JP2001247765A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2001247765A
JP2001247765A JP2000060105A JP2000060105A JP2001247765A JP 2001247765 A JP2001247765 A JP 2001247765A JP 2000060105 A JP2000060105 A JP 2000060105A JP 2000060105 A JP2000060105 A JP 2000060105A JP 2001247765 A JP2001247765 A JP 2001247765A
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aromatic
resin composition
group
reaction
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JP2000060105A
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English (en)
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Tsutomu Miyoshi
努 三好
Toshiaki Yamada
敏明 山田
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、溶融時の流動性、強度及び靱性に優
れた樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)芳香族トリカルボン酸無水物、ま
たは芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族テトラカルボ
ン酸無水物を、ジイソシアネート化合物と反応させるの
に際し、アミド化反応が70%以上終了してから、イミ
ド基の生成反応を行わせて得られる芳香族ポリアミドイ
ミド樹脂、(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂からな
る樹脂成分の合計100重量部に対して、(C)シリコ
ーンオイル0.01〜10重量部を含有せしめてなる樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、溶融時の
流動性、強度及び靭性に優れた新規な樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐熱
性、機械的強度、電気特性、耐薬品性に優れ、しかも自
己潤滑性をもつプラスチック材料である。しかしなが
ら、ワニス、フィルム用途以外は、溶融流動性に劣り、
ほとんどのものは射出成形が困難な場合が多い。そのた
め、コンプレッションモールド法による成形を行ってい
るのが現状である。
【0003】一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下、PPSと略記)に代表されるポリアリーレンスルフ
ィド樹脂(以下、PAS樹脂と略記)は、耐熱性、電気
特性、耐溶剤性に優れ、特に溶融流動性が優れているの
が特徴である。また、充填材等を用いて強化することに
より、優れた機械強度、剛性及び寸法安定性を付与せし
めることが知られており、電気・電子部品、自動車部
品、機械部品等の用途に、射出成形品が広く用いられて
いる。
【0004】特許第2868043号公報には、ある特
定の繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドイミドとP
PSを複合化することにより、耐熱性を向上させ且つ流
動性が改良された樹脂組成物が得られると記述されてい
る。しかしながら、相溶性不足から、強度及び靱性が不
足する材料しか得られなかった。
【0005】特開平11−293109号公報では、P
AS樹脂と芳香族ポリアミドイミドの相溶性を改良する
ために官能基を有するシラン化合物を含有する樹脂組成
物が提案されている。しかしながら、相溶性は大幅に改
良されず、強度も使用に耐え得るものではなかった。ま
た、シラン化合物として示されたアルコキシラン化合物
は、沸点が成形温度より低く成形時のガスの発生やジュ
ーシングの原因になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する問題点は、ポリアミドイミドとPAS樹脂からなる
樹脂組成物の更なる相溶性を改良して、強度及び靱性の
優れた樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々研究
した結果、芳香族ポリアミドイミドとPAS樹脂からな
る樹脂成分に、シリコーンオイルを添加することによ
り、優れた耐熱性、強度、溶融流動性を有する新規な樹
脂組成物が得られることを見いだした。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、(A)芳香族トリカル
