JP5687090B2 - 窒化珪素質焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的特性に優れる窒化珪素質焼結体に関する。
窒化珪素質焼結体は、優れた機械的特性を有していることから、様々な構造部材に好適に用いられている。ところで、窒化珪素は、共有結合が強く、窒化珪素粉末のみで焼結させることは困難であることから、種々の焼結助剤を添加して焼結することが行なわれている。
例えば、特許文献1には、YやAlを焼結助剤として用いた窒化珪素質焼結体として、サイアロン粒子および粒界相により構成されるサイアロン焼結体であって、上記粒界相の総量が20wt%以下であるとともに、粒界相の酸化物換算したSi,AlおよびYがSiO−Al−Y三成分系において、重量比における(SiO,Al,Y)組成が、点A(20,10,70)、点B(20,25,65)、点C(30,25
,55)、点D(30,10,60)の4点で囲まれる領域にある高靱性サイアロン焼結体が提案さ
れている。
また、特許文献2には、YとAlとを焼結助剤として添加してなる窒化珪素焼結体であって、焼結助剤の配合量が、窒化珪素と焼結助剤の合計の15重量%以上であるとともに、窒化珪素の酸素含有量(SiO量換算値で表す)と、Y及びAlの量との比は、SiO−Y−Al三成分系を示す三角図(重量比で表す)において、点A(0,80,20)、点B(9,73,18)、点C(9,55,36)、点D(0,60,40)の4点で囲まれる領域内にある窒化珪素焼結体が提案されている。
特許第2820846号公報 特許第2863569号公報
特許文献1に記載の高靱性サイアロン焼結体や特許文献2に記載の窒化珪素焼結体が提案されているように、各メーカーにおいて機械的特性を向上させるべく、鋭意検討されているものの、市場要求は常にそれを上回り、更なる機械的特性の向上が求められている。
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、強度に優れた窒化珪素質焼結体を提供することを目的とする。
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素の結晶を主相とし、粒界相にYSiAlONの結晶が存在し、該Y SiAlO Nの結晶は、X線回折によりY SiAlO Nと同定されたピークにおいて、X線回折チャートにおける2θ=29.4°付近に現れるピークが、2θ=30°を超える部分に現れるピークよりも大きいものであり、2θ=29.4°付近の前記Y SiAlO Nの結晶のピーク強度と、2θ=33.6°付近の前記窒化珪素の結晶のピーク強度とをそれぞれX,Yとしたとき、その比率X/Yが0.2以上0.3以下であることを特徴とするものである。
本発明の窒化珪素質焼結体によれば、窒化珪素の結晶を主相とし、粒界相にYSiAlONの結晶が存在し、該Y SiAlO Nの結晶は、X線回折によりY SiAlO Nと同定されたピークにおいて、X線回折チャートにおける2θ=29.4°付近に現れるピークが、2θ=30°を超える部分に現れるピークよりも大きいものであり、2θ=29.4°付近のY SiAlO Nの結晶のピーク強度と、2θ=33.6°付近の窒化珪
素の結晶のピーク強度とをそれぞれX,Yとしたとき、その比率X/Yが0.2以上0.3以下であることにより、強度を向上させることができる。
本実施形態の窒化珪素質焼結体のX線回折チャートの一例を示す。
以下、本実施形態の窒化珪素質焼結体について説明する。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素の結晶を主相とし、粒界相にYSiAlONの結晶が存在することを特徴としている。なお、本実施形態において主相とは、窒化珪素質焼結体における体積比率が50体積%以上であることをいい、主相の体積比率としては、80体積%以上であることが好ましい。また、共有結合性の高い窒化珪素を焼結させるには、焼結助剤を必要とし、この焼結助剤によって形成される粒界相は、体積比率で6体積%以上有していることが好ましいので、主相の体積比率としては、80体積%以上94体積%以下であり、粒界相の体積比率は、6体積%以上20体積%以下であることがより好ましい。
そして、主相の体積比率が80体積%以上94体積%以下であり、粒界相の体積比率が6体積%以上20体積%以下となる窒化珪素質焼結体の組成としては、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有し、残部が窒化珪素からなるものである。
ここで、体積比率を求め方の一例を記載する。まず、酸素分析装置(堀場製作所製 EMGA−650FA)を用いた赤外線吸収法により窒化珪素質焼結体中の酸素の含有量を求める。
