JP2006137821A - 有機無機ハイブリッド材料、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

有機無機ハイブリッド材料、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学的な透明性を維持したまま、耐熱性、耐光性が高く、環境湿度や熱による寸度安定性の高い光学材料を提供する。
【解決手段】 アルコキシシランを加水分解した無機高分子を含有する可塑剤と、溶融成形可能な有機高分子とを混合し、溶融させた後、成形加工されたことを特徴とする有機無機ハイブリッド材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は溶融成形された有機無機ハイブリッド材料に関し、特に珪素系無機高分子化合物との有機無機ハイブリッド材料による光学フィルムに関するものである。
有機高分子材料は、優れた成形加工性、軽量性、柔軟性、機械的特性や電気的特性を有することから、金属、ガラス、セラミックス、木材、紙などといった既存の材料を次々と置き換えている。その使用範囲は広く、建築資材、自動車、航空機、船舶等の構造部品や内装品、日常雑貨、包装材料など多岐にわたって用いられている。このため、有機高分子材料の種類は多く、さまざまなタイプのものが市販されている。
しかしプラスチックがこれらの市場に広まるにしたがって、より高機能な有機高分子材料が求められるようになっている。具体的には、弾性率や引っ張り強度、表面硬度といった力学的強度の向上、耐熱温度の向上や線膨張率の低減などといった熱的性質の改良、耐酸性や耐アルカリ性といった化学的性質の向上、紫外線または赤外線等の透過率の低減や、屈折率や複屈折値の調整といった光学的性質の調整、あるいは耐候性や抗菌性、寸法安定性などといった耐久性の向上などが求められている。また、生産に必要なエネルギーの低減、生産の効率化、価格の低減といった工業的な要求も求められている。
このような要求を全て満たす有機高分子材料は見つかっておらず、現実的にはそれぞれの性能を有する材料を、それぞれの物性を発揮できるように混合して用いることが一般的である。例えば耐光性を付与するために紫外線吸収剤を添加したり、柔軟性を付与するために可塑剤を添加したりすることもあるし、ポリマーアロイと呼ばれるような、物性の異なる有機高分子同士を混合する方法も知られている。
しかし有機物同士を混合する方法は、光学的性質の調整や、可塑性の付与などといった目的には有効な方法であるが、有機物の耐熱性や力学強度は一般的にそれほど高くないため、熱的性質や力学強度の向上にはあまり有効な手法ではない。
熱的性質や力学強度を変化させるためには、有機高分子中に無機物を添加することが有効である。車のバンパーなどは力学強度を付与するためにガラス繊維を補強剤として編みこんでいるし、プリント配線基板等は、線膨張率を低減するために、例えばエポキシ樹脂中にシリカ等の無機フィラーを添加している。
しかし一般的に有機高分子と無機物は相溶性が低く、かつ無機物同士は凝集しやすいため、有機高分子中に均一に無機物を分散することは困難であり、有機高分子の光学的な性質(透明性など)を保持したまま無機物を混合して力学的性質や熱的性質を改善することは困難であった。
このような課題を解決するために、近年有機無機ハイブリッドと呼ばれる、ゾルゲル法を利用した有機高分子と無機物のコンポジットを得る手法が精力的に検討されている。ゾルゲル法とは、金属アルコキシド等の無機物の前駆体の溶液(ゾル)を加水分解重縮合させることによって、金属酸化物の微粒子やゲルを得る手法である。このゾルゲル法を、有機高分子または有機高分子の前駆体を含む溶液中で行うことによって、有機高分子中に微小な無機物をその場で生成させ、無機物同士の凝集が起こる前に溶媒を除去して固化させるといった手法である。このような方法を用いることで、無機物を可視光を散乱する粒子の大きさ以下(数百nm以下)の粒径に抑えることができるため、透明性を保持したまま、各種の物性が改良できたとの報告が数多くなされている。
しかしこれらのゾルゲル法を利用した有機無機ハイブリッド法は、金属アルコキシドと有機高分子を有機溶媒に溶解させる必要があるため、多量の有機溶媒を必要とし、溶媒の乾燥や回収、分離精製などに多量のエネルギーや工程を必要とし、製造上大きな課題を有していた。また、溶液プロセスではフィルムやロッドなどといった比較的単純な形状の構造物は形成できても、複雑な形状の成形物を作製することは非常に困難であった。したがって、有機無機ハイブリッド法を、溶媒を用いずに溶融成形できるような手法の開発が求められている。
例えば、特許文献1では、単に熱可塑性高分子と金属アルコキシドを溶融混練することで、溶融時の熱によって金属アルコキシドが重合して有機無機ハイブリッド溶融成形物が得られたとの開示がある。しかし通常金属アルコキシドから生成する金属酸化物はおよそ10〜30%程度、最大でも50%程度であり、反応時に残りの50〜90%はアルコールや水として分解生成物が発生するため、これらを除去する必要があるが、この公報においてはこのような分解生成物については何ら考慮されておらず、これらの分解生成物の気化によって気泡が発生すると考えられ、光学的な用途への適用は難しい。このような理由からか、そのようにして得た有機無機ハイブリッド溶融物を光学的な用途に適用するような記載はない。また水分の添加なしに無機高分子のネットワークがどの程度形成されるかは未知数である。
また、特許文献2においては、一度アルコキシシランとポリオレフィンを溶融混練してペレットとした後、このペレットで溶融押出しする際に水分を圧注して金属アルコキシドを加水分解させ、有機無機ハイブリッドフィルムを得ているが、セルロースエステル等の加水分解性のある高分子は高分子の方も分解されてしまうと予想され、ポリオレフィン以外の高分子には適用が難しいと考えられる。またポリオレフィンは通常不透明であり、光学的な用途への適用は行われていない。
また、特許文献3においては、フェノール樹脂のプレポリマー(ノボラック型フェノール樹脂)を溶融状態とし、この溶融プレポリマーの中でゾルゲル反応を行った後に硬化剤(ヘキサメチレンテトラミン)を投入し、加熱成形を行うことで有機無機ハイブリッド溶融成形物を得ているが、セルロースエステルなど溶融可能なプレポリマーのない高分子には用いることができないため、フェノール樹脂の特性を生かした方法であるがフェノール樹脂以外への適用は難しい。またフェノール樹脂は一般に不透明で着色しており、光学的な用途への応用は行われていない。
また、特許文献4では、金属アルコキシル基を含有する有機ポリマーと混練することで有機無機ハイブリッド溶融成形物を得たとしているが、金属アルコキシル基を有する有機ポリマー中の無機成分の含有量は非常に少ないし、混合される成分は実質的に有機骨格を有する高分子であるため、有機無機ハイブリッドによる力学的な物性の向上を期待することはできない。また、混合する成分として、母材となる高分子と相溶性のある高分子である必要があるが、通常高分子同士は相溶しにくく、高い透明性の混合物を得ることが難しいため、光学フィルム用のものを得ることは難しい。同公報内においても光学的な用途への適用については記載がされていない。
したがって、これまで光学的な材料として用いることができる有機無機ハイブリッド材料を、実質的に溶融成形によって形成する試みは行われていないといえる。なお本発明において光学的な用途とは、材料内部を赤外光や可視光、紫外光などの光線が透過する必要のある用途を表し、例えばピックアップレンズ、フレネルレンズやレンチキュラーレンズ、光導波路、偏光子、偏光子保護フィルム、ディスプレイ用基板フィルム、写真用ネガフィルムの支持体、などである。
これらの中でも近年液晶ディスプレイに用いられている偏光子保護フィルムの需要が大幅に伸びている。これは主として液晶テレビ用の用途が急拡大しているためであり、かつ液晶テレビの画面サイズが従来以上に大きくなってきているためである。当初はノート型パソコン用ディスプレイなどの用途で12インチ程度の大きさであったものが、近年では30インチといった、より大きなサイズの液晶ディスプレイが生産されるようになってきているためである。
液晶ディスプレイの大型化に伴い偏光子も大型化する必要があるが、偏光子の大型化によって、温度や湿度などといった環境変動により影響を受けやすくなり、偏光子の端部などが劣化してディスプレイの黒表示が明るくなり、コントラストが低下するといった問題が起きやすくなることが新たな課題となっている。車中の用途のような、温度変化が激しい用途も同様である。
このような偏光子の劣化は、偏光子保護フィルムの収縮や寸法変化が原因であるといわれており、このような課題に対しては有機無機ハイブリッドといった手法が有効であることが、特許文献5で開示されている。
しかし偏光子保護フィルムの生産量の大半を占めるセルロースエステルフィルムは、これまで塩化メチレンのような環境負荷の高い溶剤を用いた溶液プロセスによって製膜されており、溶融プロセスでの製膜が望まれている。
したがって本発明の目的は、成形加工時に実質的に溶剤を用いずに成形した有機無機ハイブリッド材料を提供することであり、そのような材料を用いて大画面サイズのテレビ等に用いた際にも良好な寸法安定性を有する光学フィルムを得、さらに耐久性の高い偏光板、液晶ディスプレイを得ることである。また、有機無機ハイブリッド材料を成形する際の溶剤使用量を大幅に低減し、かつ簡便な製造方法を提供することである。
特開2002−371186号公報 特開平10−296930号公報 特開平11−92623号公報 国際公開第02/088255号パンフレット 特開2004−137460号公報
本発明の目的は、光学的な透明性を維持したまま、耐熱性、耐光性が高く、環境湿度や熱による寸度安定性の高い光学材料を提供することにある。さらに、これらの光学材料をフィルムに成形することにより、耐久性の高い偏光板保護フィルムを提供することにある。
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
(請求項1)
アルコキシシランを加水分解した無機高分子を含有する可塑剤と、溶融成形可能な有機高分子とを混合し、溶融させた後、成形加工されたことを特徴とする有機無機ハイブリッド材料。
(請求項2)
下記一般式(1)で表されるアルコキシシランを加水分解するゾルゲル反応によって下記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
無機高分子と可塑剤を含有する混合物を有機高分子に添加する工程、
有機高分子、無機高分子、可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
によって製造されたことを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料。
一般式(1) R4-nSi(OR′)n
一般式(2) R4-nSiOn/2
(式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。)
(請求項3)
前記無機高分子を0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項4)
前記可塑剤を1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項5)
前記有機高分子が、アクリル、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、セルロースエステルの中から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項6)
前記可塑剤の1%熱質量減少温度(Td1.0)が、250℃以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項7)
前記可塑剤の融点が50℃以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項8)
1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸掃去剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項9)
1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸化防止剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項10)
紫外線吸収剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項11)
前記可塑剤が、多価アルコール−カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項12)
