JP2006169454A - 耐熱性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 PAS樹脂からなる樹脂組成物に対し、溶融流動性を悪化させることなく耐熱性、強度、靭性、成形性に優れた材料を提供する。
【解決手段】 (1)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および、(2)エピスルフィド化合物からなる樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 (1)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および、(2)エピスルフィド化合物からなる樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、押出成形性、射出成形性に優れ、かつ強度、靭性、耐熱性、溶融時の流動性に優れた新規な樹脂組成物に係わる。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略記する。)に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂と略記する。)は、電気特性、耐溶剤性に優れ、特に溶融流動性が優れているのが特徴である。
しかしながら、充填材等を用いないと、耐熱性、機械強度、剛性、及び寸法安定性を付与せしめることができず、PAS樹脂単体では耐熱性、強度、剛性が良好でないという問題がある。シラン化合物を添加することにより耐熱、強度を図った文献もあるが、まだ物性向上が不十分であった(特許文献1参照)。
本発明の目的は、上記した欠点に鑑み、PAS樹脂からなる樹脂組成物に対し、溶融流動性を悪化することなく耐熱性、強度、靭性、成形性に優れた材料を提供することである。
即ち、本発明の目的は、(1)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および、(2)エピスルフィド化合物(B)からなる樹脂組成物によって解決されることを見出した。
本発明によれば、PAS樹脂からなる樹脂組成物に対し、エピスルフィド化合物を一定量使用することによって、溶融時の流動性、強度、靭性、成形性に優れた射出成型材料を提供するものである。
本発明の樹脂組成物に使用される(A)成分であるPAS樹脂とは、式[−Ar−S−](但し、−Ar−は、アリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPAS樹脂は、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリマーである。アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。)、p、p’−ジフェニレンスルホン基、p、p’−ビフェニレン基、p、p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げることができる。PAS樹脂としては、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもできる。
これらのPAS樹脂の中でも、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPS樹脂が、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドなどを使用することができる。コポリマーの具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げることができる。これらのPAS樹脂は、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、PAS樹脂は、靭性や強度の観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。このようなPAS樹脂は、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法(例えば、特公昭63−33775号公報)により得ることができる。
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応系中で、NaSHとNaOHを反応させることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロモベンゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、p、p’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PAS樹脂に多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなどのトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロベンゼンがより好ましい。
極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得られやすいので好ましい。本発明で使用するPAS樹脂は、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が、通常、10〜600Pa・s、好ましくは50〜550Pa・s、より好ましくは70〜550Pa・sである。溶融粘度が異なる2種以上のPAS樹脂をブレンドして使用する場合には、ブレンド物の溶融粘度が前記範囲内にあることが好ましい。また、PAS樹脂の溶融粘度が100Pa・s以上であることが、機械的強度や靭性などの観点から特に望ましい。PAS樹脂の溶融粘度が小さすぎると、機械的強度や靭性などの物性が不充分となる恐れがある。PAS樹脂の溶融粘度が大きすぎると、溶融流動性が不充分となり、射出成形性や押出成形性が不充分となる恐れがある。
本発明で使用するPAS樹脂は、重合終了後の洗浄したものを使用することができるが、さらに、塩酸、酢酸などの酸を含む水溶液、あるいは水−有機溶剤混合溶液により処理したものや、塩化アンモニウムなどの塩溶液で処理を行ったものなどを使用することが好ましい。特に、アセトン:水=1:2(容積比)に調整した混合溶媒中でのpHが8以下を示すようになるまで洗浄処理したPAS樹脂を用いると、樹脂組成物の溶融流動性及び機械的物性をより一層向上させることができる。
