以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である遊技機の概略正面図、図2はその遊技機の概略ブロック図である。ここでは、遊技機が、いわゆるパチスロ機といわれる回胴式遊技機である場合について説明する。
本実施形態の回胴式遊技機は、図1及び図2に示すように、第一回胴リール11a,第二回胴リール11b,第三回胴リール11cと、表示窓12と、メダル投入口13と、クレジット数表示部14と、MAXベットボタン15と、一枚投入ボタン16と、ベット枚数表示部17と、スタートレバー18と、第一停止ボタン19a,第二停止ボタン19b,第三停止ボタン19cと、清算ボタン21と、払出数表示部22と、メダル放出口23と、メダル受皿24と、画像表示部30と、電飾表示部40と、スピーカ部50と、投入メダル検出センサ61と、MAXベットボタン操作検出センサ62と、一枚投入ボタン操作検出センサ63と、スタートレバー操作検出センサ64と、第一停止ボタン操作検出センサ65a,第二停止ボタン操作検出センサ65b,第三停止ボタン操作検出センサ65cと、第一回胴リール駆動手段66a,第二回胴リール駆動手段66b,第三回胴リール駆動手段66cと、主制御基板70と、演出制御基板80とを備える。ここで、回胴リール11a,11b,11cが本発明の図柄表示手段に該当し、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50が本発明の遊技演出手段に該当する。
図1に示すように、回胴式遊技機の中央部のやや上側には、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cが配設されている。各回胴リール11a,11b,11cは、複数の図柄を一列に配した図柄列を有しており、回転可能に構成されている。第一回胴リール11aは第一回胴リール駆動手段66aにより駆動され、第二回胴リール11bは第二回胴リール駆動手段66bにより駆動され、そして、第三回胴リール11cは第三回胴リール駆動手段66cにより駆動される。ここで、各回胴リール駆動手段66a,66b,66cとしては、例えばステッピングモータが用いられる。これら回胴リール駆動手段66a,66b,66cの制御は、主制御基板70により行われる。
各回胴リール11a,11b,11cに配される図柄には、例えば、赤色の数字「7」(セブン)図柄、青色の数字「7」(セブン)図柄、BAR図柄、リプレイ図柄、スイカ図柄、ベル図柄、チェリー図柄等がある。各回胴リール11a,11b,11cの外周には、これらの図柄が合計21個配されている。また、回胴リール11a,11b,11c毎に各図柄の数及び図柄の配置順序は異なっている。
表示窓12は回胴リール11a,11b,11cに対応する位置に設けられた透明な窓部である。遊技者は、図1に示すように、第一回胴リール11a,第二回胴リール11b,第三回胴リール11cの停止時において表示窓12からそれぞれの回胴リール11a,11b,11cに付された三つの図柄を目視することができる。
メダル投入口13は、遊技者がメダル(遊技媒体)を投入するための投入口である。投入メダル検出センサ61はメダル投入口13の内部に設けられており、メダルがメダル投入口13に投入されたことを検出するものである。投入メダル検出センサ61からの検出信号は主制御基板70に送られる。
表示窓12のすぐ下側には、クレジット数表示部14が設けられている。クレジット数表示部14は、メダルのクレジット数(貯留数)を所定の範囲内(例えば50枚以内)で表示するものである。メダル投入口13からメダルを投入すると、主制御基板70は、投入メダル検出センサ61からの信号に基づいて、現在のクレジット数からその投入したメダルの数だけ増加させた数を計数して貯留し、クレジット数表示部14に表示させる。また、主制御基板70は、ゲームにおいて所定の役が成立すると、その役に対応して払い出されるメダルの払出枚数を現在のクレジット数に加算し、その加算した数をクレジット数表示部14に表示させる。
MAXベットボタン15及び一枚投入ボタン16は、メダルを賭けてゲーム(遊技)を行う旨を指示するための遊技指示手段であり、表示窓12の左下側に設けられている。MAXベットボタン15は、メダルを三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンであり、また、一枚投入ボタン16は、メダルを一枚、二枚又は三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンである。具体的には、一枚投入ボタン16を一回押すことにより、メダルを一枚賭けてゲームを行うことが選択され、一枚投入ボタン16を二回押すことにより、メダルを二枚賭けてゲームを行うことが選択され、そして、一枚投入ボタン16を三回押すことにより、メダルを三枚賭けてゲームを行うことが選択される。すなわち、一枚投入ボタン16を三回押すことは、MAXベットボタン15を一回押すことと同じである。MAXベットボタン操作検出センサ62はMAXベットボタン15が押されたことを検出するものであり、一枚投入ボタン操作検出センサ63は一枚投入ボタン16が押されたことを検出するものである。各センサ62,63からの検出信号は、主制御基板70に送られる。これにより、主制御基板70は、メダルを何枚賭けてゲームを行うのかを認識することができる。
表示窓12のすぐ左下側には、ベット枚数表示部17が設けられている。かかるベット枚数表示部17は、当該ゲームにおいて賭けられたメダルの枚数を表示するものである。具体的には、一枚投入ボタン16が一回押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「壱」の部分に対応するランプを点灯させる。一枚投入ボタン16が二回押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「弐」の部分に対応するランプを点灯させる。そして、一枚投入ボタン16が三回押され、又はMAXベットボタン15が押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「参」の部分に対応するランプを点灯させる。
本実施形態では、三つの回胴リール11a,11b,11cを停止させて所定の図柄を揃えるための入賞ラインが六つ設定されている。すなわち、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びる三つのラインと、表示窓12の左上から右下に向かって延びるラインと、表示窓12の左下から右上に向かって延びるラインと、表示窓12の左部の真ん中から中央部の真ん中に向かって延び、その中央部の真ん中から右下に向かって延びるラインとである。メダルを何枚賭けるかに応じて、有効な入賞ラインが異なる。メダルを一枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の中央部を通り水平方向に延びる一つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。メダルを二枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びた三つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。そして、メダルを三枚賭けてゲームを行う場合には、六つの入賞ラインすべてが有効な入賞ラインとなる。三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、六つの入賞ラインのうち有効な入賞ライン上に所定の図柄が揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、所定数のメダルが払い出される。
スタートレバー(スタート手段)18は、ゲームを開始する旨を指示するために遊技者が操作するものである。メダル投入口13から一回のゲーム(遊技)に必要な数のメダルが投入されるか、又は、既に一回のゲームに必要な数のメダルがクレジットされている状態でMAXベットボタン15の操作、若しくは一枚投入ボタン16の必要回数の操作のうちいずれかの操作が行われることにより、スタートレバー18の操作が可能となる。ここで、一回のゲームは、スタートレバー18が操作されることにより開始し、三つの停止ボタン19a,19b,19cがすべて押されることにより終了する。スタートレバー操作検出センサ64は、スタートレバー18が操作されたことを検出するものである。スタートレバー操作検出センサ64は、スタートレバー18が操作されたことを検出すると、ゲーム開始信号を主制御基板70に送る。主制御基板70は、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62、一枚投入ボタン操作検出センサ63のいずれかから信号を受けているときに、スタートレバー操作検出センサ64からゲーム開始信号を受けると、前回のゲーム開始信号の受信時から所定時間(4.1秒)経過した後、ゲーム開始の処理を行う。具体的には、主制御基板70は、乱数値を取得し、その乱数値に基づいて役の抽選処理を行うと共に、三つの回胴リール11a,11b,11cの回転動作を開始する。
第一停止ボタン19aは第一回胴リール11aの回転動作の停止を指示するためのものであり、第二停止ボタン19bは第二回胴リール11bの回転動作の停止を指示するためのものであり、第三停止ボタン19cは第三回胴リール11cの回転動作の停止を指示するためのものである。これらの停止ボタン19a,19b,19cは本発明の停止手段に該当する。第一停止ボタン操作検出センサ65aは第一停止ボタン19aが押されたことを検出するものであり、第二停止ボタン操作検出センサ65bは第二停止ボタン19bが押されたことを検出するものであり、第三停止ボタン操作検出センサ65cは第三停止ボタン19cが押されたことを検出するものである。各停止ボタン操作検出センサ65a,65b,65cからの検出信号は、主制御基板70に送られる。主制御基板70は、停止ボタン操作検出センサ65a,65b,65cからの検出信号を受けると、当該停止ボタン操作検出センサに対応する回胴リールの回転動作を所定の制御方法により停止する。こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、それらの回胴リール11a,11b,11cに付されている図柄が有効な入賞ライン上において特定の組合せとなると、役が成立することになる。
役の種類には、大きく分けて、大当りである大役(ボーナス)と、小当りである小役とがある。大役には、例えば、赤色の数字「7」の図柄及び青色の数字「7」の図柄(BB図柄)のうちいずれかが有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるビッグボーナス(BB)と、「BAR」の図柄(RB図柄)が有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるレギュラーボーナス(RB)とがある。大役になると、回胴式遊技機は、多量のメダルを獲得可能な遊技者に有利な遊技状態に移行する。例えば、BBが成立した場合には、メダルが15枚払い出されるとともに、遊技者が最も多量のメダルを獲得可能なBBゲームに突入する。このBBゲームの内容は、一般ゲームを30回行うことができ、且つ、後述のRBゲームを3回行うことができるというものである。ここで、この一般ゲームにおける当選の確率はとても高く設定されている。また、RBが成立した場合には、メダルが15枚払い出されるとともに、BBゲームに次いで遊技者が多量のメダルを獲得可能なRBゲームに突入する。このRBゲームの内容は、いわゆるジャックゲームを複数回行うことができるというものである。そして、ジャックゲームにおいて8回入賞するか、ジャックゲームの回数が12回に達すると、RBゲームが終了する。