前記酸掃去剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項13)
前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項14)
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物であることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項15)
前記有機高分子が、セルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
(請求項16)
請求項1〜15の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料からなり、膜厚が20〜200μmであることを特徴とするフィルム。
(請求項17)
請求項16に記載のフィルムを偏光子保護フィルムとして用いて作製されたことを特徴とする偏光板。
(請求項18)
液晶表示セルの両面に請求項17に記載の偏光板が配置されたことを特徴とする液晶表示装置。
(請求項19)
マルチドメイン型の垂直配向モードであることを特徴とする請求項18に記載の液晶表示装置。
(請求項20)
前記一般式(1)で表されるアルコキシシランを加水分解するゾルゲル反応によって前記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
無機高分子と可塑剤を含有する混合物を有機高分子に添加する工程、
有機高分子、無機高分子、可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
によって製造することを特徴とする有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
アクリル、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、セルロースエステルなどといった、光学用途に用いられる熱可塑性高分子と、珪素系無機高分子との有機無機ハイブリッド材料を、光学的な透明性を維持したまま溶融成形し、力学強度の向上した材料を得ることができた。また、そのような有機無機ハイブリッド材料を製造するに当たり、溶剤の使用量を大幅に低減し、必要最小限度の溶媒使用量で簡便に溶融成形物を形成する手段を提供することができた。
また、光学用途の一例として、大画面サイズのテレビ等に用いた際にも良好な光学特性、力学強度、寸法安定性を有する光学フィルム、それを用いた偏光板を提供することができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
近年、有機材料と無機材料を組み合わせて相乗効果を引き出した、有機無機ハイブリッド材料が注目を集めている。しかしその手法が主に金属アルコキシドを溶液中で加水分解して無機高分子(無機酸化物)を得ると言う、いわゆるゾルゲル法に基づいているため、有機無機ハイブリッド材料の形成は溶液プロセスを主体としており、生産の負荷が高く、成形性に制限があるといった課題を有していた。
本発明においては、無機高分子または無機酸化物の合成時には必要最小限度の溶媒(便宜上第1溶媒と呼ぶ)を用いて通常通りのゾルゲル反応を行い、可塑剤を添加した後、加熱または減圧により第1溶媒を留去し、液状の可塑剤中に無機高分子または無機酸化物の微粒子が分散または溶解した状態を形成し、この無機高分子を含有する可塑剤を、溶融した有機高分子に添加することによって、有機無機ハイブリッド材料の溶融成形物を得ることを特徴としている。いわば有機高分子に添加される可塑剤を、いわば第2の溶媒(高沸点溶媒)として用いることで、簡便かつ一般的な高分子に広く適用可能である有機無機ハイブリッド成形物を得ることに成功した。
したがって、本発明においては熱可塑性で溶融成形可能な高分子であれば制限なく用いることができるし、ゾルゲル反応によって形成可能な無機高分子であれば制限なく用いることができる。
(無機高分子)
本発明において無機高分子とは、高分子主鎖が無機物のみからなる高分子のことを表す。例えば高分子の主鎖がM−M−M−、M−O−M−O−、(Mは金属原子を表し、Oは酸素原子を表す)などといった結合によって形成されている高分子である。
本発明においては、ゾルゲル反応によって形成可能な無機高分子であれば制限なく用いることができるが、実用上珪素以外の無機高分子または無機酸化物は、有機高分子の分解を促進するような効果を有していたり、また金属アルコキシドからの重合反応の速度が速く粗大粒子を形成しやすい点などから、本発明の有機無機ハイブリッド成形物に混合される無機物としては、下記一般式(2)で表される珪素からなる無機高分子または無機酸化物が好ましい。なお下記一般式(2)で表される無機高分子は下記一般式(1)で表されるようなアルコキシシランから形成される。
一般式(1) R4-nSi(OR′)n
一般式(2) R4-nSiOn/2
式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。必要に応じて、Rには相溶性を高めるために親水性基や疎水性基、あるいは反応性基によって置換されていてもよい。nは3または4の整数を表し、n=3の無機高分子とn=4の無機高分子の共重合体であっても構わない。またn=3のアルコキシシランでは、n=4のアルコキシシランよりも縮合可能な置換基が1つ少ないため、無機高分子の凝集が起こりにくく、無機高分子の凝集性を低減するためにn=3、あるいはn=2,1の化合物を添加してもよい。ただし有機無機ハイブリッドによる有機高分子の改質効果は、珪素を置換しているアルコキシ基の数が大きいものほど高い傾向があるため、n=1、2のアルコキシシランの添加はなるべく少ない方が好ましい。
なお、一般にn=4のアルコキシシランを重合して得られた無機高分子をシリカまたは酸化珪素、n=3のアルコキシシランを重合して得られた無機高分子をシルセスキオキサン、n=2のアルコキシシランを重合して得られた無機高分子をポリシロキサンと称する。ただしn=2〜4の何れのアルコキシシランから得られた無機高分子でも、主鎖がSi−O結合から成っているため、広義の意味でポリシロキサンと称することがある。なおn=1のアルコキシシランのみからでは2量体しか得ることができず、高分子量体を得ることはできない。
アルコキシシランのアルコキシ置換基であるOR′は、ゾルゲル反応によって脱離し、溶融した有機高分子と混合されるまでになるべく除去されていることが好ましいため、なるべく分子量の小さいアルコキシ置換基であることが好ましい。したがって、R′としてはC1〜C4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
一般式(1)で表され、n=4であるアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シランなどが挙げられる。また、これらの化合物が部分的に縮合した、多摩化学製シリケート40、シリケート45、シリケート48、Mシリケート51のような数量体の珪素化合物でもよい。
またn=3であるアルコキシシランの具体例としては例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、アセトキシトリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なおn=2であるアルコキシシランとしては、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、n=1であるアルコキシシランとしては、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。上述のように、これらn=1、2のアルコキシシランは、n=3、4であるアルコキシシランの重合時に少量添加することで、重合した無機高分子の凝集性の制御などに用いることができる。
これらのアルコキシシランは、溶媒中あるいは無溶媒下で水分と反応させることによって加水分解重縮合反応が進行し、無機高分子が生成する。
アルコキシシランの加水分解に用いる水分は、化学量論的にはアルコキシシランに対してn/2等量の水分が必要であるが、アルコキシシランの反応性や重合度を調整するために水分の添加量はn/4〜n等量であっても構わない。ただし余剰の水分は、溶融時の高温で有機高分子を分解することがあるため、必要最低限の量であることが好ましい。
なお通常アルコキシシランは疎水性であり水と混和しにくいため、アルコキシシランが水と混和しやすいようにメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒に溶解させることで、アルコキシシランと水を均一に混合することができ、加水分解反応を迅速かつ均一に進めることができる。
本発明においては、ゾルゲル反応時に用いる第1溶媒は、ゾルゲル反応が平衡に達し、可塑剤の添加を受けた後に留去する必要があるため、必要最小限の量であることが好ましい。ただしゾルゲル反応時の第1溶媒の量によって無機高分子の重合度、凝集性が変化することがあるため、アルコキシシランの質量に対して0.5〜100倍の質量の溶媒を用いてゾルゲル反応を行うことが好ましい。より好ましくは0.7〜20倍、さらに好ましくは1〜5倍の質量の溶媒を用いることである。また、第1溶媒は留去しやすい溶媒であることが好ましく、沸点が100℃以下の溶媒が好ましい。より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。なお本発明において低沸点揮発物とは、有機無機ハイブリッド材料を溶融成形する際の溶融温度以下の沸点を有する化合物を表す。
また、加水分解重縮合反応(ゾルゲル反応)は、各種の触媒を添加することにより、より迅速に反応を進行させることができる。
ゾルゲル反応は、触媒を添加することによって加速することができる。その結果、得られる有機無機ハイブリッド成形物の改質効果をより高めることができる。
そのような触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、12タングスト(VI)リン酸、12モリブド(VI)リン酸、けいタングステン酸等の無機酸、酢酸、トリフロロ酢酸、レブリン酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等が用いられる。また、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族アミン、アニリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾールなどの芳香族系アミン、DBU(ジアザビシクロウンデセン−1)、DBN(ジアザビシクロノネン)などのビシクロ環系アミン、アンモニア、ホスフィン、アルカリ金属アルコキシド、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の塩基を用いることができる。又、ルイス酸、例えばゲルマニウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、錫などの金属の酢酸塩、その他の有機酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩などを併用してもよい。
このような、酸またはアルカリ触媒の添加量としては特に制限はされないが、好ましくは重縮合可能なアルコキシシランの量に対して0.01質量%〜20質量%が好ましい。
なお触媒の中でも、酸性触媒を用いると、有機無機ハイブリッド成形物の透明性や強度の高いものが得られやすいため、酸性触媒を用いることが好ましい。
しかしこれらの触媒は、有機高分子が溶融するような高温では有機高分子の分解も触媒することがあるため、除去の容易な触媒を使用することが好ましい。なお酸性触媒の除去法としては、イオン交換樹脂のような濾別可能な固体触媒を用いたり、ゾルゲル反応終了後に中和してもよいし揮発性の触媒は減圧で除去してもよいし、分液水洗等により除去してもよい。また、後述するような酸掃去剤を添加して、酸を不活性化させてもよい。
なお第1溶媒を用いずに、最初から液体状態の可塑剤中でアルコキシシランの加水分解を行ってもよいが、それでもアルコキシシランからは加水分解重合時にアルコールや水が発生するため、これらを留去する必要がある。また可塑剤が水分や加水分解の触媒に対して安定であることが必要であるため、可塑剤の添加はゾルゲル反応が平衡に達し、できれば加水分解反応の触媒が不活性化された後に添加されることが好ましい。
