JP2006124218A - セラミックス焼結体およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の黒色石英ガラスは添加物の影響やボイドの発生による光散乱、迷光、色むらがあり、光学分析用部材に用いた際に分析精度が低下するなどの問題があった。また、添加剤を入れることでさらに強度が下がり、わずかな振動や衝撃によって破損が発生するなどの問題があった。
【解決手段】コーディエライトを主成分とし、Mnを除く遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃であることを特徴とするセラミックス焼結体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は光学分析用セル等に用いられる黒色石英ガラスの代替となるセラミックス焼結体に関するものである。
黒色石英ガラスは蛍光分析用セルを代表とする光学分析機器の試料セルや半導体製造用石英ガラス冶具の炉芯管に用いられる。これらの分野で用いられる理由はその低熱膨張性やセル内の迷光、光散乱等を防止するためである。
黒色石英ガラスの例として迷光のカットや均熱効果を目的としてバナジウム、ニオブあるいはタンタルなどの遷移金属を含有したブラック石英ガラスが知られている(特許文献1参照)。これは遷移金属と水晶粉または合成シリカ粉末を利用して製造しており、光学分析用セルに用いることができる。
また、遮光と熱加工の歩留まり向上を目的として炭化ケイ素を含有するシリカガラスが知られている(特許文献2参照)。これは炭化ケイ素とシリカ微粉末を利用して製造しており、光学分析用セルに用いることができる。
また、均質な黒色体を得ることを目的として酸化鉄を含有させた黒色石英ガラスが知られている(特許文献3参照)。これは酸化鉄コロイドを利用して製造しており、赤外線吸収・放射体に用いることができる。
特開平7−196335公報 特開平5−170477公報 特開平4−254433公報
しかし、特許文献1の様に石英ガラス中に周期律表V族の遷移金属元素を着色剤として添加した場合、着色剤が金属であるため、粒子径が非常に大きく均一分散が難しいため、色むらが生じるという問題があった。
また、光学用セルの形状にするために切断加工を行った際には、着色剤の表面は黒色化しているが、破断面は黒色化しておらず、金属光沢が観察されるため、光学系分析装置に用いた場合は、光散乱が起こり、分析精度が低下するという問題があった。
また、遷移金属元素の中には石英ガラスと反応し、波長300nm〜800nmの範囲で蛍光を発するものがあり、分析精度を低下させてしまうという問題があった。
また、特許文献2では黒色化材として炭化ケイ素や炭素を添加しているが、石英ガラスを焼結させる温度において炭化ケイ素は焼結不足となるため、気孔を多く含有するものであった。気孔を多く含有すると切断等の加工段階で表面に凹凸が発生し、分析光が光散乱することにより分析精度が低くなってしまうと言う問題があった。
また、特許文献3では着色剤の酸化鉄をコロイド状にし、シリカ粉と均一混合して色むらをなくす方法を行っている。
ところが、この方法では、ガラス化の前に水酸化鉄を200〜400℃で加熱して酸化鉄に変換することになっており、このような低温では十分に水酸化鉄が酸化鉄に変換できない。そのため、ガラス化に伴い溶融体の中に気泡が残存することとなる。
したがって、上記で述べたように、分析装置に用いた場合分析精度が低くなるという問題が解決されないままであった。
また、高温で熱加工する際には表面が結晶化し白色化するため、半導体熱処理プロセス用部材や光学分析用部材に用いるのに適していなかった。
また、以上に述べたこれらの黒色石英ガラスは透明石英ガラスに添加物を加えているために強度が非常に弱く、加工時や装置のメンテナンス時などで加えられたわずかな応力や衝撃で破損してしまうなどの問題があった。
