JP2006136103A - スロットインシュレータとそれを用いた多重化レゾルバ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 環状板部11に、該環状板部11の周辺に沿って絶縁巻線部12を任意数設けたスロットインシュレータ10において、前記絶縁巻線部12は、絶縁巻線保持部13を有し、且つ、ステータヨークのテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝16が設けられ、前記巻線部挿通溝16は、前記絶縁巻線部12に、前記環状板部11における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられる。
【選択図】図1
Description
(1)スロットインシュレータの場合、ステータヨークに直接被着する工程で済む。しかし、ステータヨークの表面に絶縁塗装する場合には、ステータヨークに絶縁塗装する工程、その後、乾燥させる工程等の複数の工程を必要とする。このため、スロットインシュレータを用いる場合の方が、ステータヨークの絶縁処理工程の数が少なくなるので、組立工程が短く、安くできる。
(2)スロットインシュレータは、金型による樹脂成形のため、単価が安くできる。
(3)従来の絶縁塗料を塗布する場合には、塗りむら等により塗料中にピンホール等の空隙が発生する。しかし、スロットインシュレータは、樹脂を高圧で金型内に注入して成形するため、成形樹脂にピンホール等の空隙ができにくい。このため、スロットインシュレータの方が、ステータヨークとコイルとの間の絶縁を確保し易い。
(4)従来の絶縁塗料を塗布する場合には、既存の部品に塗料を塗布するだけなので、構成を変更することができない。しかし、スロットインシュレータは、樹脂成形のため、渡り線のガイド、巻線保護部、コネクタやカバー等の形状・構造を自由に設計変更できる。
テイース5の数および間隔は、軸倍角等との関係で適宜設定される。但し、各テイース5の円周方向の配置は、レゾルバユニット、即ちステータヨークの順番と対応した順番での配置が好ましい。
以上は2重化レゾルバの例であるが、3重化以上の多重化レゾルバの形態も同様に構成することができる。
延長板部308は、円筒形の一部を切り取った形状とする。
(1) 射出成形の場合、樹脂の注入口(湯口)を設ける位置が問題になる。特に、注入口の位置は、同じ程度の時間内に樹脂の温度を下げずに末端まで樹脂を供給するために重要になる。時間が掛かったり、温度が下がったりすると、溶融樹脂が途中で固まってしまい、樹脂の中に隙間ができやすくなり、沿面距離を確保することができなくなる。
(2) 注入口は、一般に、流れ込み易くするために、大きい体積を有する場所に設けられる。図9のスロットインシュレータの場合、環状板部上に複数箇所離れて設けることになる。その場合、環状板部に近い絶縁巻線部およびその先の長辺および短辺絶縁巻線保持部に比べ、環状板部から遠い、即ち、環状板部に連設される延長板部に設けられた絶縁巻線部およびその先へは、時間が掛かり、温度が下がるため、溶融樹脂が流れにくい。特に肉厚が薄いスロットインシュレータの場合には折れ曲がる回数が多い程問題が顕著にあらわれる。
(3) 図9のスロットインシュレータの場合は、その構造が複雑であるため、成形用の金型製作が困難になっている。このため、多重化レゾルバでは、スロットインシュレータを採用することができなかった。
(4) 環状板部から離れている、環状板部の中心軸方向下側の絶縁巻線部に巻回した巻線の渡り線が長くなる。このため、巻線ノズルの巻線処理プログラムは正確な巻線動作を期待することが困難なものとなる。さらには、製品の不良率が増加する。
具体的には、以下の手段を採用する。
(1) 環状板部に、該環状板部の周辺に沿って絶縁巻線部を任意数設けたスロットインシュレータにおいて、前記絶縁巻線部は、絶縁巻線保持部を有し、且つ、ステータヨークのテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝が設けられ、前記巻線部挿通溝は、前記絶縁巻線部に、前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられていることを特徴とする。
(2) 上記(1)記載のスロットインシュレータにおいて、前記巻線部挿通溝は、複数個組み合わせたステータヨークのテイースの巻線部を収納することができるように構成されていることを特徴とする。