ボン酸無水物、または芳香族トリカルボン酸無水物と芳
香族テトラカルボン酸無水物を、ジイソシアネート化合
物と反応させるに際し、アミド化反応が70%以上終了
してから、イミド化反応を行わせて得られる芳香族ポリ
アミドイミド樹脂と(B)ポリアリーレンスルフィド樹
脂からなる樹脂成分100重量部に対して、(C)シリ
コーンオイル0.01〜10重量部を含有せしめてなる
樹脂組成物である。
【0009】本発明の樹脂組成物に使用される(A)成
分の芳香族ポリアミドイミド樹脂の製造は、一般には、
重合温度、反応時間、触媒添加方法を適切に行うことに
よりアミド化反応とイミド化反応を制御することにより
行うことが出来るが、基本的にはアミド基の生成反応が
実質的に終了するまでイミド基の生成反応が起こらない
条件でアミド化反応を行い、ついでイミド化反応を行う
条件で実施するのであれば差し支えない。
【0010】本発明で使用される芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂を得るため、アミド化反応終了後、イミド化反応
をさせる方法としては、重合温度を制御する方法が簡便
である。即ち、芳香族トリカルボン酸無水物(一部芳香
族テトラカルボン酸無水物を含む場合も含む)とジイソ
シアネート化合物を溶媒中50〜100℃、好ましくは
60〜100℃、更に好ましくは80〜100℃の温度
範囲で反応させ、アミド化反応が70%以上、好ましく
は80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好まし
くは95%以上終了してから、通常100〜200℃、
好ましくは、105〜180℃、更に好ましくは110
〜180℃の温度範囲でイミド化反応を行わせる方法で
ある。
【0011】芳香族トリカルボン酸無水物(一部、芳香
族テトラカルボン酸無水物を含む場合も含む。)とジイ
ソシアネート化合物との反応温度は、重要な条件であ
り、これを制御することにより、本発明に使用される樹
脂組成物を構成する芳香族ポリアミドイミド樹脂を製造
することが出来る。各段における温度は、その温度範囲
内であれば、いかように設定しても構わない。例えば、
昇温させても、一定温度に保っても、またこの組み合わ
せであっても構わないが、一定温度に保つのが望まし
い。各段の温度がこの範囲より低い場合は、アミド基及
びイミド基の生成反応が完結せず、その結果、得られた
芳香族ポリアミドイミド樹脂の重合度があがらないた
め、本発明の樹脂組成物が脆いものとなる。アミド化の
温度が上記範囲より高い場合は、アミド基の生成反応と
イミド基の生成反応が同時に起こるため、得られた芳香
族ポリアミドイミド樹脂は溶融流動性及び滞留安定性の
劣ったものになり、本発明の樹脂組成物の滞留安定性も
劣るものとなる。
【0012】芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシア
ネート化合物との反応時間は、アミド化反応は、一般的
には30分〜5時間、好ましくは30分から2時間であ
り、イミド化反応は、一般的には30分から10時間、
好ましくは1時間から8時間である。反応時間がこれよ
りも短すぎると、得られた芳香族ポリアミドイミド樹脂
の重合度があがらないため、本発明の樹脂組成物が脆い
ものとなる。一方、反応時間が長すぎると、得られた芳
香族ポリアミドイミド樹脂は溶融流動性の劣ったものと
なり、本発明の樹脂組成物中での該芳香族ポリアミドイ
ミド樹脂の分散性が悪くなり、所望の性能が得られな
い。本発明の芳香族ポリアミドイミド樹脂を製造するに
際して、アミド基の成分とイミド基の成分を重合反応の
間、追跡する必要がある。この方法としては、公知の赤
外分光法、ガスクロマトグラム法等により可能である。
【0013】本発明を構成する樹脂組成物に使用する芳
香族ポリアミドイミド樹脂を製造するために使用する芳
香族トリカルボン酸は、次の一般式で示される化合物で
ある。
【0014】
【化1】 (式中、Arは少なくとも1つのベンゼン環を含む3価
の芳香族基を示す。)
【0015】Arの具体例としては、以下のものが例示
されるが、2種以上の化合物を混合して使用することも
できる。
【0016】
【化2】 これらのうち、芳香族トリカルボン酸無水物としては、
トリメリット酸無水物が好ましい。
【0017】上記芳香族トリカルボン酸無水物の0〜5
0モル%を芳香族テトラカルボン酸無水物に代えること
も可能である。しかし、上記範囲より、芳香族テトラカ
ルボン酸無水物が多いと、得られる芳香族ポリアミドイ
ミド樹脂が脆くなる傾向がある。芳香族テトラカルボン
酸無水物は、下記一般式で表される化合物である。
【0018】
【化3】 (式中、Ar1は少なくとも1つのベンゼン環を含む3価
の芳香族基を示す。)
【0019】芳香族テトラカルボン酸無水物の具体例と
しては、以下のものである。
【0020】
【化4】
【0021】本発明を構成する樹脂組成物に用いられる
芳香族ポリアミドイミド樹脂を製造するために使用する
ジイソシアネート化合物とは下記一般式で示される化合
物である。
【0022】O=C=N−R−N=C=O (式中、Rは、2価の芳香族及び/または脂肪族基)
