JP2006124818A - 硬質皮膜およびその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐摩耗性および耐焼き付き性に優れる硬質皮膜とその形成方法を提供する。
【解決手段】 (1) (XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる硬質皮膜であって、MはW、Vの1種以上、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niの1種以上であり、式(1) 〜(4) 〔式(1):0.05≦a≦0.7 、式(2):0≦b≦0.5 、式(3):0<1−a−b、式(4):0≦c≦0.3 〕を満たすことを特徴とする硬質皮膜。但し、aはBの原子比、bはCの原子比、cはXの原子比である。(2) (XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜とB1-d-e d e からなる皮膜とを2層以上積層してなる硬質皮膜であって、MはW、V、Moの1種以上、Xは前記(1) の場合と同様であり、式(5) 〜(8) 及び式(9) 〜(10)〔式(5):0≦a≦0.7 、式(6) 〜(8):式(2) 〜(4) と同様、式(9) :0≦d≦0.25、式(10): (1−d−e)/e≦1.5 〕を満たすことを特徴とする硬質皮膜等。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬質皮膜およびその形成方法に属するものであり、特には、金属成型用の金型や治工具に適用する硬質皮膜およびその形成方法に属するものである。
従来より金型などの金属加工用の治工具は窒化処理により耐摩耗性および耐焼き付き性の改善がなされてきた。近年では窒化処理に代えて、PVD 等の気相コーティングによる耐摩耗性ならびに耐焼き付き性の改善が検討されている。例えば、特開2000-144376 号公報には、Cr、Al、Ti、Vのうち少なくとも2種類を含む複合窒化物の形成によるしゅう動性の改善について記載されている。また、特開2002-307128 号公報や特開2002-307129 号公報には、Ti、V、Al、Cr、Siの1種以上の窒化物、炭化物ならびに炭窒化物の形成により、あるいは、更にこの上にTi、Crを含み残部Moより構成される硫化物層を形成することにより、耐摩耗性あるいは焼き付き性に優れる表面被覆金型が開示されている。また、特開2000-1768 号公報には、硬質窒化物上にMoS2を形成した耐摩耗性ならびに耐焼き付き性に優れる表面処理材料が開示されている。
特開2000-144376 号公報 特開2002-307128 号公報 特開2002-307129 号公報 特開2000-1768 号公報
前記特開2000-144376 号公報に記載されたCr、Al、Ti、Vのうち少なくとも2種類を含む複合窒化物では、高硬度であり耐摩耗性には優れるが、上記の複合窒化物は耐焼き付き性が十分では無く、高面圧で金属の塑性加工をする場合など、過酷な環境の使用には耐え得ない。また、特開2002-307128 号公報や特開2002-307129 号公報に開示されたTi、V、Al、Cr、Siの1種以上の窒化物、炭化物ならびに炭窒化物も同様に高硬度ではあるが、耐焼き付き性に劣る。また、耐焼き付き性改善のために特開2000-1768 号公報に開示されるように硫化物(MoS2)を形成した場合、硫化物は軟質であり、使用当初はしゅう動特性に優れるが、使用時間と共に摩滅し、長期耐久性には問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れる硬質皮膜およびその形成方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、硬質皮膜及びその形成方法に係わり、これは請求項1〜5記載の硬質皮膜(第1〜5発明に係る硬質皮膜)、請求項6記載の硬質皮膜の形成方法(第6発明に係る硬質皮膜の形成方法)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の硬質皮膜は、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる硬質皮膜であって、MはW、Vの1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記式(1) 〜(4) を満たすことを特徴とする硬質皮膜である〔第1発明〕。
0.05≦a≦0.7 ----------------------式(1)
0≦b≦0.5 --------------------- 式(2)
0<1−a−b --------------------- 式(3)
0≦c≦0.3 ----------------------式(4)
ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(1) 〜(4) において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。