(3) 環状板部に、該環状板部の内周に沿って該環状板部の中心に向かう絶縁巻線部を任意数設けた上記(1)又は(2)記載のスロットインシュレータにおいて、前記絶縁巻線部は、絶縁巻線保持部を有し、且つ、ステータヨークにおけるテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝が設けられ、前記絶縁巻線保持部は、長辺絶縁巻線保持部と短辺絶縁巻線保持部を有し、前記短辺絶縁巻線保持部は、nを任意の整数とするとき、1個のステータヨークの厚みの任意のn倍に相当する(前記環状板部の中心軸方向の)長さを有し、
前記巻線部挿通溝は、前記絶縁巻線部に、前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられ、前記絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端の両側には、円周面に沿う1対の短辺絶縁巻線保持部が設けられ、前記絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端には、前記1対の短辺絶縁巻線保持部を連結し、且つ前記巻線部挿通溝の前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向に設けた開口と対向する側に長辺絶縁巻線保持部を設けたことを特徴とする。
(4) 上記(3)記載のスロットインシュレータにおいて、前記ステータヨークの巻線保持部と接触しない位置の前記短辺絶縁巻線保持部と、それに連設される長辺絶縁巻線保持部をダミー絶縁巻線保持部で一体に構成したことを特徴とする。
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれか1項記載のスロットインシュレータにおいて、環状板部に、該環状板部の外周に沿って該環状板部の半径方向の外方に向かう絶縁巻線部を任意数設け、前記絶縁巻線部に前記絶縁巻線保持部を設けたことを特徴とする。
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれか1項記載のスロットインシュレータにおいて、環状板部の板面を基準位置として、すべての前記絶縁巻線部は同じ高さ位置に設け、すべての前記絶縁巻線保持部は同じ高さ位置に設けたことを特徴とする。
(7) mを任意の整数とするとき、m個のステータヨークを組み合わせた組立体の両側から前記(1)乃至(6)のいずれか1項記載のスロットインシュレータを1対被着した多重化レゾルバにおいて、前記mを2つの整数pおよびqに分け、前記1対のスロットインシュレータの一方をその巻線部挿通溝がp個分のステータヨークを収納できるようにし、他方をその巻線部挿通溝がq個分のステータヨークを収納できるようにしたことを特徴とする。
(2) コイルはスロットインシュレータのステータヨークの巻線部が収納されていない絶縁巻線部とステータヨークの巻線部が収納されている絶縁巻線部とを一体として巻線を巻回することができるので、同じ高さ位置で同じコイル形状に巻線を巻回することができるようになる。
(3) 環状板部に、該環状板部の周辺に沿って絶縁巻線部を任意数設けたスロットインシュレータにおいて、絶縁巻線部は、絶縁巻線保持部を有し、絶縁巻線部はステータヨークのテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝が設けられ、巻線部挿通溝は、絶縁巻線部に、環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられているので、絶縁巻線部の巻線部挿通溝によりテイースの巻線部を収納できると共に、図9に示す従来の延長板部を用いる必要がなくなる。また、絶縁巻線部を環状板部の周辺に沿って設けることができるので、絶縁巻線部から先の部分の樹脂成形が容易になるように構成することができる。
(4) 巻線部挿通溝は、複数個組み合わせたステータヨークのテイースの巻線部を収納することができるように構成されているので、多重化された複数個のステータヨークにおける任意位置の巻線部を収納することができる。
