JP2006155866A - 垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置 - Google Patents

垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】情報の記録時において記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することが可能な垂直磁気記録ヘッドを提供する。
【解決手段】リーディング側に配設された主磁極層15と、トレーリング側に配設された補助磁極層19とが積層されるように磁極層40を構成する。補助磁極層19に収容された磁束Jのうちの一部の磁束J2が主磁極層15を経由せずにエアベアリング面70から外部へ直接的に放出されそうになっても、その磁束J2が磁性層60に取り込まれることによりエアベアリング面70から外部へ直接的に放出されにくいため、磁束J2に基づいて不要な垂直磁界が発生しにくくなる。これにより、不要な磁界に起因して記録媒体が再磁化されにくいため、その記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。
【選択図】図19

Description

本発明は、少なくとも記録用の誘導型磁気変換素子を備えた垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法、ならびに垂直磁気記録ヘッドを搭載した磁気記録装置に関する。
近年、例えばハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という。)の面記録密度の向上に伴い、例えばハードディスクドライブなどの磁気記録装置に搭載される薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。この薄膜磁気ヘッドの記録方式としては、例えば、信号磁界の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)に設定する長手記録方式や、信号磁界の向きを記録媒体の面と直交する方向に設定する垂直記録方式が知られている。現在のところは長手記録方式が広く利用されているが、記録媒体の面記録密度の向上に伴う市場動向を考慮すれば、今後は長手記録方式に代わり垂直記録方式が有望視されるものと想定される。なぜなら、垂直記録方式では、高い線記録密度を確保可能な上、記録済みの記録媒体が熱揺らぎの影響を受けにくいという利点が得られるからである。
垂直記録方式の薄膜磁気ヘッド(以下、単に「垂直磁気記録ヘッド」という。)は、例えば、記録用の磁束を発生する薄膜コイルと、エアベアリング面から後方に向かって延在し、記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体に導く主磁極層とを備えている。この垂直磁気記録ヘッドでは、記録用の磁界(垂直磁界)により記録媒体が磁化されるため、その記録媒体に情報が磁気的に記録される。
この垂直磁気記録ヘッドとしては、例えば、エアベアリング面に対して直交する方向に延在するように配設された主磁極層を備えたものが知られている。この種の垂直磁気記録ヘッドは、一般に、「単磁極型ヘッド」と呼ばれている。この単磁極型ヘッドの具体的な構造としては、例えば、垂直磁界の強度を増加させることによりオーバーライト特性を向上させるために、主磁極層に対して補助的な磁束収容用の補助磁極層を連結させた構造が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。ただし、単磁極型ヘッドでは、上記したようにオーバーライト特性を向上させる観点において利点が得られる一方で、記録媒体の記録密度を向上させる観点において限界があると言われている。
特開平02−066710号公報 特開2002−197615号公報
そこで、最近の垂直磁気記録ヘッドとしては、例えば、記録トラック幅が拡大することを抑制することにより記録媒体の記録密度を高めるために、上記したようにエアベアリング面に対して直交する方向に延在する主磁極層と共に、その主磁極層から放出された磁束の広がりを抑制させるライトシールド層を併せて備えたものが主流となりつつある。この種の垂直磁気記録ヘッドは、一般に、「シールド型ヘッド」と呼ばれている。ライトシールド層は、エアベアリング面から後方に向かって延在することにより、そのエアベアリング面に近い側においてギャップ層により主磁極層から隔てられている。このシールド型ヘッドの具体的な構造としては、例えば、主磁極層のトレーリング側にライトシールド層が配設された構造が知られている(例えば、特許文献3,4参照。)。このライトシールド層を備えたシールド型ヘッドでは、主磁極層から放出された磁束の広がりが抑制されることにより垂直磁界の勾配が急峻化するため、記録媒体の記録密度が向上する。
特開2001−250204号公報 欧州特許出願公開第0360978号明細書
ところで、シールド型ヘッドの記録特性を確保するためには、例えば、記録動作を安定に実行するために、記録媒体に既に記録されている情報を維持しつつ、その記録媒体に新たな情報を順次記録する必要がある。しかしながら、従来のシールド型ヘッドでは、主に、主磁極層に対して補助磁極層が連結されている構造的要因に起因して、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去される不具合が発生するおそれがあるという問題があった。具体的には、従来のシールド型ヘッドでは、補助磁極層に収容された磁束が主磁極層を経由せずにエアベアリング面から外部へ直接的に放出されると、その磁束に基づいて不要な磁界が発生するため、その不要な磁界に起因して記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されてしまう。したがって、シールド型ヘッドの記録性能を確保する上では、主磁極層に対して補助磁極層を連結させた場合においても、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することが可能な技術の確立が望まれている。この場合には、特に、意図しない情報の消去を抑制しつつ、垂直磁界の強度を確保することも重要である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを抑制することが可能な垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置を提供することにある。
本発明第1の垂直磁気記録ヘッドは、磁束を発生する薄膜コイルと、記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体に導く磁極層と、磁極層のトレーリング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在し、エアベアリング面に近い側においてギャップ層により磁極層から隔てられると共に、エアベアリング面から遠い側において磁極層に連結された磁性層とを備え、磁極層が、リーディング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、トレーリング側においてエアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層とを積層してなるものである。
本発明の第1の垂直磁気記録ヘッドでは、磁極層のトレーリング側に磁性層が配設されている場合に、リーディング側に配設された主磁極層と、トレーリング側に配設された補助磁極層とが積層されるように磁極層が構成されており、すなわち磁性層に近い側に補助磁極層が配設されている。この場合には、リーディング側に配設された補助磁極層と、トレーリング側に配設された主磁極層とが積層されるように磁極層が構成されており、すなわち磁性層から遠い側に補助磁極層が配設されている場合とは異なり、補助磁極層に収容された磁束の一部が主磁極層を経由せずにエアベアリング面から直接的に外部へ放出されそうになっても、その一部の磁束が磁性層に取り込まれることによりエアベアリング面から外部へ直接的に放出されにくいため、その一部の磁束に基づいて不要な磁界が発生しにくくなる。これにより、不要な磁界に起因して記録媒体が再磁化されにくいため、その記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。
本発明の第2の垂直磁気記録ヘッドは、磁束を発生する薄膜コイルと、記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体に導く磁極層と、磁極層のトレーリング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在し、エアベアリング面から遠い側において磁極層に連結されたリターンヨーク層と、磁極層とリターンヨーク層との間のエアベアリング面に近い領域に、ギャップ層により磁極層から隔てられるように設けられたライトシールド層とを備え、磁極層が、リーディング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、トレーリング側においてエアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層とを積層してなるものである。
本発明の第2の垂直磁気記録ヘッドでは、磁極層のトレーリング側にリターンヨーク層が配設されていると共に、それらの磁極層とリターンヨーク層との間にライトシールド層が配設されている場合に、リーディング側に配設された主磁極層と、トレーリング側に配設された補助磁極層とが積層されるように磁極層が構成されている。この場合には、上記したように、不要な磁界に起因して記録媒体が再磁化されにくいため、その記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。
本発明に係る垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、磁束を発生する薄膜コイルと、記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体に導く磁極層と、磁極層のトレーリング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在し、エアベアリング面に近い側においてギャップ層により磁極層から隔てられると共に、エアベアリング面から遠い側において磁極層に連結された磁性層とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であり、磁極層を形成する工程が、リーディング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在するように、磁極層のうちの一部を構成する主磁極層をパターン形成する第1の工程と、主磁極層上に、トレーリング側においてエアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在するように、磁極層のうちの他の一部を構成する補助磁極層をパターン形成することにより、主磁極層と補助磁極層とが積層されるように磁極層を形成する第2の工程とを含むものである。
本発明に係る垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、リーディング側に配設された主磁極層と、トレーリング側に配設された補助磁極層とが積層された磁極層を備えた垂直磁気記録ヘッドを製造するために、既存の薄膜プロセスのみを使用し、新規かつ煩雑な製造プロセスを使用しない。
本発明に係る磁気記録装置は、記録媒体と、その記録媒体に情報を記録する垂直磁気記録ヘッドとを搭載し、垂直磁気記録ヘッドが、磁束を発生する薄膜コイルと、記録媒体に対向するエアベリング面から後方に向かって延在し、記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体に導く磁極層と、磁極層のトレーリング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在し、エアベアリング面に近い側においてギャップ層により磁極層から隔てられると共に、エアベアリング面から遠い側において磁極層に連結された磁性層とを備え、磁極層が、リーディング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、トレーリング側においてエアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層とを積層してなるものである。
本発明に係る磁気記録装置では、上記した垂直磁気記録ヘッドを搭載するため、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。
本発明の第1の垂直磁気記録ヘッドでは、補助磁極層の飽和磁束密度が主磁極層の飽和磁束密度よりも小さいと共に、エアベアリング面から補助磁極層までの距離が0.8μm以上7.1μm以下の範囲内であるのが好ましい。この場合には、ギャップ層の厚さが0.03μm以上0.1μm以下の範囲内であると共に、主磁極層のエアベアリング面への露出面が、トレーリング側に位置する長辺およびリーディング側に位置する短辺をそれぞれ上底および下底とする台形状をなしていてもよい。
また、本発明の第1の垂直磁気記録ヘッドでは、磁性層が、ギャップ層により磁極層から隔てられながらエアベアリング面から補助磁極層よりも前方の位置まで延在する第1の磁性層部分と、第1の磁性層部分のトレーリング側においてエアベアリング面から後方に向かって延在し、エアベアリング面に近い側において第1の磁性層部分に連結されると共に、エアベアリング面から遠い側において磁極層に連結された第2の磁性層部分とを含んでいてもよい。この場合には、第1の磁性層部分のトレーリング側の面および補助磁極層のトレーリング側の面が、同一面内にあってもよい。また、さらに、薄膜コイルを被覆する絶縁層を備え、絶縁層が、第1の磁性層部分と補助磁極層との間に充填され、第1の磁性層部分に隣接する位置においてスロートハイトを規定する第1の絶縁層部分と、第1の絶縁層部分のトレーリング側に、薄膜コイルを被覆するように設けられた第2の絶縁層部分とを含んでいてもよい。この場合には、第2の絶縁層部分が、第1の絶縁層部分よりも後方に位置しているのが好ましい。
また、本発明の第1の垂直磁気記録ヘッドでは、磁性層のエアベアリング面への露出面における記録トラック幅方向の最大幅が、主磁極層のエアベアリング面への露出面における記録トラック幅方向の最大幅よりも大きいのが好ましい。この場合には、主磁極層のエアベアリング面への露出面におけるトレーリング側の記録トラック幅方向の幅が0.2μm以下であり、磁性層のエアベアリング面への露出面の面積が7μm2 以上であるのが好ましい。特に、磁性層の飽和磁束密度をX[T]、磁性層のエアベアリング面への露出面の磁気的な面積をY[μm2 T]、記録媒体を磁化する磁界の強度の最大値をZ[×103 /(4π)A/m]としたとき、Y≧{7X/[9000×103 /(4π)]}×Zの関係が成立しているのが好ましい。この「磁気的な面積」とは、磁性層の露出面の面積(μm2 )×磁性層の飽和磁束密度(T)で表される。