請求項2記載の硬質皮膜は、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜と、B1-d-e d e からなる皮膜とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、MはW、V、Moから選択される1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記の式(5) 〜(8) および式(9) 〜(10)を満たすことを特徴とする硬質皮膜である〔第2発明〕。 0≦a≦0.7 --------------------- 式(5)
0≦b≦0.5 --------------------- 式(6)
0<1−a−b --------------------- 式(7)
0≦c≦0.3 --------------------- 式(8)
0≦d≦0.25 --------------------- 式(9)
(1−d−e)/e≦1.5 ----------- 式(10)
ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(5) 〜(8) において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。上記B1-d-e d e 、上記式(9) 〜(10)において、dはCの原子比、eはNの原子比、1−d−eはBの原子比を示すものである。
請求項3記載の硬質皮膜は、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜と、Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、MはW、V、Moから選択される1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記の式(11)〜(14)、および、式(15)〜(16)または式(17)を満たすことを特徴とする硬質皮膜である〔第3発明〕。
0≦a≦0.7 --------------------- 式(11)
0≦b≦0.5 --------------------- 式(12)
0<1−a−b --------------------- 式(13)
0≦c≦0.3 --------------------- 式(14)
0≦f≦0.25 --------------------- 式(15)
(1−f−g)/g≦1.4 ----------- 式(16)
0≦h≦0.6 --------------------- 式(17)
ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(11)〜(14)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。上記Si1-f-g f g 、上記式(15)〜(16)において、fはCの原子比、gはNの原子比、1−f−gはSiの原子比を示すものである。上記C1-h h 、上記式(17)において、hはNの原子比、1−hはCの原子比を示すものである。
請求項4記載の硬質皮膜は、前記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜層の厚みが1〜200nm であると共に、前記B1-d-e d e からなる皮膜層、Si1-f-g f g からなる皮膜層またはC1-h h からなる皮膜層の厚みが0.5 〜50nmである請求項2または3記載の硬質皮膜である〔第4発明〕。
請求項5記載の硬質皮膜は、前記皮膜の総厚みが1〜10μmである請求項1〜4のいずれかに記載の硬質皮膜である〔第5発明〕。
請求項6記載の硬質皮膜の形成方法は、請求項1〜5のいずれかに記載の硬質皮膜の形成方法であって、W、V、Moから選択される1種以上を含む金属ターゲットとB4 C、SiあるいはCターゲットを各々1個以上使用し、複数個の蒸発源を有する成膜装置を用いて成膜し、この成膜の際に基板回転速度を変化させることを特徴とする硬質皮膜の形成方法である〔第6発明〕。
本発明によれば、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れた硬質皮膜が得られる。即ち、本発明に係る硬質皮膜によれば、優れた耐摩耗性および耐焼き付き性を得ることができる。本発明に係る硬質皮膜の形成方法によれば、このような本発明に係る硬質皮膜を得ることができる。
本発明の第1発明に係る硬質皮膜(請求項1記載の硬質皮膜)において、MがW、Vの1種以上(W及び/又はV)であることとしたのは、これらの元素が形成する酸化物がいずれも融点が低く、軟質でしゅう動特性に優れ、このため耐焼き付き性に優れている点にある。これらの元素が含まれる場合、材料加工時に被加工材との接触が生じた部分で局所的に摩擦により温度上昇が生じ、酸化皮膜が形成される。Wの酸化物であるWO3 の融点は1400℃、Vの酸化物であるV2O5の融点は685 ℃であり、Wの酸化物の方がVの酸化物よりも融点が高い。融点が高い酸化物を形成する元素ほど、高面圧あるいは高温での使用に適する。従って、これらの元素の比率は使用目的に合わせて適時選択すれば良い。
