JP2006141304A - 加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置 - Google Patents

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【課題】 殺菌槽内で熱水を噴射して殺菌槽内の被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、加熱のむらをなくすことのできる加熱殺菌装置を提供する。
【解決手段】 殺菌槽7内に被殺菌物3を乗せ置いたトレイ4を多数段積み重ねた状態で収容し、殺菌槽内の上部に設けた多数の噴射ノズル9からトレイへ向けて下向きに熱水を噴射して被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、トレイ4の中心部付近へ向けて噴射する熱水量よりも、トレイ前端面11付近及びトレイ後端面12付近に向けて多く熱水を噴射する。
また、トレイ上方からトレイへ向けて熱水を噴射する噴射ノズル9は、トレイ前端面11方向やトレイ後端面12方向に向けて傾斜させて設けることで、熱水噴射方向に傾斜角を持たせる。
【選択図】図1

Description

本発明は加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置に関するものである。
密封包装した食品などの被殺菌物を殺菌槽内に収容しておき、殺菌槽内の被殺菌物に向けて熱水を噴射することで被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置が広く普及している。加熱殺菌装置は、横長な略円筒形の殺菌槽を持ち、殺菌槽内に熱水を噴射するノズルを多数設けておく。殺菌槽内に収容する被殺菌物は、トレイ上に並べておき、被殺菌物を乗せ置いたトレイを多数段積み重ねた状態で殺菌槽内へ収容する。被殺菌物を収容した殺菌槽を密閉後、熱水を被殺菌物に向けて噴射することで被殺菌物を昇温する昇温工程、被殺菌物を所定の殺菌温度に維持して殺菌を行う殺菌工程、冷却水を被殺菌物に向けて噴射することで被殺菌物を冷却する冷却工程を順に行い、被殺菌物を加熱殺菌するようにしている。
この加熱殺菌装置では、一度に多数の被殺菌物を加熱殺菌するため、個々の被殺菌物に対する加熱量に差が生じないようにする必要がある。加熱量に差が生じると、強く加熱される部分では被殺菌物の温度が高くなりすぎて品質の劣化を招いたり、加熱の弱い部分では殺菌が不十分となることがある。また、全体を十分に殺菌するためには殺菌処理に要する時間が長くなるという問題が発生する。
そのため、特許第3146166号では、殺菌槽の閉塞部及び開閉蓋の内周面に向けて熱水を噴射することで、殺菌槽内の温度分布を均一化することを行っている。また、殺菌槽内の上部と側部に殺菌槽直胴部と平行な上部熱水噴射管と側部熱水噴射管を設け、上部熱水噴射管と側部熱水噴射管に多数の噴射ノズルを設けておき、上部と側部から熱水を噴射することで加熱量の差を低減することも考えられた。殺菌槽内の温度分布を均一化したり、多方向から熱水を噴射することで、被殺菌物に対する加熱量の差は小さくすることができる。しかし、このような構成としていても、トレイの前端面付近及び後端面付近に収容している被殺菌物に対する加熱量は、トレイの中央部に収容している被殺菌物よりも少なくなるという問題があった。
特許3146166号公報
本発明が解決しようとする課題は、殺菌槽内で熱水を噴射して殺菌槽内の被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、加熱のむらをなくすことのできる加熱殺菌装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、殺菌槽内に被殺菌物を乗せ置いたトレイを多数段積み重ねた状態で収容し、殺菌槽内の上部に設けた多数の噴射ノズルからトレイへ向けて下向きに熱水を噴射して被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、トレイの中心部付近へ向けて噴射する熱水量よりも、トレイ前端面付近及びトレイ後端面付近に向けて多く熱水を噴射するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記の加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置において、トレイ上方からトレイへ向けて熱水を噴射する噴射ノズルは、トレイ前端面方向やトレイ後端面方向に向けて傾斜させて設けることで、熱水噴射方向に傾斜角を持たせていることを特徴とする。
本発明を実施することで、加熱のむらがなくなり、加熱過多による品質劣化や加熱不足によって殺菌が不十分になることを防止することができる。
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している加熱殺菌装置の殺菌槽部分を長さ方向に切断した側面断面図、図2は図1を上方からみた場合の平面断面図、図3は図1を輪切りにした場合の垂直断面図である。
加熱殺菌装置は横長な略円筒形の殺菌槽7を持ち、殺菌槽7内で熱水を噴射することで、殺菌槽7内に収容した被殺菌物3を加熱殺菌するものである。殺菌槽7は、殺菌槽直胴部の奥側を閉塞し、殺菌槽直胴部の手前側には開閉扉8を設けることで開閉を可能としている。図の殺菌槽7は、トレイを2台車分収容することのできる大きさとしており、被殺菌物3をトレイ4内に並べておき、被殺菌物3を乗せ置いたトレイ4を多数段積み重ねた状態で殺菌槽7内へ収容する。
