JP7352388B2 - ベイキング用油脂組成物 - Google Patents
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Description
[1]次の(A)~(D)を含有するベイキング用油脂組成物。
(A)蛋白質濃縮ホエイ
(B)苦汁
(C)乳清カルシウム
(D)油脂
[2]上記の蛋白質濃縮ホエイが、蛋白質の含有量が25~30質量%であり、炭水化物の含有量が40~55質量%であり、かつ灰分の含有量が15~25質量%である蛋白質濃縮ホエイであることを特徴とする、1に記載のベイキング用油脂組成物。
[3]ベイキング用油脂組成物中の無脂固形分中のカルシウム含有量とマグネシウム含有量の質量比(カルシウム含有量/マグネシウム含有量)が5.0~10.2であることを特徴とする、1又は2に記載のベイキング用油脂組成物。
[4]油脂油相 中に動物油脂を含有しないことを特徴とする、1~3のいずれか1項に記載のベイキング用油脂組成物。
[5]1~4のいずれか1項に記載のベイキング用油脂組成物が使用されたパン生地。
[6]5に記載のパン生地の加熱処理品であるパン。
[7]6に記載のパンとフィリングとが複合された菓子パン。
本発明のベイキング用油脂組成物を用いたベーカリー食品と、フィリングとを複合させた場合においては、フィリングの風味をより好ましく感じられるようになり、食品全体の風味が向上する。
[(A)蛋白質濃縮ホエイ]
本発明のベイキング用油脂組成物が含有する(A)蛋白質濃縮ホエイについて述べる。
本発明に用いられる蛋白質濃縮ホエイとは、脱脂乳からカゼイン蛋白質を得る際に生じるホエイや、生乳からチーズを製造する過程で生じるホエイ等を原料とし、該ホエイに対して脱乳糖処理を行った乳原料である。本発明においては、乾燥させ、粉末化した蛋白質濃縮ホエイを用いることが好ましい。粉末化した蛋白質濃縮ホエイを用いる場合、蛋白質濃縮ホエイの水分含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
次に、本発明のベイキング用油脂組成物が含有する(B)苦汁について述べる。
苦汁とは海水から塩化ナトリウムを採取する際の副生物であり、その組成は、製塩方法、濃縮度及び濃縮温度等の条件により異なるが、主成分は塩化マグネシウムである。
次に、本発明のベイキング用油脂組成物が含有する(C)乳清カルシウムについて述べる。
乳清カルシウムとは、乳又はホエイ(乳清)から得られるカルシウムを含有する、灰分を主体とする乳原料のことである。乳清カルシウムは、典型的には、カルシウムを灰分中15質量%以上含む。好ましくは、酸ホエイから可能な限り蛋白質や乳糖を除去後、溶液をpH6.0~8.0に調整し、生成した不溶物を分離して得られるものである。本発明の乳清カルシウムとしては、このような工程により調製したものを用いることができるほか、市販されている乳清カルシウムを用いることもできる。
次に、本発明のベイキング用油脂組成物が含有する(D)油脂について述べる。
本発明のベイキング用油脂組成物に用いられる油脂は、食用に適する油脂であれば特に限定されず、公知の食用油脂を用いることができる。例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、シア脂、サル脂及びカカオ脂等の植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物油脂、並びにこれらの油脂に、水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。加工油脂の例としては、パーム油を例に挙げると、パームオレイン(パーム油の液体画分)、パームスーパーオレイン(パームオイルの液体画分を特に制御された結晶化過程によりヨウ素価60以上にした油)、及びこれらのエステル交換油が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて油脂配合物として用いることもできる。
本発明のベイキング用油脂組成物は、上記(A)~(D)に加えて、乳清ミネラルを含有することが好ましい。乳清ミネラルを含有することにより、一層良好なコク味をベーカリー食品に付与でき、フィリングと複合させた場合にはフィリングの風味を向上させることができるからである。
本発明のベイキング用油脂組成物は、水分を含有していてもよい。本発明のベイキング用油脂組成物が水分を含有する場合、その含有量は0.1~60質量%であることが好ましく、2~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましい。なお、本発明のベイキング用油脂組成物に含有させることのできる、下記のその他の成分が水分を含有する場合、その成分に含まれる水分の含有量を上記の水分含有量に含めるものとする。
本発明のベイキング用油脂組成物には、上記の他にも、本発明の効果を損ねない範囲で、その他の成分を含有させることができる。本発明のベイキング用油脂組成物に含有させることができるその他の成分としては、例えば、糖類、乳化剤、澱粉類、デキストリン、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳等の乳、及び上記(A)(C)以外の乳製品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
