JP5407362B2 - 水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ケーキなどのトッピングに使用されるホイップクリームなどのような水中油型乳化油脂組成物及びその製造方法に関する。
ケーキなどのトッピングに使用されるホイップクリームなどのような水中油型乳化油脂組成物の製造方法は、通常、原料調整工程、加熱殺菌工程、冷却工程、充填工程の4工程を有している。
この内、加熱殺菌工程、特に賞味期限の長い製品を製造するための加熱殺菌方法としては、食品に直接蒸気を作用させる蒸気直接加熱殺菌が多用されている(特許文献1)。一般的に殺菌処理温度は135℃以上のことが多い。この殺菌方法は、短時間で高温に加熱できることから、製品が受ける加熱によるダメージ(風味劣化等)が少なく、フレッシュ感が多い製品が製造可能となる。一方、この方法は蒸気を直接作用させるため、加熱量に応じて系中の水分増加が起こることが多く、加熱殺菌工程の後に設置されたフラッシュタンクにおいて真空引きし、蒸発冷却するのが通常である。しかし、フラッシュタンクでの真空引きにより、水分と共に原材料の香気成分や高揮発性成分が除去される。例えば、フレッシュクリームを上記のような工程で処理すると、2−ブタノン含有量がおよそ0.1ppm以下になってしまい、風味が薄っぺらくなるという問題があった。
また、香気成分の減少が少ない殺菌方式、例えば、間接加熱−間接冷却方式では、短時間で高温に加熱することができないことから、製品が受ける加熱によるダメージ(風味劣化等)が多くなってしまう。例えば、フレッシュクリームを上記のような工程で処理すると、タンパク質100g当たりのフロシン含量が、およそ60mgを超えてしまい、フレッシュ感が少ない製品になってしまう問題があった。
さらに、蛋白溶融塩や乳化剤が無添加である水中油型乳化油脂組成物、例えば、フレッシュクリームなどは、均質化に際しては、高圧力で処理すると増粘現象を生じてしまうため、低圧力で処理されることが多く、結局、粒径を十分に小さくすることが困難である。このように低圧力で均質化され、脂肪球の粒径が大きい水中油型乳化油脂組成物は、レトルトなどの調理加工条件により、凝集や油分離を生じてしまう問題があった。
特開平2−35038号公報
本発明は、風味豊かで(味が強く、においが強い)、フレッシュ感を有し、乳化安定で充分殺菌された水中油型乳化油脂組成物、更にはその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、130〜150℃で加熱処理された水中油型乳化油脂組成物において、フロシン含有量が特定量であり、2−ブタノン含有量が特定量であれば、風味豊かで(味が強く、においが強い)、フレッシュ感を有し、乳化安定な水中油型乳化油脂組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、フレッシュクリームを主原料として水中油型乳化油脂組成物全体中80〜100重量%含有してなる水中油型乳化油脂組成物であって、フレッシュクリームを主原料とする原料を25m/s以上の高周速で均質化後、予備加熱し、直接加熱により130〜150℃で加熱した後、40〜90℃まで間接冷却し、その後0.5〜15.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、3〜15℃まで間接冷却された水中油型乳化油脂組成物中のフロシン含有量が、タンパク質100g当たり60mg以下であり、水中油型乳化油脂組成物全体中の2−ブタノン含有量が、0.1ppm以上である水中油型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂含有量が20〜60重量%であり、無脂乳固形含有量が2〜10重量%である上記記載の水中油型乳化油脂組成物に関する。より好ましくは、蛋白溶融塩、乳化剤が無添加である上記記載の水中油型乳化油脂組成物、更に好ましくは、31m/s以上の高周速で均質化してなる上記記載の水中油型乳化油脂組成物に関する。本発明の第二は、上記記載の水中油型乳化油脂組成物を含有する食品に関する。
本発明に従えば、風味豊かで(味が強く、においが強い)、フレッシュ感を有し、乳化安定で充分殺菌された水中油型乳化油脂組成物、更にはその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の水中油型乳化油脂組成物は、130〜150℃で加熱処理されており、該組成物全体中において2−ブタノン含有量が特定量であり、タンパク質100g当たりのフロシン含有量が特定量であることが特徴である。該組成物は好ましくはフレッシュクリームを主原料として用い、必要に応じて、油相部には食用油脂、乳化剤、香料など、水相部には、蛋白質、糖類、乳化剤、増粘剤、蛋白溶融塩、香料などを添加してもよい。また、フレッシュクリームとコンパウンドクリームを併用しても良い。昨今の安全安心の商品価値の点から、好ましくは、乳化剤、増粘剤、蛋白溶融塩を含まない方が良い。また、より自然な風味を実現するためには、香料を含まない方が好ましい。
本発明における130〜150℃での加熱処理とは、殺菌や滅菌のために行う処理であり、長期保存性での衛生の点からは140℃以上が好ましい。130℃未満であると殺菌度合いが低く、長期保存での衛生を保てない場合があり、150℃を超えると焦げなどが発生して商品価値が無くなる場合がある。
