JP2006159886A - 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2006159886A
JP2006159886A JP2005105407A JP2005105407A JP2006159886A JP 2006159886 A JP2006159886 A JP 2006159886A JP 2005105407 A JP2005105407 A JP 2005105407A JP 2005105407 A JP2005105407 A JP 2005105407A JP 2006159886 A JP2006159886 A JP 2006159886A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide semiconductor
layer
semiconductor layer
transparent conductive
porous oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005105407A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasusuke Yabuuchi
庸介 薮内
Hiroki Nakagawa
博喜 中川
Hiroyuki Kobori
裕之 小堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2005105407A priority Critical patent/JP2006159886A/ja
Publication of JP2006159886A publication Critical patent/JP2006159886A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Hybrid Cells (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】 多孔質酸化物半導体層を備え、変形させたときでも多孔質酸化物半導体層の追従性が高く、かつ、性能が高い色素増感型太陽電池を得ることを容易にする導電性基板を提供する。
【解決手段】 透明樹脂フィルム1上に、第1無機透明導電層3、有機−無機複合透明導電層5、第2無機透明導電層7、及び多孔質酸化物半導体層9をこの順番で積層して導電性基板10とすることにより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、色素増感型太陽電池、及び半導体層形成用転写材に関し、更に詳しくは、多孔質酸化物半導体層を有する導電性基板、この導電性基板を用いた色素増感型太陽電池用電極基板、この電極基板を用いた色素増感型太陽電池、及び、多孔質酸化物半導体層を形成するための半導体層形成用転写材に関する。
地球温暖化等の環境問題が世界的に進行している近年では、環境負荷が小さいクリーンエネルギーとして太陽光が注目を浴びており、この太陽光を利用して発電する太陽光発電も盛んに行われるようになってきている。
太陽光発電は、太陽電池を利用して太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換するものであり、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池等の太陽電池を利用した発電システムが既に実用化されている。また、今日では製造コストを抑え易い色素増感型太陽電池が注目を集めており、実用化に向けて精力的に研究開発が行われている。
色素増感型太陽電池は、増感色素を担持した酸化物半導体に光を照射することによって得られる光起電力を利用して発電するものであり、多くの場合、電解質層を介して互いに対向する一対の電極の一方として、増感色素を担持した上記の酸化物半導体が用いられる。増感色素は、酸化物半導体に光起電力を生じさせる光の波長域を拡張させるためのものであり、この増感色素の担持量を増大させるために、上記の酸化物半導体としては、多数の酸化物半導体微粒子からなる比表面積が大きな多孔質酸化物半導体が利用される。多孔質酸化物半導体は、透明導電性材料によって形成された集電電極上に層状に設けられ、集電電極は透明基材上に設けられる。
上記の透明基材としては、透明樹脂又は透明ガラスからなるフィルム状物や板状物が使用され、上記の集電電極は、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素ドープ酸化錫等の無機透明導電材料によって形成される。また、多孔質酸化物半導体は、透明基材の耐熱性が高いときには、例えば特許文献1に記載されているように高温焼成によって層状に形成され、透明基材の耐熱性が低いときには、例えば特許文献1に記載されているように集電電極上に塗布法によって層状に形成されるか、又は、例えば特許文献2に記載されているように集電電極と共に転写法によって層状に形成される。
上記の透明基材として汎用の透明樹脂フィルムを用いることができれば、可撓性に富んだ色素増感型太陽電池を安価に提供することが容易になり、結果として、設置場所の選択の自由度が高く、かつ、たとえ大面積の太陽電池とした場合でも設置の際の作業性が高い色素増感型太陽電池を安価に提供することが容易になる。また、携帯型電子機器の電源もしくは補助電源として利用するときでも、携帯型電子機器の携帯性(軽量性)を維持し易い色素増感型太陽電池を安価に提供することが容易になる。
特開2002−280587号公報(特許請求の範囲、第0003段、及び第0015〜0023段参照) 特開2002−184475号公報(特許請求の範囲、第0008段、第0010段、第0014段、及び第0020段参照)
しかしながら、汎用の透明樹脂フィルムは耐熱性が比較的低い。このため、汎用の透明樹脂フィルムを透明基材として用いる場合には、特許文献1又は特許文献2に記載されているように塗布法又は転写法によって多孔質酸化物半導体層を形成することになるわけであるが、これら特許文献1、2に記載されている方法によって多孔質酸化物半導体層を形成すると、それぞれ下記の難点が生じる。
すなわち、透明樹脂フィルム上に形成した集電電極の上に塗布法によって多孔質酸化物半導体層を形成すると、集電電極が無機透明材料からなる単層構造物であることから、集電電極と多孔質酸化物半導体層との密着性が比較的低くなり、結果として、色素増感型太陽電池を変形させたときに多孔質酸化物半導体層が変形に追従できずに局所的な剥離やクラックが生じ易くなる。このため、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得難くなる。
また、透明樹脂フィルム上に転写法によって集電電極と共に多孔質酸化物半導体層を形成すると、転写材における集電電極の平面視上の大きさが必然的に多孔質酸化物半導体層の平面視上の大きさと同等以下になるため、転写後に多孔質酸化物半導体層を局所的に除去して引き出し電極を形成することが必要となる。多孔質酸化物半導体層は薄いので、この多孔質酸化物半導体層を局所的に除去する際に高い加工精度が求められるようになったり、集電電極を損傷し易くなったりし、結果として、性能が高い色素増感型太陽電池を得難くなる。
特許文献2には、集電電極として利用される金属メッシュを耐熱性基材(耐熱性基板)上に予め配置し、この金属メッシュ上に多孔質酸化物半導体層(酸化物半導体膜)形成用の塗布液を塗布し、焼成して多孔質酸化物半導体層を形成した転写材も記載されている(第0014段参照)が、この転写材を用いた場合には、次の難点が生じる。
すなわち、上記の転写材を利用して転写により多孔質酸化物半導体層を形成した色素増感型太陽電池では、引き出し電極の形成を容易化することが可能ではあるものの、金属メッシュ部分(金属層)部分が発電に寄与せず、かつ、メッシュの目の中央部に位置する酸化物半導体からの電荷の捕集効率が低くなることから、性能が高いものを得難くなる。
さらに、特許文献2には、フッ素樹脂からなる離型層や、焼成時に燃焼・分解するような熱分解性樹脂の層を耐熱性基材(耐熱性基板)に予め設けることによって多孔質酸化物半導体層(酸化物半導体膜)の転写性(剥がれ易さ)を高めた転写材も記載されている(第0011段参照)が、この転写材を用いた場合には、次の難点が生じる。
すなわち、フッ素樹脂からなる離型層の耐熱温度が300℃程度ないしそれ以下と比較的低いことから、多孔質酸化物半導体層(酸化物半導体膜)を形成する際の焼成温度を高めることができず、結果として、電気的特性が良好な多孔質酸化物半導体膜を得ることが困難になる。また、焼成時に燃焼・分解するような熱分解性樹脂の層を耐熱性基材に予め設けた場合には、焼成によって多孔質酸化物半導体層(酸化物半導体膜)を形成した時点で当該多孔質酸化物半導体層が耐熱性基材から鱗片状に剥離してしまうため、転写によって大形の多孔質酸化物半導体層を被転写材に形成することが困難になる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、多孔質酸化物半導体層を備え、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得ることを容易にする導電性基板を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得ることを容易にする色素増感型太陽電池用電極基板を提供することにある。
本発明の第3の目的は、可撓性及び性能が共に高いものを得易い色素増感型太陽電池を提供することにある。
そして、本発明の第4の目的は、上記第1の目的を達成する導電性基板の製造を容易にする半導体層形成用転写材を提供することにある。
上記第1の目的を達成する本発明の導電性基板は、透明樹脂フィルム上に、第1無機透明導電層、有機−無機複合透明導電層、第2無機透明導電層、及び多孔質酸化物半導体層がこの順番で積層されていることを特徴とする。
本発明の導電性基板は、色素増感型太陽電池用電極基板の構成部材として利用することができるものである。この導電性基板では、第1無機透明導電層上に有機−無機複合透明導電層と第2無機透明導電層とを介して多孔質酸化物半導体層が形成されているので、第1無機透明導電層上に塗布法によって多孔質酸化物半導体層を直接形成した場合に比べて、変形させたときの多孔質酸化物半導体層の追従性(密着性)が高い導電性基板を容易に得ることができる。
また、第1無機透明導電層の平面視上の大きさを多孔質酸化物半導体層の平面視上の大きさよりも大きくすることによって、この第1無機透明導電層に容易に引き出し電極を接続することができるので、転写法により第2無機透明導電層と共に多孔質酸化物半導体層を形成したときでも、引き出し電極を形成するために転写後の多孔質酸化物半導体層を局所的に除去するという必要性がなくなる。その結果として、この導電性基板を用いて色素増感型太陽電池用電極基板を作製すると、引き出し電極形成の際に高い加工精度が求められたり、集電電極が損傷するという危惧がなくなる。そして、後述する本発明の半導体層形成用転写材を用いれば、小形のものから大形のものまで、種々の大きさの第2無機透明導電層及び多孔質酸化物半導体層を転写法により容易に被転写材に形成することができる。
これらの理由から、本発明の導電性基板によれば、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易くなる。
本発明の導電性基板は、上記多孔質酸化物半導体層がパターニングされていることが好ましい。上記多孔質酸化物半導体層がパターニングされていることにより、同一基材上複数の色素増感型太陽電池セルを形成できるため、例えば、複数のセルを直列または並列に接続することにより、所望の電圧・電流を得ることが容易になるからである。
前述した第2の目的を達成する本発明の色素増感型太陽電池用電極基板は、上述した本発明の導電性基板と、該導電性基板の前記多孔質酸化物半導体層に担持された増感色素とを有することを特徴とする。
この色素増感型太陽電池用電極基板によれば、当該電極基板が上述した本発明の導電性基板を有しているので、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易くなり、また、所望の電圧値・電流値を示す色素増感型太陽電池を得易くなる。
前述した第3の目的を達成する本発明の色素増感型太陽電池は、増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層を有する第1電極基板と、該第1電極基板に対向して配置された第2電極基板と、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、前記第1電極基板が上述した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする。
この色素増感型太陽電池によれば、当該太陽電池が上述した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板を備えているので、可撓性及び性能が共に高いものを得易くなり、また、所望の電圧値・電流値を示す色素増感型太陽電池を得易くなる。
前述した第4の目的を達成する本発明の半導体層形成用転写材は、多数の酸化物半導体微粒子からなる多孔質酸化物半導体層と、無機透明導電層とがこの順番で耐熱性基材上に積層されている半導体層形成用転写材であって、前記無機透明導電層を他部材に固着させた状態で前記耐熱性基材を引き剥がしたときに、予め設定されている剥離界面で剥離が生じて、前記他部材上に前記無機透明導電層を介して多孔質酸化物半導体層を一様に形成することができることを特徴とする。
この半導体層形成用転写材によれば、多数の酸化物半導体微粒子を高温焼成することによって多孔質酸化物半導体層形成することが可能で、かつ、種々の大きさの多孔質酸化物半導体層を高い精度の下に被転写材に転写することが可能になるので、前述した本発明の導電性基板を得ることが容易になる。
ここで、上記「一様に」とは、膜厚が均一であることを意味するものである。
本発明においては、上記多孔質酸化物半導体層と、上記無機透明導電層とがパターニングされていることが好ましい。上記多孔質酸化物半導体層と、上記無機透明導電層とが、パターニングされていることにより、前述した本発明の多孔質酸化物半導体層がパターニングされた導電性基板を得ることが容易になるからである。
本発明の導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、色素増感型太陽電池、及び半導体層形成用転写材のいずれによっても、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易くなるので、実用性の高い色素増感型太陽電池を得易くなる。
以下、本発明の導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、色素増感型太陽電池、及び半導体層形成用転写材それぞれの形態を、図面を適宜参照しつつ説明する。
<導電性基板(第1形態)>
本発明の導電性基板は、既に説明したように、透明樹脂フィルム上に、第1無機透明導電層、有機−無機複合透明導電層、第2無機透明導電層、及び多孔質酸化物半導体層がこの順番で積層されているものである。
