JP7346167B2 - 水中油型乳化物 - Google Patents

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Description

本発明は、水中油型乳化物における風味向上技術に関し、さらに詳しくは、乳清カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも1のカルシウム源と、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食塩、海洋深層水、海洋深層水加工品及び粗製海水塩化マグネシウムから選ばれる1又は2以上とを含むミネラル原料を含有し、前記ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムを所定の重量比で含む水中油型乳化物に関する。
生クリーム、フレッシュチーズ、濃縮乳、練乳といった乳製品は、豊かな乳風味(フレッシュな牛乳様の香り、持続感のある乳様のコク味)を持ち、古来から好まれる食品である。これに対して、乳由来の無脂乳固形分を配合しながら、脂肪分の全て又は一部として乳脂肪以外の食用動植物油脂を配合した、ホイップクリーム、練り込み用クリーム、チーズフィリング、練乳フィリングといった水中油型乳化物が広く利用されている。しかしながら、これらの水中油型乳化物は、乳由来の無脂乳固形分を含有しながらも、豊かな乳風味は生クリームや、フレッシュチーズ、濃縮乳、練乳といった乳製品よりも劣る。
これは、無脂乳固形分として原料に使用される全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、総合乳蛋白、バターオイル、バターミルクパウダーといった乳由来の原料が、それらの加工段階でフレッシュな香りや、持続感のある乳様のコク味といった乳独特の風味が失われるため、これらを配合した製品の風味が前述のような乳製品の風味に劣るものと考えられている。
そこで、これらの風味を補う目的で、乳に本来含まれているミネラル成分に着目した解決方法が検討されてきた。特許文献1には、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物であって、無脂乳固形分が3~20重量%であり、マグネシウム塩及びカリウム塩が所定の含有量で配合された、牛乳の自然な風味を有する、製菓、製パン、調理、レトルト食品の各種練り込み用素材として使用可能な水中油型乳化物が記載されている。特許文献2には、飲食品に多量に添加しても塩味や苦みを感じることなく、バランスのとれたコクのある自然な乳風味を付与することのできる、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム含量を調整した乳清ミネラル組成物が記載されている。
特開2012-170415号公報 特開2018-078849号公報
しかし、特許文献1に記載の水中油型乳化物は乳の風味が十分に得られているとは言えず、特に、各種練り込み用素材として用いる場合にその効果が発揮されるものの、各種フィリング類のように直接そのものを摂取する食品においては、むしろ違和感のある風味であった。また、本願発明者らの検討においては、特許文献2に記載のように乳から得られた乳清ミネラル組成物を用いると、むしろ乳本来の風味と異なる異味が感じられた。
本発明の課題は、油脂及び乳成分を含有する水中油型乳化物、例えばホイップクリーム、練り込み用クリーム、飲料用クリーム、チーズフィリング、練乳フィリング等の風味を向上させることにある。
本発明者らは、検討の結果、あえて、乳に含まれるミネラル組成を反映する乳清ミネラルを用いずに、ミネラル成分の量比を調整することにより、本発明の課題が解決されることを見いだした。そして、乳清カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも1のカルシウム源と、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食塩、海洋深層水、海洋深層水加工品及び粗製海水塩化マグネシウムから選ばれる1又は2以上とを含むミネラル原料を含有する水中油型乳化物において、前記ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムを所定の配合量、配合比率に調整することで、該水中油型乳化物の風味が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に記載の事項により特定されるとおりのものである。
(1)以下の条件a)~e)を満たすことを特徴とする、水中油型乳化物。
a)乳清カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも1のカルシウム源と、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食塩、海洋深層水、海洋深層水加工品及び粗製海水塩化マグネシウムから選ばれる1又は2以上とを含むミネラル原料を含有する;
b)前記ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20mmol以上である;
c)前記ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.80mmol以下である;
d)前記ミネラル原料由来のカリウム及びナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計0.50-1.60mmolである;
e)前記ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計1.10-3.00mmolである;
(2)以下の条件f)をさらに満たすことを特徴とする上記(1)に記載の水中油型乳化物。
f)前記ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20-1.00mmolである;
(3)以下の条件g)をさらに満たすことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の水中油型乳化物。
g)前記ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.15-0.70mmolである;
(4)以下の条件h)をさらに満たすことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の水中油型乳化物。
h)前記ミネラル原料由来のマグネシウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.15-0.90mmolである;
(5)以下の条件i)をさらに満たすことを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかに記載の水中油型乳化物。
i)前記ミネラル原料由来のカルシウム及びマグネシウムのモル比が、0.20:1~1.9:1である;