トレイは底板と前後左右に設けている側壁からなる。底板及び前後左右の側壁には多数の穴を開けており、トレイ4へ向けて熱水を噴射すると、トレイ上側と側壁の穴からトレイ内に熱水が入るようにしている。積み重ねたトレイ4は、殺菌槽7内へ入れる際に前側となる端面(殺菌槽内で奥側となる面)をトレイ前端面11、殺菌槽7内へ入れる際に後ろ側となる端面(殺菌槽内で開閉扉側となる面)をトレイ後端面12と名付けておく。トレイ4を殺菌槽7内に2台車分収容する加熱殺菌装置では、トレイ前端面11とトレイ後端面12が2面ずつできることになる。
殺菌槽7内の上部には上部熱水噴射管5、殺菌槽7内の上部熱水噴射管5より低い位置である殺菌槽7内の左右側部に側部熱水噴射管6を設ける。上部熱水噴射管5及び側部熱水噴射管6は、殺菌槽直胴部と平行になるように設置しており、それぞれ循環配管1と接続している。上部熱水噴射管5には上部噴射ノズル9、側部熱水噴射管6にも側部噴射ノズル10を多数配置している。上部噴射ノズル9は積み重ねたトレイ4の上部からトレイ4の上面に向けて下向きに熱水を噴射し、側部噴射ノズル10は積み重ねたトレイ4の側部からトレイ4の側面に向けて横向きに熱水を噴射するようにしておく。上部熱水噴射管5及び側部熱水噴射管6と接続している循環配管1は、他端側を殺菌槽7の底部と接続し、途中に循環ポンプ2を設けており、殺菌槽内の底部まで落下してきた熱水を循環させるようにしている。
上部噴射ノズル9及び側部噴射ノズル10は、トレイ4の全体に熱水を噴射することができるように、間隔を開けて配置する。上部噴射ノズル9は、熱水噴射方向をトレイ前端面11方向やトレイ後端面12方向に向けて傾斜させて設けており、熱水噴射方向に傾斜を持たせている。上部噴射ノズル9の傾斜は、近い側のトレイ端面方向であって、トレイの端面に近い上部噴射ノズル9ほど傾斜角度を大きくしており、トレイ中央部分に位置する上部噴射ノズルは傾斜を設けずに真下へ噴射するようにしている。また、2車分のトレイの中間に位置する上部噴射ノズル9も、傾斜を設けずに真下へ噴射するようにしている。
加熱殺菌を行う場合、被殺菌物3を殺菌槽7内に収容後、開閉扉8を閉じて殺菌槽7内を密閉し、上部熱水噴射管5と側部熱水噴射管6へ熱水を供給する。上部熱水噴射管5の上部噴射ノズル9と、側部熱水噴射管6の側部噴射ノズル10は、トレイ4に向けて熱水を噴射する。熱水噴射ノズルからの熱水は、トレイ4の上面や側面からトレイ内へ入り、被殺菌物3の表面を流れながら被殺菌物3の加熱を行う。トレイ4は、底板にも多数の穴を開けているため、被殺菌物3を加熱した熱水は、トレイ4の底板に開けている穴を通って下方へ落下する。トレイ4は多数段積み重ねているため、落下した熱水は下段のトレイ4に入り、再び下段の被殺菌物3において再び加熱を行うということを繰り返す。
このとき、殺菌槽内における温度分布を均一としていても、トレイ内のトレイ前端面11やトレイ後端面12近くに配置した被殺菌物3における温度は、トレイ内の中央付近に配置した被殺菌物3の温度より低くなるという現象が発生していた。この現象は、殺菌槽内における温度分布の不均一によるものではないため、殺菌槽内の温度を均一化する手段を講じても解消することはできなかった。
この原因として、トレイ内での熱水の流れ方が不均一になっていると推測することができる。トレイ内に多数の被殺菌物3を乗せ置いた場合、トレイの底板には中央部が被殺菌物3の重さで低くなるたわみが発生する。そのため、各段のトレイ内を流れていく熱水は、トレイ中央部へ集中していくために、トレイ前端面11やトレイ後端面12に近い位置を流れる熱水量が減少し、そのことによってトレイ前端面11やトレイ後端面12の近くに配置している被殺菌物3に対する加熱量が少なくなることが考えられる。
そこで、本発明では、トレイ前端面11に近い側の上部噴射ノズル9ではトレイ前端面11へ向けて傾斜させ、トレイ後端面12に近い側の上部噴射ノズル9ではトレイ後端面12に向けて傾斜させている。熱水をトレイ前端面11やトレイ後端面12方向に傾斜させて噴射すると、熱水はトレイ前端面11とトレイ後端面12の方向に向かうため、トレイ前端面11及びトレイ後端面12に近い位置を流れる熱水量が多くなり、トレイ前端面11やトレイ後端面12の近くに配置している被殺菌物3に対する加熱量が多くなる。このことによって、トレイ内の位置による被殺菌物3への加熱量の差を小さくすることができ、加熱のむらを防止することができるようになる。
本発明の一実施例である加熱殺菌装置の側面断面図 本発明の一実施例である加熱殺菌装置の平面断面図 本発明の一実施例である加熱殺菌装置を輪切りにした断面図
符号の説明
1 循環配管
2 循環ポンプ
3 被殺菌物
4 トレイ
5 上部熱水噴射管
6 側部熱水噴射管
7 殺菌槽
8 開閉扉
9 上部噴射ノズル
10 側部噴射ノズル
11 トレイ前端面
12 トレイ後端面

Claims (2)

  1. 殺菌槽内に被殺菌物を乗せ置いたトレイを多数段積み重ねた状態で収容し、殺菌槽内の上部に設けた多数の噴射ノズルからトレイへ向けて下向きに熱水を噴射して被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、トレイの中心部付近へ向けて噴射する熱水量よりも、トレイ前端面付近及びトレイ後端面付近に向けて多く熱水を噴射するようにしたことを特徴とする加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置。
  2. 請求項1に記載の加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置において、トレイ上方からトレイへ向けて熱水を噴射する噴射ノズルは、トレイ前端面方向やトレイ後端面方向に向けて傾斜させて設けることで、熱水噴射方向に傾斜角を持たせていることを特徴とする加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置。
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