図1は、本発明の導電性基板の一例を概略的に示す断面図である。同図に示す導電性基板10は、透明樹脂フィルム1と、透明樹脂フィルム1上に設けられた第1無機透明導電層3と、第1無機透明導電層3上に設けられた有機−無機複合透明導電層5と、有機−無機複合透明導電層5上に設けられた第2無機透明導電層7と、第2無機透明導電層7上に設けられた多孔質酸化物半導体層9とを有している。なお、図1においては、便宜上、多孔質酸化物半導体層9へのハッチングの付与を省略している。以下、各構成要素について詳述する。
(1)透明樹脂フィルム;
透明樹脂フィルム1は、可撓性の高い導電性基板10を得るうえで必要な基材であり、この透明樹脂フィルム1としては、導電性基板10の用途に応じて、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルナフタレートフィルム等、種々の透明樹脂フィルムを用いることができる。例えば、導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の構成部材として用いる場合には、耐熱性、耐光性、耐候性、ガスバリア性等に優れたものを用いることが好ましい。
この透明樹脂フィルム1は、単層構造のものであってもよいし、積層構造のものであってもよい。透明樹脂フィルム1の膜厚は、導電性基板10の用途等に応じて15〜500μm程度の範囲内で適宜選定可能であり、その光透過率は、可視光の全光線透過率で80%程度以上であることが好ましい。
(2)第1無機透明導電層;
第1無機透明導電層3は、導電性基板10における主要な導電層の1つであり、導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の材料として用いた場合には、引き出し電極を接続するための導電層として利用される。
この第1無機透明導電層3は、ITO、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ等の無機透明導電性材料によって透明樹脂フィルム1上に形成されている。導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の構成部材として用いる場合、第1無機透明導電層3の表面抵抗は50Ω/□程度以下であることが好ましく、20Ω/□程度以下であることが更に好ましい。また、第1無機透明導電層3の膜厚は、所望の導電性、可撓性、及び透明性が得られるように、使用する無機透明導電性材料の種類に応じて0.1〜2μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。第1無機透明導電層3は、その材質に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD法)や、化学的気相蒸着法(CVD法)等によって形成することができる。
(3)有機−無機複合透明導電層;
有機−無機複合透明導電層5は、導電性基板10を変形させたときの多孔質酸化物半導体層9の追従性(密着性)を高めるうえで重要な構成要素であり、この有機−無機複合透明導電層5は、有機−無機複合材料によって第1無機透明導電層1上に形成されている。
上記の有機−無機複合材料としては、透明樹脂に無機導電性材料を分散させたものが用いられる。
有機−無機複合材料を構成する透明樹脂としては、熱可塑性、熱硬化性、光(紫外線を含む。)硬化性、電子線硬化性、粘着性、及び接着性のいずれの性質を有するものであってもよいが、導電性基板10の可撓性を高めるという観点からは柔らかいものが好ましい。
また、導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の構成部材として用いる場合には、色素増感型太陽電池で使用される電解質に対して耐食性を有しているものが好ましい。そして、導電性基板10の生産性、耐久性、及び信頼性を高めるという観点からは、ガラス転移温度が透明樹脂フィルム1の耐熱温度よりも低く、かつ、導電性基板10の使用環境温度下で軟化しないものが好ましい。
さらに、後述する転写法によって第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9を形成する場合には、ヒートシールが可能となるように、熱可塑性樹脂であることが特に好ましい。
本形態においては上記熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂の融点が70℃〜150℃の範囲内であることが好ましく、特に70℃〜100℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲よりも低いと、本発明の導電性基板を色素増感型太陽電池に用いた場合に、電池動作中に熱可塑性樹脂が軟化し、性能が低下してしまう可能性が有り、また上記範囲よりも高いと生産性の面において不利となってしまう場合があるからである。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、シリコン樹脂ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、および上記オレフィン系樹脂を用いた共重合体等を挙げることができる。
一方、有機−無機複合材料を構成する無機導電性材料の具体例としては、ITO、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化アンチモン、金、銀、パラジウム等、導電性の高い無機導電性材料からなる微粒子、針状物、棒状物、鱗片状物等(以下、これらを「導電性微粒子」と総称する。)が挙げられる。導電性微粒子が球状物である場合、その粒径は、分散性、有機−無機複合導電層5の光透過性等を考慮すると5〜1000nm程度の範囲内で適宜選定することが好ましく、10〜500nm程度の範囲内で適宜選定することが更に好ましい。
有機−無機複合透明導電層5に含有させる導電性微粒子は1種類に限定されるものではなく、2種類以上であってもよい。また、有機−無機複合透明導電層5における導電性微粒子の含有量は、有機−無機複合透明導電層5と第1無機透明導電層3とを併せた表面抵抗が導電性基板10の用途等に応じた所望範囲に収まり、かつ、有機−無機複合透明導電層5と第2無機透明導電層7との接合強度が所望範囲に収まるように、当該導電性微粒子の種類及び形状、第1無機透明導電層3の導電性、有機−無機複合透明導電層5における透明樹脂の種類、並びに有機−無機複合導電層5の膜厚等に応じて、適宜選定される。導電性基板10を色素増感型太陽電池の電極基板の材料として用いる場合、上記の含有量は5〜50質量%程度の範囲内、特に10〜40質量%程度の範囲内で適宜選定されることが多く、有機−無機複合導電層5の膜厚は0.1〜10μm程度の範囲内で適宜選定されることが多い。
有機−無機複合透明導電層5は、例えば、熱処理、光(紫外線を含む。)の照射、又は電子線の照射によって固化又は硬化して前述した透明樹脂となる樹脂組成物に上述した導電性微粒子を分散させて塗工液を調製し、この塗工液を第1無機透明導電層3上に塗工して塗膜を形成した後に、この塗膜を固化又は硬化させることによって形成することができる。
(4)第2無機透明導電層;
第2無機透明導電層7は、有機−無機複合透明導電層5と多孔質酸化物半導体層9との間の電気抵抗を低減させるためのものであり、この第2無機透明導電層7を設けることにより、有機−無機複合透明導電層5上に多孔質酸化物半導体層9を直接形成した場合に比べて、有機−無機複合透明導電層5と多孔質酸化物半導体層9との間の電気抵抗を低減させることができる。
第2無機透明導電層7の材料の具体例としては、第1無機透明導電層3の材料として例示した無機透明導電性材料と同じものが挙げられる。導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の構成部材として用いる場合、第2無機透明導電層7の表面抵抗は50Ω/□程度以下であることが好ましく、20Ω/□程度以下であることが更に好ましい。また、第2無機透明導電層7の膜厚は、所望の導電性及び透明性が得られるように、また、導電性基板10の可撓性を高めることができるように、使用する無機透明導電性材料の種類に応じて0.1〜2μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
第2無機透明導電層7は、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD法)や、化学的気相蒸着法(CVD法)によって、有機−無機複合透明導電層5上に直接形成することもできるし、多孔質酸化物半導体層と共に転写法(後記「導電性基板の製造方法A」の欄参照)によって有機−無機複合透明導電層5上に形成することもできる。
(5)多孔質酸化物半導体層;
多孔質酸化物半導体層9は、多数の酸化物半導体微粒子9a、9bからなり、導電性基板10を色素増感型太陽電池における電極基板の構成部材として用いるときには、光電極として利用される。
この多孔質酸化物半導体層9は、単層構造のものであってもよいし、2層以上の複数層構造のものであってもよい。多孔質酸化物半導体層9を複数層構造とする場合、例えば電子顕微鏡写真からでは複数層構造であることが判別できないが、その形成方法や機械的特徴から複数層であると判断されるものも、本明細書においては「複数層構造の多孔質酸化物半導体層」であるものとする。図1に示す多孔質酸化物半導体層9は、多数の酸化物半導体微粒子9aからなる第1多孔質酸化物半導体層9Aと、多数の酸化物半導体微粒子9bからなる第2多孔質酸化物半導体層9Bとの2層構造を有している。
多孔質酸化物半導体層9を形成している酸化物半導体微粒子9a、9bは、それぞれ、光が照射されたときに起電力(光起電力)を生じる酸化物半導体からなる。このような酸化物半導体の具体例としては酸化チタン(TiO )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化セリウム(CeO )、酸化ビスマス(Bi)、酸化マンガン(Mn)、酸化イットリウム(Y)、酸化タングステン(W)、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ランタン(La)等が挙げられる。
また、本形態においては上記酸化物半導体微粒子のうち、いずれか一種を使用しても良く、また、2種以上を混合して使用してもよい。さらに、上記の酸化物半導体微粒子のうち、一種をコア微粒子とし、他の酸化物半導体微粒子により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。
個々の酸化物半導体微粒子9a、9bの形状は球状であることが好ましいが、微小な棒状、針状、鱗片状等であってもよい。本発明においては、微小な球状の酸化物半導体の他に、微小な棒状、針状、又は鱗片状等の形状を有する酸化物半導体も「酸化物半導体微粒子」と称するものとする。さらには、複数の酸化物半導体微粒子がその成長過程で互いに融合(ネッキング)して形成された塊状物も「酸化物半導体微粒子」と称するものとする。
多孔質酸化物半導体層9を形成する多数の酸化物半導体微粒子9a、9bは、多孔質酸化物半導体層9を単層構造及び複数層構造のいずれにするかに拘わらず、互いに同じ組成を有していてもよいし、組成からみて2種類以上に分類されるものであってもよい。電気的特性や安全性等を考慮すると、酸化物半導体微粒子9a、9bとしては、酸化チタン又は酸化亜鉛からなるものが好ましく、特に、アナターゼ型の酸化チタンからなるものが好ましい。
また、酸化物半導体微粒子9a、9bの大きさは、多孔質酸化物半導体層9を単層構造及び複数層構造のいずれにするかに拘わらず、多孔質酸化物半導体層9を色素増感型太陽電池の光電極として利用可能な範囲内で、その形状に応じて適宜選定可能である。酸化物半導体微粒子9a、9bが球状物である場合、これらの粒径は、それぞれ、5nm〜100nm程度の範囲内で適宜選定することが好ましく、10nm〜70nm程度の範囲内で適宜選択することが更に好ましい。
多孔質酸化物半導体層9が複数層構造である場合、各層での酸化物半導体微粒子の平均の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、後述する「導電性基板の製造方法C」によって多孔質酸化物半導体層8を形成する場合には、平均粒径が200〜500nmの球状の酸化物半導体微粒子を酸化物半導体微粒子9bとして用いることにより、第1多孔質酸化物半導体層9Aを透過した光を第2多孔質酸化物半導体層9Bによって第1多孔質酸化物半導体層9A側に反射させ易くなり、結果として、このような導電性基板10を用いると変換効率が高い色素増感型太陽電池を得易くなる。
上述した構造を有する多孔質酸化物半導体層9の平均膜厚は1〜30μm程度の範囲内、特に5〜20μm程度の範囲内にすることが好ましい。このような多孔質酸化物半導体層9は、例えば転写法や塗布法によって形成することができる。多孔質酸化物半導体層9の形成方法については、後述する「導電性基板の製造方法A」、「導電性基板の製造方法B」及び「導電性基板の製造方法C」の項で詳細に説明する。
以上説明した透明樹脂フィルム1、第1無機透明導電層3、有機−無機複合透明導電層5、第2無機透明導電層7、及び多孔質酸化物半導体層9を有する導電性基板10では、第1無機透明導電層3上に有機−無機複合透明導電層5と第2無機透明導電層7とを介して多孔質酸化物半導体層9が形成されているので、第1無機透明導電層3上に塗布法によって多孔質酸化物半導体層9を直接形成した場合に比べて、変形させたときの多孔質酸化物半導体層9の追従性(密着性)が高い導電性基板10を容易に得ることができる。
また、第1無機透明導電層3の平面視上の大きさを多孔質酸化物半導体層9の平面視上の大きさよりも大きくすることによって、この第1無機透明導電層3に容易に引き出し電極を接続することができるので、転写法により第2無機透明導電層7と共に多孔質酸化物半導体層9を形成したときでも、引き出し電極を形成するために転写後に多孔質酸化物半導体層9を局所的に除去するという必要性がなくなる。その結果として、この導電性基板10を用いて色素増感型太陽電池用電極基板を作製すると、引き出し電極形成の際に高い加工精度が求められたり、集電電極が損傷するという危惧がなくなる。そして、後述する本発明の半導体層形成用転写材を用いれば、小形のものから大形のものまで、種々の大きさの第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9を転写法により容易に形成することができる。
これらの理由から、導電性基板10によれば、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易くなる。
<導電性基板(第2形態)>
本発明の導電性基板を構成する多孔質酸化物半導体層は、第1形態の導電性基板についての説明の中で述べたように単層構造であってもよいし、複数層構造であってもよい。
図2は、本発明の導電性基板のうちで単層構造の多孔質酸化物半導体層を有するものの一例を概略的に示す断面図である。同図に示す導電性基板20は、図1に示した導電性基板10から第2多孔質酸化物半導体層9Bを除いた構造を有するものであるので、図1に示した構成部材と共通するものには図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。ただし、多孔質酸化物半導体層については新たな参照符号「9C」を付してある。
この導電性基板20は、図1に示した導電性基板10と同様の技術的効果を奏し、多孔質酸化物半導体層として単層の多孔質酸化物半導体層9Cを形成する以外は導電性基板10と同様にして得ることができる。