Mの一部を 0.3(原子比)を上限に4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上で置換しても良い。 0.3(原子比)を超えて置換すると、上記の酸化物形成による耐焼き付き性の向上の効果は失われる(減少して不充分となる)。そこで、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )において、M:W、Vの1種以上、X:4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上、c:Xの原子比、1−c:Mの原子比とし、このXの原子比cが0≦c≦0.3 である〔式(4) を満たすこと〕とした。なお、置換する元素(X)の中では特にCr、Si、Alが耐酸化性を向上させることから推奨される。
次に、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )におけるB、C、Nとその比率について説明する。Nは、元素Mと結合して硬質窒化物を形成することから必須である。即ち、式(3) を満たすことが必要である。B、Cの比率にもよるがNの比率(原子比)は0.2 以上であることが好ましく、より好ましくは0.5 以上である。
B添加の第一の目的は、Nと結合して皮膜中にB-N 結合を生成し、潤滑性を高めることにあり、また、Bの一部はMとも結合し、硬質ホウ化物を形成する。従って、Bの添加により耐摩耗性および焼き付き性が向上する。かかる効果を充分に発揮させるためには、Bの原子比aは0.05以上であること〔式(1) を満たすこと〕が必要であり、好ましくは0.1 以上である。ただし、過度に添加すると軟質なBN化合物が多くなりすぎることから、Bの原子比aは0.7 以下とすること〔式(1) を満たすこと〕が必要であり、好ましくは0.5 以下である。
CはMと結合して硬質炭化物を形成し、それにより高硬度化をはかることができることから、Cの原子比bは0.05以上であることが望ましい。ただし、過度の添加はMと結合しない遊離Cを生成することから、0.5 以下であること〔式(2) を満たすこと〕が必要であり、好ましくは0.3 以下であり、より好ましくは0.2 以下である。
なお、第1発明に係る硬質皮膜において、(XC , M1-C )を(XM)と表現すると共に(Ba b 1-a-b )を(BCN)と表現すると、(XM)と(BCN)との原子比、言い換えると、金属元素グループと非金属元素グループとの二つの括弧同士の原子比は、通常は1:1であるが、必ずしも1:1の場合のみに限定されない。実際に成膜される場合においては、成膜条件の違いなどにより、(XM)と(BCN)との原子比は、当然、1:1の場合のみには限らず、例えば、0.8 〜1.2 :0.8 〜1.2 などの振れ幅を有している。従って、上記第1発明に係る硬質皮膜において、(XM)と(BCN)との原子比、即ち、金属元素グループと非金属元素グループとの原子比は、これらの実際に成膜される化合物の原子比の振れ幅を当然許容するものである(このことに関して、以下第2発明および第3発明の層Aにおいても同様である)。
第1発明に係る硬質皮膜において、皮膜の位置や個所によって組成が同一である必要はなく、第1発明に係る硬質皮膜の要件(組成)を満たしていれば皮膜の位置や個所によって組成が異なっていてもよく、例えば、皮膜の厚み方向に組成が異なっていてもよい。このように皮膜の厚み方向に組成が異なるものとしては、例えば、上記要件(組成)を満たす皮膜(皮膜F1 )と、上記要件(組成)を満たす皮膜であって前記皮膜F1 とは組成が異なる皮膜(皮膜F2 )とを積層したもの、あるいは更に上記要件(組成)を満たす皮膜であって前記皮膜F1 および皮膜F2 とは組成が異なる皮膜(皮膜F3 )を積層したもの等を挙げることができる。
本発明の第2発明に係る硬質皮膜(請求項2記載の硬質皮膜)は、前述のような硬質皮膜である。即ち、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜(以下、層Aともいう)と、B1-d-e d e からなる皮膜(以下、層Bともいう)とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、前述の式(5) 〜(8) および式(9) 〜(10)を満たすものである。高面圧・高温等の過酷な環境下における特性を向上させるためには、このような層Aと層Bを積層することが有効である。