次に、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置(島津製作所製 ICPS−8100)を用いてYおよびAlの定量分析を行なう。次に、定量分析によって得られたYおよびAlの定量値をそれぞれYおよびAlに換算し、この酸化物換算で必要とした酸素量を窒化珪素質焼結体中の酸素の含有量から差し引き、この差し引いた酸素量からSiOに換算する。そして、それぞれ換算したY,Al,SiO量を100から差し引くことにより、Siの含有量とする。
次に、Yの含有量をa,Alの含有量をb,SiOの含有量をc,窒化珪素の含有量をdとしたとき、それぞれの理論密度(Y:5.02g/cm,Al:3.98g/cm,SiO:2.65g/cm,Si:3.18g/cm)を用いて、次式(d/3.18)/(a/5.02+b/3.98+c/2.65+d/3.18)×100によって
主相の体積比率を求めることができる。a=7.5,b=3.5,c=3.5,d=85.5のとき、
主相の体積比率は87.9体積%となる。
また、粒界相にYSiAlONの結晶が存在するか否かについては、X線回折装置(Bruker AXS社製 D8 ADVANCE)を用いて、窒化珪素質焼結体の表面にCuKα線を照
射し、CuKα線の回折方向と入射方向の角度差(2θ)と回折X線強度を検出器で走査した結果であるX線回折チャートを得て、JCPDSカードに基づいて同定することにより確認することができる。
具体的に、本実施形態の窒化珪素質焼結体のX線回折チャートを図1に示す。このX線回折チャートにおいて、窒化珪素の結晶が存在していることを示すピークは、2θ=23.5°付近,27.2°付近,33.6°付近,36°付近に現れる。そして、YSiAlONの結晶が存在しているときには、2θ=29°〜31°付近(29.4°,30.7°,31.1°)の間にピークが現れる。また、窒化珪素やYSiAlONの存在を示す鋭いピークの間のブロードなピークは、窒化珪素質焼結体に非晶質(アモルファス)相が存在していることを示している。
そして、図1のX線回折チャートに示すように、YSiAlONの結晶が存在して
いることにより、窒化珪素質焼結体の強度を向上させることができる。このように、YSiAlONの結晶が存在していることにより、優れた強度を有する窒化珪素質焼結体とできる理由については明らかではないが、粒界相にYSiAlONの結晶が存在することにより、主相である窒化珪素の結晶の粒成長を抑制して微細な組織構造とすることができ、かつ粒界相にかかる応力を分散させる働きがあるためと考えられる。なお、強度の比較は、JIS R 1601−2008に準拠した4点曲げ強さ試験によって得られた4点曲げ強度の値を比較することにより確認することができる。
なお、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有し、残部が窒化珪素からなり、粒界相にYSiAlONの結晶が存在する窒化珪素質焼結体の具体的な機械的特性としては、4点曲げ強度が850MPa以上であり、破壊靭性(KIC)が6.1MPa・m1/2以上となる。ここで、破壊靱性については、JIS R 1607−2010で規定される圧子圧入法(IF法)に準拠して測定すればよい。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、X線回折チャートにおける2θ=29.4°付近のYSiAlONの結晶のピーク強度と、2θ=33.6°付近の窒化珪素の結晶のピーク強度をそれぞれX,Yとしたとき、その比率X/Yが0.05以上0.4以下であることが好
ましい。この比率X/Yが0.05以上0.4以下であるときには、さらに強度に優れていると
もに、破壊靭性に優れた窒化珪素質焼結体とすることができる。
具体的には、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有し、残部が窒化珪素からなり、粒界相にYSiAlONの結晶が存在し、X線回折チャートにおける2θ=29.4°付近のYSiAlONの結晶のピーク強度と、2θ=33.6°付近の窒化珪素の結晶のピーク強度をそれぞれX,Yとしたとき、その比率X/Yが0.05以上0.4以下で
あれば、4点曲げ強度を930MPa以上、破壊靭性を6.5MPa・m1/2以上とすることができる。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、粒界相にさらにWSiおよびFeSiの結晶が存在していることが好ましい。WSiおよびFeSiの結晶は、熱力学的に安定しており、機械的応力や熱応力がかかった場合でも粒界相が相変態を起こしにくいため、高温における強度を向上させることができる。なお、高温における強度を向上させるには、窒化珪素質焼結体を構成するSi,Y,AlおよびSiOの合計100質量%に対し、WがWO換算で3質量%以下(0質量%を含まず)、FeがFe
