JP4212298B2 - 加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
密封包装した食品などの被殺菌物を殺菌槽内に収容しておき、殺菌槽内で被殺菌物に対して熱水を噴射することで被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置が広く普及している。加熱殺菌装置は、横長な略円筒形の殺菌槽を持ち、殺菌槽内に熱水を噴射するノズルを多数設けておく。殺菌槽内に収容する被殺菌物は、トレーに並べておき、トレーを多数段積み重ねた状態で殺菌槽内へ収容する。殺菌槽内を密閉し、被殺菌物に熱水を噴射することで、熱水によって被殺菌物を表面から加熱し、被殺菌物を加熱殺菌している。
【0003】
殺菌槽内には多数の熱水噴射用ノズルを設けておき、多方面から被殺菌物へ熱水を噴射することで、各被殺菌物に対してできるだけ均等に熱水を噴射するようにしている。被殺菌物は多数段積み重ねたトレー内に乗せ置いているが、積み重ねている各トレーの間にすき間ができるようにしておき、各トレーのすき間に合わせて熱水噴射ノズルを設置することで、各トレーに対して同じ量の熱水を噴射することができる。しかし、各トレーへ向けて噴射する熱水量を等しくしていても、被殺菌物の位置によって加熱量に差が生じていた。加熱量に差が生じると、強く加熱される部分では温度が高くなりすぎて品質の劣化を招いたり、加熱の弱い部分では殺菌が不十分となることがあり、全体を十分に殺菌するためには殺菌処理に要する時間が長くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、殺菌槽内で熱水を噴射して被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、加熱のむらをなくし、加熱過多による品質劣化や加熱不足によって殺菌が不十分になることを防止することのできる加熱殺菌装置を提供することにある。
【0005】
請求項1に記載の発明は、被殺菌物を乗せ置いたトレーを多数段積み重ねた状態で収容する殺菌槽を持ち、殺菌槽内へ熱水を噴射することで、殺菌槽内の被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置であって、殺菌槽内には積み重ねているトレーを取り囲むようにトレーの四隅に高さを異ならせて設置した熱水噴射ノズルを多数段設けておき、熱水噴射ノズルから熱水を噴射することで被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、多数段設けている熱水噴射ノズルのうち、下段の熱水噴射ノズルには噴射量が比較的少ないスプレーノズルを使用し、上段の熱水噴射ノズルには噴射量が比較的多いスプレーノズルを使用していることを特徴とする
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施する加熱殺菌装置の殺菌槽部分における正面断面図、図2は一実施例における殺菌槽部分の一部断面側面図、図3は一実施例における殺菌槽部分の一部断面平面図である。加熱殺菌装置は、一方の面に扉8を設けている横長な略円筒形の殺菌槽7を持ち、殺菌槽7内で熱水を噴射することで、殺菌槽7内に収容した被殺菌物3を加熱殺菌するものである。被殺菌物3はトレー4内に並べておき、被殺菌物3を乗せ置いたトレー4を多数段積み重ねて殺菌槽7の直胴部へ収容する。トレー4は、側面及び底面に多数の穴を開けており、さらに積み重ねた場合には上下のトレー間にすき間ができるようにしている。
【0008】
殺菌槽7内には熱水噴射ノズル1を多数設ける。熱水噴射ノズル1は、積み重ねているトレー4を取り囲むようにトレー4の四隅に設けており、トレー4の段ごとのすき間からトレー内へ熱水を噴射することができるように、トレー4のすき間と同じ高さ位置で各段に4個ずつ設ける。熱水噴射ノズル1はトレー4のすき間からトレー4内の被殺菌物3へ熱水を噴射するものであるため、水平方向に広く熱水を噴射するスリット状のスプレーノズルとしておく。
【0009】
殺菌槽7の底部に殺菌槽7内から熱水を取り出す循環配管5を接続し、循環配管5の他端は熱水噴射ノズル1へ熱水を送る配管に接続しておく。循環配管5の途中には循環ポンプ2と熱交換器6を設けておき、循環ポンプ2を作動することで、殺菌槽7底部から取り出した熱水を熱交換器6によって加熱し、熱水噴射ノズル1から殺菌槽7内へ噴射する構成としておく。熱水噴射ノズル1は、上段に設置するものと下段に設置するものでは熱水噴射量の異なるものを選定しておき、下段は熱水噴射量が比較的少ないスプレーノズル、上段は熱水噴射量が比較的多いスプレーノズルを設置しておく。
【0010】