【0023】その具体例としては、以下のものが上げら
れるが、2種以上の化合物を混合して用いることもでき
る。
【0024】
【化5】
【0025】特に好ましいものとして、m-フェニレンジ
イソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-
トリレンジイソシアネート、メチレンジ(4-フェニルイ
ソシアネート)を挙げることが出来る。
【0026】本発明に用いる樹脂組成物に好適な芳香族
ポリアミドイミド樹脂を製造するためには、芳香族トリ
カルボン酸無水物成分(前述のジカルボン酸、テトラカ
ルボン酸無水物を含むことが出来る)とジイソシアネー
ト成分は、それぞれのモル数をA、Bとしたとき両者の
モル比は、0.9 <A/B<1.1 に保たれることが望まし
く、より好ましくは、0.99<A/B<1.01に保たれるこ
とである。
【0027】本発明においては、芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂を円滑に製造するため、溶媒が使用される。使用
される溶媒は、ジイソシアネート化合物に対して、不活
性なものであれば、特に限定無く、具体的には、N-メチ
ルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の生成する芳香
族ポリアミドイミド樹脂に相溶性を有する溶媒、及びニ
トロベンゼン、ニトロトルエン等の生成する芳香族ポリ
アミドイミド樹脂と相溶性を有しない極性溶媒を挙げる
ことが出来る。これらは単独で使用しても、混合して使
用しても差し支えない。しかし、好ましいものは、芳香
族ポリアミドイミド樹脂と相溶性を有するN-メチルピロ
リドン、ジメチルホルムアミド等の溶媒である。また、
これらの溶媒の使用量は、モノマー原料の溶媒に対する
割合で、0.1〜4モル/リットルである。
【0028】本発明に用いる樹脂組成物を構成する芳香
族ポリアミドイミド樹脂の製造には、各種触媒を使用で
きるが、溶融時の成形加工性を損なわないためには、そ
の使用量は最小限に止めるべきであり、重合速度が十分
な水準にある限りは、使用しないことが望ましい。触媒
の具体例を例示するならば、ピリジン、キノリン、イソ
キノリン、トリメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、ト
リエチルアミン、等の第3級アミン、酢酸コバルト、ナ
フテン酸コバルト等の弱酸の金属塩、重金属塩、アルカ
リ金属塩等を挙げることが出来る。
【0029】また、溶媒、モノマー等から構成される重
合系の含有水分は、通常500ppm以下に保つことが
望ましく、より好ましくは、100ppm以下、最も好
ましくは50ppm以下に保つことである。系内の含有
水分量が500ppmを超えると、本発明の芳香族ポリ
アミドイミド樹脂の重合度が上がらないので好ましくな
い。
【0030】本発明の樹脂組成物を構成する芳香族ポリ
アミドイミド樹脂は、メタノール、イソプロパノール等
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、ヘプタン、トルエン等の脂肪族或いは芳香族炭
化水素類により沈殿、洗浄することにより粉末として回
収されるが、重合溶媒を直接濃縮してもかなわない。更
には、ある程度まで濃縮した後、押出機等で減圧下に溶
媒を除去し、ペレット化する方法を行うこともできる。
【0031】本発明に用いる樹脂組成物に好適な芳香族
ポリアミドイミド樹脂の重合度は、ジメチルホルムアミ
ド中30℃において濃度1g/dlで測定した還元粘度
で表示するならば、好ましくは0.15dl/g〜1.0 dl
/gであり、より好ましくは0.2dl/g〜0.6 dl/
gであり、最も好ましくは 0.2〜0.5 dl/gである。
【0032】また、本発明の樹脂組成物に使用される
(B)成分であるPAS樹脂とは、式[−Ar2−S−]
(但し、−Ar2−は、アリーレン基である。)で表され
るアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要
素とする芳香族ポリマーである。[−Ar2−S−]を1
モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPA
S樹脂は、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好
ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以
上含有するポリマーである。アリーレン基としては、例
えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェ
ニレン基(置換基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキ
ル基、またはフェニル基である。)、p,p'−ジフェニレ
ンスルホン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニ
レンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げることがで
きる。PAS樹脂としては、主として同一のアリーレン
基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、
加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を
含んだコポリマーを用いることもできる。
【0033】これらのPAS樹脂の中でも、p−フェニ
レンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPP
S樹脂が、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易で
あることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレン
ケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフ
ィドなどを使用することができる。コポリマーの具体例
としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位と
m−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するラン
ダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィド
の繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返
し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フ
ェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトン
ケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまた
はブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返
し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位
を有するランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げ
ることができる。これらのPAS樹脂は、結晶性ポリマ
ーであることが好ましい。また、PAS樹脂は、靭性や
強度の観点から、直鎖状ポリマーであることが好まし
い。このようなPAS樹脂は、極性溶媒中で、アルカリ
金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応
させる公知の方法(例えば、特公昭63−33775号
公報)により得ることができる。
【0034】アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫
化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビ
ジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応
系中で、NaSHとNaOHを反応させることにより生
成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p-ジク
ロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、2,5-ジクロロトル
エン、p-ジブロモベンゼン、2,6-ジクロロナフタリン、
1-メトキシ−2,5-ジクロロベンゼン、4,4'−ジクロロビ
フェニル、3,5-ジクロロ安息香酸、p,p'−ジクロロジフ
ェニルエーテル、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、
4,4'−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4'−ジクロ
ロジフェニルケトンなどを挙げることができる。これら
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0035】PAS樹脂に多少の分岐構造または架橋構
造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン
置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併
用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の
好ましい例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,
3-トリブロモベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,
2,4-トリブロモベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、