換算で2質量%以下(0質量%を含まず)であることが好ましい。
そして、具体的な特性としては、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有する窒化珪素質焼結体において、窒化珪素質焼結体100質量%に対し、WがWO換算で
3質量%以下(0質量%を含まず)、FeがFe換算で2質量%以下(0質量%を含まず)含み、粒界相にYSiAlONの結晶に加えてWSiおよびFeSiの結晶が存在する窒化珪素質焼結体は、高温(800℃)における4点曲げ強度を700MPa以上とすることができる。なお、WSiおよびFeSiの結晶については、波長分散型X線マイクロアナライザー装置(日本電子製 JXA−8600M型)を用いて、WとSiとが存在する領域、FeとSiとが存在する領域を確認し、透過型電子顕微鏡(TEM)分析によって結晶構造を確認することができる。また、高温(800℃)における強度につい
ては、JIS R 1604−2008に準拠して測定すればよい。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、粒界相に、YSiON(ボラステナイト)
、Y(SiN(アパタイト)、YSi(ダイシリケート)相およびYSiO(モノシリケート)のうち少なくとも1種の結晶が存在していてもよい。これらの結晶は、非晶質相と比較して軟化しにくいため、高温(800℃)における強度の向上に
効果がある。
次に、本実施形態の窒化珪素質焼結体の製造方法について説明する。
まず、出発原料として、Si粉末(平均粒径D50=0.5〜100μm)およびSi粉末(α化率50%以上、平均粒径D50=0.5〜10μm)と、焼結助剤であるY粉末(平均粒径D50=0.5〜10μm)、Al粉末(平均粒径D50=0.5〜10μm)およびSiO粉末(平均粒径D50=0.5〜10μm)とを準備する。その後、それぞれの粉末を所
定量秤量し、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)などの各種バインダとともに、例えば回転ミル、振動ミル、ビーズミルなどのミルに入れて湿式混合・粉砕し、スラリーを作製する。
ここで、秤量時に重要となるのは、Si粉末およびSi粉末に不可避的に含まれる酸素をSiO換算した量と、添加するSiO粉末とを合わせてSiOの添加量が2質量%以上となるようにすることであり、好ましくは4質量%以下とする。
また、Si粉末とSi粉末との質量比率は、80:20〜90:10となるように秤量する。そして、窒化珪素質焼結体の組成が、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有し、残部が窒化珪素からなるものとするには、Si粉末とSi粉末との質量比率が85:15であるとき、Y粉末およびAl粉末については、それぞれ4.3
質量%以上17質量%以下、2.9質量%以上7.2質量%以下となるように秤量する。なお、各粉末の秤量時と窒化珪素質焼結体の含有量とで質量%が異なるのは、Si粉末を窒化させて窒化珪素としているためである。
また、SiO粉末については、Si粉末およびSi粉末に不可避的に含まれる酸素をSiOに換算した量と合わせて窒化珪素質焼結体に含まれるSiO換算での含有量が2質量%以上4質量%以下となるように秤量する。なお、Y:Al:SiOの窒化珪素質焼結体の含有量は、質量比率で50〜66質量%:18〜26質量%:16〜24質量%であることが好ましい。
また、粒界相にWSiおよびFeSiの結晶を存在させるには、Fe粉末(平均粒径D50=0.1〜3μm)、WO粉末(平均粒径D50=0.1〜3μm)を準備し、上述した粉末100質量%に対し、Fe粉末を3質量%以下(0質量%以下を除く)、
WO粉末を2質量%以下(0質量%以下を除く)秤量して、出発原料に加えればよい。
次に、噴霧造粒乾燥装置(スプレードライヤ)を用いてスラリーを噴霧造粒して球状顆粒を得た後、この球状顆粒を用いて粉末プレス成形法や静水圧プレス(ラバープレス)成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施すことにより成形体を得る。
次に、この成形体を50kPa〜1.1MPaの窒素分圧で、1000〜1400℃の温度で焼成し
、窒化珪素のα化率が90%以上の窒化体を得て、この窒化体を50〜300kPaの窒素分圧