以上のような問題を鑑みて本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを主成分とし、遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを主成分とし、遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃における熱膨張率が−0.2〜0.5×10−4の範囲内にあることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、上記遷移金属元素群においてMnの含有量が酸化物換算で0.1重量%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、上記遷移金属元素群がFe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、上記コーディエライトを結晶粒とする結晶粒界が、Mg、Al、Si、Fe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上の酸化物または複合酸化物が偏析した領域を有することを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeのみであって、その含有量が酸化物に換算して5〜30重量%の範囲にあることを特徴とするとするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeを含む複数成分であって、その含有量が酸化物に換算して5〜15重量%の範囲にあることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体は、気孔率が0.1%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、焼成温度1300℃〜1400℃の間で焼成し、かつ、冷却速度を135℃/時間以下とすることによって、3点曲げ抗折強度が150MPa以上、且つヤング率が120GPa以上のセラミックス焼結体とすることを特徴とするものである。
本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを主成分とし、遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃であることを特徴とするが、コーディエライトを使用することで、1000℃以上の高温においても軟化や結晶化による白色化といった石英に見られるような諸問題が発生しない。
また、−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃の範囲内で調節しており、石英ガラスとほぼ同等の熱膨張係数を有するため、石英ガラスの代替材料として使用することができる。
また、遷移金属元素群を含むことで、焼成後に黒系色に着色させることができるため、透明石英ばかりでなく黒色石英の代替材料として使用することもできる。
また、本発明のセラミックス焼結体は、−30℃〜60℃における熱膨張率が−0.2〜0.5×10−4の範囲内にあることを特徴とするが、このように熱膨張率を制御することで、より石英ガラスに近い熱膨張挙動を実現させることができ、透明石英ガラスや黒色石英ガラスと接着あるいは接合して使用した場合、その熱膨張特性の差によるひずみや破損の発生を防止することができる。
また、本発明のセラミックス焼結体は上記遷移金属元素群においてMnの含有量が酸化物換算で0.1重量%以下であることを特徴とするが、この範囲以上のMnが含まれると分析に用いられるレーザーの波長によって蛍光を発し、分析精度が低下するためである。
また、本発明のセラミックス焼結体は遷移金属元素群がFe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上であることを特徴とするが、これらを酸化物の形態で含有させることで、色むらのない黒系色を発色させることができる。
また、本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを結晶粒とする結晶粒界が、Mg、Al、Si、Fe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上の酸化物または複合酸化物が偏析した領域を有することを特徴とするが、焼成段階においてコージライトの結晶粒界にMg、Al、Si、Oからなるガラス質を形成すると同時に、そのガラス質中に熱膨張係数の大きなNi、Cr、Co、Cu、Ruから構成される単独の酸化物またはMg、Al、Si、Feと反応してなる複合酸化物を含ませることでボイドの発生を低減し、粒子間の結合強度を向上させ、さらに熱膨張係数の値を任意に制御することが可能である。ここで、偏析とは単体の酸化物あるいは複合酸化物がそれぞれ結晶粒界において独立して存在していることを示している。
また、本発明のセラミックス焼結体は、遷移金属元素群から選ばれる成分がFeのみであって、その含有量が酸化物に換算して5〜30重量%の範囲にあることを特徴とするが、FeはMg、Al、Si、Oと反応して熱膨張の小さい化合物となるため、比較的多く添加することができ、かつ十分な黒系色を呈する。
