JP2006143990A - 固化材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高含水土や高有機質土等の軟弱土の固化処理に適する固化材を提供する。
【解決手段】 水硬率が1.8〜2.3、ケイ酸率が1.3〜2.3、鉄率が1.3〜2.8である焼成物Aの粉砕物と、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al2O3・SiO2を10〜2000質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3の含有量が20質量部以下である焼成物Bの粉砕物と、石膏を含有する固化材。
上記固化材は、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石灰石粉末、珪石粉末及びシリカフュームから選ばれる1種以上の無機粉末を含有することができる。
また、上記焼成物は、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を原料として製造することができる。
Description
本発明の固化材は、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石灰石粉末、珪石粉末及びシリカフュームから選ばれる1種以上の無機粉末を含むことが好ましい(請求項2)。これらの無機粉末を含むことにより、固化処理した土の長期強度を増大させることができる。
本発明においては、上記焼成物A及び/又は焼成物Bは、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を原料として製造した焼成物とすることができる(請求項3)。焼成物の原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上のものを使用することにより、廃棄物の有効利用を促進させることができる。
上記焼成物Aは、1.0質量%以下のフッ素を含有することができる(請求項4)。焼成物Aがフッ素を含有することにより、フッ素含有廃棄物を原料として使用することができ、廃棄物の有効利用をより促進させることができる。また、固化材をスラリー添加する際に、該スラリーの作業性を向上することや可使時間を長時間確保することが可能となる。
また、本発明の固化材では、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を原料として製造した焼成物を用いることができるので、廃棄物の有効利用を促進させることができる。
本発明で使用する焼成物Aは、水硬率(H.M.)が1.8〜2.3、ケイ酸率(S.M.)が1.3〜2.3、鉄率(I.M.)が1.3〜2.8のものである。
水硬率(H.M.)が小さくなると、該焼成物中の3CaO・SiO2(以降、C3Sと略す)の含有量が少なくなり、固化処理した土の初期強度発現性が低下する。また、焼成物Aの焼成も困難となる。一方、水硬率(H.M.)が大きくなると、固化処理した土の初期強度発現性は向上するが、長期強度の伸びが鈍くなる傾向にある。そのため、水硬率(H.M.)は1.8〜2.3が好ましく、2.0〜2.2がより好ましい。
ケイ酸率(S.M.)が小さくなると、焼成物Aの焼成が困難となる。一方、ケイ酸率(S.M.)が大きくなると、固化処理した土の強度発現性が低下する。また、3CaO・Al2O3(以降、C3Aと略す)と4CaO・Al2O3・Fe2O3(以降、C4AFと略す)の含有量が少なくなり、焼成物Aの焼成が困難になる。そのため、ケイ酸率(S.M.)は1.3〜2.3が好ましく、1.5〜2.0がより好ましい。
鉄率(I.M.)が小さくなると、焼成物Aの粉砕性が低下する。また、固化処理した土の初期強度発現性が低下する傾向にある。一方、鉄率(I.M.)が大きくなると、焼成物中のC3Aの含有量が多くなり、所要の固化性能を発現するために添加すべき石膏量が増加し、経済的でない。そのため、鉄率(I.M.)は1.3〜2.8が好ましく、1.5〜2.6がより好ましい。
なお、本発明においては、焼成物Aの原料として、前記原料に加えて、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を使用することができる。焼成物Aの原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上のものを使用することは、廃棄物の有効利用を促進させることができ好ましいことである。ここで、産業廃棄物としては、例えば、生コンスラッジ、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等)、建設廃材、コンクリート廃材、ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰等が挙げられる。一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。建設発生土としては、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。
