き金属板はプレメッキ材であることを特徴とする、請求項1に記載した柵用の平板状孔明き金属板。
- 平板の上下・左右方向に規則的な行列で設けられた複数の孔はそれぞれ同形、同大であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した柵用の平板状孔明き金属板。
- 支柱の相互間に平板状孔明き金属板の両側縁を支持させて構成された防風柵、防雪柵等のフェンスにおいて、
孔明き金属板は、平板に、複数の孔が上下・左右方向に規則的な行列で設けられて10%〜50%の開口率とされており、
前記孔の行列における断面欠損部を除く有効断面部分が上下・左右方向に直線的に連続して上下、左右方向の力骨が形成されており、
支柱の間隔方向である左右方向の力骨は、一定大きさの引張り応力に耐える有効断面積で形成されており、
上下方向の力骨は、防雪柵等のフェンス用柵としての形状保持が可能な有効断面積で形成されており、
平板状孔明き金属板は、その両側縁部に位置する孔を利用して初期張力が付与され、且つ支柱に支持・固定されていることを特徴とする、フェンス。 - 平板状孔明き金属板の孔は、支柱の間隔方向である左右方向に長い長孔とされ、左右方向に隣接する長孔の孔縁を相互に可能な限り接近させ、上下方向に隣接する長孔の孔縁は相互に可能な限り離れた行列で設けられ10%〜50%の開口率とされていることを特徴とする、請求項5に記載したフェンス。
- 平板状孔明き金属板を必要な初期張力を導入して支柱へ取り付けフェンスを構築する方法であって、
前記孔明き金属板の一方の側縁部を同側縁部に位置する孔を利用して取り付け金具と押さえ縁で支柱へ強固に支持・固定し、その上で、他方の側縁部は同側縁部に位置する孔を利用する取り付け金具と押さえ縁とで支柱へ仮固定する段階と、
押さえ縁に予め設けてあるピン孔および孔明き金属板の孔に反力を取るピンを備えた初期張力導入装置をセットし、押さえ縁に反力をとって孔明き金属板を左右方向に引っ張り初期張力を導入する段階と、
前記の張力状態を保持して孔明き金属板の当該側縁部を取り付け金具と押さえ縁とで支柱へ強固に支持・固定する段階とから成ることを特徴とする、平板状孔明き金属板によるフェンスの構築方法。 - 平板状をなす台プレートの一側端部の背面に第一の反力ピンが突き出されており、前記台プレートの長手方向に長いガイド孔が形成され、同ガイド孔の長手方向の両辺に案内され滑動する移動駒が設置されており、前記移動駒の背面に第二の反力ピンが突き出されており、台プレートに固定した雌ネジ部材へねじ込まれ前記ガイド孔の長手方向の両辺と平行に配置された押しボルトが前記移動駒を押し動かす構成であることを特徴とする、平板状孔明き金属板を用いたフェンスの初期張力導入装置。
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