ここで、本発明のベイキング用油脂組成物中の灰分、灰分に含有されるカルシウム等の量について述べる。
本発明のベイキング用油脂組成物は、蛋白質濃縮ホエイ、苦汁、乳清カルシウム等を含むために、灰分を一定量含む。本発明のベイキング用油脂組成物における灰分は、ベーカリー製品に好ましいコク味を付与する観点や、フィリングと複合させた際にフィリングの風味とコクを好ましく向上させる観点、また異味を付与しない観点から、ベイキング用油脂組成物における灰分は0.1~2.0質量%とすることができ、0.8~1.9質量%とすることが好ましく、1.5~1.7質量%とすることがより好ましい。なお、本発明のベイキング用油脂組成物における灰分は、上記の(A)~(C)の他、乳清ミネラル、及びその他の成分が含む灰分についても考慮する。
本発明のベイキング用油脂組成物は、灰分を比較的多く含むことから、水を連続相とする水中油型乳化油脂の形態とした場合には、外相に灰分成分が局在しやすい。そのためベーカリー食品のための生地とした場合は、生地が締まりやすく、また焼き色や風味にも影響を及ぼしやすい。このため、本発明のベイキング用油脂組成物は、ショートニングタイプや、油中水型乳化物、油中水中油型乳化物等の油脂を連続相とする形態をとることが好ましい。
次に、本発明のベイキング用油脂組成物の好ましい製造方法について説明する。
本発明のベイキング用油脂組成物は、蛋白質濃縮ホエイ、苦汁、乳清カルシウム、油脂を含有する他は、通常のベイキング用油脂組成物と同様に製造することができる。製造方法は特に制限されるものではなく、公知の方法で製造することができる。以下、蛋白質濃縮ホエイ、苦汁、乳清カルシウム、油脂を用いて、油中水型乳化物であるベイキング用油脂組成物を製造する場合を例に述べる。
[ロールイン用、練り込み用]
本発明のベイキング用油脂組成物は、パン類、焼き菓子等の各種ベーカリー食品に使用することができ、特にパンのロールイン用や練り込み用として用いるのに適している。本発明のベイキング用油脂組成物をロールイン用油脂組成物として用いる場合は、急冷可塑化後にベイキング用油脂組成物をシート状、ブロック状、円柱状、直方体等の形状とする。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状の場合は縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ1~50mmである。ブロック状の場合は縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ50~500mmである。円柱状の場合は直径1~25mm、長さ5~100mmである。直方体の場合は縦5~50mm、横5~50mm、高さ5~100mmである。本発明のベイキング用油脂組成物を、ベーカリー食品の練り込み用として用いる場合、急冷可塑化後にベイキング用油脂組成物をケースやカップなどの容器に流し込むことが好ましい。
本発明は、本発明のベイキング用油脂組成物が使用されたベーカリー食品生地を提供する。本発明のベーカリー食品生地はパン生地とするのに適しており、パン生地は、特に限定されず、任意の種類のパン生地とすることができる。具体的には、食パン生地、バラエティーブレッド生地、バターロール生地、ソフトロール生地、セミハードロール生地、ハードロール生地、スイートロール生地、デニッシュ生地、ペストリー生地、フランスパン生地等が挙げられる。
次に、本発明のパンについて述べる。
本発明は、本発明のベイキング用油脂組成物が使用されたパン生地の加熱処理品であるパンを提供する。本発明のパンは、本発明のベイキング用油脂組成物を用いることにより、良好なコク味を有する。また、後述するとおり、本発明のパンと、各種フィリング類とが複合された菓子パンは、フィリングの風味及びコクを、好ましく強く感じることができるようになり、結果として菓子パン全体の風味が向上する効果が得られる。
ここで、本発明の菓子パンについて述べる。
本発明は、上記のパンとフィリングとが複合された、菓子パンを提供する。パンとフィリングとの複合は、包餡、焼成後注入、トッピング、サンド、コーティング、折込等することによる。なお、複合させるタイミングは、加熱処理前に包餡、折込等行って複合させてもよく、加熱処理後に注入やトッピング等行って複合させてもよい。
以下、本発明を実施例を基に詳述する。
以下の比較例1~5、実施例1~6で使用する油脂は、油脂配合物として以下のとおり調製した。すなわち、パーム油18質量部、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油67質量部、及びパームオレインのランダムエステル交換油15質量部を、それぞれ60℃に加熱して溶解した後、混合し、油脂配合物を得た。
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエイをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、濃縮甘性ホエイを得た。得られた濃縮甘性ホエイを80℃、20分で加熱処理し、その結果生じた沈殿を遠心分離して濃縮甘性ホエイから除去した。沈殿を除去した濃縮甘性ホエイをさらにエバポレーターで濃縮し、固形分37%の乳清ミネラルを得た。