ゾルゲル反応によって得られる無機高分子の添加量は、有機無機ハイブリッド成形材料全体に対して0.1質量%〜20質量%の範囲が好ましい。0.1質量%以下の添加量では無機高分子の添加による有機高分子の改質効果が得られにくい。また20質量%以上では無機高分子の凝集が起こりやすく、有機無機ハイブリッド成形物の透明性、強度が低下しやすいためである。より好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは2〜7質量%である。
(有機高分子)
次に有機高分子について説明する。
本発明においては、前述の通り、熱可塑性で溶融可能な有機高分子であれば制限なく用いることができる。なお本発明において有機高分子とは、高分子主鎖が有機結合のみによって形成されている高分子を表す。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロースジアセテート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン等のポリビニル化合物、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、ポリカーボネイト、ノルボルネン樹脂(シクロオレフィン樹脂)、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン等が挙げられる。
これらの中でも、本発明によって得られる高い透明性を生かせる用途に用いられる樹脂を用いることが好ましく、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト、ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セルロースエステル類が好ましい。
これらの樹脂は、それぞれその高い透明性を生かして、ピックアップレンズ、光導波路、コンパクトディスクの支持体、ディスプレイ用樹脂基板、液晶ディスプレイ用偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどに用いられている。本発明の有機無機ハイブリッド成形物を用いれば、これらの用途において光学的な性質を維持したまま耐熱性の向上、力学的な補強を行うことができ、より安定で耐久性の高い材料として用いることができる。
なお有機高分子としてセルロースエステルを用いる場合、従来偏光子保護フィルムの原料として用いられているトリアセチルセルロース(TAC)は、溶融温度よりも分解温度が低い高分子であるため、用いることができない。本発明に用いる上で好ましいセルロースエステルは、置換度が2.4〜2.8であるセルロースエステルであり、より好ましくは2.5〜2.7であるセルロースエステルである。この範囲のセルロースエステルが、最も融点が低いセルロースエステルであり、溶融可能なセルロースエステルである。なおTACの置換度はおよそ2.9である。
また、セルロースの置換基としては酢酸よりも長い酸で置換することによって、より溶融温度を低下することができるが、他方で得られるフィルムの力学的な強度が低下するため、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ピバリン酸といった、C3〜C5程度までの有機酸で置換されたセルロースエステルが好ましい。中でも好ましくはプロピオン酸、イソ酪酸、ピバリン酸であり、最も好ましくはプロピオン酸である。
さらに、溶融温度と得られるフィルムの力学強度とのバランスを取るために、C3〜C5の酸と酢酸との混合酸エステルであるセルロースが好ましい。このような混合酸セルロースエステルの置換度としては、下記式(3)、(4)をともに満たす混合酸セルロースエステルであることが好ましい。
式(3) 2.4≦X+Y≦2.8
式(4) 0.3≦Y≦2.0
式中、Xは酢酸による置換度、YはC3〜C5の有機酸による置換度を表す。
このような条件を満たすセルロースエステルが、溶融加工適性を有し、得られるフィルムの力学強度が良好な溶融成形フィルムを得ることができる。
また、これらにセルロースエステルの重量平均分子量は20万以上であることが好ましく、より好ましくは25万以上であり、さらに好ましくは30万以上である。特に上限はないが、通常100万以下の範囲である。なお50万以上であると溶融時の粘度が高くなり過ぎ、得られる光学フィルムの平面性が悪化することがある。また溶融流延法により形成された光学フィルムを構成するセルロースエステルは熱溶融による分解をできるだけ低く押さえることが好ましく、その溶融プロセス後の重量平均分子量としては15万以上であることが好ましい。
上記のセルロースエステルは公知の方法で合成することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
(可塑剤)
次に可塑剤について説明する。
本発明の溶融流延による有機無機ハイブリッドフィルムに形成においては、フィルム形成材料中に少なくとも1種の可塑剤を添加することが必要である。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、フィルム形成材料の溶融温度を低下させる添加剤、または同じ温度においてフィルム形成材料の粘度を低下させる添加剤としても効果を有することがある。さらに本発明においては、ゾルゲル反応により合成した無機高分子の凝集を防ぎ、得られる有機無機ハイブリッド材料のヘイズを低減するような高沸点溶剤である役割も有している必要がある。本発明ではこのような効果を有する材料であれば制限なく可塑剤として用いることができる。なお溶媒と言う言葉を用いているが、可塑剤は室温で固体であってもよい。またゾルゲル反応で得られる無機高分子の凝集性が高い場合には、ゾルゲル反応から有機高分子への添加までの間に可塑剤は液体状態のままである方が好ましいが、無機高分子の凝集性が低い場合には一度冷却・固化して保管し、必要に応じて溶融製膜時に使用してもよい。
このような高沸点溶剤としての特性を有し、さらに溶融成形時に揮発して故障の原因となったりすることのないように、本発明に用いる可塑剤としては、空気下における1%質量減少温度(Td1.0)が150℃以上、さらに200℃以上、特に250℃以上である可塑剤が好ましい。空気下における1%質量減少温度(Td1.0)は、市販の示差熱重量分析(TG/DTA)装置で測定することができる。なおTd1.0の値は測定時の昇温速度によって変化することがあるが、本発明では一般的に用いられるような、昇温速度を10℃毎分で測定した値を適用する。
また、ゾルゲル反応溶液に可塑剤を添加した後、ゾルゲル反応に使用した第1溶媒を留去する必要があるが、その際にはなるべく低温で留去することが好ましい。第1溶媒の留去を高温で行うと、無機高分子の重合が進行してゲル化してしまうことがあるためである。第1溶媒を留去する際には可塑剤が液体である方が無機高分子の安定化効果(ゲル化抑制効果)を発揮しやすいため、可塑剤の融点は低温である方が好ましい。好ましくは100℃以下の融点を有する可塑剤であり、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温(25℃)以下の融点を有する可塑剤である。また融点が低い可塑剤ほど、有機高分子の溶融時の溶融温度低下効果・粘度低減効果についてもより大きい効果が得られやすい。また、ゾルゲル反応時に酸やアルカリ、金属錯体などを触媒として使用することがあるため、これらに対して化学的に安定である可塑剤が好ましい。
また、可塑剤を添加することによって有機高分子に対して機械的性質向上、引き裂き強度向上、耐吸水性付与、水分透過率の低減等の効果が見られることもある。上記の条件を満たす範囲で、このような効果を有する材料を可塑剤として用いることがより好ましい。さらに光学的な用途に用いる際には、無色であることが好ましい。
上記のような条件を満たし、本発明に用いられる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤(エチレングリコールエステル系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、ジグリセリンエステル系可塑剤など)、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
なお、これらの可塑剤は長期間水分の存在する環境に置かれると徐々に加水分解し、発生した酸が溶融成形物を劣化させることがある。そのような劣化効果は、発生する酸が強酸であるほど強いため、より好ましくは弱酸からなる可塑剤であり、即ち多価アルコールエステル系可塑剤が最も好ましい。
添加量は光学物性・機械物性に悪影響がなければよく、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができる。また本発明においては可塑剤は溶融プロセスに至るまで無機高分子の凝集を防ぐ第2溶媒といった形でも利用するため、添加される無機高分子の添加量と同等以上の添加量であることが好ましい。より好ましくは3倍以上であり、より好ましくは5倍以上である。上限についてはとくに制限はないが、一般に高分子中に安定に含有することのできる可塑剤量は20質量%程度が上限である。したがって、可塑剤の添加量としては、0.1質量%〜20質量%以下が好ましい。より好ましくは1質量%から15質量%、さらに好ましくは5質量%から12質量%の範囲である。
以下、本発明に用いられる可塑剤について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
多価アルコールエステル系の可塑剤:本発明においては、1分子中に複数の水酸基を有する化合物と、1価の有機酸が複数縮合した化合物を、多価アルコールエステル系可塑剤と称する。
好ましい多価アルコールの例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、セロビオース、イノシトール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,0]デカン等を挙げることができる。特に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエチレングリコール系多価アルコール、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン系多価アルコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好ましい。
また、上記の多価アルコール化合物の水酸基を置換する有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、アニス酸、アセチルサリチル酸、ナフトエ酸、フタル酸モノエステル、イソフタル酸モノエステル、テレフタル酸モノエステル等が挙げられる。これらの置換基は、溶融する有機高分子との相溶性も鑑みて選択されればよい。なお溶融する有機高分子がセルロースエステルであり、偏光子保護フィルム用として用いる際には、得られるフィルムの透湿度を低減する効果が高い芳香族カルボン酸によって多価アルコールエステルを形成していることが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられる不飽和カルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
このような多価アルコールエステル系可塑剤の具体例のうち、例えば、エチレングリコール系の可塑剤としては、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート、エチレングリコールビス(ブチリルフタレート)、エチレングリコールビス(ベンジルフタレート)ポリエチレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。
またグリセリンエステル系の可塑剤の具体例としては、トリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等が挙げられる。
上記以外の多価アルコールエステル系可塑剤の具体例としては、特開2003−12823公報の段落30〜33記載の可塑剤が挙げられる。
なお上記に挙げた可塑剤は、多価アルコール部または有機酸部はともに、さらにアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、カルボキシル基等でさらに置換されていてもよく、またこれら置換基同士がさらに共有結合で結合していてもよい。あるいはこれらの構造がポリマーの一部であったり、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価カルボン酸エステル系の可塑剤:本発明においては、1分子中に複数のカルボン酸基を有する化合物と、複数の1価のアルコールまたはフェノールとが縮合した化合物を、多価カルボン酸エステル系可塑剤と称する。