上記層A〔(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜〕は、Bの原子比aの下限値が0であり、Bを含まない場合もある点、および、MはW、V、Moの1種以上である点を除き、第1発明に係る硬質皮膜と同様の組成である。第2発明に係る硬質皮膜の場合は層B〔B1-d-e d e からなる皮膜〕と積層され、これにより耐摩耗性および焼き付き性が向上するため、Bの原子比aは0.05未満であってもよく、Bを含まなくてもよい。また、MとしてW、Vの他にMoも用いることができる。これらの点を除き、Bの作用効果、Bの原子比aの上限値、好ましい範囲は、第1発明に係る硬質皮膜の場合と同様である。また、Cの作用効果、Cの原子比bの上限値、bの好ましい範囲、Nの作用効果、Nの原子比:1−a−bの好ましい範囲、M(W、V、Moの1種以上)の作用効果、X(4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上)の作用効果、Xの上限値等は、第1発明に係る硬質皮膜の場合と同様である。
上記層B(B1-d-e d e からなる皮膜)は、1000℃までの高温まで安定して潤滑性を保つため、耐焼き付き性が向上する。Cの添加により高硬度化する。Cは、Cの原子比dで0.25を上限として添加することができる。即ち、Cの原子比dが高くなるに伴って硬度が高くなるが、Cの原子比d>0.25の場合、Bと結合しないCが皮膜中に析出し低硬度化するため、Cの原子比dは0.25以下とすることが必要である。つまり、式(9) を満たすことが必要である。また、Bの原子比とNの原子比との比、即ち、(1−d−e)/eが1.5 を超えてBリッチになった場合、潤滑性が失われるため、この上限を1.5 とする。即ち、(1−d−e)/e≦1.5 とすることが必要である。つまり、式(10)を満たすことが必要である。
上記B1-d-e d e からなる皮膜に代えてSi1-f-g f g からなる皮膜を層Bとして用いることにより、耐酸化性が向上し、高温下での使用に適するものとなり、また、上記B1-d-e d e からなる皮膜に代えてC1-h h からなる皮膜を層Bとして用いる場合、潤滑性はB1-d-e d e からなる皮膜よりも優れるが、高温側で変質するため、温度上昇が著しくない部材で効果を発揮する〔第3発明〕。
このようにSi1-f-g f g からなる皮膜やC1-h h からなる皮膜を層Bとして用いたものは本発明の第3発明に係る硬質皮膜(請求項3記載の硬質皮膜)であり、これは前述のような硬質皮膜である。即ち、(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜(以下、層Aともいう)と、Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜(以下、層Bともいう)とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、前述の式(11)〜(14)、および、式(15)〜(16)または式(17)を満たすものである。
上記層A〔(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜〕は、Bの原子比aの下限値が0であり、Bを含まない場合もある点、および、MはW、V、Moの1種以上である点を除き、第1発明に係る硬質皮膜と同様の組成である。第2発明に係る硬質皮膜の場合は層B(Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜)と積層されるため、Bの原子比aは0.05未満であってもよく、Bを含まなくてもよい。また、MとしてW、Vの他にMoも用いることができる。これらの点を除き、Bの作用効果、Bの原子比aの上限値、好ましい範囲は、第1発明に係る硬質皮膜の場合と同様である。また、Cの作用効果、Cの原子比bの上限値、bの好ましい範囲、Nの作用効果、Nの原子比:1−a−bの好ましい範囲、M(W及び/又はV)の作用効果、X(4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上)の作用効果、Xの上限値等は、第1発明に係る硬質皮膜の場合と同様である。
上記層B(Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜)の中、Si1-f-g f g からなる皮膜は耐酸化性に優れており、この皮膜を層Bとして用いた場合は耐酸化性が向上し、高温下での使用に適するものとなる。一方、C1-h h からなる皮膜は、潤滑性がB1-d-e d e からなる皮膜よりも優れており、この皮膜を層Bとして用いた場合は潤滑性が向上する。ただし、このC1-h h からなる皮膜は高温側で変質するため、温度上昇が著しくない部材で効果を発揮する。
Si1-f-g f g からなる皮膜を層Bとして用いる場合、Cの原子比fは0.25以下とすることが必要である。つまり、式(15)を満たすことが必要である。これは、前記第2発明に係る硬質皮膜の場合と同様の理由による。また、Siの原子比とNの原子比との比、即ち、(1−f−g)/gの上限を1.4 とする。つまり、式(16)を満たすことが必要である。これは、(1−f−g)/gが1.4 を超えてSiリッチになった場合、潤滑性が失われるからである。