本発明の第2の垂直磁気記録ヘッドでは、ライトシールド層が、エアベアリング面に露出すると共にリターンヨーク層に連結されていてもよい。
本発明に係る磁気記録装置では、記録媒体が、積層された磁化層および軟磁性層を含んでいるのが好ましい。
本発明に係る垂直磁気記録ヘッドによれば、リーディング側に配設された主磁極層と、トレーリング側に配設された補助磁極層とが積層されるように磁極層が構成されているので、補助磁極層に収容された磁束の一部に基づいて不要な磁界が発生しにくくなることにより、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。したがって、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。
本発明に係る垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、リーディング側に配設された主磁極層と、トレーリング側に配設された補助磁極層とが積層された磁極層を備えた垂直磁気記録ヘッドを製造するために、既存の薄膜プロセスのみを使用する。したがって、既存の薄膜プロセスのみを使用して、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることが可能な限り抑制された垂直磁気記録ヘッドを容易に製造することができる。
本発明に係る磁気記録装置によれば、上記した垂直磁気記録ヘッドを搭載するので、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。したがって、垂直磁気記録ヘッドを搭載し、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドを備えた薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。図1〜図4は薄膜磁気ヘッドの構成を表しており、図1は全体の断面構成を示し、図2は主要部の平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を示し、図3は主要部の露出面の平面構成(Y軸方向から見た平面構成)を拡大して示し、図4は主要部の断面構成を模式的に示している。図1のうち、(A)はエアベアリング面に平行な断面構成(XZ面に沿った断面構成)を示し、(B)はエアベアリング面に垂直な断面構成(YZ面に沿った断面構成)を示している。なお、図1および図4に示した上向きの矢印Mは、薄膜磁気ヘッドに対して記録媒体(図示せず)が相対的に移動する方向(媒体進行方向)を示している。また、図4では、薄膜磁気ヘッドと共に、その薄膜磁気ヘッドにより磁気的処理が施される記録媒体90を併せて示している。
以下の説明では、図1〜図4に示したX軸方向の寸法を「幅」、Y軸方向の寸法を「長さ」、Z軸方向の寸法を「厚さまたは高さ」とそれぞれ表記する。また、Y軸方向のうちのエアベアリング面に近い側を「前方」、その反対側を「後方」と表記する。これらの表記内容は、後述する図5以降においても同様とする。
この薄膜磁気ヘッドは、例えば、図1〜図4に示したように、媒体進行方向Mに移動する例えばハードディスクなどの記録媒体90に磁気的処理を施すために、例えばハードディスクドライブなどの磁気記録装置に搭載されるものである。具体的には、薄膜磁気ヘッドは、例えば、磁気的処理として記録処理および再生処理の双方を実行可能な複合型ヘッドであり、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)などのセラミック材料により構成された基板1上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 ;以下、単に「アルミナ」という。)などの非磁性絶縁性材料により構成された絶縁層2と、磁気抵抗(MR;Magneto-resistive )効果を利用して再生処理を実行する再生ヘッド部100Aと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成された分離層9と、垂直記録方式の記録処理を実行する記録ヘッド部100Bと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されたオーバーコート層24とがこの順に積層された構成を有している。
再生ヘッド部100Aは、例えば、下部リードシールド層3と、シールドギャップ膜4と、上部リードシールド層30とがこの順に積層された積層構造を有している。このシールドギャップ膜4には、記録媒体90に対向するエアベアリング面70に一端面が露出するように、再生素子としてのMR素子8が埋設されている。
下部リードシールド層3および上部リードシールド層30は、いずれもMR素子8を周辺から磁気的に分離するものであり、エアベアリング面70から後方に向かって延在している。下部リードシールド層3は、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%);以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)などの磁性材料により構成されており、その厚さは約1.0μm〜2.0μmである。上部リードシールド層30は、例えば、2つの上部リードシールド層部分5,7により非磁性層6が挟まれた構成を有しており、すなわちシールドギャップ膜4に近い側から順に、上部リードシールド層部分5と、非磁性層6と、上部リードシールド層部分7とがこの順に積層された積層構造(3層構造)を有している。上部リードシールド層部分5は、例えば、パーマロイなどの磁性材料により構成されており、その厚さは約1.5μmである。上部リードシールド層部分7は、例えば、上部リードシールド層部分5を構成している磁性材料と同様の磁性材料により構成されており、その厚さは約1.1μmである。非磁性層6は、例えば、ルテニウム(Ru)やアルミナなどの非磁性材料により構成されており、その厚さは約0.2μmである。なお、上部リードシールド層30は必ずしも積層構造を有している必要はなく、単層構造を有していてもよい。
シールドギャップ膜4は、MR素子8を周辺から電気的に分離するものであり、例えばアルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されている。
MR素子8は、例えば、巨大磁気抵抗(GMR;Giant Magneto-resistive )効果やトンネル磁気抵抗(TMR;Tunneling Magneto-resistive )効果などを利用して再生処理を実行するものである。
記録ヘッド部100Bは、例えば、絶縁層11,12,13により周辺を埋設された1段目の薄膜コイル10と、非磁性層14と、絶縁層16により部分的に周囲を埋設された磁極層40と、ギャップ層17と、磁気連結用の開口部(バックギャップ50BG)が設けられた絶縁層50により埋設された2段目の薄膜コイル22と、磁性層60とがこの順に積層された積層構造を有する垂直磁気記録ヘッドであり、いわゆるシールド型ヘッドである。なお、図2では、主に、記録ヘッド部100Bのうちの主要部(薄膜コイル10,22,磁極層40,磁性層60)のみを抜粋して示している。
薄膜コイル10は、主に、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束の漏洩を抑制するために、漏洩抑制用の磁束を発生するものである。この薄膜コイル10は、例えば、銅(Cu)などの高導電性材料により構成されており、その厚さは約2.0μmである。特に、薄膜コイル10は、例えば、図1および図2に示したように、バックギャップ50BGを中心として巻回する巻回構造(スパイラル構造)を有しており、その薄膜コイル10では、例えば、薄膜コイル22において電流が流れる方向と逆方向に電流が流れるようになっている。なお、図1および図2では、薄膜コイル10の巻回数(ターン数)=5ターンである場合を示しているが、その薄膜コイル10のターン数は、必ずしも5ターンに限らずに自由に変更可能である。この薄膜コイル10のターン数は、例えば、薄膜コイル22のターン数と一致しているのが好ましく、より具体的には2ターン〜7ターンであるのが好ましい。
絶縁層11〜13は、薄膜コイル10を周辺から電気的に分離するものである。絶縁層11は、薄膜コイル10の各巻線間を埋め込むと共に、その薄膜コイル10の周囲を被覆するように配設されている。この絶縁層11は、例えば、加熱時に流動性を示すフォトレジストやスピンオングラス(SOG;Spin On Glass )などの非磁性絶縁性材料により構成されており、その厚さは約2.0μmである。ここでは、絶縁層11は、例えば、図1に示したように、薄膜コイル10の側方のみを被覆し、その薄膜コイル10の上方を被覆しないように配設されている。絶縁層12は、絶縁層11の周囲を被覆するように配設されている。この絶縁層12は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されており、その厚さは約2.0μmである。絶縁層13は、薄膜コイル10および絶縁層11,12を被覆するように配設されている。この絶縁層13は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されており、その厚さは約0.2μmである。
非磁性層14は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料やルテニウムなどの非磁性導電性材料により構成されており、その厚さは約1.0μmである。
磁極層40は、主に、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束を収容し、その磁束を記録媒体に向けて放出することにより記録処理を実行するものであり、より具体的には、垂直記録方式の記録処理を実行するために、記録媒体90がその表面と直交する方向に磁化されるように磁束を記録媒体90に導くものである。この磁極層40は、薄膜コイル22のリーディング側に配設されており、エアベアリング面70から後方に向かって延在し、より具体的にはバックギャップ50BGまで延在している。この「リーディング側」とは、図1および図4に示した媒体進行方向Mに向かって移動する記録媒体90の移動状態を1つの流れと見た場合に、その流れの流入する側(媒体進行方向M側と反対側)をいい、ここでは厚さ方向(Z軸方向)における下側をいう。これに対して、流れの流出する側(媒体進行方向M側)は「トレーリング側」と呼ばれ、ここでは厚さ方向における上側をいう。
特に、磁極層40は、図1に示したように、主磁極層15および補助磁極層19がこの順に積層されることにより互いに連結された構成を有しており、すなわちリーディング側に主磁極層15が配設され、トレーリング側に補助磁極層19が配設された積層構造(2層構造)を有している。
主磁極層15は、主要な磁束の放出部分として機能するものである。この主磁極層15は、リーディング側においてエアベアリング面70から後方に向かって延在し、より具体的にはバックギャップ50BGまで延在しており、その厚さは約0.25μmである。特に、主磁極層15は、例えば、補助磁極層19を構成している磁性材料よりも高い飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、具体的には鉄系合金などにより構成されている。この鉄系合金としては、例えば、鉄(Fe)がリッチな鉄ニッケル合金(FeNi)、鉄コバルト合金(FeCo)または鉄コバルトニッケル合金(FeCoNi)などが挙げられる。なお、上記した「連結」とは、単に物理的に接触して連結されているだけでなく、物理的に接触して連結された上で磁気的に導通可能に連結されていることを意味している。この「連結」の意味合いは、以降の説明においても同様である。特に、主磁極層15と補助磁極層19との間の構造的関係に関して上記した「物理的に接触」とは、主磁極層15と補助磁極層19との間に如何なる層も存在しておらず、すなわち主磁極層15と補助磁極層19とが文字通りに隣接し合うことにより直接的に接触している場合と共に、例えば、めっき処理を使用して補助磁極層19が形成されている場合において、そのめっき処理のプロセス的要因に起因して補助磁極層19の下地層としてシード層(例えばチタン(Ti))が設けられており(主磁極層15と補助磁極層19との間にシード層が介在しており)、すなわち主磁極層15と補助磁極層19とがシード層を介して間接的に接触している場合も含む意である。
この主磁極層15は、例えば、図2に示したように、全体として羽子板型の平面形状を有している。すなわち、主磁極層15は、例えば、エアベアリング面70から順に、そのエアベアリング面70から後方に向かって延在し、記録媒体90の記録トラック幅を規定する一定幅W1を有する先端部15Aと、その先端部15Aの後方に連結され、幅W1よりも大きな幅W2(W2>W1)を有する後端部15Bとを含んで構成されている。この主磁極層15の幅が先端部15A(幅W1)から後端部15B(幅W2)へ拡がる位置は、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの1つである「フレアポイントFP」である。
先端部15Aは、主に、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束を記録媒体90に向けて実質的に放出する部分であり、図2に示したように、エアベアリング面70に露出した露出面15Mを有している。この露出面15Mは、例えば、図3に示したように、トレーリング側に位置する上端縁E1と、リーディング側に位置する下端縁E2と、2つの側端縁E3とにより規定された平面形状を有している。具体的には、露出面15Mは、例えば、トレーリング側からリーディング側に向かって次第に幅が狭まる形状を有しており、すなわち幅W1を有する上端縁E1(いわゆるトレーリングエッジTE;長辺)および幅W1よりも小さな幅W4(W4<W1;短辺)を有する下端縁E2(いわゆるリーディングエッジLE)をそれぞれ上底および下底とする左右対象な逆台形状をなしている。この先端部15Aの上端縁E1(トレーリングエッジTE)は、磁極層40のうちの実質的な記録箇所であり、その上端縁E1の幅W1は、約0.2μm以下である。なお、露出面15Mの平面形状に関して、下端縁E2の延在方向と側端縁E3との間の角度θは、例えば、90°未満の範囲内において自由に設定可能である。
後端部15Bは、補助磁極層19に収容された磁束を収容して先端部15Aへ供給する部分である。この後端部15Bの幅は、例えば、後方において一定(幅W2)であり、前方において先端部15Aへ近づくにしたがって幅W2から幅W1へ次第に狭まっている。