一方、小役には、例えば、スイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(スイカ小役)と、ベル図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(ベル小役)と、チェリー図柄が有効な入賞ライン上の左側の位置に停止した場合の役(チェリー小役)とがある。ここで、本実施形態では、チェリー小役を、さらに角チェリー小役と中チェリー小役とに区別している。角チェリー小役は、回胴リール11aに付されたチェリー図柄が表示窓12の上部又は下部の位置に停止した場合の役であり、一方、中チェリー小役は、回胴リール11aに付されたチェリー図柄が表示窓12の中央部の位置に停止した場合の役である。これらの小役が成立したときには、それぞれ所定枚数のメダルが払い出される。その他に、リプレイ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(リプレイ)がある。このリプレイが成立した場合には、回胴式遊技機は、再遊技の状態、すなわち、今回のゲームに賭けたメダルと同数のメダルが自動投入され、遊技者が新たにメダルを投入することなく、再度、ゲームを行うことが可能な状態となる。尚、本実施形態では、リプレイはメダルの払出しがないことから、リプレイを小役に含めていないが、次のゲームのための賭数設定すなわち新たなメダルの投入操作が不要なので、その遊技に使用したメダルが払い出されたと仮定して、リプレイを小役として取扱うことも可能である。また、役を構成する図柄が有効な入賞ライン上に揃わなかった場合には、外れとなる。
払出数表示部22は、成立した役に対応して払い出されるメダルの払出枚数を表示するものである。払出数表示部22の制御は主制御基板70により行われる。メダル放出口23からは、例えば、遊技者が清算ボタン21を押した場合にそのときのクレジット数に対応する数のメダルが放出される。メダル受皿24は、メダル放出口23から放出されるメダルを蓄積するための皿である。
画像表示部30は、表示窓12の上側に設けられている。本実施形態では、画像表示部30として液晶表示装置を用いている。かかる画像表示部30は、図1及び図2に示すように、液晶パネル31と、液晶パネル31を制御する液晶制御基板32とを有する。画像表示部30は、複数の文字、数字、図形やキャラクター等の画像を変動表示することにより、役の成立の予告、所定の情報の告知、その他の遊技の演出を行う。例えば、大当り確定を予告するプレミアム演出を行ったり、有効な入賞ライン上に揃えるべき図柄の種類を告知したりする。この画像表示部30の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。尚、本実施形態では、内部抽選によるBB又はRBの当選が確定したときにその旨を遊技者に告知するチャンス表示器は設けられていない。このような確定告知は画像表示部30により行われるからである。
電飾表示部40は、各種の遊技状態を報知したり、遊技の演出を行ったりするものである。この電飾表示部40の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。かかる電飾表示部40は、図1及び図2に示すように、三つのトップLEDユニット41a,41b,41cと、八つのパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hと、三つのバックライト(不図示)と、三つのトップLED基板44a,44b,44cと、八つのパネルLED基板45a,45b,・・・,45hと、三つのバックライト基板46a,46b,46cとを有する。
三つのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、前扉の内側上部の左側、中央、右側に設けられている。これらのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、トップLED基板44a,44b,44cに搭載されており、各トップLED基板44a,44b,44cは当該トップLEDユニットの点灯を制御する。
前扉の内側であって表示窓12の左側には、パネルLEDユニット42a,42b,42c,42d,42eがこの順番で上から下に向かう方向に沿って設けられている。また、前扉の内側であって表示窓12の右側には、パネルLEDユニット42f,42g,42hがこの順番で上から下へ向かう方向に沿って設けられている。8個のパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hはそれぞれ、パネルLED基板45a,45b,・・・,45hに搭載されており、各パネルLED基板45a,45b,・・・,45hは当該パネルLEDユニットの点灯を制御する。
三つのバックライトはそれぞれ、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cの内部に設けられている。これらのバックライトはそれぞれ、バックライト基板46a,46b,46cに搭載されており、各バックライト基板46a,46b,46cは当該バックライトの点灯を制御する。
スピーカ部50は、音により遊技の演出を行うものである。スピーカ部50の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。かかるスピーカ部50は、図1及び図2に示すように、第一ドアスピーカ51と、第二ドアスピーカ52と、背面スピーカ53とを有する。第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52はそれぞれ、前扉の内側上部の左側、右側に設けられている。すなわち、図1において、前扉上部に点線で描いた円の部分が第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52である。ここで、前扉の上部においては、トップLEDユニット41a,41b,41cが設けられた部分と画像表示部31が設けられた部分との間に隙間があり、第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52からの音はこの隙間を通して出てくる。また、背面スピーカ53は回胴式遊技機の背面側に設けられている。
主制御基板70及び演出制御基板80は、回胴式遊技機の内部に取り付けられている。ここで、主制御基板70と演出制御基板80とは別の基板上に形成されている。そして、演出制御基板80は、主制御基板70と通信ケーブル線を介して接続されている。
主制御基板70は、主に遊技内容やメダルの払出しの制御及び管理を行う。かかる主制御基板70には、複数の集積回路素子が実装されている。具体的に、主制御基板70は、図2に示すように、乱数発生手段71と、ROM72と、RAM73と、CPU(遊技制御手段)74とを備えている。ROM72には、遊技内容の制御等に関する各種のプログラムが格納されている。また、RAM73は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。CPU74は、ROM72に格納されたプログラムを実行することにより、遊技状態の管理、乱数値に基づく内部抽選処理、回胴リール11a,11b,11cの駆動・停止処理、演出制御基板80へのコマンドの送信処理等を行う。
まず、遊技状態の管理について詳しく説明する。図3は各遊技状態の遷移を説明するための図である。本実施形態の回胴式遊技機では、八つの遊技状態が設定されている。すなわち、「BB未作動時の一般遊技状態」と、「RTA遊技状態」と、「RTB遊技状態」と、「BB内部中状態」と、「RB内部中状態」と、「BB作動時の一般遊技状態」と、「BB作動時のRB内部中状態」と、「RB作動中状態」とである。ここで、図3では、「BB作動時の一般遊技状態」、「BB作動時のRB内部中状態」及び「RB作動中状態」をまとめて「ボーナス遊技状態」として示している。また、以下では、「RTA遊技状態」及び「RTB遊技状態」をまとめて「RT遊技状態」とも称することにする。
BB未作動時の一般遊技状態とは、通常の遊技状態のことである。回胴式遊技機がBB未作動時の一般遊技状態にある場合に、乱数値に基づく内部抽選によりBB又はRBに当選すると、図3に示すように、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態からRTA遊技状態に移行する。但し、後述するCPU74のリール制御により、BB未作動時の一般遊技状態のときに、BB図柄又はRB図柄が有効な入賞ライン上に揃うことはない。そのBBフラグやRBフラグはストックとしてRAM73に記憶される。
RT遊技状態(特別遊技状態)は、乱数値に基づく内部抽選処理においてリプレイに当選する確率が高く設定された遊技状態である。かかるRT遊技状態は、リプレイ図柄を有効な入賞ライン上に揃えるというRTゲーム(特別遊技)を所定回数消化するまで継続する。RTA遊技状態ではRTゲームの回数が多く設定され、RTB遊技状態ではRTゲームの回数が少なく設定されている。その他の点については、RTA遊技状態とRTB遊技状態とは全く同じである。具体的に、RTA遊技状態におけるRTゲームの回数の初期値は例えば1200回である。一方、RTB遊技状態におけるRTゲームの回数の初期値は、抽選により1回から10回までの範囲で決定される。
後述するCPU74のリール制御により、RT遊技状態のときに、内部抽選によりBB又はRBに当選しても、BB図柄又はRB図柄が有効な入賞ライン上に揃うことはない。但し、内部抽選によりBB又はRBに当選した回数はそれぞれ、BBストック数、RBストック数としてカウントされ、RAM73に記憶される。後に、RT遊技状態が解除された場合に、遊技状態は、BB内部中状態又はRB内部中状態に移行し、遊技者がBB図柄又はRB図柄を有効な入賞ライン上に揃えることができる状態となる。このように、RT遊技状態を設けたことにより、RT遊技状態が解除されると、ストックされていたBB、RBが抽選により放出されて、遊技者はメダルを大量に獲得することが可能となる。
回胴式遊技機がRTA遊技状態にある場合、内部抽選により中チェリー小役、角チェリー小役又はスイカ小役に当選し、且つ、RTゲームの残りゲーム数が10回以上であると、RTA遊技状態の解除抽選が行われる。具体的に、この解除抽選の処理においては、中チェリー小役に当選した場合には25%の確率で、角チェリー小役に当選した場合には5%の確率で、スイカ小役に当選した場合には5%の確率で、RTA遊技状態の解除が決定される。解除抽選によりRTA遊技状態の解除が決定されると、図3に示すように、遊技状態がRTA遊技状態からRTB遊技状態に移行する。このとき、RTB遊技状態におけるRTゲームの回数は、抽選により1回から10回までの範囲で決定される。このように、本実施形態では、中チェリー小役、角チェリー小役又はスイカ小役の当選を契機として、RTA遊技状態の解除が行われる。
回胴式遊技機がRTA遊技状態又はRTB遊技状態にある場合、予め設定されたRTゲームの回数が消化されると、図3に示すように、遊技状態が、RTA遊技状態又はRTB遊技状態からBB内部中状態又はRB内部中状態に移行する。また、内部抽選処理により後述する図4に示す不当選エリアに当選したとき、又は、リプレイ図柄が4回連続して揃ったときにも、遊技状態が、RTA遊技状態又はRTB遊技状態からBB内部中状態又はRB内部中状態に移行する。
尚、本実施形態では、RT遊技状態が、乱数値に基づく内部抽選処理において単にリプレイに当選する確率が高く設定された遊技状態である場合について説明しているが、例えば、RT遊技状態を次のように設定することも可能である。すなわち、RT遊技状態を、内部抽選処理においてリプレイに当選する確率が高く設定されているだけでなく、リプレイに高確率で当選してもリプレイ図柄が有効な入賞ライン上に揃わないデータが混ぜ合わされた遊技状態として設定してもよい。したがって、かかるRT遊技状態では、リプレイに高確率で当選しても実際にリプレイ図柄が有効な入賞ライン上に揃う確率を一般遊技中のリプレイ当選確率とほぼ同じに設定しておくことにより、RT遊技状態を一般遊技状態と表面上区別できないようにすることができる。つまり、リプレイに内部当選しても実際に入賞することは少なく、一般遊技とほぼ同じ割合でしか入賞しないので、遊技者は一般遊技状態とRT遊技状態との判別ができない。
