JP4945892B2 - 有機無機ハイブリッド材料の製造方法 - Google Patents
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Description
(請求項1)
アルコキシシランをゾルゲル反応により得られた無機高分子を含有する可塑剤と、アクリル、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホンまたはセルロースエステルから選ばれる有機高分子とを混合し、溶融させた後、成形加工されたことを特徴とする有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項2)
下記一般式(1)で表されるアルコキシシランをゾルゲル反応によって下記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
無機高分子と可塑剤を含有する混合物を有機高分子に添加する工程、
有機高分子、無機高分子、可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
によって製造されたことを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
一般式(1) R4−nSi(OR′)n
一般式(2) R4−nSiOn/2
(式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。)
(請求項3)
前記無機高分子を0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項4)
前記可塑剤を1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項5)
前記可塑剤の1%熱質量減少温度(Td1.0)が、250℃以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項6)
前記可塑剤の融点が50℃以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項7)
1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸掃去剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項8)
1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸化防止剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項9)
紫外線吸収剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項10)
前記可塑剤が、多価アルコール−カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項11)
前記酸掃去剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項12)
前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項13)
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物であることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
(請求項14)
前記有機高分子が、セルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
本発明において無機高分子とは、高分子主鎖が無機物のみからなる高分子のことを表す。例えば高分子の主鎖がM−M−M−、M−O−M−O−、(Mは金属原子を表し、Oは酸素原子を表す)などといった結合によって形成されている高分子である。
一般式(2) R4-nSiOn/2
式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。必要に応じて、Rには相溶性を高めるために親水性基や疎水性基、あるいは反応性基によって置換されていてもよい。nは3または4の整数を表し、n=3の無機高分子とn=4の無機高分子の共重合体であっても構わない。またn=3のアルコキシシランでは、n=4のアルコキシシランよりも縮合可能な置換基が1つ少ないため、無機高分子の凝集が起こりにくく、無機高分子の凝集性を低減するためにn=3、あるいはn=2,1の化合物を添加してもよい。ただし有機無機ハイブリッドによる有機高分子の改質効果は、珪素を置換しているアルコキシ基の数が大きいものほど高い傾向があるため、n=1、2のアルコキシシランの添加はなるべく少ない方が好ましい。
次に有機高分子について説明する。
式(4) 0.3≦Y≦2.0
式中、Xは酢酸による置換度、YはC3〜C5の有機酸による置換度を表す。
次に可塑剤について説明する。
安定化剤とは、高分子が熱や酸素、水分、酸などによって分解されることを化学的な作用によって抑制する材料のことである。本発明の有機無機ハイブリッド成形物は、200〜400℃といった高温下で成形されるため、有機高分子の分解・劣化が起きやすい系であり、安定化剤をフィルム形成材料中に含有させることによって有機高分子の劣化を防ぐことができ、より透明性や力学強度が高い成形物を得ることができるようになるため、添加されることが好ましい。
一般的に有機高分子は、高温下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては安定化剤として酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、アルコキシシランの加水分解時に酸、アルカリ、金属錯体などの触媒を使用することがあるため、高温で溶融した有機高分子中にこれらの触媒が混入することがある。その結果、これらの触媒が有機高分子の劣化を促進したりすることがあるため、これらの影響を除去するような安定化剤を添加されてもよい。
中でも酸触媒は、アルコキシシランの加水分解に最もよ使用され、かつ有機高分子の分解への影響も大きいため、酸触媒を使用した際には、酸触媒を捕捉するような安定化剤である、酸掃去剤を添加することが好ましい。
本発明において有用な酸掃去剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油など)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815C、及び下記一般式(2)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
本発明において、有機高分子の熱溶融時の安定化剤、また製造後に光学用素子として晒される、各種の機器からの入射光や環境光に対する安定化剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含等まれる。このような化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
