JP2006149229A - エアゾールホイップクリーム - Google Patents

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憲二 増竹
Akira Yasuda
朗 安田
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Abstract

【課題】造形性に優れ、かつ保型性に優れたエアゾールホイップクリームを提供する。
【解決手段】エアゾールホイップクリームにヨウ素価の加重平均が40以下の油脂を使用する。全油脂量が5〜50重量%、脂肪以外の乳成分を固形分として0.5〜10重量%含む。更に、乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートを0.1〜1.0重量%含有する。更に、HLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルを併用する。ヨウ素価が50以下の油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用する。噴射剤が亜酸化窒素ガスである。
【選択図】なし

Description

本発明はホイップクリームに関する。詳細には、造形性に優れ、かつその形状の保持性(保型性)に優れたエアゾールホイップクリームに関する。
クリームを泡立てて得られるホイップクリームは、ケーキなどの洋菓子、シチューなどの各種料理、コーヒーなどの飲料をはじめとして幅広く利用されている。しかしながら、クリームを泡立てるにはボウルやホイッパーなどの器具を必要とし、手作業の場合では、泡立てに相当の労力を要し、また保存すると腐敗や硬化が起こるなど取り扱いが極めて面倒なものである。
そこで、ホイップクリームを必要なときに必要量だけ手軽に得ることができる簡便性に優れたエアゾールホイップクリームが考案され、たとえば噴射剤として炭酸ガス、乳化剤として自己乳化性モノグリセリドを用いる方法(特許文献1)、乳化剤としてリン脂質、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン糖脂肪酸エステルを特定割合で用いる方法(特許文献2)などの技術が知られている。
しかしながら、これまでの技術では、エアゾール容器から付属の口金を通して噴射され、造形されたホイップクリームは数分以内に当初の立体的形状を失ってしまうという大きな欠点があった。
特公昭47−34141号公報 特公平7−77543号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、造形性に優れ、かつ保型性に優れたエアゾールホイップクリームを提供することを目的とする。
本発明者らは、造形性に優れ、かつその保持性に優れたエアゾールホイップクリームを得るべく鋭意研究した結果、油脂を、ヨウ素価の加重平均が40以下となるように含むことにより、ホイップクリームを口金を通して噴射した際の造形性に優れ、かつその保型性に優れることを見いだした。更には、そのホイップクリームの組成として、全油脂量が5〜50重量%、脂肪以外の乳成分を固形分として0.5〜10重量%含むことが好ましく、更には、乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートを0.1〜1.0重量%含有し、好ましくは、HLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルを併用すると良いことが判った。
また、油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用すること及び噴射剤が亜酸化窒素ガスとするのが好ましいことも見いだした。
すなわち本発明は以下の態様を有するものである;
項1.油脂を、ヨウ素価の加重平均が40以下となるように含むことを特徴とするエアゾールホイップクリーム。
項2.全油脂量が5〜50重量%であり、脂肪以外の乳成分を固形分として0.5〜10重量%含む項1に記載のエアゾールホイップクリーム。
項3.更に、乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートを0.1〜1.0重量%含有することを特徴とする項1又は2に記載のエアゾールホイップクリーム。
項4.更に、HLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルを併用する、項1乃至3のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。
項5.油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用する、項1乃至4のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。
項6.噴射剤が亜酸化窒素ガスである項1乃至5のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。
本発明により、造形性に優れ、かつその形状の保持性(保型性)に優れたエアゾールホイップクリームを提供できるようになった。
本発明のエアゾールホイップクリームは、ヨウ素価の加重平均が40以下、好ましくは、20以下となるように油脂を添加することを特徴とする。ヨウ素価は「油脂100gに吸収されるハロゲンの量をヨウ素のグラム数で示したもの」で、脂肪酸中の二重結合の多さ(不飽和度)を表す。本発明では、使用する油脂のヨウ素価と使用量との割合により、使用する油脂のヨウ素価の加重平均を算出し、そのヨウ素価の加重平均が40以下となるように調整して油脂を添加する。
本発明で使用する油脂としては、植物油脂、バター、豚脂、牛脂、乳脂肪分、あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等があり、植物油脂の例としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油及びパーム核油等があり、これらからヨウ素価の加重平均が40以下となるように1種または2種以上の組み合わせを選択して使用することができる。例えば、使用する油脂が1種類であればヨウ素価が40以下のものを使用し、使用する油脂が2種類以上であれば、油脂の使用割合に応じてヨウ素価の加重平均を算出し、ヨウ素価の加重平均を40以下とする。
中でも、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用するのが好ましい。ヨウ素価が40以下の油脂を使用することで、ホイップクリームを噴射した時における造形性に優れ、かつ保型性にも優れるので、造形した形を保持することができる。さらに造形性とその保持性を向上させるためには、油脂のうち50重量%以上、好ましくは75〜100重量%をヤシ油及び又はパーム核油とする。また、クリームの嗜好性をより高めるため乳脂肪を5重量%以上含有せしめることも選択される。
更に、本発明のエアゾールホイップクリームは、全油脂量が5〜50重量%、更にこくのある風味を得るには10重量%以上がより好ましく、脂肪以外の乳成分を固形分として0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の構成を取るのが好ましい。油脂としては、前記の他、本発明の効果に影響を与えない限度に於いて、ヨウ素価が40より大きい油脂を併用可能である。脂肪以外の乳由来成分としては、たとえば牛乳、濃縮乳、粉乳、れん乳、ホエーパウダー、ホエーたん白濃縮物、分離ホエーたん白、カゼイネートチーズ類及び発酵乳などに含まれる成分が固形として配合される。