二価のカルボン酸からなるジカルボン酸エステル系の可塑剤の具体例としては、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。
3価以上のカルボン酸からなる可塑剤の具体例としては、トリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。
上記の可塑剤におけるアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一であっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてもよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、旭電化製アデカスタブPFR等のフェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、)、旭電化製アデカスタブFP500等のフェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、旭電化製アデカスタブFP600等のビスフェノールAジフェニルホスフェート、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
さらにリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
ポリマー可塑剤:ポリマー可塑剤は一般的に固体の物が多いが、重合度の低い化合物であれば液状のものもあり、前述の通りに融点の低いものが好ましい。他の低融点の可塑剤と併用して用いる場合には固体の可塑剤を用いてもよいが、なるべく低融点のものが好ましい。
具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は、500〜50,000程度が好ましく、特に好ましくは、500〜5,000である。500以下では揮発性に問題が生じ、50,000を超えると実質的にゾルゲル反応後の高沸点溶剤として使用可能な低融点のものはない。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよく、他の可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤、滑り剤及びマット剤等を含有させてもよい。
(安定化剤)
安定化剤とは、高分子が熱や酸素、水分、酸などによって分解されることを化学的な作用によって抑制する材料のことである。本発明の有機無機ハイブリッド成形物は、200〜400℃といった高温下で成形されるため、有機高分子の分解・劣化が起きやすい系であり、安定化剤をフィルム形成材料中に含有させることによって有機高分子の劣化を防ぐことができ、より透明性や力学強度が高い成形物を得ることができるようになるため、添加されることが好ましい。
安定化剤としては、例えば、酸化防止剤、酸掃去剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載がある。これらの中から選ばれる少なくとも1種を、フィルム形成材料中に含むことが好ましい。
フィルム形成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために安定化剤を用いる。
本発明に用いられる有機無機ハイブリッド成形材料中の安定化剤は、少なくとも1種以上選択でき、添加する量は、成形材料全体の質量に対して、安定化剤の添加量は0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上1.5質量%以下である。
安定化剤の添加量が上記添加量の範囲よりも少ないと、熱溶融時の材料の安定化作用が低いために安定化剤の効果が得られず、また上記添加量の範囲よりも多いと樹脂への相溶性の観点から溶融成形物の透明性の低下を引き起こし、また経時で表面に析出したりすることもあるために好ましくない。
また、これらの安定化剤は熱的には高温において安定であることが好ましく、1%質量減少温度(Td1.0)が150℃以上、さらに200℃以上、特に250℃以上が好ましい。1%質量減少温度(Td1.0)はセイコーインスツルメンツ製示差熱熱重量同時測定装置、EXSTAR6000TG/DTAによって昇温速度10℃毎分、乾燥空気(露点−30℃)下で測定し、1%熱質量減少温度(Td1.0)を指標とした。
フィルム形成材料を加熱溶融するとき、上述の安定化剤が存在することは、材料の劣化や分解に基づく強度や光学的透明性の劣化を抑制すること、または材料固有の強度を維持できる観点で優れている。
溶融成形材料が加熱により著しく劣化すると、着色が発生して光学材料としては用いることができなくなってしまうことがある。また本発明の溶融成形物を光学補償フィルムとして用いる際には、リターデーション付与工程(延伸工程)が流延工程の次に実施されることがあるが、フィルム構成材料が加熱により著しく劣化すると、形成されたフィルムが脆くなり、該延伸工程において破断が生じやすくなったり、目的の光学補償フィルムのリターデーション値が発現できなくなることがある。
そこで、上述の安定化剤の存在は、加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、または溶融成形物を構成する材料が分解して生じた揮発成分等によって生じる透過率やヘイズ値の低下といった光学用材料として好ましくない劣化を抑制または消滅できる点でも優れている。
本発明の有機無機ハイブリッド成形物としては、ヘイズ値が1.0%を超えると光学用材料として影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1.0%未満、より好ましくは0.5%未満である。また着色も光学用材料としては少ない方が好ましく、好ましくは黄色度(イエローインデックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以下である。ヘイズ値はJIS−K7136、黄色度はJIS−K7103に基づいて測定することができる。
また、本発明の有機無機ハイブリッド成形物の経時保存性を向上させる観点からも、フィルム構成材料中における上述の安定化剤の存在が重要な役割を担う。
本発明の有機無機ハイブリッド成形物からなる偏光板を用いた液晶表示装置においては、本発明の光学フィルムに上述の安定化剤が存在すると、上記の変質や劣化を抑制する観点から光学フィルムの経時保存性が向上できるとともに、液晶表示装置の表示品質向上においても光学的な補償設計が長期にわたって機能発現できる点で優れている。
(酸化防止剤)
一般的に有機高分子は、高温下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては安定化剤として酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(1)の化合物が挙げられる。
Figure 2006137821
上式中、R1、R2及びR3は、さらに置換されているかまたは置換されていないアルキル置換基を表す。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル=β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル=α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル=α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル=α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコール=ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル=3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル=7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコール=ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコール=ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコール=ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコール=ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル=7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル=7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
その他の酸化防止剤としては、具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等の耐熱加工安定剤、特公平08−27508記載の3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン系化合物、3,3′−スピロジクロマン系化合物、1,1−スピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、ピペラジン骨格を部分構造に有する化合物、特開平3−174150号記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素スカベンジャー等が挙げられる。これら酸化防止剤の部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよい。
(酸掃去剤)
本発明においては、アルコキシシランの加水分解時に酸、アルカリ、金属錯体などの触媒を使用することがあるため、高温で溶融した有機高分子中にこれらの触媒が混入することがある。その結果、これらの触媒が有機高分子の劣化を促進したりすることがあるため、これらの影響を除去するような安定化剤を添加されてもよい。
中でも酸触媒は、アルコキシシランの加水分解に最もよ使用され、かつ有機高分子の分解への影響も大きいため、酸触媒を使用した際には、酸触媒を捕捉するような安定化剤である、酸掃去剤を添加することが好ましい。
本発明において有用な酸掃去剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油など)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815C、及び下記一般式(2)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
Figure 2006137821
上式中、nは0〜12を表す。
さらに上記以外に用いることが可能な酸掃去剤としては、オキセタン化合物やオキサゾリン化合物、あるいはアルカリ土類金属の有機酸塩やアセチルアセトナート錯体、特開平5−194788号公報の段落68〜105に記載されているものが含まれる。
なお酸掃去剤は酸捕捉剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
(ヒンダードアミン光安定剤)
本発明において、有機高分子の熱溶融時の安定化剤、また製造後に光学用素子として晒される、各種の機器からの入射光や環境光に対する安定化剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含等まれる。このような化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006137821
上式中、R1及びR2は、Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(maleinate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ジブチル−アジパミド、N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル。好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下のHALS−1及びHALS−2が含まれる。
Figure 2006137821
(紫外線吸収剤)
また、本発明の有機無機ハイブリッド成形物が、製造後に太陽光や冷陰極菅、紫外線を放射するようなLED等の、紫外線を浴びる環境に設置されるような光学素子として用いる場合には、光学用途として必要な条件を満たした上で、安定化剤として紫外線吸収剤を含有していてもよい。
紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収することによって溶融成形物の構成材料が分解することを防ぐ効果のある材料であり、そのような効果を有する化合物であれば、本発明においては制限なく用いることができる。