フッ素原料としては、蛍石(CaF2)の他、フッ酸の製造工程で発生するスラッジ、リン酸工業炉やリン酸肥料製造炉から製造される珪フッ化ソーダやその煤煙、半導体や電気電子機器工業で使用されたフッ素系洗浄剤を含む排水を処理した残渣等のフッ素含有廃棄物を使用することができる。
焼成物A中のフッ素含有量は1.0質量%以下が好ましい。焼成物A中のフッ素含有量が1.0質量%を越えると、固化処理した土の強度発現性が低下するので好ましくない。焼成物A中のより好ましいフッ素含有量は、固化処理した土の強度発現性やフッ素含有廃棄物の有効利用等の観点から、0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.05〜0.4質量%である。
各原料を混合する方法は、特に限定するものではなく、慣用の装置等で行えばよい。
また、焼成に使用する装置も特に限定するものではなく、例えば、ロータリーキルン等を使用することができる。ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
なお、本発明で使用する焼成物Aにおいては、固化処理した土の初期強度発現性や耐久性等から、フリーライム量が0.5〜1.5質量%であることが好ましい。
C2ASの好ましい含有量は、C2S100質量部に対して10〜200質量部であり、より好ましくは10〜100質量部である。
なお、本発明においては、焼成物Bの原料として、前記原料に加えて、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を使用することができる。焼成物Bの原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上のものを使用することは、廃棄物の有効利用を促進させることができ好ましいことである。ここで、産業廃棄物としては、例えば、石炭灰、生コンスラッジ、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等)、ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、建設廃材、コンクリート廃材等が挙げられる。一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。建設発生土としては、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。
C4AF=3.04×Fe2O3
C3A=1.61×CaO−3.00×SiO2−2.26×Fe2O3
C2AS=−1.63×CaO+3.04×SiO2+2.69×Al2O3+0.57×Fe2O3
C2S=1.02×CaO+0.95×SiO2−1.69×Al2O3−0.36×Fe2O3
各原料を混合する方法は、特に限定するものではなく、慣用の装置等で行えばよい。
また、焼成に使用する装置も特に限定するものではなく、例えば、ロータリーキルン等を使用することができる。ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
シリカフュームでは、BET比表面積が5〜25m2/gが好ましく、5〜20m2/gであるのがより好ましい。
(1)焼成物Aと焼成物Bと石膏を同時に粉砕する方法、
(2)焼成物Aと焼成物Bと石膏と無機粉末を同時に粉砕する方法、
(3)焼成物Aと焼成物Bの同時粉砕物に石膏を混合する方法、
(4)焼成物Aと石膏の同時粉砕物に焼成物Bの粉砕物を混合する方法、
(5)焼成物Bと石膏の同時粉砕物に焼成物Aの粉砕物を混合する方法、
(6)焼成物A、焼成物Bを別々に粉砕し、該粉砕物と石膏を混合する方法、
(7)上記(1)、(3)、(4)、(5)又は(6)の固化材に無機粉末を混合する方法
等が挙げられる。
上記(2)の場合は、焼成物Aと焼成物Bと石膏と無機粉末は、固化処理した土の強度発現性や耐久性等から、ブレーン比表面積2500〜5000cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。
上記(3)の場合は、焼成物Aと焼成物Bは、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。石膏としては、ブレーン比表面積2500〜7000cm2/gのものを使用するのが好ましく、3000〜6000cm2/gのものを使用するのがより好ましい。
上記(4)の場合は、焼成物Aと石膏は、水硬性組成物の水和熱や、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。また、焼成物Bは、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。
上記(5)の場合は、焼成物Bと石膏は、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。また、焼成物Aは、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。