で、1750〜1900℃の最高温度で焼成する。そして、粒界相にYSiAlONの結晶を存在させるには、最高温度から1200℃までの降温速度を10℃/min以下とすることが重要である。最高温度から1200℃までの降温速度を10℃/min以下としたのは、10℃/minを超える降温速度では、YSiAlONの結晶を粒界相に存在させることができない。なお、最高温度から1200℃までの降温速度が遅すぎては、生産効率を低下させるた
め、2℃/min以上であることが好ましい。なお、上述した降温速度とすることにより、粒界相にWSiおよびFeSiの結晶についても存在させることができる。
また、X線回折チャートにおける2θ=29.5°付近のYSiAlONの結晶のピーク強度Xと、2θ=33.7°付近の窒化珪素の結晶のピーク強度Yとの比率X/Yを0.05以上0.4以下とするには、降温速度を2〜8℃/minとすることが好ましい。
そして、その後、室温まで冷却することにより本実施形態の窒化珪素質焼結体を得ることができる。このようにして得られた本実施形態の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を主相とし、粒界相にYSiAlONの結晶が存在することから、強度の向上した窒化珪素質焼結体とすることができる。
このように、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、優れた熱的特性や機械的特性を有していることから、これらの特性を必要とする構造部材として好適に用いることができる。また、各種金属溶湯と接する金属溶湯用部材などにも適用可能である。
以下、本発明の窒化珪素質焼結体の実施例を説明する。
まず、焼成時における最高温度から1200℃までの降温速度を異ならせてYSiAlONの結晶の有無および強度差の確認を行なった。出発原料として、Si粉末(平均粒径D50=10μm)およびSi粉末(α化率50%以上、平均粒径D50=1μm)と、焼結助剤であるY粉末(平均粒径D50=1μm)、Al粉末(平均粒径D50=1μm)、SiO粉末(平均粒径D50=1μm)を準備し、Si粉末を65質量%、Si粉末を15質量%、Y粉末を12質量%、Al粉末を5質量%、SiO粉末を3質量%秤量する。
その後、秤量後の粉末とバインダと溶媒とを回転ミルに入れて、所定時間混合・粉砕し、スラリーを得た。そして、噴霧造粒乾燥装置を用いてスラリーを噴霧造粒して球状顆粒を得た後、この球状顆粒を所定の金型に充填して粉末プレス成形法により成形し成形体を得た。次に、この成形体を120kPaの窒素分圧で,1300℃の温度で焼成し窒化珪素のα
化率が90%以上の窒化体を得た後、さらに120kPaの窒素分圧で、1750℃の最高温度で
5時間保持した。ここまでの条件は同じであり、最高温度から1200℃までの降温速度を、一方は15℃/minとし、他方は10℃/minで降温して、その後、室温まで冷却することにより、窒化珪素質焼結体を得た。
そして、酸素分析装置(堀場製作所製 EMGA−650FA)を用いた赤外線吸収法により窒
化珪素質焼結体中の酸素の含有量を求めた。また、ICP発光分光分析装置(島津製作所製 ICPS−8100)を用いてYおよびAlの定量分析を行ない、それぞれYおよびAlに換算し、この酸化物換算で必要とした酸素量を窒化珪素質焼結体中の酸素の含有量から差し引き、この差し引いた酸素量からSiOに換算した。そして、それぞれ換算したY,Al,SiO量を100から差し引くことにより、窒化珪素の含
有量を求めた。その結果、窒化珪素質焼結体の組成は、窒化珪素が86質量%であり、Y換算で8.4質量%であり、Al換算で3.5質量%であり、SiO換算で3.1質
量%であった。
また、X線回折装置(Bruker AXS社製 D8 ADVANCE)を用いて、窒化珪素質焼結体の
表面にCuKα線を照射し、CuKα線の回折方向と入射方向の角度差(2θ)と回折X線強度を検出器で走査した結果であるX線回折チャートを得た。その結果、最高温度から1200℃までの降温速度が15℃/minのものについては、2θ=29°〜31°付近に鋭いピ
ークが確認されず、YSiAlONの結晶が存在していなかった。これに対し、最高温度から1200℃までの降温速度が10℃/minのものについては、2θ=29°〜31°付近に鋭いピークが確認され、JCPDSカードに基づいて同定したところ、YSiAlONの結晶が存在することがわかった。
次に、JIS R 1601−2008に準拠した試験片寸法となるように窒化珪素質焼結体に研削加工を施して、4点曲げ強さ試験を行なった。その結果、最高温度から1200℃までの降温速度が15℃/minであり、YSiAlONの結晶が存在していない窒化珪素質焼結体よりも、最高温度から1200℃までの降温速度が10℃/minであり、YSiAlONの結晶の存在が確認された窒化珪素質焼結体は、4点曲げ強度の値が10〜20%高く、YSiAlONの結晶が存在していることにより、強度を向上できることがわかった。