1-h h からなる皮膜を層Bとして用いる場合、Nの原子比hは0.6 以下とすることが必要である。つまり、式(17)を満たすことが必要である。これは、Nの原子比hが0.6 超の場合、量論組成を超えるために合成されないからである。
上記のように層A〔(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜〕と層B〔B1-d-e d e からなる皮膜や、Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜〕とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜において、前記層Aの厚み:1〜200nm となるようにすると共に、前記層Bの厚み:0.5 〜50nmとなるようにすることが望ましい〔第4発明〕。即ち、層Bを厚くしすぎると層Bの部分より剥離が生じる傾向があるため、層Bの厚みを50nm以下にすることが望ましい。層Bの厚みが0.5nm 未満の場合は層Aと混合されてしまって、層Bの特性が出難くなる傾向があるため、層Bの厚みを0.5nm 以上にすることが望ましい。従って、層Bの厚み:0.5 〜50nmとなるようにすることが望ましい。より好ましくは層Bの厚み:1〜25nm、さらに好ましくは2〜10nmである。一方、層Aの厚みが1nm未満の場合は、層Aの積層数を増しても、硬質皮膜層として層Aの特性を確保し難くなる傾向があり、層Aの厚みが200nm 超の場合は、積層膜としての複合効果が少なく、層Bの特性が出難くなり、層Bを設けないで層Aのみを積層して成膜する場合と大差なくなるため、層Aの厚み:1〜200nm となるようにすることが望ましい。より好ましくは、層Aの厚み:2〜100nm 、さらに好ましくは2〜10nmである。更に、層Aの厚みが2〜10nmとなるようにすると共に、層Bの厚みが2〜10nmとなるようにすることがより一層望ましい。
第1発明に係る硬質皮膜、上記のように層Aと層Bとを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜(第2発明に係る硬質皮膜、第3発明に係る硬質皮膜)のいずれにおいても、皮膜の総厚みは特には限定されず、種々の厚みとすることができ、例えば、1〜10μm とすればよい〔第5発明〕。皮膜の総厚みが10μm を超えても効果は飽和する。この点からすると、10μm 以下とすることが望ましい。皮膜の総厚みが1μm 未満では耐摩耗性が好ましくない水準に低下する傾向がある。この点からすると、1μm 以上とすることが望ましい。
本発明の第1発明に係る硬質皮膜(請求項1記載の硬質皮膜)や、第2〜3発明に係る硬質皮膜での(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜は、M(W、V、Moから選択される1種以上)およびBを含むターゲットをスパッタリングやアーク蒸発により窒素やメタン雰囲気中で反応性成膜することで形成できるが、Bを含むターゲットは高価で作製が困難であり、かつ、上記手法での成膜時に放電が不安定となる傾向がある。そこで、本発明の第1〜3発明に係る硬質皮膜(請求項1〜3記載の硬質皮膜)をすべて形成できる方法として、請求項6記載の硬質皮膜の形成方法(本発明の第6発明に係る硬質皮膜の形成方法)を開発した。この硬質皮膜の形成方法は、W、V、Moから選択される1種以上を含む金属ターゲットとB4 C、SiあるいはCターゲットを各々1個以上使用し、複数個の蒸発源を有する成膜装置を用いて成膜し、この成膜の際に基板回転速度を変化させることを特徴とする硬質皮膜の形成方法である〔第6発明〕。
この硬質皮膜の形成方法は例えば次のようにして行う。即ち、複数個の蒸発源(例えばスパッタリング蒸発源)を有する成膜装置を用い、M(W、V、Moの1種以上)を含む金属ターゲットとB4 C、SiあるいはCターゲットを各々1個以上使用し、窒素あるいは窒素−メタンあるいはArを混合した反応性ガス雰囲気中で成膜を実施する。この成膜の際に、基板を基板ステージに搭載し、回転させながら成膜を行う。また、基板は各蒸発源の正面を回転に同期して通過するため、回転速度が遅い場合その皮膜は各々の蒸発源の正面で形成された皮膜の積層膜となる。ただし、基板回転の速度が速く、1層当たりの厚みが0.5nm 以下となるとき、蒸発粒子のエネルギーや基板に印可したバイアスの効果でミキシングが生じ、実質的に均一な組成を有する皮膜と見なせる。蒸発源としてはアーク蒸発源およびスパッタリング蒸発源が推奨されるが、アーク蒸発源の場合、導電性が低い材料や極端な高融点の材料は放電しがたい傾向があることから、アーク蒸発源で使用可能なのはV、Moであり、残りはスパッタ蒸発源での使用が推奨される。
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔例A〕