また、本発明のセラミックス焼結体は、遷移金属元素群から選ばれる成分がFeを含む複数成分であって、その含有量が酸化物に換算して5〜15重量%の範囲にあることを特徴とするが、この範囲内であれば、熱膨張特性はいうまでもなく、色むらが発生しないばかりか、光の透過、迷光、散乱を発生させない程度の十分な黒系色を呈し、黒色石英ガラスと同等の熱膨張特性を有するセラミックス焼結体を作製できる。
また、本発明のセラミック焼結体は、気孔率が0.1%以下であることを特徴とするが、気孔率が小さいため、光の散乱を防止することができ、光学分析用部材として用いることができる。
また、本発明のセラミック焼結体の製造方法は、焼成温度1300℃〜1400℃の間で焼成し、かつ、冷却速度を135℃/時間以下とすることで3点曲げ抗折強度が150MPa以上、且つヤング率が120GPa以上のセラミックス焼結体とすることを特徴とするが、1300℃〜1400℃で焼成することで十分な強度を保持させると共に、冷却速度を135℃/時間以下とすることで結晶粒界に生じる熱膨張率差によるマイクロクラックの発生を抑え、強度とヤング率を大きく保つことができる。
これらの値は石英ガラスの3点曲げ抗折強度69MPa、ヤング率74GPaを上回っており、石英ガラスよりも荷重、振動、衝撃に強い材料であることを示している。従って、本発明のセラミックス焼結体は黒色石英ガラスの代替品として十分な特性を有していると言える。
以下、図1を用いて本発明の実施形態を説明する。
本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを主成分とし、少なくとも1種類以上の遷移金属元素群を含み、−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃であることを特徴とする。
主成分にコーディエライトを使用しているため、1000℃以上の高温で使用する際には石英では避けることのできない問題であった軟化や結晶化による白色化等の問題が皆無である。
また、コーディエライトは熱膨張係数が小さな材料として知られているが、その粒界に熱膨張係数の大きな遷移金属元素群から選ばれる成分を分散させることで熱膨張係数を任意の値に調整することができるばかりでなく、コーディエライトを黒系色に着色させることができる。着色により分析の際の光散乱を防ぐことができるのである。
また、−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃となるように組成を調整することで石英ガラスとほぼ同等な熱膨張係数となるため、黒色石英ガラスの代替材料として最適なものである。熱膨張係数が−0.2×10−6/℃より小さくなったり0.6×10−6/℃より大きくなったりすると、石英ガラスや黒色石英ガラスと接合や接着などをした場合にひずみの発生による破損が起こる。より好ましくは−30℃〜60℃において0〜0.4×10−6/℃の範囲内である。
また、本発明で使用するコーディエライトの純度は95%以上が好ましい。不純物が多くなると耐薬品性が劣るなどの不都合が生じるためである。
またコーディエライトの平均粒径は15μm以下が好ましい。平均粒径が15μmより大きくなると、コーディエライトと添加材の分散性が悪くなったりボイドが増加したりするため、光学分析用部材などに用いた場合は光散乱や迷光などの現象がおこり、分析精度が低下してしまうためである。また、遷移金属元素群の形態は酸化物であることが好ましい。金属であった場合は、内部まで酸化しないことがあり、切断などの加工を行った場合には切断面に金属光沢が発生し、光散乱を発生してしまうためである。また、塩化物やアルコキシドなどの形態では焼成時にガスが発生し、気泡が焼結体内部に残ってしまうためである。
また、遷移金属元素を含む酸化物の純度は特に限定するものではないが、できるだけ高純度であることが好ましい。
また、遷移金属元素群の平均粒径は10μm以下が好ましい。平均粒径が10μm以上になると分散性が悪くなるためボイドの増加がおこり好ましくない。
また、本発明のセラミックス焼結体は−30℃〜60℃における熱膨張率が−0.2〜0.5×10−4の範囲内にあることを特徴とする。−30℃〜60℃での熱膨張係数が石英ガラスとほとんど同じであっても、その温度範囲内で熱膨張率が大きく異なっていれば、石英ガラスの代替品として用いることは困難である。つまり、温度を変化させている間に熱膨張率の差でひずみが生じ、接合した部品や自身が破損したりするためである。そのため熱膨張率は−0.2〜0.5×10−4の範囲が好ましい、より好ましくは−0.1〜0.3×10−4の範囲である。
