JP2006169042A - 補修用セメント組成物及びそれを用いた補修工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セメント、高炉徐冷スラグ、骨材、及び粘調剤を含有するセメントモルタルと酸性物質とを含有してなる補修用セメント組成物であり、酸性物質が硫酸アルミニウム水溶液又はアクリル酸エステル共重合体エマルジョンである補修用セメント組成物であり、セメントモルタルが超微粉末を及び/又は膨張材を含有してなる前記補修用セメント組成物であり、前記セメントモルタルと前記酸性物質とを吹付け直前に混合して吹付ける補修工法である。さらに、前記補修用セメント組成物や前記補修工法で補修したコンクリートである。
【選択図】 なし
Description
なお、本発明のセメントモルタルとは、モルタルや必要に応じて粗骨材を混合したコンクリートを総称したものをいう。
また、本発明で云う部や%は、特に規定のない限り質量基準である。
従来の剥落防止工に用いられる補修材は、物質遮断性を有するものではなく、すなわち、塩化物イオンや二酸化炭素の透過を抑止するものではなく、コンクリート構造物の劣化防止の観点から延命化を図れるものではなかった。そのため、第三者被害を未然に防止する剥落防止工を施工する際に、コンクリート構造物の耐久性を飛躍的に向上させる補修材や剥落防止工法の開発が強く求められている。
高炉徐冷スラグの成分は高炉水砕スラグと同様の組成を有しており、具体的には、SiO2、CaO、Al2O3、及びMgO等を主要な化学成分とし、その他、TiO2、Fe2O3等が挙げられる。また、化合物としては、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶である、いわゆるメリライトを主成分とする。
また、使用する骨材としては、吸水率が低く、骨材強度が高く、気象条件の変化に対して安定で耐久性の高いものが好ましい。
細骨材としては、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が使用でき、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が使用できる。最大骨材寸法は15mmが好ましい。
粘調剤の混合方法は、特に限定されるものではないが、あらかじめセメントと混合するか、若しくは水に溶解して混合することなどが好ましい。
硫酸アルミニウム溶液の混合方法は、吹付けのための圧送空気に硫酸アルミニウム溶液を圧入混合し、Y字管又はシャワーリングへ圧送、ポンプにより送られたセメントモルタルと混合する方法が好ましい。
超微粉の平均粒径は、10μm以下が好ましく、材料分離防止やリバウンド低減の面から1μm以下がより好ましい。
本発明で使用する膨張材は、市販のいずれも使用可能であるが、アウイン系膨張材や石灰系膨張材等が通常使用される。
セメントモルタルと酸性物質を強制的に混合させる添加機、例えば、ダイヤフラムポンプ、スクイズポンプ、ピストンポンプ、及びスネークポンプなどの酸性物質を圧送するポンプにより、10Mpa以下の圧力で酸性物質を圧送し、吹付ノズル先端から手前の位置、好ましくは吹付ノズル先端から0.02〜10m、より好ましくは0.1〜5m手前の位置で、セメントモルタルと酸性物質を混合して吹付けセメントモルタルを調製し、この吹付けセメントモルタルを補修用セメント組成物として、補修個所に吹付ける方法が挙げられる。0.02m未満だとセメントモルタルと酸性物質が充分混合しないので吹付け直後の吹付けセメントモルタルのダレを防止できず、吹付けセメントモルタルが天井部から剥がれ落ちる恐れがあり、10mを超えると圧送管内でセメントモルタルと酸性物質が反応して圧送管が閉塞し、圧送性が低下する恐れがある。
セメント100部、高炉徐冷スラグ20部、細骨材200部、及び粘調剤0.1部、超微粉4部、膨張材5部、W/B(セメント、超微粉、膨張材)=45%、からなるモルタルを調製しポンプで吹付けノズルに圧送した。同時に、固形分換算でセメント100部に対して表1に記す酸性物質を別途、ダイヤフラムポンプで圧送し、途中で圧搾空気と合流し、吹付けノズルシャワーリングから強制的にモルタルに吹き込み(混合位置はノズル先端から0.3m)吹付けモルタルとし、その吹付けモルタルをコンクリート壁に吹付けて物性を測定した。結果を表1に併記する。
セメント:普通ポルトランドセメント、比重3.16