また、本発明の有機無機ハイブリッド成形物が、製造後に太陽光や冷陰極菅、紫外線を放射するようなLED等の、紫外線を浴びる環境に設置されるような光学素子として用いる場合には、光学用途として必要な条件を満たした上で、安定化剤として紫外線吸収剤を含有していてもよい。
本発明の有機無機ハイブリッド成形物には、安定化剤、可塑剤の他、種々の添加剤を含有することができる。
本発明に係る有機無機ハイブリッド材料を各種の形状に成形する溶融成形方法としては、格別な制限はなく、例えば、プレス成形法、押出し成形法、射出成形法、溶融押出し法、インフレーション法、ブロー成形法、延伸成形法などから用途によって適宜選択することができる。これらの中でも、球状、半球状、棒状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状等の立体的な形状の成形物を得る上では、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。またフィルム状、シート状、板状等の平面的な形状の成形物を得る上では溶融押出し法が好ましい。
本発明の有機無機ハイブリッド材料からなる溶融成形した形状が板状、シート状、フィルム状である場合には、幅手方向もしくは製膜方向に延伸されていてもよい。延伸することによって、フィルムの力学的な強度を向上できたり、熱または湿度膨張係数を低減できたり、表面平滑性を向上したり複屈折量などを制御することができるためである。
本発明の有機無機ハイブリッド成形物上には、光学的な性能や力学的な性能、耐久性等を高めるために、各種の機能性薄膜を形成してもよい。このような機能性薄膜としては、例えば感光体層、帯電防止層、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、防汚層、易滑性層、易接着層、防眩層、ガスバリア層、光学補償層等が挙げられる。特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。機能性薄膜層を形成する際には、必要に応じてコロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を施して下地層との密着性を高めることができる。
本発明に係わる有機無機ハイブリッド成形物は、その光学的透明性・成形加工性から、各種の光学素子に用いることができる。
偏光子保護フィルムは、液晶ディスプレイを構成する必須の光学素子である偏光子の両面に貼合して偏光子の劣化を防ぐための光学素子である。また位相差フィルムとは、2枚の偏光子の間に狭持する液晶セルが有する複屈折を相殺するような位相差を有する偏光子保護フィルムのことを表し、通常の偏光子保護フィルムに比べて液晶ディスプレイとした際の視野角が広いといった長所を有する。これらの光学素子は、制御された複屈折量と、偏光子であるポリビニルアルコールとの接着性が重要な物性であるため、このような要求特性を満たす材料として、主にセルロースエステルからなる偏光子保護フィルムが用いられている。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光子保護フィルムは寸法安定性が高いため、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光子保護フィルムには、クリアハードコート層、防眩層、反射防止層、ガスバリア層等が設けられた偏光子保護フィルムをこの部分に用いることが好ましい。また光学補償層を設けた偏光子保護フィルムや、延伸操作等によりそれ自身に適切な光学補償能を付与した偏光子保護フィルムの場合には、液晶セルと接する部位に配置することで、優れた表示性が得られる。特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮することができる。
各種の有機高分子に対し、可塑剤のみを添加した比較のフィルムと、珪素系無機高分子と有機無機ハイブリッドを行った本発明のフィルムとを製膜した。
以下のような混合液A〜Eを作製した。
B:酢酸:純水=3:1(質量比)
C:酢酸:純水=1:1(質量比)
D:酢酸:純水:炭酸マグネシウム=12:11:1(質量比)
E:純水14.6kg中に、炭酸カリウム0.5モル、クエン酸1.0モルを溶解した水溶液
機械式撹拌機を備えた反応容器に、綿花から精製したセルロース100質量部、酢酸317質量部、プロピオン酸67質量部を添加し、55℃で30分間攪拌した。反応容器の温度を30℃に低下させた後、溶液Aを2.3質量部添加し、30分間攪拌した。反応容器の温度を−20℃に冷却した後、無水酢酸100質量部及び無水プロピオン酸250質量部を添加し、1時間攪拌した。反応容器の温度を10℃に昇温した後、溶液Aを4.5質量部添加し、60℃に昇温して3時間攪拌した。さらに溶液Bを533質量部添加し、17時間攪拌した。さらに溶液Cを333質量部、溶液Dを730質量部添加し、15分間攪拌した。不溶物をろ過した後、溶液を攪拌しながら、沈殿物の生成が終了するまで水を添加した後、生成した白色沈殿をろ過した。得られた白色固体は、洗浄液が中性になるまで純水で洗浄した。この湿潤生成物に、溶液Eを1.8質量部添加し、次いで真空下70℃で3時間乾燥し、セルロースアセテートプロピオネートを得た。
溶媒: 塩化メチレン
カラム: Shodex K806,K805,K803(昭和電工(株)製を3本接続して使用)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
〈比較例のフィルム101の製膜〉
92質量部のアルドリッチ製ポリメチルメタクリレート(PMMA、重量平均分子量12万)に対し、8.0質量部の旭電化製PFRをフィーダーから添加した後、280℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPMMAは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
6.9質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量2.0質量部)、3.5質量部のエタノール、3.5質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、1.2質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
3.0質量部のシクロヘキシルトリメトキシシラン(シクロヘキシルシルセスキオキサン換算添加量2.0質量部)、1.5質量部のメタノール、1.5質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、0.53質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