BB内部中状態は、遊技者自身の停止ボタン19a,19b,19cの操作によりBB図柄を有効な入賞ライン上に揃える機会が与えられた遊技状態である。回胴式遊技機がBB内部中状態にある場合、BB図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、図3に示すように、遊技状態はBB内部中状態からBB作動時の一般遊技状態(ボーナス遊技状態)に移行する。また、RB内部中状態は、遊技者自身の停止ボタン19a,19b,19cの操作によりRB図柄を有効な入賞ライン上に揃える機会が与えられた遊技状態である。回胴式遊技機がRB内部中状態にある場合、RB図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、図3に示すように、遊技状態はRB内部中状態からRB作動中状態(ボーナス遊技状態)に移行する。
BB作動時の一般遊技状態は、遊技者が最も多量のメダルを獲得可能なBBゲームを実行する遊技状態である。回胴式遊技機がBB作動時の一般遊技状態にある場合、内部抽選により後述するRBシフトに当選し、遊技者がRB移行図柄(JACKIN図柄又はRB図柄)を有効な入賞ライン上に揃えることにより、遊技状態はRB作動中状態に移行する。遊技者がRB移行図柄を有効な入賞ライン上に揃えられないと、遊技状態はBB作動時の一般遊技状態からBB作動時のRB内部中状態に移行する。BB作動時のRB内部中状態は、遊技者自身の停止ボタン19a,19b,19cの操作によりRB移行図柄を有効な入賞ライン上に揃える機会が与えられた遊技状態である。そして、回胴式遊技機がBB作動時のRB内部中状態にある場合、RB移行図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、遊技状態はBB作動時のRB内部中状態からRB作動中状態に移行する。また、RB作動中状態は、BBゲームに次いで遊技者が多量のメダルを獲得可能なRBゲームを実行する遊技状態である。
回胴式遊技機がBB作動時の一般遊技状態にある場合、BBゲームが消化された時点において、BBストック数又はRBストック数が「1」以上であれば、遊技状態はBB作動時の一般遊技状態からRTA遊技状態に移行し、一方、BBストック数及びRBストック数がともに「0」であれば、BB未作動時の一般遊技状態に移行する。同様に、回胴式遊技機がRB作動中状態にある場合、RBゲームが消化された時点において、BBストック数又はRBストック数が「1」以上であれば、遊技状態はBB作動中状態からRTA遊技状態に移行し、一方、BBストック数及びRBストック数がともに「0」であれば、BB未作動時の一般遊技状態に移行する。
次に、乱数値に基づく内部抽選処理について詳しく説明する。乱数発生手段71は、所定範囲の数値を順次発生すると共に、所定のタイミングで当該数値を乱数値として取得し、その取得した乱数値をCPU74に送出するものである。本実施形態では、乱数発生手段71として、2バイトのハードウェア乱数カウンタを用いることにしている。このため、乱数発生手段71の発生する数値の範囲は、0から65535までの範囲である。したがって、取得される乱数値もこの範囲内の数である。また、乱数発生手段71は、スタートレバー操作検出センサ64からのゲーム開始信号を受けたときに、乱数値を取得する。CPU74は、その乱数値に基づいて内部抽選処理を行う。
ROM72には、各種のプログラムの他に、取得された乱数値と当選内容(BB、RB、各種小役、リプレイ、不当選)との対応関係を示すデータが、後に詳述する図4に示すように遊技状態毎に格納されている。すなわち、本実施形態では、0から65535までの合計65536個の全数値データを、所定数の当選エリアに振り分けている。ここで、当選エリアの最大数は、当選内容の種類に対応して、図4に示すように「0」から「7」までの8個である。そして、遊技状態毎に、各当選エリアに所定の当選内容を対応させている。このような、65536個の全数値データを所定数の当選エリアに振り分け、各当選エリアに当選内容を対応させたデータは、内部抽選処理の際に用いられる抽選データを構成し、かかる抽選データがROM72に記憶されているのである。CPU74は、乱数発生手段71によって取得された乱数値を、ROM72に記憶されている抽選データと照合することにより、内部抽選を行う。例えば、回胴式遊技機がBB未作動時の一般遊技状態にあり、乱数発生手段71によって乱数値Aが取得された場合、CPU74は、図4に示すような抽選データを用いて、その乱数値Aが当選エリア「0」,「1」,・・・,「7」のいずれに振り分けられているのかを照合する。そして、乱数値Aが当選エリア「3」に振り分けられていれば、内部抽選の結果はベル小役の当選ということになる。尚、当選エリアの個数、各当選エリアに振り分けられる数値データの個数は、一般には、遊技状態毎に異なる。
図4は各遊技状態について当選エリアと当選内容との対応関係を示すデータの一例を示す図である。このデータは、ROM72に記憶された抽選データの一部を構成する。この例では、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態、RTA遊技状態、RTB遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態である場合には、65536個の全数値データの範囲を「0」から「7」までの8つの当選エリアに区分している。遊技状態がBB作動時の一般遊技状態である場合には、全数値データの範囲を「0」から「3」までの4つの当選エリアに区分し、遊技状態がBB作動時のRB内部中状態である場合には、全数値データの範囲を「0」から「2」までの3つの当選エリアに区分している。そして、遊技状態がRB作動中状態である場合には、全数値データの範囲を「0」及び「1」の2つの当選エリアに区分している。
また、各遊技状態について、それぞれの当選エリアには次のような当選内容を割り当てている。すなわち、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「不当選」を、当選エリア「1」に対しては「中チェリー小役」を、当選エリア「2」に対しては「角チェリー小役」を、当選エリア「3」に対しては「ベル小役」を、当選エリア「4」に対しては「スイカ小役」を、当選エリア「5」に対しては「リプレイ」を、当選エリア「6」に対しては「RB」を、当選エリア「7」に対しては「BB」をそれぞれ、割り当てている。遊技状態がRTA遊技状態又はRTB遊技状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「BB」又は「RB」を、当選エリア「1」に対しては「中チェリー小役」を、当選エリア「2」に対しては「角チェリー小役」を、当選エリア「3」に対しては「ベル小役」を、当選エリア「4」に対しては「スイカ小役」を、当選エリア「5」に対しては「リプレイ」を、当選エリア「6」に対しては「RB」を、当選エリア「7」に対しては「BB」をそれぞれ、割り当てている。
遊技状態がRB内部中状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「RB」を、当選エリア「1」に対しては「中チェリー小役」及び「RB」を、当選エリア「2」に対しては「角チェリー小役」及び「RB」を、当選エリア「3」に対しては「ベル小役」及び「RB」を、当選エリア「4」に対しては「スイカ小役」及び「RB」を、当選エリア「5」に対しては「リプレイ」及び「RB」を、当選エリア「6」に対しては「RB」を、当選エリア「7」に対しては「BB」及び「RB」をそれぞれ、割り当てている。遊技状態がBB内部中状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「BB」を、当選エリア「1」に対しては「中チェリー小役」及び「BB」を、当選エリア「2」に対しては「角チェリー小役」及び「BB」を、当選エリア「3」に対しては「ベル小役」及び「BB」を、当選エリア「4」に対しては「スイカ小役」及び「BB」を、当選エリア「5」に対しては「リプレイ」及び「BB」を、当選エリア「6」に対しては「RB」及び「BB」を、当選エリア「7」に対しては「BB」をそれぞれ、割り当てている。
遊技状態がBB作動時の一般遊技状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「不当選」を、当選エリア「1」に対しては「小役グループ」を、当選エリア「2」に対しては「スイカ小役」を、当選エリア「3」に対しては「RBシフト」をそれぞれ、割り当てている。遊技状態がBB作動時のRB内部中状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「RBシフト」を、当選エリア「1」に対しては「小役グループ」及び「RBシフト」を、当選エリア「2」に対しては「スイカ小役」及び「RBシフト」をそれぞれ、割り当てている。ここで、「小役グループ」当選とは、小役を構成する図柄のうち所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃うと、所定枚数のメダルが払い出されるというものである。また、「RBシフト」当選とは、RB移行図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、遊技状態が当該BB作動時の一般遊技状態又はBB作動時のRB内部中状態からRB作動中状態に移行するというものである。この「RBシフト」当選は、「BB」当選又は「RB」当選と同様に、遊技者自身の停止ボタン19a,19b,19cの押下操作により、RB移行図柄が有効な入賞ライン上に揃えられるまで、「RBシフト」当選という内部状態が次のゲームに持ち越される。したがって、遊技者がRB移行図柄を有効な入賞ライン上に揃えることができないと、遊技状態がBB作動時の一般遊技状態にあったときには、BB作動時のRB内部中状態に移行し、遊技状態がBB作動時のRB内部中状態にあったときには、そのままBB作動時のRB内部中状態が維持される。また、遊技状態がRB作動中状態である場合には、当選エリア「0」に対しては「不当選」を、当選エリア「1」に対しては「役物」をそれぞれ、割り当てている。ここで、「役物」当選とは、所定の図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、所定枚数のメダルが払い出されるというものである。
また、各遊技状態について当選エリアと65536個の数値データの範囲との対応関係を示すデータが設定されている。このデータも、ROM72に記憶された抽選データの一部を構成する。例えば、BB未作動時の一般遊技状態についての当選エリアと数値データの範囲との対応関係を示すデータでは、当選エリア「0」に対応する数値データの範囲は、65536分の47699の確率で「不当選」に当選するような範囲に設定されている。当選エリア「1」に対応する数値データの範囲は、65536分の300の確率で「中チェリー小役」に当選するような範囲に設定され、当選エリア「2」に対応する数値データの範囲は、65536分の537の確率で「角チェリー小役」に当選するような範囲に設定され、当選エリア「3」に対応する数値データの範囲は、65536分の6810の確率で「ベル小役」に当選するような範囲に設定され、当選エリア「4」に対応する数値データの範囲は、65536分の660の確率で「スイカ小役」に当選するような範囲に設定されている。そして、当選エリア「5」に対応する数値データの範囲は、65536分の8980の確率で「リプレイ」に当選するような範囲に設定され、当選エリア「6」に対応する数値データの範囲は、65536分の220の確率で「RB」に当選するような範囲に設定され、当選エリア「7」に対応する数値データの範囲は、65536分の330の確率で「BB」に当選するような範囲に設定されている。