紫外線吸収剤によって遮蔽したい紫外線の波長域は、溶融成形物の用途によって異なるが、眼鏡レンズや偏光子保護フィルムなどのような、可視光のみ利用するような用途の光学材料の場合には、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、特に好ましくはベンゾトリアゾール系化合物である。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)234、チヌビン(TINUVIN)360(何れもチバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)を用いることもできる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は0.1〜20質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜10質量%添加することが好ましく、さらに1〜5質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
本発明の有機無機ハイブリッド成形物には、安定化剤、可塑剤の他、種々の添加剤を含有することができる。
例えば、マット剤、フィラー、染料、顔料、蛍光体、二色性色素、リターデーション制御剤、屈折率調整剤、ガス透過抑制剤、抗菌剤、生分解性付与剤、ゲル化防止剤、粘度調整剤、架橋剤、1官能または多官能アクリレート化合物、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いることもできる。
これらの添加剤を有機無機ハイブリッド成形物に含有させる方法としては、各々の材料を固体あるいは液体のまま混合し、加熱溶融し混練して均一な溶融物とした後、成形物を形成する方法であっても、予め有機高分子を溶媒等を用いて、溶解して均一溶液とした後、溶媒を除去して添加剤と有機高分子との混合物を形成し、これを加熱溶融し、溶融成形物を形成してもよい。
(成形)
本発明に係る有機無機ハイブリッド材料を各種の形状に成形する溶融成形方法としては、格別な制限はなく、例えば、プレス成形法、押出し成形法、射出成形法、溶融押出し法、インフレーション法、ブロー成形法、延伸成形法などから用途によって適宜選択することができる。これらの中でも、球状、半球状、棒状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状等の立体的な形状の成形物を得る上では、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。またフィルム状、シート状、板状等の平面的な形状の成形物を得る上では溶融押出し法が好ましい。
溶融押出し法としては、例えば、米国特許第2,492,978号、同第2,739,070号、同第2,739,069号、同第2,492,977号、同第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,607,704号、英国特許第64,071号、同第735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号に記載の方法を参照して製膜できる。
溶融押出しは、1軸押出し機、二軸押出し機、さらに二軸押出し機の下流に1軸押出し機を連結して用いてもよいが、得られるフィルムの機械特性、光学特性の点から、二軸押出し機を用いることが好ましい。さらに、原料タンク、原料の投入部、押出し機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、あるいは減圧することが好ましい。
本発明の前記溶融押出し時の温度は、有機高分子が溶融する温度によって決定されるが、およそ200〜400℃の範囲である。この範囲内で、流動性が良好で有機高分子の劣化が小さい温度域を適宜選択することができる。
上述の溶融成形材料の保存あるいは製膜工程において、空気中の酸素あるいは水分による劣化反応が併発することがある。この場合、上記安定化剤の安定化作用とともに、空気中の湿度・酸素濃度を低減させることも本発明を具現化する上で好ましく併用できる。これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者のうち少なくとも1つの方法を上記安定剤を存在させる方法と併用することができる。フィルム構成材料が空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制でき、本発明の目的のためには好ましい。
また本発明の溶融成形材料は、材料それぞれを固体あるいは液体のまま、溶融成形直前に混合してもよいし、溶融している有機高分子中にフィーダー等によって直接添加してもよい。あるいは全てまたは有機高分子を含む一部の材料を、溶融成形によって事前にペレット化してから、再度溶融成形して溶融成形物を得てもよい。
なおペレット化することにより、材料の変質や吸湿性を回避したり、加熱時の溶融物の混合性または相溶性を向上することができるため、構成する材料が1種または複数種のペレットに分割して保存することができる。なお本発明の溶融成形法に用いる材料をペレット化する方法としても、溶融成形法を用いることができる。
(延伸操作)
本発明の有機無機ハイブリッド材料からなる溶融成形した形状が板状、シート状、フィルム状である場合には、幅手方向もしくは製膜方向に延伸されていてもよい。延伸することによって、フィルムの力学的な強度を向上できたり、熱または湿度膨張係数を低減できたり、表面平滑性を向上したり複屈折量などを制御することができるためである。
延伸方法としては、流延方向のみの一軸延伸、幅手方向のみの一軸延伸、または同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、制限なく使用することができる。ただし一軸のみの延伸ではフィルムの物性に異方性が生じるため、積極的に異方性のものを得たい場合以外には二軸に延伸することが好ましい。逐次二軸延伸を行う場合には、先に流延方向でも幅手方向でもどちらからでも延伸することができるが、先に流延方向に延伸を行う方が、延伸装置の設置面積を小さくすることができるために好ましい。延伸処理によってフィルム内に内部応力が発生するため、延伸処理を行った後には熱固定処理を行うことが好ましい。
流延方向に延伸する方法としては、例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法などが挙げられる。
複数のロールに周速差をつけて流延方向に延伸する方法について詳細に記載すると、まず、溶融した有機無機ハイブリッド材料が冷却ドラムにキャスティングされ、該冷却ドラムから冷却固化したフィルムが剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介して有機無機ハイブリッドフィルムのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸される。
幅手方向に延伸する方法としては、例えば、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて幅手方向に延伸するテンター法が挙げられる。テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。また、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら幅手延伸すると、幅方向の物性の分布が低減でき好ましい。さらに幅手延伸後、フィルムをその最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布がさらに低減でき好ましい。
熱固定は、その最終延伸温度より高温で、Tg−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/または縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最終熱固定温度をT1からフィルムが最終熱固定温度T2に達するまでの時間をtとしたとき、(T1−T2)/tで求めた値である。
これら熱延伸、熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成する有機高分子により異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
なお延伸倍率は、有機無機ハイブリッドフィルムを構成する有機高分子の延伸特性に準じて設定することができるが、通常一方向に1.01〜5.0倍の範囲である。1.01倍以下では延伸による効果が見られず、5.0倍以上ではフィルムが破断しやすくなり、生産性に劣ることがある。また、延伸倍率が大きくなり過ぎると、フィルムにヘイズを発生することがある。上記の範囲の中で延伸操作を行うことにより、好ましい範囲の複屈折量や力学強度、表面平滑性、線膨張率や湿度膨張率に制御することができる。
(機能性層)
本発明の有機無機ハイブリッド成形物上には、光学的な性能や力学的な性能、耐久性等を高めるために、各種の機能性薄膜を形成してもよい。このような機能性薄膜としては、例えば感光体層、帯電防止層、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、防汚層、易滑性層、易接着層、防眩層、ガスバリア層、光学補償層等が挙げられる。特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。機能性薄膜層を形成する際には、必要に応じてコロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を施して下地層との密着性を高めることができる。
このような下地となる材料と一体となる機能性薄膜だけでなく、組み込み工程までに素子を保護するために貼合するような、剥離可能なフィルムからなる層を形成してもよい。例えば偏光子保護フィルムの場合には、該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
(プラスチック製光学素子)
本発明に係わる有機無機ハイブリッド成形物は、その光学的透明性・成形加工性から、各種の光学素子に用いることができる。
プラスチック製光学素子の具体例としては、以下のものが挙げられる。光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡などのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD,CD−ROM,WORM(追記型光ディスク)、MO(書き換え可能な光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの記録媒体や、その読み出しを行う光ピックアップ装置などが挙げられる。光ピックアップ装置を構成する光学系ユニットとしては、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等が上げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、液晶表示素子基板などの光学フィルム、ホログラムシール、光カードなどが挙げられる。
これらの中でも、素子としてのサイズの大きい偏光子保護フィルム、位相差フィルム等が、有機無機ハイブリッド材料によって、物性改善効果の高い光学素子として挙げることができる。有機無機ハイブリッド材料からなる偏光子保護フィルム、位相差フィルム等によって、これまでのものよりも高い弾性率を有し、寸法安定性が高く、白抜け故障の発生しにくいものとすることができる。
(偏光子保護フィルム・位相差フィルム)
偏光子保護フィルムは、液晶ディスプレイを構成する必須の光学素子である偏光子の両面に貼合して偏光子の劣化を防ぐための光学素子である。また位相差フィルムとは、2枚の偏光子の間に狭持する液晶セルが有する複屈折を相殺するような位相差を有する偏光子保護フィルムのことを表し、通常の偏光子保護フィルムに比べて液晶ディスプレイとした際の視野角が広いといった長所を有する。これらの光学素子は、制御された複屈折量と、偏光子であるポリビニルアルコールとの接着性が重要な物性であるため、このような要求特性を満たす材料として、主にセルロースエステルからなる偏光子保護フィルムが用いられている。
