JP2006142949A - 自動二輪車用のタイヤ対 - Google Patents

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Abstract

【課題】外乱吸収性が阻害されることなく旋回性が高められた自動二輪車用のタイヤ対2の提供。
【解決手段】タイヤ対2は、フロントタイヤ6とリアタイヤ8とからなる。フロントタイヤ6及びリアタイヤ8は、ラジアル構造を備えている。フロントタイヤ6は、赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に対してなす角度θfを備えている。リアタイヤ8は、赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に対してなす角度θrを備えている。このタイヤ対における比(θr/θf)は、0.86以上1.02以下である。角度θrは、30°以上36°以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動二輪車用のタイヤ対に関する。詳細には、本発明は、いずれもラジアル構造を有するフロントタイヤ及びリアタイヤからなる対に関する。
自動二輪車は、フロントタイヤとリアタイヤとを備えている。リアタイヤの役割は、フロントタイヤのそれとは大きく異なる。役割の相違が考慮されたタイヤ対が、特開平6−64577号公報、特開平6−270613号公報及び特開平8−216629号公報に開示されている。
旋回時には、自動二輪車に遠心力が働く。旋回には、この遠心力につり合うコーナリングフォースが必要である。自動二輪車では、内側への傾斜によって生じるキャンバースラストにより、旋回が達成される。自動二輪車用のタイヤは、曲率半径の小さなトレッドを備えている。このトレッドは、自動二輪車用の内側への傾斜に寄与する。
特開平6−64577号公報 特開平6−270613号公報 特開平8−216629号公報
フロントタイヤにとって重要な性能として、外乱吸収性が挙げられる。フロントタイヤのコーナリングフォースが小さく設定されることにより、外乱吸収性が高められる。しかし、コーナリングフォースが小さなフロントタイヤが装着された自動二輪車は、旋回性に劣る。
フロントタイヤのキャスター角が大きく設定されれば、旋回性が改善されうる。しかし、キャスター角の変更は、自動二輪車の他の性能の低下を招来する。例えば、大きなキャスター角は、直進時の軽快性を阻害する。
本発明の目的は、外乱吸収性が阻害されることなく旋回性が高められた自動二輪車用のタイヤ対の提供にある。
本発明に係る自動二輪車用のタイヤ対は、
(1)赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に 対してなす角度θfを備えており、ラジアル構造を有するフロントタイヤ
及び
(2)赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に対してなす角度θrを備えており、ラジアル構造を有するリアタイヤ
からなる。この角度θrの角度θfに対する比(θr/θf)は、0.86以上1.02以下である。
好ましくは、角度θrは25°以上35°以下である。
このタイヤ対の比(θr/θf)は、従来のタイヤ対のそれと比べて大きい。このタイヤ対が装着された自動二輪車の、旋回時の実効キャスター角は、大きい。このタイヤ対は、旋回性に優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ対2が装着された自動二輪車4が示された斜視図である。このタイヤ対2は、フロントタイヤ6とリアタイヤ8とからなる。
図2は、図1のフロントタイヤ6の一部が示された断面図である。この図2において、上下方向がタイヤの半径方向であり、左右方向がタイヤの軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤの周方向である。このフロントタイヤ6は、図2中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。一点鎖線CLは、フロントタイヤ6の赤道面を表す。このフロントタイヤ6は、トレッド10、サイドウォール12、ウイング14、ビード16、カーカス18、ベルト20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。
トレッド10は、架橋ゴムからなる。トレッド10は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド10は、路面と接地するトレッド面26を備える。トレッド10は、溝28を備えている。この溝28は、トレッド面26から凹陥している。図2において符号Oで示されているのは、赤道面上であってトレッド10の表面に位置する点である。以下、この点Oは中心点と称される。図2において符号Eで示されているのは、トレッド端である。
サイドウォール12は、トレッド端Eから半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール12は、架橋ゴムからなる。サイドウォール12は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール12は、カーカス18の外傷を防止する。このサイドウォール12とトレッド10との間に、架橋ゴムからなるウイング14が設けられている。