1,3,5-トリブロモベンゼン、1,3-ジクロロ−5-ブロモベ
ンゼンなどのトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれ
らのアルキル置換体を挙げることができる。これらは、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。これらの中でも、経済性、反応性、
物性などの観点から、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,
5-トリクロロベンゼン、及び1,2,3-トリクロロベンゼン
がより好ましい。
【0036】極性溶媒としては、N-メチル−2-ピロリド
ンなどのN-アルキルピロリドン、1,3-ジアルキル−2-イ
ミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル
燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミ
ド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマー
が得られやすいので好ましい。本発明で使用するPAS
樹脂は、温度310℃で、剪断速度1200/秒で測定
した溶融粘度が、通常10〜600Pa・s、好ましく
は50〜550Pa・s、より好ましくは60〜550
Pa・sである。溶融粘度が異なる2種以上のPASを
ブレンドして使用する場合には、ブレンド物の溶融粘度
が前記範囲内にあることが好ましい。PAS樹脂の溶融
粘度が小さすぎると、機械的強度や靭性などの物性が不
充分となる恐れがある。PASの溶融粘度が大きすぎる
と、溶融流動性が不充分となり、射出成形性や押出成形
性が不充分となる恐れがある。
【0037】本発明で使用するPAS樹脂は、重合終了
後の洗浄したものを使用することができるが、さらに、
塩酸、酢酸などの酸を含む水溶液、あるいは水−有機溶
剤混合溶液により処理したものや、塩化アンモニウムな
どの塩溶液で処理を行ったものなどを使用することが好
ましい。特に、アセトン:水=1:2(容積比)に調整
した混合溶媒中でのpHが8以下を示すようになるまで
洗浄処理したPAS樹脂を用いると、樹脂組成物の溶融
流動性及び機械的物性をより一層向上させることができ
る。
【0038】本発明で使用するPAS樹脂は、100μ
m以上の平均粒子径を有する粒状物であることが望まし
い。PAS樹脂の平均粒子径が小さすぎると、押出機に
よる溶融押出しの際、フィード量が制限されるため、樹
脂組成物の押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂組成
物の劣化等の問題が生じる恐れがある。また、製造効率
上も望ましくない。
【0039】本発明の樹脂組成物の(C)成分であるシ
リコーンオイルは、下記の一般式で示されるものであ
る。
【化6】 (式中、Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、ア
ルコキシ基、水酸基及びハロゲン基から選ばれた1種類
であり、R’はアルキレン基であり、Xは、それぞれ独
立に、水素、アミノ基、エポキシ基、フェノール、カル
ボキシル基、メタクリロキシ基、エステル基、アミド
基、イミド基及びメルカプト基から選ばれた1種類であ
る。nは重合度を示す。)
【0040】本発明で使用されるシリコーンオイルとし
て、好ましいものは、アルキル基、アミノ基、エポキシ
基、フェノール、カルボキシル基、エステル基、アミド
基、又はメルカプト基で変性されたシリコーンオイルで
あり、特に好ましくは、アルキル基、アミノ基、エポキ
シ基、又はメルカプト基で変性されたシリコーンオイル
である。
【0041】使用されるシリコーンオイルの粘度は、通
常0.5〜100万mm2/sであるが、好ましくは1〜1
万mm2/sであり、より好ましくは5〜1000mm2/sで
ある。粘度が低すぎると溶融混練り時に揮発し効果が見
られず、また、高すぎるとシリコーンオイルの樹脂組成
物中への分散し難くなり添加効果が減少する。
【0042】本発明で使用されるシリコーンオイルは、
芳香族ポリアミドイミド樹脂とPAS樹脂との合計量
(樹脂成分)100重量部に対して、通常0.01〜1
0重量部、好ましくは0.05〜7重量部、特に好まし
くは0.1〜5重量部である。配合の割合が少なすぎる
と添加による改良効果が少なく、多すぎると成形加工時
にガスが発生しやすくなり、成形品表面の荒れが発生す
る。
【0043】本発明の樹脂組成物は、芳香族ポリアミド
イミド樹脂、PAS樹脂及びシリコーンオイルを溶融混
練りして製造される。溶融混練り温度は、通常250〜
400℃、好ましくは280〜360℃である。混練り
方法は、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキ
シングロールその他で行うことが出来るが、好ましいく
は、2軸押出機による方法である。
【0044】本発明に使用される樹脂組成物には、所望
に応じて、充填材、顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外
