JP2004229902A - スロットマシン - Google Patents
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Abstract
【課題】ストック機能を有するスロットマシンにおいて、ボーナス入賞の発生が不可能または困難な状態の制御状況を完全に遊技制御手段の外部に出すことなく、演出制御手段に伝える。
【解決手段】ボーナス当選フラグが設定されてからの所定ゲーム数(ゲーム数大または小を選択)の間、遊技状態がRTに制御されてボーナス入賞が不可能となることで、ボーナス当選がストックされる。ボーナスを含む各種役の当選フラグの設定状況と、RTの残りゲーム数は、当選状況通知コマンドとして遊技制御基板から演出制御基板へ送信される。もっとも、当選状況通知コマンドは、ボーナス当選フラグが設定されていない場合において小役当選フラグが設定されている場合には、所定の確率で本来の当選状況とは異なる内容に変換され、ボーナス当選フラグが設定されていない場合は所定の確率で本来のRT残りゲーム数とは異なる内容に変換される。
【選択図】 図7
【解決手段】ボーナス当選フラグが設定されてからの所定ゲーム数(ゲーム数大または小を選択)の間、遊技状態がRTに制御されてボーナス入賞が不可能となることで、ボーナス当選がストックされる。ボーナスを含む各種役の当選フラグの設定状況と、RTの残りゲーム数は、当選状況通知コマンドとして遊技制御基板から演出制御基板へ送信される。もっとも、当選状況通知コマンドは、ボーナス当選フラグが設定されていない場合において小役当選フラグが設定されている場合には、所定の確率で本来の当選状況とは異なる内容に変換され、ボーナス当選フラグが設定されていない場合は所定の確率で本来のRT残りゲーム数とは異なる内容に変換される。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットマシンに関し、特にいわゆるストック機能を有するスロットマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
スロットマシンは、一般に、外周部に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールの回転を停止したときにおける表示態様に従って入賞が発生するものである。そして、発生した入賞の種類によっては、有価価値としてのメダルの払い出しが行われるだけでなく、ビッグボーナスやレギュラーボーナス(以下、これらをまとめて単にボーナスという)と呼ばれる特別遊技状態に移行し、遊技者にとって有利な状態で遊技が進行するようになっている。
【0003】
ボーナスを含む各役の入賞が発生するためには、事前(通常は、スタートレバー操作時)に行われる内部抽選において当該役に当選し、対応する当選フラグが設定されている必要がある。ボーナス入賞によって遊技者は多くのメダルを獲得することができるようになるので、ボーナス当選フラグが設定されているかどうかは、遊技者にとって最も知りたい情報の1つである。
【0004】
ボーナス当選フラグの設定状況を報知(ボーナス告知またはボーナス予告)するものとして、従来よりボーナス告知ランプや可変表示装置上に現れるリーチ目やチャンス目が知られていた。しかし、ボーナス告知ランプが点灯される場合は限られており、リーチ目やチャンス目は初心者には判断が難しいということから、近年のスロットマシンでは、液晶表示器などの演出装置を用い、その演出によってボーナス告知やボーナス予告をするようになってきている。
【0005】
また、ビッグボーナスやレギュラーボーナスという特別遊技状態に加えて、内部当選している小役の種類を告知するAT(Assist Time)という遊技状態を設け、遊技者が多くのメダルを獲得できる機会を増やすと共に、遊技状態が様々に遷移されることで遊技の興趣を向上させたスロットマシンも存在する。このATにおける小役告知も、液晶表示器などの演出装置を用いた演出として行われるようにしたものが一般的である。
【0006】
液晶表示器などの演出装置の制御は、遊技の進行そのものを制御する遊技制御基板とは別に設けられた演出制御基板により行われているものが多い。遊技制御基板の側にかかる負荷を小さくすると共に、豊富な態様の演出を行い得るようにするためである。演出制御基板の側でボーナス告知または予告や小役告知などを独自に行うためには、当選フラグの設定状況がコマンドによって遊技制御基板から演出制御基板に伝えられなければならない。
【0007】
一方、コマンドの送信によって当選フラグの設定状況が完全に遊技制御基板の外部に出てしまうと、不正が行われる恐れもあるため、所定の確率で実際の当選フラグの設定状況とは異なる内容のコマンドに変換し、当選フラグの設定状況を完全には外部に出さないようにしたスロットマシンも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−239070号公報
【0009】
ところで、最近のスロットマシンには、各ゲームにおいて行った内部抽選におけるボーナス当選を複数持ち越す機能(以下、ストック機能)を持つものがある。このストック機能を実現するためには、ボーナス当選をしても所定の条件が成立するまではボーナス入賞させないように制御する必要があるが、そのための方法として、遊技状態をRT(Replay Time:もっとも、実際のリプレイ入賞確率は、通常の遊技状態とほとんど変わらない)に制御し、この間にボーナス入賞が不可能なリール制御テーブルを選択するようにしたものなどがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなストック機においては、遊技状態がRTに制御されているということは、ボーナス当選がストックされているということを意味している。遊技状態がRTにあるかどうかまで分からなければ、ボーナス入賞が可能であるという本来の意味でのボーナス告知やボーナス予告を行えないが、これがコマンドとして完全に遊技制御基板の外部に出てしまうと、やはり当選フラグの場合と同様に不正が行われる恐れがある。
【0011】
本発明は、いわゆるストック機能を有するスロットマシンにおいて、特別入賞(いわゆるボーナス入賞)の発生が不可能または困難な状態の制御状況を完全に遊技制御手段の外部に出すことなく、演出制御手段に伝えられるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
1ゲームに対して賭け数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、可変表示装置(可変表示装置2)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じたコマンドを送信する遊技制御手段(遊技制御基板101)と、
前記遊技制御手段から送信されたコマンドを受信し、該受信したコマンドに従って演出手段に演出を行わせる演出制御手段(演出制御基板102)とを備え、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に前記入賞の発生を許容するか否かを決定し、その結果を示す決定情報を設定する事前決定手段(ステップS3)と、
前記事前決定手段により特別入賞(ボーナス入賞)の発生が許容された旨を示す決定情報が設定され、該決定情報により許容された特別入賞が発生しないときに、当該決定情報を次ゲーム以降に持ち越す(ストックする)と共に、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報を複数個持ち越すことが可能な決定情報持越手段(RAM112)と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記特別入賞の発生が不可能または困難な状態(RT)に制御する不可状態制御手段(ステップS113、S410)と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてから、所定の方法により選択された所定ゲーム数を消化したときに、前記不可状態制御手段による制御を解除し、前記特別入賞の発生が可能または容易な状態とする不可状態解除手段(ステップS404)と、
前記決定情報の設定状況と前記不可状態制御手段による制御状況を含む当選状況通知コマンド(当選状況通知コマンド301−1、301−2)を生成するコマンド生成手段(ステップS119、S120)と、
前記コマンド生成手段が生成した当選状況通知コマンドを、前記演出制御手段に送信するコマンド送信手段(ステップS121)とを備え、
前記コマンド生成手段は、所定の確率で前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とする。
【0013】
上記スロットマシンでは、不可状態制御手段による制御状況について完全に正確な情報が遊技制御手段の外部に出力されないので、不可状態制御手段による制御状況から特別入賞の決定情報が持ち越されているかどうかということが外部に漏れない。これにより、不正が行われるのを防止できると共に、スロットマシン本来の面白みを損なうことがない。また、不可状態制御手段による制御が解除されるまでのゲーム数が予め決まっていることで、遊技者がハマってしまうのを防ぐことができる。
【0014】
なお、特別入賞の発生が不可能な状態とは、その発生が完全に不可能な状態であり、これが解除された状態が可能な状態ということである。一方、特別入賞の発生が困難な状態とは、特別入賞の発生が完全に不可能という訳ではないが、かなり低い確率でしか発生し得ない状態であり、これが解除された状態が容易な状態ということである。
【0015】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、さらに、所定の確率で前記決定情報の実際の設定状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることもできる。
【0016】
この場合には、決定情報の設定状況を実際とは異なる内容のものとすることで、結果として不可状態制御手段による制御状況に限っては実際とは異なるものを含む当選状況通知コマンドが生成され、演出制御手段に送信される確率を低くすることができる。
【0017】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段が実際の状況とは異なる内容に変換した当選状況通知コマンドには、前記演出制御手段が前記不可状態制御手段による実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを判別可能なものを含むものであってもよい。
【0018】
この場合には、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0019】
ここで、前記不可状態制御手段による制御状況に、複数の態様がある場合には、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている不可状態制御手段による制御状況の態様に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することができる。
【0020】
なお、前記不可状態制御手段による制御状況の態様は、該不可状態制御手段による制御が解除されるまでの残りゲーム数、または前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてからの消化ゲーム数によって区別されるものとすることができる。
【0021】
このように当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様を変えることで、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。ここで、不可状態制御手段による制御状況の態様を残りゲーム数または消化ゲーム数で区別することによって、演出制御手段においてその態様の違いが区別しやすく、また当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様が実際のものであるかどうかを判別しやすくなる。
【0022】
また、前記可変表示装置は、前記不可状態制御手段による制御状況に応じた制御方法で制御されて表示結果を導出するものである場合には、
前記コマンド生成手段が生成する当選状況通知コマンドは、さらに前記可変表示装置の制御方法(当選状況通知コマンド301−2の停止制御方法)を含むことができ、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている前記可変表示装置の制御方法に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することができる。
【0023】
この場合には、当選状況通知コマンドに実際と異なる不可状態制御手段による制御状況を含ませても、演出制御手段においてそれが実際と異なることが容易に分かるので、独自の判断により信頼性の高い演出を行うことができる。また、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0024】
また、前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドを、前回までのゲームで受信した当選状況通知コマンドと比較することにより、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することもできる。
【0025】
この場合には、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の状況を示すかどうかを高確率で判断することができるようになり、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0026】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されていないときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることができる。
【0027】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、前記特別入賞以外の入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることもできる。
【0028】
これらの場合には、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する場合が限られ、実際の状況とは異なる内容のものとなる確率を低くできる。すなわち、特別入賞の決定情報を持ち越すストック機では、一般的に特別入賞の決定情報が設定されている場合は、設定されていない場合よりも少なくなるからである。また、特別入賞以外の決定情報が設定される場合は設定されない場合よりも少ないからである。これにより、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。図2は、図1のスロットマシンの前面扉を開放した状態で視認される内部構造を示す図である。図3は、図1のスロットマシンの前面扉の背面側の構造を示す図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19(図1)にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。
【0031】
図1〜図3を参照して説明すると、このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MRの駆動によって回転/停止させられる。
【0032】
リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「色なし7」、「色つき7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。また、リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SRと、背面から光を照射するリールランプ3LPとが設けられている。
【0033】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、ゲーム回数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。ゲーム回数表示部21は、7セグメント表示器によるゲーム回数表示器51によって構成され、後述するビッグボーナスやレギュラーボーナス時にゲーム数、入賞数をカウントするカウンタの値を表示する。
【0034】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0035】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、26、及び3枚賭け表示部27、28が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、賭け数に応じて有効化されたライン(以下、有効ラインという)に対応してそれぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58が点灯状態となることで、各ゲームにおける有効ラインを遊技者に示す。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、また、後述する役への入賞があった場合に1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58が点滅状態となることで、後述する役に入賞した有効ラインを遊技者に示す。
【0036】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0037】
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態に応じた様々な演出用の画像を表示する。演出用の画像は、例えば、一連の動画像によって構成されるもので、その演出の過程や最終画面によって、後述する内部抽選へ当選したこと、またはその可能性があることが告知(内部抽選の当選確率が100%であることを報知するもの)または予告(内部抽選に当選している可能性があることを報知するもの)される。また、液晶表示器4には、遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
【0038】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図4参照)が内部に配されている。
【0039】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図4参照)またはMAXBETスイッチ46(図4参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図4参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0040】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。
【0041】
スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図4参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図4参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。
【0042】
停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となっていることを、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図4参照)が点灯状態となることにより、遊技者に示す。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図4参照)が点灯状態となることで、後述するビッグボーナス当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが100%の確率で設定されていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0043】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。ホッパー80は、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されている。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図4参照)が発した光が照射される。ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク95の内部には、貯留するメダルが満タンになったことを検知する満タンセンサ90が設けられている。
【0044】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、入賞時及びビッグボーナス、レギュラーボーナス突入時の効果音の出力や、異常時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出用の音声の出力を行う。
【0045】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A〜75Mの発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A〜5Mが設けられている。遊技効果表示部5A〜5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A〜5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0046】
また、スロットマシン1の内部には、後述する内部抽選への当選確率を設定する設定スイッチ91、設定スイッチ91を開錠操作により操作可能とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112(図5参照))をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94を備える電源ユニット9が設けられている。設定スイッチ91の操作は、設定キースイッチ92の開錠操作が必要となっていることから、遊技店の店員などの特定の権限を持っている者しか行うことができない。また、第2リセットスイッチ93と同様の機能を有する第1リセットスイッチ48が、前面扉背面側の施錠装置19に対応する位置に設けられている。
【0047】
上記の各部を制御する制御基板として、内部下側に配された電源基板100、内部上側にそれぞれ配された遊技制御基板101、リール中継基板103、リールランプ中継基板104及び外部出力基板105、並びに前面扉裏側に配された演出制御基板102が設けられている。図4は、各制御基板100〜105を含む、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図5は、遊技制御基板101及び演出制御基板102に搭載された回路構成要素及び信号配線を示す図である。