補助磁極層19は、主要な磁束の収容部分として機能するものである。この補助磁極層19は、例えば、エアベアリング面70よりも後退した位置P1から後方に向かって延在し、より具体的にはバックギャップ50BGにおいて主磁極層15よりも後方まで延在しており、その厚さは約0.45μmである。特に、補助磁極層19は、例えば、主磁極層15を構成している磁性材料よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、具体的には鉄コバルトニッケル合金などにより構成されている。
この補助磁極層19は、例えば、図2に示したように、幅W2を有する矩形型の平面形状を有している。特に、補助磁極層19は、例えば、図1に示したように、絶縁層50のうちの後述する補助絶縁層20および磁性層60のうちの後述するライトシールド層18と共に平坦化されている。すなわち、補助磁極層19のトレーリング側の面は、補助絶縁層20のトレーリング側の面およびライトシールド層18のトレーリング側の面と共に平坦面HMを構成しており、これらの3つの面は同一面内にある。この「同一面」の「面」とは、いわゆる仮想面(XY面)である。
絶縁層16は、主磁極層15を周囲から電気的に分離するものである。この絶縁層16は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されており、その厚さは約0.25μmである。
ギャップ層17は、磁極層40と磁性層60とを磁気的に分離するためのギャップを構成するものである。このギャップ層17は、例えば、図1に示したように、補助磁極層19の配設領域を除いて、主磁極層15に隣接しながらエアベアリング面70から後方に向かって延在している。特に、ギャップ層17は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料やルテニウムなどの非磁性導電性材料により構成されており、その厚さは約0.03μm〜0.1μmである。
絶縁層50は、薄膜磁気ヘッドの記録特性を決定する重要な因子のうちの1つであるスロートハイトTHを規定すると共に、薄膜コイル22を被覆することにより周囲から電気的に分離するものである。この絶縁層50は、図1に示したように、スロートハイトTHを実質的に規定する補助絶縁層20(第1の絶縁層部分)と、薄膜コイル22を実質的に被覆する主絶縁層21(第2の絶縁層部分)とがこの順に積層された構成を有しており、すなわちリーディング側に補助絶縁層20が配設され、トレーリング側に主絶縁層21が配設された積層構造(2層構造)を有している。
補助絶縁層20は、図1に示したように、後述するライトシールド層18と補助磁極層19との間に充填されており、そのライトシールド層18に隣接する位置P2(第2の位置)においてスロートハイトTHを規定している。すなわち、補助絶縁層20は、ギャップ層17に隣接しながら、エアベアリング面70よりも後退した位置、より具体的にはエアベアリング面70と位置P1との間の位置P2から後方の位置P1まで延在しており、その位置P1において補助磁極層19に隣接していると共に、位置P2において磁性層60(ライトシールド層18)に隣接している。特に、補助絶縁層20は、例えば、上記したように、補助磁極層19およびライトシールド層18と共に平坦面HMを構成している。上記した「位置P2」は、絶縁層50の最前端位置(エアベアリング面70に最も近い位置)、すなわちスロートハイトTHを規定するための「スロートハイトゼロ位置TP」であり、そのスロートハイトTHは、エアベアリング面70とスロートハイトゼロ位置TPとの間の距離である。この補助絶縁層20は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されている。なお、図1および図2では、例えば、スロートハイトゼロ位置TPがフレアポイントFPに一致している場合を示している。
主絶縁層21は、図1に示したように、補助絶縁層20のうちの平坦面HMに隣接しながら、位置P1と位置P2との間の位置P3から後方に向かって延在し、より具体的にはバックギャップ50BGを塞がないように延在しており、すなわち主絶縁層21は、補助絶縁層20よりも後方に位置している。この主絶縁層21は、例えば、図1に示したように、補助絶縁層20のうちの平坦面HM上に薄膜コイル22の下地として配設された主絶縁層部分21Aと、薄膜コイル22およびその周辺の主絶縁層部分21Aを被覆するように配設された主絶縁層部分21Bとを含んで構成されている。主絶縁層部分21Aは、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁性材料により構成されており、その厚さは約0.2μmである。主絶縁層部分21Bは、例えば、加熱時に流動性を示すフォトレジストやスピンオングラス(SOG)などの非磁性絶縁性材料により構成されている。この主絶縁層部分21Bの端縁近傍部分は、その端縁に向けて落ち込むように丸みを帯びた斜面を構成している。
薄膜コイル22は、記録用の磁束を発生させるものである。この薄膜コイル22では、例えば、薄膜コイル10において電流が流れる方向と逆方向に電流が流れるようになっている。なお、薄膜コイル22に関する上記以外の材質、厚さおよび構造的特徴は、例えば、薄膜コイル10と同様である。
磁性層60は、磁極層40から放出された記録用の磁束の広がり成分を取り込むことにより、垂直磁界の勾配を増大させると共に、記録後の磁束(記録処理に利用された磁束)を取り込むことにより、記録ヘッド部100Bと記録媒体90との間において磁束を循環させるものである。この磁性層60は、磁極層40および薄膜コイル22のトレーリング側に配設されており、エアベアリング面70から後方に向かって延在することにより、そのエアベアリング面70に近い側においてギャップ層17により磁極層40から隔てられていると共に、エアベアリング面70から遠い側においてバックギャップ50BGを通じて磁極層40に連結されている。
この磁性層60は、図2に示したように、エアベアリング面70に露出した露出面60Mを有している。この露出面60Mは、例えば、図3に示したように、高さH3および磁極層40の幅W2よりも大きな幅W3(W3>W2)を有しており、矩形状(面積S)をなしている。この露出面60Mにおける最大幅(幅W3)は、例えば、露出面15Mにおける最大幅(幅W1)よりも大きくなっている(W3>W1)。また、例えば、上記したように主磁極層15の上端縁E1(トレーリングエッジTE)の幅W1が0.2μm以下であるとき、露出面60Mの面積Sは、約7μm2 以上、好ましくは約12.25μm2 以上、より好ましくは約70μm2 以上である。この場合には、例えば、磁性層60の飽和磁束密度をX[T]、露出面60Mの磁気的な面積をY[μm2 T]、記録媒体90を磁化する垂直磁界の強度の最大値をZ[×103 /(4π)A/m]としたとき、Y≧{7X/[9000×103 /(4π)]}×Zの関係が成立しているのが好ましい。
特に、磁性層60は、例えば、互いに別体をなすライトシールド層18(第1の磁性層部分)およびリターンヨーク層23(第2の磁性層部分)を含み、これらのライトシールド層18およびリターンヨーク層23が互いに連結された構造を有している。
ライトシールド層18は、上記した磁束の広がり成分を取り込む機能を有している。なお、ライトシールド層18は、リターンヨーク層23と同様に、上記した記録後の磁束を取り込む機能を担う場合もある。このライトシールド層18は、磁極層40とリターンヨーク層23との間のエアベアリング面70に近い領域に、ギャップ層17により磁極層40から隔てられるように設けられている。すなわち、ライトシールド層18は、例えば、図1に示したように、ギャップ層17に隣接することにより、そのギャップ層17により磁極層40から隔てられながら、エアベアリング面70から後方の位置、より具体的には補助磁極層19よりも前方の位置P2まで延在しており、その位置P2において絶縁層50のうちの補助絶縁層20に隣接している。また、ライトシールド層18は、例えば、パーマロイまたは鉄系合金などの高飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、図2に示したように、幅W3を有する矩形状の平面形状を有している。特に、ライトシールド層18は、例えば、上記したように、補助磁極層19および補助絶縁層20と共に平坦面HMを構成しており、すなわちライトシールド層18のトレーリング側の面は、補助磁極層19のトレーリング側の面および補助絶縁層20のトレーリング側の面の双方と同一面内にある。上記したように、ライトシールド層18が位置P2において補助絶縁層20に隣接していることから、そのライトシールド層18は、絶縁層50の最前端位置(スロートハイトゼロ位置TP)を規定することにより、実質的にスロートハイトTHを規定する役割を担っている。
リターンヨーク層23は、上記した記録後の磁束を取り込む機能を有している。このリターンヨーク層23は、例えば、図1に示したように、ライトシールド層18のトレーリング側においてエアベアリング面70から絶縁層50上を経由して後方に向かって延在し、より具体的には少なくともバックギャップ50BGまで延在している。すなわち、リターンヨーク層23は、エアベアリング面70に近い側においてライトシールド層18に連結されていると共に、エアベアリング面70から遠い側においてバックギャップ50BGを通じて磁極層40に連結されている。ここでは、リターンヨーク層23は、例えば、バックギャップ50BGにおいて磁極層40に連結されつつ、そのバックギャップ50BGよりも後方まで延在している。このリターンヨーク層23は、例えば、ライトシールド層18を構成している磁性材料と同様の磁性材料により構成されており、図2に示したように、幅W3を有する矩形状の平面形状を有している。
この薄膜磁気ヘッドでは、例えば、図1に示したように、記録性能を確保するために、特定の構成要素に基づいて規定される一連の寸法が適正化されている。具体的には、エアベアリング面70から補助磁極層19までの距離、すなわちエアベアリング面70と位置P1との間の距離L1は、約0.8μm〜7.1μmである。また、エアベアリング面70から主絶縁層21までの距離、すなわちエアベアリング面70と位置P3との間の距離L3は、ライトシールド層18の長さ、すなわちエアベアリング70と位置P2との間の距離L2よりも大きくなっている(L3>L2)。この距離L3が距離L2よりも大きい構造的関係に基づき、磁性層60では、リターンヨーク層23のうちのライトシールド層18に隣接する部分の長さ(すなわち距離L3)がライトシールド層18の長さ(すなわち距離L2)よりも大きくなっている。これにより、磁性層60においてライトシールド層18を経由してリターンヨーク層23へ磁束が取り込まれた際に、その磁束が磁性層60内を流れる磁路が段階的に拡張されている。
なお、記録媒体90は、例えば、図4に示したように、積層された磁化層91および軟磁性層92を含んでおり、その磁化層91がエアベアリング面70に対向されるように配置されている。磁化層91は、情報が磁気的に記録されるものであり、軟磁性層92は、磁束の流路(いわゆるフラックスパス)として機能するものである。これらの磁化層91および軟磁性層92を含む記録媒体90は、一般に、垂直記録用の「二層記録媒体」と呼ばれている。
次に、図1〜図4を参照して、薄膜磁気ヘッドの動作について説明する。
この薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において、図示しない外部回路から記録ヘッド部100Bのうちの薄膜コイル10,22に電流が流れると、主に薄膜コイル22において記録用の磁束Jが発生する。このとき発生した磁束Jは、磁極層40(主磁極層15,補助磁極層19)に収容されたのち、その磁極層40内を主磁極層15のうちの先端部15Aへ向けて流れる。この際、主磁極層15内を流れる磁束Jは、その主磁極層15の幅の減少に伴い、フレアポイントFPにおいて絞り込まれて集束するため、最終的に先端部15Aのうちの露出面15MにおいてトレーリングエッジTE近傍に集中する。このトレーリングエッジTE近傍に集中した磁束Jが外部へ放出されることにより、記録媒体90の表面と直交する方向に記録磁界(垂直磁界)が発生すると、その垂直磁界により磁化層91が磁化されるため、記録媒体90に情報が磁気的に記録される。
この場合には、互いに逆方向となるように薄膜コイル10,22に電流が流されるため、それらの薄膜コイル10,22において互いに逆方向に向けて磁束が発生する。具体的には、図1を参照すると、薄膜コイル10において磁束(漏洩抑制用の磁束)が上向きに発生する一方で、薄膜コイル22において磁束(記録用の磁束)が下向きに発生する。これにより、薄膜コイル10において発生した上向きの磁束の影響を受けて、薄膜コイル22において発生した下向きの磁束が記録ヘッド部100Bから再生ヘッド部100Aへ伝播しにくくなるため、その薄膜コイル22において発生した記録用の磁束が再生ヘッド部100Aへ漏洩することが抑制される。
また、先端部15Aから磁束Jが放出される際には、その磁束Jの広がり成分がライトシールド層18に取り込まれる。これにより、磁束Jの広がりが抑制される。このライトシールド層18に取り込まれた磁束Jは、バックギャップ50BGを通じて磁極層40に再供給される。
なお、情報の記録時には、磁極層40から記録媒体90に向けて磁束Jが放出されると、その磁束Jが磁化層91を磁化したのちに軟磁性層92を経由することによりリターンヨーク層23に取り込まれる。この際、磁束Jの一部は、ライトシールド層18においても取り込まれる。これらのライトシールド層18およびリターンヨーク層23に取り込まれた磁束Jは、やはりバックギャップ50Bを通じて磁極層40に再供給される。これにより、記録ヘッド部100Bと記録媒体90との間において磁束Jが循環するため、磁気回路が構築される。
一方、情報の再生時においては、再生ヘッド部100AのMR素子8にセンス電流が流れると、記録媒体90からの再生用の信号磁界に応じてMR素子8の抵抗値が変化するため、このMR素子8の抵抗変化がセンス電流の変化として検出されることにより、記録媒体90に記録されている情報が磁気的に再生される。
次に、図1〜図17を参照して、本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図5〜図17は、薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するためのものである。このうち、図5〜図11は、薄膜磁気ヘッドのうちの記録ヘッド部100Bの製造工程を説明するためのものであり、いずれも図1(B)に対応する断面構成を示している。また、図12〜図17は、記録ヘッド部100Bのうちの主磁極層15の形成工程を説明するためのものであり、いずれも図1(A)に対応する断面構成を拡大して示している。