(6)以下の条件j)をさらに満たすことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の水中油型乳化物。
j)無脂乳固形分を2~7質量%含有する;
本発明の組成物によれば、従来の水中油型乳化物と比較し風味が向上した水中油型乳化物を提供することができるため、乳感やコクが強化されたホイップクリーム、練り込み用クリーム、チーズフィリング、練乳フィリング等の水中油型乳化物を製造することができる。
本発明は、以下の条件a)~e)を満たすことを特徴とする、水中油型乳化物に関する。
a)乳清カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも1のカルシウム源と、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食塩、海洋深層水、海洋深層水加工品及び粗製海水塩化マグネシウムから選ばれる1又は2以上とを含むミネラル原料を含有する;
b)前記ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20mmol以上である;
c)前記ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.80mmol以下である;
d)前記ミネラル原料由来のカリウム及びナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計0.50-1.60mmolである;
e)前記ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計1.10-3.00mmolである;
本発明の水中油型乳化物は、従来の水中油型乳化物と比較して、風味、好ましくは乳感(乳のフレッシュな香り)やコク(後味の持続感)等の乳独特の風味が向上したことを特徴とするものである。
本発明において、カルシウム源としては、乳清カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウムを用いることができる。ここで、乳清カルシウムとは、乳又はホエー(乳清)から得られるカルシウムを多く含有する灰分を主体とする乳原料のことであり、例えば、酸ホエーから可能な限り蛋白質や乳糖を除去後、溶液をpH6.0から8.0に調整し、生成した不溶物を分離して、カルシウムの比率を高めたものである。本発明の乳清カルシウムとしては、このような工程により調製したものを用いることができるほか、市販されている乳清カルシウムを用いることもできる。なお、本発明において、灰分中のカルシウム含量が20質量%以上、21質量%以上、22質量%以上、23質量%以上、24質量%以上、25質量%以上、26質量%以上、27質量%以上、28質量%以上、29質量%以上、又は30質量%以上の乳清カルシウムを使用することが好ましく、カルシウム含量の上限は、特に制限されるものではないが、例えば70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下の乳清カルシウムを例示することができる。
なお、卵殻カルシウム(炭酸カルシウム)をカルシウム源として用いた場合には、十分な風味向上効果が得られないため望ましくない。
本発明において、食塩とは、塩化ナトリウムを主な成分とし、海水の乾燥・岩塩の採掘によって生産される物質を意味し、海洋深層水とは、海面下200メートル又はそれより深いところから採取された海水を指し、海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。海洋深層水の組成は、海域、季節により若干の変動はあるが、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムといったミネラルを含有し、海洋深層水をそのまま本発明のミネラル原料として用いてもよく、濃縮、粉末化、成分調整等の処理を施した海洋深層水加工品を用いてもよい。
本発明において、粗製海水塩化マグネシウムとは、海水から塩化カリウム及び塩化ナトリウムを析出分離して得られた塩化マグネシウムを主成分とするものをいい、豆乳を豆腐に変える凝固剤として使用する場合には「にがり」と呼ばれる。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のカリウムの含有量は、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20mmol以上であればよく、0.20~1.00mmolがより好ましく、0.20~0.90mmolさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のナトリウムの含有量は、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.80mmol以下であればよく、0.15~0.70mmolがより好ましく、0.15~0.50mmolがさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のカリウム及びナトリウムの含有量は、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計0.50-1.60mmolであればよく、0.50-1.45mmolがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの含有量は、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計1.10-3.00mmolであればよく、1.10-2.80mmolがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のマグネシウムの含有量は、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.15-0.90mmolが好ましく、0.30-0.90mmolがより好ましい。
本発明の水中油型乳化物において、ミネラル原料由来のカルシウム及びマグネシウムのモル比(カルシウム:マグネシウム)は、0.20:1~1.9:1が好ましく、0.20:1~1.5:1がより好ましく、0.25:1~1.5:1がさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化物は、無脂乳固形分を含んでいてもよい。ここで、無脂乳固形分とは、牛乳の全固形分から乳脂肪分を差引いた成分をいう。本発明において、無脂乳固形分は、生乳や、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白、カゼイン、カゼインナトリウム等の生乳由来の原料の形で水中油型乳化物に添加することができ、無脂乳固形分換算で好ましくは2~7質量%添加される。