本発明で使用するPAS樹脂は、100μm以上の平均粒子径を有する粒状物であることが望ましい。PAS樹脂の平均粒子径が小さすぎると、押出機による溶融押出しの際、フィード量が制限されるため、樹脂組成物の押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂組成物の劣化等の問題が生じる恐れがある。また、製造効率上も望ましくない。
本発明で使用する(B)成分であるエピスルフィド化合物は、分子内に1つ以上のエピスルフィド基を有する化合物である。
エピスルフィド化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好適に用いられる。
(式中、X1はそれぞれ独立に水素原子または一般式:E−R2−X2−を表し、Eはエピスルフィド基またはエポキシ基を表し、エピスルフィド基は分子中に必ず1つ以上含まれる。
ここで、エピスルフィド基は下記式で表される。
X2はそれぞれ独立に炭素数1〜6の2価の炭化水素基、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、ジスルフィド結合(−S−S−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−NHCO−)、または単結合を表す。
2価の炭化水素基として炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としてアルカン−ジイル基が好ましい。アルカン−ジイル基としてメチレン基、トリメチレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基、エタン−ジイル基が挙げられる。
X3はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜24の1価の炭化水素基、ビニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、エピスルフィド基、エポキシ基、およびメルカプト基を表す。
1価の炭化水素基として、炭素数1〜24の脂肪族基、置換若しくは非置換の芳香族基が挙げられる。脂肪族基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。芳香族基として、フェニル基、ベンジル基が好ましい。
R1はそれぞれ独立に炭素数1〜24の4価の炭化水素基を表す。炭化水素基として炭素数1〜6の4価の脂肪族基、炭素数6〜8の4価の脂環族基または炭素数6〜15の4価の芳香族基が挙げられる。脂肪族基として炭素数1〜6のアルカン−テトライル基、脂環族炭化水素基として炭素数1〜8のシクロアルカン−テトライル基、芳香族炭化水素基として炭素数6〜15のアレーン−テトライル基が好ましい。
R2はそれぞれ独立に炭素数1〜24の2価の炭化水素基を表す。炭化水素基として炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としてアルカン−ジイル基が好ましい。アルカン−ジイル基としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基、エタン−ジイル基が挙げられる。nは0以上20以下の整数を表す。)
ここで、エピスルフィド基は下記式で表される。
2価の炭化水素基として炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としてアルカン−ジイル基が好ましい。アルカン−ジイル基としてメチレン基、トリメチレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基、エタン−ジイル基が挙げられる。
X3はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜24の1価の炭化水素基、ビニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、エピスルフィド基、エポキシ基、およびメルカプト基を表す。
1価の炭化水素基として、炭素数1〜24の脂肪族基、置換若しくは非置換の芳香族基が挙げられる。脂肪族基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。芳香族基として、フェニル基、ベンジル基が好ましい。
R1はそれぞれ独立に炭素数1〜24の4価の炭化水素基を表す。炭化水素基として炭素数1〜6の4価の脂肪族基、炭素数6〜8の4価の脂環族基または炭素数6〜15の4価の芳香族基が挙げられる。脂肪族基として炭素数1〜6のアルカン−テトライル基、脂環族炭化水素基として炭素数1〜8のシクロアルカン−テトライル基、芳香族炭化水素基として炭素数6〜15のアレーン−テトライル基が好ましい。
R2はそれぞれ独立に炭素数1〜24の2価の炭化水素基を表す。炭化水素基として炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としてアルカン−ジイル基が好ましい。アルカン−ジイル基としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基、エタン−ジイル基が挙げられる。nは0以上20以下の整数を表す。)
エピスルフィド化合物(B)は、下記一般式(I−1)で示される化合物であることが好ましい。一般式(I−1)は、一般式(I)において、n=0、X1=E―R2―X2―の場合である。
(式中、R2は、メチレン基、エチレン基またはエタン−1,1−ジイル基を表す。X2は、単結合、−O−、アルカン−ジイル基を表す。アルカン−ジイル基としてメチレン基、エチレン基、トリメチレン基が挙げられる。X3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基、−OH、フェニル基またはベンジル基を表す。)
またエピスルフィド化合物(B)は、下記一般式(I−2)で示される化合物であることが好ましい。一般式(I−2)は、一般式(I)において、n=1、X1=E―CH2―X2―、( )内のX1=H、( )内のX3=H、( )内のX2=単結合の場合である。
(式中、X2は、単結合、−O−、−S−または−S−S−を表す。X3は、−SHまたはエピスルフィド基を表す。R1は、炭素数1〜6のアルカン−テトライル基、炭素数6〜8のシクロアルカン−テトライル基または炭素数6〜15のアレーン−テトライル基を表す。)