【0048】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。なお、図4では、遊技制御基板101及びホッパー80にのみ接続されているが、他の各部への電力の供給も行っている。また、電源基板100には、設定スイッチ91、設定キースイッチ92、第2リセットスイッチ93、メインスイッチ94が接続されており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。
【0049】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、バッファ回路117、スイッチ回路118、モータ回路119その他の回路を搭載している。
【0050】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込み機能を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0051】
乱数発生回路115は、所定時間(例えば、2ミリ秒)間隔でカウントするカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115が発生している数値を取得する。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。CPU111は、また、所定時間毎のタイマ割り込みに従ってRAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
【0052】
CPU111は、I/Oポート114及びバッファ回路117を介して演出制御基板102に、後述する当選状況通知コマンドを含む各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報が送られることはない。
【0053】
遊技制御基板101には、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0054】
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ゲーム回数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、56、3枚賭けランプ57、58、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0055】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、ROM113内の遊技状態に対応したリール制御テーブルを参照して、モータ回路119及びリール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MLを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。なお、遊技状態が後述するRT(Replay Time)にあるときに参照されるリール制御テーブルによっては、ボーナス入賞がされないようになっている。
【0056】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。
【0057】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。演出の実行は、バッファ回路127及びI/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンド(特に当選状況通知コマンド)に基づいて行われる。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0058】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A〜75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されており、これらを駆動するため、スピーカ駆動回路131、表示駆動回路132、ランプ駆動回路133等を備えている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0059】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。外部出力基板105は、ホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力されたビッグボーナス中信号、レギュラーボーナス中信号、リール制御信号、ストップスイッチ信号、メダルIN信号、メダルOUT信号を、当該外部装置に出力する。
【0060】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の賭け数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞が発生するためには、当該役の内部当選フラグが設定されている必要があるが、その詳細については後述する。入賞の際には、メダルの払い出しが行われ、また、入賞に伴って遊技状態が変化させられる(但し、RTへの制御は、入賞の発生に伴って行われるものではない)。以下、これらの入賞と判定される“役”について説明する。
【0061】
通常の遊技状態において、賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「BAR」が3つ揃った場合、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、レギュラーボーナスゲーム(JACゲーム)と称されるゲームを所定回(例えば、12回)だけ行うこと、または所定回(例えば、8回)だけ入賞する(有効ライン上に「JAC」が揃う)ことにより終了する。遊技制御基板101には、レギュラーボーナスゲームの回数及びその入賞回数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このレギュラーボーナスに移行した状態、すなわちレギュラーボーナスゲームが提供されている遊技状態を第1の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定される。
【0062】
賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「色つき7」が3つ、または「色なし7」が3つ揃った場合には、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを最大30ゲーム行うことができる。この小役ゲームでは、比較的高い確率で有効ライン上に「JAC」が揃い(JACIN)、JACINすると、前述したレギュラーボーナスが提供される(最大3回)。
【0063】
ビッグボーナスは、30回の小役ゲームが終了するか、3回目のJACINに基づいたレギュラーボーナスが終了することにより終了する。遊技制御基板101には、小役ゲーム回数、JACINの回数、レギュラーボーナスゲームのゲーム数及びその入賞数、並びにビッグボーナス中におけるメダルの獲得枚数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このビッグボーナスに移行した状態を第2の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にビッグボーナス中フラグが設定される。
【0064】
また、レギュラーボーナスゲーム(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)以外のゲームで、有効ライン上に「スイカ」または「ベル」が揃った場合、或いは左のリール3Lについて「チェリー」が現れた場合には、小役入賞となる。ビッグボーナス期間中において提供される小役ゲームとレギュラーボーナスゲーム(ビッグボーナス中を含む)とを除き、有効ライン上に「JAC」が揃った場合には、リプレイ入賞となる。
【0065】
なお、リプレイ入賞は、厳密な意味での小役入賞ではないが、遊技状態の移行を伴わない点では他の小役入賞と変わりがないので、特に断りがない限り、この実施の形態において「小役」といった場合には、リプレイを含むものとする。また、ボーナス時にリプレイと同じ位置にフラグが設定されるJACINやレギュラーボーナス中のJACについても、「小役」に含まれるものとする。また、単に「ボーナス」といった場合は、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの両方を含むものとする。
【0066】
以上説明した役への入賞があった場合には、リプレイ入賞であった場合を除いて、それぞれの役に応じた枚数のメダルが払い出される(但し、クレジット数が50に達するまでは、役に応じた数のクレジットがデータとして蓄積され、この場合もメダルと同様に有価価値を払い出したこととなる)。また、メダルの払い出しの枚数は、ベルの小役が8枚、チェリーの小役が2枚である他は、全て15枚である。
【0067】
次に、上記した各役への入賞の発生を可能とする当選フラグの設定について説明する。各役の当選フラグは、RAM112に設定されるものであるが、小役当選フラグは、内部抽選の結果により設定される。ボーナス当選は、内部抽選の結果により一旦ストックされ、RAM112にボーナス当選フラグが設定されていない状態のときに、ストックからシフトされてボーナス当選フラグが設定されるものである。ボーナス当選のストックは、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの別にRAM112に記憶される。もっとも、記憶容量の関係から、ビッグボーナスとレギュラーボーナスについてストック数に上限数が設けられている。
【0068】
次に、内部抽選とボーナス当選のストック及びその放出について、さらに詳細に説明する。内部抽選は、後述する各役への入賞を許容するかどうかを事前に決定するものであり、ゲーム毎にハードウェア乱数機能を用いて取得した内部抽選用の乱数、設定スイッチ91による設定、遊技者が設定した賭け数、及び現在の遊技状態に基づいてROM113内に用意された当選判定用テーブルを参照し、CPU111が行うことで、このような事前決定のための手段が構成される。内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
【0069】
小役に当選した場合は、当該ゲームにおいて当選役に対応した当選フラグがRAM112に設定される。ビッグボーナス中にJACINに当選した場合は、JACIN当選フラグ(リプレイ当選フラグと同じ位置)が、レギュラーボーナス中にJACに当選した場合は、JAC当選フラグ(リプレイフラグと実質的に同じ位置)がRAM112に設定される。RAM112に小役当選フラグが設定されていると、該当する小役に入賞可能となる。なお、小役当選フラグは、各ゲームの終了時において消去され、次ゲーム移行に持ち越されることはない。
【0070】
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選した場合は、それぞれのストック数の上限に達するまで、RAM112のストック数記憶部にその当選が一旦ストックされる。ここで、いずれの種類のボーナス当選フラグも設定されていなければ、ストックされたボーナス当選がシフトされ、該当するボーナス当選フラグが設定されると共に、当該ボーナス当選のストック数が1だけマイナスされる。
【0071】
もっとも、ボーナス入賞によりボーナス当選フラグが消去されても、その時点でストックされたボーナス当選がボーナス当選フラグとしてシフトされるのではなく、当該ボーナス入賞に基づくボーナス終了時においてさらにボーナス当選がストックされていれば、その時点でストックされたボーナス当選がボーナス当選フラグとしてシフトされる。ボーナス当選のストックから当選フラグへシフトする場合、当選がストックされているのがビッグボーナスとレギュラーボーナスの一方だけであれば、必然的にストックされている種類のものが選ばれてシフトされるが、両方がストックされている場合には、後述するようにいずれかが選択されてシフトされる。
【0072】
もっとも、ボーナス当選フラグが設定されたからといって、ボーナス入賞が可能になるというものではない。ボーナス当選フラグが設定されるときには、遊技状態がRTに制御され、ボーナス入賞が不可能となるリール制御テーブルが選ばれてリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるからである。このRTへの制御によりボーナス当選フラグが設定されていても、ボーナス入賞が不可能となっている状態も、ボーナス当選がストックされている状態として扱われる。
【0073】
RTの遊技状態が解除され、ストックされたボーナス当選が放出される、すなわちボーナス入賞が可能となるのは、遊技状態がRTに制御されてから所定ゲームを経過したときであるが、そのRTパンクゲーム数としては、ゲーム数大(例えば、700ゲーム程度)とゲーム数小(例えば、120ゲーム程度)のいずれかがボーナス当選フラグの設定時に選ばれ、RAM112に設けられるRTカウンタに設定される。RTカウンタの値は、RTの遊技状態で1ゲームが行われる度に1ずつマイナスされていき、その値が0となると通常の遊技状態に戻る。
【0074】
こうして遊技状態がRTに制御され、ボーナス入賞が不可能となっている間のゲームでも内部抽選においてボーナス入賞をすることは可能であり、ボーナス当選がストックされることとなるものである。RTパンクゲーム数を消化し、通常の遊技状態に戻ると、ボーナス入賞が可能なリール制御テーブルが選ばれることとなるので、RAM112に設定されたボーナス当選フラグに基づいてボーナス入賞することが可能となる。
【0075】
上記した各役への当選確率を決めるための当選判定用テーブルは、遊技状態によって異なるものが選ばれるので、各役への当選確率は、遊技状態によって変化する。もっとも、通常の遊技状態とRTにおいては、リプレイ当選の確率が遊技の進行に影響を及ぼさない程度に僅かな範囲で変化するに過ぎず、他の役への当選確率には全く差がない。RTは、通常の遊技状態とは異なるリール制御テーブルを使用してボーナス入賞させないようにし、これによりボーナス当選のストックが可能となるように便宜的に用いている遊技状態に過ぎない。
【0076】
上記した内部抽選及びストックのボーナス当選のシフトによる各種当選フラグの設定状況と、RTの制御状態(実質的にボーナス当選のストックの有無を示す)に関する情報は、当選状況通知コマンドとして遊技制御基板101から演出制御基板102へと送信される。当選フラグの設定状況とRTの制御状態に従って選択されるリール制御テーブルに関する情報も、当選状況通知コマンドにより遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信される。
【0077】
図6は、当選状況通知コマンドの例を示す図である。当選状況通知コマンドとしては、内部抽選が行われたとき(具体的にはスタートレバー11が操作されたとき)に、図6(a)に示す当選状況通知コマンド(1)301−1と、図6(b)に示す当選状況通知コマンド(2)301−2とが生成され、演出制御基板102へと送信される。
【0078】
当選状況通知コマンド(1)301−1は、BB部、RB部、小役部を含む。BB部及びRB部は、値が1となっているときに、それぞれビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグが設定されていることを示す。小役部は、値が0であればいずれの小役の当選フラグも設定されていないことを、値が1であればリプレイ当選フラグが設定されていることを、値が2であれば「チェリー」の小役当選フラグが設定されていることを、値が3であれば「ベル」の小役当選フラグが設定されていることを、値が4であれば「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示す。
【0079】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、告知部、RT部、及び停止制御情報部を含む。告知部は、値が1となっているときに、ボーナス告知ランプ66の点灯によりボーナス当選を告知すべきことを指示することを示す。RT部は、値が0であれば遊技状態がRTにないことを、それ以外の値であればRTの遊技状態が終了するまでの残りゲーム数を示す。値が1であればRT終了までの残りゲーム数が1を、値が2であればRT終了までの残りゲーム数が2を、値が3であればRT終了までの残りゲーム数が3を、値が4であればRT終了までの残りゲーム数が4を、値が5であればRT終了までの残りゲーム数が5を、値が4であればRT終了までの残りゲーム数が6〜110を、値が7であればRT終了までの残りゲーム数が111以上であることを示す。停止制御情報部は、遊技状態及び当選フラグの設定状況に従って選択されるリール制御テーブルの種類を示す。
【0080】
もっとも、各種当選フラグの設定状況がそのまま遊技制御基板101から外部に送信されてしまうと、これを解析することで不正を行うことが可能となってしまう。RTの制御状態についても、実質的にボーナス当選のストックの有無が分かってしまうので、同じように不正が可能となる。もっとも、リール制御テーブルに関する情報は、これだけでは各種当選フラグの設定状況やRTの制御状態を完全に確定できるものではない。
【0081】
そこで、各種当選フラグの設定状況を含む当選状況通知コマンド(1)301−1と、RTの制御状態を含む当選状況通知コマンド(2)301−2とは、所定の確率で本来の内容とは異なる内容を示すものに変換された上で、演出制御基板102に送信される。当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を変換するために、ソフトウェア乱数と当選状況通知コマンド変換テーブルとが用いられている。図7は、当選状況状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を変換するための当選状況通知コマンド変換テーブルを示す図である。
【0082】
当選状況通知コマンド(1)301−1、2の内容を変換するソフトウェア乱数としては、乱数A、乱数B、乱数Cの3つが用いられている。乱数Aは、1〜223の範囲で更新される乱数であり、乱数Bは、1〜227の範囲で更新される乱数であり、乱数Cは、1〜229の範囲で更新される乱数である。乱数A、B、Cは、それぞれ223個、227個、229個の値をとり得るが、これらの数が互いに素であり、同期する周期が長くなっている。また、乱数Aと乱数Bとが当選フラグの設定状況を含む当選状況通知コマンド(1)301−1を変換するために用いられるが、実質的に223×227=50621個の値をとり得るものとなっている。
【0083】
当選状況通知コマンド(1)301−1の変換処理を行う場合、まず、乱数Aを取得し、この値が1以外であれば当選状況通知コマンド(1)301−1を変換しない。取得した乱数Aの値が1であったならば、さらに乱数Bを取得する。この乱数Bの値に従って、遊技状態が通常かRTであれば図7(a)に示す当選状況通知コマンド変換テーブル302−1を参照して、遊技状態がボーナスであれば図7(b)に示す当選状況通知コマンド変換テーブル302−2を参照して、当選状況通知コマンド(1)301−1を変換する。
【0084】
図7(a)及び(b)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−1、2から分かるように、当選状況通知コマンド(1)301−1は、ボーナス当選フラグが設定されておらず、かついずれかの種類の小役当選フラグが設定されているときに変換される。
【0085】
例えば、遊技状態が通常またはRTであり、「スイカ」の小役当選フラグのみが設定されているときに、乱数Bの値が1であればビッグボーナス当選フラグと「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示すものに変換され、乱数Bの値が1であればレギュラーボーナス当選フラグと「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示すものに変換される。乱数Bの値が3であればビッグボーナス当選フラグのみが設定されていていずれの小役当選フラグも設定されていないことを示すものを示すものに変換され、乱数Bの値が4であればレギュラーボーナス当選フラグのみが設定されていていずれの小役当選フラグも設定されていないことを示すものに変換され、乱数Bの値が5であればいずれの役の当選フラグも設定されていないことを示すものに変換される。乱数Bの値がそれ以外であれば、当選状況通知コマンド(1)301−1は、変換されない。
【0086】
また、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換処理を行う場合、乱数Cを取得し、取得した乱数Cの値に従って図7(c)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−3を参照して、当選状況通知コマンド(2)301−2を変換する。但し、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換は、ボーナス中でなく、かつボーナス当選フラグが設定されていないとき、すなわち、ボーナス当選のストックがなくなった通常の遊技状態のみにおいて行われる。
【0087】
例えば、ボーナス中でなく、かつボーナス当選フラグが設定されていないときに、乱数Cの値が0であれば、当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値を0とする。乱数Cの値が1であればRT部の値を1とし、乱数Cの値が2であればRT部の値を2とし、乱数Cの値が3であればRT部の値を3とし、乱数Cの値が4であればRT部の値を4とし、乱数Cの値が5であればRT部の値を5とし、乱数Cの値が6〜110であればRT部の値を6とし、乱数Cの値が111であればRT部の値を7とする。
【0088】
演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に従って、ボーナス告知演出またはボーナス予告演出を含む各種演出を行うこととなる。もっとも、単純に遊技制御基板101から送られてきたままの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に従って演出を行うのではなく、それが実際の当選フラグの設定状況及びRTの制御状態を示しているかどうかを判別し、その判別結果に従って演出を行う。
【0089】
この判別は、当選状況通知コマンド(2)302−2に含まれるリール制御テーブルに関する情報と比較したり、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を前回までのゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2と比較することによって行われる。このため、演出制御基板102のRAM121には、2回分のゲームで受信した当選状況通知コマンド301−1、2をそれぞれ一時保存するコマンド保存領域(1)及び(2)が設けられている。なお、遊技制御基板101から送られた当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が実際の当選フラグの設定状況及びRTの制御状態を示しているかどうかを判別するための手法の詳細については後述する。