このように、BB未作動時の一般遊技状態についての当選エリアと数値データの範囲との対応関係を示すデータにおいては、当選エリア「5」に対応する数値データの範囲は、約7.3回に1回だけリプレイに当選するような確率に設定されている。これに対し、RT遊技状態についての当選エリアと数値データの範囲との対応関係を示すデータにおいては、当選エリア「5」に対応する数値データの範囲は、約1.2回に1回、リプレイに当選するような確率に設定されている。このように、RT遊技状態では、リプレイに当選する確率はとても高くなっている。また、RT遊技状態において、リプレイ以外の他の役に当選する確率は、BB未作動時の一般遊技状態において当該役に当選する確率とほぼ同じに設定されている。尚、他の遊技状態についての当選エリアと数値データの範囲との対応関係を示すデータでも、同様に、各当選エリアに対応する数値データの範囲が所定の範囲に設定されている。ここでは、これらのデータの内容についての詳しい説明を省略する。
CPU74は、乱数発生手段71から送られた乱数値に基づいて内部抽選処理を行う。すなわち、CPU74は、乱数発生手段71から送られた乱数値を抽選データと照合することにより、内部抽選を行う。具体的には、CPU74は、まず、当該遊技状態についての当選エリアと数値データの範囲との対応関係を示すデータに基づいて、今回の乱数値が振り分けられる当選エリアを認識する。次に、CPU74は、当該遊技状態についての当選エリアと当選内容との対応関係を示すデータに基づいて、その認識した当選エリアに対応する当選内容を認識する。そして、CPU74は、その当選内容から、今回の内部抽選の結果がいずれの役の当選であるか、役の不当選であるかを決定する。
次に、回胴リール11a,11b,11cの駆動・停止処理について詳しく説明する。CPU74は、回胴リール11a,11b,11cを駆動及び停止させるリール制御を行う。このCPU74のリール制御には、リールの駆動開始制御、リールの駆動停止制御の他、例えば、役に当選した場合に行われるリール引込み制御、役に当選しなかった場合に行われる外れ制御等がある。
リール引込み制御とは、停止ボタンが押されたときに、その押されたタイミングで有効な入賞ライン上にある図柄を含めて当該図柄から所定のコマ数(例えば、5コマ)の範囲内に当該役を構成する図柄が存在するときに、その図柄を当該有効な入賞ライン上に引き込むように回胴リールの停止位置を制御することをいう。但し、遊技者が停止ボタンを押したタイミングにおいて上記の所定のコマ数の範囲内に当該役を構成する図柄が存在しないときには、リールの引込み制御が働かず、押したなりの図柄が有効な入賞ライン上に停止する。したがって、このときには、当該役を構成する図柄は有効な入賞ライン上に揃わず、当該役は成立しないことになる。
外れ制御とは、有効な入賞ラインにはいずれの役も成立しないように、リールの停止位置を制御することをいう。したがって、この場合には、遊技者が特定の役を狙って停止ボタンを押したとしても、どのような役も成立せず、ゲームの結果は外れとなる。また、遊技機がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態のいずれかにあり、内部抽選の結果がBB又はRBの当選である場合にも、CPU74は外れ制御を行う。したがって、この場合に、BB図柄又はRB図柄が有効な入賞ライン上に揃うことはない。
尚、回胴式遊技機に関しては、さまざまな規格が定められている。その一つに、スタートレバー18を操作してから4.1秒を経過しないと、次にスタートレバー18を操作しても、回胴リール11a,11b,11cが回転しないという規格がある。このため、CPU74は、かかる規格に合致するように、回胴リール11a,11b,11cの駆動開始制御を行う。但し、スタートレバー18を操作してから4.1秒以内に、次にスタートレバー18を操作した場合であっても、CPU74が、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62、一枚投入ボタン操作検出センサ63のいずれかから信号をすでに受けていれば、乱数値に基づく内部抽選処理は行われる。
次に、演出制御基板80へのコマンドの送信処理について詳しく説明する。主制御基板70から演出制御基板80に送信するコマンドには多くの種類がある。例えば、内部抽選の結果に基づいて作成される遊技の演出に関するコマンド(演出コマンド)や、遊技者によって所定の操作が行われたときに作成されるコマンド(操作コマンド)、RT残りゲーム数コマンド、ストック数コマンド等がある。
CPU74は、遊技者によって所定の操作が行われたときに、当該操作が行われた旨の操作コマンドを作成し、その作成した操作コマンドを演出制御基板80に出力する。具体的には、スタートレバー18の押下時、第一停止ボタン19aの押下時、第二停止ボタン19bの押下時、第三停止ボタン19cの押下時、そして、メダルの投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の押下時に、操作コマンドが作成される。すなわち、スタートレバー18の押下時には、スタートレバー18が押下された旨の操作コマンドが作成される。第一停止ボタン19aの押下時には、第一停止ボタン19aが押下された旨の操作コマンドが作成され、第二停止ボタン19bの押下時には、第二停止ボタン19bが押下された旨の操作コマンドが作成され、そして、第三停止ボタン19cの押下時には、第三停止ボタン19cが押下された旨の操作コマンドが作成される。また、メダルの投入時には、メダル投入口13からメダルが所定個数投入された旨の操作コマンドが作成され、MAXベットボタン15の押下時には、MAXベットボタン15が一回押下された旨の操作コマンドが作成され、そして、一枚投入ボタン16の押下時には、一枚投入ボタン16が所定回数押下された旨の操作コマンドが作成される。しかし、実際に、CPU74は、メダルの投入時、MAXベットボタン15の押下時、一枚投入ボタン16の押下時にあっては、いずれも全く同じ内容の操作コマンドを作成することにしている。
また、CPU74は、スタートレバー18が押下されたときに、上述の内部抽選を行うと共に、その内部抽選の結果に基づいて演出コマンド(演出用指令信号)を生成し、その生成した演出コマンドを演出制御基板80に出力する。この演出コマンドの内容は内部抽選の結果等を示すものであるが、演出制御基板80はかかる演出コマンドに基づいて遊技の演出内容を決定することになる。
本実施形態では、CPU74は、ボーナス遊技状態以外のすべての遊技状態において、内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを生成する際に、所定の確率で当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する。具体的には、CPU74は、回胴式遊技機がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態のいずれかにあって、内部抽選の結果が所定の当選エリアの当選である場合、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成するか否かについて上記の確率での抽選を行う。そして、当該抽選に当選したときに、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成し、当該抽選に当選しなかったときに、内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを生成する。一方、CPU74は、内部抽選の結果が上記の所定の当選エリア以外の当選である場合、内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを生成する。本実施形態では、上記の確率は限りなくゼロに近い値に設定されているが、その確率がゼロではないので、例えば画像表示部30において大当り確定とされるプレミアム演出が行われたとしても、実際には、大当りではないということが起こり得る。
図5はCPU74が生成する遊技の演出に関するコマンドを説明するための図である。ここで、図5には、回胴式遊技機がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態にある場合に生成される演出コマンドのみを示しており、その他の遊技状態にある場合に生成される演出コマンドについては省略している。
図5の例に示すように、遊技状態の如何にかかわらず、乱数の内部抽選の結果が当選エリア「1」〜「5」の当選、すなわち小役・リプレイの当選である場合には、当該小役・リプレイの当選に対応する演出コマンド「13」〜「17」が選ばれる。具体的には、スイカ小役の当選に対しては演出コマンド「13」が、ベル小役の当選に対しては演出コマンド「14」が、角チェリー小役の当選に対しては演出コマンド「15」が、中チェリー小役の当選に対しては演出コマンド「16」が、リプレイの当選に対しては演出コマンド「17」が選ばれる。すなわち、この場合、CPU74は、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成することはない。
これに対し、乱数の内部抽選の結果が当選エリア「0」、「6」、「7」の当選である場合には、遊技状態に応じた所定の演出コマンドが選ばれる。具体的に、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態であるとき、当選エリア「0」の当選に対しては、通常、BB未作動時の一般遊技状態における不当選を表す演出コマンド「1」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「2」〜「12」のいずれかが選ばれることがある。当選エリア「6」の当選に対しては、通常、BB未作動時の一般遊技状態におけるRB当選を表す演出コマンド「2」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。そして、当選エリア「7」の当選に対しては、通常、BB未作動時の一般遊技状態におけるBB当選を表す演出コマンド「3」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。すなわち、内部抽選の結果が不当選であるが、大役に当選した旨の演出コマンドが生成されることがあり、逆に、内部抽選の結果が大役の当選であるが、不当選である旨の演出コマンドが生成されることがある。
また、遊技状態がRT遊技状態であるとき、当選エリア「0」の当選に対しては、通常、RT遊技状態におけるRB当選又はBB当選を表す演出コマンド「4」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。当選エリア「6」の当選に対しては、通常、RT遊技状態におけるRB当選を表す演出コマンド「5」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。そして、当選エリア「7」の当選に対しては、通常、RT遊技状態におけるBB当選を表す演出コマンド「6」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。