本発明の水中油型乳化油脂組成物に含有されるフロシンの含有量は、少ないほどフレッシュ感が増大するため、タンパク質100g当たり10〜60mgが好ましく、より好ましくは10〜50mg、さらに好ましくは10〜45mgである。フロシン含量は、充分な殺菌を施した上で10mgより少なくすることが困難であり、60mgより多いとフレッシュ感が少ない水中油型乳化油脂組成物となる場合がある。該フロシン量は、文献:J. Agric. Food Chem. 1998, 46, pp458-463に記載の方法に従い、水中油型乳化油脂組成物を酸分解した後、高速液体クロマトグラフにより測定する。
本発明の水中油型乳化油脂組成物に含有される2−ブタノン含有量は、0.1ppm以上が好ましく、0.1〜0.8ppmがより好ましい。0.1ppm未満であると、風味が薄くなる場合がある。該2−ブタノン量は、水中油型乳化油脂組成物20gを40℃に調整し、20分間、窒素バブリング100ml/minを行い、テナックス樹脂に吸着させ、GC−MSにより測定する。
本発明において、主な原料として用いるフレッシュクリームの含有量は、水中油型乳化油脂組成物全体中80〜100重量%が好ましく、90〜100重量%がより好ましい。80重量%より少ないと、フレッシュクリームの自然な風味が薄れてしまう場合がある。本発明でいうフレッシュクリームとは、乳等省令により「生乳、牛乳または、特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を取り除いたもの」として定義されるクリームである。
前記食用油脂としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、ゴマ油、カポック油、落花生油、米糠油、胡麻油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、マンゴー核油、イリッペ脂などの各種植物油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種動物油脂および、それらの分別、硬化、エステル交換等の処理をして得られる加工油脂、さらには市販のバター、マーガリン、またはショートニングあるいはハードバター等が挙げられ、これらを少なくとも1種用いることができる。
前記蛋白原料としては、特に限定されないが、牛乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、ホエー、ホエーパウダー、カゼイン、カゼインナトリウム、脂肪球皮膜タンパク、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン、生クリーム等の乳由来の蛋白質、更には卵蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質等の乳以外の蛋白質等を使用することができる。卵蛋白質としては、液状あるいは乾燥された卵黄、卵白、全卵及びこれらより分離される単一(単純)蛋白質、例えばオボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリン、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質等がある。大豆蛋白質としては、豆乳、脱脂大豆粉、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、大豆蛋白加水分解物等がある。小麦蛋白質としては、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等がある。また、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質も使用できる。これらの蛋白質は、目的に応じ少なくとも1種用いることができる。
前記乳化剤としては、特に限定されないが、大豆レシチン、卵黄レシチン、または、それらの酵素分解物、脂肪酸とグリセリンのエステル及びその誘導体(グリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリソルベート類等を挙げることができる。これらは、少なくとも1種用いることができる。
前記糖類としては、特に限定されないが、ブドウ糖、果糖、マンノース、キシロース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらは、少なくとも1種用いることができる。
前記増粘剤としては、特に限定されないが、プルラン、サイリウム、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、グルコマンナン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンド種子多糖、カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、結晶セルロース、カードラン及びそれらの低分子化物、澱粉、化工澱粉、各種α化デンプン、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。これらの増粘剤は、少なくとも1種用いることができる。
また、前記の蛋白原料、油脂、糖類は、脂質蛋白複合体や蛋白糖複合体などのような複合体を形成して含有させてもよい。
