JP2006048869A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁極層の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することが可能な薄膜磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】 磁極層10が引張応力を有している場合に、その磁極層10に対して下方向において隣接している絶縁層9が引張応力を有すると共に、上方向において隣接しているギャップ層12が同様に引張応力を有するように、薄膜磁気ヘッドを構成する。絶縁層9およびギャップ層12のそれぞれの引張応力に基づく力学的影響を受けて磁極層10の引張応力が維持されるため、記録直後に磁気弾性効果の影響を受けて磁極層10中に残留した磁束が非記録時において外部へ漏れにくくなるように、その磁極層10の磁区構造が適正化される。これにより、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることが生じにくくなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、少なくとも記録用の誘導型磁気変換素子を備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置に関する。
近年、例えばハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という。)の面記録密度の向上に伴い、例えばハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive )などの磁気記録装置に搭載される薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。この薄膜磁気ヘッドの記録方式としては、例えば、信号磁界の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)に設定する長手記録方式や、信号磁界の向きを記録媒体の面と直交する方向に設定する垂直記録方式が知られている。現在のところは長手記録方式が広く利用されているが、記録媒体の面記録密度の向上に伴う市場動向を考慮すれば、今後は長手記録方式に代わり垂直記録方式が有望視されるものと想定される。なぜなら、垂直記録方式では、高い線記録密度を確保可能な上、記録済みの記録媒体が熱揺らぎの影響を受けにくいという利点が得られるからである。
垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドは、主に、磁束を発生させる薄膜コイルと、その薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出する磁極層とを備えている。この垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドでは、薄膜コイルが通電されることにより記録用の磁束が発生すると、磁極層の先端から磁束が放出されることにより記録用の磁界(垂直磁界)が発生するため、その垂直磁界に基づいて記録媒体の表面が磁化される。これにより、記録媒体に情報が磁気的に記録される。
この薄膜磁気ヘッドの性能向上に関しては、日々益々要求が高まる一方である。このような技術的背景を考慮して、最近では、薄膜磁気ヘッドの性能向上を実現し得る方策として、例えば、上記したように記録方式を長手記録方式から垂直記録方式へ変更する他、薄膜磁気ヘッドの主要部を構成する磁性部品の磁区構造を適正化する試みが検討されている。
具体的には、例えば、磁性金属および遷移金属を含む磁性層と、同様に磁性金属および遷移金属を含む中間層とを備え、それらの磁性層および中間層のそれぞれの組成が高周波特性、強一軸異方性および高飽和磁束密度を確保し得るように適正化された磁性膜が知られていると共に(例えば、特許文献1参照。)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびモリブデン(Mo)を含み、高周波特性および良好な磁区構造を確保し得るように組成および磁歪定数が適正化された磁性材料が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−150233号公報 特開2000−235911号公報
また、例えば、任意の方向に一軸異方性を確保し得るように、上部領域と下部領域との間において磁歪定数の正負が逆転された上部磁極を備えた薄膜磁気ヘッドや(例えば、特許文献3,4参照。)、応力誘起異方性効果に起因する雑音の発生を抑制し得るように、互いに異なる磁歪定数を有すると共に互いに部分的に重なるように配置された2組の磁性層を含む継鉄を備えた薄膜磁気ヘッドや(例えば、特許文献5参照。)、再生波形の歪みを抑制し得るように、ゼロまたは負の磁歪定数を有するポールチップと、ゼロまたは正の磁歪定数を有するヘッドコア後部とを備えた薄膜磁気ヘッドが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
特開平07−307009号公報 特開昭61−192011号公報 特開平07−014120号公報 特開平02−252111号公報
さらに、例えば、良好な磁区構造、高周波応答特性および高転送レート化を確保し得るように、コイル層を被覆するコイル被覆層と磁極層のうちのヨーク部との間に、そのヨーク部の磁区構造にコア幅方向の180°磁壁を出現させるための磁区制御軟磁性層が設けられた薄膜磁気ヘッドが知られている(例えば、特許文献7参照。)。
特開2000−331310号公報
ところで、垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドの作動特性を確保するためには、例えば、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制するために、この観点においても磁極層の磁区構造を適正化する必要がある。この「非記録時における意図しない情報の消去」とは、非記録時、すなわち薄膜コイルが通電されていない(記録用の磁束が発生していない)状態において、記録用の磁束の放出部分である磁極層の磁区構造に起因して、その磁極層中に残留している磁束(残留磁化)が漏れることにより、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去される記録特性上の不具合である。しかしながら、従来は、上記したように、磁性材料の組成や磁性部品の磁歪が磁極層の磁区構造に影響を与えることは既知であったが、非記録時における意図しない情報の消去の発生メカニズムと磁極層の磁区構造との間の因果関係に関しては十分な知見が得られていなかったため、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制する上で、磁極層の磁区構造を如何に設定すべきであるかが課題となっていた。したがって、垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドの作動特性を確保するためには、磁極層の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することが可能な技術の確立が望まれるところである。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、磁極層の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することが可能な薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、薄膜磁気ヘッドを搭載し、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することが可能な磁気記録装置を提供することにある。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、磁束を発生させる薄膜コイルと、媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出し、全体において引張応力を有する磁極層と、磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離し、少なくとも一部において引張応力を有する非磁性層とを備えたものである。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁束を発生させる薄膜コイルと、媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出する磁極層と、磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離する非磁性層とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であり、全体において引張応力を有するように磁極層を形成する第1の工程と、少なくと一部において引張応力を有するように非磁性層を形成する第2の工程とを含むものである。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、磁極層が全体において引張応力を有している場合に、その磁極層を埋設している非磁性層のうちの少なくとも一部が同様に引張応力を有しているため、その非磁性層の引張応力に基づく力学的影響を受けて磁極層の引張応力が維持される。これにより、記録直後に磁気弾性効果の影響を受けて磁極層中に残留した磁束が非記録時において外部へ漏れにくくなるように、その磁極層の磁区構造が適正化される。