以下では、まず、図1を参照して、薄膜磁気ヘッド全体の製造工程の概略について説明したのち、図1〜図17を参照して、本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドの製造方法が適用される記録ヘッド部100Bの製造工程について詳細に説明する。なお、薄膜磁気ヘッドを構成する一連の構成要素の材質、寸法ならびに構造的特徴に関しては既に詳述したので、それらの説明を随時省略するものとする。
この薄膜磁気ヘッドは、主に、めっき処理またはスパッタリングに代表される成膜技術、フォトリソグラフィ処理に代表されるパターニング技術、ならびにドライエッチングまたはウェットエッチングに代表されるエッチング技術などを含む既存の薄膜プロセスを使用して、各構成要素を順次形成して積層させることにより製造される。すなわち、薄膜磁気ヘッドを製造する際には、図1に示したように、まず、基板1上に絶縁層2を形成したのち、その絶縁層2上に、下部リードシールド層3と、MR素子8が埋設されたシールドギャップ膜4と、上部リードシールド層30(上部リードシールド層部分5,非磁性層6,上部リードシールド層部分7)とをこの順に積層させることにより、再生ヘッド部100Aを形成する。続いて、再生ヘッド部100A上に分離層9を形成したのち、その分離層9上に、絶縁層11〜13により周辺を埋設された薄膜コイル10と、非磁性層14と、絶縁層16により部分的に周囲を埋設された磁極層40(主磁極層15,補助磁極層19)と、ギャップ層17と、絶縁層50(補助絶縁層20,主絶縁層21(主絶縁層部分21A,21B))により埋設された薄膜コイル22と、磁性層60(ライトシールド層18,リターンヨーク層23)とをこの順に積層させることにより、記録ヘッド部100Bを形成する。最後に、記録ヘッド部100B上にオーバーコート層24を形成したのち、機械加工や研磨加工を利用してエアベアリング面70を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
薄膜磁気ヘッドのうちの記録ヘッド部100Bを製造する際には、分離層9を形成したのち、まず、図5に示したように、分離層9上に、例えばめっき処理を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより、薄膜コイル10を約2.5μmの厚さとなるようにパターン形成する。この薄膜コイル10を形成する際には、図2に示したように、後工程において構成されるバックギャップ50BGを中心として巻線が巻回するスパイラル構造を有するようにする。なお、めっき処理を使用したパターン形成技術の詳細に関しては、主磁極層15の形成工程を例に挙げて後述する。続いて、例えばフォトリソグラフィ処理を使用して、薄膜コイル10の巻線間およびその周辺領域を選択的に被覆するようにフォトレジスト膜を形成したのち、そのフォトレジスト膜を焼成することにより、端縁近傍部分が丸みを帯びた斜面を構成するように絶縁層11をパターン形成する。続いて、例えばスパッタリングを使用して、絶縁層11およびその周辺の分離層9を被覆するように前駆絶縁層12Zを形成する。この前駆絶縁層12Zは、後工程において研磨されることにより絶縁層12となる前準備層である。この前駆絶縁層12Zを形成する際には、例えば、最下面が絶縁層11の最上面よりも高くなるように形成厚さを調整する。
続いて、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing )法を使用して、薄膜コイル10が露出するまで前駆絶縁層12Zおよび絶縁層11を併せて研磨して平坦化することにより、図6に示したように、絶縁層11の周囲を埋設するように絶縁層12を形成する。この絶縁層12を形成する際には、例えば、前駆絶縁層12Zおよび絶縁層11と共に薄膜コイル10を併せて研磨することにより、その薄膜コイル10の厚さが約2.0μmとなるようにする。
続いて、図7に示したように、例えばスパッタリングを使用して、薄膜コイル10および絶縁層11,12により構成された研磨後の平坦面を覆うように、絶縁層13を約0.2μmの厚さとなるように形成する。この絶縁層13を形成することにより、絶縁層11〜13により薄膜コイル10が埋設されるため、その薄膜コイル10が周辺から電気的に分離される。続いて、例えばスパッタリングを使用して、絶縁層13を被覆するように、非磁性層14を約1.8μmの厚さとなるように形成する。続いて、非磁性層14の表面、すなわち後工程において主磁極層15が形成されることとなる下地を平坦化するために、例えばCMP法を使用して、非磁性層14を研磨することにより平坦化する。この非磁性層14を平坦化する際には、例えば、研磨処理を経ることにより厚さが約1.0μmとなるようにする。続いて、非磁性層14上に、例えばめっき処理を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより、主磁極層15を約0.25μmの厚さとなるようにパターン形成する。この主磁極層15を形成する際には、例えば、図2に示したように、後工程においてエアベアリング面70となる位置から順に、幅W1を有する先端部15Aと、その幅W1よりも大きな幅W2を有する後端部15Bとを含むようにすると共に、図3に示したように、後工程においてエアベアリング面70を形成した際に、左右対象の逆台形状の露出面15Mを有するようにする。これにより、後工程においてエアベアリング面70を形成した際に、そのエアベアリング面70から後方に向かって延在するように主磁極層15が形成される。研磨処理を経ることにより平坦化された非磁性層14上に主磁極層15が形成されるため、めっき処理を使用して主磁極層15を高精度にパターン形成することが可能である。続いて、例えばスパッタリングを使用して、主磁極層15およびその周辺の非磁性層14を被覆するように、前駆絶縁層16Zを形成する。この前駆絶縁層16Zは、後工程において研磨されることにより絶縁層16となる前準備層である。この前駆絶縁層16Zを形成する際には、例えば、最下面が主磁極層15の最上面よりも高くなるように形成厚さを調整する。
続いて、例えばCMP法を使用して、主磁極層15が露出するまで前駆絶縁層16Zを研磨して平坦化することにより、図8に示したように、主磁極層15の周囲を埋設するように絶縁層16を形成する。
これらの主磁極層15および絶縁層16の詳細な形成手順は、例えば、以下の通りである。
主磁極層15および絶縁層16を形成する際には、まず、図12に示したように、非磁性層14上に、例えばスパッタリングを使用して、電極膜としてのシード層81を約50.0nmの厚さとなるように形成する。このシード層81の形成材料としては、例えば、パーマロイなどの磁性材料を使用してもよいし、金(Au)や金銅合金(AuCu)などの非磁性材料を使用してもよいし、あるいは磁性材料および非磁性材料を組み合わせて使用してもよい。続いて、シード層81の表面にフォトレジストを塗布することによりフォトレジスト膜を形成したのち、フォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることにより、主磁極層15を形成するためのフォトレジストパターン82を形成する。このフォトレジストパターン82を形成する際には、例えば、主磁極層15の平面形状に対応した開口パターンを有する開口部82K1を有し、その開口部82K1の開口幅がシード層81に近づくにしたがって次第に狭まるようにすると共に、開口部82K1を画定するパターン部分の周囲に、その開口部82K1と共に他の開口部82K2を有するようにする。この場合には、特に、例えば、開口部82K1の下端幅が、図3に示した下端縁E2の幅W4(例えば、幅W4=0.04μm)に一致するようにする。なお、フォトレジストパターン82の形成材料としては、例えば、上記したように、開口部82K1の開口幅がシード層81に近づくにしたがって次第に狭まるようにするために、低透過率のフォトレジストを使用するのが好ましい。続いて、先工程において形成したシード層81を電極膜として使用して、フォトレジストパターン82に設けられた開口部82K1,82K2にめっき膜を成長させることにより、開口部82K1に前駆主磁極層15Z1を形成すると共に、開口部82K2に前駆主磁極層15Z2を併せて形成する。この前駆主磁極層15Z1は、後工程において研磨されることにより主磁極層15となる前準備層である。これらの前駆主磁極層15Z1,15Z2を形成する際には、例えば、それらの前駆主磁極層15Z1,15Z2の形成厚さがフォトレジストパターン82の厚さよりも小さくなるようにする。この場合には、特に、例えば、前駆主磁極層15Z1の上端幅が、図3に示した上端縁E1の幅W1よりも大きな幅W0(W0>W1)となるようにする。
続いて、フォトレジストパターン82を除去したのち、例えばイオンミリングを使用して、前駆主磁極層15Z1,15Z2をマスクとして使用済みのシード層81をエッチングすることにより、図13に示したように、シード層81のうちの不要部分として、前駆主磁極層15Z1,15Z2により被覆されていない部分を選択的に除去する。このシード層81をエッチングする際には、非磁性層14がシード層81と共に併せて部分的にエッチングされるため、その非磁性層14が部分的に約0.2μm程度掘り下げられる。
続いて、フォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることにより、図14に示したように、前駆主磁極層15Z1およびその周辺の非磁性層14を被覆するように、エッチング用のマスク83をパターン形成する。このマスク83を形成する際には、例えば、前駆主磁極層15Z1が完全に被覆される一方で、前駆主磁極層15Z2の大部分が露出されるように形成範囲を調整する。
続いて、例えば塩化第二鉄(FeCl3 )液などのエッチャントを利用したウェットエッチングを使用して、マスク83により被覆されていない前駆主磁極層15Z2をエッチングすることにより、図15に示したように、前駆主磁極層15Z2を選択的に除去する。こののち、マスク83を除去することにより、前駆主磁極層15Z1を露出させる。
続いて、図16に示したように、例えばスパッタリングを使用して、前駆主磁極層15Z1およびその周辺の非磁性層14を被覆するように、上記した前駆絶縁層16Zを形成する。この前駆絶縁層16Zが形成される際には、下地の非磁性層14および前駆主磁極層15Z1により構成された凹凸構造を反映するように前駆絶縁層16Zが成膜されるため、前駆主磁極層15Z1の配設領域に対応する領域R1が相対的に高くなると共に、その前駆主磁極層15Z1の周辺領域に対応する領域R2が相対的に低くなる。続いて、例えばスパッタリングを使用して、上記した領域R2における前駆絶縁層16Z上に、前駆主磁極層15Z1を挟んで両側に配設されるように、エッチング処理の進行度を制御するためのストッパ層84を約100nmの厚さとなるように形成する。このストッパ層84の形成材料としては、例えば、CMP法を使用した研磨処理において研磨されにくい材料を使用し、具体的にはタンタル(Ta)を使用する。続いて、例えばスパッタリングを使用して、ストッパ層84およびその周辺の前駆絶縁層16Zを被覆するように、絶縁層85を形成する。この絶縁層85の形成材料としては、例えば、前駆絶縁層16Zの形成材料として使用した非磁性絶縁性材料と同様の非磁性絶縁性材料を使用する。ストッパ層84の形成材料に関して上記した「CMP法を使用した研磨処理において研磨されにくい材料」とは、詳細には、ストッパ層84と、絶縁層85、前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1との間で、CMP法を使用した研磨処理における研磨速度を比較した場合に、絶縁層85、前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1のそれぞれの研磨速度よりも著しく小さい研磨速度を有する材料という意味である。
最後に、例えばCMP法を使用して、前駆主磁極層15Z1が露出するまで絶縁層85および前駆絶縁層16Zを研磨することにより、図17に示したように、主磁極層15および絶縁層16を形成する。この主磁極層15を形成する際には、例えば、絶縁層85および前駆絶縁層16Zと共に前駆主磁極層15Z1を併せて研磨することにより、主磁極層15の上端幅が、図3に示した上端縁の幅W1(例えば、幅W1=約0.14μm)に一致するようにする。これらの絶縁層85、前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1が研磨される際には、上記したように、絶縁層85、前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1のそれぞれの研磨速度と比較してストッパ層84の研磨速度が著しく小さいため、そのストッパ層84がエッチング処理の進行を停止させる役割を果たす。より具体的には、絶縁層85、前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1の順に研磨処理が進行すると、その研磨作用がストッパ層84に到達した時点において、研磨処理の進行が停止する。なお、研磨処理が停止する際には、ストッパ層84により被覆されていない領域において前駆絶縁層16Zおよび前駆主磁極層15Z1が部分的に過剰に研磨されるため、図17に示したように、ストッパ層84の配設位置を越えて絶縁層16および主磁極層15が部分的に掘り下げられる。なお、上記した研磨処理を経て主磁極層15を形成した際には、例えば、さらにイオンミリングや集束イオンビームエッチング(FIB;Focused Ion Beam Etching)などのエッチング手法を使用して主磁極層15に追加エッチング処理を施すことにより、その主磁極層15の上端幅を微調整するようにしてもよい。こののち、ストッパ層84を除去することにより、図8に示した主磁極層15および絶縁層16の形成工程が完了する。なお、図1および図5〜図11では、非磁性層14に設けられた窪みやシード層81の図示を省略している。
引き続き、薄膜磁気ヘッドのうちの記録ヘッド部100Bの製造工程について説明する。主磁極層15および絶縁層16を形成したのち、図9に示したように、例えばスパッタリングを使用して、主磁極層15上に、ギャップ層17を約0.05μmの厚さとなるようにパターン形成する。このギャップ層17を形成する際には、例えばリフトオフ処理を利用してギャップ層17の形成範囲を調整することにより、後工程において補助磁極層19が形成されることとなる領域を被覆せず、すなわち主磁極層15を部分的に露出させるようにする。続いて、ギャップ層17上に、例えばめっき処理を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより、ライトシールド層18を約0.7μmの厚さとなるようにパターン形成する。このライトシールド層18を形成する際には、後工程においてエアベアリング面70となる位置から後方の位置P2まで延在するようにすると共に、その位置P2に基づいてスロートハイトゼロ位置TPが規定され、すなわちライトシールド層18の形成長さ(距離L2)に基づいてスロートハイトTH(例えば、スロートハイトTH=約0.25μm)が規定されることを考慮して形成長さを調整する。特に、ライトシールド層18を形成する際には、例えば、そのライトシールド層18を形成するために実施しためっき処理を流用して他のめっき膜を選択的に成長させることにより、主磁極層15の露出面上に、補助磁極層19を約0.7μmの厚さとなるように形成する。この補助磁極層19を形成する際には、後工程においてエアベアリング面70となる位置よりも後退した位置P1から後方に向かって延在するようにすると共に、その位置P1に基づいて補助磁極層19の後退距離(距離L1)が規定されることを考慮して形成位置を調整する。これにより、後工程においてエアベアリング面70を形成した際に、そのエアベアリング面70よりも後退した位置P1から後方に向かって延在するように補助磁極層19が形成される。続いて、例えばスパッタリングを使用して、ライトシールド層18、補助磁極層19およびそれらの周辺のギャップ層17を被覆するように、前駆補助絶縁層20Zを形成する。この前駆補助絶縁層20Zは、後工程において研磨されることにより補助絶縁層20となる前準備層である。この前駆補助絶縁層20を形成する際には、例えば、最下面がライトシールド層18の最上面よりも高くなるように形成厚さを調整する。