【0090】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技動作について説明する。なお、以下の説明において“ゲーム”といった場合には、賭け数を設定してから、リール3L、3C、3Rを回転/停止するまでの一連の過程を含むものとする。さらに、リール3L、3C、3Rの回転停止に伴って、その後に何らかの処理(例えば、メダルの払い出しや遊技状態の移行)が行われる場合には、これも1ゲーム内の処理として含まれるものとする。
【0091】
図8は、遊技制御基板101のCPU111が実行する1ゲーム分の処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行った後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行った直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の所定の領域をクリアする処理を含む初期処理が行われる(ステップS1)。
【0092】
次に、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作することにより、或いはメダル投入口13からメダルを投入することにより賭け数を設定し、スタートレバー11を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行う(ステップS2)。但し、前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイフラグにより前のゲームと同じ賭け数が自動設定される(この段階でリプレイフラグが消去される)ので、そのままスタートレバー11を操作してゲームの開始を指示すればよい。
【0093】
BET処理により賭け数が設定され、スタートレバー11が操作されると、上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行う(ステップS3)。この抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて小役当選フラグが設定され、ボーナス当選がストックされる。ボーナス当選がストックされている状態でボーナス当選フラグが設定されていなければ、ボーナス当選フラグが設定される。また、ボーナス当選フラグを設定した後の所定のゲーム数だけボーナス入賞させないようにするRTへの遊技状態の制御も行われる。なお、抽選処理の詳細については後述する。
【0094】
抽選処理が終了すると、次にリール変動開始処理が行われる(ステップS4)。リール変動開始処理では、前回のゲームでのリール3L、3C、3Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(例えば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動させ、左、中、右の全てのリール3L、3C、3Rを回転開始させる。これにより、可変表示装置2において図柄が可変表示される。前回のゲームでの回転開始から所定時間が経過していない場合、回転開始待ちとなり、ウェイトランプ61を点灯させることによりその旨をウェイト表示部31で報知する。なお、リール3L、3C、3Rを回転開始させる順序は、RAM112に設定されている各種フラグの状態に従って変化させてもよい。また、回転開始時にリール停止タイマ及び次回のゲームのための1ゲームタイマの計時を開始する。
【0095】
その後、リール変動停止処理が行われる(ステップS5)。リール変動停止処理では、リールの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立した後、停止ボタン12L、12C、12Rを操作有効とし、それぞれ遊技者によって操作されることにより、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動停止させ、リール3L、3C、3Rの回転を停止させる。また、リール停止タイマが計時する時間が所定時間(例えば、30秒)を経過すると、リール3L、3C、3Rの駆動を強制的に停止させる。
【0096】
このとき、RAM112に設定している遊技状態に応じたリール制御テーブルを参照して、当選フラグ設定部301の各役の当選フラグの設定状況に応じてリール3L、3C、3Rの駆動停止を制御する。RTの遊技状態において参照されるリール制御テーブルでは、当選フラグ設定部301にボーナス当選フラグが設定されていても、ボーナス入賞が発生しないようになっている。
【0097】
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示態様において、ステップS2のBET処理で設定した賭け数に応じた有効ライン上に上記したいずれかの役図柄が揃ったかどうかを判定する入賞判定処理が行われる(ステップS6)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行われると共に、入賞に関わらない各種の処理も行われる。なお、入賞判定処理の詳細については後述する。
【0098】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われ、入賞判定処理において設定した払い出し予定メダル枚数だけだけクレジットを増加させる。但し、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる(ステップS7)。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。なお、入賞判定処理において払い出し予定メダル枚数が設定されていない場合には、払出処理を行わない。
【0099】
次に、上記したステップS3の抽選処理について詳しく説明する。図9は、CPU111がステップS3で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。まず、ハードウェア乱数機能を利用して内部抽選用の乱数を取得し、当該取得した乱数の値をRAM112に一時格納する(ステップS101)。次に、RAM112に一時格納した乱数を、設定スイッチ91による確率設定、ステップS2のBET処理で設定した賭け数、並びに現在の遊技状態(通常中、RT中、ビッグボーナス中及びレギュラーボーナス中)に応じた当選判定用テーブルと比較する(ステップS102)。
【0100】
次に、RAM112のボーナス中フラグの状態を参照して、現在の遊技状態がボーナス中であるかどうかを判定する(ステップS103)。現在の遊技状態がボーナス中であれば、さらにボーナス当選されることもボーナス当選のストックが放出されることもない。そこで、そのまま後述するステップS117の処理に進む。
【0101】
現在の遊技状態がボーナス中でなければ、ステップS102で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、ビッグボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS104)。ビッグボーナスに当選していた場合には、ストック数記憶部302のビッグボーナスストック数が既に上限数に達しているかどうかを判定する(ステップS105)。ビッグボーナスストック数が上限数に達していなければ、ビッグボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS106)。そして、ステップS110の処理に進む。
【0102】
ステップS104で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、ビッグボーナスに当選していなければ、今度はレギュラーボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS107)。レギュラーボーナスに当選していた場合には、ストック数記憶部302のレギュラーボーナスストック数が既に上限数に達しているかどうかを判定する(ステップS108)。レギュラーボーナスストック数が上限数に達していなければ、レギュラーボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS109)。そして、ステップS110の処理に進む。
【0103】
ステップS110では、当選フラグ設定部301を参照してボーナス当選中であるかどうか、すなわちビッグボーナス当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグのいずれかが設定されているかどうかを判定する。ボーナス当選中であれば、ステップS117の処理に進む。ボーナス当選中でなければ、ストック数記憶部302を参照してビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選がストックされているかどうかを判定する(ステップS111)。いずれの当選もストックされていなければ、ステップS117の処理に進む。
【0104】
ボーナス当選中でなく、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの少なくとも一方の当選がストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、RTパンクゲーム数を、ゲーム数大またはゲーム数小のいずれかに決定する(ステップS112)。そして、決定したRTゲーム数をRAM112のRTカウンタにセットする(ステップS113)。このRTゲーム数のセットにより、今回のゲームから遊技状態がRTとなってボーナス入賞が不可能となる。
【0105】
次に、ストックされているボーナスのうちでRT終了後に放出することとなるボーナスの種類を、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれかに決定する。ここで、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれか一方しかストックされていなければ、ストックされている種類のボーナスが放出することとなる種類として決定される。いずれもストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、上記した範囲内の比率で放出が行われるようにボーナスの種類を決定する(ステップS114)。
【0106】
RT終了後に放出することとなるボーナスの種類が決定されると、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの決定種類に対応したボーナス当選フラグを、当選フラグ設定部301に設定する(ステップS115)。さらに当選した種類のボーナスについてストック数記憶部302にストックされている数を1だけマイナスする(ステップS116)。そして、ステップS117の処理に進む。
【0107】
ステップS117では、ステップS102で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、何らかの種類の小役またはリプレイに当選しているかどうかを判定する。いずれかの種類に当選している場合は、当選した役に対応した当選フラグをRAM112に設定する(ステップS118)。そして、ステップS119の処理に進む。いずれの種類の小役及びリプレイにも当選していなければ、そのままステップS119の処理に進む。
【0108】
ステップS119では、各役の当選フラグの設定状況に従って当選状況通知コマンド(1)301−1を生成し、RAM112に一時的に設定する。また、RTカウンタの値と現在の遊技状態及び当選状況に従って選択されるリール制御テーブルに従って当選状況通知コマンド(2)301−2を生成し、RAM112に一時的に設定する。
【0109】
その後、RAM112に設定した当選状況通知コマンド(1)、(2)301−1、2を所定の確率で本来の状況とは異なる内容のコマンドに変換する当選状況通知コマンド変換処理を行う(ステップS120)。当選状況通知コマンド変換処理の詳細については後述する。当選状況通知コマンド変換処理を経て当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が確定すると、確定した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を順次演出制御基板102に送信する(ステップS121)。そして、抽選処理を終了し、図8の処理に復帰する。
【0110】
図10は、ステップS120の当選状況通知コマンド変換処理を詳細に示すフローチャートである。当選状況通知コマンド変換処理では、まず、RAM112のレギュラーボーナス中フラグの設定状況を参照して、現在の遊技状態がレギュラーボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS201)。現在の遊技状態がレギュラーボーナスにあれば、そのまま当選状況通知コマンド変換処理を終了して、図9の処理に復帰する。
【0111】
現在の遊技状態がレギュラーボーナスでなければ、ソフトウェア乱数機能により乱数A、Bの値を取得する(ステップS202)。さらにRAM112のビッグボーナス中フラグの設定状況を参照して、現在の遊技状態がビッグボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS203)。現在の遊技状態がビッグボーナスにあれば、取得した乱数A、Bの値に従って、図7(b)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−2を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(1)301−1を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する(ステップS204)。そして、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0112】
現在の遊技状態がビッグボーナスでもなかった場合、すなわち通常の遊技状態からRTであった場合には、取得した乱数A、Bの値に従って、図7(a)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−1を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(1)301−1を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する(ステップS205)。さらに、RAM112にボーナス当選フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS206)。ボーナス当選フラグが設定されていなければ、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0113】
ボーナス当選フラグが設定されていなければ(この場合は、通常の遊技状態)、ソフトウェア乱数機能により今度は乱数Cの値を取得する(ステップS207)。取得した乱数Cの値に従って、図7(c)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−3を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(2)301−2を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する。具体的にはRT部の値を乱数Cの値に応じたものに更新する(ステップS208)。そして、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0114】
次に、上記したステップS6の入賞判定処理について詳しく説明する。図11は、CPU111がステップS6で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、賭け数に応じて設定された有効ラインの何らかの図柄のうちのいずれかが揃ったかどうかを判定する(ステップS301)。何の図柄も揃っていなければ、後述するステップS304の処理に進む。何らかの図柄が揃っていた場合には、RAM112の当選フラグを参照して、揃っていた種類の図柄に対応する役が事前の内部抽選に当選していたかどうかを判定する(ステップS302)。
【0115】
有効ライン上に揃った図柄に対応した役が内部当選していたものでなければ、エラー終了する。有効ライン上に揃った図柄に対応した役が内部当選していたものであれば当該役への入賞となり、当該入賞に関連した各種処理を含む入賞関連処理を行う(ステップS303)。この入賞関連処理では、入賞の発生した有効ラインに対応した1枚、2枚または3枚賭けランプ54〜58の点滅表示、ビッグボーナスに入賞した場合のビッグボーナス当選フラグの消去及びビッグボーナス中フラグの設定、レギュラーボーナスに入賞した場合のレギュラーボーナス当選フラグの消去及びレギュラーボーナス中フラグの設定、リプレイ以外の役に入賞した場合の払い出し予定数の設定、リプレイに入賞した場合のリプレイフラグの設定が含まれる。
【0116】
ステップS304では、入賞が発生したかどうかとは無関係な各種処理を含む非入賞関連処理を行う。非入賞関連処理の詳細については後述する。非入賞関連処理が終了すると、入賞判定処理を終了し、図8の処理に復帰する。
【0117】
図12は、ステップS304の非入賞関連処理を詳細に示すフローチャートである。非入賞関連処理では、まず、当選フラグ設定部301に設定されている小役当選フラグを消去する(ステップS401)。次に、RAM112のビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグの状態を参照し、現在の遊技状態がボーナス中となっているかどうかを判定する(ステップS402)。
【0118】
現在の遊技状態がボーナス中となっていなければ、さらにRTカウンタの値が0より大きくなっているかどうかにより、現在の遊技状態がRT中となっているかどうかどうかを判定する(ステップS403)。現在の遊技状態がRT中でもなければ、そのまま非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0119】
現在の遊技状態がRT中であれば、RTカウンタの値を1だけマイナスする(ステップS404)。なお、こうしてRTカウンタの値が0となると、RTの遊技状態から通常の遊技状態に戻り、次のゲームから当選フラグ設定部301に設定されているボーナス当選フラグに基づくボーナス入賞の発生が可能となる。そして、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0120】
ステップS402において現在の遊技状態がボーナス中となっていた場合には、RAM112の各種カウンタを用い、当該ボーナスに遊技状態が移行されてからの消化ゲーム数(ビッグボーナスでは、小役ゲーム数とその中のレギュラーボーナスにおけるゲーム数を別々にカウントする)、さらにはレギュラーボーナスゲームにおける入賞数をカウントする(ステップS405)。その結果として、現在のボーナスの終了条件(ビッグボーナス中のレギュラーボーナスを除く)が成立したかどうかを判定する(ステップS406)。現在のボーナスの終了条件が成立していなければ、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0121】
現在のボーナスの終了条件が成立した場合には、RAM112に設定されているボーナス中フラグを消去する(ステップS407)。ストック数記憶部302を参照してビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選がさらにストックされているかどうかを判定する(ステップS408)。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれの当選もストックされていなければ、そのまま非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0122】
ビッグボーナスとレギュラーボーナスの少なくとも一方の当選がストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、RTパンクゲーム数を、ゲーム数大またはゲーム数小のいずれかに決定する(ステップS409)。そして、決定したRTゲーム数をRAM112のRTカウンタにセットする(ステップS410)。このRTゲーム数のセットにより、次回のゲームから遊技状態がRTとなってボーナス入賞が不可能となる。
【0123】
次に、ストックされているボーナスのうちでRT終了後に放出することとなるボーナスの種類を、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれかに決定する。ここで、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれか一方しかストックされていなければ、ストックされている種類のボーナスが放出することとなる種類として決定される。いずれもストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、上記した範囲内の比率で放出が行われるようにボーナスの種類を決定する(ステップS411)。
【0124】
RT終了後に放出することとなるボーナスの種類が決定されると、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの決定種類に対応したボーナス当選フラグを、当選フラグ設定部301に設定する(ステップS412)。さらに当選した種類のボーナスについてストック数記憶部302にストックされている数を1だけマイナスする(ステップS413)。そして、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0125】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、レギュラーボーナス及びビッグボーナスの間で遊技状態の移行を行っており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、独自の処理による演出を行っている。以下、演出制御基板102のCPU121が各種の演出を行うために実行する処理について説明する。
【0126】
図13(a)は、演出制御基板102のCPU121が実行するコマンド受信待機処理を示すフローチャートである。演出制御基板102側では、遊技制御基板101から送られてくるコマンドの受信を受信したかどうかを判定している(ステップS501)。コマンドを受信するまでは、ステップS301の処理を繰り返し、コマンドの受信を待機している状態にある。遊技制御基板101からいずれかのコマンドを受信すると、受信したコマンドの種類が何であるかを判定する(ステップS502)。
【0127】
受信したコマンドの種類がステップS121で先に送信された当選状況通知コマンド(1)301−1であった場合には、これをRAM122のコマンド(1)保存領域に一時保存する。ここで、コマンド(1)保存領域が前回のゲームと前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)によっていずれも埋まっている場合には、前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)に、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)301−1を上書きして保存する(ステップS503)。そして、ステップS501の処理に戻る。