線剤、難燃剤、難燃助剤の添加剤、他の樹脂などその他
の成分が適宣配合され得る。
【0045】充填材としては、ガラスビーズ、ウオラス
トナイト、マイカ、タルク、カオリン、二酸化珪素、ク
レー、アスベスト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、シリカ、ケイソウ土、グラファイト、カーボランダ
ム、二硫化モリブデンに代表される鉱物質充填材;ガラ
ス繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維、ボ
ロン繊維、及び炭化珪素繊維等を挙げることが出来る。
充填材は、本発明の樹脂組成物に対して、通常1〜70
重量%使用することが出来る。好ましい充填材は、ガラ
ス繊維、ミルドファイバー、炭素繊維、及びチタン酸カ
リウム繊維であり、ウレタン、アミノ系等のシランカッ
プリング剤で処理したものも好適に使用できる。
【0046】顔料としては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸
化亜鉛等が例示できる。
【0047】滑剤としては、鉱物油、エチレンワック
ス、ポリプロピレンワックス、ステアリン酸ナトリウム
などの金属塩、モンタン酸ナトリウム等の金属塩、モン
タン酸アミドなどが代表的なものとして例示される。
【0048】難燃剤としては、トリフェニルフォスフェ
ートのようなリン酸エステル類;デカブロモビフェニ
ル、ペンタブロモトルエン、ブロモ化エポキシ樹脂等の
臭化化合物;メラミン誘導体などの含窒素リン化合物等
が挙げられる。また、難燃助剤を使用しても良く、その
例としては、アンチモン、ほう素、亜鉛等の化合物等が
挙げられる。
【0049】他樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェ
ノキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、液晶ポリマー等のポリエステル類、
四フッ化エチレンをはじめとするフッ素樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリカーボネート、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリチオエ
ーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の芳香族
樹脂が挙げられる。
【0050】本発明の樹脂組成物は、上記のような
(A)芳香族ポリアミドイミド樹脂と(B)PAS樹脂
からなる樹脂成分100重量部に対して、(C)シリコ
ーンオイル0.01〜10重量部を含有せしめてなる樹
脂組成物であるが、成形は、通常の射出成形法によって
行われ、シリンダー温度は、290〜360℃の範囲で
行い、金型は十分な耐熱性を得るために120〜160
℃にすることが望ましい。また、耐熱性を改良し、且つ
残留応力を取り除く目的で成形後に熱処理することが望
ましい。特に、金型温度が120℃より低い温度で成形
した場合は熱処理するのが好ましい。熱処理の方法は、
特に限定されるものではないく、例えば通常の熱風式オ
ーブン、電子レンジまたはオーブンレンジを用いられ
る。熱処理温度は、150〜300℃、好ましくは、1
80〜280℃、最も好ましくは、200〜260℃で
30秒〜48時間、好ましくは1時間〜36時間常圧も
しくは減圧で行うこともできる。
【0051】
【実施例】本発明を実施例により更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。なお、下記の実施例および比較例に用いる物
質は下記のもの及び合成例で製造したものである。
【0052】〔合成例1〕 (芳香族ポリアミドイミド樹脂の製造)含水量15ppm
のN-メチルピロリドン、3リットルを5リットルの撹拌
機、温度計、先端に塩化カルシウムを充填した乾燥管を
装着した環流冷却管を備えた反応器に仕込んだ。ここに
無水トリメリット酸 555g(50モル%)、続いて2,4-ト
リレンジイソシアネート 503.3g(50モル%)を加え
た。無水トリメリット酸添加時の系内の水分は、30pp
mであった。最初、室温から20分を要して内容物温度を
90℃とし、この温度で50分間重合を行った。重合を行い
ながら、2,4-トリレンジイソシアネートのイソシアネー
ト基の減少量とイミド基の生成量をを測定した。測定方
法は、少量の反応液を注射器でサンプリングし赤外分光
法でイソシアネート基の2276cm-1の吸収を定量するこ
とにより行った。50分間重合を行ったところイソシアネ
ート基の量は、50モル%に減少した。この時のイミド基
の吸収は全く認められなかった。これによりイミド化の
反応が起こるまでにアミド化反応が終了したことを確認
した。この後、15分を要して 115℃に昇温し、この温度
に保ったまま重合を8時間継続した。重合終了後、ポリ
マー溶液を6リットルのメタノール中に強力な撹拌下に
滴下した。析出したポリマーを吸引濾別し、さらにメタ