アルカン−テトライル基として、メタン−テトライル基、エタン−テトライル基、プロパン−テトライル基、ブタン−テトライル基、ペンタン−テトライル基などが挙げられる。シクロアルカン−テトライル基としてシクロヘキサン−テトライル基などが挙げられる。アレーン−テトライル基として、ベンゼン−テトライル基、キシレン−テトライル基、ジフェニル−テトライル基、ジフェニルメタン−テトライル基、ジフェニルプロパン−テトライル基などが挙げられる。
アルカン−テトライル基として、メタン−テトライル基、エタン−テトライル基、プロパン−テトライル基、ブタン−テトライル基、ペンタン−テトライル基などが挙げられる。シクロアルカン−テトライル基としてシクロヘキサン−テトライル基などが挙げられる。アレーン−テトライル基として、ベンゼン−テトライル基、キシレン−テトライル基、ジフェニル−テトライル基、ジフェニルメタン−テトライル基、ジフェニルプロパン−テトライル基などが挙げられる。
さらにエピスルフィド化合物(B)は、下記一般式(I−3)で示される化合物であることが好ましい。一般式(I−3)は、一般式(I)において、n=1、X1=E―CH2―X2―)、X3=H、X2=単結合の場合である。
(式中、X2は、それぞれ独立に―S―または−O−を表す。R1は、炭素数1〜5のアルカン−テトライル基、炭素数1〜8のシクロアルカン−テトライル基または炭素数6〜15のアレーン−テトライル基を表す。)
アルカン−テトライル基として、メタン−テトライル基、エタン−テトライル基、プロパン−テトライル基、ブタン−テトライル基、ペンタン−テトライル基などが挙げられる。シクロアルカン−テトライル基としてシクロヘキサン−テトライル基などが挙げられる。アレーン−テトライル基として、ベンゼン−テトライル基、キシレン−テトライル基、ジフェニル−テトライル基、ジフェニルメタン−テトライル基、ジフェニルプロパン−テトライル基などが挙げられる。
アルカン−テトライル基として、メタン−テトライル基、エタン−テトライル基、プロパン−テトライル基、ブタン−テトライル基、ペンタン−テトライル基などが挙げられる。シクロアルカン−テトライル基としてシクロヘキサン−テトライル基などが挙げられる。アレーン−テトライル基として、ベンゼン−テトライル基、キシレン−テトライル基、ジフェニル−テトライル基、ジフェニルメタン−テトライル基、ジフェニルプロパン−テトライル基などが挙げられる。
本発明で好適に用いられるエピスルフィド化合物を以下に例示するが、これらを単独で用いてもよく、また2種類以上を併用しても良い。
また本発明においては、上記化合物のエピスルフィド基の一部をエポキシ基に置換した化合物が使用できる。より好ましくは、メチルチオグリシジルエーテル、プロピルチオグリシジルエーテル、ブチルチオグリシジルエーテル、フェニルチオグリシジルエーテル、ベンジルチオグリシジルエーテル、2,3−エピスルフィド−1−プロパノール、2,3−エピスルフィド−1−ブタノール、3,4−エピスルフィド−1−ブタノール、3,4−エピスルフィド−2−ブタノール、ビスチオグリシジルスルフィド、ビスチオグリシジルエーテル、である。
本発明におけるPAS樹脂とエピスルフィド化合物との重量比は、PAS樹脂100重量部に対して、通常0.001〜15重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜8重量部である。機械強度等を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維等の充填材を配合することができる。
充填材の例としては、ガラスビーズ、ウオラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、二酸化珪素、クレー、アスベスト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、ケイソウ土、グラファイト、カーボランダム、二硫化モリブデンに代表される鉱物質充填材;ガラス繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、等を挙げることが出来る。充填材は、PAS樹脂100重量部に対して、1〜100重量部使用することが出来る。好ましい充填材は、ガラス繊維、ミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填材であり、ウレタン、アミノ系等のシランカップリング剤で処理したものも好適に使用できる。
本発明に使用する樹脂組成物は、PAS樹脂、充填材およびエピスルフィド化合物を溶融混練りして製造される。溶融混練り温度は250〜400℃、好ましくは280〜360℃である。混練り方法は、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールその他で行うことが出来るが、好ましい方法は、2軸押出機による方法である。
本発明に使用される樹脂組成物には、所望に応じて、顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外線剤、難燃剤、難燃助剤の添加剤などその他の成分が適宣配合され得る。
顔料としては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛等が例示できる。
滑剤としては、鉱物油、シリコン油、エチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ステアリン酸ナトリウムなどの金属塩、モンタン酸ナトリウム等の金属塩、モンタン酸アミドなどが代表的なものとして例示される。
また可塑剤としては、一般に用いられるシラン系化合物や、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸化合物等、エポキシ基を持つ化合物等が挙げられる。また、一般に用いられる紫外線吸収剤、着色剤等を用いることができる。
難燃剤としては、トリフェニルフォスフェートのようなリン酸エステル類、デカブロモビフェニル、ペンタブロモトルエン、ブロモ化エポキシ樹脂、等の臭化化合物;メラミン誘導体などの含窒素リン化合物等が挙げられる。難燃助剤を使用しても良く、その例としては、アンチモン、ほう素、亜鉛等の化合物等が挙げられる。