続いて、例えばCMP法を使用して、補助磁極層19が露出するまで前駆補助絶縁層20Zおよびライトシールド層18を研磨することにより、図10に示したように、ギャップ層17上に、位置P2から位置P1まで延在するように補助絶縁層20を形成する。この補助絶縁層20を形成する際には、例えば、前駆補助絶縁層20Zおよびライトシールド層18と共に補助磁極層19を併せて研磨することにより、ライトシールド層18の厚さが約0.45μmとなるようにする。これらの前駆補助絶縁層20Z、ライトシールド層18および補助磁極層19が平坦化される結果、補助絶縁層20のトレーリング側の面、ライトシールド層18のトレーリング側の面、ならびに補助磁極層19のトレーリング側の面により平坦面HMが構成される。これにより、リーディング側に配設された主磁極層15と、トレーリング側に配設された補助磁極層19とが積層された積層構造を有するように磁極層40が形成される。
続いて、図11に示したように、補助絶縁層20および補助磁極層19により構成された平坦面HMに隣接しながら後方に向かって延在し、薄膜コイル22を被覆すると共にバックギャップ50BGを構成するように、主絶縁層21を形成する。この主絶縁層21を形成する際には、例えば、位置P2よりも後退した位置P3から後方に向かって延在するようにすると共に、その位置P2に基づいて主絶縁層21の後退距離、すなわち後工程において形成されるリターンヨーク層23のうちのライトシールド層18に隣接する部分の長さ(距離L3)が規定されることを考慮して、主絶縁層21の後退距離を調整する。これにより、補助絶縁層20および主絶縁層21が積層された積層構造を有するように絶縁層50が形成される。
この主絶縁層21の詳細な形成手順は、例えば、以下の通りである。すなわち、まず、平坦面HM上のうち、後工程において薄膜コイル22が形成されることとなる領域を含む領域に、例えばスパッタリングを使用して、主絶縁層部分21Aを約0.2μmの厚さとなるようにパターン形成する。続いて、主絶縁層部分21A上に、例えばめっき処理を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより、薄膜コイル22を約2.0μmの厚さとなるようにパターン形成する。最後に、例えば絶縁層11の形成手法と同様の手法を使用して、薄膜コイル22およびその周辺の主絶縁層部分21Aを被覆するように、主絶縁層部分21Bをパターン形成する。これにより、補助磁極層19および補助絶縁層20上に、主絶縁層部分21A,21Bを含むように主絶縁層21が形成される。
絶縁層50(補助絶縁層20,主絶縁層21)を形成したのち、図11に示したように、例えばめっき処理を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより、ライトシールド層18に連結されるように、リターンヨーク層23をパターン形成する。このリターンヨーク層23を形成する際には、後工程においてエアベアリング面70となる位置からバックギャップ5BGを経由して後方まで延在するようにする。これにより、ライトシールド層18およびリターンヨーク層23を含むように磁性層60が形成されるため、記録ヘッド部100Bが完成する。
なお、上記では、説明を簡略化する関係上、図11に示した時点において、記録ヘッド部100Bが完成することとしているが、厳密には、図1に示したように、後工程においてエアベアリング面70が形成された時点において、記録ヘッド部100Bが実質的に完成する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、リーディング側に配設された主磁極層15と、トレーリング側に配設された補助磁極層19とが積層されるように磁極層40を構成したので、以下の理由により、情報の記録時において記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。
図18は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例の薄膜磁気ヘッドの断面構成を表しており、図1に対応している。また、図19は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する利点を説明するためのものであり、図20は、比較例の薄膜磁気ヘッドに関する問題点を説明するためのものである。これらの図19および図20では、それぞれ図1および図18に示した薄膜磁気ヘッドのうちの主要部のみを抜粋して示している。図18に示した比較例の薄膜磁気ヘッドは、主磁極層15がリーディング側に配設され、補助磁極層19がトレーリング側に配設されるように磁極層40が構成されている本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドとは異なり、主磁極層15がトレーリング側に配設され、補助磁極層19がリーディング側に配設されるように磁極層40が構成されている点を除き、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドとほぼ同様の構成を有している。詳細には、比較例の薄膜磁気ヘッドでは、図18に示したように、非磁性層14により補助磁極層19が周囲を埋設されていると共に、ギャップ層17および補助絶縁層20の双方がバックギャップ50BGを塞がないように後方まで延設されている。
比較例の薄膜磁気ヘッド(図18参照)では、磁極層40のトレーリング側に磁性層60が配設されている場合に、補助磁極層19が主磁極層15に対してリーディング側に配設されており、すなわち補助磁極層19が磁性層60から相対的に遠い側に配設されている構造的要因に起因して、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されやすくなる。具体的には、比較例の薄膜磁気ヘッドでは、例えば、図20に示したように、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束Jが補助磁極層19に収容されると、その補助磁極層19に収容された磁束Jのうちの一部の磁束J1が主磁極層15を経由してエアベアリング面70から外部へ間接的に放出されるため、その磁束J1に基づいて正規の垂直磁界が発生する。一方、残りの磁束J2は主磁極層15を経由せずにエアベアリング面70から外部へ直接的に放出されるため、その磁束J2に基づいて不要な磁界も併せて発生する。この場合には、正規の垂直磁界により記録媒体が磁化されるため、その記録媒体に正常に情報が記録されると共に、不要な磁界に起因して記録媒体が再磁化されるため、その記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されやすくなる。これにより、比較例の薄膜磁気ヘッドの薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去される不具合が発生しやすくなるのである。
これに対して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(図1参照)では、磁極層40のトレーリング側に磁性層60が配設されている場合に、補助磁極層19が主磁極層15に対してトレーリング側に配設されており、すなわち補助磁極層19が磁性層60に相対的に近い側に配設されている構造的特徴に基づいて、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。具体的には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、例えば、図19に示したように、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束Jが補助磁極層19に収容されると、その補助磁極層19に収容された磁束Jのうちの一部の磁束J1が、比較例の薄膜磁気ヘッドと同様に、主磁極層15を経由してエアベアリング面70から外部へ間接的に放出されるため、その磁束J1に基づいて正規の垂直磁界が発生する。一方、残りの磁束J2が主磁極層15を経由せずにエアベアリング面70から外部へ直接的に放出されそうになっても、その磁束J2が磁性層60に取り込まれることによりエアベアリング面70から外部へ直接的に放出されにくいため、磁束J2に基づいて不要な磁界が発生しにくくなる。この場合には、正規の垂直磁界により記録媒体が磁化されるため、その記録媒体に正常に情報が記録される上、不要な磁界に起因して記録媒体が再磁化されにくいため、その記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。したがって、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができるのである。
ここで、上記した本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構造的特徴に基づく技術的効果に関して補足しておくと、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、補助磁極層19が主磁極層15に対してトレーリング側に配設されている限り、その補助磁極層19の延在範囲は自由に設定可能である。より具体的には、図1を参照すると、補助磁極層19の延在範囲を規定する位置P1は、主絶縁層21の前端の位置(位置P3)と後端の位置(位置P4)との間において自由に設定可能である。位置P3と位置P4との間において位置P1を変化させた場合においても、やはり情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。ただし、位置P1を変化させる場合には、以下の点に留意する必要がある。すなわち、位置P1が位置P3に近づきすぎると、補助磁極層19が磁性層60に近づきすぎることに起因して、その補助磁極層19から磁性層60へ取り込まれる磁束J2(図19参照)の量が増加し、すなわち補助磁極層19から主磁極層15を経由してエアベアリング面70から放出される磁束J1の量が減少するため、垂直磁界の強度が低下しやすくなる。一方、位置P1が位置P4に近づきすぎると、補助磁極層19の容積が小さくなりすぎることに起因して、その補助磁極層19に収容される磁束Jの量が減少するため、やはり垂直磁界の強度が低下しやすくなる。したがって、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関して、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制しつつ、垂直磁界の強度を確保するためには、位置P3,P4に近づきすぎないように位置P1を設定する必要がある。より具体的には、本実施の形態では、図1を参照すると、エアベアリング面70と主絶縁層21の前端(位置P3)との間の距離(距離L3)=0.40μm,エアベアリング面70と主絶縁層21の後端(位置P4)との間の距離=8.0μmの場合には、エアベアリング面70と補助磁極層19の前端(位置P1)との間の距離(距離L1)を0.40μm<L1<8.0μmの範囲内とすることにより、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。この場合には、特に、距離L1を0.8μm≦L1≦7.1μmの範囲内とすることにより、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制しつつ、垂直磁界の強度を確保することができる。
また、本実施の形態では、補助磁極層19の飽和磁束密度が主磁極層15の飽和磁束密度よりも小さくなるようにしたので、その飽和磁束密度の差異に基づいて補助磁極層19よりも主磁極層15において磁束が集中しやすくなる。この場合には、図19を参照すると、補助磁極層19の飽和磁束密度が主磁極層15の飽和磁束密度よりも大きい場合と比較して、補助磁極層19から磁性層60に取り込まれる磁束J2の量が相対的に減少し、補助磁極層19から主磁極層15を経由してエアベアリング面70から放出される磁束J1の量が相対的に増加するため、この観点においても情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができると共に、垂直磁界の強度を確保することができる。