ノール中に再分散させて良く洗浄し濾別後、 135℃で6
時間乾燥を行いポリアミドイミド粉末を得た。ジメチル
ホルムアミド溶液(濃度 1.0g/dl)でこのものの30
℃における還元粘度を測定したところ0.25dl/gであ
った。
【0053】実施例1 合成例1で製造した芳香族ポリアミドイミド樹脂50重
量部とPPS樹脂(呉羽化学工業(株)製 W−205
A、温度310℃で、剪断速度1200/秒で測定した
溶融粘度が、100Pa・s)50重量部に対し、シリ
コーンオイル(東レダウコーニング(株)製 アミノ変
性シリコーンオイル;BY16−853)1.0重量部
をブレンドし、2軸押し出し機を用いて320℃で溶融
混錬りしてペレット化し樹脂組成物を製造した。このペ
レットを射出成形し、1/8インチ厚の抗折試験片を得
た。この試験片を用いて、曲げ強度、曲げ歪み(島津製
作所(株)オートグラフAG5000B)を測定した。
熱変形温度(18.6kg/cm2 荷重)もこの試験片
を用いて窒素雰囲気下で測定(安田精機(株)HD−5
00−PC)した。ペレットより、350℃、60kg
/cm2 応力で(島津製作所(株)フローテスターCFT-
500C)溶融流動値を測定した。結果は、表1に示した。
【0054】実施例2 実施例1のシリコーンオイルを表1記載のシリコーンオ
イルに変更した以外は実施例1の同様にして樹脂組成物
を製造し、物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0055】実施例3 実施例1のPPS樹脂を架橋PPS樹脂(大日本インキ
化学工業(株)製 C−106、温度310℃で、剪断
速度1200/秒で測定した溶融粘度が、60Pa・
s)に変更した以外は実施例1の同様にして樹脂組成物
を製造し、物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0056】比較例1 合成例1で製造した芳香族ポリアミドイミド樹脂50重
量部とPPS樹脂(呉羽化学工業(株)製 W−205
A、温度310℃で、剪断速度1200/秒で測定した
溶融粘度が、100Pa・s)50重量部をブレンド
し、2軸押出機を用いて320℃で溶融混錬りしてペレ
ット化し、樹脂組成物を製造した。射出成形及び物性測
定は、実施例1と同様に行った。
【0057】比較例2 合成例1で製造した芳香族ポリアミドイミド樹脂50重
量部とPPS樹脂(呉羽化学工業(株)製 W−205
A、温度310℃で、剪断速度1200/秒で測定した
溶融粘度が、100Pa・s)50重量部に対し、有機
シラン化合物(GE東芝シリコーン(株)製 γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン;TSL8331)1.
0重量部をブレンドし、2軸押出機を用いて320℃で
溶融混錬りしてペレット化し、樹脂組成物を製造した。
射出成形及び物性測定は、実施例1と同様に行った。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明は、上記のように(A)芳香族ポ
リアミドイミド樹脂と(B)PAS樹からなる樹脂成分
100重量部に対して、(C)シリコーンオイル0.0
1〜10重量部を含有せしめてなる樹脂組成物とするこ
とによって、高い強度、高耐熱性、及び良好な溶融流動
性を有する樹脂組成物を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CM04W CN02X CP033 GM00 GN00 GQ00 4J043 QB58 RA34 RA39 SA11 SA42 SA52 UA011 UA041 UA121 UA122 UA131 UA132 UA261 UB011 UB021 UB121 UB151 UB152 UB162 UB281 UB301 UB401 VA011 VA012 VA051 VA052 XA03 ZB51

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)芳香族トリカルボン酸無水物、ま
    たは芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族テトラカルボ
    ン酸無水物を、ジイソシアネート化合物と反応させるに
    際し、アミド化反応が70%以上終了してから、イミド
    化反応を行わせて得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂
    と(B)ポリアリーレンスルフィド樹脂からなる樹脂成
    分100重量部に対して、(C)シリコーンオイル0.
    01〜10重量部を含有せしめてなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アミド化反応を50〜100℃、イミド
    化反応を100〜200℃で行って得られる芳香族ポリ
    アミドイミド樹脂を使用する請求項1に記載の樹脂組成
    物。
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