前記蛋白溶融塩としては、食用であれば特に限定されないが、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、第1リン酸塩、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、ポリリン酸塩、重曹等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
この他、抽出物、調味料、乳製品、酵素処理物、pH調整剤、酵素、食品保存料、日持ち向上剤、酸化防止剤等を使用することができ、これらは、少なくとも1種用いることができる。
本発明に用い得るコンパウンドクリームは、特に限定はないが、例えば、フレッシュクリームと植物性ホイップクリームをブレンドしたコンパウンドクリームが挙げられる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物の製造例を以下に例示する。原料(例えば、フレッシュクリーム)を55〜75℃に温調し、25m/s以上の高周速で均質化し、均質化圧力を0.5〜5.0MPaに調整したホモゲナイザーHV((株)イズミフードマシナリ社製)を用いて送液する。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて60〜90℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株))での直接加熱により130〜150℃まで加熱する。その後、チューブラー式熱交換機(岩井機械工業(株)製)により40〜90℃まで間接冷却する。0.5〜15.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理をおこない、再び、プレート式熱交換機にて3〜15℃まで間接冷却することで、本発明の水中油型乳化油脂組成物が得られる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、必要により冷蔵(0〜15℃)もしくは冷凍状態(−0℃以下)で保存してもよい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、例えば、ホイップ用クリーム、コーヒー用クリーム、加工食品(ホワイトソース、グラタン、クリームシチュー、コーンスープなど)用クリーム、アイスクリーム、ソフトクリーム用プレミックス、パン、菓子、デザート、ハム、ソーセージ、食肉、魚肉、練り込み用油脂、マヨネーズ、ドレッシング、チーズ様食品、フラワーペースト、フィリング、トッピング、サンド、スプレッド等の加工食品用途に用いられる。また、本発明の水中油型乳化油脂組成物を他の水中油型乳化油脂組成物と混合した水中油型乳化油脂組成物として前記用途に用いても良い。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<官能評価>
実施例及び比較例で得られた水中油型乳化油脂組成物を水分調整した後、熟練した10人のパネラーに食べてもらい、以下の方法で点数化し、その平均点を評価点とした。水中油型乳化油脂組成物に関しては、風味の強さ、においの強さ、フレッシュ感を評価した。5点:強く感じる、4点:やや強く感じる、3点:やや弱く感じる、2点:弱く感じる、1点:ほとんど感じない。
(実施例1;参考例) 水中油型乳化油脂組成物の作製
フレッシュクリーム(明治乳業社製、油分:47重量%)を65℃に温調した。その後、均質化圧力を0.5MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株))での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、チューブラー式熱交換機(岩井機械工業(株)製)により60℃まで冷却した後、均質化圧力を1.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)で均質化処理をおこない、再び、プレート式熱交換機にて5℃まで冷却して、水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物を測定・評価し、その結果を表1に示した。
Figure 0005407362
(実施例2) 水中油型乳化油脂組成物の作製
フレッシュクリーム(明治乳業社製、油分:47重量%)を65℃に温調した後、高周速乳化機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)回転数20000RPM(周速31m/s)にて均質化し、均質化圧力を4.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)を用いて殺菌システムに送液した。プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて80℃まで予備加熱を行い、スチームインジェクション(岩井機械工業(株)製)での加熱により140℃まで加熱した。さらに、殺菌保持装置であるホールディングチューブにて140℃で4秒間保持し、チューブラー式熱交換機(岩井機械工業(株)製)により60℃まで冷却した後、均質化圧力を6.0MPaに調整したホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)で均質化処理をおこない、再び、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株)製)にて5℃まで冷却して、水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物を測定・評価し、その結果を表1に示した。