また、本実施の形態では、図3に示したように、垂直磁界を発生させるために磁束を放出する主磁極層15の露出面15Mが、左右対象の逆台形状を有するようにしたので、薄膜磁気ヘッドの記録動作時にスキューが発生し、すなわち記録媒体に湾曲線状に設けられた記録対象トラック(情報の記録対象である特定のトラック)の接線方向に対して主磁極層15が傾いたとしても、その主磁極層15の露出面15Mが記録対象トラックから隣接トラック(記録対象トラックに隣接する他のトラック)にはみださない。この場合には、露出面15Mが矩形状を有している構造的要因に起因して、スキューの発生時において露出面15Mが記録対象トラックから隣接トラックにはみだす場合とは異なり、垂直磁界により記録対象トラックだけでなく隣接トラックまで併せて磁化されることが抑制されるため、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報がスキューに起因して意図せずに消去されることも抑制することができる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、エアベアリング面70から主絶縁層21までの距離、すなわちリターンヨーク層23のうちのライトシールド層18に隣接する部分の長さ(距離L3)が、そのライトシールド層18の長さ(距離L2)よりも大きくなるようにしたので、上記したように、エアベアリング面70を経由して磁性層60に磁束が取り込まれ、すなわちライトシールド層18に取り込まれた磁束がライトシールド層18を経由してリターンヨーク層23へ流入する過程において、その磁束が磁性層60内を流れる磁路が段階的に拡張する。この場合には、距離L3が距離L2よりも小さい構造的要因に起因して、磁束が磁性層60中を流れる磁束が段階的に縮小する場合とは異なり、その磁性層60内において磁束が飽和することが抑制されるため、磁性層60内の磁束の流れを円滑化することができる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、主磁極層15のトレーリング側に、記録用の磁束を発生させる薄膜コイル22を設けると共に、その主磁極層15のリーディング側に、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束の漏洩を抑制するために漏洩抑制用の磁束を発生させる薄膜コイル10を設けるようにしたので、例えば、上記したように、情報の記録時において互いに逆方向となるように薄膜コイル10,22に電流を流すことにより、それらの薄膜コイル10,22において互いに逆方向に向けて磁束を発生させれば、薄膜コイル10において発生した上向きの磁束(漏洩抑制用の磁束)の影響を受けて、薄膜コイル22において発生した下向きの磁束(記録用の磁束)が記録ヘッド部100Bから再生ヘッド部100Aへ伝播しにくくなるため、その薄膜コイル22において発生した記録用の磁束が再生ヘッド部100Aへ漏れにくくなる。したがって、薄膜コイル22において発生した記録用の磁束がロスなく主磁極層15を経由してエアベアリング面70から放出されるため、この観点においても垂直磁界の強度を確保することができる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、主磁極層15のトレーリング側に補助磁極層19を配設させたため、主磁極層15のリーディング側に補助磁極層19を配設させた比較例の薄膜磁気ヘッド(図18参照)と比較して、再生ヘッド部100A(MR素子8)と記録ヘッド部100B(主磁極層15)との間の距離が小さくなる結果、その記録ヘッド部100Bが熱伝導量の大きな基板1に近づく。この場合には、記録ヘッド部100Bのうちの薄膜コイル10,22の通電時において発生した熱が基板1を通じて放熱されやすくなる(放熱効率が向上する)ため、例えば主磁極層15の突起欠陥、すなわち主磁極層15が熱的に膨張することに起因してエアベアリング面70から意図せずに突出する欠陥の発生を抑制することができる。もちろん、上記した突起欠陥の発生抑制に関する効果は、主磁極層15に限らず、磁性層60などに関しても同様に得られる。
また、本実施の形態では、図3に示したように、主磁極層15の露出面15Mにおける上端縁E1(トレーリングエッジTE)の幅W1が0.2μm以下であり、磁性層60の露出面60Mの面積Sが7μm2 以上であるようにしたので、エアベアリング面70近傍において磁性層60の磁気ボリューム(磁束収容量)が十分に大きくなる。この場合には、記録後の磁束が磁性層60において集中しにくくなるため、その磁性層60において不要な磁界が発生しにくくなる。このときの不要な磁界とは、垂直磁界と反対方向の磁界であり、記録媒体90に記録された記録パターンを消去したり、あるいは記録パターンの品質を劣化させるものである。したがって、この観点においても、意図しない情報の消去を抑制することができる。この場合には、特に、面積Sが12.25μm2 以上、さらには70μm2 以上であれば、記録パターンの品質を確保することができる。
この場合には、特に、磁性層60の飽和磁束密度をX[T]、露出面60Mの磁気的な面積をY[μm2 T]、記録媒体90を磁化する垂直磁界の強度の最大値をZ[×103 /(4π)A/m]としたとき、Y≧{7X/[9000×103 /(4π)]}×Zの関係が成立するようにしたので、垂直磁界の強度の最大値に応じて露出面60Mの磁気的な面積を設定することにより、意図しない情報の消去を抑制することができる。
特に、上記した他、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、リーディング側に主磁極層15が配設され、トレーリング側に補助磁極層19が配設された磁極層40を備えた薄膜磁気ヘッドを製造するために、成膜技術、パターニング技術およびエッチング技術などを含む既存の薄膜プロセスのみを使用し、新規かつ煩雑な製造プロセスを使用しない。したがって、本実施の形態では、既存の薄膜プロセスのみを使用して、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることが可能な限り抑制された薄膜磁気ヘッドを容易に製造することができる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、非磁性層14上に主磁極層15を形成するようにしたので、以下の理由により、図18に示した比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合と比較して、ほぼ一定の記録性能を有するように複数の薄膜磁気ヘッドを安定に製造することができる。
図21は、比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合の問題点を説明するためのものであり、図20に対応している。比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、主磁極層15の下地が非磁性層14および補助磁極層19の双方により構成されていることに起因して、その主磁極層15を形成する前に、例えばCMP法を使用して非磁性層14および補助磁極層19の双方を研磨することにより平坦化しようとすると、図21に示したように、非磁性層14の研磨速度と補助磁極層19の研磨速度との間の差異に起因して平坦化されず、すなわち非磁性層14と補助磁極層19との間に段差が生じやすくなる。図21では、例えば、非磁性層14の研磨速度よりも補助磁極層19の研磨速度が速いため、非磁性層14よりも補助磁極層19が過剰に研磨された場合を示している。非磁性層14と補助磁極層19との間に段差が生じると、その段差に起因して主磁極層15に段差が生じるため、主磁極層15のうちの前方部分と後方部分との間で形成厚さに差異が生じやすくなる。なお、図21では、非磁性層14および補助磁極層19上に主磁極層15を形成したのち、例えばCMP法を使用して主磁極層15を研磨することにより平坦化した状態を示している。この場合には、例えば、ウェハ上に複数の薄膜磁気ヘッドを一括形成すると、上記した主磁極層15の形成厚さが各薄膜磁気ヘッド間においてばらつくため、一連の薄膜磁気ヘッド間において記録特性がばらついてしまう。より具体的には、例えば、一連の薄膜磁気ヘッド間における主磁極層15の形成厚さのばらつきが約0.05μm程度であったとしても、その主磁極層15の目標形成厚さが約0.25μmであるとすると、主磁極層15の形成厚さのばらつき(=約0.05μm)は目標形成厚さ(=約0.25μm)の20%を占めることとなるため、各薄膜磁気ヘッド間において主磁極層15の容積(すなわち磁束収容量)に差異が生じることに起因して、一連の薄膜磁気ヘッド間において例えばオーバーライト特性などに代表される記録性能がばらついてしまう。これにより、比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、ほぼ一定の記録性能を有するように複数の薄膜磁気ヘッドを安定に製造することが困難である。
これに対して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、主磁極層15の下地が非磁性層14のみにより構成されていることに基づき、その主磁極層15を形成する前に、例えばCMP法を使用して非磁性層14を研磨して平坦化することにより、非磁性層14と補助磁極層19との間に段差が生じやすい比較例の場合とは異なり、図19に示したように、非磁性層14が適正に平坦化されるため、主磁極層15の形成厚さがほぼ均一となる。この場合には、例えば、ウェハ上に複数の薄膜磁気ヘッドを一括形成した場合においても、上記した主磁極層15の形成厚さが各薄膜磁気ヘッド間においてほぼ均一となるため、一連の薄膜磁気ヘッド間において記録特性がほぼ均一となる。これにより、各薄膜磁気ヘッド間において主磁極層15の容積(すなわち磁束収容量)がほぼ均一となることに基づいて、一連の薄膜磁気ヘッド間において例えばオーバーライト特性などに代表される記録性能がほぼ均一となる。したがって、本実施の形態では、ほぼ一定の記録性能を有するように複数の薄膜磁気ヘッドを安定に製造することができるのである。この場合には、特に、ほぼ一定の厚さとなるように複数の主磁極層15を高精度に形成することが可能なため、各主磁極層15間においてフレアポイントFPがばらつくことを抑制することもできる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、主磁極層15上に補助磁極層19を形成するようにしたので、以下の理由により、図18に示した比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合と比較して、主磁極層15の飽和磁束密度を適正に設定することができる。
図22は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを製造する場合の利点を説明するためのものであり、図19に対応している。また、図23は、比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合の問題点を説明するためのものであり、図20に対応している。なお、図22および図23は、図12〜図17を参照して説明したシード層81を新たに図示している。比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、補助磁極層19上に主磁極層15を形成していることに起因して、図23に示したように、シード層81を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより主磁極層15を形成しようとすると、そのシード層81が補助磁極層19と主磁極層15との間に挟まれる。この場合には、補助磁極層19と主磁極層15とを互いに磁気的に連結させる上でシード層81の形成材料が磁性材料に限定されてしまうため、その主磁極層15の飽和磁束密度を適正に設定することが困難となる。具体的には、主磁極層15の実質的な飽和磁束密度を十分に高くなるように設定する上では、その実質的な飽和磁束密度を主磁極層15の形成材料の飽和磁束密度のみに基づいて規定するのが好ましいため、シード層81の形成材料として主磁極層15の実質的な飽和磁束密度に寄与しない非磁性材料を使用したいが、シード層81が補助磁極層19と主磁極層15との間に挟まれる場合には、上記したように、シード層81の形成材料が磁性材料に限定されてしまう。すなわち、例えば、めっき処理を使用して主磁極層15を形成する場合には、めっき膜の成長分布を均一化させるために、シード層81の厚さが最低でも約0.05μmほど必要であるが、主磁極層15の形成厚さが約0.25μmである場合には、シード層81の厚さが主磁極層15の厚さの20%を占めることとなる。この場合には、例えば、一般的に薄膜を形成しやすいパーマロイなどの磁性材料を使用してシード層81を形成すると、そのシード層81(例えばパーマロイ)の飽和磁束密度が主磁極層15(例えば鉄系合金)の飽和磁束密度よりも低いため、主磁極層15の実質的な飽和磁束密度が低下してしまう。これにより、比較例の薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、主磁極層15の飽和磁束密度を適正に設定することが困難である。
これに対して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、主磁極層15上に補助磁極層19を形成していることに基づき、図22に示したように、シード層81を使用してめっき膜を選択的に成長させることにより主磁極層15を形成しようとしても、そのシード層81が補助磁極層19と主磁極層15との間に挟まれない。この場合には、補助磁極層19と主磁極層15とを互いに磁気的に連結させる上でシード層81の形成材料が磁性材料に限定される比較例の場合とは異なり、シード層81の形成材料が磁性材料に限定されないため、その主磁極層15の飽和磁束密度を適正に設定することが可能である。具体的には、主磁極層15の実質的な飽和磁束密度に寄与しない非磁性材料を使用してシード層81を形成すれば、その実質的な飽和磁束密度が主磁極層15の形成材料の飽和磁束密度のみに基づいて規定されるため、主磁極層15の実質的な飽和磁束密度を十分に高くなるように設定することが可能である。したがって、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを製造する場合には、主磁極層15の飽和磁束密度を適正に設定することができるのである。
なお、本実施の形態では、図9に示したように、ライトシールド層18および補助磁極層19を単一の工程において一括して形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、ライトシールド層18および補助磁極層19を別個の工程において個別に形成するようにしてもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以上をもって、本発明の実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドを備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法についての説明を終了する。
次に、図24および図25を参照して、本発明の垂直磁気記録ヘッドを搭載した磁気記録装置の構成について説明する。図24は磁気記録装置の斜視構成を表しており、図25は磁気記録装置の主要部の斜視構成を拡大して表している。この磁気記録装置は、上記実施の形態において説明した薄膜磁気ヘッドを搭載したものであり、例えばハードディスクドライブである。
この磁気記録装置は、図24に示したように、例えば、筐体200の内部に、情報が磁気的に記録される記録媒体90(図4参照)としての複数の磁気ディスク(例えばハードディスク)201と、各磁気ディスク201に対応して配設され、磁気ヘッドスライダ202を一端部において支持する複数のサスペンション203と、このサスペンション203の他端部を支持する複数のアーム204とを備えている。磁気ディスク201は、筐体200に固定されたスピンドルモータ205を中心として回転可能になっている。アーム204は、動力源としての駆動部206に接続されており、筐体200に固定された固定軸207を中心として、ベアリング208を介して旋回可能になっている。駆動部206は、例えば、ボイスコイルモータなどの駆動源を含んで構成されている。この磁気記録装置は、例えば、固定軸207を中心として複数のアーム204が一体的に旋回可能なモデルである。なお、図24では、磁気記録装置の内部構造を見やすくするために、筐体200を部分的に切り欠いて示している。