本発明に係る磁気記録装置は、記録媒体と、この記録媒体に磁気的処理を施す薄膜磁気ヘッドとを搭載したものであり、薄膜磁気ヘッドが、磁束を発生させる薄膜コイルと、記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出し、全体において引張応力を有する磁極層と、磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離し、少なくとも一部において引張応力を有する非磁性層とを備えたものである。
本発明に係る磁気記録装置では、上記した薄膜磁気ヘッドを搭載しているため、その薄膜磁気ヘッドのうちの磁極層の磁区構造が適正化される。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極層が記録媒体の記録トラック幅を規定するものであり、非磁性層が媒体進行方向における第1の方向において磁極層に隣接する第1の非磁性層部分と、その第1の方向と反対側の第2の方向において磁極層に隣接する第2の非磁性層部分と、記録トラック幅方向における第3の方向において磁極層に隣接する第3の非磁性層部分と、その第3の方向と反対側の第4の方向において磁極層に隣接する第4の非磁性層部分とを含んで構成されていてもよい。この場合には、第1の非磁性層部分および第2の非磁性層部分のみが引張応力を有していてもよいし、第3の非磁性層部分および第4の非磁性層部分のみが引張応力を有していてもよいし、あるいは第1の非磁性層部分、第2の非磁性層部分、第3の非磁性層部分および第4の非磁性層部分の全てが引張応力を有していてもよい。特に、非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部がスパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD(Chemical Vapor Deposition )法を使用して成膜されたときに引張応力を有する材料、具体的には酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウム(AlN)を含んで構成されているのが好ましい。また、磁極層が正の磁歪係数を有する材料、具体的には鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む合金を含んで構成されているのが好ましい。なお、磁極層が記録媒体をその表面と直交する方向に磁化させるための磁束を放出するように構成されていてもよい。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、磁極層により記録媒体の記録トラック幅が規定されるようにし、第2の工程において媒体進行方向における第1の方向において磁極層に隣接する第1の非磁性層部分と、その第1の方向と反対側の第2の方向において磁極層に隣接する第2の非磁性層部分と、記録トラック幅方向における第3の方向において磁極層に隣接する第3の非磁性層部分と、その第3の方向と反対側の第4の方向において磁極層に隣接する第4の非磁性層部分とを含むように非磁性層を形成してもよい。この場合には、第2の工程において第1の非磁性層部分および第2の非磁性層部分のみが引張応力を有するように非磁性層を形成してもよいし、第3の非磁性層部分および第4の非磁性層部分のみが引張応力を有するように非磁性層を形成してもよいし、あるいは第1の非磁性層部分、第2の非磁性層部分、第3の非磁性層部分および第4の非磁性層部分の全てが引張応力を有するように非磁性層を形成してもよい。特に、第2の工程においてCVD(Chemical Vapor Deposition )法を使用してスパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD法を使用して成膜されたときに引張応力を有する材料、具体的には酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウム(AlN)を含むように非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部を形成するのが好ましい。また、第1の工程において正の磁歪係数を有する材料、具体的には鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む合金を含むように磁極層を形成するのが好ましい。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法によれば、磁極層が全体において引張応力を有している場合に、その磁極層を埋設している非磁性層のうちの少なくとも一部が同様に引張応力を有していることに基づき、記録直後に磁気弾性効果の影響を受けて磁極層中に残留した磁束が非記録時において外部へ漏れにくくなるように、その磁極層の磁区構造が適正化されるため、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることが生じにくくなる。したがって、磁極層の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することができる。
また、本発明に係る磁気記録装置によれば、上記した薄膜磁気ヘッドを搭載しているため、その薄膜磁気ヘッドのうちの磁極層の磁区構造が適正化される。したがって、薄膜磁気ヘッドを搭載し、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。図1は薄膜磁気ヘッドの断面構成を表しており、(A)はエアベアリング面に平行な断面構成(XZ面に沿った断面構成)を示し、(B)はエアベアリング面に垂直な断面構成(YZ面に沿った断面構成)を示している。また、図2は、図1に示した薄膜磁気ヘッドの平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を表している。なお、図1に示した上向きの矢印Mは、薄膜磁気ヘッドに対して磁気記録媒体(図示せず)が相対的に移動する方向(媒体進行方向M)を示している。
以下の説明では、図1および図2に示したX軸方向の寸法を「幅」、Y軸方向の寸法を「長さ」、Z軸方向の寸法を「厚さ」とそれぞれ表記する。また、Y軸方向のうちのエアベアリング面に近い側を「前方」、その反対側を「後方」とそれぞれ表記する。これらの表記内容は、後述する図3以降においても同様とする。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、媒体進行方向Mに移動する例えばハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という。)に磁気的処理を施すために、例えばハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive )などの磁気記録装置に搭載されるものである。この薄膜磁気ヘッドは、例えば、磁気的処理として記録処理および再生処理の双方を実行可能な複合型ヘッドであり、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)などのセラミック材料により構成された基板1上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 ;以下、単に「アルミナ」という。)などの非磁性絶縁材料により構成された絶縁層2と、磁気抵抗効果(MR;Magneto-Resistive effect)を利用して再生処理を実行する再生ヘッド部100Aと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成された分離層7と、垂直記録方式の記録処理を実行するシールド型の記録ヘッド部100Bと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されたオーバーコート層17とがこの順に積層された構成を有している。