【0128】
受信したコマンドの種類がステップS121で先に送信された当選状況通知コマンド(2)302−2であった場合には、これをRAM122のコマンド(2)保存領域に一時保存する。ここで、コマンド(2)保存領域が前回のゲームと前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)によっていずれも埋まっている場合には、前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)に、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)302−2を上書きして保存する(ステップS504)。
【0129】
次に、コマンド(1)、(2)保存領域に保存されている、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2と、前回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に基づいて、ボーナス当選を告知または予告するための演出処理を行う(ステップS505)。この演出処理の詳細については後述する。演出処理を終了すると、ステップS501の処理に戻る。
【0130】
また、受信したコマンドの種類が他のコマンドであった場合には、それぞれのコマンドの種類に応じた処理(本発明と関係ないので、詳細は省略)を実行する(ステップS506)。その後、ステップS501の処理に戻る。
【0131】
図13(b)は、ステップS505の演出処理を詳細に示すフローチャートである。演出処理では、コマンド(1)、(2)保存領域に保存されている、前回及び今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べる(ステップS551)。
【0132】
例えば、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2でRT部の値が0でなく、遊技状態がRTにあることを示していても、停止制御情報部でRTにおけるリール制御テーブルが選ばれていないと、今回の当選状況通知コマンド(2)301−2が示すRT中であることは、本来の内容でないことが分かる。今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1がボーナス当選フラグの設定を示し、当選状況通知コマンド(2)301−2でRT中でないことを示しているが、ボーナス入賞が不可能なリール制御テーブルが選ばれていると、実際にはボーナス当選フラグが設定されていないかRT中でないことが分かる。
【0133】
また、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1でボーナス当選フラグの設定を示しているのに、前回のゲームでボーナス当選フラグの設定を示していないときは、遊技状態がRTを示さなければならないはずである。このときに、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2でRT部の値が0となっていたり、停止制御情報部でRTにおけるリール制御テーブルが選ばれていなかったりすると、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が示すボーナス当選フラグの設定は、本来の内容ではないことが分かる。
【0134】
また、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1でボーナス当選フラグの設定を示していないのに、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値が0となっていなければ、RT部が示すRT中であることは、本来の内容でないことが分かる。今回及び前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1がいずれもボーナス当選を示すが、ボーナスの種類が異なる場合には、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が示すボーナス当選フラグの設定は、本来の内容ではないことが分かる。今回及び前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が同種のボーナス当選を示すが、当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値で示すRTの残りゲーム数の減り方が1より大きくなってしまう場合には、ボーナス当選もRT中でないことも本来の内容でないことが分かる。
【0135】
さらに他の手法により今回のゲームと前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を調べても、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が示すボーナス当選フラグの設定やRT中であることが本来の内容ではないことが分からなければ、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が示すとおりに、ボーナス当選フラグが設定され、また、遊技状態がRTにあるものとして判別する。
【0136】
次に、保存された当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べた結果として、ボーナス当選フラグが設定されていると判別できたかどうかを判定する(ステップS552)。ボーナス当選フラグが設定されていると判別できた場合には、保存された当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べた結果として、遊技状態がRTにあると判別できたかどうかを判定する(ステップS553)。
【0137】
ボーナス当選フラグが設定されていて、かつ遊技状態がRTにあると判別できた場合には、ボーナス当選フラグが設定されていることを確定的に示すボーナス告知演出を含む任意の種類の演出を選択して、液晶表示器4に表示される画像などにより演出を行う(ステップS554)。そして、演出処理を終了し、図13(a)の処理に復帰する。
【0138】
一方、ボーナス当選フラグが設定されていると判別できなかった場合や、遊技状態がRTにあると判別できなかった場合には、ボーナス当選フラグが設定されていることを確定的に示すボーナス告知演出以外の種類の演出を選択して、液晶表示器4に表示される画像などにより演出を行う(ステップS555)。そして、演出処理を終了し、図13(a)の処理に復帰する。
【0139】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、演出制御基板102において独自に演出を行うために、ゲーム毎に遊技制御基板101から演出制御基板102に当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を送信している。当選状況通知コマンド(1)301−1は、当選フラグの設定状況を含むものであるが、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されるので、当選フラグの設定状況が遊技制御基板101の外部に完全に漏れてしまうことがなく、不正が行われるのを防ぐことができる。
【0140】
また、当選状況通知コマンド(2)301−2は、RTの制御状況を含むものであるが、これについても所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換される。RTの制御状況からは直接的にボーナス当選のストック状況が判断できてしまうものであるが、これも遊技制御基板101の外部に完全に漏れてしまうことが内ので、不正が行われるのを防ぐことができる。また、当選フラグの設定状況やRTの制御状況(実施的にボーナス当選のストック状況)が外部に完全に漏れてしまわないので、ストックマシン1が本来有する面白みを失ってしまうこともない。
【0141】
ところで、遊技状態がRTに制御されているときは、ボーナス当選フラグが設定されているもののボーナス入賞は発生し得ない。このスロットマシン1では、当選状況通知コマンド(2)301−2にRTの制御状況を含ませたことで、ボーナス入賞が発生し得ないときにボーナス告知の演出がされないようにすることができるので、遊技者の信頼感を失ってしまうことがない。
【0142】
当選状況通知コマンド(1)301−1の内容が変換されるのは、ボーナス当選当選フラグが設定されておらず、かついずれかの種類の小役当選フラグが設定されている場合に限られている。また、当選状況通知コマンド(2)301−2が変換されるのは、ボーナス当選フラグが設定されておらず、かつボーナス中でもない場合に限られている。このように当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が変換される場合が限定されることで、実際とは異なる内容のものが演出制御基板102に送信される確率が低くなる。各役の当選状況について演出制御基板102において誤った判断がされる場合が少なくなり、演出の信頼性が高くなる。
【0143】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、RTの制御状況としてRT解除までの残りゲーム数を含んでいるが、これには全部で8種類のものがある。これにより、本来の内容とは異なる当選状況通知コマンド(2)301−2の種類が多くなる。また、RTの制御状況に関する情報を残りゲーム数で示すことで、その態様が区別しやすく、また前回のゲームのものとの比較により当選状況通知コマンド(2)301−2が示すRTの制御状況が本来のものと異なるかどうかを判断しやすくなる。
【0144】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、停止制御情報として選択されたリール制御テーブルの種類を含んでいるが、リール制御テーブルは、当選フラグの設定状況及び遊技状態に従って選ばれるものである。停止制御情報は本来の内容と異なっていることがないので、当選状況通知コマンド(1)301−1に含まれる当選フラグの設定状況や当選状況通知コマンド(2)301−2に含まれるRTの制御状況を停止制御情報と比較することで、その内容が変換されているかどうかをかなりの程度まで判断することができるようになる。これにより、当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が実際の内容であるかどうかを演出制御基板102において独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。また、内容の変換される当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の種類を多くしても、変換されたことの判別が不可能なものは非常に少なくなる。
【0145】
当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2は、ゲーム毎に独立してその内容が演出制御基板102において調べられるのではなく、前回のゲームで受信したものもRAM122に保存しておいて、今回のゲームで受信したものとの比較によりその内容が調べられる。これにより、演出制御基板102において当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が変換されているかどうかを判断できる場合が多くなり、当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が実際の内容であるかどうかを演出制御基板102において独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0146】
このように当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2は、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されるが、その場合であっても演出制御基板102のCPU121が変換されていることを判断することができ、ボーナス当選フラグが設定されていないのに設定されていると判別したり、RT中であるのにRT中でないと判別したりする確率は、他のエラーの発生確率に比べても十分に低くすることができる。このため、演出制御基板102で独自に行われるボーナス告知演出は、信頼性の高いものとすることができる。
【0147】
なお、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技状態がRTに制御された後、それが解除されてボーナス入賞が可能となるまでのゲーム数がRTの制御時に予め決められることとなる。このため、ボーナス入賞がないままRTが解除されるまで延々と遊技者がゲームを続けてしまうという、いわゆるハマリが起こるのを防ぐことができるようになる。
【0148】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0149】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(2)302−2のRT部の値は、RTの残りゲーム数を示すものであったが、遊技状態がRTに移行された(すなわち、ボーナス当選フラグが設定された)後の消化ゲーム数を示すものであってもよい。RTカウンタの値もRTに移行されてからの消化ゲーム数を示すものであってもよいが、RTの終了条件としてゲーム数大及び小の2通りがあり、その値だけでは遊技状態がRTにあるかどうかを示すことができないので、この場合には、RTカウンタとは別にRT中フラグを設けるものとすればよい。
【0150】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(1)301−1は、当選状況通知コマンド変換テーブル302−1、2に従って、小役当選フラグが設定されている場合にのみ本来の内容とは異なるものに変換されることとなっていたが、当選状況通知コマンド(2)301−2(RTの制御状態に関する情報)は、ボーナス中かボーナス当選しているとき以外は、当選フラグの設定状況に関わらず、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されることとなっていた。
【0151】
しかしながら、当選状況通知コマンド(2)301−2も、小役当選フラグが設定されている場合にのみ、本来の内容とは異なるものに変換されることとしてもよい。これにより、当選状況通知コマンド(2)301−2を本来の内容と異なるものとに変換する確率も、当選状況通知コマンド(1)301−1を変換する確率以下に小さくすることができる。
【0152】
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグが設定されていても、遊技状態がRTにある場合には、このときに選択されるリール制御テーブルによりボーナス入賞することは完全に不可能となっていた。しかしながら、例えば、RT時に選択するリール制御テーブルとして、完全に正しい手順による場合10分の1の確率でボーナス入賞させられるものを考えると、停止ボタン12L、12C、12Rの押し順として6通り、図柄の組み合わせとして12通りのものがあると、(1/10)×(1/6)×(1/12)=1/720というようにボーナス入賞が困難となるものであってもよい。このようにRT時にボーナス入賞を完全に不可能としなくても、RT時にはボーナス入賞がボーナス当選確率よりも低い確率でしか発生しないほど困難なものとすることで、ボーナス当選のストック機能を実現することもできる。
【0153】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(1)301−1の変換と、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換は、全く独立に行われるものとしていた。これに対して、当選状況通知コマンド(1)301−1を本来の内容とは異なる内容に変換した場合は、当選状況通知コマンド(2)301−2を変換せずに、演出制御基板102に送信するものとしてもよい。この場合には、演出制御基板102のCPU121が、受信した当選状況通知コマンドが本来の内容と異なる内容に変換されていることが分かる場合が多くなる。
【0154】
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグの設定と、さらなるボーナス当選のストックとをRAM112において分けていたが、ストック数のトータルを示す複数ビットのボーナス当選フラグを設けるものとしてもよい。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのストックを当選順に記憶しておき、当選した順番でビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれかを放出するようにしてもよい。また、ボーナス当選フラグが設定されている場合に、遊技状態をRTとしてボーナス入賞させないことだけでなく、所定ゲーム数だけボーナス入賞を不可能とするような制御をすれば、他の方法によりボーナス当選のストックを実現することもできる。
【0155】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0156】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、不可状態制御手段による制御状況について完全に正確な情報が遊技制御手段の外部に漏れることがなく、不正が行われるのを防止できると共に、スロットマシン本来の面白みを損なうことがない。また、不可状態制御手段による制御が解除されるまでのゲーム数が予め決まっていることで、遊技者がハマってしまうのを防ぐことができる。
【0157】
請求項2の発明によれば、不可状態制御手段による制御状況に限っては実際とは異なるものを含む当選状況通知コマンドが生成され、演出制御手段に送信される確率を低くすることができる。
【0158】
請求項3の発明によれば、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0159】
請求項4の発明によれば、当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様を変えることで、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0160】
請求項5の発明によれば、演出制御手段において不可状態制御手段による制御状況の態様を区別しやすく、また当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様が実際のものであるかどうかを判別しやすい。
【0161】
請求項6の発明によれば、当選状況通知コマンドに実際と異なる不可状態制御手段による制御状況を含ませても、演出制御手段においてそれが実際と異なることが容易に分かるので、独自の判断により信頼性の高い演出を行うことができる。また、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0162】
請求項7の発明によれば、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の状況を示すかどうかを高確率で判断することができるようになり、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0163】
請求項8の発明によれば、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する確率を低くでき、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【0164】
請求項9の発明によれば、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する確率を低くでき、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの前面扉を開放した状態で視認される内部構造を示す図である。
【図3】図1のスロットマシンの前面扉の背面側の構造を示す図である。
【図4】図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図5】遊技制御基板及び演出制御基板に搭載された回路構成要素及び信号配線を示す図である。
【図6】当選状況通知コマンドの例を示す図である。
【図7】遊技制御基板内のROMに格納された当選状況通知コマンド変換テーブルの例を示す図である。
【図8】遊技制御基板内の制御部が、1ゲーム毎に実行する処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の抽選処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9の当選状況通知コマンド変換処理を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図8の入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図11の非入賞関連処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】演出制御基板の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
101 遊技制御基板
102 演出制御基板
301−1、2 当選状況通知コマンド
302−1〜3 当選状況通知コマンド変換テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットマシンに関し、特にいわゆるストック機能を有するスロットマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
スロットマシンは、一般に、外周部に複数種類の図柄が描かれた複数のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールの回転を停止したときにおける表示態様に従って入賞が発生するものである。そして、発生した入賞の種類によっては、有価価値としてのメダルの払い出しが行われるだけでなく、ビッグボーナスやレギュラーボーナス(以下、これらをまとめて単にボーナスという)と呼ばれる特別遊技状態に移行し、遊技者にとって有利な状態で遊技が進行するようになっている。
【0003】
ボーナスを含む各役の入賞が発生するためには、事前(通常は、スタートレバー操作時)に行われる内部抽選において当該役に当選し、対応する当選フラグが設定されている必要がある。ボーナス入賞によって遊技者は多くのメダルを獲得することができるようになるので、ボーナス当選フラグが設定されているかどうかは、遊技者にとって最も知りたい情報の1つである。
【0004】
ボーナス当選フラグの設定状況を報知(ボーナス告知またはボーナス予告)するものとして、従来よりボーナス告知ランプや可変表示装置上に現れるリーチ目やチャンス目が知られていた。しかし、ボーナス告知ランプが点灯される場合は限られており、リーチ目やチャンス目は初心者には判断が難しいということから、近年のスロットマシンでは、液晶表示器などの演出装置を用い、その演出によってボーナス告知やボーナス予告をするようになってきている。