加熱殺菌を行う場合、被殺菌物3をトレー4に並べ、トレー4を多数段重ねた状態で殺菌槽7内へ収容する。被殺菌物3を殺菌槽7内に収容後に扉8を閉じて殺菌槽7内を密閉し、循環ポンプ2を作動することで熱水を熱水噴射ノズル1へ送る。熱水噴射ノズル1は、トレー4のすき間へ向けて熱水を噴射するように設置しているため、熱水噴射ノズル1に達した熱水は、熱水噴射ノズル1からトレー4のすき間へ向けて噴射される。熱水噴射ノズル1からの熱水は、トレー各段のすき間を通って被殺菌物3の表面に接触し、被殺菌物3の表面を伝わりながら被殺菌物3の加熱を行う。
【0011】
各トレー内に入った熱水は、被殺菌物3を加熱しながら被殺菌物3の下部へと流れ、トレー4の底板に開けている穴を通って下方へ落下する。トレー4は多数段積み重ねているため、落下した熱水は下段のトレー4に入り、該トレー4内の被殺菌物上に落下する。上段のトレー4で被殺菌物3を加熱した熱水は、熱水噴射ノズル1からの噴射直後に比べると温度は低下しているが、それでも高温であるために落下先の被殺菌物3も加熱する。その後も熱水は更に下方へ落下して、下段の被殺菌物3を加熱することを繰り返しながら殺菌槽7底部まで落下していく。
【0012】
熱水噴射ノズル1によってトレーの段ごとに熱水を噴射している場合、各熱水噴射ノズル1から同じ量の熱水を噴射すると、被殺菌物3が熱水噴射ノズル1から直接送られてきた熱水によって加熱する量はトレー4の位置に関係なく同じとなる。しかし、下段のトレーでは、上段のトレーへ噴射した熱水が落下してくることによる熱水の流入によっても被殺菌物3が加熱されるため、被殺菌物3は下段ほど多くの熱水に接し、より強く加熱されることになる。そのため、この場合には、下段の被殺菌物3に比べて上段の被殺菌物3では加熱が少なくなっていた。
【0013】
しかし、熱水噴射ノズル1による熱水噴射量を、下段は少なくし、上段は多くしたことによって、上段の被殺菌物3での加熱量を増やすことができ、被殺菌物の位置の違いによる加熱量の差を小さくすることができる。被殺菌物3を加熱する熱水の温度は、熱水噴射ノズル1から出て最初に被殺菌物3に掛かった時には高く、被殺菌物3を加熱するにつれて温度は低下していく。熱水の温度が高いと、被殺菌物3の加熱量は多くなるため、被殺菌物3が接する熱水量が同じ場合には、熱水噴射ノズル1から直接被殺菌物3に達する直接噴射熱水の割合が高い方が、上段のトレーから落下してきた落下熱水の割合が多い場合よりも被殺菌物3への加熱量は多くなる。下段のトレーへ噴射する熱水量を少なくし、上段のトレーへ噴射する熱水量を多くすると、熱水噴射ノズル1からの直接噴射熱水による加熱量は、上段の被殺菌物3で多くなり、下段の被殺菌物3では少なくなる。上段のトレーから落下してくる落下熱水による加熱量は、上段の被殺菌物3で少なく、下段の被殺菌物3で多いため、下段のトレーへ噴射する熱水量を少なくし、上段のトレーへ噴射する熱水量を多くすることで、上段被殺菌物と下段被殺菌物の加熱量の差を小さくすることができる。
【0014】
なお、本実施例では熱水噴射ノズル1は上段側と下段側に分けた2段階としたが、3段階、4段階と段階数を多くするほど加熱量の差を小さくすることができる。熱水噴射ノズル1の熱水噴射量を1段ごとに調節すれば、高さの異なるトレー4に置いた被殺菌物3の加熱量を完全に均一化することも可能となる。また、熱水噴射ノズル1は上段と下段で同じ物を使用し、上段では熱水噴射ノズル1の設置数を多くすることによっても、上段側に当たる熱水噴射ノズル1の熱水噴射量を多くすることができる。しかし、熱水噴射ノズル1の設置数を多くすると、装置のコスト上昇を招くため、噴射量の異なる熱水噴射ノズル1を設置する方が好ましい。
【0015】
【発明の効果】
本発明を実施することで、加熱のむらがなくなり、加熱過多による品質劣化や加熱不足によって殺菌が不十分になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する加熱殺菌装置の殺菌槽部分における正面断面図
【図2】 一実施例における殺菌槽部分の一部断面側面図
【図3】 一実施例における殺菌槽部分の一部断面平面図
【符号の説明】
1 熱水噴射ノズル
2 循環ポンプ
3 被殺菌物
4 トレー
5 循環配管
6 熱交換器
7 殺菌槽
8 扉
Claims (1)
- 被殺菌物を乗せ置いたトレーを多数段積み重ねた状態で収容する殺菌槽を持ち、殺菌槽内へ熱水を噴射することで、殺菌槽内の被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置であって、殺菌槽内には積み重ねているトレーを取り囲むようにトレーの四隅に高さを異ならせて設置した熱水噴射ノズルを多数段設けておき、熱水噴射ノズルから熱水を噴射することで被殺菌物を加熱殺菌する加熱殺菌装置において、多数段設けている熱水噴射ノズルのうち、下段の熱水噴射ノズルには噴射量が比較的少ないスプレーノズルを使用し、上段の熱水噴射ノズルには噴射量が比較的多いスプレーノズルを使用していることを特徴とする加熱むらを防止することのできる加熱殺菌装置。
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