<導電性基板(第3形態)>
本発明の導電性基板は、多孔質酸化物半導体層上に保護部材が設けられた構造とすることができる。
図3は、上記の構造を有する導電性基板の一例を概略的に示す断面図である。同図に示す導電性基板30は、図1に示した導電性基板10における多孔質酸化物半導体層9上に保護部材25が設けられているものである。図3に示した構成部材のうちで図1に既に示した構成部材については、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記の保護部材25としては、例えば樹脂フィルムを用いることができる。また、転写法によって第2無機透明導電層7と共に多孔質酸化物半導体層9を形成するための転写材、特に、多数の酸化物半導体微粒子を高温焼成することによって多孔質酸化物半導体層9となる半導体層が形成されている転写材での耐熱性基材を保護部材25として用いることもできる。
保護部材25として樹脂フィルムを用いる場合、この樹脂フィルムは粘着性あるいは接着性を有してないものが好ましい。勿論、粘着性あるいは接着性を有している樹脂フィルムを保護部材25として用いることも可能であるが、樹脂フィルムの粘着性あるいは接着性が強いと剥離時に多孔質酸化物半導体層9を損傷する危険性が生じるので、その粘着性あるいは接着性は極弱いものとすることが好ましい。
導電性基板30では、保護部材25によって多孔質酸化物半導体層9が保護されるので、搬送時や流通過程で多孔質酸化物半導体層9が損傷してしまうことを抑制し易くなる。保護部材25は、導電性基板30の使用に先立って剥離される。後述する転写材を用いた場合、保護部材25としての耐熱性基材の剥離は手作業によっても容易に行うことができ、転写材での剥離界面を制御することにより、図1に示した導電性基板10又は図2に示した導電性基板20を得ることができる。
<導電性基板(第4形態)>
本形態の導電性基板は、多孔質酸化物半導体層がパターニングされた構造とすることができる。
図4は、上記の構造を有する導電性基板の一例を概略的に示す断面図である。同図に示す導電性基板11は、図1に示した導電性基板10における多孔質酸化物半導体層9がパターニングされているものである。図4に示した構成部材のうちで図1に既に示した構成部材については、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図4に示す導電性基板11は、多孔質酸化物半導体層9がパターニングされているため、モジュール起電力の高い色素増感型太陽電池を作製するのに優れたものにできる。
図4(a)に示す導電性基板11のように多孔質酸化物半導体層9をパターニングする場合、多孔質酸化物半導体層9が9A、9Bの2層からなる場合は、両層が同一のパターンにパターニングされていることが好ましい。また、本形態においては、多孔質酸化物半導体層9のみではなく、第2無機透明導電層7と、有機−無機複合透明導電層5と、第1無機透明導電層3とが、パターニングされていることが好ましい(図4(b))。本形態の導電性基板から色素増感型太陽電池セルを作製する工程を簡略化できるからである。
さらに、上記のように多孔質酸化物半導体層9のみではなく、第2無機透明導電層7と、有機−無機複合透明導電層5と、第1無機透明導電層3とがパターニングされている場合においては、多孔質酸化物半導体層9、第2無機透明導電層7、および有機−無機複合透明導電層5の平面視上の大きさが、および第1無機透明導電層3の平面視上の大きさよりも小さいことが好ましい(図4(b))。本形態の導電性基板60から色素増感型太陽電池セルを作製する際に、外部回路への引き出し電極を形成することが容易になるからである。
本形態における多孔質酸化物半導体層のパターン形状は、短冊状、正方形状、円形状、楕円形状、台形状あるいは意匠性を持った図形、文字、絵または記号等が挙げられ、中でも、集電効率向上の観点から短冊状が好ましい。
以上説明した第1〜4形態の導電性基板は、例えば、以下に説明する製造方法A又は製造方法Bにより得ることができる。
[導電性基板の製造方法A]
製造方法Aでは、透明樹脂フィルムの片面に、第1無機透明導電層と、有機−無機複合透明導電層又はその未硬化物層とがこの順番で積層された積層物を用意する準備工程と、有機−無機複合透明導電層又はその未硬化物層上に第2無機透明導電層と共に多孔質酸化物半導体層を転写する転写工程とを順次行うことによって、本発明の導電性基板を得る。以下、上記の準備工程及び転写工程について、図1〜図4で用いた参照符号を適宜引用しつつ詳述する。
(1)準備工程;
準備工程で用意する積層物は、上述のように、透明樹脂フィルム1の片面に、第1無機透明導電層3と、有機−無機複合透明導電層5又はその未硬化物層とがこの順番で積層されたものである。このうち、片面に第1無機透明導電層3が形成された透明樹脂フィルムは、市販品を用いることもできるし、透明樹脂フィルム1の片面に自ら第1無機透明導電層3を形成することによっても得ることができる。第1無機透明導電層3の形成方法については第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層は、溶剤を揮散させることによって固化して透明熱可塑性樹脂となる溶剤希釈型樹脂組成物、加熱することによって硬化して透明樹脂となる熱硬化性樹脂組成物、光(紫外線を含む。)を照射することによって硬化して透明樹脂となる光硬化性樹脂組成物、電子線を照射することによって硬化して透明樹脂となる電子線硬化性樹脂組成物等の樹脂組成物に所望の導電性微粒子を分散させて得た塗工液を、第1無機透明導電層上に塗工することによって形成することができる。
有機−無機複合透明導電層5は、上記の未硬化物層を固化ないし硬化させることによって、得ることができる。未硬化物層の固化ないし硬化は、当該未硬化物層の材料に応じて、第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9、9Cを転写する前に行うこともできるし、転写後に行うこともできる。例えば、未硬化物層の材料が上記の溶剤希釈型樹脂組成物である場合には、転写の前に当該未硬化物層を固化させて有機−無機複合透明導電層にする。また、未硬化物層の材料が上記の熱硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、又は電子線硬化性樹脂組成物である場合には、転写の後に当該未硬化物層を硬化させて有機−無機複合透明導電層にする。有機−無機複合透明導電層5での導電性微粒子の含有量や、有機−無機複合透明導電層5の膜厚については、第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
上述した塗工液を用いて形成される有機−無機複合透明導電層5の中でも、高い転写精度の下に第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9、9Cを形成するという観点からは、ヒートシール性を有する有機−無機複合透明導電層5が好ましい。このヒートシール性を有する有機−無機複合透明導電層5は、例えば、溶剤を揮散させることによって固化して透明熱可塑性樹脂となる溶剤希釈型樹脂組成物に所望の導電性微粒子を分散させて塗工液を調製し、この塗工液を第1無機透明導電層3上に塗工して塗膜を形成した後に当該塗膜を乾燥させることにより、得ることができる。この場合、第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9、9Cの転写は、ヒートシール性を有する有機−無機複合透明導電層5を形成した後に行う。
上記の溶剤希釈型樹脂組成物は、例えば溶剤可溶型熱可塑性透明樹脂を1種又は2種以上の溶剤に溶解させることによって得られる。このとき使用する溶剤可溶型熱可塑性透明樹脂は、本発明の導電性基板を色素増感型太陽電池用の電極基板の構成部材として用いる場合、色素増感型太陽電池で使用される電解質に対して耐食性を有していることが好ましい。
また、上記の溶剤は、溶剤可溶型熱可塑性透明樹脂を溶解させることができるものであればよく、ケトン類、炭化水素類、エステル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、グリコール誘導体、エーテル類、エーテルエステル類、アミド類、アセテート類、ケトンエステル類、グリコールエーテル類、スルホン類、スルホキシド類等を用いることができる。これらの中でも、第1無機透明導電層3との濡れ性のよい塗工液を調製するという観点からは、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、テルピネオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール等を用いることが好ましい。
(2)転写工程;
転写工程では、上述した有機−無機複合透明導電層5又はその未硬化物層上に、転写法によって第2無機透明導電層7と共に多孔質酸化物半導体層9、9Cを形成する。略一定の膜厚を有する大形の多孔質酸化物半導体層9、9Cを有機−無機複合透明導電層5上に第2無機透明導電層7を介して一様に形成するうえからは、下記の転写材を用い、ヒートラミネート性を有する有機−無機複合透明導電層5上にこの転写材をローラーラミネータ等により加熱下で圧着させ、その後、転写材を構成している耐熱性基材を剥離することで第2無機透明導電層7及び多孔質酸化物半導体層9、9Cを形成することが好ましい。転写材を加熱下で有機−無機複合透明導電層5に圧着させることにより、上述した第3形態の導電性基板30を得ることができ、その後に上記の耐熱性基材を剥離することにより、前述した第1形態の導電性基板10又は第2形態の導電性基板20を得ることができる。
・転写材;
図5は、上記の転写材の一例を概略的に示す断面図である。図示の転写材40は、耐熱性基材32上に多数の酸化物半導体微粒子34a、34bの高温焼成物からなる多孔質酸化物半導体層34が形成され、その上に無機透明導電層36が形成されたものである。
上記の耐熱性基材32は、多孔質酸化物半導体層34を形成する際の焼成条件下でも変形や化学変化が生じないだけの耐熱性を有していることが好ましく、その材料としてはガラス、セラミックス、金属等を用いることができる。例えば、多数の酸化チタン微粒子によって多孔質酸化物半導体層34を形成する場合、その焼成温度は300〜700℃程度となる。耐熱性基材32の形態は板状、シート状、フィルム状等、適宜選択可能である。
多孔質酸化物半導体層34は転写により多孔質酸化物半導体層9又は多孔質酸化物半導体層9Cとなるものであり、その形成方法及び機械的特徴から、第1多孔質酸化物半導体層34Aの上に第2多孔質酸化物半導体層34Bが形成された2層構造を有しているものと判断される。ただし、例えば電子顕微鏡写真から第1多孔質酸化物半導体層34Aと第2多孔質酸化物半導体層34Bとの界面を特定することは困難である。第1多孔質酸化物半導体層34Aが図1又は図3に示した第2多孔質酸化物半導体層9Bに対応し、第2多孔質酸化物半導体層34Bが図1及び図3に示した第1多孔質酸化物半導体層9A、又は図2に示した多孔質酸化物半導体層9Cに対応する。多孔質酸化物半導体層34A、34Bの材料である酸化物半導体微粒子34a、34b、すなわち、多孔質酸化物半導体層9A、9B、9Cの材料である酸化物半導体微粒子9a、9bについては、第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
上記の多孔質酸化物半導体層34は、例えば、第1多孔質酸化物半導体層34Aを形成するための塗工液(以下、この塗工液を「塗工液A」という。)、及び、第2多孔質酸化物半導体層34Bを形成するための塗工液(以下、この塗工液を「塗工液B」という。)を用意し、塗工液Aを用いて耐熱性基材32上に塗膜(以下、「塗膜A」という。)を形成した後、この塗膜A上に塗工液Bを用いて塗膜(以下、「塗膜B」という。)を形成し、各塗膜A、B中の酸化物半導体微粒子34a、34bを焼成することによって得ることができる。第1多孔質酸化物半導体層34Aにクラックが生じるのを抑制するという観点からは、塗膜Bの形成に先立って、塗膜A中の揮発成分を揮散させておくことが好ましい。
上記の塗工液Aは、例えば、分散媒に多数の酸化物半導体微粒子34aを分散させることによって調製することができる。同様に、上記の塗工液Bは、例えば、分散媒に多数の酸化物半導体微粒子34bを分散させることによって調製することができる。これらの塗工液A及び塗工液Bのいずれにおいても、第1多孔質酸化物半導体層34A及び第2多孔質酸化物半導体層34Bそれぞれでの気孔率の制御等のために、有機バインダーを含有させることができる。また、その塗工性を向上させるために、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等の添加剤を適宜含有させることができる。
塗工液A、Bの調製に使用する分散媒の具体例としては、水、トルエン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、ブタノール等が挙げられる。分散媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。塗工液Aで用いる分散媒は、耐熱性基板32との濡れ性がよいものであることが好ましい。また、塗工液A、Bで互いに同じ分散媒を用いることもできるが、塗膜Bの形成時に塗膜Aが溶解してしまうのを抑制するうえからは、塗工液Aで用いた有機バインダーの溶解度が低いものを塗工液Bの分散媒として用いることが好ましい。
また、塗工液A、Bに有機バインダーを含有させる場合、この有機バインダーとしては、酸化物半導体微粒子34a、34bの高温焼成時に熱分解するものが使用され、その具体例としては、アクリル樹脂等の樹脂類や、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、アセチルエチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、ベンジルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、又はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ターシャルブチルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル系樹脂等、が挙げられる。有機バインダーは多孔質酸化物半導体層34にできるだけ残存しないことが好ましく、そのためには、数平均分子量が小さい有機バインダーを用いることが好ましい。上記の高温焼成時に有機バインダーが熱分解するか否かは、数平均分子量が同じであっても焼成条件及び有機バインダーの種類によって変動するので、使用する有機バインダーの数平均分子量は、当該有機バインダーの種類及び焼成条件に応じて適宜選定される。中でも、分子量が2000〜600000の範囲内である樹脂が好ましく、特に、分子量が10000〜200000の範囲内である樹脂が好ましい。