本発明の水中油型乳化物は、乳清ミネラルを含んでいても含んでいなくてもよい。ここで、乳清ミネラルとは、乳又は乳清から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、原料となる乳や乳清中のミネラル組成に近いミネラル組成を有する組成物を意味する。本発明の水中油型乳化物における乳清ミネラルの含有量は、前記水中油型乳化物の0.15質量%以下、0.14質量%以下、0.13質量%以下、0.12質量%以下、0.11質量%以下、0.10質量%以下、0.09質量%以下、0.08質量%以下、0.07質量%以下、0.06質量%以下、0.05質量%以下、0.04質量%以下、0.03質量%以下、0.02質量%以下、0.01質量%以下が好ましく、乳清ミネラルを実質的に含まなくてもよい。
本発明の水中油型乳化物に使用される油脂としては、食用油脂であればよく、具体的にはパーム油、ナタネ油、大豆油、綿実油、コーン油、ヤシ油、パーム核油等の天然の植物油脂;牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の天然の動物油脂;又はこれら単独あるいは組み合わせの硬化油、極度硬化油、分別油、エステル交換油が挙げられる。本発明の水中油型乳化物に使用される乳化剤としては、例えば、レシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等を挙げることができ、1種でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の水中油型乳化物は、任意で、糖類、増粘多糖類、塩類を添加してもよい。糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、転化糖、トレハロース、糖アルコール、コーンシロップ、水あめ、デキストリンを例示できる。また、糖アルコールとしては、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の単糖アルコール、イソマルチトール、マルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール、オリゴ糖アルコール等の四糖以上の糖アルコール、還元澱粉糖化物、還元澱粉分解物等を挙げることができる。増粘多糖類としては、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムを挙げることができる。また、塩類としては、例えば、食塩、ヘキサメタリン酸塩、第二リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を挙げることができる。糖類、増粘多糖類、塩類は、それぞれ1種でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。その他、任意で、香料、色素、保存料等を添加してもよい。
本発明の水中油型乳化物は、ホイップクリーム、練り込み用油クリーム、チーズフィリング、練乳フィリング、コーヒーフレッシュ、カスタードクリーム、フラワーペースト、アイスクリーム類等として使用することができる他、これら水中油型乳化物の原料や、マーガリン、ファットスプレッド、バタークリーム等の油中水型乳化物の原料として好適に使用することができる。また、本発明の水中油型乳化物は、各種ベーカリー製品やスナック菓子、調理品、乳製品、チョコレートなどに添加してもよく、ベーカリー製品としては、例えば、食パン、菓子パン、及び調理パンなどのパン類、並びに、デニッシュ・ペストリー、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン、及び蒸し菓子などが挙げられる。スナック菓子としては、ポテトや甘藷、コーン、エンドウ豆などを原料としたチップやフライ、パフ菓子などが挙げられる。調理品としては、ハンバーグ、つくね、肉団子、餃子、シューマイ、チキンナゲット、及び成形肉などの畜肉加工食品、コロッケ、及びハッシュドポテトなどのポテト加工食品、ホワイトソース、デミグラスソース、各種パスタソース、及びグラタンなどのソース類、オムレツなどの卵加工食品、水産練り製品などが挙げられる。乳製品としては、例えばアイスクリーム類、発酵乳製品、等が挙げられる。
中でも、そのものを直接摂食するホイップクリーム、チーズフィリング、練乳フィリング、カスタードクリーム、フラワーペースト、アイスクリームとして使用することが好ましく、特にホイップクリーム等の起泡性水中油型乳化物として使用することがより好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.本発明の水中油型乳化物の製造
表1に示した量のミネラルを含有するミネラル原料を用いて、以下の手順で起泡性水中油型乳化物を製造した。配合は表3に従い、それぞれ実施例1~15及び比較例1~9とした。
Figure 0007346167000001
(1)60℃に調温した油脂(パーム系油脂と、ラウリン系油脂と、パーム系油脂とラウリン系油脂を原料とするエステル交換油との混合油脂)にレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノグリセリドを添加して溶解した。
(2)60℃に調温した水に脱脂粉乳、クエン酸Na、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、キサンタンガム、ジェランガム、及び表1に記載のミネラル原料を添加してホモミキサーで撹拌、溶解した。
(3)水相に油相を加えホモミキサーで撹拌、予備乳化を行い、高圧ホモゲナイザーで乳化した。
(4)乳化後、包装したものを氷水で急速に冷却し、その後48時間5℃でエージングを行い、そのまま5℃で保管した。これを実施例1~15及び比較例1~9のホイップクリーム原液として用いた。これらのホイップクリーム原液の無脂乳固形分は5.8%であった。
(5)実施例1~15、比較例1~9のホイップクリーム原液800gに80gのグラニュー糖を加え、ホバートミキサーで八部立てにし、ホイップドクリームを得た。
2.官能評価
得られたホイップドクリームについて、パネル10名での官能評価を行った。
官能評価は、ミネラル原料を添加していない比較例1のホイップクリーム原液をホイップしたホイップドクリームを比較対照として、乳感、コク、塩味、収斂味、酵母様臭について、下に示す点数の基準に基づいて評価した。ここで、乳感、コクについては比較例1の点数を2とした。また、塩味、収斂味、酵母様臭については予備的に評価を行い、比較例1はこれらを感じないと判断し、点数を5に固定した。
Figure 0007346167000002
*乳感:フレッシュな乳の香り(牛乳様)
** コク:乳に似た後味の持続感
パネルによる評価点を平均し、小数点以下を四捨五入した値を表3に示した。
3.結果
実施例1~15、比較例1~10の配合と、官能試験の結果を表3に示す。
Figure 0007346167000003
Figure 0007346167000004
Figure 0007346167000005
実施例1~4及び比較例2、3では、ミネラル原料の組成の、風味に与える影響の検討を行った。カルシウム源として塩化カルシウム又は乳清カルシウムを用いた実施例1~4では、望ましい評価(酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上)であったのに対し、卵殻カルシウムを用いた比較例2、乳清ミネラルを添加した比較例3では、酵母様臭、乳感又はコクにおいて、評点が2以下の項目が見られた。