再生ヘッド部100Aは、例えば、下部リードシールド層3と、シールドギャップ膜4と、上部リードシールド層5とがこの順に積層された積層構造を有している。このシールドギャップ膜4には、記録媒体に対向する記録媒体対向面(エアベアリング面)40に一端面が露出するように、再生素子としてのMR素子6が埋設されている。
下部リードシールド層3および上部リードシールド層5は、いずれもMR素子6を周囲から磁気的に分離するものであり、エアベアリング面40から後方に向かって延在している。これらの下部リードシールド層3および上部リードシールド層5は、例えば、いずれもニッケル鉄合金(NiFe(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%);以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)などの磁性材料により構成されており、それらの厚さは約1.0μm〜2.0μmである。
シールドギャップ膜4は、MR素子6を周囲から電気的に分離するものであり、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されている。
MR素子6は、例えば、巨大磁気抵抗効果(GMR;Giant Magneto-Resistive effect)またはトンネル磁気抵抗効果(TMR;Tunneling Magneto-Resistive effect)などを利用して磁気的処理(再生処理)を実行するものである。
記録ヘッド部100Bは、例えば、絶縁層8と、非磁性層20により周囲を埋設された磁極層10と、絶縁層15により埋設された薄膜コイル14と、ライトシールド層30とがこの順に積層された構成を有している。
絶縁層8は、記録ヘッド部100Bを再生ヘッド部100Aから電気的に分離するものである。この絶縁層8は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されており、その厚さは約0.2μm〜4.0μmである。
非磁性層20は、磁極層10を埋設することにより周囲から磁気的に分離するものであり、例えば、絶縁層8上に配置された絶縁層9と、磁極層10上に配置されたギャップ層12と、これらの絶縁層9とギャップ層12との間に磁極層10の周囲を埋め込むように配置された絶縁層11とを含んで構成されている。特に、非磁性層20は、少なくとも一部において応力調整機能を有しており、例えば、絶縁層9およびギャップ層12のみにおいて応力調整機能を有している。
絶縁層9は、上記したように応力調整機能を有しており、具体的には磁極層10およびその周辺構造の応力状態を適正化する機能を担っている。この「応力状態」とは、磁極層10の応力と周辺構造の応力との間の力学的関係(力学的バランス)であり、その磁極層10の磁区構造に影響を及ぼす力学的特性である。この絶縁層9は、例えば、絶縁層8の厚さよりも小さな厚さを有しており、その厚さは約50nm〜200nmである。なお、絶縁層9の応力調整機能および材質に関しては、後述する(図3〜図5参照)。
磁極層10は、薄膜コイル14において発生した磁束を収容し、その磁束を記録媒体に向けて放出することにより磁気的処理(記録処理)を実行するものである。この磁極層10は、例えば、図1および図2に示したように、エアベアリング面40から後方に向かって延在し、そのエアベアリング面40に露出した露出面10Mを有しており、その厚さは約0.2μm〜0.3μmである。この磁極層10およびその周辺構造は、上記したように、絶縁層9およびギャップ層12のそれぞれの応力調整機能に基づいて応力状態が適正化されており、具体的には磁極層10の応力が適正に維持されている。この磁極層10は、例えば、図2に示したように、エアベアリング面40に近い側から順に、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅W1(例えばW1=約0.15μm)を有する先端部10Aと、この先端部10Aの後方に連結され、先端部10Aの幅W1よりも大きな幅W2(W2>W1)を有する後端部10Bとを含んで構成されている。後端部10Bの幅は、例えば、後方において一定(幅W2)であり、前方において先端部10Aに近づくにしたがって次第に狭まっている。なお、「連結」とは、単に物理的に接触しているだけでなく、物理的に接触した上で磁気的に導通可能な状態を意味している。この主磁極層10の幅が先端部10A(幅W1)から後端部10B(幅W2)へ拡がる位置は、薄膜磁気ヘッドの記録特性を決定する重要な因子のうちの1つである「フレアポイント(FP)」である。なお、磁極層10の材質、ならびに絶縁層9およびギャップ層12の応力調整機能と磁極層10の応力との間の詳細な関係については、後述する(図3〜図5参照)。
絶縁層11は、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されている。
ギャップ層12は、磁極層10とライトシールド層30との間を磁気的に分離するためのギャップ(磁気的ギャップ)を構成するものである。特に、ギャップ層12は、磁気的ギャップを構成する機能と共に、上記したように、絶縁層9と同様に応力調整機能を有している。このギャップ層12は、絶縁層8の厚さよりも小さな厚さを有しており、その厚さは約10nm〜100nmである。このギャップ層12には、磁気的連結用の開口(バックギャップ12BG)が設けられている。なお、ギャップ層12の応力調整機能および材質に関しては、後述する(図3〜図5参照)。
薄膜コイル14は、記録用の磁束を発生させるものであり、例えば、銅(Cu)などの高導電性材料により構成されている。この薄膜コイル14は、例えば、図1および図2に示したように、バックギャップ12BGを中心として巻回された巻線構造(スパイラル構造)を有している。なお、図1および図2では、薄膜コイル14を構成する複数の巻線のうちの一部のみを示している。
絶縁層15は、薄膜コイル14を被覆して周辺から電気的に分離するものであり、バックギャップ12BGを塞がないようにギャップ層12上に配置されている。この絶縁層15は、例えば、加熱されることにより流動性を示すフォトレジスト(感光性樹脂)やスピンオングラス(SOG;Spin On Glass )などの非磁性絶縁材料により構成されており、その絶縁層15の端縁近傍部分は、丸みを帯びた斜面を構成している。この絶縁層15の最前端の位置は、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの他の1つである「スロートハイトゼロ位置TP」であり、エアベアリング面40とスロートハイトゼロ位置TPとの間の距離は、いわゆる「スロートハイトTH」である。なお、図1および図2では、例えば、スロートハイトゼロ位置TPがフレアポイントFPに一致している場合を示している。
ライトシールド層30は、磁極層10から放出された磁束の広がり成分を取り込み、その磁束の広がりを防止するものである。特に、ライトシールド層30は、例えば、上記したように磁束の広がりを防止する機能の他、磁極層10から記録媒体へ向けて磁束が放出された際に、記録媒体を経由した(記録処理に利用された)磁束を回収することにより磁極層10へ再供給し、すなわち薄膜磁気ヘッドと記録媒体との間で磁束を循環させる機能を有している。このライトシールド層30は、磁極層10のトレーリング側においてエアベアリング面40から後方に向かって延在することにより、エアベアリング面40に近い側においてギャップ層12により磁極層10から隔てられると共にエアベアリング面40から遠い側においてバックギャップ12BGを通じて磁極層10に連結されている。なお、「トレーリング側」とは、図1に示した媒体進行方向Mに向かって移動する記録媒体の移動状態を1つの流れと見た場合に、その流れの流出する側(媒体進行方向M側)をいい、ここでは厚さ方向(Z軸方向)における上側をいう。これに対して、流れの流入する側(媒体進行方向M側と反対側)は「リーディング側」と呼ばれ、ここでは厚さ方向における下側をいう。