塗工液A、Bそれぞれでの酸化物半導体微粒子34a、34bの種類、平均粒径、及び含有量、有機バインダーの種類、並びに塗膜Aの膜厚等を適宜選定することにより、転写材40での剥離界面を制御する、すなわち、無機透明導電層36を被転写部材に固着させた状態で耐熱性基材32を剥離するときの剥離を、耐熱性基材32と第1多孔質酸化物半導体層34Aとの界面での剥離、第1多孔質酸化物半導体層34Aと第2多孔質酸化物半導体層34Bとの界面での剥離、または第1多孔質酸化物半導体層34Aの凝集破壊による剥離のいずれかに設定することができる。耐熱性基材32のリサイクルや、多孔質酸化物半導体層を転写により形成する際の歩留りを考慮すると、上述した剥離界面は、耐熱性基材32と第1多孔質酸化物半導体層34Aとの界面であることが好ましい。なお、焼成後の組成が同じであっても形成方法(成長方法)が異なる酸化物半導体微粒子は、互いに異種の微粒子であるものとする。
多孔質酸化物半導体層34は、塗膜A、Bの形成後にこれらの塗膜A、Bを例えば空気雰囲気中で高温焼成することにより得られる。焼成の温度は、300℃〜700℃の範囲内であることが好ましく、中でも、350℃〜600℃の範囲内であることが好ましい。剥離界面を上記2つの界面のどちらにするかに拘わらず、転写前に多孔質酸化物半導体層34が耐熱性基材32から剥離してしまわないように塗工液Aの組成を適宜選定することが好ましい。また、第2多孔質酸化物半導体層34Bの電気的特性及び機械的特性を良好なものとするうえからは、当該多孔質酸化物半導体層34の平均膜厚を5〜30μm程度の範囲内で選定することが好ましい。
多孔質酸化物半導体層34上に形成されている無機透明導電層36は、転写により第2無機透明導電層7となるものである。この無機透明導電層36は、例えばPVD法やCVD法によって形成することもできるが、大形の多孔質酸化物半導体層9を形成し易い転写材40を得るうえからは、無機透明導電層36での残留応力を小さくすることが好ましく、そのためには、当該無機透明導電層36をスプレー法により形成することが好ましい。
なお、本明細書でいう「スプレー法」とは、無機透明導電性材料の原料となる三塩化インジウム水和物、塩化第一錫水和物等の有機金属化合物を有機溶剤に溶解させて溶液を得、加熱した被成膜部材に前記の溶液を噴霧して熱分解することによって被成膜部材上に無機透明導電性材料を結晶成長させ、これにより無機透明導電層を形成する成膜方法を意味する。
上述した製造方法Aによる導電性基板の製造は、枚葉処理によって行うこともできるし、連続処理によって行うこともできる。枚葉処理による製造方法Aによって導電性基板を得ようとする場合には、準備工程で前述した積層物を所望数用意し、当該積層物毎に枚葉処理で転写工程を行う。この場合、転写工程では、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する長尺の転写材を用いることもできるし、個々の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する転写材を所望数用いることもできる。
準備工程では、枚葉処理によって所望数の積層物を用意することもできるし、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する長尺の透明樹脂フィルムを用いて、当該長尺の透明樹脂フィルム上への第1無機透明導電層の形成及び所定の大きさへの断裁を連続的に行った後、枚葉処理により有機−無機複合透明導電層又はその未硬化層を形成することによって所望数の積層物を用意することもできる。
さらには、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する長尺の透明樹脂フィルムを用いて、当該長尺の透明樹脂フィルム上への有機−無機複合透明導電層又はその未硬化層の形成までを連続的に行い、有機−無機複合透明導電層又はその未硬化層まで形成し終えたところから順次断裁することによっても所望数の積層物を用意することもできる。長尺の透明樹脂フィルム上に第1無機透明導電層、又は有機−無機複合透明導電層もしくはその未硬化層を形成するにあたっては、個々の導電性基板に対応する大きさを有するものを間欠的に形成してもよいし、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有するものを連続的に形成してもよい。
一方、連続処理による製造方法Aによって導電性基板を得ようとする場合、準備工程では、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する長尺の透明樹脂フィルム上に第1無機透明導電層及び有機−無機複合透明導電層もしくはその未硬化層を連続的に形成して、前述した積層物が多数連なった状態の積層フィルムを作製する。また、転写工程では、多数の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する長尺の転写材を用い、又は、個々の導電性基板に対応した大きさ(長さ)を有する転写材を所望数用い、前記の積層フィルムにおいて個々の積層物が形成されたところから順次、第2無機透明導電層と共に多孔質酸化物半導体層を転写する。多孔質酸化物半導体層の転写後、必要に応じてロール状に巻き取ってから、所定の大きさに断裁し、目的とする導電性基板を得る。多孔質酸化物半導体層の転写後にロール状に巻き取る場合、転写材を構成している耐熱性基材の可撓性が高ければ、当該耐熱性基材を保護部材25(図3参照)として利用して一緒にロール状に巻き取ることができる。耐熱性基材の可撓性が低いときには、当該耐熱性基材を剥離し、必要に応じて保護部材25(図3参照)となる樹脂フィルムを多孔質酸化物半導体層上に重ねた後にロール状に巻き取る。連続処理による製造方法Aでは、所謂ロール・ツゥ・ロール法を利用することができる。
[導電性基板の製造方法B]
製造方法Bは、上記製造方法Aにおける準備工程と、転写工程とから、多孔質酸化物半導体層がパターニングされた導電性基板を得る。製造方法Bは、以下の製造方法B−1と、B−2とに大別される。
(導電性基板の製造方法B−1)
製造方法B−1では、図6に示すように、透明樹脂フイルム1の片面に、第1無機透明導電層3と、パターニングされた有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層とが、この順番で積層された積層物12を用意する準備工程と、耐熱性基材32上に第1多孔質酸化物半導体層34A、パターニングされた第2多孔質酸化物半導体層34B、および無機透明導電層36がこの順で形成された転写材13を用いて、上記積層物12の有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層上に、無機透明導電層36と共に、多孔質酸化物半導体層34を転写する転写工程とにより、本発明の導電性基板を得る。以下、上記の準備工程および転写工程について図1〜図5で用いた参照符号を適宜引用しつつ詳述する。
(1)準備工程
準備工程で用意する積層物12は、上述のように、透明樹脂フイルム1の片面に、第1無機透明導電層3と、パターニングされた有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層とがこの順番で積層されたものである。このうち、片面に第1無機透明導電層3が形成された透明樹脂フィルムは、市販品を用いることもできるし、透明樹脂フィルム1の片面に第1無機透明導電層3を形成することによっても得ることができる。第1無機透明導電層3の形成方法については第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
パターニングされた有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層は、導電性基板の製造方法Aについての説明の中で述べた、溶剤希釈型樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物等の樹脂組成物に所望の導電性微粒子を分散させて得た塗工液を、第1無機透明導電層3上にパターン状に塗工し、固化ないし硬化させることによって形成することができる。ここで、本製造方法に用いられる塗工液、および固化ないし硬化する方法については、導電性基板の製造方法Aの準備工程についての説明の中で既に述べたので、ここでは、その説明を省略する。
上記塗工液をパターン状に塗工する方法は、所望のパターンに精度良く塗工できる方法であれば特に限定されず、例えば、公知の塗布方法を用いて第1無機透明導電層3上に上記塗工液を塗布することにより、第1無機透明導電層3上に有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層を形成し、次に、有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層に対して所定のパターンを有するようにマスキングを行い、その後、有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層を溶解することができる溶媒を用いて、マスキングされていない領域を除去する方法等が挙げられる。上記公知の塗布方法としては、具体的にはダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
また、第1無機透明導電層3上に上記塗工液をパターン状に塗布する別の方法としては、例えば、第1無機透明導電層3表面にマスキングを行い、次に公知の塗布方法を用いて第1無機透明導電層3上およびマスキング上に全面塗布し、その後、マスキングを除去する方法等が挙げられる。公知の塗布方法は、上記の方法と同様である。
さらに、上記第1無機透明導電層3に上記塗工液をパターン状に塗布する別の方法としては、例えば、ダイコートおよびグラビアコート等を用いて直接パターン状の有機−無機複合透明導電層5を形成する方法が挙げられる。この方法は、マスキングを用いないで直接パターン状の有機−無機複合透明導電層5を形成する方法であり、工業的に優れた方法である。
また、上記塗工液を第1無機透明導電層3上にパターン状に塗工する方法以外に、パターニングされた有機−無機複合透明導電層5の未硬化物層を形成する方法としては、上記第1無機透明導電層3上にパターニングされていない有機−無機複合導電層5またはその未硬化物層を塗工した後、当該有機−無機複合導電層5またはその未硬化物層をパターニングすることにより形成することもできる。このようなパターニングを行う方法は、所望のパターンを精度良く得ることができる方法であれば特に限定されず、例えば、スクライブ法等により機械的に切削することによりパターンを形成する方法や、レーザーアブレーション法等により非接触でパターン形成する方法を挙げることができる。
(2)転写工程
転写工程では、上述した転写材13を用い、上述した準備工程で用意した積層物12の有機−無機複合透明導電層5上に、無機透明導電層36と共に、多孔質酸化物半導体層34を形成する。積層物12の有機−無機複合透明導電層5上に、無機透明導電層36と共に多孔質酸化物半導体層34を形成する方法は、導電性基板の製造方法Aの転写工程についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
・転写材
転写材13は、耐熱性基材32上に第1多孔質酸化物半導体層34Aが形成され、その上にパターニングされた第2多孔質酸化物半導体層34Bが形成され、さらにその上に無機透明導電層36が形成されたものである。本製造方法においては上記第1多孔質酸化物半導体層34Aがパターニングされていても良い。
上記転写材13に用いられる、耐熱性基材32、第1多孔質酸化物半導体層34A、第2多孔質酸化物半導体層34Bの材料である酸化物半導体微粒子34a、34bについては導電性基板の製造方法Aの転写材についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
上記の第1多孔質酸化物半導体層34A、第2多孔質酸化物半導体層34Bは、例えば、塗工液A、及び塗工液Bを用意し、塗工液Aを用いて耐熱性基材32上に塗膜Aを形成した後、この塗膜A上に塗工液Bを用いてパターン状に塗膜Bを形成し、各塗膜A、B中の酸化物半導体微粒子34a、34bを焼成することによって得ることができる。塗工液A、及び塗工液Bについては、導電性基板の製造方法Aの転写材についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
上記塗膜A上にパターン状の塗膜Bを形成する方法としては、所望のパターンに精度良く塗工できる方法であれば特に限定されず、例えば、公知の塗布方法を用いて塗膜A上に上記塗工液Bを塗布することにより、塗膜A上に塗膜Bを形成し、次に、塗膜Bに対して所定のパターンを有するようにマスキングを行い、その後、塗膜Bを溶解することができる溶媒を用いて、マスキングされていない領域を除去する方法等が挙げられる。上記公知の塗布方法としては、具体的にはダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
また、塗膜A上に上記塗工液Bをパターン状に塗布する別の方法としては、例えば、塗膜A表面にマスキングを行い、次に公知の塗布方法を用いて塗膜A上およびマスキング上に全面塗布し、その後、マスキングを除去する方法等が挙げられる。公知の塗布方法は、上記の方法と同様である。
さらに、上記塗膜Aに上記塗工液Bをパターン状に塗布する別の方法としては、例えば、ダイコートおよびグラビアコート等を用いて直接パターン状の塗膜bを形成する方法が挙げられる。この方法は、マスキングを用いないで直接パターン状の塗膜Bを形成する方法であり、工業的に優れた方法である。
また、塗膜Bのパターンは、上述した準備工程で用意する積層物12の有機−無機複合透明導電層5のパターンと同一であることが好ましい。
多孔質酸化物半導体層34は、塗膜Aおよびパターニングされた塗膜Bを形成した後にこれらの塗膜A、Bを例えば空気雰囲気中で高温焼成することにより、得られる。転写前に多孔質酸化物半導体層34が耐熱性基材32から剥離してしまわないように塗工液Aの組成を適宜選定することが好ましい。また、第2多孔質酸化物半導体層34Bの電気的特性及び機械的特性を良好なものとするうえからは、当該多孔質酸化物半導体層34の平均膜厚を5〜30μm程度の範囲内で選定することが好ましい。
多孔質酸化物半導体層34B上に形成される無機透明導電層36は、転写により第2無機透明導電層7となるものである。この無機透明導電層36を第2多孔質酸化物半導体層34B上に形成する方法としては、パターニングされた第2多孔質酸化物半導体層34B上にのみ形成する方法(第1の方法)と、図7に示すように第2多孔質酸化物半導体層34B上と第1多孔質酸化物半導体層34A上とに形成した後に、第1多孔質酸化物半導体層34A上に形成された無機透明導電層36のみを除去する方法(第2の方法)とを挙げることができる。
上記第1の方法において、第2多孔質酸化物半導体層34B上のみに無機透明導電層36を形成する方法としては、第1多孔質酸化物半導体層34A上に適当な方法によりマスキングした後に、無機透明電極層36を形成する方法を挙げることができる。
また上記第2の方法において、第1多孔質酸化物半導体層34A上に形成された無機透明導電層36のみを除去する方法としては、例えば、スクライブ法等により機械的に除去する方法や、レーザーアブレーション法等により非接触で除去する方法を挙げることができる。
上記第1の方法および第2の方法ともに、無機透明導電層36を形成する方法は、導電性基板の製造方法Aの転写材についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