高炉徐冷スラグ:SiO2=31.7%、CaO=39.5%、Al2O3=14.8%、ガラス化率=5%
ブレーン比表面積6000cm2/g
細骨材:新潟県青海町産石灰砂、比重2.70
粘調剤:メチルセルロース、市販品
超微粉:シリカフューム(市販品)、平均粒子径1μm以下
膨張材:アウイン系(市販品)
硫酸アルミニウム溶液 :固形分27%、市販品
エマルジョン:エチルアクリレート/メタクリル酸をモル比45/55で共重合したポリマーエマルジョン、固形分3%
モルタルフロー:JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準じ、モルタル混練り直後のモルタルフローを吹付け前とし、容器内に吹付けたモルタルのモルタルフローを吹付け後とした。
リバウンド率:側壁コンクリートに吹付けた質量を一定とし、リバウンドした質量を測定し、その割合(%)とした。
付着性:上面コンクリートに直径10cmでモルタルを吹付け、剥落時の吹付け厚さを測定。
セメント100部、細骨材200部、及び粘調剤0.1部、及び表2に示す量の高炉徐冷スラグを配合し、W/Cが45%のモルタルを調製し、ポンプで吹付けノズルに圧送した。同時に、固形分換算でセメント100部に対して1.5部の硫酸アルミニウムを別途、ダイヤフラムポンプで圧送し、途中で圧送空気と合流し、吹付けノズルシャワーリングから強制的にモルタルに吹込み、その吹付けモルタルをコンクリート壁に吹付けて物性を測定した。結果を表2に記す。
中性化試験:打設4週後、温度30℃、湿度60%、CO2濃度5%で4週間中性化促進養生による。モルタルの破断面にフェノールフタレインアルコール溶液を塗布し、赤色に変化しない領域を中性化領域とした。
塩素イオン浸透試験:打設4週後、海水(JIS A 6205に準拠、NaCl24.5g/L、MgCl211.1g/L、Na2SO44.1g/L、KCl0.7g/Lを含んだ人工海水)に4週間浸漬した後、モルタルの破断面に0.1mol/Lの硝酸銀を塗布し、白色に変化した領域を塩素イオンの浸透した領域とした。
セメント100部、高炉徐冷スラグ20部、細骨材200部、超微粉4部、及び膨張材5部からなるモルタルと硫酸アルミニウム溶液を固形分換算で1.5部、及び表3に示す量の粘調剤を配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
セメント100部、高炉徐冷スラグ20部、細骨材200部、粘調剤0.1部、及び膨張材5部からなるモルタルと硫酸アルミニウム溶液を固形分換算で1.5部、及び表4に示す量の超微粉を配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
セメント100部、高炉徐冷スラグ20部、細骨材200部、粘調剤0.1部、及び超微粉4部からなるモルタルと硫酸アルミニウム溶液を固形分換算で1.5部、及び表5に示す量の膨張材を配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
表面状態 :30×30cmの厚さ6cmの平版コンクリートに吹付けモルタルを厚さ2cmに吹付け、表面を均した後20℃、湿度60%の室内に1週間放置し、表面の亀裂発生状態を観察、○は亀裂無し、△は亀裂が1本、×は亀裂が2本以上
モルタルと圧送空気の混合位置を変えた以外は、実験例1と同様に行った。その結果を表6に示す。なお、圧送空気の導入は、混合位置が1m未満ではシャワーリングで行い、1m以上ではY次管を使用して行った。
Claims (7)
- セメント、高炉徐冷スラグ、骨材、及び粘調剤を含有してなるセメントモルタルと酸性物質とを含有してなる補修用セメント組成物。
- 酸性物質が硫酸アルミニウム水溶液又はアクリル酸エステル共重合体エマルジョンである請求項1に記載の補修用セメント組成物。
- セメントモルタルが超微粉末を含有してなる請求項1又は2記載の補修用セメント組成物。
- セメントモルタルが膨張材を含有してなる請求項1〜3のうちの1項に記載の補修用セメント組成物。
- 請求項1〜4のうちの1項に記載のセメントモルタルと酸性物質とを吹付け直前に混合して吹付ける補修工法。
- 請求項1〜4のうちの1項に記載の補修用セメント組成物で補修したコンクリート。
- 請求項5に記載の補修工法で補修したコンクリート。
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