金属元素MおよびBを含有するターゲットを使用し、アーク蒸発源およびスパッタ蒸発源を有する成膜装置にて表1のNo.4〜2Oに示す組成の皮膜を作製した。即ち、基板上に表1のNo.4〜2Oに示す組成の皮膜を形成(成膜)させた材料(以下、皮膜形成材ともいう)を得た。
このとき、基板としては、組成、硬度および結晶構造調査用の皮膜形成材の作製の場合は、鏡面研磨した超硬合金を使用し、しゅう動試験用の皮膜形成材の作製の場合は、SKD61 (硬度:HRC50 )を使用した。
成膜は次のようにして行った。基板を装置内に導入した後、1×10-3Pa以下に排気し、基板を約400 ℃に加熱し、この後、Arイオンを用いてスパッタクリーニングを実施した。この後、成膜を行った。このとき、アーク蒸発源による成膜の場合は、φ100mm のターゲットを用い、アーク電流:150 Aとし、全圧力:2.7Pa のN2雰囲気あるいはN2とCH4 の混合ガス中にて成膜を実施した。一方、スパッタ蒸発源による成膜の場合は、φ6インチのターゲットを用い、投入電力:2kWとし、ArとN2の混合ガス(Ar:N2=65:35)を用いて全圧力:0.6Pa として成膜を実施した。Cを添加するときは、上記ArとN2の混合ガスに代えてArとN2とCH4 の混合ガスを用いた。膜厚は一定(約3μm)とした。
このようにして得られた皮膜形成材を用いて次のような試験を行った。硬度調査用の皮膜形成材(基板:鏡面超硬合金)を用いて、マイクロビッカース硬度計(荷重:25gf)により硬度を測定した。
また、しゅう動試験用の皮膜形成材(基板:SKD61)を用いて、しゅう動試験を実施し、耐摩耗性ならびに摩擦係数を測定した。この摩擦係数から耐焼き付き性を調査した。このとき、しゅう動試験は、往復しゅう動型の試験機を用い、ボールオンプレート型の配置で行い、プレートには各種被覆材を用い、ボールには直径:3/8インチのSUJ2材(硬度:HRC60 )を使用した。垂直荷重:2N、しゅう動幅:10mm、しゅう動速度:0.1 m/sとして、250 mまでしゅう動した。試験温度は温度上昇を模擬するため200 ℃とした。摩擦係数は、試験開始直後の摩擦係数ならびに100 m(しゅう動距離)経過後の摩擦係数で評価した。耐摩耗性は、250 mしゅう動後のプレート摩耗体積より算出した比摩耗量より評価した。
一方、表1のNo.1〜3 に示す組成の皮膜を形成した材料を作製した。即ち、基板表面を窒化処理した材料(No.1)、基板上にTiN 皮膜を形成させた材料(No.2)、基板上にCrN 皮膜を形成させ、その上にMoS2を形成した材料(No.3)を作製した。そして、これらの材料(皮膜形成材)について、上記の場合と同様の試験を行った。
上記試験の結果を表1に示す。なお、表1の組成の欄でのV、W、Mo、他(以下、X)の数値は、V、W、MoおよびXでのVの原子比、Wの原子比、Moの原子比、Xの原子比cを示すものである。V、W、Moのそれぞれの原子比の合計は、Mの原子比(1−c)に相当する。表1の組成の欄でのB、C、Nの数値は、B、CおよびNでのBの原子比(a)、Cの原子比(b)、Nの原子比(1−a−b)を示すものである。また、表1の比摩耗量の単位のmm3/Nmは、mm3/Nmのことである。
表1からわかるように、比較例に係る皮膜を形成させた材料(皮膜形成材)は、比摩耗量が多いか、または、摩擦係数が大きいか、もしくは、比摩耗量が多く且つ摩擦係数が大きい。従って、耐摩耗性が悪いか、または、しゅう動特性が悪くて耐焼き付き性が悪いか、もしくは、耐摩耗性が悪く且つ耐焼き付き性が悪い。即ち、比較例に係る皮膜は、耐摩耗性および/または耐焼き付き性(耐摩耗性、耐焼き付き性のいずれか、または、両方)が悪い。
これに対し、本発明の実施例(本発明例)に係る硬質皮膜を形成させた材料(皮膜形成材)は、比摩耗量が少なく、かつ、摩擦係数が小さい。従って、耐摩耗性に優れており、かつ、しゅう動特性に優れて耐焼き付き性に優れている。即ち、本発明例に係る硬質皮膜は、耐摩耗性、耐焼き付き性のいずれも優れている。なお、上記本発明例は本発明の第1発明の実施例である。
〔例B〕
金属元素MおよびBを含有するターゲット、および、B4 C、Si、Cターゲットを使用し、アーク蒸発源ならびにスパッタ蒸発源を有する成膜装置にて表2に示す組成の皮膜を作製した。即ち、基板上に表2に示す組成の皮膜を形成(成膜)させた材料(皮膜形成材)を得た。
このとき、基板としては、組成、硬度および結晶構造調査用の皮膜形成材の作製の場合は、鏡面研磨した超硬合金を使用し、しゅう動試験用の皮膜形成材の作製の場合は、SKD61 (硬度:HRC50 )を使用した。
成膜は次のようにして行った。基板を装置内に導入した後、1×10-3Pa以下に排気し、基板を約400 ℃に加熱し、この後、Arイオンを用いてスパッタクリーニングを実施した。この後、成膜を行った。このとき、ターゲットはすべてスパッタ蒸発源に取り付けて成膜を行った。即ち、スパッタ蒸発源による成膜方式を採用した。ターゲットとしてはφ6インチのターゲットを用い、投入電力:2kWとし、ArとN2の混合ガス(Ar:N2=65:35)を用いて全圧力:0.6Pa として成膜を実施した。Cを添加するときは、上記ArとN2の混合ガスに代えてArとN2とCH4 の混合ガスを用いた。皮膜の積層構造を制御するために、基板の回転数を制御した。膜厚(皮膜の総厚み)は一定(約3μm)とした。なお、表2に示す皮膜は、いずれの場合も、皮膜A(層A)と皮膜B(層B)とを合計で2層積層してなるものである。即ち、基板上に層Aを有し、その上に層Bを有するものである。