本製造方法B−1による導電性基板の製造は、枚葉処理によって行うこともできるし、連続方法によって行うこともできる。枚葉処理および連続方法については、導電性基板の製造方法Aの転写材についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
さらに、本製造法B−1により製造した導電性基板を用いて、色素増感型太陽電池を作製するには、第1無機透明導電層3を第2多孔質酸化物半導体層34Bのパターンに沿って、パターニングすることが必要であるが、この第1無機透明導電層3をパターニングする時期は、有機−無機複合透明導電層5上に無機透明導電層36と共に多孔質酸化物半導体層34を転写する前であってもよく、転写した後であってもよい。
また、第1無機透明導電層3をパターニングする方法としては、所望のパターンを精度良く得ることができる方法であればとくに限定されず、例えば、スクライブ法等により機械的に除去する方法や、レーザーアブレーション法等により非接触で除去する方法を挙げることができる。
さらに、第1無機透明導電層3のパターン形状は、第2多孔質酸化物半導体層34Bのパターンと同一であっても、異なっていても良い。
(導電性基板の製造方法B−2)
製造方法B−2では、図8に示すように、透明樹脂フイルム1の片面に、第1無機透明導電層3と、有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層とが、この順番で積層された積層物を用意する準備工程と、耐熱性基材32上に第1多孔質酸化物半導体層34A、パターニングされた第2多孔質酸化物半導体層34B、および無機透明導電層36がこの順で形成された転写材13を用いて、上記積層物12の有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層上に、無機透明導電層36と共に、多孔質酸化物半導体層34を転写する転写工程とにより、本発明の導電性基板を得る。
(1)準備工程
準備工程で用意する積層物およびその形成方法は、導電性基板の製造方法Aの準備工程についての説明の中で既に述べたものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
(2)転写工程
転写工程において、転写材13を用いて、上記積層物の有機−無機複合透明導電層5またはその未硬化物層上に、無機透明導電層36と共に、多孔質酸化物半導体層34を転写する方法としては、上記導電性基板の製造方法B−1の転写工程についての説明の中で既に述べたものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
さらに、本製造法B−2により製造した導電性基板を用いて、色素増感型太陽電池を作製するには、第1無機透明導電層3と、有機−無機複合透明導電層5とを第2多孔質酸化物半導体層34Bのパターンに沿って、パターニングすることが必要であるが、この第1無機透明導電層3をパターニングする時期は、有機−無機複合透明導電層5上に無機透明導電層36と共に多孔質酸化物半導体層34を転写する前であってもよく、転写した後であってもよい。
また、第1無機透明導電層3および有機−無機複合透明導電層5をパターニングする方法としては、所望のパターンを精度良く得ることができる方法であればとくに限定されず、例えば、スクライブ法等により機械的に除去する方法や、レーザーアブレーション法等により非接触で除去する方法を挙げることができる。さらに、第1無機透明導電層3および有機−無機複合透明導電層5のパターン形状は、多孔質酸化物半導体層34Bのパターンと同一であっても、異なっていても良い。
[導電性基板の製造方法C]
製造方法Cでは、透明樹脂フィルムの片面に、第1無機透明導電層と、有機−無機複合透明導電層又はその未硬化物層と、第2無機透明導電層とがこの順番で積層された積層物を用意する準備工程と、塗布法によって第2無機透明導電層上に多孔質酸化物半導体層を形成する半導体層形成工程とを順次行うことにより、本発明の導電性基板を得る。以下、上記の準備工程及び半導体層形成工程について、図1〜図8で用いた参照符号を適宜引用しつつ詳述する。
(1)準備工程;
準備工程で用意する積層物は、上述のように、透明樹脂フィルム1の片面に、第1無機透明導電層3と、有機−無機複合透明導電層5又はその未硬化物層と、第2無機透明導電層7とがこの順番で積層されたものである。このうち、片面に第1無機透明導電層3が形成された透明樹脂フィルムは、市販品であってもよいし、透明樹脂フィルム1の片面に自ら第1無機透明導電層3を形成して得たものであってもよい。
第1無機透明導電層3の形成方法については第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。同様に、有機−無機複合透明導電層5及びその未硬化物層の形成方法については製造方法Aについての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。上記の未硬化物層の固化ないし硬化は、第2無機透明導電層7を形成する前に行ってもよいし、第2無機透明導電層7の形成後に行ってもよい。
第2無機透明導電層7は、例えばPVD法やCVD法によって形成することができる。第2無機透明導電層7の組成や膜厚については、第1形態の導電性基板についての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
(2)半導体層形成工程;
半導体層形成工程では、複数層構造の多孔質酸化物半導体層9(図1参照)又は単層構造の多孔質酸化物半導体層9C(図2参照)を塗布法によって第2無機透明導電層7上に形成する。
上記の塗布法としては、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリーバースコート、スクリーン印刷(ロータリー方式)等、種々の方法を適用することができる。
塗布法による多孔質酸化物半導体層の形成は、塗膜の焼成温度を80℃程度以上、透明樹脂フィルム1並びに有機−無機複合透明導電層5又はその未硬化物層の耐熱温度以下と比較的低温にする以外は、前述した転写材を作製する際の多孔質酸化物半導体層の形成と同様にして行うことができる。なお、製造方法Bによる導電性基板の製造も、前述した製造方法Aによる導電性基板の製造と同様にして、枚葉処理又は連続処理により行うことができる。
<色素増感型太陽電池用電極基板>
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板は、前述した第1形態、第2形態および第4形態の導電性基板と、この導電性基板の多孔質酸化物半導体層に担持された増感色素とを有している。
図9は、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板の一例を概略的に示す断面図である。図示の色素増感型太陽電池用電極基板50は、図1に示した第1形態の導電性基板10における第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bそれぞれに、増感色素45を担持させた構造を有している。
なお、図9においては、便宜上、上記の増感色素45を第2多孔質酸化物半導体層9上に形成された1つの層として描いているが、増感色素45は、実際には、第1多孔質酸化物半導体層9Aを形成している第1酸化物半導体微粒子9aの表面、及び、第2多孔質酸化物半導体層9Bを形成している第2酸化物半導体微粒子9bの表面それぞれに担持されている。
この増感色素45は、第1酸化物半導体微粒子9a及び第2酸化物半導体微粒子9bそれぞれを増感させるためのものである。増感色素45としては、(A)その吸収波長域が、第1酸化物半導体微粒子9a及び第2酸化物半導体微粒子9bそれぞれの吸収波長域よりも長波長側にまで及んでいるもの、(B)光励起されたときの電子のエネルギー準位が第1酸化物半導体微粒子9a及び第2酸化物半導体粒子9bそれぞれでの伝導帯端の位置よりも高いもの、(C)第1酸化物半導体微粒子9a又は第2酸化物半導体微粒子9bの伝導帯へキャリア(電子)が注入されるのに要する時間が、第1酸化物半導体微粒子9a又は第2酸化物半導体微粒子9bの伝導帯からのキャリアの再捕獲に要する時間に比べて短いもの、が好ましい。
このような増感色素45としては、有機色素や金属錯体色素を用いることができる。有機色素の具体例としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系のものが挙げられ、特にクマリン系の有機色素が好ましい。また、金属錯体色素としてはルテニウム系色素が好ましく、特にルテニウムビピリジン色素及びルテニウムターピリジン色素が好ましい。
光電変換効率の高い色素増感型太陽電池を得るという観点からは、できるだけ多くの酸化物半導体微粒子9a、9bに増感色素45を担持させることが好ましい。そのためには、第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bそれぞれの細孔内表面にまで増感色素45を吸着させることが好ましい。また、同様の観点から、増感色素45は単分子膜の状態で酸化物半導体微粒子9a、9bそれぞれに担持させることが好ましい。
第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bそれぞれに予め表面処理を施しておくことにより、増感色素45から第1酸化物半導体微粒子9a又は第2酸化物半導体微粒子9bへ移動した電荷が増感色素45、又は色素増感型太陽電池の電解質へ移動してしまう逆電子移動を防止することが容易になる。増感色素45を担持させた後に多孔質酸化物半導体層9A、9B及び増感色素45に所定の処理、例えば、各酸化物半導体微粒子9a、9bが酸化チタン微粒子であり、増感色素45が上述したルテニウム系色素である場合には、第三級ブチルピリジン等の塩基による処理を施すことにより、上記の逆電子移動を防止して、色素増感型太陽電池用電極基板50を用いた色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることが可能である。
色素増感型太陽電池用電極基板50は、例えば、前述のようにして導電性基板10を作製した後、この導電性基板10における第1多孔質酸化物半導体層9A(第1酸化物半導体微粒子9a)及び第2多孔質酸化物半導体層9B(第2酸化物半導体微粒子9b)それぞれに増感色素45を担持させることによって製造することができる。
第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bそれぞれに増感色素45を担持させるにあたっては、まず、増感色素45の溶液(以下、「色素溶液」という。)を調製する。このときの溶媒としては、用いる色素の種類に応じて、水系溶媒及び有機系溶媒のいずれかを適宜選択することができる。次に、導電性基板10を色素溶液に浸漬するか、又は、色素溶液を塗布法、スプレー法等の方法により第2多孔質酸化物半導体層9B上から塗布して、当該色素溶液を第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bそれぞれに含浸させる。この後、含浸させた色素溶液を乾燥することによって第1多孔質酸化物半導体層9A(第1酸化物半導体微粒子9a)及び第2多孔質酸化物半導体層9B(第2酸化物半導体微粒子9b)それぞれに増感色素45を担持させることができ、色素増感型太陽電池用電極基板50が得られる。
なお、転写法によって第2無機透明導電層7、第1多孔質酸化物半導体層9A、及び第2多孔質酸化物半導体層9Bを形成する場合には、転写材における第1多孔質酸化物半導体層及び第2多孔質酸化物半導体層それぞれに上述のようにして予め増感色素を担持させておいてもよい。
このようにして製造することができる色素増感型太陽電池用電極基板50は、既に説明した本発明の導電性基板10を用いて製造されたものであるので、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易いものである。なお、導電性基板10に代えて、図2に示した第2形態の導電性基板20を用いても、同様の技術的効果を奏する色素増感型太陽電池用電極基板を得ることができる。また、図4に示した第4形態の導電性基板11を用いることにより、本発明の色素増感型太陽電池用基板を起電力の高い色素増感型太陽電池を作製するのに好適なものにすることができる。
<色素増感型太陽電池>
本発明の色素増感型太陽電池は、増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層を有する第1電極基板と、この第1電極基板に対向して配置された第2電極基板と、これら第1電極基板と前記第2電極基板との間に介在する電解質層とを備えたものであり、第1電極基板が上述した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板からなる。
図10は、本発明の色素増感型太陽電池の断面構造の一例を示す概略図である。図示の色素増感型太陽電池80では、図9に示した色素増感型太陽電池用電極基板50が第1電極基板として用いられ、この色素増感型太陽電池用電極基板50(以下、「第1電極基板50」という。)に対向して第2電極基板70が配置されている。第1電極基板50と第2電極基板70との間には電解質層72が介在し、電解質層72の周囲は封止材74により封止されている。
第1電極基板50は、第1多孔質酸化物半導体層9A及び第2多孔質酸化物半導体層9Bが電解質層72と接する向きで配置されており、第1無機透明導電層3、有機−無機複合透明導電層5、及び第2無機透明導電層7が集電電極を構成している。第1無機透明導電層3はリード線76aを介して負荷(外部負荷)78に接続されており、この負荷78はリード線76bにより第2電極基板70における対向電極65に接続されている。第1電極基板50(色素増感型太陽電池用電極基板50)の構成については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
第2電極基板70は、可撓性を有する基材60上に対向電極65を形成したものであり、対向電極65が電解質層72と接するようにして配置されている。基材60としては、第1電極基板50の可撓性を損なわないように樹脂フィルムを用いることが好ましいが、第1電極基板50で用いられている透明樹脂フィルム1よりも可撓性の低いものを使用することも可能である。また、色素増感型太陽電池80では、多くの場合、第1電極基板50における透明樹脂フィルム1の外表面が光入射面として利用されるので、透明樹脂フィルム1の外表面を光入射面として利用する場合には、基材60は光透過性を有していなくてもよい。
対向電極65の材料としては、電解質層72に含有されている電解質の種類に応じて、白金、金、銀、カーボン、無機導電性酸化物(ITO、ATO、酸化スズ、酸化アンチモン、IZO、ZnO、フッ素ドープしたSnO等)等を用いることができる。本発明においてはこれらの中でも、フッ素ドープしたSnO(以下、FTOと称する。)、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性に特に優れているからである。この対向電極65は、1種類の導電性材料によって形成された単層構造のものであってもよいし、隣り合う層同士が互いに異なる組成を有する2層以上の複数層構造を有していてもよい。電解質層72を電解液によって形成する場合、対向電極65は、色素増感型太陽電池80の光電変換効率を高めるという観点から、電解質においてレドックス対を構成する一方のイオン種が光照射時にキャリアと反応して他方のイオン種を生成する際に触媒として機能し得る導電性材料(例えば白金)を用いて形成することが好ましい。この対向電極65は、例えばPVD法やCVD法等の方法により形成することができ、その膜厚は1〜1000nm程度の範囲内で適宜選定可能である。