特に、ライトシールド層30は、例えば、互いに別体として構成された2つの構成要素、すなわち主要な磁束の取り込み口として機能するTH規定層13と、このTH規定層13から取り込まれた磁束の流路として機能するヨーク層16とを含んで構成されている。TH規定層13は、ギャップ層12に隣接しながら、エアベアリング面40からこのエアベアリング面40とバックギャップ12BGとの間の位置、具体的にはエアベアリング面40と薄膜コイル14との間の位置まで延在している。このTH規定層13は、例えば、パーマロイまたは鉄コバルト系合金などの高飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、例えば、図2に示したように、磁極層10の幅W2よりも大きい幅W3(W3>W2)を有する矩形状の平面形状を有している。このTH規定層13には、薄膜コイル14を埋設している絶縁層15が隣接しており、すなわちTH規定層13は、絶縁層15の最前端位置(スロートハイトゼロ位置TP)を規定し、具体的にはスロートハイトTHを規定する役割を担っている。一方、ヨーク層16は、絶縁層15を覆うようにエアベアリング面40からバックギャップ12BGに対応する位置まで延在しており、前方においてTH規定層13に乗り上げて連結されていると共に後方においてバックギャップ12BGを通じて磁極層10に隣接して連結されている。このヨーク層16は、例えば、TH規定層13と同様に、パーマロイまたは鉄コバルト系合金などの高飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、図2に示したように、幅W3を有する矩形状の平面形状を有している。
次に、図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成的特徴について説明する。図3は図1(A)に示した薄膜磁気ヘッドのうちの磁極層10およびその周辺構造の断面構成(XZ面に沿った断面構成)を拡大して表し、図4は図3に示した磁極層10およびその周辺構造の応力状態を模式的に表し、図5は図4に示した応力状態に対応する磁極層10の磁区構造を模式的に表している。
磁極層10は、例えば、正の磁歪定数を有する材料を含んで構成されており、具体的には鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む鉄コバルト系合金を含んで構成されている。この「鉄コバルト系合金」としては、例えば、鉄コバルト合金(FeCo)や鉄コバルトニッケル合金(FeCoNi)などの高飽和磁束密度を有する磁性材料が挙げられる。この磁極層10のうちの先端部10Aは、例えば、図3に示したように、トレーリング側に位置して幅W1を有する上端縁E1と、リーディング側に位置して幅W1よりも小さな幅W4(W4<W1)を有する下端縁E2とを含み、その上端縁E1を2つの対辺のうちの長い方の対辺とし、かつ下端縁E2を短い方の対辺とする逆台形状の断面形状を有している。この逆台形状の断面形状は先端部10Aの延在方向(Y軸方向)において位置によらず一定であり、すなわち磁極層10の露出面10M(図2参照)も逆台形状を有している。特に、磁極層10は、上記したように、正の磁歪定数を有する材料を含んで構成されていることに基づき、図4に示したように、全体において引張応力10Tを有している。この「引張応力10T」とは、磁極層10の材質および成膜条件等の要因に基づいて生じ、その磁極層10中に残留することとなった応力であり、具体的には磁極層10の中心位置を基準として引っ張られる方向(外側に向かう方向)に働く応力である。これに対して、磁極層10の中心位置を基準として圧縮される方向(内側に向かう方向)に働く応力は「圧縮応力」という。
非磁性層20は、例えば、図3に示したように、磁極層10の位置を基準として、(1)下方向、すなわち媒体進行方向M(Y軸方向)におけるリーディング方向(第1の方向)において磁極層10に隣接する絶縁層9(第1の非磁性層部分)と、(2)上方向、すなわち媒体進行方向M(Y軸方向)におけるトレーリング方向(第2の方向)において磁極層10に隣接するギャップ層12(第2の非磁性層部分)と、(3)記録トラック幅方向(X軸方向)における右方向(第3の方向)において磁極層10に隣接する絶縁層11のうちの一部(絶縁層11R;第3の非磁性層部分)と、(4)記録トラック幅方向(X軸方向)における左方向(第4の方向)において磁極層10に隣接する絶縁層11のうちの他の一部(絶縁層11L;第4の非磁性層部分)とを含み、これらの絶縁層9,11R,11Lおよびギャップ層12が磁極層10の周囲を囲むように連結された集合体である。特に、非磁性層20は、例えば、上記したように、少なくとも一部、具体的には絶縁層9およびギャップ層12のみにおいて応力調整機能を有しており、すなわち図4に示したように、磁極層10に対して下方向において隣接している絶縁層9が引張応力9Tを有していると共に、上方向において隣接しているギャップ層12も同様に引張応力12Tを有している。なお、磁極層10に対して右方向において隣接している絶縁層11Rおよび左方向において隣接している絶縁層11Lは、例えば、引張応力(9T,12T)を有する絶縁層9およびギャップ層12とは異なり、圧縮応力を有している。これらの絶縁層9およびギャップ層12は、例えば、スパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD(Chemical Vapor Deposition )法を使用して成膜されたときに引張応力を有する非磁性絶縁材料を含んで構成されており、具体的には酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウム(AlN)を含んで構成されている。なお、図3および図4では、非磁性層20を構成している絶縁層9,11R,11Lおよびギャップ層12のうち、絶縁層9およびギャップ層12のみが引張応力(9T,12T)を有していることを判りやすく示すために、それらの絶縁層9およびギャップ層12に網掛けを施している。
上記したように、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に上下から隣接している絶縁層9およびギャップ層12がそれぞれ引張応力9T,12Tを有していると、例えば、図5に示したように、磁極層10の磁区構造中では、磁極層10の延在方向(Y軸方向)に平行な磁化成分10Yよりも、その磁極層10の延在方向と直交する方向(X軸方向)に平行な磁化成分10Xが支配的となる。すなわち、絶縁層9およびギャップ層12は、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に隣接しながらそれぞれ同様に引張応力9T,12Tを有することにより、その磁極層10の磁区構造中において磁化成分10Yよりも磁化成分10Xが支配的となるように、磁極層10およびその周辺構造の応力状態を適正化する応力調整機能を担っている。なお、上記した応力(引張応力,圧縮応力)は、例えば、X線回折(XRD;X-Ray Diffraction )法を使用して測定可能である。このXRD法は、主に、薄膜の残留応力(引張応力,圧縮応力)の絶対値を測定可能な分析方法である。
参考までに説明しておくと、引張応力(9T,12T)を有する絶縁層9およびギャップ層12と、圧縮応力を有する絶縁層11R,11Lとの間で材質的構成を比較すると、いずれも酸化アルミニウムに代表される非磁性絶縁材料を含んで構成されている点において共通しているが、成膜方法の差異に起因して互いに異なる種類の応力を有している点において異なっている。すなわち、CVD法を使用して非磁性絶縁材料が成膜されることにより形成された絶縁層9およびギャップ層12では引張応力が支配的となるが、スパッタリング法を使用して非磁性絶縁層材料が成膜されることにより形成された絶縁層11R,11Lでは圧縮応力が支配的となる。共通の非磁性絶縁材料を使用しているにもかかわらずに、成膜方法の差異に起因して結果的に応力の種類が異なることとなる理由としては、例えば、非磁性絶縁材料として酸化アルミニウムを使用する場合に関して言えば、成膜時にアルミニウム骨格中に酸素元素が取り込まれるメカニズムが成膜方法間において異なるからであると想定される。
次に、図1および図2を参照して、薄膜磁気ヘッドの動作について説明する。
この薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において、図示しない外部回路から記録ヘッド部100Bのうちの薄膜コイル14に電流が流れると、その薄膜コイル14において磁束が発生する。このとき発生した磁束は、磁極層10に収容されたのち、その磁極層10内を後端部10Bから先端部10Aへ流れる。この際、磁極層10内を流れる磁束は、その磁極層10の幅の減少に伴い、フレアポイントFPにおいて絞り込まれることにより集束するため、先端部10Aのうちのトレーリング側部分に集中する。このトレーリング側部分に集中した磁束が先端部10Aから外部へ放出されると、記録媒体の表面と直交する方向に記録磁界(垂直磁界)が発生し、この垂直磁界に基づいて記録媒体が垂直方向に磁化されるため、その記録媒体に情報が磁気的に記録される。なお、情報の記録時には、先端部10Aから放出された磁束の広がり成分がライトシールド層30に取り込まれるため、その磁束の広がりが防止される。また、先端部10Aから放出されることにより記録媒体を経由した(記録処理に利用された)磁束がライトシールド層30において回収されるため、薄膜磁気ヘッドと記録媒体との間で磁束が循環される。
一方、情報の再生時においては、再生ヘッド部100AのうちのMR素子6にセンス電流が流れると、記録媒体からの信号磁界に応じてMR素子6の抵抗値が変化する。このMR素子6の抵抗変化がセンス電流の変化として検出されることにより、記録媒体に記録されている情報が磁気的に読み出される。
次に、図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。以下では、まず、薄膜磁気ヘッド全体の製造工程の概略について説明したのち、その薄膜磁気ヘッドの主要部(磁極層10およびその周辺構造)の形成工程について詳細に説明する。なお、薄膜磁気ヘッドを構成する一連の構成要素の材質、寸法ならびに構造的特徴に関しては既に詳述したので、それらの説明を随時省略するものとする。
この薄膜磁気ヘッドは、主に、めっき処理またはスパッタリングなどの成膜技術、フォトリソグラフィ処理などのパターニング技術、ならびにドライエッチングまたはウェットエッチングなどのエッチング技術等を含む既存の薄膜プロセスを使用して、各構成要素を順次形成して積層させることにより製造される。すなわち、図1に示したように、まず、基板1上に絶縁層2を形成したのち、この絶縁層2上に、下部リードシールド層3と、MR素子6が埋設されたシールドギャップ膜4と、上部リードシールド層5とをこの順に積層させることにより、再生ヘッド部100Aを形成する。続いて、再生ヘッド部100A上に分離層7を形成したのち、この分離層7上に、絶縁層8と、非磁性層20(絶縁層9,11,ギャップ層12)により周囲を埋設された磁極層10と、薄膜コイル14が埋設された絶縁層15と、ライトシールド層30(TH規定層13,ヨーク層16)とをこの順に積層させることにより、記録ヘッド部100Bを形成する。最後に、記録ヘッド部100B上にオーバーコート層17を形成したのち、機械加工や研磨加工を利用してエアベアリング面40を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
薄膜磁気ヘッドの主要部を形成する際には、スパッタリング法を使用してアルミナを成膜することにより絶縁層8を形成したのち、全体において引張応力を有するように磁極層10を形成すると共に、その磁極層10を埋設することにより周囲から磁気的に分離すると共に少なくとも一部において引張応力を有するように、非磁性層20として絶縁層9,11(11R,11L)およびギャップ層12を形成する。
具体的には、まず、図1、図3および図4に示したように、CVD法を使用して、絶縁層8上に、応力調整機能(引張応力9T)を有するように絶縁層9を形成する。この絶縁層9を形成する際には、例えば、スパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD法を使用して成膜されたときに引張応力を有する材料を含み、具体的には酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウムなどの非磁性絶縁材料を含むようにすると共に、厚さが約50nm〜200nmとなるようにする。
続いて、図1〜図4に示したように、めっき処理を使用して、絶縁層9上に、全体において引張応力10Tを有するように磁極層10をパターン形成する。この磁極層10を形成する際には、例えば、正の磁歪定数を有する材料を含み、具体的には鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む鉄コバルト系合金を含むようにすると共に、厚さが約0.2μm〜0.3μmとなるようにする。なお、磁極層10を形成する際には、例えば、図2に示したように、幅W1を有する先端部10Aと、この先端部10Aに連結され、幅W1よりも大きな幅W2(W2>W1)を有する後端部10Bとを含むようにする。
この磁極層10の詳細な形成手順は、例えば、以下の通りである。すなわち、まず、スパッタリング法を使用して、絶縁層9上に、電極膜としてのシード層(図示せず)を形成する。このシード層の形成材料としては、例えば、磁極層10の形成材料と同様の材料を使用する。続いて、シード層の表面にフォトレジストを塗布することによりフォトレジスト膜(図示せず)を形成したのち、フォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることにより、磁極層10を形成するための開口が設けられたフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、シード層を使用して、フォトレジストパターンの開口内にめっき膜を選択的に成長させることにより、磁極層10を形成する。最後に、フォトレジストパターンを除去したのち、イオンミリングなどのドライエッチング法を使用してシード層のうちの不要部分を磁極層10越しに部分的にエッチングする。これにより、絶縁層9上に磁極層10がパターン形成される。
引き続き、薄膜磁気ヘッドの主要部の形成工程について説明する。磁極層10を形成したのち、図1および図3に示したように、スパッタリング法を使用して、磁極層10の周辺を埋め込むと共に圧縮応力を有するように絶縁層11(11R,11L)を形成する。この絶縁層11を形成する際には、例えば、磁極層10およびその周辺の絶縁層8を覆うように絶縁層11を形成したのち、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing )などの研磨法を使用して磁極層10が露出するまで絶縁層11を研磨して平坦化することにより、その磁極層10の周辺に絶縁層11を埋め込むようにする。
最後に、図1、図3および図4に示したように、CVD法を使用して、磁極層10および絶縁層11により構成された平坦面上に、絶縁層9と同様に応力調整機能(引張応力12T)を有するようにギャップ層12を形成する。このギャップ層12を形成する際には、例えば、上記した絶縁層9の形成材料と同様の材料を使用すると共に、厚さが約10nm〜100nmとなるようにする。これにより、図4に示したように、磁極層10の引張応力10Tに対応してそれぞれ引張応力9T,12Tを有するように絶縁層9およびギャップ層12が形成される結果、図5に示したように、磁化成分10Yよりも磁化成分10Xが支配的となるように磁極層10の磁区構造が適正化されるため、薄膜磁気ヘッドの主要部が完成する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に対して下方向において隣接している絶縁層9が引張応力10Tに対応して引張応力9Tを有すると共に、上方向において隣接している応力調整層12が同様に引張応力10Tに対応して引張応力12Tを有するようにしたので、以下の理由により、磁極層10の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することができる。