従来、これらセルロースエステル樹脂からなる偏光子保護フィルムは、溶融流延法によってではなく、溶液流延法(樹脂を溶媒に溶解した溶液を流延し、次いで溶媒を蒸発し乾燥することによって製膜する方法)によって製膜されている。しかし溶液流延法は、フィルム内部に残存する溶媒を除去しなければならないため、内部応力が残存し、経時で寸法が変化して偏光子の光軸が歪み、液晶ディスプレイの黒表示が明るくなってしまうという、白抜け故障と呼ばれる故障が発生する原因となっている。特に近年の大型の液晶ディスプレイでは偏光子の寸法も大きく寸法変化量も比例して大きくなるために、寸法安定性のさらに向上が求められている。
特開2000−352620号公報においては、溶液流延法ではなく溶融流延法によってセルロースエステルフィルムを得、寸法安定性の向上した偏光子保護フィルムが得られたとしているが、15インチの液晶ディスプレイまでしか適用を行っておらず、より大型の液晶ディスプレイへの適用は試みられていない。
本発明では、セルロースエステルを熱溶融して製膜し、さらに無機高分子との有機無機ハイブリッドフィルムとすることによって、より寸法安定性の高いフィルムを提供することができ、これらを光学補償フィルムや偏光子保護フィルムとして用いて偏光板化することで、表示品質が改善された液晶表示装置を提供できることを見出している。
偏光子保護フィルムの膜厚としては、10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、さらに35μm以上が好ましい。また、特に200μm以下、さらに150μm以下が好ましい。特に好ましくは25以上〜90μmが好ましい。上記領域よりも光学フィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも薄いと、リターデーションの発現が困難となること、フィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
また膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。偏光子保護フィルムの膜厚変動が大き過ぎると、位相差のムラとなって液晶ディスプレイに用いたときに着色等のムラが発生し、問題となることがあるためである。
なおこのような平面性を確保する上で互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。複屈折量を極力低減し、等方性のフィルムを得るためには流延方向と幅手方向の延伸倍率はほぼ同倍率であることが好ましいが、位相差フィルムのように複屈折量を変化させて光学的な補償を行う場合にはどちらかの延伸倍率が高く設定する場合がある。
本発明の有機無機ハイブリッドフィルムの遅相軸または進相軸は、フィルム面内に存在し、流延方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
得られた偏光子保護フィルムから偏光板を作製する方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを貼り合わせる方法があり、少なくとの片面に本発明の偏光子保護フィルムである光学フィルムが偏光子に直接貼合できる観点で好ましい。
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
(液晶表示装置)
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光子保護フィルムは寸法安定性が高いため、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光子保護フィルムには、クリアハードコート層、防眩層、反射防止層、ガスバリア層等が設けられた偏光子保護フィルムをこの部分に用いることが好ましい。また光学補償層を設けた偏光子保護フィルムや、延伸操作等によりそれ自身に適切な光学補償能を付与した偏光子保護フィルムの場合には、液晶セルと接する部位に配置することで、優れた表示性が得られる。特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮することができる。
マルチドメイン化とは、1画素を構成する液晶セルをさらに複数に分割する方式であり、視野角依存性の改善・画像表示の対称性の向上にも適しており、種々の方式が報告されている「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」。該液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2003)」にも示されており、これらに限定される訳ではない。
表示セルの表示品質は、人の観察において左右対称であることが好ましい。したがって、表示セルが液晶表示セルである場合、実質的に観察側の対称性を優先してドメインをマルチ化することができる。ドメインの分割は、公知の方法を採用することができ、2分割法、より好ましくは4分割法によって、公知の液晶モードの性質を考慮して決定できる。
本発明の偏光板は垂直配向モードに代表されるMVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモード、電極配置によってマルチドメイン化された公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード、電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous Pinwheel Alignment)モードに効果的に用いることができる。また、OCB(Optical Compensated Bend)モードへの適合においても光学的に二軸性を有するフィルムの提案が開示されており「T.Miyashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995)」、本発明の偏光板によって表示品質において、本発明の効果を発現することもできる。本発明の偏光板を用いることによって本発明の効果が発現できれば、液晶モード、偏光板の配置は限定されるものではない。
該液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても高性能であるため、本発明の光学フィルムを用いた液晶表示装置、特に大型の液晶表示装置の表示品質は、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
各種の有機高分子に対し、可塑剤のみを添加した比較のフィルムと、珪素系無機高分子と有機無機ハイブリッドを行った本発明のフィルムとを製膜した。
なお実施例のフィルム109、110で使用したセルロースアセテートプロピオネートは、特表平6−501040号公報の例Bを参考にして合成した。
〈セルロースアセテートプロピオネート(CAP)の合成〉
以下のような混合液A〜Eを作製した。
A:プロピオン酸:濃硫酸=5:3(質量比)
B:酢酸:純水=3:1(質量比)
C:酢酸:純水=1:1(質量比)
D:酢酸:純水:炭酸マグネシウム=12:11:1(質量比)
E:純水14.6kg中に、炭酸カリウム0.5モル、クエン酸1.0モルを溶解した水溶液
機械式撹拌機を備えた反応容器に、綿花から精製したセルロース100質量部、酢酸317質量部、プロピオン酸67質量部を添加し、55℃で30分間攪拌した。反応容器の温度を30℃に低下させた後、溶液Aを2.3質量部添加し、30分間攪拌した。反応容器の温度を−20℃に冷却した後、無水酢酸100質量部及び無水プロピオン酸250質量部を添加し、1時間攪拌した。反応容器の温度を10℃に昇温した後、溶液Aを4.5質量部添加し、60℃に昇温して3時間攪拌した。さらに溶液Bを533質量部添加し、17時間攪拌した。さらに溶液Cを333質量部、溶液Dを730質量部添加し、15分間攪拌した。不溶物をろ過した後、溶液を攪拌しながら、沈殿物の生成が終了するまで水を添加した後、生成した白色沈殿をろ過した。得られた白色固体は、洗浄液が中性になるまで純水で洗浄した。この湿潤生成物に、溶液Eを1.8質量部添加し、次いで真空下70℃で3時間乾燥し、セルロースアセテートプロピオネートを得た。
得られたセルロースアセテートプロピオネートの置換度をASTM−D817−96に基づいて算出すると、アセチル基による置換度が1.9、プロピオニル基による置換度が0.7であった。また下記の条件でGPCを測定したところ、重量平均分子量は20万であった。
〔GPC測定条件〕
溶媒: 塩化メチレン
カラム: Shodex K806,K805,K803(昭和電工(株)製を3本接続して使用)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
〈比較例のフィルム101の製膜〉
92質量部のアルドリッチ製ポリメチルメタクリレート(PMMA、重量平均分子量12万)に対し、8.0質量部の旭電化製PFRをフィーダーから添加した後、280℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPMMAは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム102の製膜〉
6.9質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量2.0質量部)、3.5質量部のエタノール、3.5質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、1.2質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、8.0質量部の旭電化製PFRを添加して均一に混合した後、20℃、2.7kPa下でエタノール、アセトンを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって90質量部のPMMAに添加された後、280℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPMMAは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈比較例のフィルム103の製膜〉
93質量部のシクロオレフィンポリマーとしてアルドリッチ製ポリ[(オクタヒドロ−5−メトキシカルボニル−5−メチル−4,7−メタノ−1H−インデン−1,3−ジイル)−1,2−エタンジイル](メルトフローインデックス42g/10分(280℃10kg)、以後COPと略)に、7.0質量部の旭電化製PFRをフィーダーから添加した後、280℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCOPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム104の製膜〉
3.0質量部のシクロヘキシルトリメトキシシラン(シクロヘキシルシルセスキオキサン換算添加量2.0質量部)、1.5質量部のメタノール、1.5質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、0.53質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、5.0質量部の旭電化製PFRを添加して均一に混合した後、20℃、27kPa下でメタノール、アセトンを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって93質量部のCOPに添加された後、280℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCOPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈比較例のフィルム105の製膜〉
90質量部のアルドリッチ製ポリ(ビスフェノールA カーボネイト)(メルトフローインデックス7.0g/10分、300℃1.2kg、以後PCと略)に対し、10質量部の旭電化製PFRをフィーダーから添加した後、300℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPCは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム106の製膜〉
5.0質量部のテトラメトキシシラン(シリカ換算で2.0質量部)、1.5質量部のフェニルトリメトキシシラン(フェニルシルセスキオキサン換算添加量1.0質量部)、3.2質量部のメタノール、3.2質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、1.5質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、7.0質量部の旭電化製PFRを添加して均一に混合した後、20℃、2.7kPa下でメタノール、アセトンを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって90質量部のアルドリッチ製ポリ(ビスフェノールA カーボネイト)(メルトフローインデックス7.0g/10分、300℃1.2kg、以後PCと略)に添加された後、260℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおポリ(ビスフェノールA カーボネイト)は減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈比較例のフィルム107の製膜〉