【0005】
また、ビッグボーナスやレギュラーボーナスという特別遊技状態に加えて、内部当選している小役の種類を告知するAT(Assist Time)という遊技状態を設け、遊技者が多くのメダルを獲得できる機会を増やすと共に、遊技状態が様々に遷移されることで遊技の興趣を向上させたスロットマシンも存在する。このATにおける小役告知も、液晶表示器などの演出装置を用いた演出として行われるようにしたものが一般的である。
【0006】
液晶表示器などの演出装置の制御は、遊技の進行そのものを制御する遊技制御基板とは別に設けられた演出制御基板により行われているものが多い。遊技制御基板の側にかかる負荷を小さくすると共に、豊富な態様の演出を行い得るようにするためである。演出制御基板の側でボーナス告知または予告や小役告知などを独自に行うためには、当選フラグの設定状況がコマンドによって遊技制御基板から演出制御基板に伝えられなければならない。
【0007】
一方、コマンドの送信によって当選フラグの設定状況が完全に遊技制御基板の外部に出てしまうと、不正が行われる恐れもあるため、所定の確率で実際の当選フラグの設定状況とは異なる内容のコマンドに変換し、当選フラグの設定状況を完全には外部に出さないようにしたスロットマシンも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−239070号公報
【0009】
ところで、最近のスロットマシンには、各ゲームにおいて行った内部抽選におけるボーナス当選を複数持ち越す機能(以下、ストック機能)を持つものがある。このストック機能を実現するためには、ボーナス当選をしても所定の条件が成立するまではボーナス入賞させないように制御する必要があるが、そのための方法として、遊技状態をRT(Replay Time:もっとも、実際のリプレイ入賞確率は、通常の遊技状態とほとんど変わらない)に制御し、この間にボーナス入賞が不可能なリール制御テーブルを選択するようにしたものなどがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなストック機においては、遊技状態がRTに制御されているということは、ボーナス当選がストックされているということを意味している。遊技状態がRTにあるかどうかまで分からなければ、ボーナス入賞が可能であるという本来の意味でのボーナス告知やボーナス予告を行えないが、これがコマンドとして完全に遊技制御基板の外部に出てしまうと、やはり当選フラグの場合と同様に不正が行われる恐れがある。
【0011】
本発明は、いわゆるストック機能を有するスロットマシンにおいて、特別入賞(いわゆるボーナス入賞)の発生が不可能または困難な状態の制御状況を完全に遊技制御手段の外部に出すことなく、演出制御手段に伝えられるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
1ゲームに対して賭け数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、可変表示装置(可変表示装置2)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じたコマンドを送信する遊技制御手段(遊技制御基板101)と、
前記遊技制御手段から送信されたコマンドを受信し、該受信したコマンドに従って演出手段に演出を行わせる演出制御手段(演出制御基板102)とを備え、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に前記入賞の発生を許容するか否かを決定し、その結果を示す決定情報を設定する事前決定手段(ステップS3)と、
前記事前決定手段により特別入賞(ボーナス入賞)の発生が許容された旨を示す決定情報が設定され、該決定情報により許容された特別入賞が発生しないときに、当該決定情報を次ゲーム以降に持ち越す(ストックする)と共に、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報を複数個持ち越すことが可能な決定情報持越手段(RAM112)と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記特別入賞の発生が不可能または困難な状態(RT)に制御する不可状態制御手段(ステップS113、S410)と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてから、所定の方法により選択された所定ゲーム数を消化したときに、前記不可状態制御手段による制御を解除し、前記特別入賞の発生が可能または容易な状態とする不可状態解除手段(ステップS404)と、
前記決定情報の設定状況と前記不可状態制御手段による制御状況を含む当選状況通知コマンド(当選状況通知コマンド301−1、301−2)を生成するコマンド生成手段(ステップS119、S120)と、
前記コマンド生成手段が生成した当選状況通知コマンドを、前記演出制御手段に送信するコマンド送信手段(ステップS121)とを備え、
前記コマンド生成手段は、所定の確率で前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とする。
【0013】
上記スロットマシンでは、不可状態制御手段による制御状況について完全に正確な情報が遊技制御手段の外部に出力されないので、不可状態制御手段による制御状況から特別入賞の決定情報が持ち越されているかどうかということが外部に漏れない。これにより、不正が行われるのを防止できると共に、スロットマシン本来の面白みを損なうことがない。また、不可状態制御手段による制御が解除されるまでのゲーム数が予め決まっていることで、遊技者がハマってしまうのを防ぐことができる。
【0014】
なお、特別入賞の発生が不可能な状態とは、その発生が完全に不可能な状態であり、これが解除された状態が可能な状態ということである。一方、特別入賞の発生が困難な状態とは、特別入賞の発生が完全に不可能という訳ではないが、かなり低い確率でしか発生し得ない状態であり、これが解除された状態が容易な状態ということである。
【0015】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、さらに、所定の確率で前記決定情報の実際の設定状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることもできる。
【0016】
この場合には、決定情報の設定状況を実際とは異なる内容のものとすることで、結果として不可状態制御手段による制御状況に限っては実際とは異なるものを含む当選状況通知コマンドが生成され、演出制御手段に送信される確率を低くすることができる。
【0017】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段が実際の状況とは異なる内容に変換した当選状況通知コマンドには、前記演出制御手段が前記不可状態制御手段による実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを判別可能なものを含むものであってもよい。
【0018】
この場合には、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0019】
ここで、前記不可状態制御手段による制御状況に、複数の態様がある場合には、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている不可状態制御手段による制御状況の態様に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することができる。
【0020】
なお、前記不可状態制御手段による制御状況の態様は、該不可状態制御手段による制御が解除されるまでの残りゲーム数、または前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてからの消化ゲーム数によって区別されるものとすることができる。
【0021】
このように当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様を変えることで、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。ここで、不可状態制御手段による制御状況の態様を残りゲーム数または消化ゲーム数で区別することによって、演出制御手段においてその態様の違いが区別しやすく、また当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様が実際のものであるかどうかを判別しやすくなる。
【0022】
また、前記可変表示装置は、前記不可状態制御手段による制御状況に応じた制御方法で制御されて表示結果を導出するものである場合には、
前記コマンド生成手段が生成する当選状況通知コマンドは、さらに前記可変表示装置の制御方法(当選状況通知コマンド301−2の停止制御方法)を含むことができ、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている前記可変表示装置の制御方法に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することができる。
【0023】
この場合には、当選状況通知コマンドに実際と異なる不可状態制御手段による制御状況を含ませても、演出制御手段においてそれが実際と異なることが容易に分かるので、独自の判断により信頼性の高い演出を行うことができる。また、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0024】
また、前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドを、前回までのゲームで受信した当選状況通知コマンドと比較することにより、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別することもできる。
【0025】
この場合には、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の状況を示すかどうかを高確率で判断することができるようになり、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0026】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されていないときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることができる。
【0027】
上記スロットマシンにおいて、
前記コマンド生成手段は、前記特別入賞以外の入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成するものとすることもできる。
【0028】
これらの場合には、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する場合が限られ、実際の状況とは異なる内容のものとなる確率を低くできる。すなわち、特別入賞の決定情報を持ち越すストック機では、一般的に特別入賞の決定情報が設定されている場合は、設定されていない場合よりも少なくなるからである。また、特別入賞以外の決定情報が設定される場合は設定されない場合よりも少ないからである。これにより、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。図2は、図1のスロットマシンの前面扉を開放した状態で視認される内部構造を示す図である。図3は、図1のスロットマシンの前面扉の背面側の構造を示す図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19(図1)にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。
【0031】
図1〜図3を参照して説明すると、このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MRの駆動によって回転/停止させられる。
【0032】
リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「色なし7」、「色つき7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。また、リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SRと、背面から光を照射するリールランプ3LPとが設けられている。
【0033】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、ゲーム回数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。ゲーム回数表示部21は、7セグメント表示器によるゲーム回数表示器51によって構成され、後述するビッグボーナスやレギュラーボーナス時にゲーム数、入賞数をカウントするカウンタの値を表示する。
【0034】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0035】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、26、及び3枚賭け表示部27、28が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、賭け数に応じて有効化されたライン(以下、有効ラインという)に対応してそれぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58が点灯状態となることで、各ゲームにおける有効ラインを遊技者に示す。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、また、後述する役への入賞があった場合に1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58が点滅状態となることで、後述する役に入賞した有効ラインを遊技者に示す。
【0036】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0037】
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態に応じた様々な演出用の画像を表示する。演出用の画像は、例えば、一連の動画像によって構成されるもので、その演出の過程や最終画面によって、後述する内部抽選へ当選したこと、またはその可能性があることが告知(内部抽選の当選確率が100%であることを報知するもの)または予告(内部抽選に当選している可能性があることを報知するもの)される。また、液晶表示器4には、遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
【0038】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図4参照)が内部に配されている。
【0039】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図4参照)またはMAXBETスイッチ46(図4参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図4参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0040】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。
【0041】
スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図4参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図4参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。
【0042】
停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となっていることを、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図4参照)が点灯状態となることにより、遊技者に示す。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図4参照)が点灯状態となることで、後述するビッグボーナス当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが100%の確率で設定されていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0043】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。ホッパー80は、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されている。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図4参照)が発した光が照射される。ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク95の内部には、貯留するメダルが満タンになったことを検知する満タンセンサ90が設けられている。
【0044】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、入賞時及びビッグボーナス、レギュラーボーナス突入時の効果音の出力や、異常時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出用の音声の出力を行う。
【0045】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A〜75Mの発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A〜5Mが設けられている。遊技効果表示部5A〜5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A〜5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0046】
また、スロットマシン1の内部には、後述する内部抽選への当選確率を設定する設定スイッチ91、設定スイッチ91を開錠操作により操作可能とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112(図5参照))をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94を備える電源ユニット9が設けられている。設定スイッチ91の操作は、設定キースイッチ92の開錠操作が必要となっていることから、遊技店の店員などの特定の権限を持っている者しか行うことができない。また、第2リセットスイッチ93と同様の機能を有する第1リセットスイッチ48が、前面扉背面側の施錠装置19に対応する位置に設けられている。
【0047】
上記の各部を制御する制御基板として、内部下側に配された電源基板100、内部上側にそれぞれ配された遊技制御基板101、リール中継基板103、リールランプ中継基板104及び外部出力基板105、並びに前面扉裏側に配された演出制御基板102が設けられている。図4は、各制御基板100〜105を含む、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図5は、遊技制御基板101及び演出制御基板102に搭載された回路構成要素及び信号配線を示す図である。
【0048】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。なお、図4では、遊技制御基板101及びホッパー80にのみ接続されているが、他の各部への電力の供給も行っている。また、電源基板100には、設定スイッチ91、設定キースイッチ92、第2リセットスイッチ93、メインスイッチ94が接続されており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。
【0049】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、バッファ回路117、スイッチ回路118、モータ回路119その他の回路を搭載している。
【0050】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込み機能を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0051】
乱数発生回路115は、所定時間(例えば、2ミリ秒)間隔でカウントするカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115が発生している数値を取得する。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。CPU111は、また、所定時間毎のタイマ割り込みに従ってRAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
【0052】
CPU111は、I/Oポート114及びバッファ回路117を介して演出制御基板102に、後述する当選状況通知コマンドを含む各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報が送られることはない。
【0053】
遊技制御基板101には、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0054】
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ゲーム回数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、56、3枚賭けランプ57、58、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0055】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、ROM113内の遊技状態に対応したリール制御テーブルを参照して、モータ回路119及びリール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MLを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。なお、遊技状態が後述するRT(Replay Time)にあるときに参照されるリール制御テーブルによっては、ボーナス入賞がされないようになっている。
【0056】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。