図6〜図8は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドの構成を説明するためのものであり、それぞれ図3〜図5に対応する構成的特徴を示している。この比較例の薄膜磁気ヘッドは、例えば、図6に示したように、非磁性層20(絶縁層9,11(11R,11L)およびギャップ層12)に代えて非磁性層200(絶縁層8,11(11R,11L)およびギャップ層112)を備えている点を除き、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(図1〜図5参照)と同様の構成を有している。すなわち、比較例の薄膜磁気ヘッドでは、応力調整機能を有する絶縁層9を備えておらず、その絶縁層9に代えて応力調整機能を有していない絶縁層8が磁極層10に隣接されていると共に、応力調整機能を有するギャップ層12に代えて応力調整機能を有しいないギャップ層112を備えており、図7に示したように、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に対して下方向において隣接している絶縁層8が圧縮応力8Cを有していると共に、上方向において隣接しているギャップ層112が絶縁層8と同様に圧縮応力112Cを有している。この絶縁層8は、例えば、スパッタリングを使用して非磁性絶縁材料が成膜されることにより形成されたものであり、上記したように、応力調整機能を有していない。また、ギャップ層112は、例えば、スパッタリングを使用して非磁性絶縁材料が成膜されることにより形成されたものであり、磁気的ギャップを構成する機能のみを有し、やはり応力調整機能を有していない。
比較例の薄膜磁気ヘッド(図6〜図8参照)では、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に対して上下から隣接している絶縁層8およびギャップ層112がそれぞれ圧縮応力8C,112Cを有しているため、それらの圧縮応力8C,112Cに基づく力学的影響に起因して引張応力10Tが緩和される。この場合には、例えば、図8に示したように、磁極層10の磁区構造中において磁化成分10Xの占有割合よりも磁化成分10Yの占有割合が大きくなり、すなわち記録時における磁束の放出方向(Y軸方向)と平行な磁化成分10Yが支配的となるため、その磁化成分10Yが支配的な磁区構造に起因して、記録直後に磁気弾性効果の影響を受けて磁極層10中に残留した磁束が非記録時において外部へ漏れやすくなる。これにより、磁極層10から漏れた磁束に起因して、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されやすくなる。
これに対して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(図3〜図5参照)では、磁極層10が引張応力10Tを有している場合に、その磁極層10に対して上下から隣接している絶縁層9およびギャップ層12がそれぞれ引張応力9T,12Tを有しているため、その引張応力9T,12Tに基づく力学的影響を受けて引張応力10Tが維持される。この場合には、例えば、図5に示したように、磁極層10の磁区構造中において磁化成分10Yの占有割合よりも磁化成分10Xの占有割合が大きくなり、すなわち記録時における磁束の放出方向(Y軸方向)と直交する磁化成分10Xが支配的となる結果、その磁化成分10Xが支配的な磁区構造に基づき、記録直後に磁気弾性効果の影響を受けて磁極層10中に残留した磁束が非記録時において外部へ漏れにくくなるように、磁極層10の磁区構造が適正化されるため、記録媒体に記録済みの情報が意図せずに消去されることが生じにくくなる。したがって、磁極層10の磁区構造を適正化することにより、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することができるのである。
ここで、本実施の形態において磁極層10の磁区構造が適正化される原理に関して詳細に説明すると、例えば、以下の通りである。
すなわち、磁極層10の構成材料として正の磁歪定数を有する磁性材料を使用した場合には、その磁極層10が引張応力を有することとなる。この場合には、磁極層10の応力状態と磁区構造との間の関係として、磁極層10中の応力に基づいて誘起される磁界Hは、磁歪定数λ,応力σ,磁化Mの場合にH=3λ(σ/M)として表され、その磁極層10の容易磁化方向は、エアベアリング面40と平行な方向に引張応力が付与された場合に、その引張応力の方向と一致する。このことから、磁歪定数が正の場合に飽和磁束密度が大きくなることを考慮すれば、磁極層10の応力状態としては引張応力が好ましいことが導き出される。
この場合には、例えば、磁極層10の構成材料として鉄コバルト系合金を使用し、その鉄コバルト系合金の飽和磁束密度を2.2T(テスラ)以上となるように設定すると、磁極層10の磁歪定数λは20×10-6以上となり、応力として400MPa以上の引張応力が生じる。一方、例えば、磁極層10の周囲を囲む非磁性層20の構成材料として酸化アルミニウムを使用し、スパッタリング法を使用して酸化アルミニウムを成膜することにより非磁性層20を形成すると、応力として約100MPa以下の圧縮応力が生じる。すなわち、鉄コバルト系合金のヤング率およびポアソン比がそれぞれ121GPa,0.25であると共に、酸化アルミニウムのヤング率およびポアソン比がそれぞれ150GPa,0.3であることから、非磁性層20中に生じる応力は磁極層10中に生じる応力(引張応力)と逆方向の応力となり、すなわち圧縮応力となる。
この点に関して、本実施の形態では、非磁性層20(ここでは例えば絶縁層9およびギャップ層12)を形成するためにCVD法を使用して酸化アルミニウムを成膜することにより、スパッタリング法を使用して酸化アルミニウムを成膜する場合とは異なり、その非磁性層20中に約200MPa〜300MPaの引張応力を生じさせることが可能となる。これにより、上記したように、非磁性層20の引張応力に基づく力学的影響を受けて磁極層10の引張応力が維持されることに基づき、非記録時において磁極層10から外部へ磁束が漏れにくくなるように、その磁極層10の磁区構造が適正化されるのである。この点を踏まえて確認までに説明しておくと、本実施の形態において説明している「応力調整機能」とは、磁極層10が引張応力を有している場合に、その磁極層10の引張応力を可能な限り維持させるように、非磁性層20のうちの少なくとも一部に引張応力を生じさせる機能であると言える。
また、上記した他、本実施の形態では、磁極層10の上下に配設された約50nm〜200nm厚の薄い絶縁層9および約10nm〜100nm厚の薄いギャップ層12が応力調整機能を担うようにしたので、それらの絶縁層9およびギャップ層12の引張応力(9T,12T)を高精度に制御することができる。なぜなら、CVD法を使用して約200nm以下の小さな厚さとなるように非磁性絶縁材料を成膜することにより絶縁層9およびギャップ層12を形成する場合には、そのCVD法の本質的な製法的特徴に基づき、絶縁層9およびギャップ層12中に残存する応力値を簡単かつ高精度に制御可能だからである。
なお、本実施の形態では、図3に示したように、非磁性層20を構成している絶縁層9,11(11R,11L)およびギャップ層12のうち、磁極層10に対して下方向において隣接している絶縁層9および上方向において隣接しているギャップ層12の双方が応力調整機能を担うようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図9に示したように、絶縁層9およびギャップ層12に代えて、磁極層10に対して右方向において隣接している絶縁層11Rおよび左方向において隣接している絶縁層11Lの双方が応力調整機能を担うようにしてもよいし、あるいは図10に示したように、絶縁層9,11R,11Lおよびギャップ層12の全てが応力調整機能を担うようしてもよい。確認までに説明しておくと、「応力調整機能を担う」とは、CVD法を使用して非磁性絶縁材料が成膜されることにより、引張応力を有するように形成されるという意味である。この場合においても、磁極層10の引張応力10Tが維持されることにより磁区構造が適正化するため、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、図9では、絶縁層11R,11Lのみが応力調整機能を有していることを判りやすく示すために、それらの絶縁層11R,11Lに網掛けを施しており、一方、図10では、絶縁層9,11R,11Lおよびギャップ層12の全てが応力調整機能(引張応力)を有していることを判りやすく示すために、それらの絶縁層9,11R,11Lおよびギャップ層12に網掛けを施している。