90質量部のアルドリッチ製ポリ(1,4−フェニレンエーテルスルホン)(メルトフローインデックス6.0g/10分(380℃/2.16kg)、以後PESと略)に対し、10質量部の旭電化製PFRををフィーダーから添加した後、380℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPESは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム108の製膜〉
10.0質量部のテトラメトキシシラン(シリカ換算添加量4.0質量部)、5.0質量部のエタノール、5.0質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、2.4質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、6.0質量部の旭電化製PFRを添加して均一に混合した後、20℃、2.7kPa下でエタノール、アセトンを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって90質量部のアルドリッチ製ポリ(1,4−フェニレンエーテルスルホン)(メルトフローインデックス6.0g/10分(380℃/2.16kg)、以後PESと略)に添加された後、380℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPESは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈比較例のフィルム109の製膜〉
合成例で合成した90質量部のセルロースアセテートプロピオネート(プロピオニル置換度0.7、酢酸置換度1.9、重量平均分子量20万、以後CAPと略)と、10質量部の旭電化製トリメチロールプロパントリベンゾエート(以後TMPTBと略)とを粉体同士で混合した後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム110の製膜〉
6.9質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量2.0質量部)、3.5質量部のエタノール、3.5質量部のメチルエチルケトン(以後MEKと略)を混合した後、0℃に冷却し、1.2質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部の旭電化製TMPTBを添加し、常圧下90℃でTMPTBを溶解させつつエタノール、アセトンを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって90質量部のCAPに添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
上記の実施例で使用した各種添加剤の熱分解温度については、セイコーインスツルメンツ製示差熱熱重量同時測定装置、EXSTAR6000TG/DTAによって昇温速度10℃毎分、乾燥空気(露点−30℃)下で測定し、1%熱質量減少温度(Td1.0)を指標とした。実施例1で用いた添加剤のTd1.0は以下の通りである。
・旭電化製 トリメチロールプロパントリベンゾエート(以下TMPTBと略):262℃
・旭電化社製 アデカスタブPFR(以下PFRと略、リン酸エステル系可塑剤):273℃
得られた溶融製膜フィルム101〜110に対し、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
〈全光透過率・ヘイズ〉
東京電色製TURBIDITY METER T−2600DAで測定した。
〈弾性率の測定〉
上記作製した各フィルム試料を、幅手方向(TD方向)で10mm、搬送方向(MD方向)で200mm切り出し、23℃、相対湿度55%の雰囲気下で12時間調湿を行った後、オリエンテック社製のテンシロン(RTA−100)を用い、搬送方向(MD方向)の上下端をチャックで固定し、チャック間の距離を100mmに設定して、引張り速度100mm/minで引張り、MD方向の弾性率(GPa)を測定した。数値が大きいほど、引張りに対する強度が高いことを表す。
Figure 2006137821
表1から明らかなように、本発明の製造方法により各種の有機高分子に珪素系無機高分子をハイブリッドすることができ、光学的な透明性を保持したまま弾性率の向上が達成され、有用な溶融成形材料を得ることができた。
実施例2
用いる高分子をCAPに限定し、得られるCAP−シリカハイブリッド溶融製膜フィルムの偏光子保護フィルムへの適用を試みた。
なお実施例2に用いる可塑剤として、ペンタエリスリトールテトラアセチルサリチレート(以後PETASと略)を、Chem.Abstr.64号9810h頁を参考にして合成した。
〈ペンタエリスリトールテトラアセチルサリチレートの合成〉
136質量部のペンタエリスリトールと、1070質量部のサリチル酸フェニルと、7質量部の炭酸カリウムを混合し、13.3kPa下155℃で3時間加熱し、375質量部のフェノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に100℃まで冷却し、1質量部の濃硫酸、450質量部の無水酢酸を添加し、100℃で1時間攪拌した。反応終了後、2000質量部のトルエンを添加して氷冷すると、白色の結晶が生成した。生成した白色結晶をろ過し、純水で2度洗浄した後、真空下40℃で減圧乾燥を行い、白色結晶を667質量部(収率85%)得た。得られた白色結晶の融点は47℃であった。
〈比較例のフィルム201の製膜〉
89質量部のイーストマンケミカル製CAPに対し、10質量部のPETAS、1.0質量部のチバスペシャルティケミカルズ製チヌビン360(以下T360と略)を粉体同士で混合した後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム202の製膜〉
1.7質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量0.5質量部)と、0.9質量部のエタノールと、0.9質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、0.3質量部の純水と、0.15質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって88.5質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム203の製膜〉
6.9質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量2.0質量部)と、3.5質量部のエタノールと、3.5質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、1.2質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって87質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム204の製膜〉
17.2質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量5.0質量部)と、8.6質量部のエタノールと、8.6質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、3.0質量部の純水と、1.5質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって84質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム205の製膜〉
34.5質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量10質量部)と、17.3質量部のエタノールと、17.3質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、6.0質量部の純水と、3.0質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって79質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム206の製膜〉
31.3質量部の多摩化学製シリケート48(シリカ換算添加量15質量部)と、15.7質量部のエタノールと、15.7質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、9.0質量部の純水と、4.5質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって74質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、若干白濁した無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム207の製膜〉
5.3質量部のメチルトリエトキシシラン(メチルシルセスキオキサン換算添加量2.0質量部)と、2.6質量部のエタノールと、2.6質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、0.9質量部の純水と、0.45質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって87質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム208の製膜〉
2.7質量部のメチルトリエトキシシラン(メチルシルセスキオキサン換算添加量1.0質量部)、3.5質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算1.0質量部)、3.1質量部のエタノール、3.5質量部のMEKを混合した後、0℃に冷却し、1.1質量部の純水と、0.53質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を濾別した後、10質量部のPETASを添加し、常圧下50℃でPETASを溶解させたのち、40kPaに減圧してエタノール、MEKを留去した。
得られた均一溶液は、フィーダーによって87質量部のCAPと1.0質量部のT360の混合物に添加された後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
〈実施例のフィルム209の製膜〉
用いる可塑剤を、10質量部のPETASから、10質量部のEPEGに変化させ、エタノールとMEKの留去を20℃、27kPa下で行った以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
〈実施例のフィルム210の製膜〉
用いる可塑剤を、10質量部のPETASから、10質量部のPFRに変化させ、エタノールとMEKの留去を20℃、2.7kPa下で行った以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
〈実施例のフィルム211の製膜〉
可塑剤であるPETASを添加する際に、酸掃去剤として1.0質量部のアトフィナ社製バイコフレックス7190(以後V7190と略)を同時に添加し、CAPを87質量部から86質量部に変化させた以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
〈実施例のフィルム212の製膜〉
87質量部のCAPと1.0質量部のT360を、86質量部のCAPと1.0質量部のT360と1.0のチバスペシャルティケミカルズ製酸化防止剤イルガノックス1010(以後I1010と略)に変更した以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
〈実施例のフィルム213の製膜〉
可塑剤であるTMPTB10質量部を添加する際に、酸掃去剤として1.0質量部のV7190を同時に添加し、CAP87質量部を85質量部に、酸化防止剤として1.0のI1010を添加した以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
〈実施例のフィルム214の製膜〉