また、本発明では、前記に加えて乳化剤を添加するのが好ましい。乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートを使用することが好ましい。添加量としては、0.1〜1.0重量%、好ましくは、0.2〜0.7重量%を挙げることができる。更に好ましくは、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートはステアリン酸系のものが好ましく、それぞれ第一工業製薬株式会社製のDKエステルF−160や同F−110、花王株式会社製のレオドールTW−S120Vや同TW−S320Vなどが例示される。
更に、ホイップクリームの艶をより向上せしめるためには、さらにHLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。添加量としては、0.1〜0.7重量%、好ましくは、0.2〜0.5重量%を挙げることができる。HLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルはステアリン酸系のものが好ましく、それぞれ第一工業製薬株式会社製のDKエステルF−50、第一工業製薬株式会社製のDKエステルFA−10Eなどが例示される。
なお、本発明の効果に悪影響を与えない限度において、前記以外の乳化剤や増粘多糖類を併用することも可能である。例えば、前記以外の乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン等を挙げることができる。
また、併用可能な増粘多糖類としては、寒天、ゼラチン、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、グァーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、大豆多糖類、CMC、微結晶セルロース、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、カードラン、ラムザンガム、ウエランガム、ガティガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、加工・化工澱粉等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、噴射剤としては、身体に実質的に無害な圧縮ガスであれば良く、例えば、噴射剤ガスとして、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等から選ばれる一種以上を選択して、加圧充填することにより製造することができる。中でも、亜酸化窒素ガスが最も好ましい。
また、pH調整、乳化安定性の向上や調味などの目的でリン酸、重合リン酸類および有機酸類やそれらの塩類を併用することができる。
なお、本発明に係るエアゾールホイップクリームの製造方法であるが、前記原料を混合、乳化均質化、殺菌した後、エアゾール缶に充填、噴射剤を充填し、最終製品を得る方法を例示することができる。
本発明のホイップクリームには甘味料を併用することも可能である。甘味料としては、砂糖、乳糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ソーマチン、ステビア等があげられる。また、果汁やココア、コーヒー、抹茶などの風味原料、酸味料、調味料、香料、着色料等が嗜好の求めに応じ、本発明の効果を損なわない範囲で選択使用される。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り、「部」は「重量部」を示すものとする。
実施例1:エアゾールホイップクリームの調製
下記表1に掲げる処方のうち、ヤシ油、パーム油、生クリームを60℃に加熱して油相部を調製し、その他の原料を水に加え、80℃10分間攪拌溶解して水相部を調製した。油相部を水相部に混合攪拌して、75℃とし、一段:9,800kPa・2段:4,900kPaで均質化した後、135℃15秒間殺菌後、5℃まで急冷し容器にクリームを充填した後、亜酸化窒素ガスを0.8MPaの容器内圧になるまで充填してエアゾールホイップクリームを調製した。得られたエアゾールホイップクリームについて、クリームを、ろ紙の上に噴射し、噴射直後の造形性及び噴射10分後の造形の保持状態を、良いものから◎・○・△・×の4段階で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006149229
注) IV:ヨウ素価
(*1)ショ糖脂肪酸エステル1:DKエステルF−160,第一工業製薬株式会社製
ショ糖脂肪酸エステル2:DKエステルF−50,第一工業製薬株式会社製
(*2)ポリソルベート:レオドールTW−S120V,花王株式会社製
(*3)β−カロテン乳化製剤:カロチンベースNO.80,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
(*4)香料1:ミルクフレーバーNO.75871,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
香料2:ミルクエンハンサーNO.2012,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
表1より、ヨウ素価(IV)40以下の油脂を使用した実施例1〜6のホイップクリームは、ヨウ素価(IV)58のパーム油を使用した比較例と比べて、ホイップクリームの造形性も概して良く、また、10分後の保持状態も良好であった。中でもヨウ素価17のヤシ油を使用したものは更に良好であった。
本発明により、造形性に優れ、かつその形状の保持性(保型性)に優れたエアゾールホイップクリームが提供できる。

Claims (6)

  1. 油脂を、ヨウ素価の加重平均が40以下となるように含むことを特徴とするエアゾールホイップクリーム。
  2. 全油脂量が5〜50重量%であり、脂肪以外の乳成分を固形分として0.5〜10重量%含む請求項1に記載のエアゾールホイップクリーム。
  3. 更に、乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリソルベートを0.1〜1.0重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾールホイップクリーム。
  4. 更に、HLB7未満のショ糖脂肪酸エステル及び/又はアセチル化ショ糖脂肪酸エステルを併用する、請求項1乃至3のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。
  5. 油脂として、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用する、請求項1乃至4のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。
  6. 噴射剤が亜酸化窒素ガスである請求項1乃至5のいずれかに記載のエアゾールホイップクリーム。






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