ビード16は、サイドウォール12から半径方向略内向きに延びている。ビード16は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエーペックス32とを備えている。コア30はリング状であり、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エーペックス32は、半径方向外向きに先細りであり、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス18は、カーカスプライ34からなる。カーカスプライ34は、両側のビード16の間に架け渡されており、トレッド10及びサイドウォール12の内側に沿っている。カーカスプライ34は、コア30の周りを、軸方向内側から外側に向かって巻かれている。図示されていないが、カーカスプライ34は、カーカスコードとトッピングゴムとからなる。カーカスコードが周方向に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このタイヤはラジアル構造を有する。カーカスコードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト20は、カーカス18の半径方向外側に位置している。ベルト20は、カーカス18と積層されている。ベルト20は、カーカス18を補強する。ベルト20は、内側ベルトプライ36及び外側ベルトプライ38からなる。図示されていないが、内側ベルトプライ36及び外側ベルトプライ38のそれぞれは、ベルトコードとトッピングゴムとからなる。ベルトコードは、周方向に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側ベルトプライ36のベルトコードの周方向に対する角度は、外側ベルトプライ38のベルトコードの周方向に対する角度とは逆である。ベルトコードの好ましい材質は、アラミド繊維及びスチールである。
インナーライナー22は、カーカス18の内周面に接合されている。インナーライナー22は、架橋ゴムからなる。インナーライナー22には、空気透過性の少ないゴムが用いられる。インナーライナー22は、タイヤの内圧を保持する役割を果たす。
チェーファー24は、ビード16の近傍に位置している。タイヤ6がリムに組み込まれると、このチェーファー24がリムと当接する。この当接により、ビード16の近傍が保護される。チェーファー24は、通常は布とこの布に含浸したゴムとからなる。ゴム単体からなるチェーファー24が用いられてもよい。
図3は、図1のリアタイヤ8の一部が示された断面図である。この図3において、上下方向がタイヤの半径方向であり、左右方向がタイヤの軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤの周方向である。このリアタイヤ8は、図3中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。一点鎖線CLは、リアタイヤ8の赤道面を表す。このリアタイヤ8は、トレッド40、サイドウォール42、ウイング44、ビード46、カーカス48、ベルト50、インナーライナー52及びチェーファー54を備えている。トレッド40、サイドウォール42、ウイング44、ビード46、カーカス48、インナーライナー52及びチェーファー54の構成は、それぞれ図2のフロントタイヤ6のトレッド10、サイドウォール12、ウイング14、ビード16、カーカス18、インナーライナー22及びチェーファー24の構成とほぼ同等である。
ベルト50は、内側ベルトプライ56及び外側ベルトプライ58からなる。図示されていないが、内側ベルトプライ56は、ベルトコードとトッピングゴムとからなる。ベルトコードは、周方向に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。ベルトコードの好ましい材質は、アラミド繊維及びスチールである。
図示されていないが、外側ベルトプライ58はベルトコードとトッピングゴムとからなる。ベルトコードは周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。このベルトコードは、いわゆるジョイントレスである。ベルトコードの好ましい材質は、アラミド繊維及びスチールである。
図4は、図1のタイヤ対2が示された断面図である。この図4には断面の輪郭のみが示されている。図4(a)に示されているのは、フロントタイヤ6である。図4(a)において符号θfで示されているのは、中心点Oとトレッド端Eとを結ぶ直線Lfが軸方向に対してなす角度である。角度θfは、30°以上45°以下が好ましい。図4(b)に示されているのは、リアタイヤ8である。図4(b)において符号θrで示されているのは、中心点Oとトレッド端Eとを結ぶ直線Lrが軸方向に対してなす角度である。角度θrは、25°以上35°以下が好ましい。
角度θf及び角度θrは、タイヤ6、8が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるように空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ6、8には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ6、8が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ6、8が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