また、本実施の形態では、図1に示したように、単層構造を有する磁極層10を備えるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図11に示したように、単層構造を有する磁極層10に代えて、積層構造を有する磁極層110を備えるようにしてもよい。この磁極層110は、リーディング側に位置する主磁極層18と、トレーリング側に位置する補助磁極層19とが積層された2層構造を有している。主磁極層18は、例えば、上記した磁極層10に対応した構造を有しており、すなわち先端部10Aに対応する先端部18Aおよび後端部10Bに対応する後端部18Bを含んで構成されている。この主磁極層18は、主要な磁束の放出部分として機能するものであり、上記したように、エアベアリング面40から後方に向かって延在している。一方、補助磁極層19は、主磁極層18に対して補助的な磁束の収容部分として機能するものであり、エアベアリング面40よりも後退した位置から後方に向かって延在している。この補助磁極層19は、リーディング側において主磁極層18に連結されていると共に、トレーリング側においてバックギャップ12BGを通じてライトシールド層30に連結されている。この磁極層110を備えた薄膜磁気ヘッドでは、薄膜コイル14において磁束が発生すると、その磁束が主磁極層18に直接的に供給される上、さらに補助磁極層19に収容されたのちに主磁極層18に間接的に供給(追加供給)される結果、最終的に主磁極層18のうちの先端部18Aに供給される磁束量が増大するため、垂直磁界の強度を増加させることができる。なお、図11に示した薄膜磁気ヘッドに関する上記以外の構成は、図1に示した場合と同様である。
以上をもって、本発明の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法についての説明を終了する。
次に、図12および図13を参照して、本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置の構成について説明する。図12および図13は磁気記録装置の構成を表しており、図12は全体の斜視構成を示し、図13は主要部の斜視構成を拡大して示している。
図12および図13に示した磁気記録装置は、上記実施の形態において説明した薄膜磁気ヘッドを搭載したものであり、例えばハードディスクドライブである。この磁気記録装置は、図12に示したように、例えば、筐体300の内部に、情報が磁気的に記録される記録媒体としての複数の磁気ディスク(例えばハードディスク)301と、各磁気ディスク301に対応して配置され、磁気ヘッドスライダ302を一端部において支持する複数のサスペンション303と、このサスペンション303の他端部を支持する複数のアーム304とを備えている。磁気ディスク301は、筐体300に固定されたスピンドルモータ305を中心として回転可能になっている。アーム304は、動力源としての駆動部306に接続されており、筐体300に固定された固定軸307を中心として、ベアリング308を介して旋回可能になっている。駆動部306は、例えば、ボイスコイルモータなどの駆動源を含んで構成されている。この磁気記録装置は、例えば、固定軸307を中心として複数のアーム304が一体的に旋回可能なモデルである。なお、図12では、磁気記録装置の内部構造を見やすくするために、筐体300を部分的に切り欠いて示している。
磁気ヘッドスライダ302は、図13に示したように、例えばアルティックなどの非磁性絶縁材料により構成された略直方体構造を有する基体311の一面に、記録処理および再生処理の双方を実行する薄膜磁気ヘッド312が取り付けられた構成を有している。この基体311は、例えば、アーム304の旋回時に生じる空気抵抗を減少させるための凹凸構造が設けられた一面(エアベアリング面320)を有しており、そのエアベアリング面320と直交する他の面(図13中、右手前側の面)に、薄膜磁気ヘッド312が取り付けられいる。この薄膜磁気ヘッド312は、上記実施の形態において説明した構成を有するものである。このヘッドスライダ302は、情報の記録時または再生時において磁気ディスク301が回転すると、その磁気ディスク301の記録面(ヘッドスライダ302と対向する面)とエアベアリング面320との間に生じる空気流を利用して、磁気ディスク301の記録面から浮上するようになっている。なお、図13では、磁気ヘッドスライダ302のうちのエアベアリング面320側の構造を見やすくするために、図12に示した状態とは上下を反転させた状態を示している。
この磁気記録装置では、情報の記録時または再生時においてアーム304が旋回することにより、磁気ディスク301のうちの所定の領域(記録領域)まで磁気ヘッドスライダ302が移動する。そして、磁気ディスク301と対向した状態において薄膜磁気ヘッド312が通電されると、上記実施の形態において説明した動作原理に基づいて動作することにより、薄膜磁気ヘッド312が磁気ディスク301に記録処理または再生処理を施す。
この磁気記録装置では、本発明の薄膜磁気ヘッド312を備えるようにしたので、その薄膜磁気ヘッド312のうちの磁極層10(図1〜図5参照)の磁区構造が適正化される。したがって、非記録時において意図せずに情報が消去されることを抑制することができる。
なお、磁気記録装置に搭載されている薄膜磁気ヘッド312に関する上記以外の構成、動作、作用、効果および変形例は上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記実施の形態では、本発明をシールド型ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、単磁極型ヘッドに適用してもよい。また、上記実施の形態では、本発明を複合型薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや、記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。もちろん、本発明を、書き込み用の素子および読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。
また、上記実施の形態では、本発明を垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明を長手記録方式の薄膜磁気ヘッドに適用することも可能である。
本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法は、例えば、ハードディスクに情報を磁気的に記録するハードディスクドライブなどの磁気記録装置に適用することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドの平面構成を表す平面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドのうちの磁極層およびその周辺構造の断面構成を拡大して表す断面図である。 図3に示した磁極層およびその周辺構造の応力状態を模式的に表す図である。 図4に示した応力状態に対応する磁極層の磁区構造を模式的に表す図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドのうちの磁極層およびその周辺構造の断面構成を拡大して表す断面図である。 図6に示した磁極層およびその周辺構造の応力状態を模式的に表す図である。 図7に示した応力状態に対応する磁極層の磁区構造を模式的に表す図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関する変形例を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関する他の変形例を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関するさらに他の変形例を表す断面図である。 本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置の斜視構成を表す斜視図である。 図12に示した磁気記録装置のうちの主要部の斜視構成を拡大して表す斜視図である。
符号の説明
1…基板、2,8,9,11(11R,11L),15…絶縁層、3…下部リードシールド層、4…シールドギャップ膜、5…上部リードシールド層、6…MR素子、7…分離層、9T,10T,12T…引張応力、10,110…磁極層、10A,18A…先端部、10B,18B…後端部、10M…露出面、10X,10Y…磁化成分、12…ギャップ層、12BG…バックギャップ、13…TH規定層、14…薄膜コイル、16…ヨーク層、17…オーバーコート層、18…主磁極層、19…補助磁極層、20…非磁性層、30…ライトシールド層、40,320…エアベアリング面、100A…再生ヘッド部、100B…記録ヘッド部、300…筐体、301…磁気ディスク、302…磁気ヘッドスライダ、303…サスペンション、304…アーム、305…スピンドルモータ、306…駆動部、307…固定軸、308…ベアリング、311…基体、312…薄膜磁気ヘッド、FP…フレアポイント、M…媒体進行方向、TH…スロートハイト、TP…スロートハイトゼロ位置。
