磁気ヘッドスライダ202は、図25に示したように、例えばアルティックなどの非磁性絶縁材料により構成された略直方体構造を有する基体211の一面に、記録処理および再生処理の双方を実行する薄膜磁気ヘッド212が取り付けられた構成を有している。この基体211は、例えば、アーム204の旋回時に生じる空気抵抗を減少させるための凹凸構造が設けられた一面(エアベアリング面220)を有しており、そのエアベアリング面220と直交する他の面(図25中、右手前側の面)に、薄膜磁気ヘッド212が取り付けられている。この薄膜磁気ヘッド212は、上記実施の形態において説明した構成を有するものである。この磁気ヘッドスライダ202は、情報の記録時または再生時において磁気ディスク201が回転すると、その磁気ディスク201の記録面(磁気ヘッドスライダ202と対向する面)とエアベアリング面220との間に生じる空気流を利用して、磁気ディスク201の記録面から浮上するようになっている。なお、図25では、磁気ヘッドスライダ202のうちのエアベアリング面220側の構造を見やすくするために、図24に示した状態とは上下を反転させた状態を示している。
この磁気記録装置では、情報の記録時または再生時においてアーム204が旋回することにより、磁気ディスク201のうちの所定の領域(記録領域)まで磁気ヘッドスライダ202が移動する。そして、磁気ディスク201と対向した状態において薄膜磁気ヘッド212が通電されると、上記実施の形態において説明した動作原理に基づいて薄膜磁気ヘッド212が動作することにより、その薄膜磁気ヘッド212が磁気ディスク201に記録処理または再生処理を施す。
この磁気記録装置では、上記実施の形態において説明した構造的特徴を有する薄膜磁気ヘッド212を搭載したので、上記したように、磁気ディスク201に記録済みの情報が意図せずに消去されにくくなる。したがって、薄膜磁気ヘッド212を搭載し、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制することができる。
なお、この磁気記録装置に搭載されている薄膜磁気ヘッド212に関する上記以外の構成、動作、作用、効果および変形例は上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明に関する実施例について説明する。
上記実施の形態において説明した薄膜磁気ヘッド(図1〜図4参照)を磁気記録装置(図24および図25参照)に搭載させて記録処理を実施することにより記録特性を調べたところ、以下の結果が得られた。
第1に、垂直磁界の強度を調べたところ、表1に示した結果が得られた。表1は、垂直磁界の強度(磁界強度H;103 /(4π)A/m=Oe)のシミュレーション結果を表している。この垂直磁界の強度を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、ギャップ層の厚さ=0.05μm,補助磁極層の厚さ=0.5μm,補助磁極層の後退距離(距離L1)=3.0μm,ライトシールド層の厚さ=0.45μm,ライトシールド層の長さ(距離L2)=0.25μmとすると共に、薄膜磁気ヘッドの動作仕様として、薄膜コイルに供給する電流=0.03A,薄膜コイルのターン数=5T(ターン)とすることにより、起磁力=0.15ATとした。なお、本発明の薄膜磁気ヘッドに関する垂直磁界の強度を調べる際には、その垂直磁界の磁界強度を比較評価するために、図18に示した比較例の薄膜磁気ヘッドに関しても同様の条件において垂直磁界の強度を調べることにより、その比較例の薄膜磁気ヘッドに関する垂直磁界の強度も表1に併せて示した。
Figure 2006155866
表1に示したシミュレーション結果から判るように、垂直磁界の強度(磁界強度H)は、比較例の薄膜磁気ヘッドよりも本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて大きくなった。具体的には、磁界強度Hは、比較例の薄膜磁気ヘッドに関して10948×103 /(4π)A/mであったのに対して、本発明の薄膜磁気ヘッドに関して10991×103 /(4π)A/mであった。このことから、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、補助磁極層を主磁極層のトレーリング側に配設させることにより、垂直磁界の磁界強度が確保されることが確認された。
第2に、垂直磁界の強度と補助磁極層の後退距離との間の相関を調べたところ、図26および図27に示した結果が得られた。図26および図27は、いずれも垂直磁界の強度と補助磁極層の後退距離との間の相関を表しており、「横軸」は補助磁極層の後退距離、すなわち図1に示した距離L1を示し、「縦軸」は垂直磁界の強度(磁界強度H;103 /(4π)A/m)を示している。なお、図27に示した相関は、図26に示した相関のうちの一部(磁界強度H=9700×103 /(4π)A/m〜10050×103 /(4π)A/mの範囲)を拡大して示している。この垂直磁界の強度と補助磁極層の後退距離との間の相関を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、ギャップ層の厚さ=0.05μm,補助磁極層の厚さ=0.5μm,補助磁極層の後退距離(距離L1)=0.6μm〜7.1μm,ライトシールド層の厚さ=0.45μm,ライトシールド層の長さ(距離L2)=0.25μm,主絶縁層の後退距離(距離L3)=0.40μmとすると共に、薄膜磁気ヘッドの動作仕様として、薄膜コイルに供給する電流=0.03A,薄膜コイルのターン数=4T(ターン)とすることにより、起磁力=0.12ATとした。図1を参照して補助磁極層の後退距離(距離L1)を説明すると、距離L1=0.4μmのとき、補助磁極層の前端が位置P3に位置する場合に相当し、一方、距離L1=8.0μmのとき、補助磁極層の前端が位置P4に位置する場合に相当する。
図26に示した結果から判るように、距離L1=0.6μm〜7.1μmの範囲内では、その距離L1=0.8μm以上の範囲において磁界強度Hが十分に大きくなった。具体的には、距離L1=0.8μm以上の範囲における磁界強度Hは、約9900×103 /(4π)A/m以上であった。この場合には、特に、距離L1=0.8μm以上の範囲において磁界強度Hを詳細に調べたところ、その磁界強度Hは、図27に示したように、上向き凸型のカーブを描くように変化し、距離L1=3.4μmにおいて最大(磁界強度H=9999×103 /(4π)A/m)となった。このことから、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、距離L1=0.8μm〜7.1μmの範囲内において垂直磁界の強度が確保されることが確認された。また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記したように垂直磁界の強度が確保されたことに伴い、情報の記録時において記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることを可能な限り抑制されることも確認された。
第3に、磁性層の構造と意図しない情報の消去との間の関係を調べたところ、以下の一連の結果が得られた。
まず、意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の幅の影響を調べたところ、図28および図29に示した結果が得られた。図28および図29は、いずれも不要な磁界の強度と磁性層の露出面の幅との間の相関を表しており、「横軸」は磁性層の露出面の幅W3(μm)を示し、「縦軸」は不要な磁界の強度(磁界強度HU;103 /(4π)A/m)を示している。なお、図29に示した相間は、図28に示した相間のうちの一部(幅W3=0μm〜5.0μmの範囲)を拡大して示している。この意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の幅の影響を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、主磁極層の露出面における上端縁(トレーリングエッジ)の幅W1=0.2μm,磁性層の露出面の幅W3=0.2μm〜90μm,磁性層の露出面の高さH3=3.5μmとすると共に、記録媒体の保磁力Hc=4000×103 /(4π)A/mとした。
図28に示した結果から判るように、磁界強度HUは、幅W3が大きくなるにしたがって急激に減少したのちにほぼ一定となった。具体的には、磁界強度HUは、幅W3=0.2μmにおいて最大(7139×103 /(4π)A/m)であったが、幅W3=20μm以上の範囲においてほぼ一定(372×103 /(4π)A/m〜550×103 /(4π)A/m)となった。この結果は、幅W3が大きくなるにしたがってエアベアリング面近傍における磁性層の磁気ボリュームが増大するため、その磁性層において記録後の磁束が集中しにくくなることを表している。
ここで、図28に示した磁界強度HUの変化傾向を踏まえ、図29に示した結果から、記録後の磁束が磁性層に集中する現象に起因して意図せずに情報が消去されることを防止可能な幅W3の適正範囲を見積もった。具体的には、記録媒体の保磁力Hc=4000×103 /(4π)A/mであることから、その記録媒体に関して意図しない情報の消去を防止するために、磁界強度HUが4000×103 /(4π)A/mよりも小さくなる幅W3の範囲を調べたところ、その幅W3の範囲は2.0μm以上であった。この場合には、特に、幅W3=3.5μm以上の範囲において磁界強度HUの減少割合が著しく小さくなったと共に、さらに幅W3=20μm以上の範囲において磁界強度HUがほぼ一定となった。
続いて、意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の幅および厚さの影響を調べたところ、表2および表3に示した結果が得られた。表2は不要な磁界の強度(磁界強度HU)と磁性層の露出面の幅(幅W3)との間の相関を表しており、表3は不要な磁界の強度(磁界強度HU)と磁性層の露出面の高さ(高さH3)との間の相関を表している。この意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の幅の影響を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、磁性層の露出面の幅W3=90μm,45μm,磁性層の露出面の高さH3=3.5μmとした。また、意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の高さの影響を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、磁性層の露出面の高さH3=3.5μm,1.75μm,磁性層の露出面の幅W3=90μmとした。上記以外の仕様条件は、図28および図29に示した場合と同様である。なお、幅W3=90μmとしたときの磁界強度HU(表2参照)および高さH3=3.5μmとしたときの磁界強度HU(表3参照)は、いずれも372×103 /(4π)A/mであった。
Figure 2006155866
Figure 2006155866
表1に示した結果から判るように、幅W3の値を半分にしたところ、磁界強度HUは増大した。具体的には、幅W3を90μmから45μmに変化させたところ、磁界強度HUは372×103 /(4π)A/mから416×103 /(4π)A/mに変化した。一方、表2に示した結果から判るように、高さH3の値を半分にしたところ、やはり磁界強度HUは増大した。具体的には、高さH3を3.5μmから1.75μmに変化させたところ、磁界強度HUは372×103 /(4π)A/mから463×103 /(4π)A/mに変化した。このことから、幅W3および高さH3のいずれを変化させた場合においても磁界強度HUが同程度の値となったため、その磁界強度HUは磁性層の露出面の面積に依存することが確認された。
最後に、意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の面積の影響を調べたところ、図30に示した結果が得られた。図30は不要な磁界の強度と磁性層の露出面の面積との間の相関を表しており、「横軸」は磁性層の露出面の面積S(μm2 )を示し、「縦軸」は不要な磁界の強度(磁界強度HU)を示している。この意図しない情報の消去に与える磁性層の露出面の面積の影響を調べる際には、薄膜磁気ヘッドの寸法仕様として、磁性層の露出面の面積S=0.7μm2 〜315μm2 とした。上記以外の仕様条件は、図28および図29に示した場合と同様である。
図30に示した結果から判るように、磁界強度HUは、図28に示した磁界強度HUと同様の変化傾向を示し、すなわち面積Sが大きくなるにしたがって急激に減少したのちにほぼ一定となった。
ここで、図28から見積もった幅W3の適正範囲を反映させることにより、図30に示した結果から、記録後の磁束が磁性層に集中する現象に起因して意図せずに情報が消去されることを防止可能な面積Sの適正範囲を見積もった。具体的には、幅W3=2.0μm以上、3.5μm以上および20μm以上に対応する面積Sは、それぞれ7μm2 以上、12.25μm2 以上および70μm2 以上であった。このことから、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、磁性層の露出面の面積S=7μm2 以上、好ましくは12.25μm2 以上、より好ましくは70μm2 以上の範囲において、意図しない情報の消去が抑制されることが確認された。
この場合には、特に、上記した磁性層の露出面の面積Sの範囲を踏まえて、磁性層の磁気的な面積と垂直磁界の強度との間の関係を調べたところ、以下の関係が導かれた。すなわち、磁性層の飽和磁束密度をX[T]、磁性層の露出面の磁気的な面積をY[μm2 T]とすると、意図しない情報の消去を抑制するために必要な面積Sの下限が7μm2 であることから、磁気的な面積Yの下限は7X[μm2 T]である。また、図30に示した場合において垂直磁界の強度の最大値を調べたところ、9000[×103 /(4π)A/m]であった。これらのことから、垂直磁界の強度の最大値が9000[×103 /(4π)A/m]である場合には、磁気的な面積Yを7[Xμm2 T]以上とすることにより意図しない情報の消去が抑制されるため、垂直磁界の強度の最大値がZ[×103 /(4π)A/m]である場合には、Y≧{7X/[9000×103 /(4π)]}×Zの関係が成立するように磁気的な面積Yを設定することにより意図しない情報の消去が抑制されることとなる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記実施の形態では、図1に示したように、記録用の磁束を発生させる薄膜コイル22と共に、漏洩抑制用の磁束を発生させる薄膜コイル10を併せて備えるように記録ヘッド部100Bを構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、図31に示したように、薄膜コイル10を備えずに薄膜コイル22のみを備えるように記録ヘッド部100Bを構成してもよい。図31に示した薄膜磁気ヘッドは、薄膜コイル10と共に絶縁層11〜13を備えず、非磁性層14が分離層9に隣接するように記録ヘッド部100Bが構成されている点を除き、図1に示した薄膜磁気ヘッドと同様の構成を有している。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、本発明を複合型薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや、記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。もちろん、本発明を、書き込み用の素子および読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。
