JP2006167570A - 食塩水中の臭素イオンの除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 食塩水に次亜塩素酸イオンを添加し、空気または不活性ガスと接触させて食塩水中の臭素イオンを除去する方法において、次亜塩素酸イオンを分割添加すると共に、放散塔を用いて食塩水と空気または不活性ガスとを向流接触させることを特徴とし、その際に、次亜塩素酸イオンは、放散塔に供給する前の食塩水および/または放散塔中の食塩水に分割添加すること、添加する次亜塩素酸イオンの合計量が、食塩水中に存在する臭素イオンに対する当量比で1.2〜5、初めに次亜塩素酸イオンを添加する前または後の食塩水のpHが1〜5、食塩水の温度が45〜90℃、また向流接触させる食塩水(L)と空気または不活性ガス(G)との体積流量比(L/G)が0.003〜0.055であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
このような食塩水には、使用する工業用食塩にもよるが、臭素イオンが約15〜50重量ppm含まれ、塩素中の臭素を低減するために、約10重量ppm以下、好ましくは約5重量ppm以下にすることが望まれている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、食塩水中の臭素イオンを必ずしも十分に除去することができず、更に除去率が高く、効率的に除去できる方法が望まれている。
この方法において、次亜塩素酸イオンは、放散塔に供給する前の食塩水および/または放散塔中の食塩水に分割添加すること、添加する次亜塩素酸イオンの合計量が、食塩水中に存在する臭素イオンに対する当量比で1.2〜5であること、次亜塩素酸イオンとして次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いること、初めに次亜塩素酸イオンを添加する前または後の食塩水のpHが1〜5であること、食塩水の温度が45〜90℃であること、また向流接触させる食塩水(L)と空気または不活性ガス(G)との体積流量比(L/G)が0.003〜0.055であることが食塩水中の臭素イオンを高い除去率で費用を含めて効率的に除去できることから好ましい。
図1は本発明の一実施形態の概要を示す図である。放散塔1として充填塔が使用され、上部充填部2および下部充填部3を有している。放散塔としては、充填塔に限定されるものではなく、多孔板塔等の棚段塔も使用できる。
食塩水11は、食塩水を酸性にするために塩酸水溶液12が添加され、更に臭素イオンを酸化するために次亜塩素酸イオン水溶液13が添加され、充填塔1の頂部に供給されている。
充填塔の底部から不活性ガス15が供給され、食塩水と向流接触し、酸化されて生成した臭素が除去され、臭素イオンが除去された食塩水16が塔底から抜き出され、臭素を含む不活性ガス17が塔頂から排出されている。
この際、添加する次亜塩素酸イオン水溶液14の一部が、放散塔内の食塩水に分割添加されている。このことによって、初めに全量添加するよりも、臭素イオンの除去率が高くなり、好ましい。
通常、添加する次亜塩素酸イオンの合計量の内、約90〜30%を放散塔に供給する前の食塩水に、約10〜70%を放散塔中の食塩水に添加される。放散塔中の食塩水に添加される次亜塩素酸イオンは、放散部の充填部の上部から約20〜80%の位置である。なお、放散塔に供給する前の食塩水に添加する次亜塩素酸イオンは放散塔の充填部の上部に添加しても良い。
また、工業用食塩を溶解して、存在するカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等を除去した、いわゆる精製食塩水が好ましく用いられる。
このような食塩水には、使用する工業用食塩にもよるが、臭素イオンが約15〜50重量ppm含まれ、これを約10重量ppm以下、好ましくは約5重量ppm以下まで除去する。
次亜塩素酸イオンの添加量の合計は、食塩水中に存在する臭素イオンに対する当量比で約1.2〜5、好ましくは2〜5、更に好ましくは約3〜5である。約1.2未満では臭素イオンの除去率が低くなり、約5を超えてもそれに見合った効果は得られなく、次亜塩素酸イオンの添加量が多くなる。
初めに次亜塩素酸イオンを添加する前または後の食塩水のpHを約1〜5にする。すなわち、食塩水と空気または不活性ガスとを向流接触させる前に次亜塩素酸イオンを添加する際に、予め食塩水に塩酸を添加してpHを約1〜5としておくのが好ましいが、次亜塩素酸イオンを添加後に塩酸を添加してpHを約1〜5としても良い。
図1には、記載していないが、食塩水の温度が約45℃より低い場合には、供給ラインに熱交換器を設けて加熱するのが好ましい。