このようにして得られた皮膜形成材を用いて次のような試験を行った。硬度調査用の皮膜形成材(基板:鏡面超硬合金)を用いて、マイクロビッカース硬度計(荷重:25gf)により硬度を測定した。
また、しゅう動試験用の皮膜形成材(基板:SKD61)を用いて、しゅう動試験を実施し、耐摩耗性ならびに摩擦係数を測定した。この摩擦係数から耐焼き付き性を調査した。このとき、しゅう動試験は、往復しゅう動型の試験機を用い、ボールオンプレート型の配置で行い、プレートには各種被覆材を用い、ボールには直径:3/8インチのSUJ2材(硬度:HRC60 )を使用した。垂直荷重:2N、しゅう動幅:10mm、しゅう動速度:0.1 m/sとして、250 mまでしゅう動した。試験温度は温度上昇を模擬するため200 ℃とした。摩擦係数は、試験開始直後の摩擦係数ならびに100 m(しゅう動距離)経過後の摩擦係数で評価した。耐摩耗性は、250 mしゅう動後のプレート摩耗体積より算出した比摩耗量より評価した。
上記試験の結果を表2に示す。なお、表2の各成分に付けた数値は、各成分の原子比を示すものである。ただし、原子比が1の場合には数値を付けていない。例えば、No.1の層Aの場合、CおよびNでのCの原子比:0.1 、Nの原子比:0.9 であり、CおよびNに対するWの原子比:1であることを示している。No.11 の層Aの場合、VおよびWでのVの原子比:0.5 、Wの原子比:0.5 であり、B、CおよびNでのBの原子比:0.15、Cの原子比:0.05、Nの原子比:0.8 であることを示している。なお、この場合、VおよびWとB、CおよびNとの比(原子比)は1:1である。また、表2の比摩耗量の単位のmm3/Nmは、mm3/Nmのことである。
表2からわかるように、No.1〜7 の皮膜は、本発明の第2発明の実施例に係るものである。No.8の皮膜は、層Bの組成の点において本発明の第2発明に係る要件を満たしていないものである。即ち、No.8の皮膜は層Bの(1−d−e)/eが1.5 超であり、(1−d−e)/e≦1.5 の要件を満たしていないものである(なお、e:Nの原子比、1−d−e:Bの原子比である)。また、No.14 〜15の皮膜は、本発明の第2発明の実施例に係るものである。
No.9の皮膜およびNo.11 〜12の皮膜は、本発明の第3発明の実施例に係るものである。No.10 の皮膜およびNo.13 の皮膜は、層Bの組成の点において本発明の第3発明に係る要件を満たしていないものである。即ち、No.10 の皮膜は層Bの(1−f−g)/gが1.4 超であり、(1−f−g)/g≦1.4 の要件を満たしていないものである(なお、g:Nの原子比、1−f−g:Siの原子比である)。No.13 の皮膜は層Bのh(Nの原子比)が0.6 超であり、0≦h≦0.6 の要件を満たしていないものである。
表2からわかるように、本発明の第2発明の実施例に係る皮膜は、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れている。即ち、No.1〜7 の場合は、No.8の場合に比較し、比摩耗量が少なく、かつ、摩擦係数が小さく、従って、耐摩耗性に優れており、かつ、しゅう動特性に優れて耐焼き付き性に優れている。また、No.14 〜15の皮膜は、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れている。
また、本発明の第3発明の実施例に係る皮膜は、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れている。即ち、No.9の場合は、No.10 の場合に比較し、比摩耗量が少なく、かつ、摩擦係数が小さく、従って、耐摩耗性に優れており、かつ、しゅう動特性に優れて耐焼き付き性に優れている。No.11 〜12の場合は、No.13 の場合に比較し、比摩耗量が少なく、かつ、摩擦係数が小さく、従って、耐摩耗性に優れており、かつ、しゅう動特性に優れて耐焼き付き性に優れている。
Figure 2006124818
Figure 2006124818
本発明に係る硬質皮膜は、耐摩耗性および耐焼き付き性に優れているので、金属成型用の金型や治工具等のコーティング皮膜として好適に用いることができ、それらの耐久性を向上することができて有用である。

Claims (6)

  1. (XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる硬質皮膜であって、MはW、Vの1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記の式(1) 〜(4) を満たすことを特徴とする硬質皮膜。