(5) 環状板部に、該環状板部の内周に沿って該環状板部の中心に向かう絶縁巻線部を任意数設ける。絶縁巻線部は、絶縁巻線保持部を有する。絶縁巻線保持部は、長辺絶縁巻線保持部と短辺絶縁巻線保持部を有する。短辺絶縁巻線保持部は、nを任意の整数とするとき、1個のステータヨークの厚みの任意のn倍に相当する環状板部の中心軸方向の長さを有する。絶縁巻線部には、ステータヨークにおけるテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝が設けられる。巻線部挿通溝は、絶縁巻線部に、環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられる。絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端の両側には、円周面に沿う1対の短辺絶縁巻線保持部が設けられる。絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端には、1対の短辺絶縁巻線保持部を連結する。巻線部挿通溝の環状板部における中心軸方向の向きの一方向に設けた開口と対向する側に長辺絶縁巻線保持部を設ける。このように構成したので、巻線部挿通溝に多重化された複数個のステータヨークにおける任意位置の巻線部を収納することができる。また、巻線保持部を短辺絶縁巻線保持部と長辺絶縁巻線保持部で巻線と絶縁した状態で保持することができるようになる。
(6) ステータヨークの巻線保持部と接触しない位置の短辺絶縁巻線保持部と、それに連設される長辺絶縁巻線保持部をダミー絶縁巻線保持部で一体に構成する。これにより、長辺絶縁巻線保持部とダミー絶縁巻線保持部で巻線保持部を係止することができる。
(7) 環状板部に、該環状板部の外周に沿って該環状板部の半径方向の外方に向かう絶縁巻線部を任意数設ける。また、絶縁巻線部に絶縁巻線保持部を設ける。これにより、アウターロータタイプのレゾルバを構成することができる。
(8) 環状板部の板面を基準位置として、すべての前記絶縁巻線部は同じ高さ位置に設け、すべての前記絶縁巻線保持部は同じ高さ位置に設けたので、樹脂成形する際に樹脂充填経路に差がでない構造にすることができる。
(9) 多重化レゾルバにおいて、mを任意の整数とするとき、m個のステータヨークを組み合わせた組立体の両側からスロットインシュレータを1対被着する。また、前記mを2つの整数pおよびqに分け、1対のスロットインシュレータの一方をその巻線部挿通溝がp個分のステータヨークを収納できるようにし、他方をその巻線部挿通溝がq個分のステータヨークを収納できるようにする。これにより、mが偶数のときだけでなく、mが奇数のときもスロットインシュレータを備えた多重化レゾルバを構成することができる。
巻線保持部4は円弧面を有する板状体部として形成されている。巻線保持部4の円周方向の巾から巻線部の巾を引いた残りの突出部7の巾は、片側突出部6の巾L1の2倍になる。また、ステータヨーク1の中心軸方向(円筒部2の中心軸方向)の高さは、均一に所定の高さH1に形成されている。片側突出部の高さもH1となる。
図8のステータヨーク1は、巻線部3に絶縁物を介して絶縁被覆線(図示省略)を巻回する。ロータは図示省略する。
ステータヨーク1における円筒部2の円周上の各テイース位置には、組み合わせた1対のスロットインシュレータ10、10の1対の短辺絶縁巻線保持部14、14が2組あるが、ステータヨーク1ではテイース5が1個、即ち片側突出部6が1対あることになる。このことは、面積比として2:1となり、2重化の2に一致する。
(巻線)
図5(a)及び図5(b)に示すように、中心軸方向の一方向に順に、一方のスロットインシュレータ10aの長辺絶縁巻線保持部15、同じく一方のスロットインシュレータ10aの一対の短辺絶縁巻線保持部14、14、他方のスロットインシュレータ10bの一対の短辺絶縁巻線保持部14、14、同じく他方のスロットインシュレータ10bの長辺絶縁巻線保持部15と配置する。前記いずれかの一対の短辺絶縁巻線保持部14、14間にステータヨーク1の巻線保持部4を配置した状態で、両スロットインシュレータ10a、10bの絶縁巻線部12、12上に巻線(図示省略)が巻回される。
(実施例1の効果)
多重化レゾルバ用のスロットインシュレータを、全てのテイースに対応する1重化レゾルバ対応のスロットインシュレータとしたので、構造を簡単にすることができる。
(実施例2の効果)