次に、実施例1と同様の粉末を準備して、表1に示す組成となるように秤量して実施例1と同様の方法で窒化珪素質焼結体を作製した。なお、最高温度から1200℃までの降温速度は、6℃/minとし、組成については、実施例1と同様の方法により求めた。
そして、JIS R 1601−2008に準拠した試験片寸法となるように窒化珪素質焼結体に研削加工を施して、4点曲げ強さ試験を行なった。また、窒化珪素質焼結体の表面を研磨加工してJIS R 1607−2010で規定される圧子圧入法(IF法)に準拠して測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005687090
表1に示す通り、Y換算で3質量%以上12質量%以下、Al換算で2質量%以上5質量%以下およびSiO換算で2質量%以上4質量%以下含有し、残部が窒化珪素からなる試料No.2〜7は、850MPa以上の4点曲げ強度と、6.1MPa・m1/2以上の破壊靭性(KIC)とを有しており、この範囲外の組成を示す試料よりも4点曲げ強度および破壊靭性に優れていた。また、試料No.5と試料No.6とを比較すると、試料No.5の方が4点曲げ強度および破壊靭性に優れており、Y:Al:SiOの窒化珪素質焼結体の含有量の質量比率が50〜66質量%:18〜26質量%:16〜24質量%であった方が機械的特性に優れていることがわかった。
次に、実施例2の試料No.4と同様の組成となるように各粉末を秤量して、実施例1と同様の作製方法で窒化体までを作製した。次に、120kPaの窒素分圧で、1750℃の最
高温度で5時間保持し、最高温度から1200℃までの降温速度をそれぞれ表に示す設定として、その後、室温まで冷却することにより、試料No.12〜17の窒化珪素質焼結体を得た。
次に、JIS R 1601−2008に準拠した試験片寸法となるように窒化珪素質焼結体に研削加工を施して、4点曲げ強さ試験を行なった。また、窒化珪素質焼結体の表面を研磨加工してJIS R 1607−2010で規定される圧子圧入法(IF法)に準拠して測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005687090
表2に示す結果、X線回折チャートにおける2θ=29.5°付近のYSiAlONの結晶のピーク強度Xと、2θ=33.7°付近の窒化珪素の結晶のピーク強度Yとの比率X/Yを0.05以上0.4以下である試料No.13〜17は、比率X/Yが0.04である試料No.12
よりも4点曲げ強度および破壊靭性に優れていることがわかった。
次に、実施例3の試料No.14と同様の組成となるように各粉末を秤量した。そして、Fe粉末(平均粒径D50=0.1〜3μm)、WO粉末(平均粒径D50=0.1〜3μm)を準備し、Si粉末、Si粉末、Y粉末、Al粉末、SiO粉末の合計100質量%に対し、Fe粉末を2質量%以下(0質量%以下を除く)、W
粉末を1質量%以下(0質量%以下を除く)加えて、後の工程については、実施例3の試料No.14と同様の作製方法で窒化珪素質焼結体を得た。
そして、得られた窒化珪素質焼結体について、波長分散型X線マイクロアナライザー装置(日本電子製 JXA−8600M型)を用いて、WとSiとが存在する領域、FeとSiとが存在する領域を確認し、透過型電子顕微鏡(TEM)分析したところ、WSiおよびFeSiの結晶が粒界相に存在していることが確認できた。そして、実施例3の試料No.14と今回得られた窒化珪素質焼結体とを用いて、JIS R 1604−2008に準拠した試験片寸法となるように研削加工を施して、高温(800℃)における4点曲げ強さ試験
を行なった。
その結果、今回得られた窒化珪素質焼結体は、実施例3の試料No.14よりも高温(800℃)における4点曲げ強度の値が大きく、WSiおよびFeSiの結晶が粒界相に
存在していることにより、高温における強度を向上できることがわかった。

Claims (1)

  1. 窒化珪素の結晶を主相とし、粒界相にYSiAlONの結晶が存在し、該Y SiAlO Nの結晶は、X線回折によりY SiAlO Nと同定されたピークにおいて、X線回折チャートにおける2θ=29.4°付近に現れるピークが、2θ=30°を超える部分に現れるピークよりも大きいものであり、2θ=29.4°付近の前記Y SiAlO Nの結晶のピーク強度と、2θ=33.6°付近の前記窒化珪素の結晶のピーク強度とをそれぞれX,Yとしたとき、その比率X/Yが0.2以上0.3以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
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