また、本発明のセラミックス焼結体は遷移金属元素群におけるMnの含有量が酸化物換算で0.1重量%以下であることを特徴とするが、その理由はMnが焼成時に生じた結晶粒界ガラス質の一部であるMgSiOや不純物として含まれるP、Znなどと反応して化合物をつくり、この化合物が600〜700nm付近の波長領域で赤色の蛍光を発するためである。このように蛍光を発生してしまうと蛍光分析用セルとして使用した場合には正確な分析ができない。
また、本発明のセラミックス焼結体の遷移金属元素群はFe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上からなることを特徴とするが、これら成分の酸化物を用いた場合は、色むらのない均一な黒系色を呈する焼結体を得ることができ、特にNi、Ruが安定した効果を得ることができ好ましい。
また、本発明のセラミックス焼結体は、コーディエライトを結晶粒とする結晶粒界が、Mg、Al、Si、Fe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上の酸化物または複合酸化物が偏析した領域を有し、特にNi、Ruを有するのが安定した効果を得ることができ好ましい。
する。コーディエライトの焼結課程で発生するガラス成分を構成するMg、Al、Si、Oはそれぞれ単体の酸化物や複合酸化物としてコーディエライトの結晶粒界に存在する。
さらに、本発明で述べている遷移金属元素群も同様に結晶粒界に存在する。これらの遷移金属元素群の中には先に述べた、Mg、Al、Si、Oと反応し複合酸化物を形成するものもある。あるいは反応せずに単体の酸化物として存在するものもある。例えばFeはMg、Alと反応しやすく、MgFeAlO、MgFeO、Mg(AlFe)、FeAl等の複合酸化物を形成する。これらの単体酸化物あるいは複合酸化物は結晶粒界でそれぞれ偏析して存在している。これらのFe、Mg、Al、Oの複合酸化物は比較的熱膨張率が小さい。
一方、NiOは反応せずに単体の酸化物として存在する。これらの複合酸化物や単体の酸化物は図1に示すようにコーディエライトの結晶粒界にそれぞれ偏析して存在する。このNiOは比較的熱膨張率が大きい。
このようにコーディエライトの結晶粒界にこれらの偏析した領域が存在することによって熱膨張係数や熱膨張率が変化するのである。本発明ではこれらの偏析した領域を任意に組み合わせることによって希望する最適な熱膨張率曲線を設計するのである。
また、本発明のセラミックス焼結体は上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeのみである場合、その含有量が酸化物に換算して5〜30重量%の範囲にあることを特徴としているが、上記で述べたようにFeはMg、Alと反応しやすく、その複合酸化物の熱膨張係数はその他の遷移金属酸化物と比べて小さい。そのため30重量%添加しても熱膨張係数を小さく抑えることができる。
しかし、30重量%以上添加すると熱膨張係数が大きくなりすぎるため、好ましくない。
また、5重量%以下であると、焼結が十分に進行せずに気孔率が大きくなってしまうので好ましくない。
また、本発明のセラミックス焼結体は上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeを含む複数成分である場合、その含有量が酸化物に換算して5〜15重量%の範囲にあることを特徴としているが、Fe以外の遷移金属酸化物は熱膨張係数が大きいため、Fe単独で添加する場合よりも添加量が少なくなってしまう。15重量%以上添加すると熱膨張係数が大きくなりすぎるため、好ましくない。また、5重量%以下であると、焼結が十分に進行せずに気孔率が大きくなってしまうので好ましくない。
Mg、Al、Si、Feと反応してなる複合酸化物の熱膨張率はその他の遷移金属酸化物よりも小さい。このMg、Al、SiとFeが反応してなる複合酸化物がコーディエライトと熱膨張率の大きなその他の遷移金属酸化物を包み込みクッションの役割をするため、熱膨張率の差によって生じるマイクロクラックが発生しない。
また、Fe以外の添加量の合計はFe酸化物に対して酸化物換算で50%以下であることが好ましい。つまり、Fe以外の添加酸化物の合計重量をMとすると、M/(Fe酸化物の重量)≦0.5で表される添加量が好ましい。これは、0.5を越えると熱膨張係数が大きくなりマイクロクラックが発生する原因となるからである。