【0057】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。演出の実行は、バッファ回路127及びI/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンド(特に当選状況通知コマンド)に基づいて行われる。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0058】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A〜75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されており、これらを駆動するため、スピーカ駆動回路131、表示駆動回路132、ランプ駆動回路133等を備えている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0059】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。外部出力基板105は、ホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力されたビッグボーナス中信号、レギュラーボーナス中信号、リール制御信号、ストップスイッチ信号、メダルIN信号、メダルOUT信号を、当該外部装置に出力する。
【0060】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の賭け数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞が発生するためには、当該役の内部当選フラグが設定されている必要があるが、その詳細については後述する。入賞の際には、メダルの払い出しが行われ、また、入賞に伴って遊技状態が変化させられる(但し、RTへの制御は、入賞の発生に伴って行われるものではない)。以下、これらの入賞と判定される“役”について説明する。
【0061】
通常の遊技状態において、賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「BAR」が3つ揃った場合、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、レギュラーボーナスゲーム(JACゲーム)と称されるゲームを所定回(例えば、12回)だけ行うこと、または所定回(例えば、8回)だけ入賞する(有効ライン上に「JAC」が揃う)ことにより終了する。遊技制御基板101には、レギュラーボーナスゲームの回数及びその入賞回数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このレギュラーボーナスに移行した状態、すなわちレギュラーボーナスゲームが提供されている遊技状態を第1の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定される。
【0062】
賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「色つき7」が3つ、または「色なし7」が3つ揃った場合には、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを最大30ゲーム行うことができる。この小役ゲームでは、比較的高い確率で有効ライン上に「JAC」が揃い(JACIN)、JACINすると、前述したレギュラーボーナスが提供される(最大3回)。
【0063】
ビッグボーナスは、30回の小役ゲームが終了するか、3回目のJACINに基づいたレギュラーボーナスが終了することにより終了する。遊技制御基板101には、小役ゲーム回数、JACINの回数、レギュラーボーナスゲームのゲーム数及びその入賞数、並びにビッグボーナス中におけるメダルの獲得枚数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このビッグボーナスに移行した状態を第2の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にビッグボーナス中フラグが設定される。
【0064】
また、レギュラーボーナスゲーム(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)以外のゲームで、有効ライン上に「スイカ」または「ベル」が揃った場合、或いは左のリール3Lについて「チェリー」が現れた場合には、小役入賞となる。ビッグボーナス期間中において提供される小役ゲームとレギュラーボーナスゲーム(ビッグボーナス中を含む)とを除き、有効ライン上に「JAC」が揃った場合には、リプレイ入賞となる。
【0065】
なお、リプレイ入賞は、厳密な意味での小役入賞ではないが、遊技状態の移行を伴わない点では他の小役入賞と変わりがないので、特に断りがない限り、この実施の形態において「小役」といった場合には、リプレイを含むものとする。また、ボーナス時にリプレイと同じ位置にフラグが設定されるJACINやレギュラーボーナス中のJACについても、「小役」に含まれるものとする。また、単に「ボーナス」といった場合は、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの両方を含むものとする。
【0066】
以上説明した役への入賞があった場合には、リプレイ入賞であった場合を除いて、それぞれの役に応じた枚数のメダルが払い出される(但し、クレジット数が50に達するまでは、役に応じた数のクレジットがデータとして蓄積され、この場合もメダルと同様に有価価値を払い出したこととなる)。また、メダルの払い出しの枚数は、ベルの小役が8枚、チェリーの小役が2枚である他は、全て15枚である。
【0067】
次に、上記した各役への入賞の発生を可能とする当選フラグの設定について説明する。各役の当選フラグは、RAM112に設定されるものであるが、小役当選フラグは、内部抽選の結果により設定される。ボーナス当選は、内部抽選の結果により一旦ストックされ、RAM112にボーナス当選フラグが設定されていない状態のときに、ストックからシフトされてボーナス当選フラグが設定されるものである。ボーナス当選のストックは、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの別にRAM112に記憶される。もっとも、記憶容量の関係から、ビッグボーナスとレギュラーボーナスについてストック数に上限数が設けられている。
【0068】
次に、内部抽選とボーナス当選のストック及びその放出について、さらに詳細に説明する。内部抽選は、後述する各役への入賞を許容するかどうかを事前に決定するものであり、ゲーム毎にハードウェア乱数機能を用いて取得した内部抽選用の乱数、設定スイッチ91による設定、遊技者が設定した賭け数、及び現在の遊技状態に基づいてROM113内に用意された当選判定用テーブルを参照し、CPU111が行うことで、このような事前決定のための手段が構成される。内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
【0069】
小役に当選した場合は、当該ゲームにおいて当選役に対応した当選フラグがRAM112に設定される。ビッグボーナス中にJACINに当選した場合は、JACIN当選フラグ(リプレイ当選フラグと同じ位置)が、レギュラーボーナス中にJACに当選した場合は、JAC当選フラグ(リプレイフラグと実質的に同じ位置)がRAM112に設定される。RAM112に小役当選フラグが設定されていると、該当する小役に入賞可能となる。なお、小役当選フラグは、各ゲームの終了時において消去され、次ゲーム移行に持ち越されることはない。
【0070】
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選した場合は、それぞれのストック数の上限に達するまで、RAM112のストック数記憶部にその当選が一旦ストックされる。ここで、いずれの種類のボーナス当選フラグも設定されていなければ、ストックされたボーナス当選がシフトされ、該当するボーナス当選フラグが設定されると共に、当該ボーナス当選のストック数が1だけマイナスされる。
【0071】
もっとも、ボーナス入賞によりボーナス当選フラグが消去されても、その時点でストックされたボーナス当選がボーナス当選フラグとしてシフトされるのではなく、当該ボーナス入賞に基づくボーナス終了時においてさらにボーナス当選がストックされていれば、その時点でストックされたボーナス当選がボーナス当選フラグとしてシフトされる。ボーナス当選のストックから当選フラグへシフトする場合、当選がストックされているのがビッグボーナスとレギュラーボーナスの一方だけであれば、必然的にストックされている種類のものが選ばれてシフトされるが、両方がストックされている場合には、後述するようにいずれかが選択されてシフトされる。
【0072】
もっとも、ボーナス当選フラグが設定されたからといって、ボーナス入賞が可能になるというものではない。ボーナス当選フラグが設定されるときには、遊技状態がRTに制御され、ボーナス入賞が不可能となるリール制御テーブルが選ばれてリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるからである。このRTへの制御によりボーナス当選フラグが設定されていても、ボーナス入賞が不可能となっている状態も、ボーナス当選がストックされている状態として扱われる。
【0073】
RTの遊技状態が解除され、ストックされたボーナス当選が放出される、すなわちボーナス入賞が可能となるのは、遊技状態がRTに制御されてから所定ゲームを経過したときであるが、そのRTパンクゲーム数としては、ゲーム数大(例えば、700ゲーム程度)とゲーム数小(例えば、120ゲーム程度)のいずれかがボーナス当選フラグの設定時に選ばれ、RAM112に設けられるRTカウンタに設定される。RTカウンタの値は、RTの遊技状態で1ゲームが行われる度に1ずつマイナスされていき、その値が0となると通常の遊技状態に戻る。
【0074】
こうして遊技状態がRTに制御され、ボーナス入賞が不可能となっている間のゲームでも内部抽選においてボーナス入賞をすることは可能であり、ボーナス当選がストックされることとなるものである。RTパンクゲーム数を消化し、通常の遊技状態に戻ると、ボーナス入賞が可能なリール制御テーブルが選ばれることとなるので、RAM112に設定されたボーナス当選フラグに基づいてボーナス入賞することが可能となる。
【0075】
上記した各役への当選確率を決めるための当選判定用テーブルは、遊技状態によって異なるものが選ばれるので、各役への当選確率は、遊技状態によって変化する。もっとも、通常の遊技状態とRTにおいては、リプレイ当選の確率が遊技の進行に影響を及ぼさない程度に僅かな範囲で変化するに過ぎず、他の役への当選確率には全く差がない。RTは、通常の遊技状態とは異なるリール制御テーブルを使用してボーナス入賞させないようにし、これによりボーナス当選のストックが可能となるように便宜的に用いている遊技状態に過ぎない。
【0076】
上記した内部抽選及びストックのボーナス当選のシフトによる各種当選フラグの設定状況と、RTの制御状態(実質的にボーナス当選のストックの有無を示す)に関する情報は、当選状況通知コマンドとして遊技制御基板101から演出制御基板102へと送信される。当選フラグの設定状況とRTの制御状態に従って選択されるリール制御テーブルに関する情報も、当選状況通知コマンドにより遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信される。
【0077】
図6は、当選状況通知コマンドの例を示す図である。当選状況通知コマンドとしては、内部抽選が行われたとき(具体的にはスタートレバー11が操作されたとき)に、図6(a)に示す当選状況通知コマンド(1)301−1と、図6(b)に示す当選状況通知コマンド(2)301−2とが生成され、演出制御基板102へと送信される。
【0078】
当選状況通知コマンド(1)301−1は、BB部、RB部、小役部を含む。BB部及びRB部は、値が1となっているときに、それぞれビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグが設定されていることを示す。小役部は、値が0であればいずれの小役の当選フラグも設定されていないことを、値が1であればリプレイ当選フラグが設定されていることを、値が2であれば「チェリー」の小役当選フラグが設定されていることを、値が3であれば「ベル」の小役当選フラグが設定されていることを、値が4であれば「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示す。
【0079】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、告知部、RT部、及び停止制御情報部を含む。告知部は、値が1となっているときに、ボーナス告知ランプ66の点灯によりボーナス当選を告知すべきことを指示することを示す。RT部は、値が0であれば遊技状態がRTにないことを、それ以外の値であればRTの遊技状態が終了するまでの残りゲーム数を示す。値が1であればRT終了までの残りゲーム数が1を、値が2であればRT終了までの残りゲーム数が2を、値が3であればRT終了までの残りゲーム数が3を、値が4であればRT終了までの残りゲーム数が4を、値が5であればRT終了までの残りゲーム数が5を、値が4であればRT終了までの残りゲーム数が6〜110を、値が7であればRT終了までの残りゲーム数が111以上であることを示す。停止制御情報部は、遊技状態及び当選フラグの設定状況に従って選択されるリール制御テーブルの種類を示す。
【0080】
もっとも、各種当選フラグの設定状況がそのまま遊技制御基板101から外部に送信されてしまうと、これを解析することで不正を行うことが可能となってしまう。RTの制御状態についても、実質的にボーナス当選のストックの有無が分かってしまうので、同じように不正が可能となる。もっとも、リール制御テーブルに関する情報は、これだけでは各種当選フラグの設定状況やRTの制御状態を完全に確定できるものではない。
【0081】
そこで、各種当選フラグの設定状況を含む当選状況通知コマンド(1)301−1と、RTの制御状態を含む当選状況通知コマンド(2)301−2とは、所定の確率で本来の内容とは異なる内容を示すものに変換された上で、演出制御基板102に送信される。当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を変換するために、ソフトウェア乱数と当選状況通知コマンド変換テーブルとが用いられている。図7は、当選状況状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を変換するための当選状況通知コマンド変換テーブルを示す図である。
【0082】
当選状況通知コマンド(1)301−1、2の内容を変換するソフトウェア乱数としては、乱数A、乱数B、乱数Cの3つが用いられている。乱数Aは、1〜223の範囲で更新される乱数であり、乱数Bは、1〜227の範囲で更新される乱数であり、乱数Cは、1〜229の範囲で更新される乱数である。乱数A、B、Cは、それぞれ223個、227個、229個の値をとり得るが、これらの数が互いに素であり、同期する周期が長くなっている。また、乱数Aと乱数Bとが当選フラグの設定状況を含む当選状況通知コマンド(1)301−1を変換するために用いられるが、実質的に223×227=50621個の値をとり得るものとなっている。
【0083】
当選状況通知コマンド(1)301−1の変換処理を行う場合、まず、乱数Aを取得し、この値が1以外であれば当選状況通知コマンド(1)301−1を変換しない。取得した乱数Aの値が1であったならば、さらに乱数Bを取得する。この乱数Bの値に従って、遊技状態が通常かRTであれば図7(a)に示す当選状況通知コマンド変換テーブル302−1を参照して、遊技状態がボーナスであれば図7(b)に示す当選状況通知コマンド変換テーブル302−2を参照して、当選状況通知コマンド(1)301−1を変換する。
【0084】
図7(a)及び(b)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−1、2から分かるように、当選状況通知コマンド(1)301−1は、ボーナス当選フラグが設定されておらず、かついずれかの種類の小役当選フラグが設定されているときに変換される。
【0085】
例えば、遊技状態が通常またはRTであり、「スイカ」の小役当選フラグのみが設定されているときに、乱数Bの値が1であればビッグボーナス当選フラグと「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示すものに変換され、乱数Bの値が1であればレギュラーボーナス当選フラグと「スイカ」の小役当選フラグが設定されていることを示すものに変換される。乱数Bの値が3であればビッグボーナス当選フラグのみが設定されていていずれの小役当選フラグも設定されていないことを示すものを示すものに変換され、乱数Bの値が4であればレギュラーボーナス当選フラグのみが設定されていていずれの小役当選フラグも設定されていないことを示すものに変換され、乱数Bの値が5であればいずれの役の当選フラグも設定されていないことを示すものに変換される。乱数Bの値がそれ以外であれば、当選状況通知コマンド(1)301−1は、変換されない。
【0086】
また、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換処理を行う場合、乱数Cを取得し、取得した乱数Cの値に従って図7(c)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−3を参照して、当選状況通知コマンド(2)301−2を変換する。但し、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換は、ボーナス中でなく、かつボーナス当選フラグが設定されていないとき、すなわち、ボーナス当選のストックがなくなった通常の遊技状態のみにおいて行われる。
【0087】
例えば、ボーナス中でなく、かつボーナス当選フラグが設定されていないときに、乱数Cの値が0であれば、当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値を0とする。乱数Cの値が1であればRT部の値を1とし、乱数Cの値が2であればRT部の値を2とし、乱数Cの値が3であればRT部の値を3とし、乱数Cの値が4であればRT部の値を4とし、乱数Cの値が5であればRT部の値を5とし、乱数Cの値が6〜110であればRT部の値を6とし、乱数Cの値が111であればRT部の値を7とする。
【0088】
演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に従って、ボーナス告知演出またはボーナス予告演出を含む各種演出を行うこととなる。もっとも、単純に遊技制御基板101から送られてきたままの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に従って演出を行うのではなく、それが実際の当選フラグの設定状況及びRTの制御状態を示しているかどうかを判別し、その判別結果に従って演出を行う。
【0089】
この判別は、当選状況通知コマンド(2)302−2に含まれるリール制御テーブルに関する情報と比較したり、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を前回までのゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2と比較することによって行われる。このため、演出制御基板102のRAM121には、2回分のゲームで受信した当選状況通知コマンド301−1、2をそれぞれ一時保存するコマンド保存領域(1)及び(2)が設けられている。なお、遊技制御基板101から送られた当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が実際の当選フラグの設定状況及びRTの制御状態を示しているかどうかを判別するための手法の詳細については後述する。
【0090】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技動作について説明する。なお、以下の説明において“ゲーム”といった場合には、賭け数を設定してから、リール3L、3C、3Rを回転/停止するまでの一連の過程を含むものとする。さらに、リール3L、3C、3Rの回転停止に伴って、その後に何らかの処理(例えば、メダルの払い出しや遊技状態の移行)が行われる場合には、これも1ゲーム内の処理として含まれるものとする。
【0091】
図8は、遊技制御基板101のCPU111が実行する1ゲーム分の処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行った後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行った直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の所定の領域をクリアする処理を含む初期処理が行われる(ステップS1)。
【0092】
次に、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作することにより、或いはメダル投入口13からメダルを投入することにより賭け数を設定し、スタートレバー11を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行う(ステップS2)。但し、前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイフラグにより前のゲームと同じ賭け数が自動設定される(この段階でリプレイフラグが消去される)ので、そのままスタートレバー11を操作してゲームの開始を指示すればよい。
【0093】
BET処理により賭け数が設定され、スタートレバー11が操作されると、上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行う(ステップS3)。この抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて小役当選フラグが設定され、ボーナス当選がストックされる。ボーナス当選がストックされている状態でボーナス当選フラグが設定されていなければ、ボーナス当選フラグが設定される。また、ボーナス当選フラグを設定した後の所定のゲーム数だけボーナス入賞させないようにするRTへの遊技状態の制御も行われる。なお、抽選処理の詳細については後述する。
【0094】
抽選処理が終了すると、次にリール変動開始処理が行われる(ステップS4)。リール変動開始処理では、前回のゲームでのリール3L、3C、3Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(例えば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動させ、左、中、右の全てのリール3L、3C、3Rを回転開始させる。これにより、可変表示装置2において図柄が可変表示される。前回のゲームでの回転開始から所定時間が経過していない場合、回転開始待ちとなり、ウェイトランプ61を点灯させることによりその旨をウェイト表示部31で報知する。なお、リール3L、3C、3Rを回転開始させる順序は、RAM112に設定されている各種フラグの状態に従って変化させてもよい。また、回転開始時にリール停止タイマ及び次回のゲームのための1ゲームタイマの計時を開始する。
【0095】