    0.05≦a≦0.7 ----------------------式(1)
    0≦b≦0.5 --------------------- 式(2)
    0<1−a−b --------------------- 式(3)
    0≦c≦0.3 ----------------------式(4)
    ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(1) 〜(4) において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。
  2. (XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜と、B1-d-e d e からなる皮膜とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、MはW、V、Moから選択される1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記の式(5) 〜(8) および式(9) 〜(10)を満たすことを特徴とする硬質皮膜。
    0≦a≦0.7 --------------------- 式(5)
    0≦b≦0.5 --------------------- 式(6)
    0<1−a−b --------------------- 式(7)
    0≦c≦0.3 --------------------- 式(8)
    0≦d≦0.25 --------------------- 式(9)
    (1−d−e)/e≦1.5 ----------- 式(10)
    ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(5) 〜(8) において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。上記B1-d-e d e 、上記式(9) 〜(10)において、dはCの原子比、eはNの原子比、1−d−eはBの原子比を示すものである。
  3. (XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜と、Si1-f-g f g からなる皮膜またはC1-h h からなる皮膜とを合計で2層以上交互に積層して形成した硬質皮膜であって、MはW、V、Moから選択される1種以上であり、Xは4A、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される1種以上であると共に、下記の式(11)〜(14)、および、式(15)〜(16)または式(17)を満たすことを特徴とする硬質皮膜。
    0≦a≦0.7 --------------------- 式(11)
    0≦b≦0.5 --------------------- 式(12)
    0<1−a−b --------------------- 式(13)
    0≦c≦0.3 --------------------- 式(14)
    0≦f≦0.25 --------------------- 式(15)
    (1−f−g)/g≦1.4 ----------- 式(16)
    0≦h≦0.6 --------------------- 式(17)
    ただし、上記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )、上記式(11)〜(14)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比、cはXの原子比、1−cはMの原子比を示すものである。上記Si1-f-g f g 、上記式(15)〜(16)において、fはCの原子比、gはNの原子比、1−f−gはSiの原子比を示すものである。上記C1-h h 、上記式(17)において、hはNの原子比、1−hはCの原子比を示すものである。
  4. 前記(XC , M1-C )(Ba b 1-a-b )からなる皮膜層の厚みが1〜200 nmであると共に、前記B1-d-e d e からなる皮膜層、Si1-f-g f g からなる皮膜層またはC1-h h からなる皮膜層の厚みが0.5 〜50nmである請求項2または3記載の硬質皮膜。
  5. 前記皮膜の総厚みが1〜10μmである請求項1〜4のいずれかに記載の硬質皮膜。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の硬質皮膜の形成方法であって、W、V、Moから選択される1種以上を含む金属ターゲットとB4 C、SiあるいはCターゲットを各々1個以上使用し、複数個の蒸発源を有する成膜装置を用いて成膜し、この成膜の際に基板回転速度を変化させることを特徴とする硬質皮膜の形成方法。
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