また、本発明のセラミックス焼結体は気孔率が0.1%以下であることを特徴とするが、気孔率が0.1%以上であると、光学分析用部材として用いた場合、乱反射や迷光の原因となるため好ましくない。0.05%以下であればより好ましい。
また、このような気孔率を達成するためには通常の酸化雰囲気焼成のみではなく、HIP処理を行ってもよい。
また、本発明のセラミックス焼結体の製造方法は焼成温度1300℃〜1400℃の間で焼成し、かつ、冷却速度を135℃/時間以下とすることで3点曲げ抗折強度が150MPa以上、且つヤング率が120GPa以上のセラミックス焼結体とすることを特徴とする。
焼成温度を1300℃以下にすると、気孔率が増加するために好ましくなく、1400℃を越えると磁器の軟化が始まるので好ましくない。
また、冷却速度を135℃/時間以下とすることで、熱膨張係数を安定化させることができるだけでなく、強度及びヤング率を高く保つことができる。冷却速度がこの速度よりも速くなると、結晶粒界に偏析した熱膨張率の異なる領域間で、歪みが生じ熱膨張率のばらつきが生じる。また、同時にマイクロクラックが発生する。このマイクロクラックによって強度及びヤング率が低下してしまうのである。本発明の強度とヤング率は石英の3点曲げ抗折強度69MPa、ヤング率74GPaを上回っており、代替品としての十分な特性を有している。
ここで、本発明のセラミック焼結体の製造方法について説明する。コージェライト粉末と遷移金属元素酸化物と水などの溶媒と界面活性剤などの分散剤とを調合する。調合した原料スラリーをミルにて粉砕する。ミルの種類としては特に限定しないが、ボールミル、振動ミルと、ビーズミルなどといったものを使用する。粉砕媒体としてはアルミナやジルコニアのボールやビーズがあげられる。粉砕によって、不可避不純物としてジルコニア、イットリア、アルミナ、など媒体の成分が混入することがある。粉砕によって所定の粒径まで調整されたスラリーを成型用の有機バインダーと混合し、スプレードライヤーを用いて乾燥する。スプレードライヤーの種類は特に限定しないが、粉体の流動性が比較的良好な、回転円盤式がよい。スプレードライヤーで乾燥させた造粒粉をプレス機で成形する。所定の形状に成形された成形体を、酸素を含む雰囲気下で1300℃〜1400℃で焼成することで焼結体を得る。このようにして得られたセラミック焼結体をさらに加工して製品を得る。本発明のセラミックス焼結体を用いて得られた光学分析用部材を図2に示す。
まず、比較例である石英と本発明のセラミックス焼結体の比較をおこなった。
本発明のセラミックス焼結体は以下の手順で製造した。
まず、母材となるコーディエライト、遷移金属酸化物である酸化鉄等の添加剤を準備し、表1の試料番号2〜9に示す組成になるように調合した。ついで、溶媒とともにミルを用いてこれらスラリーをそれぞれ粉砕し、粒径を調整した。
さらに、有機バインダーを添加したスラリーを噴霧乾燥法により乾燥させた。得られた粉体をプレス成形にて所定の形状に成形し、成形体を酸素含有雰囲気下で1300℃〜1400℃の焼成温度で焼成し、本発明の焼結体を得た。
得られた焼結体のヤング率(JIS R1602)、抗折強度(JIS R1601)、気孔率(JIS R1634)、熱膨張係数を測定した。熱膨張係数および熱膨張率はレーザー熱膨張計にて測定し、熱膨張係数は−30℃〜60℃の平均熱膨張係数をもちいた。熱膨張率は−30℃〜60℃の最小と最大を表示した。比較例である石英は試料番号1である。
Figure 2006124218
本発明の実施例である試料番号2〜9のセラミックス焼結体は熱膨張係数、熱膨張率共に請求項の範囲内におさまっている。また、気孔率、抗折強度、ヤング率についても問題ない。しかし、試料番号7のMnが2.73重量%入っているものは熱膨張係数が範囲内ではあるが、波長600〜700nmの入射光に対して蛍光の発生が観測された。一方、Mnが0.09重量%入っている試料番号8は蛍光の発生は観測されなかった。したがって、Mnの添加量は概ね0.1重量%以下であることが好ましいといえる。
また、実施例である試料番号9は添加剤がFeのみであるが、この場合はその他の添加物を加えた場合よりも熱膨張係数が小さくなっている。このことから、Mg、Al、Si、Feと反応してなる複合酸化物の熱膨張係数はNi、Cr、Co、Cu、Ruから構成される単独の酸化物またはMg、Al、Si、Feと反応してなる複合酸化物の熱膨張係数よりも小さいということが示されている。