また、遊技状態がRB内部中状態であるとき、当選エリア「0」の当選に対しては、通常、RB内部中状態におけるRB当選を表す演出コマンド「7」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。当選エリア「6」の当選に対しては、通常、RB内部中状態におけるRB当選を表す演出コマンド「8」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。そして、当選エリア「7」の当選に対しては、通常、RB内部中状態におけるRB当選及びBB当選を表す演出コマンド「9」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。更に、遊技状態がBB内部中状態であるとき、当選エリア「0」の当選に対しては、通常、BB内部中状態におけるBB当選を表す演出コマンド「10」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。当選エリア「6」の当選に対しては、通常、BB内部中状態におけるRB当選及びBB当選を表す演出コマンド「11」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。そして、当選エリア「7」の当選に対しては、通常、BB内部中状態におけるBB当選を表す演出コマンド「12」が選ばれるが、わずかな確率で演出コマンド「1」が選ばれることがある。
このように、演出コマンド「1」〜「12」は、乱数の内部抽選の結果(どの当選エリアに当選したのか)だけではなく遊技機の遊技状態をも表し、一方、演出コマンド「13」〜「17」は、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態のうちのいずれであっても、小役・リプレイの当選という内部抽選の結果のみを表す。主制御基板70は、所定の演出コマンドを演出制御基板80に送信すると、演出制御基板80はその演出コマンドに基づいて遊技の演出内容を決定し、その決定した遊技の演出内容にしたがって画像表示部30、電飾制御部40及びスピーカ部50を制御する。ここで、上述したように、主制御基板70は、わずかな確率で実際の内部抽選結果とは異なる内容の演出コマンドを演出制御基板80に送ることがあるが、この場合であっても、演出制御基板80はその送られた演出コマンドに基づいて遊技の演出内容を決定する。
尚、遊技状態がBB作動時の一般遊技状態、BB作動時のRB内部中状態、RB作動状態にある場合には、主制御基板70のCPU74は、乱数の内部抽選の結果及び遊技機の遊技状態に対応する内容の演出コマンドを生成し、その生成した演出コマンドを演出制御基板80に送信する。すなわち、かかる遊技状態にある場合には、CPU74は当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成することはない。
このように、本実施形態では、回胴式遊技機がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態のいずれかにあって、内部抽選結果が当選エリア「0」、「6」、「7」のいずれかである場合、CPU74は、乱数の内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを生成する際に、所定の確率で当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する。図6は内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドが決定される確率及び内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドが決定される確率を説明するための図である。主制御基板70には、上述の乱数値を取得する際に使用する乱数カウンタ以外に、いくつかのカウンタが設けられている。具体的には、主制御基板70は、そのCPU74に内蔵のリフレッシュレジスタ、複数のタイマ回路制御レジスタ、他の乱数カウンタ等を有する。本実施形態では、CPU74は、これらカウンタのうち6個のカウンタ全てを用いて、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成するか否かについて抽選を行う。実際、これら6個のカウンタの計数値の範囲はそれぞれ、「0〜127」、「0〜65535」、「0〜2」、「0〜255」、「0〜249」、「0〜255」である。そして、CPU74は、所定のタイミングで、これら6個のカウンタの計数値がすべて「0」であれば、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成することを決定する。すなわち、これら6個のカウンタを全て使用すると、各カウンタ値の組合せαは、α=128×65536×3×256×250×256=27×216×3×28×250×28=750×239通りとなる。CPU74が内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する確率は1/αであり、内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを決定する確率は(α−1)/αである。すなわち、ほぼ100%に近い確率で内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドが生成されるが、限りなくゼロに近い確率で内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドが生成されることがある。
本実施形態では、α=750×239=4.12316860416×1014であるが、この場合における内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドが生成される可能性を計算する。例えば、全国100万台の本遊技機が午前10時から午後11時まで毎分14回のスタート操作でフル稼働し続けたとすると、1年間(365日)での総スタート回数Mは、M=14(回)×60(分)×13(時間)×365(日)×1000000(台)=3.9858×1012回となり、1年間に3.9858×1012回のスタート操作が行われる計算になる。1/αが内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する確率であるので、その逆数αをMで割ると、何年に一度内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する可能性があるかが推定できる。その値は、α/M=(4.12316869416×1014)/(3.9858×1012)=103.44645となる。
すなわち、本実施形態の場合、内部抽選の結果にかかわらず、全ての内部抽選結果に対して演出コマンドの抽選を行うことにしたとしても、内部抽選の結果と異なるいわゆるガセの大当り演出コマンドが出る可能性や、大当りであるにもかかわらず外れの演出コマンドが出る可能性は、103年に一度あるかも知れない程度の確率ということになる。かかる外れの演出コマンドが出た場合には、以後の遊技で図柄を揃えられるまでその当りのフラグは内部に保留されており、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成した場合であっても遊技に与える影響は少ない。これに対し、内部抽選結果が外れであるにもかかわらず、大当りの演出コマンドが出た場合には、外れであるにもかかわらず大当り演出が行われる可能性が高く(演出制御基板80内での演出組合せデータの抽選で大当り演出を行わない演出パターンが選択される場合もないわけではないので、必ず大当り演出が行われるとは言い切れない。)、遊技者の期待も大きくなり、遊技に与える影響が大きい。そこで、本実施形態では、かかる大当りのガセ演出は市場に100万台の機械があってそれらがフル稼働したとしても103年に一度あるかないかという低い発生確率に設定しておくことにより、かかる問題の発生をほとんど解消させている。更に、本実施形態によれば、この演出コマンドの抽選が行われるのは、内部抽選結果が当選エリア「0」、「6」、「7」の当選である場合に限られ、しかも、内部抽選結果が当選エリア「0」の当選である場合のみが、内部抽選結果が外れでありながら、いわゆるガセの大当り演出コマンドが発生し得る場合に該当するので、いわゆるガセの大当り演出コマンドが出現する確率はさらに低くなる。
尚、一般には、2〜3ヶ月に一度かかるガセの大当り演出があってもかえって話題性があって良い場合もある。そこで、中程度のヒット機種について、10000台程度の発売で50%稼動を想定し、先の数値の下で1日での総スタート回数Mを計算すると、M=14(回)×0.5(50%)×60(分)×13(時間)×10000(台)=5.46×107回となり、1日に5.46×107回のスタート操作が行われる計算になる。ここで、仮にCPU74の6個のカウンタのうち、「65536」、「256」、「256」の3つのカウンタを使用して、α値を232(=2564)に設定した場合には、α/M=(4.294967296×109)/(5.46×107)≒78.662となり、全ての内部抽選結果に対して演出コマンドの抽選を行うことにしても、78日に一度ガセの演出コマンドが発生し得る確率となる。また、現実のホールでは、フル稼働でもスタート回数は1日1台当り8000回程度であるので、半稼動の場合にスタート回数が1日1台当り4000回として上記の計算を行うと、α/M=(4.294967296×109)/(4.00×107)≒107.374となり、全ての内部抽選結果に対して演出コマンドの抽選を行うことにしても、107日に一度ガセの演出コマンドが発生し得る程度の確率になる。したがって、α値が232の場合に、ガセの演出コマンドが2〜3ヶ月に一度程度発生するようになることから、CPU74が内部抽選の結果と異なる内容のコマンドを生成する確率は、大きくとも1/232程度までであることが望ましい。
また、CPU74は、RT残りゲーム数コマンド(特別遊技の残り遊技数に関する情報)を生成し、その生成したRT残りゲーム数コマンドを演出制御基板80に出力する。RT残りゲーム数コマンドは、RT遊技状態におけるRTゲームの残り回数を示すものである。通常、このRT残りゲーム数コマンドは演出コマンドとともに演出制御基板80に送られる。演出制御基板80は、演出コマンドに基づいて遊技の演出内容を決定するが、その演出内容の決定の際にはRT残りゲーム数コマンドをも考慮する。
CPU74は、RT残りゲーム数コマンドを次のタイミングで演出制御基板80に送信する。すなわち、RT残りゲーム数コマンドの送信タイミングは、1)スタートレバー18の押下時に行われる乱数抽選処理の後、2)BBストック数又はRBストック数が「1」以上である場合に、遊技状態がBB内部中状態又はRB内部中状態からBB作動時の一般遊技状態又はRB作動中状態に移行したとき、3)遊技機がBB未作動時の一般遊技状態にあるときに内部抽選によりBB又はRBに当選したとき、4)BBストック数又はRBストック数が「1」以上である場合に、遊技機の出玉ランクの設定値が変更されたとき、である。
2)の場合にRT残りゲーム数コマンドを送信するのは次の理由による。すなわち、当該BB作動時の一般遊技状態又はRB作動中状態が終了すると、遊技状態はRTA遊技状態に移行する。本来であれば、遊技状態がそのRTA遊技状態に移行したときにRTゲームの残り回数を演出制御基板80に知らせればよいが、本実施形態では、処理の都合上、予めそのRTゲームの残り回数を演出制御基板80に知らせることにしたものである。また、3)の場合には、遊技状態が直ちにRTA遊技状態に移行するので、当然、そのRTゲームの残り回数を演出制御基板80に知らせる必要がある。4)の場合は、遊技機の仕様上、RTゲームの残り回数を初期値に戻すようにしたものである。したがって、2),3)又は4)の場合には、CPU74は、RT残りゲーム数コマンドとして、RTゲームの残り回数を初期値「1200」とする内容のコマンドを演出制御基板80に送信する。一方、1)の場合には、CPU74は、RT残りゲーム数コマンドとして、現時点におけるRTゲームの残り回数を示すコマンドを演出制御基板80に送信する。