電解質層72は、第1電極基板50と第2電極基板70との間に介在して、第1電極基板50、リード線76a、負荷78、リード線76b、及び第2電極基板70を含む閉回路の形成を可能にする。この電解質層72の材料としては、キャリアの輸送に寄与するレドックス対を少なくとも含有した種々の電解液や、常温溶融塩電解液、ゲル電解質、固体電解質等を用いることができる。電解質層72の材料として電解液を用いる場合、上記のレドックス対としては、I/I 、Br/Br 、キノン/ハイドロキノン等を用いることができる。このようなレドックス対を構成する金属種としては、例えば、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せや、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
電解質層72の厚さは適宜選定可能であるが、電解質層72、第2多孔質酸化物半導体層9B、及び第1多孔質酸化物半導体層9Aそれぞれの平均膜厚の合計が2〜100μm程度の範囲内、特に2〜50μm程度の範囲内となるように選定することが好ましい。上記の範囲よりも電解質層72の厚さが薄いと第1電極基板50と第2電極基板70とが短絡し易くなり、上記の範囲よりも厚いと色素増感型太陽電池80の内部抵抗が大きくなって性能が低下し易くなる。電解質層72は、その材料に応じて、塗布法や注入法等の種々の方法により形成することができる。
第1電極基板50と第2電極基板70との間隔を精度よく所望の間隔に保って短絡を防止するために、第1電極基板50と第2電極基板70との間にガラススペーサ、樹脂スペーサ、オレフィン系多孔質膜等のスペーサを配置してもよい。スぺーサは、第1電極基板50及び第2電極基板70のいずれか一方に予め形成しておくこともできるし、色素増感型太陽電池80を組み立てる際に第1電極基板50及び第2電極基板70の少なくとも一方に固着させて使用することもできる。また、スペーサの一部を封止材74として利用することも可能である。
以上説明した構造を有する色素増感型太陽電池80は、第1電極基板50として本発明の色素増感型太陽電池用電極基板50(図9参照)を用いたものであり、この色素増感型太陽電池用電極基板50は、既に説明したように、可撓性及び性能が共に高い色素増感型太陽電池を得易いものである。したがって、色素増感型太陽電池80は、可撓性及び性能が共に高いものを得易い。
なお、図2に示した第2形態の導電性基板20の多孔質酸化物半導体層9Cに増感色素を担持させて色素増感型太陽電池用電極基板を得、または、図4に示した第4形態の導電性基板11の多孔質酸化物半導体層9に増感色素を担持させて色素増感型太陽電池用電極基板を得、この色素増感型太陽電池用電極基板を第1電極基板として用いて色素増感型太陽電池を構成した場合にも、上記の色素増感型太陽電池80と同様の技術的効果を奏する色素増感型太陽電池を得ることができる。
<実施例1(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
(1)転写材の作製;
まず、耐熱性基材として厚さ1mmの青板ガラスを用意した。また、第1多孔質酸化物半導体層形成用の塗工液A、及び、第2多孔質酸化物半導体層形成用の塗工液Bをそれぞれ用意した。
上記の塗工液Aは、メチルエチルケトンとトルエンとの1:1(重量比)混合溶媒に有機バインダーとしてのアクリル樹脂(三菱レーヨン社製のBR87(商品名);分子量25000、ガラス転移温度105℃)を溶解させて得た溶液に、一次粒径が20nmの酸化チタン微粒子(日本エアロジル社製のP−25(商品名))を分散させたものである。この塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量は9.09wt%であり、酸化チタン微粒子の含有量は5wt%である。
一方、上記の塗工液Bは、アセチルアセトンとイオン交換水との混合溶媒に界面活性剤と有機バインダーとしてのポリエチレングリコール(数平均分子量;20000)とを溶解させて得た溶液に、一次粒径が20nmの酸化チタン微粒子(日本エアロジル社製のP−25(商品名))を分散させたものである。この塗工液Bにおけるポリエチレングリコールの含有量は1.88wt%、酸化チタン微粒子の含有量は37.5wt%、アセチルアセトンの含有量は1.25wt%、界面活性剤の含有量も1.25wt%である。
次に、前述した青板ガラス上に上記の塗工液Aをワイヤーバーにより1.5g/m の塗工量の下に塗工して塗膜Aを形成し、この塗膜Aを乾燥させた。次いで、乾燥後の塗膜B上に上記の塗工液Bをドクターブレードにより15g/m の塗工量の下に塗工して塗膜Bを形成し、この塗膜Bを室温下で20分放置した後に100℃で30分間加熱して、乾燥させた。
塗膜A及び塗膜Bが形成された青板ガラスを電気マッフル炉(デンケン社製のP90)に入れ、空気雰囲気中、550℃で30分間(550℃での保持時間を意味する。)焼成して、塗膜Aの焼成物である第1多孔質酸化物半導体層(第1多孔質酸化チタン層)と、その上に形成された塗膜Bの焼成物である第2多孔質酸化物半導体層(第2多孔質酸化チタン層)とからなる多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を青板ガラス上に形成した。このとき、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の局所的な剥離は認められなかった。
この後、多孔質酸化物半導体層が形成された青板ガラスを350℃に加熱しながら、多孔質酸化物半導体層上に平均膜厚0.5μmのITO膜をスプレー法により形成して、多孔質酸化物半導体層形成用の転写材を得た。スプレー法によってITO膜を成膜するにあたっては、エタノールに三塩化インジウム水和物(InCl・3HO)を0.1mol/lの割合で、また塩化第一錫水和物(SnCl・2HO)を0.0052mol/lの割合でそれぞれ溶解させて得た溶液50mlを、超音波噴霧器により多孔質酸化物半導体層に連続的に噴霧した。
(2)導電性基板の作製;
まず、片面に厚さ0.3μmのITO膜が形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(トービ社製;厚さ125μm)を用意した。また、有機−無機複合透明導電層形成用の塗工液として、メチルエチルケトンとトルエンとの1:1(重量比)混合溶媒に、平均粒径20nmのITO微粒子(住友金属鉱山社製)と有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂(東洋紡績社製のバイロン500(商品名);ガラス転移温度4℃)とを分散ないし溶解させたものを用意した。この塗工液におけるITO微粒子の含有量は29wt%であり、有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂の含有量は20wt%である。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムに形成されているITO膜上に、ワイヤーバーを用いて上記の塗工液を塗工して塗膜を形成し、この塗膜を100℃で5分間乾燥して、ヒートシール性を有する厚さ1μmの有機−無機複合透明導電層を形成した。この有機−無機複合透明導電層の平面視上の大きさは5cm×10cmであり、当該有機−無機複合透明導電層の周囲ではITO膜が露出している。
次いで、有機−無機複合透明導電層まで形成したポリエチレンテレフタレートフィルムと上記(1)で作製した転写材とを、有機−無機複合透明導電層と転写材に形成されているITO膜とが互いに対向するようにしてローラーラミネータに供給し、このローラーラミネータにより150℃に加熱しながら1分間加圧して、熱圧着させた。この後、転写材を構成している青板ガラスを手作業により剥離して、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を有する導電性基板を得た。この導電性基板における多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の平面視上の大きさは5cm×10cmであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムに予め形成されていたITO膜が第1無機透明導電層に相当し、有機−無機複合透明導電層上に転写されたITO膜が第2無機透明導電層に相当する。
上記の導電性基板における多孔質酸化物半導体層の表層についてX線光電子分光法により組成分析を行ったところ、前述した塗工液Aで有機バインダーとして用いたアクリル樹脂の残存は認められなかった。また、剥離後の青板ガラスの表面(多孔質酸化物半導体層が形成されていた側の面)についてX線光電子分光法により組成分析を行ったところ、酸化チタンに由来する成分は検出されなかった。このことから、青板ガラスでの酸化チタン微粒子の残存は殆どないものと認められる。したがって、有機−無機複合透明導電層上には、ITO膜と共に2層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が一様に転写されたものと判断される。
(3)色素増感型太陽電池用電極基板の作製;
まず、増感色素としてのルテニウム錯体(小島化学株式会社製)をその濃度が3×10−4mol/lとなるようにエタノールに溶解させて、色素溶液を調製した。次に、上記(2)で作製した導電性基板を上記の色素溶液に浸漬し、液温40℃の条件下で色素溶液を撹拌しながら1時間放置した後に導電性基板を色素溶液から引き上げ、風乾した。これにより、多孔質酸化物半導体層に上記の色素が担持されて、色素増感型太陽電池用電極基板が得られた。
<実施例2(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
転写材を作製するにあたって、塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量を9.09wt%に保ったまま、酸化チタン微粒子の含有量を9.09wt%にした以外は実施例1(1)と同じ条件の下に転写材を作製し、この転写材を用いた以外は実施例1(2)と同じ条件の下に導電性基板を作製した。この導電性基板においても、実施例1で作製した導電性基板と同様に、有機−無機複合透明導電層上にITO膜と共に2層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が一様に転写された。この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例3(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
転写材を作製するにあたって、塗工液BとしてSolaronix SA社製の Ti Nanoxide D(商品名)を用いた以外は実施例2と同じ条件の下に転写材を作製し、この転写材を用いた以外は実施例2と同じ条件の下に導電性基板を作製した。なお、上記のTi Nanoxide D には、平均粒径13nmの酸化チタン微粒子が10.7wt%含有されており、他に有機バインダー、有機溶媒等が含有されている。
この導電性基板においては、転写、剥離後の青板ガラスの表面に多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が残存していることが確認された一方で、有機−無機複合透明導電層上にはITO膜を介して多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が形成されていることが確認された。青板ガラスの表面に残存している多孔質酸化チタン層の平均膜厚を測定したところ、転写材に形成した多孔質酸化チタン層のうちで塗工液Aに由来する多孔質酸化チタン層の平均膜厚と略同じ値であった。このことから、有機−無機複合透明導電層上には、塗工液Bに由来する単層構造の多孔質酸化チタン層がITO膜と共に一様に転写されたものと判断される。
この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例4(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
転写材を作製するにあたって、塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量を9.09wt%に保ったまま、当該塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量を7wt%にした以外は実施例3と同じ条件の下に転写材を作製し、この転写材を用いた以外は実施例3と同じ条件の下に導電性基板を作製した。この導電性基板においても、実施例3で作製した導電性基板と同様に、塗工液Bに由来する単層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)がITO膜と共に有機−無機複合透明導電層上に一様に転写された。この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例5(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
アセトンに有機バインダーとしてのアクリル樹脂(三菱レーヨン社製のBR87(商品名);分子量25000、ガラス転移温度105℃)を溶解させて得た溶液に、Solaronix SA社製の Ti Nanoxide D(商品名)を添加、混合して、転写材の作製に使用する塗工液Aを調製した。この塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量は9.09wt%であり、酸化チタン微粒子の含有量は1.5wt%である。
転写材を作製するための塗工液Aとして上記のものを用いた以外は実施例3と同じ条件の下に転写材を作製し、この転写材を用いた以外は実施例3と同じ条件の下に導電性基板を作製した。この導電性基板においても、実施例3で作製した導電性基板と同様に、塗工液Bに由来する単層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)がITO膜と共に有機−無機複合透明導電層上に一様に転写された。
この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例6〜7(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
転写材を作製するにあたって、塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量を9.09wt%に保ったまま、当該塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量を実施例6では1wt%にし、実施例7では2wt%にした。その他は実施例5と同じ条件の下に実施例毎に転写材を作製し、これらの転写材を用いた以外は実施例5と同じ条件の下に実施例毎に導電性基板を作製した。これらの導電性基板のいずれにおいても、実施例5で作製した導電性基板と同様に、塗工液Bに由来する単層構造の多孔質酸化物半導体層(酸化チタン層)がITO膜と共に有機−無機複合透明導電層上に一様に転写された。この後、実施例毎に上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例8(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