その後、リール変動停止処理が行われる(ステップS5)。リール変動停止処理では、リールの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立した後、停止ボタン12L、12C、12Rを操作有効とし、それぞれ遊技者によって操作されることにより、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動停止させ、リール3L、3C、3Rの回転を停止させる。また、リール停止タイマが計時する時間が所定時間(例えば、30秒)を経過すると、リール3L、3C、3Rの駆動を強制的に停止させる。
【0096】
このとき、RAM112に設定している遊技状態に応じたリール制御テーブルを参照して、当選フラグ設定部301の各役の当選フラグの設定状況に応じてリール3L、3C、3Rの駆動停止を制御する。RTの遊技状態において参照されるリール制御テーブルでは、当選フラグ設定部301にボーナス当選フラグが設定されていても、ボーナス入賞が発生しないようになっている。
【0097】
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示態様において、ステップS2のBET処理で設定した賭け数に応じた有効ライン上に上記したいずれかの役図柄が揃ったかどうかを判定する入賞判定処理が行われる(ステップS6)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行われると共に、入賞に関わらない各種の処理も行われる。なお、入賞判定処理の詳細については後述する。
【0098】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われ、入賞判定処理において設定した払い出し予定メダル枚数だけだけクレジットを増加させる。但し、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる(ステップS7)。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。なお、入賞判定処理において払い出し予定メダル枚数が設定されていない場合には、払出処理を行わない。
【0099】
次に、上記したステップS3の抽選処理について詳しく説明する。図9は、CPU111がステップS3で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。まず、ハードウェア乱数機能を利用して内部抽選用の乱数を取得し、当該取得した乱数の値をRAM112に一時格納する(ステップS101)。次に、RAM112に一時格納した乱数を、設定スイッチ91による確率設定、ステップS2のBET処理で設定した賭け数、並びに現在の遊技状態(通常中、RT中、ビッグボーナス中及びレギュラーボーナス中)に応じた当選判定用テーブルと比較する(ステップS102)。
【0100】
次に、RAM112のボーナス中フラグの状態を参照して、現在の遊技状態がボーナス中であるかどうかを判定する(ステップS103)。現在の遊技状態がボーナス中であれば、さらにボーナス当選されることもボーナス当選のストックが放出されることもない。そこで、そのまま後述するステップS117の処理に進む。
【0101】
現在の遊技状態がボーナス中でなければ、ステップS102で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、ビッグボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS104)。ビッグボーナスに当選していた場合には、ストック数記憶部302のビッグボーナスストック数が既に上限数に達しているかどうかを判定する(ステップS105)。ビッグボーナスストック数が上限数に達していなければ、ビッグボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS106)。そして、ステップS110の処理に進む。
【0102】
ステップS104で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、ビッグボーナスに当選していなければ、今度はレギュラーボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS107)。レギュラーボーナスに当選していた場合には、ストック数記憶部302のレギュラーボーナスストック数が既に上限数に達しているかどうかを判定する(ステップS108)。レギュラーボーナスストック数が上限数に達していなければ、レギュラーボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS109)。そして、ステップS110の処理に進む。
【0103】
ステップS110では、当選フラグ設定部301を参照してボーナス当選中であるかどうか、すなわちビッグボーナス当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグのいずれかが設定されているかどうかを判定する。ボーナス当選中であれば、ステップS117の処理に進む。ボーナス当選中でなければ、ストック数記憶部302を参照してビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選がストックされているかどうかを判定する(ステップS111)。いずれの当選もストックされていなければ、ステップS117の処理に進む。
【0104】
ボーナス当選中でなく、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの少なくとも一方の当選がストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、RTパンクゲーム数を、ゲーム数大またはゲーム数小のいずれかに決定する(ステップS112)。そして、決定したRTゲーム数をRAM112のRTカウンタにセットする(ステップS113)。このRTゲーム数のセットにより、今回のゲームから遊技状態がRTとなってボーナス入賞が不可能となる。
【0105】
次に、ストックされているボーナスのうちでRT終了後に放出することとなるボーナスの種類を、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれかに決定する。ここで、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれか一方しかストックされていなければ、ストックされている種類のボーナスが放出することとなる種類として決定される。いずれもストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、上記した範囲内の比率で放出が行われるようにボーナスの種類を決定する(ステップS114)。
【0106】
RT終了後に放出することとなるボーナスの種類が決定されると、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの決定種類に対応したボーナス当選フラグを、当選フラグ設定部301に設定する(ステップS115)。さらに当選した種類のボーナスについてストック数記憶部302にストックされている数を1だけマイナスする(ステップS116)。そして、ステップS117の処理に進む。
【0107】
ステップS117では、ステップS102で乱数を当選判定用テーブルと比較した結果、何らかの種類の小役またはリプレイに当選しているかどうかを判定する。いずれかの種類に当選している場合は、当選した役に対応した当選フラグをRAM112に設定する(ステップS118)。そして、ステップS119の処理に進む。いずれの種類の小役及びリプレイにも当選していなければ、そのままステップS119の処理に進む。
【0108】
ステップS119では、各役の当選フラグの設定状況に従って当選状況通知コマンド(1)301−1を生成し、RAM112に一時的に設定する。また、RTカウンタの値と現在の遊技状態及び当選状況に従って選択されるリール制御テーブルに従って当選状況通知コマンド(2)301−2を生成し、RAM112に一時的に設定する。
【0109】
その後、RAM112に設定した当選状況通知コマンド(1)、(2)301−1、2を所定の確率で本来の状況とは異なる内容のコマンドに変換する当選状況通知コマンド変換処理を行う(ステップS120)。当選状況通知コマンド変換処理の詳細については後述する。当選状況通知コマンド変換処理を経て当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が確定すると、確定した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を順次演出制御基板102に送信する(ステップS121)。そして、抽選処理を終了し、図8の処理に復帰する。
【0110】
図10は、ステップS120の当選状況通知コマンド変換処理を詳細に示すフローチャートである。当選状況通知コマンド変換処理では、まず、RAM112のレギュラーボーナス中フラグの設定状況を参照して、現在の遊技状態がレギュラーボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS201)。現在の遊技状態がレギュラーボーナスにあれば、そのまま当選状況通知コマンド変換処理を終了して、図9の処理に復帰する。
【0111】
現在の遊技状態がレギュラーボーナスでなければ、ソフトウェア乱数機能により乱数A、Bの値を取得する(ステップS202)。さらにRAM112のビッグボーナス中フラグの設定状況を参照して、現在の遊技状態がビッグボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS203)。現在の遊技状態がビッグボーナスにあれば、取得した乱数A、Bの値に従って、図7(b)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−2を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(1)301−1を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する(ステップS204)。そして、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0112】
現在の遊技状態がビッグボーナスでもなかった場合、すなわち通常の遊技状態からRTであった場合には、取得した乱数A、Bの値に従って、図7(a)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−1を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(1)301−1を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する(ステップS205)。さらに、RAM112にボーナス当選フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS206)。ボーナス当選フラグが設定されていなければ、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0113】
ボーナス当選フラグが設定されていなければ(この場合は、通常の遊技状態)、ソフトウェア乱数機能により今度は乱数Cの値を取得する(ステップS207)。取得した乱数Cの値に従って、図7(c)の当選状況通知コマンド変換テーブル302−3を参照して、必要な場合に当選状況通知コマンド(2)301−2を、ステップS119で設定した内容とは異なるものに変換する。具体的にはRT部の値を乱数Cの値に応じたものに更新する(ステップS208)。そして、当選状況通知コマンド変換処理を終了し、図9の処理に復帰する。
【0114】
次に、上記したステップS6の入賞判定処理について詳しく説明する。図11は、CPU111がステップS6で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、賭け数に応じて設定された有効ラインの何らかの図柄のうちのいずれかが揃ったかどうかを判定する(ステップS301)。何の図柄も揃っていなければ、後述するステップS304の処理に進む。何らかの図柄が揃っていた場合には、RAM112の当選フラグを参照して、揃っていた種類の図柄に対応する役が事前の内部抽選に当選していたかどうかを判定する(ステップS302)。
【0115】
有効ライン上に揃った図柄に対応した役が内部当選していたものでなければ、エラー終了する。有効ライン上に揃った図柄に対応した役が内部当選していたものであれば当該役への入賞となり、当該入賞に関連した各種処理を含む入賞関連処理を行う(ステップS303)。この入賞関連処理では、入賞の発生した有効ラインに対応した1枚、2枚または3枚賭けランプ54〜58の点滅表示、ビッグボーナスに入賞した場合のビッグボーナス当選フラグの消去及びビッグボーナス中フラグの設定、レギュラーボーナスに入賞した場合のレギュラーボーナス当選フラグの消去及びレギュラーボーナス中フラグの設定、リプレイ以外の役に入賞した場合の払い出し予定数の設定、リプレイに入賞した場合のリプレイフラグの設定が含まれる。
【0116】
ステップS304では、入賞が発生したかどうかとは無関係な各種処理を含む非入賞関連処理を行う。非入賞関連処理の詳細については後述する。非入賞関連処理が終了すると、入賞判定処理を終了し、図8の処理に復帰する。
【0117】
図12は、ステップS304の非入賞関連処理を詳細に示すフローチャートである。非入賞関連処理では、まず、当選フラグ設定部301に設定されている小役当選フラグを消去する(ステップS401)。次に、RAM112のビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグの状態を参照し、現在の遊技状態がボーナス中となっているかどうかを判定する(ステップS402)。
【0118】
現在の遊技状態がボーナス中となっていなければ、さらにRTカウンタの値が0より大きくなっているかどうかにより、現在の遊技状態がRT中となっているかどうかどうかを判定する(ステップS403)。現在の遊技状態がRT中でもなければ、そのまま非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0119】
現在の遊技状態がRT中であれば、RTカウンタの値を1だけマイナスする(ステップS404)。なお、こうしてRTカウンタの値が0となると、RTの遊技状態から通常の遊技状態に戻り、次のゲームから当選フラグ設定部301に設定されているボーナス当選フラグに基づくボーナス入賞の発生が可能となる。そして、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0120】
ステップS402において現在の遊技状態がボーナス中となっていた場合には、RAM112の各種カウンタを用い、当該ボーナスに遊技状態が移行されてからの消化ゲーム数(ビッグボーナスでは、小役ゲーム数とその中のレギュラーボーナスにおけるゲーム数を別々にカウントする)、さらにはレギュラーボーナスゲームにおける入賞数をカウントする(ステップS405)。その結果として、現在のボーナスの終了条件(ビッグボーナス中のレギュラーボーナスを除く)が成立したかどうかを判定する(ステップS406)。現在のボーナスの終了条件が成立していなければ、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0121】
現在のボーナスの終了条件が成立した場合には、RAM112に設定されているボーナス中フラグを消去する(ステップS407)。ストック数記憶部302を参照してビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選がさらにストックされているかどうかを判定する(ステップS408)。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれの当選もストックされていなければ、そのまま非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0122】
ビッグボーナスとレギュラーボーナスの少なくとも一方の当選がストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、RTパンクゲーム数を、ゲーム数大またはゲーム数小のいずれかに決定する(ステップS409)。そして、決定したRTゲーム数をRAM112のRTカウンタにセットする(ステップS410)。このRTゲーム数のセットにより、次回のゲームから遊技状態がRTとなってボーナス入賞が不可能となる。
【0123】
次に、ストックされているボーナスのうちでRT終了後に放出することとなるボーナスの種類を、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれかに決定する。ここで、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれか一方しかストックされていなければ、ストックされている種類のボーナスが放出することとなる種類として決定される。いずれもストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得により、上記した範囲内の比率で放出が行われるようにボーナスの種類を決定する(ステップS411)。
【0124】
RT終了後に放出することとなるボーナスの種類が決定されると、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの決定種類に対応したボーナス当選フラグを、当選フラグ設定部301に設定する(ステップS412)。さらに当選した種類のボーナスについてストック数記憶部302にストックされている数を1だけマイナスする(ステップS413)。そして、非入賞関連処理を終了し、図11の処理に復帰する。
【0125】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、レギュラーボーナス及びビッグボーナスの間で遊技状態の移行を行っており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、独自の処理による演出を行っている。以下、演出制御基板102のCPU121が各種の演出を行うために実行する処理について説明する。
【0126】
図13(a)は、演出制御基板102のCPU121が実行するコマンド受信待機処理を示すフローチャートである。演出制御基板102側では、遊技制御基板101から送られてくるコマンドの受信を受信したかどうかを判定している(ステップS501)。コマンドを受信するまでは、ステップS301の処理を繰り返し、コマンドの受信を待機している状態にある。遊技制御基板101からいずれかのコマンドを受信すると、受信したコマンドの種類が何であるかを判定する(ステップS502)。
【0127】
受信したコマンドの種類がステップS121で先に送信された当選状況通知コマンド(1)301−1であった場合には、これをRAM122のコマンド(1)保存領域に一時保存する。ここで、コマンド(1)保存領域が前回のゲームと前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)によっていずれも埋まっている場合には、前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)に、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)301−1を上書きして保存する(ステップS503)。そして、ステップS501の処理に戻る。
【0128】
受信したコマンドの種類がステップS121で先に送信された当選状況通知コマンド(2)302−2であった場合には、これをRAM122のコマンド(2)保存領域に一時保存する。ここで、コマンド(2)保存領域が前回のゲームと前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)によっていずれも埋まっている場合には、前々回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)に、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(2)302−2を上書きして保存する(ステップS504)。
【0129】
次に、コマンド(1)、(2)保存領域に保存されている、今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2と、前回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2に基づいて、ボーナス当選を告知または予告するための演出処理を行う(ステップS505)。この演出処理の詳細については後述する。演出処理を終了すると、ステップS501の処理に戻る。
【0130】
また、受信したコマンドの種類が他のコマンドであった場合には、それぞれのコマンドの種類に応じた処理(本発明と関係ないので、詳細は省略)を実行する(ステップS506)。その後、ステップS501の処理に戻る。
【0131】
図13(b)は、ステップS505の演出処理を詳細に示すフローチャートである。演出処理では、コマンド(1)、(2)保存領域に保存されている、前回及び今回のゲームで受信した当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べる(ステップS551)。
【0132】
例えば、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2でRT部の値が0でなく、遊技状態がRTにあることを示していても、停止制御情報部でRTにおけるリール制御テーブルが選ばれていないと、今回の当選状況通知コマンド(2)301−2が示すRT中であることは、本来の内容でないことが分かる。今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1がボーナス当選フラグの設定を示し、当選状況通知コマンド(2)301−2でRT中でないことを示しているが、ボーナス入賞が不可能なリール制御テーブルが選ばれていると、実際にはボーナス当選フラグが設定されていないかRT中でないことが分かる。
【0133】
また、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1でボーナス当選フラグの設定を示しているのに、前回のゲームでボーナス当選フラグの設定を示していないときは、遊技状態がRTを示さなければならないはずである。このときに、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2でRT部の値が0となっていたり、停止制御情報部でRTにおけるリール制御テーブルが選ばれていなかったりすると、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が示すボーナス当選フラグの設定は、本来の内容ではないことが分かる。
【0134】