本発明においては、上記のような(A)PAS樹脂および(B)エピスルフィド化合物よりなる樹脂組成物を得るが、成形は、通常の射出成形法によって行われ、シリンダー温度は、290〜360℃の範囲で行い、金型は十分な耐熱性を得るために100〜160℃にすることが望ましい。また、耐熱性を改良し、且つ残留応力を取り除く目的で成形後に熱処理することが望ましい。特に、金型温度が110℃より低い温度で成形した場合は熱処理するのが好ましい。熱処理の方法は、特に限定されるものではなく、例えば通常の熱風式オーブン、電子レンジまたはオーブンレンジを用いられる。熱処理温度は、150〜300℃、好ましくは、180〜280℃、最も好ましくは、200〜260℃で30秒〜48時間、好ましくは1時間〜36時間常圧もしくは減圧で行うこともできる。
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
PAS樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:DIC−PPS−LR03、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度は300Pa・sであった。)100重量部、ガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製、商品名:チョップドストランド03JAFT523)67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル1重量部をブレンドし、2軸押出機を用いて320℃で溶融混錬りしてペレット化し 樹脂組成物を製造した。
このペレットを射出成形し、1/8インチ厚の抗折試験片を得た。この試験片を用いて、曲げ強度、曲げ歪み(島津製作所(株)製、オートグラフ AG5000B)を測定した。熱変形温度(18.6kg/cm2荷重)もこの試験片を用いて、窒素雰囲気下で測定(安田精機(株)製、HD−500−PC )した。溶融流動性は、ペレットから測定((株)東洋精機製作所製、キャピログラフ1B、350℃、剪断速度1200/秒)した。結果は、表11に示した。
PAS樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:DIC−PPS−LR03、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度は300Pa・sであった。)100重量部、ガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製、商品名:チョップドストランド03JAFT523)67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル1重量部をブレンドし、2軸押出機を用いて320℃で溶融混錬りしてペレット化し 樹脂組成物を製造した。
このペレットを射出成形し、1/8インチ厚の抗折試験片を得た。この試験片を用いて、曲げ強度、曲げ歪み(島津製作所(株)製、オートグラフ AG5000B)を測定した。熱変形温度(18.6kg/cm2荷重)もこの試験片を用いて、窒素雰囲気下で測定(安田精機(株)製、HD−500−PC )した。溶融流動性は、ペレットから測定((株)東洋精機製作所製、キャピログラフ1B、350℃、剪断速度1200/秒)した。結果は、表11に示した。
実施例2
エピスルフィド化合物として、ビスチオグリシジルスルフィドを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
エピスルフィド化合物として、ビスチオグリシジルスルフィドを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例3
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル8重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル8重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例4
エピスルフィド化合物として、2,3−エピスルフィド−1−プロパノールを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
エピスルフィド化合物として、2,3−エピスルフィド−1−プロパノールを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例5
エピスルフィド化合物として、2,2−ビス{4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル}プロパンを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
エピスルフィド化合物として、2,2−ビス{4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル}プロパンを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例6
実施例1のPAS樹脂100重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル1重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果は、表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル1重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果は、表11に示した。
比較例1
実施例1のPAS樹脂100重量部および実施例1のガラス繊維67重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部および実施例1のガラス繊維67重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
比較例2
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル20重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびフェニルチオグリシジルエーテル20重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
比較例3