まず、片面に厚さ0.3μmのITO膜が形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(トービ社製;厚さ125μm)を用意した。また、有機−無機複合透明導電層形成用の塗工液として、メチルエチルケトンとトルエンとの1:1(重量比)混合溶媒に、平均粒径20nmのITO微粒子(住友金属鉱山社製)と有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂(東洋紡績社製のバイロン500(商品名);ガラス転移温度4℃)とを分散ないし溶解させたものを用意した。この塗工液におけるITO微粒子の含有量は21wt%であり、有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂の含有量は5.3wt%である。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムに形成されているITO膜上に、ワイヤーバーを用いて塗工量が0.5g/m となるように上記の塗工液を塗工して塗膜を形成し、この塗膜を100℃で10分間乾燥して、厚さ0.8μmの有機−無機複合透明導電層を形成した。この有機−無機複合透明導電層の平面視上の大きさは5cm×10cmであり、当該有機−無機複合透明導電層の周囲ではITO膜が露出している。
次いで、上記の有機−無機複合透明導電層上に、スパッタリング法によって膜厚0.5μmのITO膜を成膜した。この後、一次粒径が20nmの酸化チタン微粒子(昭和電工社製のF−5(商品名))を水と第三級ブタノールとの1:1(重量比)混合溶液に分散させて得たペーストをワイヤーバーにより上記の有機−無機複合透明導電層上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を150℃で30分間熱処理して、膜厚12μmの単層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を形成した。
上記の多孔質酸化物半導体層まで形成することにより、導電性基板が得られた。この導電性基板では、ポリエチレンテレフタレートフィルムに予め形成されていたITO膜が第1無機透明導電層に相当し、有機−無機複合透明導電層上にスパッタリング法で成膜されたITO膜が第2無機透明導電層に相当する。この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例9(導電性基板及び色素増感型太陽電池用電極基板の作製)>
まず、片面に厚さ0.3μmのITO膜が形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(トービ社製;厚さ125μm)を用意した。また、有機−無機複合透明導電層形成用の塗工液として、メチルエチルケトンとトルエンとの1:1(重量比)混合溶媒に、平均粒径20nmのITO微粒子(住友金属鉱山社製)を15wt%、ポリエステル系接着剤(大日本インキ化学工業社製のディックシールA−970(商品名))を6wt%、イソシアネート系硬化剤(大日本インキ化学工業社製のKX−75(商品名))を0.5wt%の割合でそれぞれ分散ないし溶解させたものを調製した。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムに形成されているITO膜上に、ワイヤーバーを用いて塗工量が0.5g/m となるように上記の塗工液を塗工して塗膜を形成し、この塗膜を100℃で10分間乾燥して、有機−無機複合透明導電層となる厚さ0.8μmの未硬化物層を形成した。この未硬化物層の平面視上の大きさは5cm×10cmであり、当該未硬化物層の周囲ではITO膜が露出している。次いで、上記の未硬化物層上に実施例8と同じ条件の下にITO膜及び多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を順次形成した。
多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の形成後、40℃で5日間養生することによって上記の未硬化物層を硬化させて、導電性基板を得た。この導電性基板では、ポリエチレンテレフタレートフィルムに予め形成されていたITO膜が第1無機透明導電層に相当し、上記の未硬化物層上にスパッタリング法で成膜されたITO膜が第2無機透明導電層に相当する。
この後、上記の導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に、色素増感型太陽電池用電極基板を作製した。
<実施例10(転写材の作製)>
まず、純水とエタノールとの1:1(重量比)混合溶媒に有機バインダーとしてのポリエチレングリコール(数平均分子量;3000)をその割合が10wt%となるように溶解させて得た溶液に、Solaronix SA社製の Ti Nanoxide D(商品名)を添加、混合して、転写材の作製に使用する塗工液Aを調製した。この塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量は1.5wt%である。
次に、転写材を作製するための塗工液Aとして上記のものを用いた以外は実施例3と同じ条件の下に、転写材を作製した。そして、得られた転写材について、以下のようにしてテープ剥離試験を行った。
すなわち、転写材の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)上に、長さ5cm程に切断したセロハンテープ(ニチバン社製のCT−12M(商品名))を4cm程貼り、その表面を指でなぞって密着させた後、セロハンテープの接着していない端を持ってゆっくり剥がし、このときセロハンテープと共に剥離する多孔質酸化物半導体の有無、及びセロハンテープを剥離した箇所の耐熱性基材(青板ガラス)に残存する多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の有無を目視により確認した。
その結果、セロハンテープには多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の付着が認められ、セロハンテープを剥離した箇所の青板ガラスには多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の残存が認められなかった。セロハンテープを剥離した箇所の青板ガラスの表面についてX線光電子分光法により組成分析を行ったところ、酸化チタンに由来する成分は検出されなかった。このことから、青板ガラスでの酸化チタン微粒子の残存は殆どないものと認められる。したがって、セロハンテープには、2層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が一様に付着したものと判断される。
<実施例11〜12(転写材の作製)>
ポリエチレングリコールとして、数平均分子量が8300のもの、又は数平均分子量が20000のものを用いた以外は実施例10と同じ条件の下に塗工液Aを調製し、当該塗工液Aを用いた以外は実施例3と同じ条件の下に、実施例毎に転写材を作製した。そして、得られた各転写材について、実施例10と同じ条件の下にテープ剥離試験を行った。
その結果、いずれの実施例で得られた転写材についても、セロハンテープには多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の付着が認められ、セロハンテープを剥離した箇所の青板ガラスには多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の残存が認められなかった。セロハンテープを剥離した箇所の青板ガラスの表面についてX線光電子分光法により組成分析を行ったところ、各実施例とも、実施例10と同じ結果が得られた。このことから、いずれの実施例で得られた転写材においても、セロハンテープには、2層構造の多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が一様に付着したものと判断される。
<実施例13(色素増感型太陽電池の作製)>
まず、片面に厚さ0.3μmのITO膜が形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(トービ社製;厚さ188μm)を用意し、このポリエチレンテレフタレートフィルムに形成されているITO膜上に膜厚50nmの白金薄膜をスパッタリング法により成膜して、色素増感型太陽電池における対極側の電極基板(以下、「第2電極基板」という。)を得た。
次に、実施例1(3)で作製した色素増感型太陽電池用電極基板を、多孔質酸化物半導体層(酸化チタン層)の平面視上の大きさが1cm×1cmとなるように、かつ、ポリエチレンテレフタレートフィルムに予め形成されていたITO膜が部分的に多孔質酸化物半導体層(酸化チタン層)よりも平面視上突出するように、トリミングした(以下、トリミングしたものを「第1電極基板」という。)。そして、この第1電極基板と上述の第2電極基板とを厚さ20μmの熱融着フィルム(デュポン社製のサーリン(商品名))を用いて貼り合せ、第1電極基板と第2電極基板2との間隙に電解液を充填して電解質層を形成した。
このとき、上記の熱融着フィルムは、第1電極基板及び第2電極基板それぞれの内縁部にのみ融着するように、その形状を予め矩形枠状に成形して用いた。また、電解液としては、メトキシアセトニトリルを溶媒とし、この溶媒にヨウ化リチウムを0.1mol/l、ヨウ素を0.05mol/l、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.3mol/l、第三級ブチルピリジンを0.5mol/lの割合でそれぞれ溶解させたものを用いた。
この後、第1電極基板を構成しているITO膜(ポリエチレンテレフタレートフィルムに予め形成されていたもの)、及び第2電極基板を構成しているITO膜それぞれに引き出し電極を接続し、これらの引き出し電極を介して上記2つのITO膜を外部負荷に接続して、色素増感型太陽電池を得た。
<実施例14〜21(色素増感型太陽電池の作製)>
色素増感型太陽電池用電極基板として実施例2〜9で作製したものを用いた以外は実施例13と同じ条件の下に、使用している第1電極基板が異なる計8種類の色素増感型太陽電池を作製した。
<実施例22(パターニングされた多孔質酸化物半導体層を有する導電性基板の作製>
(1)転写材の作製;
上記実施例1(1)と同様の塗工液Aおよび塗工液Bを用い、青板ガラス上に塗工液Aをワイヤーバーにより1.5g/mで5cm×5cmの領域に塗工し乾燥させた。その後、塗膜Aが形成された5cm×5cmを5cm×1cmの小領域に5等分し、当該1cm×5cmの小領域に交互にテープ(50μ)でマスキングをした。このとき、マスキング箇所は2箇所とした。その後、当該マスキングおよび塗膜A上に、塗工液Bをガラス棒にて引き伸ばし、上記マスキングを除去することにより、塗膜A上に1cm×5cmにパターニングされた塗膜Bを形成した。次に、電気マッフル炉で空気雰囲気中550℃、30min焼成を行った後、塗膜B形成領域以外にメタルマスクを施しスプレー法にてITO膜を0.5μ形成した。
(2)導電性基板の作製
ITO膜が形成されているPETフィルムの大きさを10cm×10cmとし、有機−無機複合透明導電層の形成領域をを5cm×5cmとしたこと以外は、上記実施例1(2)と同様の方法により、導電性基板を作製することにより、1cm×5cmの領域に多孔質酸化物半導体層がパターニングされた導電性基板を得た。
<比較例1>
有機−無機複合透明導電層の形成、及び当該有機−無機複合透明導電層上へのITO膜の形成をそれぞれ省略した以外は実施例8と同じ条件の下に導電性基板を作製した。この導電性基板では、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に予め形成されたITO膜上に塗布法によって多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が直接形成されている。そして、この導電性基板を用いた以外は実施例1(3)と同じ条件の下に色素増感型太陽電池用電極基板を作製し、さらに、この色素増感型太陽電池用電極基板を用いた以外は実施例13と同じ条件の下に色素増感型太陽電池を作製した。
<比較例2〜3>
塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量は変えずに、当該塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量を比較例2では0wt%に、また、比較例3では1wt%にし、その他の条件は実施例1(1)と同じにして転写材を作製しようとしたところ、比較例2〜3のいずれにおいても焼成時に多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が青板ガラスから浮いてしまい、ITO膜の成膜工程に移れなかった。
<比較例4〜5>
塗工液Aを用いなかった以外は実施例1(1)又は実施例3と同じ条件の下に転写材を作製し、この転写材を用いた以外は実施例1(2)又は実施例3と同じ条件の下に転写法によって有機−無機複合透明導電層上にITO膜及び多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を形成しようとしたところ、転写材を構成している青板ガラスと多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)とが強固に接合していたために、ローラーラミネータによる熱圧着後に青板ガラスを剥離することができなかった。
<比較例6〜7>
塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量は変えずに、当該塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量を比較例6では1wt%に、また、比較例7では5wt%にし、その他の条件は実施例3と同じにして転写材を作製しようとしたところ、比較例6〜7のいずれにおいても焼成時に多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が青板ガラスから鱗片状に剥離してしまい、ITO膜の成膜工程に移れなかった。
<比較例8〜10>
塗工液Aにおけるアクリル樹脂の含有量は変えずに、当該塗工液Aにおける酸化チタン微粒子の含有量を比較例8では2.5wt%に、比較例9では3wt%に、そして比較例10では3.5wt%にし、その他の条件は実施例5と同じにして転写材を作製する途中、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の形成後に作業を中断し、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)について、実施例10でのテープ剥離試験と同じ条件の下にテープ剥離試験を行った。