以下の実施例および比較例では、蛋白質濃縮ホエイ(A)としてFondlacSL(メグレ社製)を用いた。また、蛋白質濃縮ホエイ(B)として、ラクプロダン80(アーラフーズ社製)を用いた。また、乳化剤は使用せず、乳化性を有する成分の一例として、10%加塩卵黄を使用した。また乳清カルシウムとして (株)明治フードマテリア製の品を用い、卵殻カルシウムについては三州食品(株)製の品を用い、濃縮苦汁については(株)日本海水製の品を用いた。
下記に示す表2の配合となるように、下記の手順に基づき、ベイキング用油脂組成物A~Lを製造した。
上記のようにして得られたベイキング用油脂組成物A~Lを用いて、下記の配合・製法でセミハードロールを得た。セミハードロールを得た後、各セミハードロールの側部に切れ込みを入れ、フィリングとして「北海道練乳クリーム」(丸和油脂 製)を15gサンドし、菓子パンを調製した。得られたセミハードロールと、菓子パンを、下記評価基準に則って10名の専門パネラーによって評価した。その結果を◎+:46~50点、◎:40~45点、○:34~39点、△:28~33点、××:27点以下として、表3及び表4に示す。得られた結果が、全ての評価項目において◎+、◎、若しくは○を獲得したサンプルのみ合格品として扱った。なお、評価に先立ち、事前にパネラー間で各評点に対応する官能の程度をすり合わせた。
ショートニング、ベイキング用油脂組成物以外の原料を全てミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分混合した。ここにショートニング、ベイキング用油脂組成物を投入して、さらに低速で3分、中速で4分混合した。捏ね上げ温度は26℃であった。このセミハードロール生地を生地ボックスに入れ、温度29℃、相対湿度75%の恒温室で、1時間発酵を行い、パンチを行った後、フロアタイムを30分とり、セミハードロール生地を得た。この生地を70gに分割・丸目を行ない、次いでベンチタイムを30分とった後、モルダーを使用し、セミハードロール型に成形した。34℃、相対湿度85%で60分ホイロをとった後、クープを入れ、200℃に設定した固定窯に入れ、蒸気を入れ、15分焼成してセミハードロールを得た。
5点 ・・・コントロールと比較して、優れたコク味を強く感じる。
4点 ・・・コントロールと比較して、コク味を感じる。
3点 ・・・コントロールと比較して、ややコク味を感じる。
2点 ・・・コントロールと同様のコク味である。若しくは異味が感じられる。
1点 ・・・コントロールよりも、コク味が感じられない
5点 ・・・コントロールと比較して、フィリングの乳風味やコクが引き立ち、異味も感じられず、好ましく強化されて感じられた。
4点 ・・・コントロールと比較して、フィリングの乳風味やコクが引き立ち、異味も感じられず、おおむね良好であった。
3点 ・・・コントロールと比較して、フィリングの乳風味やコクがやや強化されていた。
2点 ・・・コントロールと同様の風味であった。若しくは異味が感じられた。
1点 ・・・コントロールよりも風味が乏しかった。若しくは異味が強く感じられた。
Claims (6)
- 次の(A)~(D)を含有するベイキング用油脂組成物。
(A)蛋白質濃縮ホエイ
(B)苦汁
(C)乳清カルシウム
(D)油脂(ただし油脂中に動物油脂を含有しない。) - 上記の蛋白質濃縮ホエイが、蛋白質の含有量が25~30質量%であり、炭水化物の含有量が40~55質量%であり、かつ灰分の含有量が15~25質量%である蛋白質濃縮ホエイであることを特徴とする、請求項1に記載のベイキング用油脂組成物。
- ベイキング用油脂組成物中の無脂固形分中のカルシウム含有量とマグネシウム含有量の比(カルシウム含有量/マグネシウム含有量)が5.0~10.2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベイキング用油脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のベイキング用油脂組成物が使用されたパン生地。
- 請求項4に記載のパン生地の加熱処理品であるパン。
- 請求項5に記載のパンとフィリングとが複合された菓子パン。
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ADEKA・オリンピアメロースライス 500g [クール便],2014年06月09日,pp.1-3,retrieved on 2023.06.20, retrieved from the internet,https://www.amazon.co.jp/ADEKA-ADEKA%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0CP%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9EF-500g-%E3%80%90%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BE%BF%E3%80%91/dp/B00KOS0X4Q |
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