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびビスチオグリシジルスルフィド20重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果を表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびビスチオグリシジルスルフィド20重量部をブレンドし、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果を表11に示した。
比較例4
実施例1のPAS樹脂100重量部のみを射出成形し、実施例1と同様の方法にて評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果を表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部のみを射出成形し、実施例1と同様の方法にて評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果を表11に示した。
比較例5
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8331)1重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部、実施例1のガラス繊維67重量部およびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8331)1重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。結果は、表11に示した。
比較例6
実施例1のPAS樹脂100重量部およびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製 TSL8331)1重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果を表11に示した。
実施例1のPAS樹脂100重量部およびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製 TSL8331)1重量部をブレンドした以外は、実施例1と同様の方法にて樹脂組成物を製造し、評価した。但し、得られた樹脂組成物の溶融粘度の測定に際し、温度のみを310℃に変更して測定した。結果を表11に示した。
〔表の記号の説明〕
PAS樹脂:ポリアリーレンスルフィド樹脂
EPS化合物(1):フェニルチオグリシジルエーテル
EPS化合物(2):ビスチオグリシジルスルフィド
EPS化合物(3):2,3−エピスルフィド−1−プロパノール
EPS化合物(4):2,2−ビス{4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル}プロパン
シラン化合物:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
DTUL:熱変形温度
PAS樹脂:ポリアリーレンスルフィド樹脂
EPS化合物(1):フェニルチオグリシジルエーテル
EPS化合物(2):ビスチオグリシジルスルフィド
EPS化合物(3):2,3−エピスルフィド−1−プロパノール
EPS化合物(4):2,2−ビス{4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル}プロパン
シラン化合物:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
DTUL:熱変形温度
Claims (9)
- (1)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および、(2)エピスルフィド化合物(B)からなる樹脂組成物。
- (1)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、(2)エピスルフィド化合物(B)が0.01〜10重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が10〜600Pa・sである請求項1記載の樹脂組成物。
- エピスルフィド化合物(B)が、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
- エピスルフィド化合物(B)が、下記一般式(I-1)、(I-2)および(I-3)からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
- 充填材を配合されてなる請求項1記載の樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004367070A JP2006169454A (ja) | 2004-12-20 | 2004-12-20 | 耐熱性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004367070A JP2006169454A (ja) | 2004-12-20 | 2004-12-20 | 耐熱性樹脂組成物 |
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---|---|
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JP (1) | JP2006169454A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148612A1 (ja) | 2006-06-19 | 2007-12-27 | Ntt Docomo, Inc. | 基地局装置 |
JP2008050266A (ja) * | 2006-07-27 | 2008-03-06 | Hitachi Chem Co Ltd | フェノール誘導体及びそれから得られるコア架橋型スターポリスルフィド |
-
2004
- 2004-12-20 JP JP2004367070A patent/JP2006169454A/ja active Pending
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JP2008050266A (ja) * | 2006-07-27 | 2008-03-06 | Hitachi Chem Co Ltd | フェノール誘導体及びそれから得られるコア架橋型スターポリスルフィド |
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