上記(6)の場合は、焼成物Aは、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。また、焼成物Bは、ブレーン比表面積2500〜4500cm2/gに粉砕することが好ましく、3000〜4500cm2/gに粉砕することがより好ましい。また、石膏としてはブレーン比表面積2500〜7000cm2/gのものを使用するのが好ましく、3000〜6000cm2/gのものを使用するのがより好ましい。
本発明の固化材は、例えば1)対象土に固化材を粉体のまま添加・混合するドライ添加、2)水を加えてスラリーとして添加・混合するスラリー添加、により使用することができる。スラリー添加の場合には、水/固化材(質量)比は、0.5〜1.5が好ましく、0.6〜1.0がより好ましい。
実施例1〜6、比較例1
(1)焼成物Aの製造
原料として、下水汚泥、建設発生土と、石灰石等の一般のポルトランドセメントクリンカー原料を使用して、表1に示す水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)および鉄率(I.M.)となるように原料を調合した。調合原料を小型ロータリーキルンで1400〜1450℃で焼成して、焼成物Aを製造した。この際、燃料として一般的な重油のほかに、廃油や廃プラスチックを使用した。焼成後、各焼成物Aをバッチ式ボールミルでブレーン比表面積が3250±50cm2/gとなるように粉砕した。
使用した下水汚泥、建設発生土の化学組成(質量%)は、表2に示すとおりである。
なお、各焼成物中のフリーライム量は0.6〜1.0質量%であった。
原料として、石灰石、下水汚泥を使用して、表3に示す組成で調合し、小型ロータリーキルンで1300℃で焼成した。この際、燃料として一般的な重油のほかに、廃油や廃プラスチックを使用した。焼成後、バッチ式ボールミルでブレーン比表面積が3250cm2/gとなるように粉砕した。
焼成物Aの粉砕物、焼成物Bの粉砕物、無水石膏(ブレーン比表面積5800cm2/g)、高炉スラグ粉末(ブレーン比表面積4500cm2/g)を表4に示す割合で混合して、固化材を得た。
「JGS 0821(安定処理土の締固めをしない供試体作製方法)」に準拠して作製した供試体を、「JIS A 1216(土の一軸圧縮試験方法)」に準じて、圧縮強度(7日および28日)を測定した。
その結果を表5に示す。
なお、本試験に使用した対象土は、含水率30%の砂質土、含水率75%の粘性土、含水率175%の関東ロームおよび含水率400%のヘドロであり、固化材の添加量は、砂質土に対しては1m3当り60kg、粘性土に対しては1m3当り100kg、関東ロームに対しては1m3当り250kg、ヘドロに対しては1m3当り200kgとした。
(5)焼成物Aの製造
原料として、下水汚泥、建設発生土、フッ酸の製造工程で発生するスラッジと、石灰石等の一般のポルトランドセメントクリンカー原料を使用して、表6に示す水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)および鉄率(I.M.)となるように原料を調合した。調合原料を小型ロータリーキルンで1400〜1450℃で焼成して、焼成物Aを製造した。この際、燃料として一般的な重油のほかに、廃油や廃プラスチックを使用した。焼成後、各焼成物Aをバッチ式ボールミルでブレーン比表面積が3250±50cm2/gとなるように粉砕した。
なお、各焼成物中のフリーライム量は0.6〜1.0質量%であった。
表6の焼成物Aの粉砕物、上記焼成物Bの粉砕物、無水石膏(ブレーン比表面積5800cm2/g)、高炉スラグ粉末(ブレーン比表面積4500cm2/g)を表7に示す割合で混合して、固化材を得た。
「JGS 0821(安定処理土の締固めをしない供試体作製方法)」に準拠して作製した供試体を、「JIS A 1216(土の一軸圧縮試験方法)」に準じて、圧縮強度(7日および28日)を測定した。
その結果を表8に示す。
なお、本試験に使用した対象土は、含水率73%の粘性土および含水率170%の関東ロームであり、固化材の添加量は、粘性土に対しては1m3当り100kg、関東ロームに対しては1m3当り250kgとした。
Claims (4)
- (A)水硬率が1.8〜2.3、ケイ酸率が1.3〜2.3、鉄率が1.3〜2.8である焼成物Aの粉砕物と、(B)2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al2O3・SiO2を10〜2000質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3の含有量が20質量部以下である焼成物Bの粉砕物と、(C)石膏を含有することを特徴とする固化材。
- 高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石灰石粉末、珪石粉末及びシリカフュームから選ばれる1種以上の無機粉末を含有する請求項1記載の固化材。
- 焼成物A及び/又は焼成物Bが、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を原料として製造した焼成物である請求項1又は2に記載の固化材。
- 焼成物Aが、1.0質量%以下のフッ素を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の固化材。
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