ところで、本実施形態では、CPU74は、すべての遊技状態において、RT残りゲーム数コマンドとして所定の確率で実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするコマンドを生成する。具体的には、CPU74は、RT残りゲーム数コマンドの作成時に、実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするコマンドを生成するか否かについて上記の確率での抽選を行う。そして、当該抽選に当選したときに、RT残りゲーム数コマンドとして、実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするコマンドを生成し、当該抽選に当選しなかったときに、RT残りゲーム数コマンドとして、実際のRTゲームの残り回数を内容とするコマンドを生成する。ここで、かかる抽選は、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成するか否かについての抽選と同様に、上述した6個のカウンタ全てを用いて行われる。したがって、CPU74が、実際のRTゲーム数の残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成する確率は1/αであり、実際のRTゲーム数の残り回数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成する確率は(α−1)/αである。また、CPU74は、実際のRTゲーム数の残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成する場合、当該異なるゲーム数Nを決定しなければならない。例えば、CPU74は、当該異なるゲーム数Nとして、「65536」のカウンタの計数値を利用して、0〜32639の範囲のうちのいずれかの数値を決定する。したがって、かかる信頼度がゼロであるRT残りゲーム数コマンドが演出制御基板80に送られると、現在の遊技状態との関係では通常行われることがないような遊技の演出が行われることがある。
更に、CPU74は、電源投入時に、ストック数コマンドを生成し、その生成したストック数コマンドを演出制御基板80に出力する。ストック数コマンドは、BBストック数及びRBストック数のうち少なくとも一方が「1」以上であるか(ストックあり)、その両方がゼロであるか(ストックなし)を示すものである。遊技機の電源が切られると、通常、主制御基板70又は演出制御基板80はそのときの遊技状態に関する情報をバックアップするが、何らかの原因で、かかる情報がバックアップされないことがある。このような場合、電源投入時にCPU74がストック数コマンドを演出制御基板80に送出することにより、主制御基板80と演出制御基板80とは互いに遊技機の遊技状態を確認することができる。すなわち、演出制御基板80は、ストック数コマンドがストックなしを示していれば、遊技機の遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態であることを認識し、一方、ストック数コマンドがストックありを示していれば、遊技機の遊技状態がRT遊技状態であることを認識する。このように電源投入時には、演出制御基板80は、ストック数コマンドに基づいて遊技状態を認識する。また、遊技の演出内容は遊技状態をも考慮して決定されるので、この意味で、ストック数コマンドは、電源投入時における遊技演出内容を決定する際に重要な役割を果たす。
本実施形態では、CPU74は、ストック数コマンドとして所定の確率で実際のストック数の内容と異なる内容のコマンドを生成する。具体的には、CPU74は、電源投入時に、BBストック数及びRBストック数の両方ともゼロである場合(ストックなしの場合)、実際のストック数の内容と異なる内容のストック数コマンドを生成するか否かについて上記の確率での抽選を行う。そして、当該抽選に当選したときに、ストックありという内容のストック数コマンドを生成し、当該抽選に当選しなかったときに、ストックなしという内容のストック数コマンドを生成する。ここで、かかる抽選は、内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成するか否かについての抽選と同様に、上述した6個のカウンタ全てを用いて行われる。したがって、電源投入時にBBストック数及びRBストック数の両方ともゼロである場合、CPU74が実際のストック数の内容と異なる内容のストック数コマンドを生成する確率は1/αであり、実際のストック数の内容に対応する内容のストック数コマンドを生成する確率は(α−1)/αである。したがって、電源投入時に、信頼度がゼロであるストック数コマンドが演出制御基板80に送られると、電源投入時後の最初のゲームにおいては、通常行われることがないような遊技の演出が行われることがある。一方、CPU74は、電源投入時に、BBストック数及びRBストック数のうち少なくとも一方が「1」以上である場合(ストックありの場合)、実際のストック数の内容に対応する内容(ストックあり)のストック数コマンドを生成する。
演出制御基板80は、主に遊技の演出に関わる機能を実現する。すなわち、演出制御基板80は、主制御基板70から演出コマンドを受けたときに、その演出コマンド等に基づいて遊技の演出内容を決定し、画像表示部30、電飾表示部40、スピーカ部50を制御する。
演出制御基板80には、複数の集積回路素子が実装されている。具体的に、演出制御基板80は、図2に示すように、ROM81と、RAM82と、CPU(演出制御手段)83とを有する。ROM81には、遊技の演出に関する各種のプログラムが格納されている。RAM82は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。CPU83は、ROM81に格納されたプログラムを実行することにより、遊技の演出の制御を行う。
ROM81には、プログラムの他に、各種のデータが格納されている。図7はROM81に格納されているデータの内容を説明するための図である。ROM81のデータ格納領域としては、図7に示すように、抽選データインデックステーブル格納領域81a、抽選データテーブル格納領域81b、演出組合せデータテーブル格納領域81c、演出基本データ格納領域81d等がある。これらの格納領域81a,81b,81c,81dに格納されているデータは、CPU83が主制御基板70から送られた演出コマンドやRT残りゲーム数コマンド等に基づいて遊技の演出内容を決定する際に用いられる。
抽選データインデックステーブル格納領域81aには、抽選データインデックステーブルが格納されている。図8は抽選データインデックステーブルを説明するための図である。抽選データインデックステーブルには、図8に示すように、演出モードと抽選データインデックス番号との対応関係が示されている。抽選データインデックス番号は、後述する複数の抽選データテーブルに付与された管理番号である。各演出モードは遊技状態と関連付けられている。具体的に、RT遊技状態には、RTゲームの残り回数に応じて、演出モード2〜10が対応する。また、RB内部中状態には、演出モード11が対応し、BB内部中状態には、演出モード12が対応する。そして、これらの遊技状態以外の遊技状態、例えばBB未作動時の一般遊技状態には、演出モード1が対応する。
主制御基板70は、上述したように、演出コマンドの他に、RT残りゲーム数コマンドや電源投入時にあってはストック数コマンドも演出制御基板80のCPU83に送信する。このため、CPU83は、主制御基板70から送られた演出コマンド、RT残りゲーム数コマンド、ストック数コマンド等に基づいて、遊技機の遊技状態を認識することができる。例えば、演出コマンドが「1」、「2」、「3」である場合には、CPU83は、当該演出コマンドに基づいて遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態であると認識する。演出コマンドが「4」、「5」、「6」である場合には、CPU83は、当該演出コマンドに基づいて遊技状態がRT遊技状態であると認識すると共に、当該RT残りゲーム数コマンドに基づいてそのRT遊技状態におけるRTゲームの残り回数を認識することができる。また、前回の演出内容の決定処理時におけるRTゲームの残り回数が「1」であって、今回、RTゲームの残り回数が「0」である場合には、CPU83は、遊技状態がBB内部中状態又はRB内部中状態であることを認識する。そして、このとき、演出コマンドが「7」、「8」、「9」である場合には、CPU83は遊技状態がRB内部中状態であると認識し、演出コマンドが「10」、「11」、「12」である場合には、遊技状態がBB内部中状態であると認識する。更に、演出コマンドが「13」〜「17」である場合には、CPU83は、主制御基板70から送られた他の情報に基づいて遊技状態を認識することができる。こうして、CPU83は、演出コマンドやRT残りゲーム数コマンド等に基づいて遊技状態を認識すると、その遊技状態に対応した演出モードを特定した後、抽選データインデックステーブルから、その特定した演出モードに対応する抽選データインデックス番号を決定する。
抽選データテーブル格納領域81bには、各抽選データインデックス番号に対応した抽選データテーブルが格納されている。図9は抽選データテーブルを説明するための図である。図9では、抽選データインデックス番号「12」に対応する抽選データテーブルを示している。各抽選データテーブルには、図9に示すように、乱数の内部抽選の結果(どの当選エリアに当選したか)毎に、組合せ番号と抽選確率との対応関係が記述されている。ここで、組合せ番号とは、後述する各演出組合せデータに付与された管理番号のことである。CPU83は主制御基板70から送られた演出コマンドやRT残りゲーム数コマンド等に基づいて所定の遊技の演出を制御するが、その遊技の演出の具体的な内容はCPU83によって決定される。本実施形態では、演出の具体的な内容は演出組合せデータに記述されており、抽選により所定の演出組合せデータが決定される。この抽選の確率が抽選データテーブルに記述されているのである。図9に記載された各数値を65536で除した値が抽選確率である。例えば、主制御基板70から送られた演出コマンドが当選エリア「0」の当選という内容を示すものである場合、CPU83は、当該抽選データテーブルにおいて当選エリア「0」の欄に記載された抽選確率を用いて、演出組合せデータの抽選を行う。そして、当該演出抽選で当選した組合せ番号を決定する。
尚、当然のことであるが、各抽選データインデックス番号に対応する抽選データテーブルの内容はそれぞれ異なっている。特に、抽選データインデックス番号「2」〜「10」に対応する抽選データテーブルについては、その内容が大きく異なっている。例えば、RTゲームの残り回数が少なくなればなるほど、それに対応する抽選データテーブルでは、遊技者に大当り等を期待させるような大げさな演出が行われる確率が高く設定されている。