90質量部のアルドリッチ製ポリ(ビスフェノールA カーボネイト)(メルトフローインデックス7.0g/10分、300℃1.2kg、以後PCと略)に対し、10質量部の旭電化製PFRをフィーダーから添加した後、300℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおPCは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
5.0質量部のテトラメトキシシラン(シリカ換算で2.0質量部)、1.5質量部のフェニルトリメトキシシラン(フェニルシルセスキオキサン換算添加量1.0質量部)、3.2質量部のメタノール、3.2質量部のアセトンを混合した後、0℃に冷却し、1.5質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
・旭電化製 トリメチロールプロパントリベンゾエート(以下TMPTBと略):262℃
・旭電化社製 アデカスタブPFR(以下PFRと略、リン酸エステル系可塑剤):273℃
得られた溶融製膜フィルム101〜110に対し、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
東京電色製TURBIDITY METER T−2600DAで測定した。
上記作製した各フィルム試料を、幅手方向(TD方向)で10mm、搬送方向(MD方向)で200mm切り出し、23℃、相対湿度55%の雰囲気下で12時間調湿を行った後、オリエンテック社製のテンシロン(RTA−100)を用い、搬送方向(MD方向)の上下端をチャックで固定し、チャック間の距離を100mmに設定して、引張り速度100mm/minで引張り、MD方向の弾性率(GPa)を測定した。数値が大きいほど、引張りに対する強度が高いことを表す。
用いる高分子をCAPに限定し、得られるCAP−シリカハイブリッド溶融製膜フィルムの偏光子保護フィルムへの適用を試みた。
136質量部のペンタエリスリトールと、1070質量部のサリチル酸フェニルと、7質量部の炭酸カリウムを混合し、13.3kPa下155℃で3時間加熱し、375質量部のフェノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に100℃まで冷却し、1質量部の濃硫酸、450質量部の無水酢酸を添加し、100℃で1時間攪拌した。反応終了後、2000質量部のトルエンを添加して氷冷すると、白色の結晶が生成した。生成した白色結晶をろ過し、純水で2度洗浄した後、真空下40℃で減圧乾燥を行い、白色結晶を667質量部(収率85%)得た。得られた白色結晶の融点は47℃であった。
89質量部のイーストマンケミカル製CAPに対し、10質量部のPETAS、1.0質量部のチバスペシャルティケミカルズ製チヌビン360(以下T360と略)を粉体同士で混合した後、240℃100rpmの2軸押出し機にて溶融製膜し、無色透明のフィルムを得た。なおCAPは減圧下70℃で3時間乾燥したものを用いた。
1.7質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量0.5質量部)と、0.9質量部のエタノールと、0.9質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、0.3質量部の純水と、0.15質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
6.9質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量2.0質量部)と、3.5質量部のエタノールと、3.5質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、1.2質量部の純水、0.6質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
17.2質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量5.0質量部)と、8.6質量部のエタノールと、8.6質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、3.0質量部の純水と、1.5質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
34.5質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算添加量10質量部)と、17.3質量部のエタノールと、17.3質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、6.0質量部の純水と、3.0質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
31.3質量部の多摩化学製シリケート48(シリカ換算添加量15質量部)と、15.7質量部のエタノールと、15.7質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、9.0質量部の純水と、4.5質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
5.3質量部のメチルトリエトキシシラン(メチルシルセスキオキサン換算添加量2.0質量部)と、2.6質量部のエタノールと、2.6質量部のMEKとを混合した後、0℃に冷却し、0.9質量部の純水と、0.45質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
2.7質量部のメチルトリエトキシシラン(メチルシルセスキオキサン換算添加量1.0質量部)、3.5質量部のテトラエトキシシラン(シリカ換算1.0質量部)、3.1質量部のエタノール、3.5質量部のMEKを混合した後、0℃に冷却し、1.1質量部の純水と、0.53質量部の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15を添加して、0℃下で1時間ゾルゲル反応を行った。
用いる可塑剤を、10質量部のPETASから、10質量部のEPEGに変化させ、エタノールとMEKの留去を20℃、27kPa下で行った以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
用いる可塑剤を、10質量部のPETASから、10質量部のPFRに変化させ、エタノールとMEKの留去を20℃、2.7kPa下で行った以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
可塑剤であるPETASを添加する際に、酸掃去剤として1.0質量部のアトフィナ社製バイコフレックス7190(以後V7190と略)を同時に添加し、CAPを87質量部から86質量部に変化させた以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