次に添加する遷移金属酸化物の添加量を変化させて特性を測定した。遷移金属酸化物にはFe、NiOを選択した。結果を表1および図3に示す。試料の作製方法は以上に述べられたものと同じであるので省略する。試料番号は10〜15である。表1から実施例である試料番号10,11の熱膨張係数は請求の範囲内であり問題はない。また、熱膨張率についても図3に示すような形状をしており、条件の範囲内である。
しかし、比較例である試料番号12,13の熱膨張係数、熱膨張率は請求の範囲から外れている。この理由は添加量が5重量%未満であったり、15重量%以上であったりしたためである。特に比較例である試料番号13は気孔率が大きく強度も低下している。
従って、この結果からFeとその他の成分から構成される場合はその含有量が5〜15重量%の範囲内でなくてはならないということが分かる。
次にFeのみを添加した実施例である試料番号14と比較例である試料番号15では本発明の組成範囲内にある試料番号14は熱膨張係数が請求の範囲内になっているが、比較例の試料番号15は熱膨張係数、熱膨張率が外れている。熱膨張係数と熱膨張率は添加量が増加するに伴い大きくなる傾向がある。したがって、この結果から添加剤がFeのみから構成される場合はその含有量が5〜30重量%の範囲内でなくてはならないと判る。
次に、降温スピードを138℃/時間としたときの実施例を試料番号16に示す。降温スピードを130℃/時間としたときの実施例である試料番号4と比較すると熱膨張係数、熱膨張率は特に問題はないが、抗折強度150MPa、ヤング率120GPaをわずかながら下回っている。これは降温スピードが速いためにマイクロクラックが生じていることが原因である。つまり、この結果より、降温スピードは概ね135℃/時間以下であるべきと考えられる。
本発明のセラミック焼結体の構造の一例を示す模式図である。 本発明のセラミック焼結体を用いた光学分析用部材を示す縦断面図である。 本発明のセラミック焼結体と石英ガラスの熱膨張率の比較を表すグラフである。
符号の説明
1:セラミックス焼結体
2:コーディエライト
3:偏析した領域(Mg(AlFe)
4:偏析した領域(NiO)
5:偏析した領域(Cr
6:偏析した領域(MgFeAlO

Claims (9)

  1. コーディエライトを主成分とし、遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃の熱膨張係数が−0.2〜0.6×10−6/℃であることを特徴とするセラミックス焼結体。
  2. コーディエライトを主成分とし、遷移金属元素群を少なくとも1種類以上含み、且つ−30℃〜60℃における熱膨張率が−0.2〜0.5×10−4の範囲内にあることを特徴とするセラミックス焼結体。
  3. 上記遷移金属元素群においてMnの含有量が酸化物換算で0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス焼結体。
  4. 上記遷移金属元素群がFe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  5. 上記コーディエライトを結晶粒とする結晶粒界が、Mg、Al、Si、Fe、Cr、Ni、Co、Cu、Ruの少なくとも1種類以上の酸化物または複合酸化物が偏析した領域を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  6. 上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeのみであって、その含有量が酸化物に換算して5〜30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  7. 上記遷移金属元素群から選ばれる成分がFeを含む複数成分であって、その含有量が酸化物に換算して5〜15重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  8. 気孔率が0.1%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  9. 上記セラミック焼結体の製造過程において、焼成温度1300℃〜1400℃の間で焼成し、かつ、冷却速度を135℃/時間以下とすることによって、3点曲げ抗折強度が150MPa以上、且つヤング率が120GPa以上のセラミックス焼結体とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックス焼結体の製造方法。
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