実施例5~7及び比較例4では、カリウム量の、風味に与える影響の検討を行った。ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20mmol以上である実施例5~7では、望ましい評価(酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上)であったのに対し、カリウムを含有しない比較例4では、酵母様臭、乳感又はコクにおいて、評点が2以下の項目が見られた。
実施例8~10及び比較例5では、ナトリウム量の、風味に与える影響の検討を行った。ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.80mmol以下である実施例8~10では、望ましい評価(酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上)であったのに対し、ナトリウムの含有量が0.80mmolを超える比較例5では、乳感の評点が2であった。
実施例11及び比較例6、7では、カリウム及びナトリウムの合計量の、風味に与える影響の検討を行った。カリウム及びナトリウムの合計量が、水中油型乳化物に含まれる水100g当たり1.51mmolである実施例11では、望ましい評価(酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上)であったのに対し、合計量が0.38mmolの比較例6、合計量が1.66mmolの比較例7では、乳感及びコクのいずれかの評点が2であった。
実施例12、13及び比較例8、9では、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの合計量の、乳風味に与える影響の検討を行った。カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの合計量が、水中油型乳化物に含まれる水100g当たり1.10-3.00mmolである実施例12、13では、望ましい評価(酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上)であったのに対し、合計量が1.10mmolを下回る比較例8、合計量が3.00mmolを上回る比較例9では、乳感及びコクのいずれかの評点が2であった。
実施例14では、本発明の条件a)~e)を満たした場合におけるマグネシウム含有量の、風味に与える影響の検討を行った。その結果、ミネラル原料由来のマグネシウムの含有量が、水中油型乳化物に含まれる水100g当たり1.45mmolである場合には、収斂味は強いものの、酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上であり、好ましい乳風味を得ることができた。
実施例15では、本発明の条件a)~e)を満たした場合におけるカルシウム及びマグネシウムのモル比の、風味に与える影響の検討を行った。その結果、カルシウム及びマグネシウムのモル比が1.85の場合には、塩味は強いものの、酵母様臭が4以上、乳感及びコクが3以上であり、好ましい乳風味を得ることができた。
比較例10では、特許文献1によるマグネシウム塩及びカリウム塩を添加した無脂乳固形分含有水中油型乳化物の官能評価を行った。その結果、マグネシウム塩及びカリウム塩の添加のみでは、乳感及びコクがいずれも2であり、十分な乳風味を得ることができないことが明らかになった。
本発明の組成物によれば、従来の水中油型乳化物と比較し乳風味が向上した水中油型乳化物を提供することができるため、乳感やコクが強化されたホイップクリーム、練り込み用油クリーム、チーズフィリング、練乳フィリング等の水中油型乳化物を製造することができる。そのため、食品分野における産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (6)

  1. 以下の条件a)~e)を満たすことを特徴とする、水中油型乳化物。
    a)乳清カルシウム、リン酸カルシウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも1のカルシウム源と、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、食塩、海洋深層水、海洋深層水加工品及び粗製海水塩化マグネシウムから選ばれる1又は2以上とを含むミネラル原料を含有する;
    b)前記ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20mmol以上である;
    c)前記ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.80mmol以下である;
    d)前記ミネラル原料由来のカリウム及びナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計0.50-1.60mmolである;
    e)前記ミネラル原料由来のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり合計1.10-3.00mmolである;
  2. 以下の条件f)をさらに満たすことを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化物。
    f)前記ミネラル原料由来のカリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.20-1.00mmolである;
  3. 以下の条件g)をさらに満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型乳化物。
    g)前記ミネラル原料由来のナトリウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.15-0.70mmolである;
  4. 以下の条件h)をさらに満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の水中油型乳化物。
    h)前記ミネラル原料由来のマグネシウムの含有量が、前記水中油型乳化物に含まれる水100g当たり0.15-0.90mmolである;
  5. 以下の条件i)をさらに満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水中油型乳化物。
    i)前記ミネラル原料由来のカルシウム及びマグネシウムのモル比が、0.20:1~1.9:1である;
  6. 以下の条件j)をさらに満たすことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の水中油型乳化物。
    j)無脂乳固形分を2~7質量%含有する;
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