87質量部のCAPと1.0質量部のT360を、86質量部のCAPと1.0質量部のT360と1.0のチバスペシャルティケミカルズ製酸化防止剤イルガノックス1010(以後I1010と略)に変更した以外は、実施例のフィルム203と同様に製膜を行い、無色透明のフィルムを得た。
東京化成工業製 エチルフタリルエチルグリコラート(EPEG):172℃
旭電化社製 アデカスタブPFR(PFR):273℃
旭電化社製 トリフェニルホスフェート(TPP):237℃
チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガノックス1010(I1010):295℃
アトフィナ社製 バイコフレックス7190(V7190):286℃
チバスペシャルティケミカルズ社製 チヌビン360(T360):323℃
アルドリッチ製 5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン)、(MBHMB):303℃
得られた溶融流延フィルム201〜214について、以下の評価を行った。
前記作製したセルロースエステルフィルムをスガ社製耐光性評価試験機に500時間投入し、投入前後での380nmにおける光の透過率を測定し、減衰率△T(%)を評価した。
○:変化度2%以上10%未満(偏光子保護フィルムとして問題ないレベル)
△:変化度10%以上20%未満(偏光子保護フィルムとして何とか使えるレベル)
×:変化度20%以上(偏光子保護フィルムとして問題のあるレベル)
また、得られた偏光子保護フィルムによって偏光子の両面に貼合し、偏光板としての耐久性を以下の手順で評価した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4 質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光子を作製した。実施例または比較のフィルム201〜212を、40℃ の2.5N−水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、さらに水洗乾燥して表面をアルカリ処理した。
500mm×500mmの偏光板試料2枚を熱処理(条件:90℃で100時間放置する)し、直行状態にしたときの縦又は横の中心線部分のどちらか大きいほうの縁の白抜け部分の長さを測定して辺の長さ(500mm)に対する比率を算出し、その比率に応じて下記のように判定した。縁の白抜けとは直行状態で光を通さない偏光板の縁の部分が光を通す状態になることで、目視で判定できる。偏光板の状態では縁の部分の表示が見えなくなる故障となる。
○:縁の白抜けが5%以上10%未満(偏光板として問題ないレベル)
△:縁の白抜けが10%以上20%未満(偏光板として何とか使えるレベル)
×:縁の白抜けが20%以上(偏光板として問題のあるレベル)
各フィルムの素材組合せを表2に、評価結果を表3に示した。
実施例2 で作製した201〜212の溶融フィルムを用いた偏光板を、液晶ディスプレイに適用し、ディスプレイとしての視認性を確認した。
32型TFT型カラー液晶ディスプレイベガ(ソニー社製)の偏光板を剥がし、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2 枚を偏光板の偏光軸がもとと変わらないように互いに直交するように貼り付け、32型TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、セルロースエステルフィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板202、205、207、208、210〜212はコントラストも高く、優れた表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板として優れていることが確認された。
Claims (13)
- 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランを加水分解するゾルゲル反応により形成される下記一般式(2)で表される無機高分子を含有する溶液を得る工程、
前記無機高分子を含有する溶液と可塑剤とを混合する工程、
前記混合した溶液から低沸点揮発物を留去する工程、
前記無機高分子と前記可塑剤とを含有する混合物を、アクリル、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホンまたはセルロースエステルから選ばれる樹脂である溶融成形可能な有機高分子に添加する工程、
前記有機高分子、前記無機高分子および前記可塑剤を含有する混合物を溶融成形する工程、
によって製造されたことを特徴とする、有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
一般式(1) R4−nSi(OR′)n
一般式(2) R4−nSiOn/2
(式中、R、R′はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは3または4の整数を表す。) - 前記無機高分子を0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記可塑剤を1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記可塑剤の1%熱質量減少温度(Td1.0)が、250℃以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記可塑剤の融点が50℃以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸掃去剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 1%熱質量減少温度(Td1.0)が250℃以上である酸化防止剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 紫外線吸収剤を0.1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記可塑剤が、多価アルコール−カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記酸掃去剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール化合物であることを特徴とする請求項7に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物であることを特徴とする請求項8に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記有機高分子が、セルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
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