Claims (20)

  1. 磁束を発生させる薄膜コイルと、
    媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に前記薄膜コイルにおいて発生した磁束を前記記録媒体に向けて放出し、全体において引張応力を有する磁極層と、
    前記磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離し、少なくとも一部において引張応力を有する非磁性層と
    を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記磁極層が、前記記録媒体の記録トラック幅を規定するものであり、
    前記非磁性層が、前記媒体進行方向における第1の方向において前記磁極層に隣接する第1の非磁性層部分と、その第1の方向と反対側の第2の方向において前記磁極層に隣接する第2の非磁性層部分と、前記記録トラック幅方向における第3の方向において前記磁極層に隣接する第3の非磁性層部分と、その第3の方向と反対側の第4の方向において前記磁極層に隣接する第4の非磁性層部分とを含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記第1の非磁性層部分および前記第2の非磁性層部分のみが、引張応力を有している
    ことを特徴とする請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記第3の非磁性層部分および前記第4の非磁性層部分のみが、引張応力を有している
    ことを特徴とする請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記第1の非磁性層部分、前記第2の非磁性層部分、前記第3の非磁性層部分および前記第4の非磁性層部分の全てが、引張応力を有している
    ことを特徴とする請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部が、スパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD(Chemical Vapor Deposition )法を使用して成膜されたときに引張応力を有する材料を含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 前記非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部が、酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウム(AlN)を含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項6記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 前記磁極層が、正の磁歪係数を有する材料を含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 前記磁極層が、鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む合金を含んで構成されている
    ことを特徴とする請求項8記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 前記磁極層が、前記記録媒体をその表面と直交する方向に磁化させるための磁束を放出するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 磁束を発生させる薄膜コイルと、媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に前記薄膜コイルにおいて発生した磁束を前記記録媒体に向けて放出する磁極層と、前記磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離する非磁性層とを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
    全体において引張応力を有するように、前記磁極層を形成する第1の工程と、
    少なくと一部において引張応力を有するように、前記非磁性層を形成する第2の工程と
    を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 前記磁極層により前記記録媒体の記録トラック幅が規定されるようにし、
    前記第2の工程において、前記媒体進行方向における第1の方向において前記磁極層に隣接する第1の非磁性層部分と、その第1の方向と反対側の第2の方向において前記磁極層に隣接する第2の非磁性層部分と、前記記録トラック幅方向における第3の方向において前記磁極層に隣接する第3の非磁性層部分と、その第3の方向と反対側の第4の方向において前記磁極層に隣接する第4の非磁性層部分とを含むように、前記非磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項11記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 前記第2の工程において、前記第1の非磁性層部分および前記第2の非磁性層部分のみが引張応力を有するように、前記非磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  14. 前記第2の工程において、前記第3の非磁性層部分および前記第4の非磁性層部分のみが引張応力を有するように、前記非磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 前記第2の工程において、前記第1の非磁性層部分、前記第2の非磁性層部分、前記第3の非磁性層部分および前記第4の非磁性層部分の全てが引張応力を有するように、前記非磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  16. 前記第2の工程において、CVD(Chemical Vapor Deposition )法を使用して、スパッタリング法を使用して成膜されたときに圧縮応力を有すると共にCVD法を使用して成膜されたときに引張応力を有する材料を含むように、前記非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部を形成する
    ことを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  17. 酸化アルミニウム(AlOx )または窒化アルミニウム(AlN)を含むように、前記非磁性層のうちの引張応力を有する少なくとも一部を形成する
    ことを特徴とする請求項16記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 前記第1の工程において、正の磁歪係数を有する材料を含むように、前記磁極層を形成する
    ことを特徴とする請求項11ないし請求項17のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む合金を含むように、前記磁極層を形成する
    ことを特徴とする請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 記録媒体と、この記録媒体に磁気的処理を施す薄膜磁気ヘッドとを搭載した磁気記録装置であって、
    前記薄膜磁気ヘッドが、
    磁束を発生させる薄膜コイルと、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって延在すると共に前記薄膜コイルにおいて発生した磁束を前記記録媒体に向けて放出し、全体において引張応力を有する磁極層と、
    前記磁極層を埋設することにより周囲から磁気的に分離し、少なくとも一部において引張応力を有する非磁性層と
    を備えたことを特徴とする磁気記録装置。











































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