演出組合せデータテーブル格納領域81cには、演出組合せデータテーブルが格納されている。図10は演出組合せデータテーブルを説明するための図である。演出組合せデータテーブルには、図10に示すように、各組合せ番号に対応する演出組合せデータが記述されている。各演出組合せデータは、操作タイミング毎に、所定の遊技の演出内容を示す演出基本データの番号を含んでいる。ここで、操作タイミングとしては、スタートレバー18の押下時(レバー押下時)、第一停止ボタン19aの押下時(第一押下時)、第二停止ボタン19bの押下時(第二押下時)、第三停止ボタン19cの押下時(第三押下時)、及びメダル投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の押下時(ベット押下時)が定められている。CPU83は、スタートレバー押下時の内部抽選後に主制御基板70から演出コマンドが送られたときに、前述の演出抽選で決定した組合せ番号に対応する演出組合せデータを演出組合せデータテーブルから取得する。この取得した演出組合せデータはRAM82に記憶される。CPU83は、RAM82に記憶されている演出組合せデータに基づいて画像表示部30、電飾表示部40、スピーカ部50を制御する。すなわち、その演出組合せデータに記述されている内容が、今回、スタートレバー18が押下された時から次回、スタートレバー18が押下されるまでの間において、上記の各操作タイミング時に行うべき遊技の演出内容となる。また、各演出組合せデータには、確定フラグという項目が含まれている。例えば、確定フラグの項目に「BET_FIX」と記述されている場合には、メダル投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の押下時に表示される画面がその後もそのまま維持される。
演出基本データ格納領域81dには、複数の演出基本データが格納されている。図11は演出基本データを説明するための図である。各演出基本データには、図11に示すように、当該演出基本データの番号、画像演出用パターンデータ番号、電飾演出用パターンデータ番号、音声演出用パターンデータ番号が含まれる。これらのパターンデータ番号によりパターンデータが特定される。画像演出用パターンデータ、電飾演出用パターンデータ、音声演出用パターンデータは例えばROM81に格納されている。CPU83は、所定の操作タイミング時に、RAM82に記憶されている演出組合せデータから当該操作タイミング時における演出基本データ番号を特定した後、その特定した演出基本データ番号に対応する演出基本データを決定する。そして、その決定した演出基本データに記述されている各パターンデータ番号に対応するパターンデータをROM81から読み出す。次に、CPU83は、こうして読み出した画像演出用パターンデータ、電飾演出用パターンデータ、音声演出用パターンデータをそれぞれ、画像表示部30、電飾表示部40、スピーカ部50に送る。これにより、画像表示部30は、その画像演出用パターンデータに基づいて画像を表示し、電飾表示部40は、その電飾表示用パターンデータに基づいてランプやLEDの点灯を行う。また、スピーカ部50は、その音声演出用パターンデータに基づいて音声を出力する。
次に、本実施形態の回胴式遊技機において主制御基板70が行う処理の手順について説明する。図12は主制御基板70が行う処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、主制御基板70のCPU74は、ベットボタン操作待ち処理を行う(S1)。すなわち、CPU74は、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62又は一枚投入ボタン操作検出センサ63からの検出信号が送られてくるのを待つ。そして、かかる検出信号を受けると、CPU74は、メダル投入口13からメダルが所定個数投入された旨又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16が所定回数押下された旨の操作コマンドを演出制御基板80に送信する。次に、CPU74は、スタートレバー押下待ち処理を行う(S2)。すなわち、CPU74は、スタートレバー操作検出センサ64から検出信号が送られてくるのを待つ。CPU74は、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62、一枚投入ボタン操作検出センサ63のいずれかから信号を受けているときに、スタートレバー操作検出センサ64から信号を受けると、ゲームが開始されたことを認識する。
こうしてゲームが開始されると、CPU74は、乱数の内部抽選処理を行う(S3)。すなわち、主制御基板70の乱数発生手段71は、スタートレバー操作検出センサ64からの信号を受けたタイミングで、乱数値を取得して、その取得した乱数値をCPU74に送る。CPU74は、ROM72に格納されている抽選データに基づいて、当該乱数値がどの当選エリアに属するかを調べることにより、どの役に当選したか、不当選であるかを決定する。
その後、CPU74は、コマンド生成処理を行う(S4)。このとき、CPU74が生成するコマンドとしては、演出コマンド、RT残りゲーム数コマンド等がある。まず、CPU74は、内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを生成する。通常、CPU74は、その内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを生成する。しかしながら、例えば、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態であって、内部抽選の結果が当選エリア「0」、「6」、「7」のいずれかである場合には、CPU74は、所定のタイミングで所定の6個のカウンタを用いた抽選を行う。具体的には、CPU74は、それらのカウンタの乱数値がすべて「0」であるかどうかを判断する。そして、それらの乱数値のうち少なくとも一つが「0」でなければ、CPU74は当該内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを生成する。一方、それらの乱数値がすべて「0」であれば、CPU74は当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する。すなわち、かかる演出コマンドはガセのコマンドである。
また、CPU74は、RT残りゲーム数コマンドを生成する。通常、CPU74は、RAM73に記憶されているRTゲーム数に対応する内容のRT残りゲーム数コマンドを生成する。しかしながら、CPU74は、RT残りゲーム数コマンドを生成する際に所定の6個のカウンタを用いた抽選を行う。具体的には、CPU74は、それらのカウンタの乱数値がすべて「0」であるかどうかを判断する。そして、それらの乱数値のうち少なくとも一つが「0」でなければ、CPU74はRAM73に記憶されている実際のRTゲームの残り回数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成する。一方、それらの乱数値がすべて「0」であれば、CPU74はRAM73に記憶されている実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成する。すなわち、かかるRT残りゲーム数コマンドはガセのコマンドである。CPU74は、こうして生成した演出コマンドやRT残りゲーム数コマンドを演出制御基板80に送信する。
次に、CPU74は、スタートレバー操作検出センサ64からの信号を受けてから4.1秒経過するのを待つ(S5)。そして、4.1秒経過すると、CPU74は、回胴リール駆動手段66a,66b,66cの制御して、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cを回転させる(S6)。
次に、CPU74は、三つの回胴リール11a,11b,11cの停止処理を行う(S7)。すなわち、CPU74は、第一停止ボタン操作検出センサ65aから信号を受けたときに、第一回胴リール駆動手段66aを制御して、第一回胴リール11aを停止させると共に、第一停止ボタン19aが押下された旨の操作コマンドを演出制御基板80に送信する。また、CPU74は、第二停止ボタン操作検出センサ65bから信号を受けたときに、第二回胴リール駆動手段66bを制御して、第二回胴リール11bを停止させると共に、第二停止ボタン19bが押下された旨の操作コマンドを演出制御基板80に送信する。更に、CPU74は、第三停止ボタン操作検出センサ65cから信号を受けたときに、第三回胴リール駆動手段66cを制御して、第三回胴リール11cを停止させると共に、第三停止ボタン19cが押下された旨の操作コマンドを演出制御基板80に送信する。
こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄が有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、CPU74は、所定数のメダルを払い出す(S8)。以上で、一回のゲーム時に主制御基板70のCPU74が行う処理が終了する。そして、その後、CPU74は再びステップS1から処理を開始する。
次に、本実施形態の回胴式遊技機において演出制御基板80が行う処理の手順について説明する。図13は演出制御基板80が行う処理の手順を説明するためのフローチャートである。
演出制御基板80のCPU83は、メダル投入口13からメダルが所定個数投入された旨又はMAXベットボタン15又は一枚投入ボタン16が所定回数押下された旨の操作コマンドが主制御基板70から送られると、RAM82に記憶されている演出組合せデータの中から、メダル投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の押下時に対する演出基本データの番号を認識する。その後、CPU83は、その認識した番号の演出基本データにしたがって、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50を制御する(S11)。これにより、メダル投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の所定回数の押下時に、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50は所定の遊技の演出を行う。
次に、CPU83は、内部抽選の結果に基づいて生成された演出コマンドが主制御基板70から送られると、演出組合せデータの抽選処理を行う(S12)。具体的には、CPU83は、主制御基板70から送られた演出コマンドやRT残りゲーム数コマンド等に基づいて所定の抽選データテーブルを特定する。そして、その抽選データテーブルに記述されている抽選確率を用いて演出組合せデータの抽選を行い、所定の演出組合せデータを決定する。その後、CPU83は、その演出組合せデータをRAM82に記憶する。すなわち、RAM82に記憶されていた前回のゲーム時に決定された演出組合せデータは、今回のゲーム時に決定された演出組合せデータによって書き換えられる。また、CPU83は、RAM83に記憶されている演出組合せデータの中から、スタートレバー押下時に対する演出基本データの番号を認識し、その認識した番号の演出基本データにしたがって、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50を制御する(S13)。これにより、スタートレバー18の押下時に、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50は所定の遊技の演出を行う。すなわち、ここでは、演出コマンドが、スタートレバー18が押下された旨の操作コマンドとしての役割をも果たしている。