実施例2の場合、図3の組立状態において、ステータヨークの各テイースの巻線保持部をダミー絶縁巻線保持部と長辺絶縁巻線保持部で挟んで位置決め固定することができる。巻線部挿通溝が露出することがない。
スロットインシュレータの絶縁巻線保持部は、ステータヨーク単位で構成する。
ステータヨークは、前記アウターロータタイプのスロットインシュレータに対応する構成とする。アウターロータタイプのステータヨークの各部構成は上で述べた説明を援用する。アウターロータタイプのレゾルバの多重化についても同様に上で述べた説明を援用して構成する。
2 円筒部
3 巻線部
4 巻線保持部
5 テイース
6 片側突出部
7 突出部
10 スロットインシュレータ
11 環状板部
12 絶縁巻線部
13 絶縁巻線保持部
14 短辺絶縁巻線保持部
15 長辺絶縁巻線保持部
16 巻線部挿通溝
17 ダミー絶縁巻線保持部
Claims (7)
- 環状板部に、該環状板部の周辺に沿って絶縁巻線部を任意数設けたスロットインシュレータであって、前記絶縁巻線部は、絶縁巻線保持部を有し、且つ、ステータヨークのテイースの巻線部を収納する巻線部挿通溝が設けられ、前記巻線部挿通溝は、前記絶縁巻線部に、前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられていることを特徴とするスロットインシュレータ。
- 前記巻線部挿通溝は、複数個組み合わせたステータヨークのテイースの巻線部を収納することができるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のスロットインシュレータ。
- 前記環状板部に、該環状板部の内周に沿って該環状板部の中心に向かう前記絶縁巻線部を任意数設けた前記スロットインシュレータであって、前記絶縁巻線部は、前記絶縁巻線保持部を有し、且つ、前記ステータヨークにおける前記テイースの巻線部を収納する前記巻線部挿通溝が設けられ、前記絶縁巻線保持部は、長辺絶縁巻線保持部と短辺絶縁巻線保持部を有し、前記短辺絶縁巻線保持部は、nを任意の整数とするとき、1個の前記ステータヨークの厚みのn倍に相当する前記環状板部の中心軸方向の長さを有し、前記巻線部挿通溝は、前記絶縁巻線部に、前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向および半径方向の向きの両側に開口するように設けられ、前記絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端の両側には、円周面に沿う1対の前記短辺絶縁巻線保持部が設けられ、前記絶縁巻線部における長さ方向の向きの内側端には、前記1対の短辺絶縁巻線保持部を連結し、且つ前記巻線部挿通溝の前記環状板部における中心軸方向の向きの一方向に設けた開口と対向する側に前記長辺絶縁巻線保持部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットインシュレータ。
- 前記ステータヨークの前記巻線保持部と接触しない位置の前記短辺絶縁巻線保持部と、それに連設される前記長辺絶縁巻線保持部をダミー絶縁巻線保持部で一体に構成したことを特徴とする請求項3記載のスロットインシュレータ。
- 前記環状板部に、該環状板部の外周に沿って該環状板部の半径方向の外方に向かう前記絶縁巻線部を任意数設け、前記絶縁巻線部に前記絶縁巻線保持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスロットインシュレータ。
- 前記環状板部の板面を基準位置として、すべての前記絶縁巻線部は同じ高さ位置に設け、すべての前記絶縁巻線保持部は同じ高さ位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスロットインシュレータ。
- mを任意の整数とするとき、m個のステータヨークを組み合わせた組立体の両側から前記請求項1乃至6のいずれか1項記載のスロットインシュレータを1対被着した多重化レゾルバであって、前記mを2つの整数pおよびqに分け、前記1対のスロットインシュレータの一方をその巻線部挿通溝がp個分のステータヨークを収納できるようにし、他方をその巻線部挿通溝がq個分のステータヨークを収納できるようにしたことを特徴とする多重化レゾルバ。
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