また、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1でボーナス当選フラグの設定を示していないのに、今回のゲームの当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値が0となっていなければ、RT部が示すRT中であることは、本来の内容でないことが分かる。今回及び前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1がいずれもボーナス当選を示すが、ボーナスの種類が異なる場合には、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が示すボーナス当選フラグの設定は、本来の内容ではないことが分かる。今回及び前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)301−1が同種のボーナス当選を示すが、当選状況通知コマンド(2)301−2のRT部の値で示すRTの残りゲーム数の減り方が1より大きくなってしまう場合には、ボーナス当選もRT中でないことも本来の内容でないことが分かる。
【0135】
さらに他の手法により今回のゲームと前回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容を調べても、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が示すボーナス当選フラグの設定やRT中であることが本来の内容ではないことが分からなければ、今回のゲームの当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2が示すとおりに、ボーナス当選フラグが設定され、また、遊技状態がRTにあるものとして判別する。
【0136】
次に、保存された当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べた結果として、ボーナス当選フラグが設定されていると判別できたかどうかを判定する(ステップS552)。ボーナス当選フラグが設定されていると判別できた場合には、保存された当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を調べた結果として、遊技状態がRTにあると判別できたかどうかを判定する(ステップS553)。
【0137】
ボーナス当選フラグが設定されていて、かつ遊技状態がRTにあると判別できた場合には、ボーナス当選フラグが設定されていることを確定的に示すボーナス告知演出を含む任意の種類の演出を選択して、液晶表示器4に表示される画像などにより演出を行う(ステップS554)。そして、演出処理を終了し、図13(a)の処理に復帰する。
【0138】
一方、ボーナス当選フラグが設定されていると判別できなかった場合や、遊技状態がRTにあると判別できなかった場合には、ボーナス当選フラグが設定されていることを確定的に示すボーナス告知演出以外の種類の演出を選択して、液晶表示器4に表示される画像などにより演出を行う(ステップS555)。そして、演出処理を終了し、図13(a)の処理に復帰する。
【0139】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、演出制御基板102において独自に演出を行うために、ゲーム毎に遊技制御基板101から演出制御基板102に当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2を送信している。当選状況通知コマンド(1)301−1は、当選フラグの設定状況を含むものであるが、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されるので、当選フラグの設定状況が遊技制御基板101の外部に完全に漏れてしまうことがなく、不正が行われるのを防ぐことができる。
【0140】
また、当選状況通知コマンド(2)301−2は、RTの制御状況を含むものであるが、これについても所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換される。RTの制御状況からは直接的にボーナス当選のストック状況が判断できてしまうものであるが、これも遊技制御基板101の外部に完全に漏れてしまうことが内ので、不正が行われるのを防ぐことができる。また、当選フラグの設定状況やRTの制御状況(実施的にボーナス当選のストック状況)が外部に完全に漏れてしまわないので、ストックマシン1が本来有する面白みを失ってしまうこともない。
【0141】
ところで、遊技状態がRTに制御されているときは、ボーナス当選フラグが設定されているもののボーナス入賞は発生し得ない。このスロットマシン1では、当選状況通知コマンド(2)301−2にRTの制御状況を含ませたことで、ボーナス入賞が発生し得ないときにボーナス告知の演出がされないようにすることができるので、遊技者の信頼感を失ってしまうことがない。
【0142】
当選状況通知コマンド(1)301−1の内容が変換されるのは、ボーナス当選当選フラグが設定されておらず、かついずれかの種類の小役当選フラグが設定されている場合に限られている。また、当選状況通知コマンド(2)301−2が変換されるのは、ボーナス当選フラグが設定されておらず、かつボーナス中でもない場合に限られている。このように当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が変換される場合が限定されることで、実際とは異なる内容のものが演出制御基板102に送信される確率が低くなる。各役の当選状況について演出制御基板102において誤った判断がされる場合が少なくなり、演出の信頼性が高くなる。
【0143】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、RTの制御状況としてRT解除までの残りゲーム数を含んでいるが、これには全部で8種類のものがある。これにより、本来の内容とは異なる当選状況通知コマンド(2)301−2の種類が多くなる。また、RTの制御状況に関する情報を残りゲーム数で示すことで、その態様が区別しやすく、また前回のゲームのものとの比較により当選状況通知コマンド(2)301−2が示すRTの制御状況が本来のものと異なるかどうかを判断しやすくなる。
【0144】
当選状況通知コマンド(2)301−2は、停止制御情報として選択されたリール制御テーブルの種類を含んでいるが、リール制御テーブルは、当選フラグの設定状況及び遊技状態に従って選ばれるものである。停止制御情報は本来の内容と異なっていることがないので、当選状況通知コマンド(1)301−1に含まれる当選フラグの設定状況や当選状況通知コマンド(2)301−2に含まれるRTの制御状況を停止制御情報と比較することで、その内容が変換されているかどうかをかなりの程度まで判断することができるようになる。これにより、当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が実際の内容であるかどうかを演出制御基板102において独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。また、内容の変換される当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の種類を多くしても、変換されたことの判別が不可能なものは非常に少なくなる。
【0145】
当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2は、ゲーム毎に独立してその内容が演出制御基板102において調べられるのではなく、前回のゲームで受信したものもRAM122に保存しておいて、今回のゲームで受信したものとの比較によりその内容が調べられる。これにより、演出制御基板102において当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が変換されているかどうかを判断できる場合が多くなり、当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2の内容が実際の内容であるかどうかを演出制御基板102において独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0146】
このように当選状況通知コマンド(1)及び(2)301−1、2は、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されるが、その場合であっても演出制御基板102のCPU121が変換されていることを判断することができ、ボーナス当選フラグが設定されていないのに設定されていると判別したり、RT中であるのにRT中でないと判別したりする確率は、他のエラーの発生確率に比べても十分に低くすることができる。このため、演出制御基板102で独自に行われるボーナス告知演出は、信頼性の高いものとすることができる。
【0147】
なお、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技状態がRTに制御された後、それが解除されてボーナス入賞が可能となるまでのゲーム数がRTの制御時に予め決められることとなる。このため、ボーナス入賞がないままRTが解除されるまで延々と遊技者がゲームを続けてしまうという、いわゆるハマリが起こるのを防ぐことができるようになる。
【0148】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0149】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(2)302−2のRT部の値は、RTの残りゲーム数を示すものであったが、遊技状態がRTに移行された(すなわち、ボーナス当選フラグが設定された)後の消化ゲーム数を示すものであってもよい。RTカウンタの値もRTに移行されてからの消化ゲーム数を示すものであってもよいが、RTの終了条件としてゲーム数大及び小の2通りがあり、その値だけでは遊技状態がRTにあるかどうかを示すことができないので、この場合には、RTカウンタとは別にRT中フラグを設けるものとすればよい。
【0150】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(1)301−1は、当選状況通知コマンド変換テーブル302−1、2に従って、小役当選フラグが設定されている場合にのみ本来の内容とは異なるものに変換されることとなっていたが、当選状況通知コマンド(2)301−2(RTの制御状態に関する情報)は、ボーナス中かボーナス当選しているとき以外は、当選フラグの設定状況に関わらず、所定の確率で本来の内容とは異なるものに変換されることとなっていた。
【0151】
しかしながら、当選状況通知コマンド(2)301−2も、小役当選フラグが設定されている場合にのみ、本来の内容とは異なるものに変換されることとしてもよい。これにより、当選状況通知コマンド(2)301−2を本来の内容と異なるものとに変換する確率も、当選状況通知コマンド(1)301−1を変換する確率以下に小さくすることができる。
【0152】
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグが設定されていても、遊技状態がRTにある場合には、このときに選択されるリール制御テーブルによりボーナス入賞することは完全に不可能となっていた。しかしながら、例えば、RT時に選択するリール制御テーブルとして、完全に正しい手順による場合10分の1の確率でボーナス入賞させられるものを考えると、停止ボタン12L、12C、12Rの押し順として6通り、図柄の組み合わせとして12通りのものがあると、(1/10)×(1/6)×(1/12)=1/720というようにボーナス入賞が困難となるものであってもよい。このようにRT時にボーナス入賞を完全に不可能としなくても、RT時にはボーナス入賞がボーナス当選確率よりも低い確率でしか発生しないほど困難なものとすることで、ボーナス当選のストック機能を実現することもできる。
【0153】
上記の実施の形態では、当選状況通知コマンド(1)301−1の変換と、当選状況通知コマンド(2)301−2の変換は、全く独立に行われるものとしていた。これに対して、当選状況通知コマンド(1)301−1を本来の内容とは異なる内容に変換した場合は、当選状況通知コマンド(2)301−2を変換せずに、演出制御基板102に送信するものとしてもよい。この場合には、演出制御基板102のCPU121が、受信した当選状況通知コマンドが本来の内容と異なる内容に変換されていることが分かる場合が多くなる。
【0154】
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグの設定と、さらなるボーナス当選のストックとをRAM112において分けていたが、ストック数のトータルを示す複数ビットのボーナス当選フラグを設けるものとしてもよい。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのストックを当選順に記憶しておき、当選した順番でビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれかを放出するようにしてもよい。また、ボーナス当選フラグが設定されている場合に、遊技状態をRTとしてボーナス入賞させないことだけでなく、所定ゲーム数だけボーナス入賞を不可能とするような制御をすれば、他の方法によりボーナス当選のストックを実現することもできる。
【0155】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0156】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、不可状態制御手段による制御状況について完全に正確な情報が遊技制御手段の外部に漏れることがなく、不正が行われるのを防止できると共に、スロットマシン本来の面白みを損なうことがない。また、不可状態制御手段による制御が解除されるまでのゲーム数が予め決まっていることで、遊技者がハマってしまうのを防ぐことができる。
【0157】
請求項2の発明によれば、不可状態制御手段による制御状況に限っては実際とは異なるものを含む当選状況通知コマンドが生成され、演出制御手段に送信される確率を低くすることができる。
【0158】
請求項3の発明によれば、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを独自に判断して、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0159】
請求項4の発明によれば、当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様を変えることで、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0160】
請求項5の発明によれば、演出制御手段において不可状態制御手段による制御状況の態様を区別しやすく、また当選状況通知コマンドが含む不可状態制御手段による制御状況の態様が実際のものであるかどうかを判別しやすい。
【0161】
請求項6の発明によれば、当選状況通知コマンドに実際と異なる不可状態制御手段による制御状況を含ませても、演出制御手段においてそれが実際と異なることが容易に分かるので、独自の判断により信頼性の高い演出を行うことができる。また、当選状況通知コマンドが本来の状況を示しているか否かの判断材料を増やすことができる。
【0162】
請求項7の発明によれば、演出制御手段において当選状況通知コマンドが実際の状況を示すかどうかを高確率で判断することができるようになり、信頼性の高い演出を行うことができる。
【0163】
請求項8の発明によれば、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する確率を低くでき、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【0164】
請求項9の発明によれば、実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドを生成する確率を低くでき、演出制御手段に実際の状況とは異なる当選状況通知コマンドが送信される場合が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの前面扉を開放した状態で視認される内部構造を示す図である。
【図3】図1のスロットマシンの前面扉の背面側の構造を示す図である。
【図4】図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図5】遊技制御基板及び演出制御基板に搭載された回路構成要素及び信号配線を示す図である。
【図6】当選状況通知コマンドの例を示す図である。
【図7】遊技制御基板内のROMに格納された当選状況通知コマンド変換テーブルの例を示す図である。
【図8】遊技制御基板内の制御部が、1ゲーム毎に実行する処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の抽選処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9の当選状況通知コマンド変換処理を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図8の入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図11の非入賞関連処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】演出制御基板の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
101 遊技制御基板
102 演出制御基板
301−1、2 当選状況通知コマンド
302−1〜3 当選状況通知コマンド変換テーブル
Claims (9)
- 1ゲームに対して賭け数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じたコマンドを送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から送信されたコマンドを受信し、該受信したコマンドに従って演出手段に演出を行わせる演出制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に前記入賞の発生を許容するか否かを決定し、その結果を示す決定情報を設定する事前決定手段と、
前記事前決定手段により特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定され、該決定情報により許容された特別入賞が発生しないときに、当該決定情報を次ゲーム以降に持ち越すと共に、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報を複数個持ち越すことが可能な決定情報持越手段と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記特別入賞の発生が不可能または困難な状態に制御する不可状態制御手段と、
前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてから、所定の方法により選択された所定ゲーム数を消化したときに、前記不可状態制御手段による制御を解除し、前記特別入賞の発生が可能または容易な状態とする不可状態解除手段と、
前記決定情報の設定状況と前記不可状態制御手段による制御状況を含む当選状況通知コマンドを生成するコマンド生成手段と、
前記コマンド生成手段が生成した当選状況通知コマンドを、前記演出制御手段に送信するコマンド送信手段とを備え、
前記コマンド生成手段は、所定の確率で前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とするスロットマシン。 - 前記コマンド生成手段は、所定の確率で前記決定情報の実際の設定状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。 - 前記コマンド生成手段が実際の状況とは異なる内容に変換した当選状況通知コマンドには、前記演出制御手段が前記不可状態制御手段による実際の制御状況と内容の異なるものであるかどうかを判別可能なものを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスロットマシン。 - 前記不可状態制御手段による制御状況には、複数の態様があり、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている不可状態制御手段による制御状況の態様に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別する
ことを特徴とする請求項3に記載のスロットマシン。 - 前記不可状態制御手段による制御状況の態様は、該不可状態制御手段による制御が解除されるまでの残りゲーム数、または前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されてからの消化ゲーム数によって区別される
ことを特徴とする請求項4に記載のスロットマシン。 - 前記可変表示装置は、前記不可状態制御手段による制御状況に応じた制御方法で制御されて表示結果を導出するものであり、
前記コマンド生成手段が生成する当選状況通知コマンドは、さらに前記可変表示装置の制御方法を含み、
前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドに含まれている前記可変表示装置の制御方法に従って、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のスロットマシン。 - 前記演出制御手段は、前記コマンド送信手段から受信した当選状況通知コマンドを、前回までのゲームで受信した当選状況通知コマンドと比較することにより、該受信した当選状況通知コマンドが前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容に変換されているか否かを判別する
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のスロットマシン。 - 前記コマンド生成手段は、前記特別入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されていないときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスロットマシン。 - 前記コマンド生成手段は、前記特別入賞以外の入賞の発生が許容された旨を示す決定情報が設定されているときに、前記不可状態制御手段による実際の制御状況とは異なる内容を含む当選状況通知コマンドを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスロットマシン。
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Cited By (1)
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-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003022249A patent/JP2004229902A/ja not_active Withdrawn
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