その後、CPU83は、第一停止ボタン19aが押下された旨の操作コマンドが主制御基板70から送られると、RAM82に記憶されている演出組合せデータの中から、第一停止ボタン19aの押下時に対する演出基本データの番号を認識し、その認識した番号の演出基本データにしたがって、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50を制御する(S14)。これにより、第一停止ボタン19aの押下時に、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50は所定の遊技の演出を行う。また、CPU83は、第二停止ボタン19bが押下された旨の操作コマンドが主制御基板70から送られると、RAM82に記憶されている演出組合せデータの中から、第二停止ボタン19bの押下時に対する演出基本データの番号を認識し、その認識した番号の演出基本データにしたがって、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50を制御する(S15)。これにより、第二停止ボタン19bの押下時に、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50は所定の遊技の演出を行う。更に、CPU83は、第三停止ボタン19cが押下された旨の操作コマンドが主制御基板70から送られると、RAM82に記憶されている演出組合せデータの中から、第三停止ボタン19cの押下時に対する演出基本データの番号を認識し、その認識した番号の演出基本データにしたがって、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50を制御する(S16)。これにより、第三停止ボタン19cの押下時に、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50は所定の遊技の演出を行う。以上で、一回のゲーム時に演出制御基板80が行う処理が終了する。
上述したように、本実施形態では、主制御基板70は、乱数の内部抽選処理の後、その内部抽選の結果が大当り又は外れである場合に、基本的には、ほぼ100%の確率で内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを演出制御基板80に送信するが、1/αの確率で内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを送信する。αは750×239と天文学的に大きな数字であるが、1/αはゼロではないため、主制御基板70による内部抽選の結果とは異なる内容の演出コマンド、すなわち信頼度ゼロの演出コマンドが送信される可能性がある。また、主制御基板70は、ほぼ100%の確率で実際のRTゲームの残り回数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを演出制御基板80に送信するが、1/αの確率で実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを送信する。このため、信頼度ゼロのRT残りゲーム数コマンドが送信される可能性がある。更に、主制御基板70は、電源投入時に、RBストック数及びBBストック数がともにゼロである場合、ほぼ100%の確率でストックがない旨のストック数コマンドを演出制御基板80に送信するが、1/αの確率でストックがある旨のストック数コマンドを送信する。このため、信頼度ゼロのストック数コマンドが送信される可能性がある。演出制御基板80は、演出コマンド、RT残りゲーム数コマンド、ストック数コマンド等に基づいて遊技演出の内容を決定するので、それらのコマンドとして信頼度ゼロのコマンドが送られてくると、当該遊技状態では通常行われることのない演出の内容を決定することがある。以下では、信頼度ゼロの演出コマンドが演出制御基板80に送られた場合の演出の具体例を説明する。
いま、回胴式遊技機は、BB未作動時の一般遊技状態にあるとする。そして、主制御基板70のCPU74は、乱数の内部抽選を行い、当選エリア「0」の当選、すなわち不当選であるという結果が得られたとする。このとき、所定のタイミングで6個のカウンタの乱数値がすべて「0」であると、CPU74は、その内部抽選結果とは異なる内容の演出コマンドを生成する。ここでは、演出コマンド「10」が選ばれたとする。すなわち、今回生成された演出コマンド「10」は信頼度ゼロの演出コマンドである。
演出制御基板80のCPU83は、かかる信頼度ゼロの演出コマンド「10」を受け取ると、まず、抽選データインデックステーブルから所定の抽選データインデックス番号を決定する。この場合、演出コマンドが「10」であるので、CPU83は、遊技状態がBB内部中状態であると認識し、図8に示すように、抽選データインデックス番号「12」が選ばれる。もちろん、CPU83によるこの遊技状態の認識は誤りであることはいうまでもない。次に、CPU83は、その抽選データインデックス番号「12」に対応する抽選データテーブルを特定する。演出コマンド「10」は当選エリア「0」の当選ということを意味するので、CPU83は、図9に示すように、その抽選データテーブルにおいて当選エリア「0」の欄に示された抽選確率を用いて、演出組合せデータの抽選を行う。例えば、この抽選の結果、組合せ番号「17」の演出組合せデータが選ばれたとする。ここで、図9の例では、この組合せ番号「17」に当選する確率は300/65536である。
図14は組合せ番号「17」の演出組合せデータに対する画像演出の内容を説明するための図である。この組合せ番号「17」の演出組合せデータの内容は次のようなものである。すなわち、スタートレバー18の押下時には図14(a)に示す「デカ海老」画像が表示される。ここで、この「デカ海老」画像を表示する演出は、大当り確定を予告するプレミアム演出である。そして、第一停止ボタン19aの押下時、第二停止ボタン19bの押下時、第三停止ボタン19cの押下時であっても、画像表示の切り替えが行われず、「デカ海老」画像がそのまま表示される。そして、メダル投入時又はMAXベットボタン15若しくは一枚投入ボタン16の押下時に、図14(b)に示すような「BONUS確定」の画像が表示される。この「BONUS確定」の画像はその後、そのまま表示され続ける。
この例の場合、演出制御基板80は、組合せ番号「17」の演出組合せデータを抽選で選んだので、画像表示部30に対して、図14に示すような、プレミアム演出を含む大当り演出を行わせる。しかし、主制御基板70は、現在の遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態であって、今回の内部抽選結果が不当選であると認識しており、その認識内容にしたがって遊技の内容を制御する。このため、遊技者が停止ボタン19a,19b,19cを押しても、有効な入賞ライン上に役の図柄が揃うことはなく、当然、メダルの払い出しもない。図14(b)に示す「BONUS確定」の画像が画像表示部30の画面上に表示されてはいるが、実際、大当りに当選したわけではない。今回、主制御基板70から演出制御基板80に送られた演出コマンドは信頼度ゼロの演出コマンドであり、その信頼度ゼロの演出コマンドに基づいて行われる遊技の演出は、当然、信頼できない演出なのである。本実施形態の回胴式遊技機では、演出制御基板80が内部抽選結果と異なる内容の遊技の演出を画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50に行わせることは、当然の前提として起こり得ることなのである。但し、演出制御基板80が内部抽選結果と異なる内容の遊技の演出を画像表示部30等に頻繁に行わせたのでは、遊技の興趣がそがれてしまう。このため、本実施形態では、主制御基板70が信頼度ゼロの演出コマンドを演出制御基板80に送信する確率を1/α(αは750×239)と非常に小さく設定している。
本実施形態の回胴式遊技機では、主制御基板は、内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを生成する際に所定の確率で当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成して、演出制御基板に出力する。また、主制御基板は、RT残りゲーム数コマンドとして所定の確率で実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成して、演出制御基板に出力する。このため、演出制御基板により制御される遊技演出の内容が、実際の内部抽選の結果や実際のRT残りゲーム数では行われることのない内容となることがある。本実施形態の回胴式遊技機では、このようなことが起こり得ることを当然の前提としているのである。したがって、かかる回胴式遊技機を普及させることにより、演出制御基板によって制御される遊技の演出はあくまで遊技を支援するためのものであって、たとえプレミアム演出が行われたとしてもそのことが必ずしも大当りを保証するものではないということを、遊技者に広く知らしめることができる。これにより、例えば、主制御基板が大当りではない旨の演出コマンドを演出制御基板に送信したにもかかわらず、演出制御基板がノイズの影響等により演出コマンドを誤って認識し、大当りの演出を実行させたとしても、その大当りの演出が誤って発生したと遊技者に認識されることがなくなる。また、ノイズの影響等を全く受けないような遊技機を開発する必要がなくなるので、遊技機の開発期間の短縮とその開発費用の低減を図ることができる。
また、信頼度ゼロの演出コマンド等を生成するかどうかは主制御基板が抽選で決定することにより、たとえ演出制御基板が故意に交換されたとしても、演出制御基板によって不正な演出の制御が行われるおそれはない。更に、信頼度ゼロの演出コマンド等を生成する確率を大きくとも1/232としたことにより、演出制御基板が内部抽選の結果等と異なる内容の遊技の演出を行うことはほとんどなく、遊技者は、演出制御基板が行う大当り等の演出の内容を、ほぼ100%信頼することができる。このため、本実施形態では、信頼度ゼロの演出コマンド等が演出制御基板に送信されることがあるが、遊技者にとっては、大当り等の図柄を揃えるための遊技への挑戦意欲が削がれてしまうことはない。
また、主制御基板は、RT残りゲーム数コマンドとして所定の確率で実際のRTゲームの残り回数と異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドを生成して、演出制御基板に出力する。通常、回胴式遊技機では、RT残りゲーム数コマンドが異なれば、演出の内容は大きく変わるように設定されている。このため、実際のRTゲームの残り数とは異なるゲーム数を内容とするRT残りゲーム数コマンドが演出制御基板に送られることにより、変化に富んだ演出を行うことが可能となり、遊技性の向上を図ることができる。
更に、主制御基板は、内部抽選の結果が小当りの当選内容である場合には内部抽選の結果に対応する内容の演出コマンドを生成し、演出制御基板に出力する。すなわち、小当りを内容とする演出コマンドは100%の信頼度で演出制御基板に伝達される。本実施形態の回胴式遊技機では、中チェリー小役、角チェリー小役又はスイカ小役の当選を契機として、RTA遊技状態の解除が行われるので、演出制御基板は、かかる小当りによるRTA遊技状態の終了を的確に把握することができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、遊技状態がBB未作動時の一般遊技状態、RT遊技状態、RB内部中状態、BB内部中状態のいずれかであって、内部抽選結果が当選エリア「0」、「6」、「7」のいずれかであるときに、主制御基板は、内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを生成する際に、所定の確率で当該内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する場合について説明した。一般に、所定の確率で内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成する際の条件は、自由に設定することができる。例えば、上記の実施形態では、内部抽選の結果が小役・リプレイの当選であるときには、常にその内部抽選の結果に対応する演出コマンドを生成し、いわゆるガゼの演出コマンドを生成しない場合について説明したが、かかる場合であっても、所定の確率で内部抽選の結果と異なる内容の演出コマンドを生成するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、本発明を回胴式遊技機に適用した場合について説明したが、例えば、本発明を、パチンコ機、ポーカーゲーム機、マージャンゲーム機、ダーツゲーム機等の各種遊技機に適用してもよい。