食塩水(L)と空気または不活性ガス(G)との体積流量比(L/G)は、約0.003〜0.055、好ましくは約0.003〜0.045、更に好ましくは約0.003〜0.035である。この体積流量比(L/G)が約0.055を超えると臭素イオンの除去率が低下傾向を示し、約0.003未満ではそれに見合った除去率の向上は見られず、空気または不活性ガスが多量に必要となる。
なお、臭素イオン濃度の分析は次のとおり行った。
臭素イオンを酸化して臭素酸イオンとし、ヨウ化カリウムを加えて遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定して、臭素イオン濃度を求めた。
放散塔として、図1に示す充填塔を用いて食塩水中の臭素イオンの除去を行った。内径が100mmφ、高さが4200mmで、上部充填部の高さが1700mm、下部充填部の高さが1000mmの充填塔を用いた。充填部には1/2Bの磁性ラシヒリングを充填した。
食塩水として、工業用食塩を溶解し、存在するカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等を除去した、精製食塩水(食塩濃度:26重量%、臭素イオン濃度:16重量ppm)を用いた。この食塩水0.126m3/hr(150kg/hr)に、pHが3になるように5重量%の塩酸水溶液を添加し、次に有効塩素濃度が2重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を288ml/hr(臭素イオンに対する次亜塩素酸イオンの当量比が1.24)で添加し、充填塔の塔頂部に供給した。上記と同量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を上部充填部と下部充填部の間(充填部の上部から63%の位置)に供給した(臭素イオンに対する次亜塩素酸イオンの合計の当量比:2.48)。
塔底部から空気を3.3Nm3/hrで供給し(食塩水と空気の体積流量比(L/G)は0.038)、食塩水と向流接触させ、食塩水中の臭素を除去した。臭素イオンが除去された食塩水を塔底から抜き出し、臭素を含む空気を塔頂から排出した(No.1)。
また次亜塩素酸ナトリウム水溶液を充填塔内に分割添加せず、食塩水を充填塔に供給する前に全量一括添加して行った以外は、上記と同様に行った(No.2)。
温度、pHは塔底液で測定した。塔底液中の臭素イオン濃度を測定し、除去率を算出した。結果を表1に示す。当量比、L/Gは平均値を示す。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量、すなわち臭素イオンに対する次亜塩素酸イオンの当量比を種々代えて、実験例1のNo.1と同様に行った。pH、温度等の条件および結果を表2に示す。
食塩水のpHを種々代えて実験例1のNo.1と同様に行った。pH、温度等の条件および結果を表3に示す。対比のため実験例2のNo.3の結果も示す。
食塩水の温度を種々代えて実験例1のNo.1と同様に行った。pH、温度等の条件および結果を表4に示す。対比のため実験例2のNo.3の結果も示す。
食塩水(L)と空気(G)との体積流量比(L/G)を種々代えて実験例1のNo.1と同様に行った。pH、温度等の条件および結果を表5に示す。
2 上部充填部
3 下部充填部
11 食塩水
12 塩酸水溶液
13 次亜塩素酸ナトリウム水溶液
14 次亜塩素酸ナトリウム水溶液
15 不活性ガス
16 臭素イオンが除去された食塩水
17 臭素を含む不活性ガス
Claims (7)
- 食塩水に次亜塩素酸イオンを添加し、空気または不活性ガスと接触させて食塩水中の臭素イオンを除去する方法において、次亜塩素酸イオンを分割添加すると共に、放散塔を用いて食塩水と空気または不活性ガスとを向流接触させることを特徴とする食塩水中の臭素イオンの除去方法。
- 次亜塩素酸イオンを放散塔に供給する前の食塩水および/または放散塔中の食塩水に分割添加する請求項1記載の方法。
- 添加する次亜塩素酸イオンの合計量が、食塩水中に存在する臭素イオンに対する当量比で1.2〜5である請求項1または2記載の方法。
- 次亜塩素酸イオンを次亜塩素酸ナトリウム水溶液として添加する請求項1〜3記載の方法。
- 初めに次亜塩素酸イオンを添加する前または後の食塩水のpHが1〜5である請求項1〜4記載の方法。
- 食塩水の温度が45〜90℃である請求項1〜5記載の方法。
- 向流接触させる食塩水(L)と空気または不活性ガス(G)との体積流量比(L/G)が0.003〜0.055である請求項1〜6載の方法。
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