紫外線吸収剤として1.0質量部のT360を1.0質量部のアルドリッチ製5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン)(以後MBHMBと略)に変更した以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
なお実施例2で用いた添加剤のTd1.0は以下の通りである。
ペンタエリスリトールテトラアセチルサリチレート(PETAS):313℃
東京化成工業製 エチルフタリルエチルグリコラート(EPEG):172℃
旭電化社製 アデカスタブPFR(PFR):273℃
旭電化社製 トリフェニルホスフェート(TPP):237℃
チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガノックス1010(I1010):295℃
アトフィナ社製 バイコフレックス7190(V7190):286℃
チバスペシャルティケミカルズ社製 チヌビン360(T360):323℃
アルドリッチ製 5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン)、(MBHMB):303℃
得られた溶融流延フィルム201〜214について、以下の評価を行った。
〈寸法変化〉
フィルム試料について、長手方向(MD)150mm×幅手方向(TD)120mmサイズに断裁し、該フィルム表面に100mm間隔で2ヶ所にカミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付し、23℃55%RHの環境下で24時間以上調湿し、工場顕微鏡で処理前の長手方向、及び幅手方向のそれぞれの印間距離L1を測定する。次に、該試料を電気高温槽中で高温処理(条件;90℃の環境下で120時間放置する)あるいは高温高湿処理(条件;80℃90%RHの環境下で120時間放置する)する。再び、該試料を23℃55%RHの環境下で24時間調湿し、工場顕微鏡で処理後の長手方向及び幅手方向のそれぞれの印間距離L2を測定する。この処理前後の変化率を次式によって求める。
(式)寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100
L1:処理前の印間距離
L2:処理後の印間距離
尚、寸法変化の評価としては、比較試料2の寸法変化率を100%としたときの各々の寸法変化率の相対値で算出した。
〈耐光性評価〉
前記作製したセルロースエステルフィルムをスガ社製耐光性評価試験機に500時間投入し、投入前後での380nmにおける光の透過率を測定し、減衰率△T(%)を評価した。
◎:変化度2%未満(偏光子保護フィルムとして問題ないレベル)
○:変化度2%以上10%未満(偏光子保護フィルムとして問題ないレベル)
△:変化度10%以上20%未満(偏光子保護フィルムとして何とか使えるレベル)
×:変化度20%以上(偏光子保護フィルムとして問題のあるレベル)
また、得られた偏光子保護フィルムによって偏光子の両面に貼合し、偏光板としての耐久性を以下の手順で評価した。
(偏光板の作製)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光子を作製した。
実施例または比較のフィルム201〜214を、40℃の2.5N−水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、さらに水洗乾燥して表面をアルカリ処理した。
前記偏光子の両面に、実施例または比較のフィルム201〜214のアルカリ処理面を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として両面から貼合し、保護フィルムが形成された偏光板を作製した。
〈偏光板耐久性テスト〉
500mm×500mmの偏光板試料2枚を熱処理(条件:90℃で100時間放置する)し、直行状態にしたときの縦又は横の中心線部分のどちらか大きいほうの縁の白抜け部分の長さを測定して辺の長さ(500mm)に対する比率を算出し、その比率に応じて下記のように判定した。縁の白抜けとは直行状態で光を通さない偏光板の縁の部分が光を通す状態になることで、目視で判定できる。偏光板の状態では縁の部分の表示が見えなくなる故障となる。
◎:縁の白抜けが5%未満(偏光板として問題ないレベル)
○:縁の白抜けが5%以上10%未満(偏光板として問題ないレベル)
△:縁の白抜けが10%以上20%未満(偏光板として何とか使えるレベル)
×:縁の白抜けが20%以上(偏光板として問題のあるレベル)
各フィルムの素材組合せを表2に、評価結果を表3に示した。
Figure 2006137821
Figure 2006137821
表3から明らかなように、珪素系無機高分子を添加していない比較例のフィルム201と、シリカを添加した本発明のフィルム202〜205とを比較すると、弾性率や寸法安定性が向上し、偏光子にした際の白抜けが抑制されていることがわかる。しかしシリカの添加量が10%より多くなると、ヘイズ値が上昇してくるため、光学的な用途には10%以下が好ましいことがわかる。ただしヘイズ値以外は寸法安定性・弾性率とも良好であるため、偏光子保護フィルム以外の用途では有用ではないかと考えられる。
なお203のフィルムと209のフィルムとを比較すると、可塑剤の熱分解温度が高い203のフィルムの方が寸法安定性、黄色度とも優れていることがわかる。
また203と210のフィルムを比較すると、リン酸エステル系よりも多価アルコールエステル系可塑剤を使用した203のフィルムの方が黄色度が低く優れていることがわかる。
さらに、安定化剤として酸掃去剤であるエポキシ化合物を添加した211のフィルム、酸化防止剤としてヒンダードフェノール化合物を添加した212のフィルム、その双方を添加した213のフィルムは、より寸法安定性が向上し、偏光子にした際の白抜けが発生しにくい好ましいフィルムであった。また214のフィルムのように、紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系でないと、耐光性が低く耐光試験によって紫外線吸収能が劣化してしまものの、寸法安定性については高いフィルムであるため、外光の当たらない内側の偏光子保護フィルムに限れば有為に用いることができると考えられる。
実施例3
実施例2で作製した201〜214の溶融フィルムを用いた偏光板を、液晶ディスプレイに適用し、ディスプレイとしての視認性を確認した。
(液晶表示装置としての特性評価)
32型TFT型カラー液晶ディスプレイベガ(ソニー社製)の偏光板を剥がし、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸がもとと変わらないように互いに直交するように貼り付け、32型TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、セルロースエステルフィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板202、205、207、208、210〜214はコントラストも高く、優れた表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板として優れていることが確認された。

Claims (20)

  1. アルコキシシランを加水分解した無機高分子を含有する可塑剤と、溶融成形可能な有機高分子とを混合し、溶融させた後、成形加工されたことを特徴とする有機無機ハイブリッド材料。
  2. 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランを加水分解するゾルゲル反応によって下記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
    前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
    前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
    無機高分子と可塑剤を含有する混合物を有機高分子に添加する工程、
    有機高分子、無機高分子、可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
    によって製造されたことを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料。
    一般式(1) R4-nSi(OR′)n
    一般式(2) R4-nSiOn/2
    (式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。)
  3. 前記無機高分子を0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  4. 前記可塑剤を1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  5. 前記有機高分子が、アクリル、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、セルロースエステルの中から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  6. 前記可塑剤の1%熱質量減少温度(Td1.0)が、250℃以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  7. 前記可塑剤の融点が50℃以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  8. 1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸掃去剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  9. 1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸化防止剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  10. 紫外線吸収剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  11. 前記可塑剤が、多価アルコール−カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  12. 前記酸掃去剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  13. 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  14. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物であることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  15. 前記有機高分子が、セルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
  16. 請求項1〜15の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料からなり、膜厚が20〜200μmであることを特徴とするフィルム。
  17. 請求項16に記載のフィルムを偏光子保護フィルムとして用いて作製されたことを特徴とする偏光板。
  18. 液晶表示セルの両面に請求項17に記載の偏光板が配置されたことを特徴とする液晶表示装置。
  19. マルチドメイン型の垂直配向モードであることを特徴とする請求項18に記載の液晶表示装置。
  20. 前記一般式(1)で表されるアルコキシシランを加水分解するゾルゲル反応によって前記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
    前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
    前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
    無機高分子と可塑剤を含有する混合物を有機高分子に添加する工程、
    有機高分子、無機高分子、可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
    によって製造することを特徴とする有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
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