その結果、比較例8〜10のいずれにおいても、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)がセロハンテープに付着した。セロハンテープに付着した多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)は、塗工液Bに由来する多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)と比べて、目視でも明確なほど薄いものであった。このことから、塗工液Bに由来する多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)中で、セロハンテープの剥離時に凝集破壊が生じたものと考えられる。このような多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を備えた転写材では、転写により略一定の膜厚の多孔質酸化物半導体層を形成することができないと判断される。
<比較例11>
有機−無機複合透明導電層形成用の塗工液における有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂の含有量を20wt%に保ったまま、当該塗工液におけるITO微粒子の含有量を55wt%とし、その他の条件は実施例1(2)と同じにして導電性基板を作製しようとしたところ、有機−無機複合透明導電層にヒートシール性が発現しなかったために、ITO膜及び多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を転写することができなかった。
[評価1]
実施例1〜9又は比較例1と同じ条件の下に、計10種類の導電性基板を作製し、これらの導電性基板(以下、「サンプル」と総称することがある。)について、JIS K5600−5−1に規定されている屈曲性試験(円筒形マンドレル法)を行って、曲げ変形に対する多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)の追従性を評価した。
具体的には、直径5mmのマンドレル(ステンレス製のタイプ1)を用い、多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が外側にくるようにサンプルを設置し、2秒間かけて180°折り曲げるという試験を100回繰り返した後に、サンプルでの多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)を目視観察して、剥離の有無を調べた。
その結果、実施例1〜9と同じ条件の下に作製したいずれの導電性基板においても剥離の発生は認められず、曲げ変形に対して高い追従性を有していることが確認された。これに対し、比較例1と同じ条件の下に作製した導電性基板では、試験を10回繰り返した時点で多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)に剥離が生じた。
[評価2]
実施例13〜21及び比較例1でそれぞれ作製した色素増感型太陽電池、及び、上記評価1での屈曲性試験を行った後の導電性基板を用いた以外は実施例13〜21と同じ条件の下に作製した色素増感型太陽電池について、電流電圧特性を測定した。電流電圧特性の測定は、擬似太陽光(AM1.5、照射強度100mW/cm2 )を光源として用い、当該擬似太陽光を第1電極基板側から照射すると共にソースメジャーユニット(ケースレー2400型)により電圧を印加しながら行った。なお、比較例1と同じ条件の下に作製した導電性基板は、上記評価1での屈曲性試験の際に多孔質酸化物半導体層(多孔質酸化チタン層)が剥離してしまったので、この導電性基板を用いての色素増感型太陽電池の作製は行わなかった。
上記電流電圧特性の測定結果を表1に示す。表1においては、実施例13で作製した色素増感型太陽電池の電流電圧特性を「実施例13 屈曲性試験なし」の欄に記載し、上記の屈曲性試験を行った後の導電性基板を用いた以外は実施例13と同じ条件の下に作製した色素増感型太陽電池の電流電圧特性を「実施例13 屈曲性試験あり」の欄に記載している。他の色素増感型太陽電池の電流電圧特性についても、同様のかたちで表記している。
Figure 2006159886
表1から明らかなように、実施例13〜21に基づく各色素増感型太陽電池は、導電性基板について上記の屈曲性試験を行うか否かに拘わらず、高い電流電圧特性を有している。
本発明の導電性基板の一例を概略的に示す断面図である。 本発明の導電性基板の他の例を概略的に示す断面図である。 本発明の導電性基板の他の例を概略的に示す断面図である。 本発明の導電性基板の他の例を概略的に示す断面図である。 本発明の半導体層成用転写材の一例を概略的に示す断面図である。 本発明の導電性基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の半導体層成用転写材の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の導電性基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の色素増感型太陽電池用電極基板の一例を概略的に示す断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の断面構造の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 透明樹脂フィルム
3 第1無機透明導電層
5 有機−無機複合透明導電層
7 第2無機透明導電層
9 多孔質酸化物半導体層
9A 第1多孔質酸化物半導体層
9B 第2多孔質酸化物半導体層
9a、9b 酸化物半導体微粒子
10、11、20、30 導電性基板
12、積層体
25 耐熱性基材
32 耐熱性基材
34 多孔質酸化物半導体層
34A 第1多孔質酸化物半導体層
34B 第2多孔質酸化物半導体層
36 無機透明導電層
40、13 半導体層形成用転写材
45 増感色素
50 色素増感型太陽電池用電極基板(第1電極基板)
70 第2電極基板
72 電解質層
80 色素増感型太陽電池

Claims (6)

  1. 透明樹脂フィルム上に、第1無機透明導電層、有機−無機複合透明導電層、第2無機透明導電層、及び多孔質酸化物半導体層がこの順番で積層されていることを特徴とする導電性基板。
  2. 前記多孔質酸化物半導体層がパターニングされていることを特徴とする、請求項1に記載の導電性基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の導電性基板と、該導電性基板の前記多孔質酸化物半導体層に担持された増感色素とを有することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極基板。
  4. 増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層を有する第1電極基板と、該第1電極基板に対向して配置された第2電極基板と、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、
    前記第1電極基板が請求項3に記載の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  5. 多数の酸化物半導体微粒子からなる多孔質酸化物半導体層と、無機透明導電層とがこの順番で耐熱性基材上に積層されている半導体層形成用転写材であって、
    前記無機透明導電層を他部材に固着させた状態で前記耐熱性基材を引き剥がしたときに、予め設定されている剥離界面で剥離が生じて、前記他部材上に前記無機透明導電層を介して多孔質酸化物半導体層を一様に形成することができることを特徴とする半導体層形成用転写材。
  6. 前記多孔質酸化物半導体層と、前記無機透明導電層とがパターニングされていることを特徴とする、請求項5に記載の半導体層形成用転写材。
JP2005105407A 2004-11-10 2005-03-31 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池 Pending JP2006159886A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005105407A JP2006159886A (ja) 2004-11-10 2005-03-31 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004326861 2004-11-10
JP2005105407A JP2006159886A (ja) 2004-11-10 2005-03-31 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006159886A true JP2006159886A (ja) 2006-06-22

Family

ID=36662392

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005105407A Pending JP2006159886A (ja) 2004-11-10 2005-03-31 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006159886A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008091084A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Dainippon Printing Co Ltd 酸化物半導体電極用積層体、酸化物半導体電極、及びこれを用いた色素増感型太陽電池セル
JP2009090441A (ja) * 2007-10-12 2009-04-30 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 炭化珪素の研磨剤、及びそれを用いた炭化珪素の研磨方法
KR101104687B1 (ko) * 2009-10-07 2012-01-16 한국과학기술원 다층 코어셀 입자막을 갖는 태양 전지의 제조 방법
JP2012129203A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Korea Electronics Telecommun 染料感応太陽電池及びこれを製造する方法
JP5170688B2 (ja) * 2006-10-13 2013-03-27 独立行政法人産業技術総合研究所 積層体、及びそれを用いた研磨材及び研削材、並びにその積層体の形成方法
JP2015065366A (ja) * 2013-09-26 2015-04-09 デクセリアルズ株式会社 導電性接着剤、太陽電池モジュール及びその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008091084A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Dainippon Printing Co Ltd 酸化物半導体電極用積層体、酸化物半導体電極、及びこれを用いた色素増感型太陽電池セル
JP5170688B2 (ja) * 2006-10-13 2013-03-27 独立行政法人産業技術総合研究所 積層体、及びそれを用いた研磨材及び研削材、並びにその積層体の形成方法
JP2009090441A (ja) * 2007-10-12 2009-04-30 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 炭化珪素の研磨剤、及びそれを用いた炭化珪素の研磨方法
KR101104687B1 (ko) * 2009-10-07 2012-01-16 한국과학기술원 다층 코어셀 입자막을 갖는 태양 전지의 제조 방법
JP2012129203A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Korea Electronics Telecommun 染料感応太陽電池及びこれを製造する方法
JP2015065366A (ja) * 2013-09-26 2015-04-09 デクセリアルズ株式会社 導電性接着剤、太陽電池モジュール及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5140588B2 (ja) 色素増感型太陽電池モジュールおよびその製造方法
JP4446011B2 (ja) 色素増感型太陽電池用光電極の製造方法および色素増感型太陽電池用光電極、並びに色素増感型太陽電池
US20050183769A1 (en) Method of producing substrate for dye-sensitized solar cell and dye-sensitized solar cell
WO2008004553A1 (en) Dye-sensitized solar cell module and method for fabricating same
JP4914660B2 (ja) 色素増感太陽電池モジュールおよびその製造方法
EP2451005A1 (en) Wet type solar battery module
JP4848666B2 (ja) 酸化物半導体電極用転写材、色素増感型太陽電池用基材、色素増感型太陽電池、及びそれらの製造方法
JP2006159886A (ja) 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池
NL2001815C2 (en) Reversed dye-sensitized photovoltaic cell.
JP2008251518A (ja) 色素増感型太陽電池用光電極の製造方法および色素増感型太陽電池用光電極、並びに色素増感型太陽電池
TWI433376B (zh) 染料敏化太陽能電池模組及其製造方法
JP5084170B2 (ja) 色素増感太陽電池用透明電極基板の製造方法
JP2008147037A (ja) 湿式太陽電池とその製造方法
JP5007518B2 (ja) 酸化物半導体電極の製造方法
JP2006139961A (ja) 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池
JP2011142024A (ja) 酸化物半導体電極基板の製造方法および色素増感型太陽電池
JP2012094321A (ja) 色素増感太陽電池のアノード極の製造方法
JP2010198821A (ja) 光電変換素子
JP2022049017A (ja) 積層体および有機系太陽電池の製造方法
JP5422960B2 (ja) 光電変換用酸化物半導体電極、その作製方法及びこれを備えた色素増感太陽電池
JP4852838B2 (ja) 色素増感型太陽電池用基材の製造方法および色素増感型太陽電池の製造方法
JP7264047B2 (ja) 積層体および有機系太陽電池の製造方法
WO2012033049A1 (ja) 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール
JP2007220602A (ja) 対極及びその製造方法並びに光電変換素子及びその製造方法
JP5376837B2 (ja) 光電変換素子の製造方法