図5は、図3のリアタイヤ8が示された正面図である。図5(a)には、直進走行時のリアタイヤ8が示されている。この図5(a)において両矢印Dで示されているのは、リアタイヤ8の直径である。直径Dは、例えば624mm以上644mm以下である。図5(a)において両矢印Wで示されているのは、リアタイヤ8の幅である。幅Wは、例えば174mm以上190mm以下である。この図5には、リアタイヤ8の直径Dと同一の直径と、リアタイヤ8の幅Wと同一の幅とを備えた従来のタイヤ60も示されている。リアタイヤ8の角度θrは、従来のタイヤ60の角度θr’よりも大きい。
図5(b)には、旋回時のリアタイヤ8が示されている。リアタイヤ8は、路面Gに対して傾斜している。角度θrは角度θr’よりも大きいので、リアタイヤ8の軸Aは従来のタイヤの軸A’よりも下方に位置している。換言すれば、旋回時において、リアタイヤ8の実効直径は従来のタイヤ60の実効直径よりも小さい。
リアタイヤ8の実効直径が小さいほど、自動二輪車4は前上がりとなる。換言すれば、リアタイヤ8の実効直径が小さいほど、実効キャスター角が大きい。リアタイヤ8の実効直径が大きいほど、自動二輪車4は前下がりとなる。換言すれば、リアタイヤ8の実効直径が大きいほど、実効キャスター角が小さい。
図示されていないが、フロントタイヤ6でも、旋回時の実効直径は角度θfに依存する。フロントタイヤ6の実効直径が小さいほど、自動二輪車4は前下がりとなる。換言すれば、フロントタイヤ6の実効直径が小さいほど、実効キャスター角が小さい。フロントタイヤ6の実効直径が大きいほど、自動二輪車4は前上がりとなる。換言すれば、フロントタイヤ6の実効直径が大きいほど、実効キャスター角が大きい。
このタイヤ対2では、比(θr/θf)は0.86以上である。この比(θr/θf)は、従来のタイヤ対のそれと比べて大きい。このタイヤ対2が装着された自動二輪車4では、従来のタイヤ対が装着された自動二輪車に比べ、旋回時の実効キャスター角が大きい。このタイヤ対2が装着された自動二輪車4では、旋回が容易になされうる。このタイヤ対2が装着された自動二輪車4の直進走行時のキャスター角は、従来のタイヤ対が装着された自動二輪車の直進走行時のキャスター角と同一である。このタイヤ対2が装着された自動二輪車4では、直進走行時に優れた軽快性が得られる。このタイヤ対2では、大きな実効キャスター角が旋回性に寄与するので、コーナリングフォースが小さなフロントタイヤ6が採用されうる。コーナリングフォースが小さなフロントタイヤ6が採用されることにより、優れた外乱吸収性が得られる。
旋回性の観点から、比(θr/θf)は0.88以上がより好ましく、0.90以上が特に好ましい。比(θr/θf)が過大であると、倒れ込み及び接地抜けが発生しやすい。この観点から、比(θr/θf)は1.02以下が好ましく、1.00以下がより好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図2に示された構造を備えたフロントタイヤを得た。このフロントタイヤのサイズは、「120/60ZR17」である。このフロントタイヤの角度θfは、35°である。一方、図3に示された構造を備えたリアタイヤを得た。このリアタイヤのサイズは、「180/55ZR17」である。このリアタイヤの角度θrは、30°である。このタイヤ対の比(θr/θf)は、0.86である。
[実施例2から5及び比較例1から2]
リアタイヤのプロファイルを変更した他は実施例1と同様にして、実施例2から5及び比較例1から2のタイヤ対を得た。リアタイヤの角度θrが、下記の表1に示されている。
[官能評価]
排気量が600cmであるスーパースポーツタイプの自動二輪車に、タイヤ対を装着した。この自動二輪車を60km/hの速度で旋回走行させて、ライダーに外乱吸収性、旋回性、倒れ込みの生じにくさ及び接地抜けの生じにくさを評価させた。この結果が、下記の表1に示されている。表1における数値が大きいほど、評価が優れている。
Figure 2006142949
表1に示されるように、実施例のタイヤ対は全ての評価項目において優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤ対は、種々の自動二輪車に装着されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ対が装着された自動二輪車が示された斜視図である。 図2は、図1のフロントタイヤの一部が示された断面図である。 図3は、図1のリアタイヤの一部が示された断面図である。 図4は、図1のタイヤ対が示された断面図である。 図5は、図3のリアタイヤが示された正面図である。
符号の説明
2・・・タイヤ対
4・・・自動二輪車
6・・・フロントタイヤ
8・・・リアタイヤ
10、40・・・トレッド
12、42・・・サイドウォール
16、46・・・ビード
18、48・・・カーカス
20、50・・・ベルト
22、52・・・インナーライナー
24、54・・・チェーファー

Claims (2)

  1. 赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に対してなす角度θfを備えており、ラジアル構造を有するフロントタイヤと、
    赤道面上であってトレッド表面に位置する点とトレッド端とを結ぶ直線が軸方向に対してなす角度θrを備えており、ラジアル構造を有するリアタイヤとからなり、
    この角度θrの角度θfに対する比(θr/θf)が0.86以上1.02以下である自動二輪車用のタイヤ対。
  2. 上記角度θrが25°以上35°以下である請求項1に記載のタイヤ対。
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