本発明に係る垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置は、例えば、ハードディスクに磁気的に情報を記録するハードディスクドライブなどに適用することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドを備えた薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドのうちの主要部の平面構成を表す平面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドのうちの主要部の露出面の平面構成を拡大して表す平面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドのうちの主要部の断面構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録ヘッドを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法のうちの記録ヘッド部の製造工程における一工程を説明するための断面図である。 図5に続く工程を説明するための断面図である。 図6に続く工程を説明するための断面図である。 図7に続く工程を説明するための断面図である。 図8に続く工程を説明するための断面図である。 図9に続く工程を説明するための断面図である。 図10に続く工程を説明するための断面図である。 主磁極層の形成工程のうちの一工程を説明するための断面図である。 図12に続く工程を説明するための断面図である。 図13に続く工程を説明するための断面図である。 図14に続く工程を説明するための断面図である。 図15に続く工程を説明するための断面図である。 図16に続く工程を説明するための断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例の薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する利点を説明するための断面図である。 比較例の薄膜磁気ヘッドに関する問題点を説明するための断面図である。 比較例の薄膜磁気ヘッドに関する他の問題点を説明するための断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する他の利点を説明するための断面図である。 比較例の薄膜磁気ヘッドに関するさらに他の問題点を説明するための断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置の斜視構成を表す斜視図である。 図24に示した磁気記録装置の主要部の斜視構成を拡大して表す斜視図である。 垂直磁界の強度と補助磁極層の後退距離との間の相関を表す図である。 図26に示した垂直磁界の強度と補助磁極層の後退距離との間の相関のうちの一部を拡大して表す図である。 不要な磁界の強度と磁性層の露出面の幅との間の相関を表す図である。 図28に示した不要な磁界の強度と磁性層の露出面の幅との間の相関のうちの一部を拡大して表す図である。 不要な磁界の強度と磁性層の露出面の面積との間の相関を表す図である。 本発明の薄膜磁気ヘッドの構成に関する変形例を表す断面図である。
符号の説明
1…基板、2,11〜13,16,50,85…絶縁層、3…下部リードシールド層、4…シールドギャップ膜、5,7…上部リードシールド層部分、6,14…非磁性層、8…MR素子、9…分離層、10,22…薄膜コイル、12Z,16Z…前駆絶縁層、15…主磁極層、15A…先端部、15B…後端部、15M,60M…露出面、15Z1,15Z2…前駆主磁極層、17…ギャップ層、18…ライトシールド層、19…補助磁極層、20…補助絶縁層、20Z…前駆補助絶縁層、21…主絶縁層、21A,21B…主絶縁層部分、23…リターンヨーク層、24…オーバーコート層、30…上部リードシールド層、40…磁極層、50BG…バックギャップ、60…磁性層、70,220…エアベアリング面、81…シード層、82…フォトレジストパターン、82K1,82K2…開口部、83…マスク、84…ストッパ層、90…記録媒体、91…磁化層、92…軟磁性層、100A…再生ヘッド部、100B…記録ヘッド部、200…筐体、201…磁気ディスク、202…磁気ヘッドスライダ、203…サスペンション、204…アーム、205…スピンドルモータ、206…駆動部、207…固定軸、208…ベアリング、211…基体、212…薄膜磁気ヘッド、E1…上端縁、E2…下端縁、E3…側端縁、FP…フレアポイント、H3…高さ、HM…平坦面、J(J1.J2)…磁束、L1〜L3…距離、LE…リーディングエッジ、M…媒体進行方向、P1〜P4…位置、R1,R2…領域、S…面積、TE…トレーリングエッジ、TH…スロートハイト、TP…スロートハイトゼロ位置、W1〜W4…幅、θ…角度。

Claims (17)

  1. 磁束を発生する薄膜コイルと、
    記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、前記記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように前記磁束を前記記録媒体に導く磁極層と、
    前記磁極層のトレーリング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在し、前記エアベアリング面に近い側においてギャップ層により前記磁極層から隔てられると共に、前記エアベアリング面から遠い側において前記磁極層に連結された磁性層と
    を備え、
    前記磁極層が、
    リーディング側において、前記エアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、
    トレーリング側において、前記エアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層と
    を積層してなることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  2. 前記補助磁極層の飽和磁束密度が、前記主磁極層の飽和磁束密度よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録ヘッド。
  3. 前記エアベアリング面から前記補助磁極層までの距離が、0.8μm以上7.1μm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  4. 前記ギャップ層の厚さが、0.03μm以上0.1μm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  5. 前記主磁極層の前記エアベアリング面への露出面が、トレーリング側に位置する長辺およびリーディング側に位置する短辺をそれぞれ上底および下底とする台形状をなす
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  6. 前記磁性層が、
    前記ギャップ層により前記磁極層から隔てられながら前記エアベアリング面から前記補助磁極層よりも前方の位置まで延在する第1の磁性層部分と、
    前記第1の磁性層部分のトレーリング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在し、前記エアベアリング面に近い側において前記第1の磁性層部分に連結されると共に、前記エアベアリング面から遠い側において前記磁極層に連結された第2の磁性層部分と
    を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  7. 前記第1の磁性層部分のトレーリング側の面および前記補助磁極層のトレーリング側の面が、同一面内にある
    ことを特徴とする請求項6記載の垂直磁気記録ヘッド。
  8. さらに、前記薄膜コイルを被覆する絶縁層を備え、
    前記絶縁層が、
    前記第1の磁性層部分と前記補助磁極層との間に充填され、前記第1の磁性層部分に隣接する位置においてスロートハイトを規定する第1の絶縁層部分と、
    前記第1の絶縁層部分のトレーリング側に、前記薄膜コイルを被覆するように設けられた第2の絶縁層部分と
    を含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  9. 前記第2の絶縁層部分が、前記第1の絶縁層部分よりも後方に位置している
    ことを特徴とする請求項8記載の垂直磁気記録ヘッド。
  10. 前記磁性層の前記エアベアリング面への露出面における記録トラック幅方向の最大幅が、前記主磁極層の前記エアベアリング面への露出面における記録トラック幅方向の最大幅よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  11. 前記主磁極層の前記エアベアリング面への露出面におけるトレーリング側の記録トラック幅方向の幅が0.2μm以下であり、前記磁性層の前記エアベアリング面への露出面の面積が7μm2 以上である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  12. 前記磁性層の飽和磁束密度をXT(テスラ)、前記磁性層の前記エアベアリング面への露出面の磁気的な面積をYμm2 ・T、前記記録媒体を磁化する磁界の強度の最大値をZ×103 /(4π)A/mとしたとき、Y≧(7X/9000)×Zの関係が成立している
    ことを特徴とする請求項11記載の垂直磁気記録ヘッド。
  13. 磁束を発生する薄膜コイルと、
    記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、前記記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように前記磁束を前記記録媒体に導く磁極層と、
    前記磁極層のトレーリング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在し、前記エアベアリング面から遠い側において前記磁極層に連結されたリターンヨーク層と、
    前記磁極層と前記リターンヨーク層との間の前記エアベアリング面に近い領域に、ギャップ層により前記磁極層から隔てられるように設けられたライトシールド層と
    を備え、
    前記磁極層が、
    リーディング側において、前記エアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、
    トレーリング側において、前記エアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層と
    を積層してなることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  14. 前記ライトシールド層が、前記エアベアリング面に露出すると共に、前記リターンヨーク層に連結されている
    ことを特徴とする請求項13記載の垂直磁気記録ヘッド。
  15. 磁束を発生する薄膜コイルと、記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、前記記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように前記磁束を前記記録媒体に導く磁極層と、前記磁極層のトレーリング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在し、前記エアベアリング面に近い側においてギャップ層により前記磁極層から隔てられると共に、前記エアベアリング面から遠い側において前記磁極層に連結された磁性層と、を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
    前記磁極層を形成する工程が、
    リーディング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在するように、前記磁極層のうちの一部を構成する主磁極層をパターン形成する第1の工程と、
    前記主磁極層上に、トレーリング側において前記エアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在するように、前記磁極層のうちの他の一部を構成する補助磁極層をパターン形成することにより、前記主磁極層と前記補助磁極層とが積層されるように前記磁極層を形成する第2の工程と、を含む
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  16. 記録媒体と、その記録媒体に情報を記録する垂直磁気記録ヘッドと、を搭載し、
    前記垂直磁気記録ヘッドが、
    磁束を発生する薄膜コイルと、
    記録媒体に対向するエアベアリング面から後方に向かって延在し、前記記録媒体がその表面と直交する方向に磁化されるように前記磁束を前記記録媒体に導く磁極層と、
    前記磁極層のトレーリング側において前記エアベアリング面から後方に向かって延在し、前記エアベアリング面に近い側においてギャップ層により前記磁極層から隔てられると共に、前記エアベアリング面から遠い側において前記磁極層に連結された磁性層と
    を備え、
    前記磁極層が、
    リーディング側において、前記エアベアリング面から後方に向かって延在する主磁極層と、
    トレーリング側において、前記エアベアリング面よりも後退した位置から後方に向かって延在する補助磁極層と
    を積層してなることを特徴とする磁気記録装置。
  17. 前記記録媒体が、積層された磁化層および軟磁性層を含む
    ことを特徴とする請求項16記載の磁気記録装置。
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