(比較例1) 水中油型乳化油脂組成物の作製
ホールディングチューブにて140℃で4秒間保持した後、チューブラー式熱交換機の代わりに蒸発冷却器(岩井機械工業(株)製、直接冷却)を用いて80℃まで冷却した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物を測定・評価し、その結果を表1に示した。
(比較例2) 水中油型乳化油脂組成物の作製
スチームインジェクション(岩井機械工業(株))の代わりに、プレート式熱交換機(岩井機械工業(株))で140℃まで加熱した以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物を測定・評価し、その結果を表1に示した。
表1より分かるように、実施例1〜2で得られた水中油型乳化油脂組成物は、比較例1〜2と比較して、フロシン量が少なく、2−ブタノン量が多くなっており、味・におい共に強く風味豊かでフレッシュ感のあるものであった。
(実施例3;参考例) レトルト処理評価
実施例1で得られた水中油型乳化油脂組成物を用いて、表2の配合でレトルト袋に充填した後、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表2に示した。
Figure 0005407362
(実施例4) レトルト処理評価
実施例2で得られた水中油型乳化油脂組成物をもちいて、表2の配合で、レトルト袋に充填した後、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表2に示した。
(比較例3) レトルト処理評価
比較例1で得られた水中油型乳化油脂組成物をもちいて、表2の配合でレトルト袋に充填した後、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表2に示した。
(比較例4) レトルト処理評価
比較例2で得られた水中油型乳化油脂組成物をもちいて、表2の配合で、レトルト袋に充填した後、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表2に示した。
表2より分かるように、実施例3、比較例3、4はひどく分離した状態であったが、実施例4はほとんど分離しておらず良好であった。
(実施例5;参考例) レトルト処理評価
実施例1で得られた水中油型乳化油脂組成物30部、水70部を添加した後、ワインビネガーを用いて、pHを6.0に調整した後、レトルト袋に充填し、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表3に示した。
Figure 0005407362
(実施例6) レトルト処理評価
実施例2で得られた水中油型乳化油脂組成物30部、水70部を添加した後、ワインビネガーを用いて、pHを6.0に調整した後、レトルト袋に充填し、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表3に示した。
(比較例5) レトルト処理評価
比較例1で得られた水中油型乳化油脂組成物30部、水70部を添加した後、ワインビネガーを用いて、pHを6.0に調整した後、レトルト袋に充填し、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表3に示した。
(比較例6) レトルト処理評価
比較例2で得られた水中油型乳化油脂組成物30部、水70部を添加した後、ワインビネガーを用いて、pHを6.0に調整した後、レトルト袋に充填し、レトルト処理(121℃、15分間)を行い、3時間静置後に油分等の分離状態を目視にて評価した。その結果を表3に示した。
表3より分かるように、実施例5、比較例5、6はひどく分離した状態であったが、実施例6はほとんど分離しておらず良好であった。

Claims (5)

  1. フレッシュクリームを主原料として水中油型乳化油脂組成物全体中80〜100重量%含有してなる水中油型乳化油脂組成物であって、フレッシュクリームを主原料とする原料を25m/s以上の高周速で均質化後、予備加熱し、直接加熱により130〜150℃で加熱した後、40〜90℃まで間接冷却し、その後0.5〜15.0MPaの均質化圧力の下で均質化処理を行い、再び、3〜15℃まで間接冷却された水中油型乳化油脂組成物中のフロシン含有量が、タンパク質100g当たり60mg以下であり、水中油型乳化油脂組成物全体中の2−ブタノン含有量が、0.1ppm以上である水中油型乳化油脂組成物。
  2. 水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂含有量が20〜60重量%であり、無脂乳固形含有量が2〜10重量%である請求項1に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  3. 蛋白溶融塩、乳化剤が無添加である請求項1又は2に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  4. 31m/s以上の高周速で均質化してなる請求項1〜3の何れか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の水中油型乳化油脂組成物を含有する食品。
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